JP4551035B2 - 導電体の厚み測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄材料、非鉄金属材料及び導電性流体などの導電性物体について、断面の材質が単層または層状構造をなす平板または丸棒について、構成する層の厚さやコイルと導電性物体間の距離を検出測定する手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼など多くの導電性材料では、厚み方向の材質に関する均質さや不均質さは材料全体の機能を決める重要な因子である。たとえば、鉄鋼材料で内部に比べて炭素量が著しく少ない表面の脱炭層や逆に炭素量を増やした浸炭層は、材料強度や弾性特性に大きな影響を及ぼす。非鉄金属材料の場合も表層と内部層の組成変化は材料強度や電気伝導度などの材質決定の因子である。また、内部層と外部層が異なる物質からなる複合材について各層の厚さが所望の値になるように制御することが品質管理上重要である。
【0003】
平板材や棒材について、深さ方向または円形断面の半径方向に層状構造をなす組成変化や金属組織を調べる材質試験として、通常は試料を切断して切断面を観察することが行われる。たとえば、鉄鋼材料の表面直下の脱炭深さや浸炭深さを調べるには、試料の切断面を研磨して光学的にみて平坦化した後にナイタールなど酸でエッチングし、エッチング面を光学顕微鏡で組織を観察して測定されている。また、エックス線マイクロアナライザーで切断面の表面組成のマッピングをして、各層の厚さを調べる方法も一般的に用いられている。これら手法は試料を切断してその断面を観察する破壊的方法である。非破壊的な方法としては、脱炭測定として被検材に超音波を伝搬させてその反射エコー高さを調べる方法(特開昭57−97443号公報)や、電磁誘導式に渦電流の大きさ等により検出する方法(特開昭53−26156号公報)が知られている。
【0004】
通常、多くの場合に行われている層の厚さを調べる破壊的方法では、測定用試料を準備するのに被検材の切断や研磨などに手間と時間を要し、特に被検材の数が多いときには膨大な作業量となる。したがって、金属材料の大量生産で品質管理を目的として表面層厚さをモニターしたいときには、試料数を多くできないという問題があった。また、破壊検査であるために製品に損失がでることも問題であった。前記の超音波による表面層深さ測定の場合、深さが小さいときには測定がむずかしい。また、試料と探触子の間に油等の液体を充填しなければならず、手数がかかる問題があった。
【0005】
ところで、コイルに交流電流を流してコイル端子間電圧を測定するとき、導電体を近付けると電圧が変化する。これは導電体内に渦電流が生じて、コイルのインダクタンスが変化する現象である。この現象を利用した、コイルと被測定物の距離を測定する変位計や非測定物の厚さを測る厚さ計が広く用いられている。かかる渦電流式変位計や厚さ計は構造が簡単で、検出部の材質や構造を工夫することにより高温などさまざまな環境で使用されている。
【0006】
被測定物にコイルで単一周波数の交流磁界を印加し、被測定物の電磁誘導特性から層の厚さを測定する従来の方法では、試験材料の物性値を予め測定したり他の標準試料が必要であったりして、実際に多種・多数の試験材の試験を行うのがむずかしかった。
【0007】
導電体に交流磁界を印加したときに磁界が浸入する深さの目安として表皮深さδがあり、√(1/πfσμ)で表される。ここで、fは周波数、σは導電率、μは透磁率である。コイルで複数の周波数の交流磁界を順に印加して、表皮深さを変えてコイルのインダクタンスを測定し、変位や層厚さを測定する方法も報告されているが、単一周波数のときと同様に先見的データが必要であった(Trans Iron Steel Inst Jpn vol.25、No.1、p50 、1985)(特開昭59−180402号公報)。
【0008】
このような状況を鑑みて、非破壊的に数分程度以上で比較的短時間に、標準試料を用いずに層厚さを測定する方法として、コイルで多周波数の交流磁界を順に印加して多周波インダクタンスを測定し、理論モデル解を基にした回帰計算による層厚測定方法が開示されている(特開2000−9414号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、磁界を被測定物に印加してコイルのインダクタンスを高精度にS/N良く測定するためには、励磁コイルの電流値や誘導電圧値をロック=インアンプなどで高精度に測定しなければならず、多数の周波数点についてインダクタンスを測定するのに分単位の長時間を要することが多い。
製造ライン内で、製品にたいして距離や層厚を測定するとき等ではさらに迅速な測定が必要であり、秒単位で高速に多周波インダクタンスを測定することが課題であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明においては、励磁コイルに多重周波数の交流電流を流して、多周波数磁界を被測定物に印加して、検出コイルの誘導電圧を測定し、各周波数のコイルのインダクタンスを一括して測定する方法を用いる。すなわち、平板形の被測定導電体に対向した、または断面が円形の被測定導電体を内包した励磁コイルと、励磁コイルに交流電流を流すための励磁コイル駆動部と、励磁コイルと平行に置いた誘導電圧検出コイルと、前記励磁コイルに流れる電流を精密抵抗器で電圧化した値を電流信号として検出し、前記誘導電圧検出コイルに発生する誘導電圧を誘導電圧信号として検出し、これらの信号を増幅するプリアンプと、プリアンプから出力された電流信号と誘導電圧信号をディジタル化し、その信号を処理するためのディジタル信号処理部とを有し、前記励磁コイルを複数の周波数で励磁して得る誘導電圧検出コイルの複数の周波数のインダクタンス測定値から導電体の厚みを算出する導電体の厚み測定装置において、前記励磁コイル駆動部が、多重周波数電圧信号発生器と電圧電流変換増幅器とから構成され、前記励磁コイルに実質的に各周波数成分が一定振幅の励磁電流を印加してインダクタンスを測定するようにし、前記ディジタル信号処理部が、予め高速フーリエ変換(FFT)によって求めた多重周波数電流信号または多重周波数誘導電圧信号の各周波数成分について、インダクタンス測定時に多重周波数電流信号および多重周波数誘導電圧信号に関する離散的フーリエ変換を求めて前記誘導電圧検出コイルのインダクタンスを算出するようにしたことを特徴とする導電体の厚み測定装置である。
【0011】
望ましくは、前記ディジタル信号処理部が、前記電流信号と前記誘導電圧信号とを同時サンプリングするための、または、前記励磁コイル駆動部からの同期信号に基づいて、前記電流信号と前記誘導電圧信号とをそれぞれ別々に同期サンプリングするためのA/D変換器を有するようにする。更には、前記ディジタル信号処理部が、多周波数インダクタンス測定値から、別途用意した単層膜または多層膜構造モデルのインダクタンスの電磁界解析のモデル解を基に、誘導電圧検出コイルと被測定導電体の距離、層厚み、透磁率、導電率をパラメータとして回帰計算により単層膜または多層膜を算出するようにする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の多重周波数膜厚測定装置を図1、図2に基づき詳細に説明する。
励磁コイル駆動部で励磁コイル1aに多重周波数励磁電流を流して、平板形の被測定導電体3に交流磁界5を印加する。励磁コイルの電流を精密抵抗器10で電圧化して多重周波数電流値信号(以下では電流信号)として、また検出コイル1bに発生する誘導電圧を多重周波数誘導電圧信号(以下では誘導電圧信号)として、それぞれプリアンプ11で検出する。図1の配置は相互誘導タイプの場合であるが、励磁コイルと検出コイルを一つのコイルで兼ねる自己誘導配置でも良い。また、相互誘導配置で検出コイルを励磁コイルの上限両側に一対設置した差動コイルを用いても良い。
【0013】
励磁コイル駆動部7は多重周波数電圧信号発生器8と電圧・電流変換増幅器9で構成する。多重周波数電圧信号発生器8で図4に示したような多重周波数電圧波形を生成し、電圧・電流変換増幅器9でこの電圧に比例した多重周波数電流を励磁コイル1aに流す。こうして発生する各周波数成分の磁界強度を同一にすることにより印加磁界強度を各周波数で同一にして、各周波数のインダクタンスの測定条件を同一にすることができ、モデル解析を単純化してデータ処理を容易にすることができる。
多数の周波数の磁界を一括して印加して測定することによって、各周波数の磁界を順次印加して測定するよりも多周波数インダクタンスの測定時間を大幅に短縮することができる。
【0014】
図3は棒形の被測定導電体3′についての測定系の配置を示す。励磁コイル1a′と検出コイル1b′は同軸に配置する。この配置についても自己誘導配置、相互誘導配置のいずれでも良い。
【0015】
ディジタル信号処理部13内のA/D変換器12で、電流信号と誘導電圧信号を同時サンプリングしてディジタル信号化する。また、電流信号と誘導電圧信号を別々にサンプリングするときには、励磁コイル駆動部7からの同期信号14でそれぞれ同期サンプリングする。こうして、ディジタル信号化した電流信号(以下ディジタル電流信号)と誘導電圧信号(以下ディジタル電圧信号)の位相差を無くして、後段でのインダクタンス(絶対値、位相)計算の誤差を低減することができる。
【0016】
ディジタル信号処理部13では、予めコイルからの電流信号や誘導電圧信号などから、高速フーリエ変換(FFT)によって当該信号中の成分周波数を高精度に求めておく。すなわち、多重周波数電圧信号発生器8で生成した多重周波数電圧信号の周波数をディジタル信号処理部内部で校正しておき、後段でのディジタル信号処理を高精度に行うことができる。
【0017】
被測定導電体を測定するときには、ディジタル電圧信号とディジタル電流信号を各成分周波数で離散的フーリエ変換して、成分周波数それぞれの誘導電圧振幅・位相と励磁電流振幅・位相を導出する。こうして、広い周波数帯域に対してFFTを適用して各周波数の電流値と誘導電圧値を求めるよりも、計算量を大幅に低減することができて、短時間にかつ高精度にフーリエ成分を求めることができる。このデータ処理は非常に狭帯域のバンドパス=フィルターを通すことに相当する。高性能な狭帯域バンドパス=フィルターであるロックイン=アンプを使用したとき並の周波数選択性能を持たせることができる。各周波数の誘導電圧成分を励磁電流成分で除算して、検出コイル系の各周波数での複素インピーダンス(振幅・位相)を得ることができる。検出コイル系の容量や直流抵抗による電圧降下が無視できるようにプリアンプをコイルに近付けると、インピーダンスを(2πf)で除して検出コイルの多周波数インダクタンスを得ることができる。
この多周波数インダクタンス測定値から、特開昭59−180402号公報に開示されているような方法で先見的データを用いて層厚を測定することができる。
【0018】
一方、こうして求めた多周波数インダクタンス測定値から、ディジタル信号処理部13では目的であるコイル−被測定導電体間の距離や層厚さ、透磁率、導電率を計算する。すなわち、被測定導電体について推定される内部層構造に対応して、別途用意した被測定導電体の層構造モデルについて、電磁界解析により導出したモデル解の多周波数インダクタンス値をもとにして、コイル−被測定導電体間の距離と各層の厚さ、透磁率、導電率をフィッティングパラメータとして回帰計算を行い、最終的に距離または層厚さを導出する。
【0019】
検出コイルの誘導電圧やインダクタンスのモデル解を、図2に示した平板について二層構造モデルを例に説明する。ある周波数fで励磁電流による誘導電圧の理論解Vは、コイルの巻き数と形状を既知として、コイル−平板間距離t0 、表層4aの導電率σ1 、透磁率μ1 と下層4bの導電率σ2 、透磁率μ2 および表層厚さt1 の関数としてV(f、σ1 、μ1 、σ2 、μ2 、t0 、t1 、t2 )と表される。インダクタンスの理論解Lは誘導電圧を励磁電流と角周波数で除して計算することができて、これらの変数の関数である。また、インダクタンスLから空心コイルのみのインダクタンスLo を減じた、いわば実効インダクタンスの理論解L1 も同様に表される。
【0020】
平板二層構造の導電体について、ある周波数での誘導電圧やインダクタンスの理論解としては、尾上守夫(“導体に近接した有限長ソレノイドコイルの解析”、電気学会雑誌、vol.88-10 、162 頁(1968))や土門斉等(“磁性導体上に置かれた有限長ソレノイドコイルによる渦流探傷法の解析”、非破壊検査、vol.23、137 頁(1974))によって導かれた解析的解を利用することができる。この解は特殊関数であるBessel関数を含んでおり、複雑な式で表されている。また、各社から市販されているコンピュータソフトウエア等で、電磁場方程式について数値計算で誘導電圧やインダクタンスの理論解を得ることも可能である。
【0021】
本発明ではモデル解をもとにして、複数の周波数でのインダクタンス測定値すなわち多周波数インダクタンスを用いて、回帰計算により各層の透磁率、電気抵抗率や表層厚さを決定する。回帰計算は誘導電圧またはインダクタンスのどちらについても可能であるが、実効インダクタンスL1 (σ1 、μ1 、σ2 、μ2 、t0 、t1 、t2 )を例にして説明する。
【0022】
さて、実際に表層厚さなどを求める手続きを図5のフローチャートを用いて説明する。まず実効インダクタンスを周波数f1 、f2 、・・・、fn で測定する。測定周波数の点数は変数の数よりも多くしておく。次に各層の透磁率、電気抵抗率および表層厚さ・距離の仮の値(初期値)を定めて、実効インダクタンスの理論値を計算する。そして、測定値と理論計算値の差を数値化する評価関数Gを求める。評価関数の例としては、L1mを測定値、L1cを理論計算値として
【数1】
Figure 0004551035
が挙げられる。Gが予め設定した許容値ε以下になるまで、透磁率、電気抵抗率、表層深さ・距離を修正しながら繰り返し計算を実行する。すなわち回帰計算を行う。こうして各層の透磁率、電気抵抗率とともに表層厚さ・距離を推定することができる。
【0023】
【実施例】
図1に基づいて説明する。パーソナルコンピュータを用いた、金属平板の板厚の自動測定機を製作した。
多重周波数電圧信号発生器8としてAgilent 社製任意波形発生器33120Aを用いて5〜10周波数の多重周波数信号を発生させた。自己誘導配置を用いて自己インダクタンスを測定した。励磁/検出コイルは内径10mmで20ターンの単層巻きとした。電圧・電流変換増幅器9で各周波数の電流振幅を30mAp-p になるようにした。精密抵抗器10は1Ωとし、コイルから20mm離して設置したプリアンプ11で電流値信号と電圧信号を検出した。プリアンプのゲインは3倍とした。電圧・電流変換増幅器9とプリアンプ11の帯域幅は1MHz であった。
【0024】
ディジタル信号処理部13は、いわゆるDOS−Vタイプのパーソナルコンピュータを用いた。A/D変換部12はNational Instrument(NI) 社製NI5911ボードを用いた。任意波形発生器33120AからNI5911ボードへ10MHz のクロック信号と1KHz の同期信号を入力して、電流信号及び誘導電圧信号を任意波形発生器33120Aからの同期信号を用いて同期サンプリングした。NI5911ボードの入力数は1であるので、プリアンプとNI5911ボード間にアナログスイッチを設けて、電流信号と誘導電圧信号を順に取り込んだ。サンプリングデータのポイント数は1〜4Mポイント、サンプリングレートは5Mサンプル/秒とした。サンプリング時のデータ分解能は14ビットであった。
パーソナルコンピュータによる多周波数インダクタンスのデータ収集/回帰計算制御は、NI社製データ収集環境LabVIEW上に組んだソフトウェアで行った。
【0025】
▲1▼まず、被測定導電体なしに励磁/検出コイルのみについて、多重周波数電流値と誘導電圧値を測定し、FFTによって多重周波数の校正をする。任意波形発生器の設定周波数をそれぞれ3、7、11、30、70kHz としたところ、測定周波数値(校正値)は2.999501、7.000056、11.000510、30.001550、70.000297kHz とであった。
▲2▼次に、被測定導電体をコイル直近にセットして、多重周波数電流値と誘導電圧値を同期サンプリングする。
▲3▼サンプリングされた電流値と電圧値それぞれについて、次式で表される離散的フーリエ変換を行い、電圧値と電流値の各周波数成分を求める。
【数2】
Figure 0004551035
ここで、Xi は周波数成分値、iは電流値(i)または電圧値(v)を示す。fは校正周波数、Vi はサンプリングデータ、Tはサンプリング周期、Nはサンプル数である。
v をXi で除して多重周波数インピーダンスを求めた。さらに、このインピーダンス測定値を角周波数で除して多重周波数インダクタンス測定値を得た。 ▲4▼回帰計算の実行エンジンとして、Visual Numerics 社製IMSL Cライブラリー最適化ルーチンを用いて回帰計算ダイナミックリンク=ライブラリーを作成した。インダクタンスのモデル解として、文献(尾上守夫、“導体に近接した有限長ソレノイドコイルの解析”、電気学会雑誌、vol.88-10 、162 頁(1968))に示されている解析的解を採用した。
【0026】
性能評価のために、(a)厚さ5mm、20mm×20mmのSUS304ステンレス鋼平板、(b)厚さ0.5mmの磁性鋼板、(c)厚さ20mmの銅板を被測定導電体として、コイルとSUS板との間隔を5mmに固定して板厚を測定した。測定周波数は1k、5k、10k、50k、100k、300kHz とした。測定結果はマイクロメーター測定値と比較して最大誤差5%であった。
多重周波数インダクタンスの測定に要する時間は5秒以内、回帰計算に要する時間は数分以内であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、多重周波数信号を用いて、鉄材料や非鉄金属材料からなる導電性の平板や棒材で、断面が単層または層状をなす材料の層厚さや材料−コイル間距離を非破壊的に、かつ従来よりも短時間で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多重周波数膜厚測定装置の概略図。
【図2】平板導電体と測定コイルの配置図。
【図3】棒材と測定コイルの配置図。
【図4】多重周波数波形図。
【図5】回帰計算フローチャート。
【符号の説明】
1a、1a′ 励磁コイル 1b、1b′ 検出コイル
2 交流磁界 3 被測定導電体(平板)
3′被測定導電体(棒材) 4a、4a′ 表層
4b、4b′ 下層 5 導体内磁界(平板)
6 導体内磁界(丸棒) 7 励磁コイル駆動部
8 多重周波数電圧信号発生器 9 電圧・電流変換増幅器
10 精密抵抗器 11 プリアンプ
12 A/D変換器 13 ディジタル信号処理部
14 サンプリング同期信号

Claims (3)

  1. 平板形の被測定導電体に対向した、または断面が円形の被測定導電体を内包した励磁コイルと、
    励磁コイルに交流電流を流すための励磁コイル駆動部と、
    励磁コイルと平行に置いた誘導電圧検出コイルと、
    前記励磁コイルに流れる電流を精密抵抗器で電圧化した値を電流信号として検出し、前記誘導電圧検出コイルに発生する誘導電圧を誘導電圧信号として検出し、これらの信号を増幅するプリアンプと、
    プリアンプから出力された電流信号と誘導電圧信号をディジタル化し、その信号を処理するためのディジタル信号処理部とを有し、
    前記励磁コイルを複数の周波数で励磁して得る誘導電圧検出コイルの複数の周波数のインダクタンス測定値から導電体の厚みを算出する導電体の厚み測定装置において、
    前記励磁コイル駆動部が、多重周波数電圧信号発生器と電圧電流変換増幅器とから構成され、前記励磁コイルに実質的に各周波数成分が一定振幅の励磁電流を印加してインダクタンスを測定するようにし
    前記ディジタル信号処理部が、予め高速フーリエ変換(FFT)によって求めた多重周波数電流信号または多重周波数誘導電圧信号の各周波数成分について、インダクタンス測定時に多重周波数電流信号および多重周波数誘導電圧信号に関する離散的フーリエ変換を求めて前記誘導電圧検出コイルのインダクタンスを算出するようにしたことを特徴とする導電体の厚み測定装置。
  2. 前記ディジタル信号処理部が、前記電流信号と前記誘導電圧信号とを同時サンプリングするための、または、前記励磁コイル駆動部からの同期信号に基づいて、前記電流信号と前記誘導電圧信号とをそれぞれ別々に同期サンプリングするためのA/D変換器を有することを特徴とする請求項1に記載の導電体の厚み測定装置。
  3. 前記ディジタル信号処理部が、多周波数インダクタンス測定値から、別途用意した単層膜または多層膜構造モデルのインダクタンスの電磁界解析のモデル解を基に、誘導電圧検出コイルと被測定導電体の距離、層厚み、透磁率、導電率をパラメータとして回帰計算により単層膜厚みまたは多層膜厚みを算出するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電体の厚み測定装置。
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