JP2001234408A - 寝 巻 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】袖に手を通さないで着られる寝巻の提供であ
る。 【解決手段】寝巻Ａ₁ を構成する左右の前身頃２，３、
及び袖Ｓの前袖部５の上縁部７a,７b を、袖Ｓの先端部
から衿部４に至るまで横方向に分断し、左右の前身頃
２，３の上部、及び前袖部５を前面に開口可能に形成
し、その開口部分に患者Ｍの腕を置き、前記左右の前身
頃２，３の上部、及び前袖部５を患者Ｍの腕に被せて、
各上端部２a,３a,５a と対応する合せ布部８a,８b とを
ボタン９で留める。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、袖に手を通す動作
をしないで着られるようにした寝巻に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の寝巻は、袖が筒状に形成されてい
るため、人が寝巻を着るときに、腕を曲げて手を袖に通
さなければならない。ところが、腕を骨折した患者の場
合、腕を曲げることは極めて困難である。また、「寝た
きり」となって介護を必要とする患者に寝巻を着せるた
めには、介護者が患者の上半身を起こして着せなければ
ならない。この作業は、重労働である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した不
具合に鑑み、仰臥姿勢のまま、人体の手を袖に通した
り、上半身を起こしたりしなくても着られる寝巻を提供
することを課題としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、後身頃と、左右方向の中央部寄りの端縁部
に衿部が形成された左右の前身頃と、前記後身頃及び左
右の前身頃の上部の両側に、左右方向に沿って筒状に形
成された袖とから成る寝巻において、前記袖の前袖部の
部分が、その上縁部から下縁部の間において衿部に至る
まで横方向に分断され、前記袖及び前記前身頃の部分が
前面に開口可能に形成され、しかも、袖及び前身頃にお
ける分断部に臨む両部分に、該部分を連結して前記分断
部を閉じるための連結部材がそれぞれ取付けられてい
て、袖、及び前身頃の部分を前面に開口させた状態で敷
き、その上に人体を腕を伸ばした状態で仰臥させ、袖の
前袖部、及び前身頃の上部を折り返して、前記分断部を
前記連結部材で連結して前記開口を閉じることにより、
着られるようにしたことを特徴としている。

【０００５】本発明に係る寝巻を、仰臥姿勢のままの人
体に着せる場合、次のようにして着せる。本発明に係る
寝巻をベッド等の上に広げて敷き、その上に人体を仰臥
させる。寝巻における袖、及び前身頃の部分は、予め、
前面に開口させておく。人体の腕を寝巻の袖の部分に配
置させ、前袖部及び前身頃の上部を折り返して、腕に被
せ、両者の分断部に臨む部分を合わせて、連結部材で連
結させる。そして、寝巻の左右の前身頃を合わせる。こ
のように、人体を仰臥させたまま、しかも、その腕を曲
げたり、上半身を起こしたりすることなく、寝巻を着せ
ることができる。このため、介護者の労力が大幅に軽減
されると共に、腕を骨折した患者、或いは安静状態の患
者にも簡単に着せることができる。また、被着用者も腕
を曲げたり、横向きになったりする必要がないので楽で
ある。

【０００６】前記分断部が袖の上縁である場合、袖の前
袖部、及び左右の前身頃の上部を前面に折り返して開口
させ、被着用者の腕に被せるだけで済む。しかも、袖の
上縁の近傍は開放されていて障害物が存しないため、連
結部材を連結させる作業が簡単である。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、実施形態を挙げて本発明を
更に詳細に説明する。図１は本発明の第１実施例の寝巻
Ａ₁ における右前身頃３の上部と前袖部５とを開口させ
た状態の正面図、図２は寝巻Ａ₁ を展開した状態の平面
図である。図１及び図２に示されるように、本発明の第
１実施例の寝巻Ａ₁ は、背面側の後身頃１と、前記後身
頃１に連続して正面側に形成された左右の前身頃２，３
と、前記後身頃１、及び前記左右の前身頃２，３の上部
の両側に、左右方向に沿って形成された両袖Ｓとから成
る。左右の前身頃２，３における左右方向の中央部寄り
の端縁部には、斜め下方に向かって衿部４が形成されて
いる。また、各袖Ｓは、正面側の前袖部５と背面側の後
袖部６とから成る。

【０００８】最初に、袖Ｓについて説明する。ここで、
左右の袖Ｓは、ほぼ同一構成であるため、一方側の袖Ｓ
（正面視における左側の袖Ｓ）についてのみ説明する。
図１に示されるように、第１実施例の寝巻Ａ₁ を構成す
る袖Ｓの上縁の部分（上縁部７ａ）、及び後身頃１の上
縁の部分（上縁部７ｂ）は、その先端部から衿部４に至
るまで分断されていて、前記前袖部５は前面に開口可能
である。そして、袖Ｓの後袖部６の上端部、及び後身頃
１の上端部は、手前側に折り曲げられていて、この部分
に各合せ布部８a,８b が形成されている。各合せ布部８
a,８b は、右前身頃３、及び袖Ｓの前袖部５を折り返し
たときに、それらの各上端部３a,５a と重ね合わせられ
る。このため、後袖部６の合せ布部８ａの長さＬａと、
前袖部５の上端部５ａの長さＬa'とはほぼ等しく、後身
頃１の合せ布部８ｂの長さＬｂと、右前身頃３の上端部
３ａの長さＬb'とはほぼ等しい。そして、各合せ布部８
a,８b の手前側には、左右方向に一定の間隔をおいて、
複数個（本実施例の場合、５個）のボタン９が取付けら
れている。また、右前身頃３の上端部３ａ、及び前袖部
５の上端部５ａには、前記複数個のボタン９と対応する
ボタン孔１１が設けられている。袖Ｓの前袖部５は、袖
Ｓの下縁の部分（下縁部１２）を形成する縫着線１３を
折り返し線として手前側に折り返され、後袖部６に重ね
られる。そして、前記各合せ布部８a,８b に取付けられ
た各ボタン９が、右前身頃３、及び前袖部５の各上端部
３a,５a に設けられた各ボタン孔１１に嵌め込まれるこ
とにより、前袖部５と後袖部６とが連結される。こうす
ることによって、筒状の袖Ｓが形成される。上記した作
用は、他方側の袖Ｓ（正面視における右側の袖Ｓ）につ
いても全く同様である。なお、図１において、１４、１
５は縫着線、１６はポケットである。

【０００９】図２に示されるように、寝巻Ａ₁ における
左前身頃２の左右方向の端縁部１７、及び縫着線１４の
部分の背面側には、それぞれ上下に２本の結び紐１８a,
１８b,１９a,１９b が取付けられている。同様にして、
右前身頃３の左右方向の端縁部２１、及び縫着線１５の
部分には、前記左前身頃２に取付けられた各結び紐１８
a,１８b,１９a,１９b と対応する結び紐２２a,２２b,２
３a,２３b が取付けられている。被着用者に寝巻Ａ₁ を
着せたときに、上側の各結び紐１８a,１９a,２２a,２３
a は、被着用者の腰の部分で結ばれ、下側の各結び紐１
８b,１９b,２２b,２３b は、被着用者の膝上の部分で結
ばれる。この寝巻Ａ₁ を着せた後、左右の前身頃２，３
を合わせて、対応する各結び紐１８a,１８b,１９a,１９
b,２２a,２２b,２３a,２３b どうしを結ぶことにより、
寝巻Ａ₁ の正面部の形状がくずれることが防止される。

【００１０】また、図２に示されるように、本実施例の
寝巻Ａ₁ において、後身頃１における被着用者の臀部が
当たる部分には、補強のための布地２４が、もう１枚縫
い付けられている。即ち、寝巻Ａ₁ におけるこの部分
は、２枚重ねとなっている。このため、寝巻Ａ₁ と臀部
とが擦れることによって寝巻Ａ₁ が破れても、この布地
２４だけを交換するだけで済む。更に、図３及び図４に
示されるように、左右の前身頃２，３の端縁部１７，２
１の部分には、それぞれ補強のための裏打ち布２b,３b
が縫目１０で縫着されている。

【００１１】本発明の第１実施例の寝巻Ａ₁ の作用につ
いて説明する。本明細書では、ベッドＢに仰臥させた患
者Ｍに寝巻Ａ₁ を着せる場合の作用について説明する。
図５に示されるように、第１実施例の寝巻Ａ₁ を広げ
て、ベッドＢに敷く。左右の前身頃２，３の上部と前袖
部５は、予め、前面に開口させておく。この寝巻Ａ₁ の
上に、患者Ｍを仰臥させる。介護者（図示せず）は、患
者Ｍの腕をそのまま移動させて、袖Ｓの後袖部６の上に
位置させる。その状態を、図５において一点鎖線で示
す。

【００１２】続いて、図６に示されるように、左右の前
身頃２，３の上部、及び前袖部５を引き出して折り返
し、患者Ｍの腕に被せる。そして、左右の前身頃２，
３、及び前袖部５の各上端部２a,３a,５a を、対応する
合せ布部８a,８b に重ね合わせ、各ボタン９を対応する
ボタン孔１１に嵌める。こうすることによって、後袖部
６と前袖部５とが連結され、患者Ｍの腕が袖Ｓに通され
た状態で収容される。

【００１３】そして、図７に示されるように、左前身頃
２を折り返して、患者Ｍの胴部及び脚部に被せ、対応す
る結び紐１８a,１８b,２３a,２３b どうしを結ぶ。続い
て、右前身頃３を折り返して、前記左前身頃２に被せ、
対応する各結び紐１９a,１９b,２２a,２２b どうしを結
ぶ。左右の前身頃２，３が各結び紐１８a,１８b,１９a,
１９b,２２a,２２b,２３a,２３b によって結ばれている
ため、寝巻Ａ₁ の正面部の形状がくずれることはない。

【００１４】上記したように、介護者は、患者Ｍを寝巻
Ａ₁ の上に仰臥させた後、患者Ｍの腕を伸ばしたまま後
袖部６の上に移動させて、左右の前身頃２，３の上部と
前袖部５とを手前側に折り返し、それらの上端部２a,３
a,５a を、対応する合せ布部８a,８b に重ね合わせ、両
者をボタン９で留めるだけで済む。これらの作業は、軽
作業であり、従来のように、患者Ｍの上半身を起こす必
要がないため、介護者の労力が大幅に軽減されると共
に、安静状態で、上半身を起こすことができない患者Ｍ
に寝巻Ａ₁ を着せることもできる。また、患者Ｍの腕を
伸ばしたまま着せることができるため、例えば腕を骨折
した患者Ｍに着せることもできる。患者Ｍにとっても、
狭いベッドＢの上で腕を曲げたり、上半身を起こしたり
する必要がないため、極めて楽である。更に、前袖部５
と後袖部６とが確実に連結され、寝巻Ａ₁ を着た患者Ｍ
が寝返りを打つ等しても外れるおそれがない。また、安
価に製作できる。

【００１５】上記した第１実施例の寝巻Ａ₁ は、袖Ｓの
上縁部７a,７b が分断されていて、左右の前身頃２，
３、及び前袖部５の各上端部２a,３a,５a と、対応する
合せ布部８a,８b とが連結される構成である。しかし、
分断される部分は、前袖部５の上縁部７a,７b から下縁
部１２の間であれば、いかなる部分でも構わない。例え
ば、図８に示される第２実施例の寝巻Ａ₂ のように、前
袖部５の下縁部１２が分断されていても構わない。ま
た、図９に示される第３実施例の寝巻Ａ₃ のように、前
袖部５における丈方向のほぼ中央部を分断させても構わ
ない。

【００１６】第１ないし第３実施例の寝巻Ａ₁ 〜Ａ₃ に
おける前袖部５と後袖部６との連結部材は、共にボタン
９及びボタン孔１１である。しかし、連結部材は、上記
したボタン９及びボタン孔１１に限られるものではな
い。次に、図１０を参照しながら、第４実施例の寝巻Ａ
₄ について説明する。この実施例の寝巻Ａ₄ は、連結部
材が一対の留め紐２５a,２５b の場合である。即ち、左
右の前身頃２，３、及び前袖部５の各上端部２a,３a,５
a と、対応する合せ布部８a,８b に複数対の留め紐２５
a,２５b が取付けられている。一対の留め紐２５a,２５
b どうしを結ぶことにより、袖Ｓが筒状に形成される。
この実施例の場合、一対の留め紐２５a,２５b をリボン
のようにあしらうことにより、寝巻Ａ₄ に装飾的な要素
を与えることができるという利点がある。

【００１７】次に、図１１を参照しながら、第５実施例
の寝巻Ａ₅ について説明する。この実施例の寝巻Ａ
₅ は、連結部材が自在テープ２６a,２６b の場合であ
る。この自在テープ２６a,２６b は雄側の自在テープ２
６ａと雌側の自在テープ２６ｂが重ね合せられて押し付
けられることにより、左右の前身頃２，３、及び前袖部
５の各上端部２a,３a,５a と、対応する合せ布部８a,８
b とが連結される構成である。この実施例の場合、連結
作業、及び取り外し作業が極めて容易であるという利点
がある。

【００１８】次に、図１２を参照しながら、第６実施例
の寝巻Ａ₆ について説明する。この実施例の寝巻Ａ
₅ は、連結部材がファスナ２７の場合である。この実施
例の場合、左右の前身頃２，３、及び前袖部５の各上端
部２a,３a,５a と、対応する合せ布部８a,８b とが極め
て強力に連結されるという利点がある。

【００１９】また、図１３に示される第７実施例の寝巻
Ａ₇ のように、補強のための布地２４’を、後身頃１の
下半部のほぼ全体に縫い付けてもよい。この場合、布地
２４’の左右方向の端縁部と縫着線１４，１５とを、ほ
ぼ合致させることができるため、見栄えが良好である。

【００２０】

【発明の効果】本発明に係る寝巻は、袖の前袖部の部分
が、その上縁部から下縁部の間において衿部に至るまで
横方向に分断されていて、前面に開口可能である。この
ため、人体を仰臥させたまま、しかも、腕を曲げたり、
向きを変えたりさせることなく、寝巻を着せることがで
きる。この結果、介護者の労力が大幅に軽減される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の寝巻Ａ₁ における右前身
頃３の上部と前袖部５とを開口させた状態の正面図であ
る。

【図２】寝巻Ａ₁ を展開した状態の平面図である。

【図３】左右の前身頃２，３の端縁部１７，２１の裏側
部分を示す図である。

【図４】図３のＸ−Ｘ線拡大断面図である。

【図５】ベッドＢに敷いた寝巻Ａ₁ の上に患者Ｍを仰臥
させた状態の平面図である。

【図６】患者Ｍの腕を、寝巻Ａ₁ の袖Ｓに収容させた状
態の平面図である。

【図７】患者Ｍに、寝巻Ａ₁ を着せた状態の平面図であ
る。

【図８】第２実施例の寝巻Ａ₂ の袖Ｓを開口させた状態
を示す図である。

【図９】第３実施例の寝巻Ａ₃ の袖Ｓを開口させた状態
を示す図である。

【図１０】第４実施例の寝巻Ａ₄ の袖Ｓの拡大図であ
る。

【図１１】第５実施例の寝巻Ａ₅ の袖Ｓの拡大図であ
る。

【図１２】第６実施例の寝巻Ａ₆ の袖Ｓの拡大図であ
る。

【図１３】第７実施例の寝巻Ａ₇ を展開した状態の平面
図である。

【符号の説明】

Ａ₁ 〜Ａ₇ ：寝巻 Ｍ：患者（人体） Ｓ：袖 １：後身頃 ２：左前身頃 ２ａ：上端部（分断部に臨む部分） ３：右前身頃 ３ａ：上端部（分断部に臨む部分） ４：衿部 ５：前袖部 ５ａ：上端部（分断部に臨む部分） ７a,７b ：上縁部（上縁） ８a,８b ：合せ布部（分断部） ９：ボタン（連結部材） １１：ボタン孔（連結部材） １２：下縁部（下縁） ２５a,２５b ：留め紐（連結部材） ２６a,２６b ：自在テープ（連結部材） ２７：ファスナ（連結部材）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 後身頃と、左右方向の中央部寄りの端縁
   部に衿部が形成された左右の前身頃と、前記後身頃及び
   左右の前身頃の上部の両側に、左右方向に沿って筒状に
   形成された袖とから成る寝巻において、 前記袖の前袖部の部分が、その上縁部から下縁部の間に
   おいて衿部に至るまで横方向に分断され、前記袖及び前
   記前身頃の部分が前面に開口可能に形成され、 しかも、袖及び前身頃における分断部に臨む両部分に、
   該部分を連結して前記分断部を閉じるための連結部材が
   それぞれ取付けられていて、 袖、及び前身頃の部分を前面に開口させた状態で敷き、
   その上に人体を腕を伸ばした状態で仰臥させ、袖の前袖
   部、及び前身頃の上部を折り返して、前記分断部を前記
   連結部材で連結して前記開口を閉じることにより、着ら
   れるようにしたことを特徴とする寝巻。
2. 【請求項２】 前記分断部は袖の上縁であることを特徴
   とする請求項１に記載の寝巻。