JP2001234257A - 磁力を用いた焼結原料の装入方法 - Google Patents

磁力を用いた焼結原料の装入方法

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JP2001234257A
JP2001234257A JP2000051435A JP2000051435A JP2001234257A JP 2001234257 A JP2001234257 A JP 2001234257A JP 2000051435 A JP2000051435 A JP 2000051435A JP 2000051435 A JP2000051435 A JP 2000051435A JP 2001234257 A JP2001234257 A JP 2001234257A
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drum
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JP2000051435A
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Nobuyuki Oyama
伸幸 大山
Katsutoshi Igawa
勝利 井川
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パレット上に装入される原料充填層の上層部
に強磁性物を偏析して装入することにより、焼結歩留り
を向上する。 【解決手段】 給鉱ホッパ1からドラムフィーダ3を用
いて切り出した焼結原料2を、スローピングシュート4
とその下端に近接して設置した磁石内蔵ドラム6とを介
してパレット5上に装入するに際して、焼結原料2中に
存在する強磁性物の配合比に応じて磁石内蔵ドラム6の
表面での焼結原料2に及ぼす磁力を500 ガウスから1500
ガウスの範囲から選択される最適な磁束密度に調整する
ことにより、パレット5上に形成される原料充填層7の
上層部に強磁性物を偏析して装入し、焼結歩留の向上を
達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉装入原料の一
つである焼結鉱を製造するドワイトロイド式焼結機への
磁力を用いた焼結原料の装入方法に関し、パレットに装
入される焼結原料中に存在する強磁性を示す返鉱、ミル
スケール、マグネタイト鉱石などの配合比に応じて、ス
ローピングシュート下端に近接して設置した磁石内蔵ド
ラムの磁力を調整することにより、焼結鉱の歩留りを定
常的に最大とすることを目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】ドワイトロイド式(DL式)焼結機で焼
結鉱を製造するには、図7に示すように、例えば複数の
原料ホッパ9に鉄源として返鉱、粉状鉄鉱石、副原料と
して石灰石、燃料源として粉コークスが貯蔵されてお
り、これらを、ミキサー10に装入すると共に水を添加・
混合してミキサー10内で水分を7%程度に調整・造粒し
た焼結原料2を一旦、DL式焼結機が備えた給鉱ホッパ
1に貯える。給鉱ホッパ1内の焼結原料2をドラムフィ
ーダ3を用いて切り出し、スローピングシュート4に供
給する。焼結原料2は、スローピングシュート4上を滑
り落ちるときのパーコレーション( 濾過、浸透)により
粒度が偏析し、シュート上で下層部に細粒が、上、中層
部に粗粒が偏析した状態となる。
【0003】このようにして上下に粒度偏析した状態の
焼結原料2は、スローピングシュート4の下端から矢印
方向に連続的に移動するパレット5上に装入される際、
焼結原料2の上下位置が逆転し細粒が上層部に、粗粒が
中、下層部に偏析した状態となって所定厚みの原料充填
層7を形成する。その後、点火炉11で原料充填層7の表
面部に着火すると、空気が原料充填層7の上方からパレ
ット5の下方に配設されたウインドボックス15を介して
主排風機13により下方吸引され、空気と焼結原料2のコ
ークスとの燃焼熱によって焼成される。
【0004】パレット5が焼結機の後端部側に進行する
段階で焼結が完了し、焼結鉱となる。冷却された焼結鉱
は破砕機19により破砕・整粒され、振動篩20を用いて5
mm以上の焼結鉱が高炉21に使用され、5mm未満の焼結鉱
は返鉱として再び焼結機に戻される。ウインドボックス
15を介して下方吸引された排ガスは、電気集塵機12によ
り集塵された後、主排風機13から煙突14に導かれ大気中
に放出される。
【0005】パレット5上に形成された原料充填層7の
高さ方向における原料の粒度分布および組成分布が焼結
鉱の品質、歩留などに重要な影響を与える。すなわちパ
レット5上の原料充填層7は、点火炉11で表面部に点火
された初期には下方からの吸引により空気は原料帯の表
面から下方に向け通過する。この時、原料充填層7の上
層部では常温の空気がほとんど予熱されずに短時間で溶
融帯(例えば融点である1200℃以上の領域)に供給され
るのに対し、焼結中・後期には吸引される空気が上層部
に形成される焼結帯、溶融帯を通過し、時間をかけて十
分予熱された状態で中・下層部の原料帯に供給される。
【0006】したがって、原料充填層7の層内温度と焼
結時間との関係から分かるように、中・下層部では溶融
帯および焼結帯の時間が十分にあるので焼結鉱の強度並
びに歩留が高くなる。これに対して、上層部では層内温
度が低くかつ高温に保持される時間が短いため熱不足と
なり、溶融帯および焼結帯の時間が不十分となり、上層
部で生成した焼結鉱は溶融結合度が小さくなるため強度
が低い。図8に示すように、パレット幅方向の焼結鉱歩
留が上層両端部で60%、上層中央部で65%、中層部で75
〜80%、下層部で85%となり、上層両端部から上層中央
部にかけての焼結歩留がとくに低いという問題点があっ
た。
【0007】そこで、焼結原料の装入方法として、パレ
ット上に堆積した原料充填層の高さ方向について原料性
状を意識的に変化させる偏析装入が積極的に採用され、
前記問題点の解消に役立ってきた。例えば、パレット上
に焼結原料を装入する際に、原料充填層の上層部に易溶
融性物質を増加させるように偏析させることで、焼結歩
留を向上する。図9に示すように、パレット5上に形成
される層厚400mm の原料充填層7の全体の返鉱比を一定
として層厚100mm の上層部7Aに易溶融性物質である返鉱
を増加し、層厚300mm の下層部7Bで返鉱を減少するよう
に偏析させて焼結原料を装入し、焼結処理した。そし
て、パレット5上で焼結された焼結鉱を直径300mm φ×
高さ400mm の大きさで採取したサンプルについて焼結歩
留の変化を調査した。その結果を図10に示す。
【0008】図10に示すように、原料充填層7の全体の
返鉱比を一定で、歩留が低い上層部に返鉱を偏析できれ
ば、上層部の温度が低くても返鉱比(重量%)が高くな
るほど上層部の歩留が向上が著しく、下層部の歩留も高
くなり全体として焼結歩留が改善されることが分かる。
したがって、易溶融性物質でかつ強磁性物である返鉱等
を如何にして作業性よく原料充填層の上層部に偏析させ
るかが課題となる。また、返鉱、ミルスケールおよび鉄
鉱石の磁化特性を振動試料型磁力計を用いて測定した。
その結果、図11のように、返鉱、ミルスケールの順でが
磁場の強さに対する磁化の強さが大きく、鉄鉱石はほと
んど磁化されないことが分かる。
【0009】特開平9-302422号公報には、図12に示すよ
うに、給鉱ホッパ1内の焼結原料2をドラムフィーダ3
を用いて切り出して、スローピングシュート4を介して
DL式焼結機のパレット5上に堆積させる際に、スロー
ピングシュート4の下端に近接して磁石内蔵ドラム6を
設置し、スローピングシュート4の下端から投入される
焼結原料2における返鉱と鉄鉱石との磁化率の差を利用
して強磁性かつ易溶融性の返鉱などをドラムに磁着させ
て選別し、これを原料充填層の低歩留部である上層部に
偏析させることにより、焼結鉱の歩留を向上させる方法
が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平9-302422号公報に開示されている従来技術では、磁
石内蔵ドラムの磁束密度を一定にしたままの操業であっ
た。実操業上、焼結原料に配合される強磁性の返鉱やミ
ルスケールの配合量は変化するため、必ずしも安定した
焼結歩留の向上効果を得ることが困難であった。一方、
特開平11-132669号公報には、磁石を付帯して設けたス
ローピングシュートを通じてドワイトロイト式焼結機の
パレット上に原料充填層を形成するに当たり、強磁性物
に及ぼす磁力を調整することにより、原料充填層の上層
部に強磁性物を多く偏析させる技術が開示されている。
【0011】これはスローピングシュートの裏面から永
久磁石を近づけたり、離したりする距離の調整か、ある
いはスローピングシュートの背面に原料の流れ方向に沿
って磁束密度の異なる複数個の永久磁石を配置し、強磁
性物の配合割合によって磁束密度を調整するものであ
る。この従来技術を前記特開平9-302422号公報に開示さ
れているスローピングシュートの下端に近接して磁石内
蔵ドラムを設置する技術に適用することは困難である。
【0012】本発明は、前記の問題点を解決するため、
スローピングシュートの下端に近接して磁石内蔵ドラム
を設け、これの磁力を焼結原料中に存在する強磁性物の
配合比に応じて調整することにより、パレットに装入さ
れる直前の焼結原料に最適な磁力を作用させ、通常の操
業において起こる焼結原料層の上層部での脆弱な焼結鉱
の生成を低減し、最大の焼結歩留を向上効果を得ること
が可能な磁力を用いた焼結原料の装入方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明者らは、種々の試行錯誤の実験を実施し、スロー
ピングシュートの下端に近接して設置した磁石内蔵ドラ
ムが焼結原料に及ぼす磁力には、返鉱やミルスケールな
どの強磁性物の配合比に応じて適正値があることを見出
し、本発明を達成することができた。
【0014】前記目的を達成するための請求項1記載の
本発明は、給鉱ホッパからドラムフィーダを用いて切り
出した焼結原料を、スローピングシュートとその下端に
近接して設置した磁石内蔵ドラムとを介してドワイトロ
イド式焼結機のパレット上に装入する焼結原料の装入方
法において、前記焼結原料中に存在する強磁性物の配合
比に応じて磁石内蔵ドラムの表面での焼結原料に及ぼす
磁力を調整することを特徴とする磁力を用いた焼結原料
の装入方法である。
【0015】請求項2記載の本発明は、前記磁力を500
ガウスから1500ガウスの範囲から選択される最適磁束密
度に調整することを特徴とする請求項1記載の磁力を用
いた焼結原料の装入方法である。請求項3記載の本発明
は、前記スローピングシュートの下端と磁石内蔵ドラム
の頂点とのなす鉛直距離を20mmから70mmの範囲から選択
される最適鉛直距離に調整することを特徴とする請求項
1記載の磁力を用いた焼結原料の装入方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の創案経緯および
本発明の具体的な実施の態様を図面に基づき詳細に説明
する。本発明では、図1に示すように、DL式焼結機が
備えた給鉱ホッパ1内の焼結原料2は、ドラムフィーダ
3によって切り出され、スローピングシュート4および
シュート下端に近接して設置した磁石内蔵ドラム6を介
して矢印方向に連続的に移動するパレット5上に装入す
ることで原料充填層7が形成される。磁石内蔵ドラム6
には、リターン側の外周面に当接するように付着物を除
去するスクレーパ8が配設してある。
【0017】円柱状の磁石内蔵ドラム6は、図2に示す
ように、同心に設けた内輪16と外輪17とを備え、内輪16
は回転しない固定式でその外周には焼結原料2が接触す
る側に複数の永久磁石18が取り付けてあり、その先端は
外輪17の内面に近接している。外輪17は、スローピング
シュート4から供給される焼結原料2を導くに足る幅を
有し、耐磨耗性に優れたステンレススチール、セラミッ
ク、銅合金などから寿命やコストを考慮して選定される
非磁性体あり、駆動装置を用いて焼結原料2の落下方向
に回転される。外輪17は永久磁石18に対応する部分が磁
場発生領域であり、他の部分が非磁性領域である。
【0018】永久磁石18の磁場発生領域の長さは、焼結
原料2の条件に基づいてスローピングシュート4の下端
直下からスクレーパ8の取付位置の間で適宜に設定でき
る。焼結原料2に強磁性物が多い場合には、磁石内蔵ド
ラム6に、より強い磁場を印加すると着磁させたくない
鉄鉱石などの非磁性物も抱き込んでしまうために、強磁
性である返鉱の上層部偏析効果が減少する。また、強磁
性物が少ない場合には、強い磁場を印加しないと、非磁
性物の中から強磁性物を抜き出すことができなくなり、
返鉱の上層部偏析効果が減少する。
【0019】通常の焼結操業では、焼結原料2の強磁性
物配合比は10%から50%の範囲内であるため、磁石内蔵
ドラム6の表面における磁束密度を500 ガウスから1500
ガウスの範囲内で変更できれば、常に最大の焼結歩留を
達成できることが判明した。すなわち、図3に示すよう
に、磁石内蔵ドラム表面の磁束密度(ガウス)と焼結歩
留(%)との関係から磁束密度が500 ガウス未満、また
は1500ガウスを超える磁束密度では焼結歩留が低くなる
のに対して磁束密度が500 ガウスから1500ガウスの範囲
内で強磁性物の配合比に応じた最適の磁束密度を選択
(強磁性物10%で500 ガウス、強磁性物30%で1000ガウ
ス、強磁性物50%で1500ガウス)すれば、焼結歩留を80
%以上にすることができる。
【0020】そこで、本発明では焼結原料中に存在する
強磁性物の配合比に応じ、スローピングシュート4の下
端に近接して設置した磁石内蔵ドラム6表面での焼結原
料2に及ぼす磁力が500 ガウスから1500ガウスの範囲内
になるように磁束密度を調整する。磁力の調整は磁石の
磁束密度を直接調整するか、スローピングシュート4の
下端と磁石内蔵ドラム6の頂点との鉛直距離を調整する
ことによって行う。
【0021】磁束密度を調整手段としては、種々の磁束
密度を有する永久磁石18を備えた磁石内蔵ドラム6を予
め複数台用意しておき、強磁性物(通常の鉄鉱石よりも
磁性の強い焼結原料)の種類や配合量の変更に応じて磁
石内蔵ドラム6を最適な磁力を有するものに交換する
か、所要の磁束密度を有する永久磁石18と交換する。ま
た、電磁石を内蔵した磁石内蔵ドラム6を使用し、電磁
石に投入する電力を変更するようにしてもよい。電磁石
を内蔵させる場合には、電磁石に印加する電気条件を変
えるだけでオンラインで強磁性物の配合変更に容易に対
応できる。反面、永久磁石18を内蔵するものに比較して
電力が必要となりコストが高くなる。永久磁石18は性能
が優れており、10〜20年の耐用が可能で、半永久的にか
つ安定して使用することができる。
【0022】一方、スローピングシュート4の下端と磁
石内蔵ドラム6の頂点との距離調整手段としては、磁石
内蔵ドラム6を支持する軸受をネジ機構、油圧機構等を
用いて昇降可能可能な構造にしておき、スローピングシ
ュート4の下端に対して磁石内蔵ドラム6を、その頂点
が必要な鉛直距離になるように上下方向に調整すればよ
い。これによりスローピングシュート4から投入される
焼結原料2の諸条件に対応して臨機応変に磁石内蔵ドラ
ム6の高さ位置を調整できる。なお、スローピングシュ
ート4の下端に対して磁石内蔵ドラム6を水平方向にも
移動できる構造にするのが好ましい。
【0023】通常の焼結鉱を製造するため、焼結原料
(鉄鉱石と比較して強磁性を示す返鉱、ミルスケールを
配合)を3水準(実施水準1:強磁性物10%、実施水準
2:強磁性物30%、実施水準3:強磁性物50%)用意
し、実機のDL式焼結機を使用してスローピングシュー
トの下端に近接して設置した磁石内蔵ドラム(ドラム外
径は250 mmφ)がその表面において焼結原料に及ぼす磁
力を500 ガウスから1500ガウスの範囲内で調整する実験
を行った。
【0024】本発明では、強磁性物の種類や配合量に対
応して磁石内蔵ドラム6表面での焼結原料2に及ぼす磁
束密度を500 ガウスから1500ガウスの範囲内から選択し
た最適な磁束密度に保持するため、下記のような作用、
効果が得られる。図1に示すように、給鉱ホッパ1から
ドラムフィーダ3を用いて切り出された焼結原料2は、
スローピングシュート4上を滑り落ちるときの焼結原料
2のパーコレーション(濾過、浸透)による粒度偏析作
用によりスローピングシュート4上の焼結原料2は、
上、中層部に粒度の大きい粗粒が、また下層部に粒度の
小さい細粒が存在しており、そのままの状態で磁石内蔵
ドラム6へ移動する。粒度偏析した焼結原料2に対して
スローピングシュート4の下端に近接して設置した磁石
内蔵ドラム6から磁力が作用する。
【0025】図4に示すように、永久磁石18に強磁性を
示す返鉱、ミルスケールなどの強磁性物が吸引され、主
原料である赤鉄鉱、石灰石などの粗粒原料2Bや磁性の低
い原料2Cの間を通って細粒原料の多い外輪17側に移動し
て強磁性物2Aが着磁状態となる。磁性発生領域で偏析が
強化された焼結原料2は、磁石内蔵ドラム6からパレッ
ト5上に装入される時に、強磁性物2Aに作用する磁力に
より落下速度が弱まり、パレット5上にソフトに装入さ
れるため通気性がよくなる。焼結原料2の上下層が逆転
するため、パレット5に形成される原料充填層7は上層
部に強磁性物および落下速度の遅い細粒原料が多く、中
下層部に粗粒原料や磁性の低い原料が多い偏析状態とな
る。
【0026】ここで、上層部に存在する返鉱、ミルスケ
ールなどからなる強磁性物の目標量に応じて磁石内蔵ド
ラム6の表面における磁束密度を500 〜1500ガウスの範
囲から選ばれる最適磁束密度に調整するので、上層部に
偏析する強磁性物を目標値に容易に保持でき、焼結歩留
の向上が達成される(図3参照)。例えば、強磁性物を
10%配合したものでは磁力の影響を受けにくいので、磁
石内蔵ドラム6の表面に作用する磁束密度を1500ガウス
に上げることによって焼結歩留が80%以上に向上した
が、さらに磁束密度を1800ガウスに上げると磁力の影響
で焼結原料2の落下速度が遅くなり焼結歩留が低下し
た。また、強磁性物を30%配合したものでは磁束密度を
900 ガウスで焼結歩留が80%以上に向上したが、磁束密
度1200ガウスにすると焼結原料2の落下速度低下により
焼結歩留が下がった。強磁性物を50%配合したものにお
いては磁力の影響が最も大きく磁束密度500 ガウスにお
いて焼結歩留が81%程度に向上したが、700 ガウスで磁
力が強過ぎて焼結歩留りが低下した。
【0027】このように焼結原料中の強磁性物配合比に
応じて磁石内蔵ドラム表面の磁束密度を500 〜1500ガウ
スの範囲で最適な磁束密度に調整することが肝要で、こ
れによりパレット上に形成される原料充填層の上層部に
強磁性物が多く偏析し、中、下層部に磁性の弱い原料や
粗粒原料を多く偏析させることができる。原料充填層7
は、上層部に返鉱、ミルスケールなどの強磁性物を多く
含有するのでCaO-FeO-SiO2系の融点の低い融液を生成
し、融液はFeO 含有量が高いため粘性が低く、焼結を促
進する。また、返鉱にはカルシュウムフェライトが多
く、これらは一旦反応しているので反応速度が速い。し
たがって、高温に保持される時間が短い上層部でも十分
に焼結反応が進行する。そのため、上層部の焼結強度が
向上し、中、下層部7Bを併せた焼結鉱全体の強度改善に
より焼結歩留が向上するのである。
【0028】なお、磁石内蔵ドラム6の表面に付着した
原料は非磁性領域に配設したスクレーパ8により掻き取
られ回収されるので、焼結原料2に常に効率よく磁力を
作用させることができると共に、磁石内蔵ドラム6から
焼結原料2をパレット5上に安定して装入できる。本発
明の他の実施の態様では、強磁性物の種類や配合量に対
応してスローピングシュート4の下端と磁石内蔵ドラム
6の頂点とのなす鉛直距離を20mmから70mmの範囲内で選
択した最適な磁石内蔵ドラムの位置を保持する場合には
下記のような作用、効果が得られる。
【0029】通常の焼結操業では、焼結原料2の強磁性
物配合比は10%から50%の範囲内であるため、図5に示
すように、傾斜角度を50度にしたスローピングシュート
4の下端と磁石内蔵ドラム6の頂点Pとのなす鉛直距離
を20mmから70mmの範囲内で最適鉛直距離になるように磁
石内蔵ドラム6の高さを変更して焼結原料2に及ぼす磁
力を調整した。このとき、スローピングシュート4の下
端と磁石内蔵ドラム6の頂点Pとのなす水平距離xは80
mmとし、磁石内蔵ドラム6の表面での磁束密度を1000ガ
ウスにした。図6に示すように、スローピングシュート
4の下端と磁石内蔵ドラム6の頂点Pとのなす鉛直距離
を強磁性物の配合比(10%、30%、50%)に応じて種々
変更する実験を行った。その結果、最高の焼結歩留
(%)が得られたのは、強磁性物の配合比が10%では鉛
直距離20mm、強磁性物の配合比が30%では鉛直距離40m
m、強磁性物の配合比が50%では鉛直距離70mmであっ
た。
【0030】これは、強磁性物の配合比が低い場合に
は、スローピングシュート4の下端に磁石内蔵ドラム6
の頂点Pを近づけないと磁石内蔵ドラム6に強磁性物が
十分に着磁せず十分な偏析効果が得られない。また、強
磁性物の配合比が高い場合には、スローピングシュート
4の下端から磁石内蔵ドラム6の頂点Pを離さないと磁
石内蔵ドラム6に強磁性物が着磁し過ぎて十分な偏析効
果が得られないからである。この関係から通常の強磁性
物の配合比(10〜50%)に応じてスローピングシュート
4の下端と磁石内蔵ドラム6の頂点Pとのなす鉛直距離
を20mmから70mmの範囲内で最適鉛直距離を選択すること
が肝要であることが分かる。
【0031】本発明の他の実施態様では、焼結原料2中
に存在する磁性原料の配合比に応じてスローピングシュ
ート4の下端と、シュート下端に近接して設置した磁石
内蔵ドラム6の頂点との鉛直距離を20〜70mm範囲から選
択した最適鉛直距離に調整する。これにより前記本発明
の実施態様と同様にパレット5に形成される原料充填層
7は上層部に強磁性物が多くなり、中層部や下層部に粗
粒原料や磁性の低い原料が多い偏析状態となるので、焼
結歩留向上が達成される。
【0032】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明では、焼結
原料に配合する強磁性物の種類や配合割合に応じてスロ
ーピングシュートの下端に近接して設置した磁石内蔵ド
ラムの表面で焼結原料に及ぼす磁力を調整する。このた
め、パレット上に堆積された原料充填層の上層部に強磁
性物が多く偏析させることができ、焼結歩留の向上が達
成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る焼結原料装入装置を示す縦断面図
である。
【図2】本発明に係る永久磁石を内蔵した磁石内蔵ドラ
ムを示す縦断面図である。
【図3】磁石内蔵ドラム表面の磁束密度(ガウス)と焼
結歩留との関係を強磁性物配合別に示すグラフである。
【図4】本発明に係る永久磁石を内蔵した磁石内蔵ドラ
ムによる強磁性物の着磁状況を示す説明図である。
【図5】本発明に係るスローピングシュートの下端と永
久磁石を内蔵した磁石内蔵ドラムの頂点との鉛直距離と
の位置関係を示す側面図である。
【図6】スローピングシュート下端と永久磁石を内蔵し
た磁石内蔵ドラムの頂点との鉛直距離および焼結歩留と
の関係を示すグラフである。
【図7】従来のDL式焼結機の全体配置、原料充填層の
焼結状況および原料充填層の上層、中層、下層の温度推
移を併せて示す説明図である。
【図8】従来の原料充填層の上層部、中層部、下層部の
層内温度の推移およびパレット幅方向の焼結歩留の関係
を示す説明図である。
【図9】全体の返鉱比一定で原料充填層の上層部に返鉱
を多く偏析させて焼結する場合の上層部および中、下層
部の層厚条件を示す説明図である。
【図10】上層部100mm の返鉱比、下層部300mm 返鉱比、
全体の返鉱比と焼結歩留との関係を示すグラフである。
【図11】磁場の強さに対する焼結原料別の磁化の強さを
示すグラフである。
【図12】従来の焼結原料装入装置を示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 給鉱ホッパ 2 焼結原料 3 ドラムフィーダ 4 スローピングシュート 5 パレット 6 磁石内蔵ドラム 7 原料充填層 8 スクレーパ 9 原料ホッパ 10 ミキサー 11 点火炉 12 電気集塵機 13 主排風機 14 煙突 15 ウインドボックス 16 内輪 17 外輪 18 永久磁石 19 破砕機 20 振動篩 21 高炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F27D 3/06 F27D 3/06 A 19/00 19/00 Z Fターム(参考) 4K001 AA10 BA02 CA04 CA22 CA38 DA10 GA10 GB01 4K050 AA04 BA02 CF04 CF07 EA03 4K055 AA06 BA03 FA01 FA10 4K056 AA11 BA02 BC01 CA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給鉱ホッパからドラムフィーダを用いて
    切り出した焼結原料を、スローピングシュートとその下
    端に近接して設置した磁石内蔵ドラムとを介してドワイ
    トロイド式焼結機のパレット上に装入する焼結原料の装
    入方法において、前記焼結原料中に存在する強磁性物の
    配合比に応じて磁石内蔵ドラムの表面での焼結原料に及
    ぼす磁力を調整することを特徴とする磁力を用いた焼結
    原料の装入方法。
  2. 【請求項2】 前記磁力を500 ガウスから1500ガウスの
    範囲から選択される最適磁束密度に調整することを特徴
    とする請求項1記載の磁力を用いた焼結原料の装入方
    法。
  3. 【請求項3】 前記スローピングシュートの下端と磁石
    内蔵ドラムの頂点とのなす鉛直距離を20mmから70mmの範
    囲から選択される最適鉛直距離に調整することを特徴と
    する請求項1記載の磁力を用いた焼結原料の装入方法。
JP2000051435A 2000-02-28 2000-02-28 磁力を用いた焼結原料の装入方法 Pending JP2001234257A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100876179B1 (ko) * 2002-07-05 2008-12-31 주식회사 포스코 더스트컨베이어의 스크랩 자동 제거장치
KR101373112B1 (ko) 2012-11-19 2014-03-11 주식회사 포스코 원료의 장입장치
JP2019536967A (ja) * 2016-10-31 2019-12-19 ポスコPosco 原料の装入装置及び装入方法

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