JP2001234201A - 焼結体材料及びその製造方法、並びにそれを用いた焼結体及びその製造方法 - Google Patents

焼結体材料及びその製造方法、並びにそれを用いた焼結体及びその製造方法

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JP2001234201A
JP2001234201A JP2000048881A JP2000048881A JP2001234201A JP 2001234201 A JP2001234201 A JP 2001234201A JP 2000048881 A JP2000048881 A JP 2000048881A JP 2000048881 A JP2000048881 A JP 2000048881A JP 2001234201 A JP2001234201 A JP 2001234201A
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Kenji Takebayashi
賢治 竹林
Shuji Sasabe
修司 笹邉
Mitsunobu Azuma
充延 東
Hiroshi Kosa
啓史 甲佐
Tsunehiro Yoshitomi
恒弘 吉富
Kazuki Suhara
一樹 須原
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Hosokawa Micron Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数原料が均一に混合分散されて、焼結体と
したときに組成の偏析がなく、高い熱伝導率を有すると
ともに熱膨張率が制御可能な焼結体材料を提供する。 【解決手段】 タングステン、モリブデン、ケイ素、炭
化ケイ素、窒化アルミニウム及び酸化アルミニウムから
なる群から選ばれた少なくとも一つの粒子と、銅、アル
ミニウム、銀、金、鉄、ダイヤモンド及びニッケルから
なる群から選ばれた少なくとも一つの粒子とを焼結体材
料の原料として用い、一方の原料粒子表面の少なくとも
一部に他方の原料粒子を接合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結体材料とその
製造方法、並びにそれを用いた焼結体とその製造方法に
関するものであり、より詳細には高い熱伝導率を有する
とともに熱膨張率が制御可能な焼結体材料とその製造方
法、並びにそれを用いた焼結体とその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】CPUなどに用いられる半導体素子は作
動によって発熱する。近年のコンピュータの高速化に伴
い、発生した熱を効率よく機外へ放出することが非常に
重要な課題となってきた。熱を取り去るために半導体素
子にヒートシンク(放熱部材)を接合することが従来か
ら広く行われている。このヒートシンクには、熱伝導率
が高いことはもちろん、半導体素子とヒートシンクとの
熱膨張差により接合面の剥離や機械的破壊が生じないよ
うに半導体素子とほぼ同じ熱膨張率であることが要求さ
れる。このようなヒートシンクの材料として、タングス
テン(W)−銅(Cu)やモリブデン(Mo)−Cu、
ケイ素(Si)−アルミニウム(Al)、炭化ケイ素
(SiC)−Al、窒化アルミニウム(AlN)−Cu
などの粉末冶金材料がこれまでから提案・実用化されて
いる。
【0003】ところで材料の融点が著しく異なるために
溶融合金化できない複合系の粉末冶金材料の成形焼結
は、大別して含浸法と混合粉末法により行われる。W−
Cuを例にとると、溶浸法はW粉末のみを成形して焼結
させて多孔質なWの骨格を作製しておき、そこに溶融し
たCuを含浸させる方法である(例えば特開昭59−2
1032号公報)。一方混合粉末法は、W粉末とCu粉
末とを混合した後、成形し焼結する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法では、W骨格の多孔度の調整が困難でCuの含有率
が不均一になるという問題がある。また焼結工程後に含
浸工程が必要であるため、製造工程が複雑となり製造コ
ストが上がるという問題もある。他方、後者の方法で
は、WとCuを均一に混合することが困難であり、成形
・焼結時に組成の偏析が生じる。
【0005】本発明はこのような従来の問題に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、複数原料が均一に
混合分散されて、焼結体としたときに組成の偏析がな
く、高い熱伝導率を有するとともに熱膨張率が制御可能
な焼結体材料を提供することにある。
【0006】また本発明の目的は、このような焼結体材
料を効率よく生産できる焼結体材料の製造方法を提供す
ることにある。
【0007】さらに本発明の目的は、高い熱伝導率を有
するとともに半導体素子などと一致した熱膨張率を有す
る焼結体を提供することにある。
【0008】そしてまた本発明の目的はこのような焼結
体を効率よく製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、タング
ステン、モリブデン、ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミ
ニウム及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれた少
なくとも一つの粒子と、銅、アルミニウム、銀、金、
鉄、ダイヤモンド及びニッケルからなる群から選ばれた
少なくとも一つの粒子とを含む焼結体材料であって、一
方の粒子表面の少なくとも一部に他方の粒子を接合させ
たことを特徴とする焼結体材料が提供される。
【0010】このときより緻密な焼結体を形成するため
には、焼結体の体積平均粒径は0.1μm〜60μmの
範囲であるのが望ましい。
【0011】また本発明によれば、上記の焼結体材料を
成形加工し焼結させた焼結体が提供される。このような
焼結体はヒートシンクとして使用できる。
【0012】本発明によれば、W、Mo、Si、Si
C、AlN及びAl23からなる群から選ばれた少なく
とも一つの粒子と、Cu、Al、Ag、Au、Fe、ダ
イヤモンド及びNiからなる群から選ばれた少なくとも
一つの粒子とを含む焼結体材料の原料を、作用子が内部
に配設された容器に投入し、前記作用子と前記容器の少
なくとも一方を回転させて、遠心力で前記容器内周面に
前記原料を押付け、その押付けで形成した原料層に前記
作用子を作用させて、前記一方の粒子表面の少なくとも
一部に他方の粒子を接合させることを特徴とする焼結体
材料の製造方法が提供される。ここで作用子が原料層に
与える作用とは、圧縮および剪断、摩擦、衝撃のうちの
少なくとも一つの作用をいう。
【0013】また本発明によれば、前記の焼結体材料と
結合材とを混練する工程と、混練した混練物を射出成形
機により射出成形して成形体を形成する工程と、前記成
形体から結合材を除去する脱脂工程と、脱脂後の成形体
を焼結する工程とを有する焼結体の製造方法が提供され
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者等は、焼結体としたとき
に高い熱伝導率を有するとともに熱膨張率が制御可能な
焼結体材料を作製できないか鋭意検討を重ねた結果、熱
膨張率の低い原料と熱伝導率の高い原料とを含む焼結体
材料において、一方の原料粒子の表面に他方の原料粒子
を接合させることにより、均一混合が達成できて高い熱
伝導率が得られると同時に所望の熱膨張率に調整できる
ことを見出し請求項1の発明をなすに至った。
【0015】従来は、熱膨張率の低い原料と熱伝導率の
高い原料とを機械的に単に混合して焼結体材料としてい
たが、原料の比重や粒径の違いなどから均一混合が図れ
ず焼結体としたときに組成の偏析が発生し実使用上問題
が生じていた。これに対し請求項1の焼結体材料では、
原料を機械的に単に混合するのではなく、一方の原料粒
子表面に他方の原料粒子を接合させるので、焼結体とし
たときに組成の偏析は発生しない。ここで接合とは、強
力な機械的エネルギーによって、後の製造工程で分離し
ない程度強固に粒子と粒子とが直接結合することを意味
する。接合の形態としては、子粒子が原形をとどめずに
母粒子表面を被覆している形態、あるいは母粒子表面に
子粒子が埋め込まれたような、子粒子が原形を残した状
態で強固に付着している形態などが挙げられ、このよう
な接合は母粒子表面の全体にわたって行ってもよいし表
面の一部分で行ってもよい。
【0016】請求項1の焼結体材料に用いることができ
る熱膨張率の低い原料(以下「第1の原料」と記すこと
がある)としては、W、Mo、Si、SiC、AlN及
びAl23が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組
み合わせて使用することができる。これらの原料の中で
も、熱膨張率が最も低い点でWがより好ましく使用でき
る。
【0017】また請求項1の焼結体材料に用いることが
できる熱伝導率の高い原料(以下「第2の原料」と記す
ことがある)としては、Cu、Al、Ag、Au、F
e、ダイヤモンド及びNiが挙げられ、これらの1種又
は2種以上を組み合わせて使用することができる。この
中でもCuが好ましく使用できる。
【0018】第1の原料および第2の原料の粒径に特に
制限はないが、接合や成形加工のしやすさの点から、母
粒子としては0.1〜60μmの範囲が好ましく、より
好ましくは1〜40μmの範囲である。子粒子としては
0.01〜30μmの範囲が好ましく、より好ましくは
0.01〜5μmの範囲である。
【0019】第1の原料と第2の原料との配合比に特に
限定はなく、焼結体として要求される熱膨張率および熱
伝導率から適宜決定すればよいが、一般に重量比で98
/2〜50/50の範囲が好ましく、より好ましくは9
5/5〜80/20の範囲である。
【0020】請求項1の焼結体材料では母粒子表面に子
粒子を接合させるが、第1の原料および第2の原料のい
ずれが母粒子となり、いずれが子粒子となるかは、原料
の種類や粒径、配合量などから必然的に決まる。第1の
原料および第2の原料の粒子形状に特に限定はなく球状
や薄片状、樹木状などいずれの形状でもよい。W−Cu
の組み合わせの場合は、球状のW粒子と球状のCu粒子
を用いるのが好ましく、このとき通常はW粒子の表面に
Cuが被覆するように接合が行われる。
【0021】母粒子表面に子粒子を接合させる方法に特
に限定はなく、例えば従来公知の媒体ミルを用いて強力
に混合することによっても接合させることができるが、
後述する請求項5の製造方法で接合させるのが製造効率
の上から望ましい。
【0022】また接合装置として市販されているものと
しては、例えば「メカノフュージョンシステム」(ホソ
カワミクロン社製)や「ハイブリダイゼーションシステ
ム」、「マイクロス」(以上奈良機械製作所製)、「シ
ータコンポーザ」(徳寿製作所製)、「スーパーハイブ
リッドミルシステム」(石川島播磨工業社製)などが挙
げられる。
【0023】請求項1の焼結体材料は、第1の原料およ
び第2の原料以外に発明の効果を害さない範囲で従来公
知の助剤を含んでいてもよい。例えば焼結での緻密化促
進のためにMn,Coなど従来公知の焼結助剤を含んで
いてもよい。この場合添加量は焼結体材料に対して0.
1〜2wt%の範囲が好ましい。添加量が0.1wt%
より少ないと焼結時に十分な緻密化が奏されないおそれ
があり、他方2wt%より多いと焼結体の熱伝導率が低
下するおそれがあるからである。
【0024】請求項1の焼結体材料の体積平均粒径は
0.1μm〜60μmの範囲が好ましく、より好ましく
は1μm〜40μmの範囲である。焼結体材料の粒径が
0.1μmより小さいと、機械的に接合を実現できない
おそれがあり、他方粒径が60μmより大きいと、緻密
な焼結体が得られないおそれがあるからである。
【0025】次に請求項5の発明に係る焼結体材料を製
造方法について説明する。この発明の製造方法の大きな
特徴の一つは、作用子が内部に配設された容器と作用子
の少なくとも一方を回転させて、遠心力で容器内周面に
原料を押付け、その押付けで形成した原料層に作用子を
作用させて、一方の粒子表面の少なくとも一部に他方の
粒子を接合させる点にある。このとき必要により容器内
部に掻き取り片をさらに設けてもよい。
【0026】図1に、本発明の製造方法に好適に使用で
きる装置を示す。縦向きの回転軸3の上端に処理室8を
形成する円筒状のケーシング1が同芯状に取付けられ、
回転軸3の下端に駆動装置4が配設されている。そして
ケーシング1の外側はカバー2で包囲されている。ケー
シング1はその内部の粉粒状原料が遠心力によりケーシ
ング内周面に押し付けられるように高速駆動回転するよ
うに構成され、且つ原料の性状に応じて適切な遠心力が
得られるようにケーシング1の回転速度は調整可能に構
成されている。
【0027】またケーシング内周面との協動で原料を圧
縮し剪断する作用子5と、原料を撹拌混合して分散する
掻き取り片6とがケーシング回転方向に所定間隔で並設
した状態で支持体7の先端に取り付けられて処理室8内
に配設されている。作用子5は、端部から中心部へ行く
ほどケーシング内周面との隙間が狭くなる形状をし、逆
に掻き取り片6は、回転方向下流側に行くほど内周面と
の隙間が広くなる形状をしている。なお掻き取り片6は
配設しなくてもよい場合がある。
【0028】このような装置において、駆動装置4によ
って回転軸3を介してケーシング1を高速回転させる
と、ケーシング内周面に遠心力で原料が押し付けられ、
内周面に一様に原料層が形成される。ケーシング1に対
して相対回転する作用子5によりこの原料層に圧縮・剪
断作用を与え、続く掻き取り片6により原料層を掻き取
るという一連の操作を高速で繰り返すことによって接合
が行われる。運転条件に特に限定はないが、作用子5と
ケーシング1との相対速度は4〜50m/sの範囲、運
転時間としては15〜120分の範囲が望ましい。なお
図に示した装置はバッチ式のものであるが連続式のもの
でももちろん構わない。またケーシング1を固定して作
用子5を回転させてもよいし、ケーシング1および作用
子5を共に回転させてもよい。
【0029】このようにして製造された焼結体材料は、
所定形状に成形加工された後、所定条件下で焼結されて
焼結体とされる。前記のように、母粒子表面に子粒子が
接合した焼結体材料を用いるので、焼結体としたときに
組成の偏析はなく焼結体として所期の作用が得られる。
【0030】焼結体の用途としては、熱膨張率が低く熱
伝導率が高いことが要求されるものであれば特に限定は
ないが、ヒートシンクとして特に好適に用いることがで
きる。なおここでいうヒートシンクには、筺体(パッケ
ージ)などの放熱以外の機能をあわせもつものが含まれ
る。またヒートシンクは半導体の放熱に限らず、LD
(Laser Diode)などの高周波デバイスの放熱にも利用
できる。
【0031】焼結体を半導体基板用のヒートシンクとし
て用いる場合、求められる熱膨張率と熱伝導率は、室温
から200℃までの平均熱膨張率が4〜10ppm/℃
で、かつ熱伝導率が150W/℃m(室温)以上であ
る。
【0032】また、ヒートシンクを構成する焼結体の空
孔率は10%以下であるのが好ましく、7%以下である
のがより好ましく、5%以下であるのがさらに好まし
い。空孔率が高いと、機械的強度が低く(脆く)なって
衝撃等により破損し易くなり、さらに熱伝導率が低下し
放熱性が低下するからである。
【0033】焼結体材料の成形加工としては、従来公知
の加工方法を用いることができる。請求項1又は2の焼
結体材料を用いれば、従来から広く用いられてきたプレ
ス成形により成形体を形成することはもちろん、複雑で
微細形状のものを緻密に精度よく形成することができる
金属粉末射出成形(Metal Injection Molding;以下
「MIM」と記すことがある)によっても成形体を形成
することができる。MIMは金属粉末と結合材との混練
物を用いて射出成形するもので、複雑で微細な形状の成
形体でも容易に形成できる。従来の焼結体材料は原料の
均一分散が不十分であったためMIMによる成形はほと
んど用いられていなかったが、前記本発明の焼結体材料
は、母粒子表面に子粒子が接合した状態で均一混合され
ているので、MIMによる成形が可能である。以下MI
Mを用いた請求項6に係る焼結体の製造方法について説
明する。
【0034】まず請求項1又は2記載の焼結体材料と結
合材とを混練して混練物を作製する。ここで使用する結
合材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィ
ン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メ
タ)アクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等
のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビ
ニルアルコール、またはこれらの共重合体等の各種樹脂
や、各種ワックス、パラフィン、ステアリン酸などの高
級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級
脂肪酸アミド等が挙げられ、これらのうちの1種または
2種以上を混合して用いることができる。
【0035】混練物には可塑剤をさらに添加してもよ
い。このような可塑剤としては、例えばフタル酸ジオク
チル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルなどのフタ
ル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エ
ステル、セバシン酸エステルなどが挙げられ、これらの
うちの1種または2種以上を混合して用いることができ
る。
【0036】混練物に対する結合材の添加量は、2〜2
5wt%程度が好ましく、3〜15wt%程度がより好
ましい。添加量が2wt%より少ないと、成形時におけ
る流動性が乏しくなり射出成形が不能または困難となる
か、あるいは成形物の組成が不均一となるおそれがあ
る。他方25wt%より多いと、射出成形により得られ
た成形体を焼成した際の収縮率が増大して寸法精度が低
下し、また焼結体における空孔率や含有炭素量が増大す
る傾向を示す。
【0037】混練に際しては、前記焼結体材料、結合
材、可塑剤の他に、例えば潤滑剤、酸化防止剤、脱脂促
進剤、界面活性剤などの各種添加物を必要に応じ本発明
の効果を害さない範囲で添加することができる。
【0038】混練条件は、用いる焼結体材料の粒径、結
合材、添加剤の組成およびその配合量などの諸条件によ
り適宜決定すればよいが、例えば混練温度としては常温
〜200℃の範囲、混練時間としては20〜210分の
範囲である。
【0039】次に、得られた混練物を射出成形機により
射出成形して所望形状の成形体を形成する。なお射出成
形機に投入する混練物は造粒されたペレットであっても
よい。射出成形機によれば、成形金型の選択により複雑
で微細な形状部分を有する成形体をも容易に製造するこ
とができる。
【0040】射出成形の成形条件としては、用いる焼結
体材料の粒径、結合材の組成およびその配合量などの諸
条件により適宜決定すればよい。好適な成形条件は、金
型温度が80〜200℃の範囲、射出圧力が2×106
〜12×106Paの範囲である。
【0041】そして次に成形体から結合材を除去する脱
脂処理を行う。この脱脂処理は、例えば真空または減圧
状態下(例えば1×10〜1×10-4Pa)、あるいは
窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中といった非
酸化性雰囲気の下で熱処理を行うことによりなされる。
【0042】ここで行う熱処理条件としては、通常は温
度100〜750℃の範囲で0.5〜40時間、より好
ましくは温度150〜600℃の範囲で1〜24時間で
ある。また、脱脂時間の短縮などを図るため、熱処理に
よる脱脂を複数の工程(段階)に分けて行ってもよい。
例えば、脱脂工程の前半を低温で行い、後半を高温で行
うといった方法が挙げられる。また脱脂処理は、結合材
や添加剤中の特定成分を所定の溶媒(液体、気体)を用
いて溶出させることにより行ってもよい。
【0043】以上のようにして得られた脱脂後の成形体
を焼結炉で焼成して焼結体を製造する。焼結温度が高い
ほど焼結時間を短縮できるので生産効率を高める上では
好ましいが、焼結温度が高すぎると焼結炉や焼結治具へ
の負担が大きくなりその寿命が短くなるという不具合が
生じる。またCuを含有する場合には、成形体中に含ま
れるCuが焼結時に飛散し、飛散したCuが焼結炉内壁
や成形体の支持台に付着するという問題が生じる。した
がって焼結における焼結温度は一般に500〜1500
℃の範囲が好ましく、より好ましくは800〜1200
℃の範囲である。
【0044】焼結温度が500〜1500℃の場合、焼
結時間は0.5〜8時間の範囲、より好ましくは1〜5
時間の範囲、さらに好ましくは1〜3.5時間の範囲が
推奨される。なお、焼結体の組成や形状などを考慮し
て、焼結温度と焼結時間を経時的に変化させてももちろ
ん構わない。
【0045】成形体の焼結は非酸化性雰囲気下で行うの
がよい。このような雰囲気下で焼結させることにより焼
結時の安全性が向上する同時に、焼結体の空孔率が小さ
くなるからである。非酸化性雰囲気としては、例えば真
空または減圧状態下(例えば1×10〜1×10-4
a)、あるいは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガ
スといった雰囲気が挙げられる。なお、焼結中の雰囲気
は途中で変化させてもよい。例えば、最初は1×10〜
1×10-4Paの減圧(真空)下で焼結を行い、その後
窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガスに切り替え
るのである。
【0046】以上のような条件で焼結を行うことによ
り、焼結体の空孔率を小さくすることができ、また焼結
の効率がよく、しかもより短時間で焼結を行うことがで
きて生産性が向上する。
【0047】このようにして得られた焼結体に、メッキ
や研削、研磨処理、樹脂被覆処理、塗装あるいはこれら
の組み合わせといった処理を必要によりさらに施しても
よい。
【0048】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもの
ではない。
【0049】実施例1 平均粒径(体積基準)24.7μmのWと平均粒径5.
4μmのCuとを重量比で95:5の割合で粒子複合化
装置(「メカノフュージョンシステムAM−15F」ホ
ソカワミクロン社製)に投入し、1300rpmで60
分間処理して焼結体材料を作製した。作製した焼結体材
料のSEM写真を図3に示す。図3のSEM写真から、
W粒子の表面全体にCuが被覆した状態で接合している
ことがわかる。この焼結体材料を用いて焼結体を作製し
たところ組成の偏析はなく所期の熱膨張率と熱伝導率が
得られた。
【0050】実施例2 平均粒径3.3μmのWと平均粒径5.4μmのCuと
を重量比で85:15の割合で前記粒子複合化装置に投
入した以外は実施例1と同様にして焼結体材料を作製し
た。作製した焼結体材料のSEM写真を図4に示す。図
4のSEM写真から、W粒子の表面の一部にCuが被覆
した状態で接合していることがわかる。この焼結体材料
を用いて焼結体を作製したところ実施例1の焼結体材料
と同様に組成の偏析はなく所期の熱膨張率と熱伝導率が
得られた。
【0051】実施例3 平均粒径57.1μmのSiCと平均粒径1.2μmの
Alとを重量比で80:20の割合で前記粒子複合化装
置に投入し、1200rpmで30分間処理して焼結体
材料を作製した。作製した焼結体材料のSEM写真を図
5に示す。図5のSEM写真から、SiC粒子の表面の
一部に一次粒径の状態のAlが接合していることがわか
る。この焼結体材料を用いて焼結体を作製したところ組
成の偏析はなく所期の熱膨張率と熱伝導率が得られた。
【0052】実施例4 平均粒径5.5μmのSiCと平均粒径5.4μmのC
uとを重量比で80:20の割合で前記粒子複合化装置
に投入し、2500rpmで60分間処理して焼結体材
料を作製した。作製した焼結体材料のSEM写真を図6
に示す。図6のSEM写真から、SiC粒子の表面の一
部にCuが被覆した状態で接合していることがわかる。
この焼結体材料を用いて焼結体を作製したところ組成の
偏析はなく所期の熱膨張率と熱伝導率が得られた。
【0053】
【発明の効果】請求項1の焼結体材料は、熱膨張率の低
い原料と熱伝導率の高い原料を含んだ材料であって、一
方の原料粒子表面の少なくとも一部に他方の原料粒子を
接合させているので、原料は均一に混合分散されて、焼
結体としたときに組成の偏析がなく、高い熱伝導率を有
する。また熱伝導率の高い原料の種類や配合量を調整す
ることにより所望の熱膨張率に調整することができる。
また請求項5の焼結体材料の製造方法によれば、一方の
原料粒子表面の少なくとも一部に他方の原料粒子を接合
させた焼結体材料を効率よく生産できる。さらに請求項
6の焼結体の製造方法ではMIMによって成形体を形成
するので、複雑で微細形状の焼結体をも精度よく製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項5の製造方法で使用できる粒子複合化
装置の縦断面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 実施例1の焼結体材料のSEM写真である。
【図4】 実施例2の焼結体材料のSEM写真である。
【図5】 実施例3の焼結体材料のSEM写真である。
【図6】 実施例4の焼結体材料のSEM写真である。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 カバー 3 回転軸 4 駆動装置 5 作用子 6 掻き取り片 7 支持体 8 処理室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉富 恒弘 大阪府枚方市船橋本町2丁目8−201 (72)発明者 須原 一樹 京都府京都市下京区室町通松原下ル元両替 町243−3 Fターム(参考) 4K018 AA19 AA21 AD10 AD11 BA02 BA08 BB04 BC16 CA30 KA32

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン、モリブデン、ケイ素、炭
    化ケイ素、窒化アルミニウム及び酸化アルミニウムから
    なる群から選ばれた少なくとも一つの粒子と、銅、アル
    ミニウム、銀、金、鉄、ダイヤモンド及びニッケルから
    なる群から選ばれた少なくとも一つの粒子とを含む焼結
    体材料であって、 一方の粒子表面の少なくとも一部に他方の粒子を接合さ
    せたことを特徴とする焼結体材料。
  2. 【請求項2】 体積平均粒径が0.1μm〜60μmの
    範囲である請求項1記載の焼結体材料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の焼結体材料を成形
    加工し焼結させた焼結体。
  4. 【請求項4】 前記焼結体がヒートシンクである請求項
    3記載の焼結体。
  5. 【請求項5】 タングステン、モリブデン、ケイ素、炭
    化ケイ素、窒化アルミニウム及び酸化アルミニウムから
    なる群から選ばれた少なくとも一つの粒子と、銅、アル
    ミニウム、銀、金、鉄、ダイヤモンド及びニッケルから
    なる群から選ばれた少なくとも一つの粒子とを含む焼結
    体材料の原料を、作用子が内部に配設された容器に投入
    し、 前記作用子と前記容器の少なくとも一方を回転させて、
    遠心力で前記容器内周面に前記原料を押付け、その押付
    けで形成した原料層に前記作用子を作用させて、前記一
    方の粒子表面の少なくとも一部に前記もう一方の粒子を
    接合させることを特徴とする焼結体材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載の焼結体材料と結合
    材とを混練する工程と、混練した混練物を射出成形機に
    より射出成形して成形体を形成する工程と、前記成形体
    から結合材を除去する脱脂工程と、脱脂後の成形体を焼
    結する工程とを有する焼結体の製造方法。
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