JP2001233972A - 高分子膜、これを形成するため撥液処理液、高分子膜によって表面改質された物品、表面改質方法、高分子化合物及び該高分子化合物の製造方法 - Google Patents

高分子膜、これを形成するため撥液処理液、高分子膜によって表面改質された物品、表面改質方法、高分子化合物及び該高分子化合物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した撥液性を有し、好ましくは基材に対
しての密着性、硬度、耐磨耗性にも優れる高分子膜、及
びかかる良質の高分子膜の形成に用いられる成膜性に優
れた撥液処理液、かかる処理液に使用する高分子化合
物、及び該高分子化合物の製造方法の提供。 【解決手段】 フッ素原子を含む高分子鎖を備えた高分
子の膜であって、その内部及び表面の少なくとも一方に
上記高分子鎖の物理的集合体を有していることを特徴と
する高分子膜、これを形成するため撥液処理液、高分子
膜によって表面改質された物品、表面改質方法、高分子
化合物及び該高分子化合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安定した撥液性を
有し、好ましくは基材に対しての密着性、硬度、耐磨耗
性にも優れる高分子膜、及びかかる良質の高分子膜の形
成に用いられる成膜性に優れた撥液処理液、かかる処理
液に使用する高分子化合物、及び該高分子化合物の製造
方法に関する。本発明は、又、一成分系の高分子化合物
を使用して物品の表面を安定した撥液性にし、更に好ま
しくは物品の基材に対して密着性に優れ、膜の硬度や耐
磨耗性にも優れる成膜性に優れた表面層を物品表面に形
成し得る表面改質方法、及び表面改質された物品に関す
る。
【0002】又、本発明は、安定した撥液性(更に好ま
しくは基材に対しての優れた密着性、膜の高い硬度や耐
磨耗性)を有する成膜性に優れた高分子膜が形成されて
いる、インク滴を飛翔させて記録媒体上に画像を形成す
るインクジェット記録ヘッド、該インクジェット記録ヘ
ッドの吐出口プレート(オリフィスプレートとも呼ぶ)
の製造方法及びインクジェット記録装置に関する。尚、
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクを液滴と
して飛翔させて記録媒体にドットを記録するためのエネ
ルギーとして、圧電素子により発生させた機械的エネル
ギーや、電気熱変換体による熱エネルギーを用いるイン
クジェット記録装置に特に好適に用いることができる。
【0003】
【従来の技術】本来、物品の基材表面が有していない特
性を該表面に付与する表面改質方法の一形態として、例
えば、撥液性等の所望する特性を導入することができる
液体組成物を、対象とする物品表面に塗布する方法があ
る。かかる形態の表面改質方法に用いられる塗布可能な
液状の撥液剤は、各種の日用品や、水道管等の様々な分
野に用いられているが、液状の撥液剤を画像記録装置と
して汎用されているインクジェット記録装置のインクジ
ェットヘッドに対しても用いることがある。例えば、イ
ンクジェットヘッドに設けられているインク吐出口面の
吐出口近傍にインクが溜ると、インクの吐出方向のヨレ
が発生したり、吐出口の目詰まりといった弊害を生じる
ことがある。これらの弊害を低減すべく、吐出口が設け
られている面(以下、「吐出口面」とも称す)に撥液剤
を塗布することが行なわれている。
【0004】上記の場合に用いられる液状の撥液剤とし
ては、例えば、フッ素系のものとしては、特開平10−
053639号公報に、少なくとも、成分(a)とし
て、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有し、且つF、
Siを含まない多官能エポキシ樹脂を5〜80重量部、
成分(b)として、末端にパーフルオロ基を有するエポ
キシ化合物を5〜40重量部、及び成分(c)として、
エポキシ基、アルコール基、カルボン酸基、アミン基の
いずれか又は複数を1分子中に2つ以上有するともにF
又はSiを含有する化合物を5〜80重量部を含有する
ことを特徴とするフッ素含有エポキシ樹脂組成物が記載
されている。更に、特開平08−132614号公報に
は、インクジェットヘッドのノズル及び流路の内壁に形
成されている電気絶縁樹脂膜が、フッ素樹脂の微粒子を
含有したアクリル系電着樹脂であることが開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
挙げた従来技術において、特開平08−132614号
公報に示されている電気絶縁樹脂膜を構成しているの
は、撥液性を有するフッ素樹脂を膜中に混在させただけ
のものである。従って、使用の際に樹脂膜の表面が擦ら
れる環境下にある場合には、その撥液性が徐々に低下し
たり、その膜特性に均一性がなくなるといった問題が生
じる。
【0006】又、上記の特開平10−053639号公
報に記載されているフッ素含有エポキシ樹脂組成物は、
溶解している状態では構成成分が均一に混じり合った相
溶状態を呈しているが、塗布条件によっては、塗布膜上
での各成分の分布が変化する場合があり、形成された塗
布膜の撥液性に分布が生じることがあった。又、溶解し
ている状態の時に各構成成分を均一に混じり合った状態
とする必要があるため、溶液の管理が非常に困難である
という問題もある。
【0007】更に、上記したフッ素系以外の液状撥液剤
としては、シリコーンを含有するものがあるが、シリコ
ーンを含有する撥液剤によって撥液膜を形成した場合に
は、撥液性を有するシリコーンは撥液膜表面に存在して
いるため、撥液膜が繰り返し擦られる状態下にある場合
には、撥液性が低下することがあった。
【0008】本発明者らは、従来技術についての検討を
重ねた結果、上記に述べたように、撥液性を向上させ、
その状態を安定に維持させるためには、従来の表面改質
技術では不充分な点があるという見解に至った。更に、
上述したインクジェット記録の分野に限らず、その表面
の撥液性を向上させ、その状態を安定に維持させ得る物
品の表面改質方法の実現に対しては、例えば、建物の外
壁の撥水処理等、他のあらゆる分野においても、その要
望が強いであろうことは容易に理解される。
【0009】従って、本発明の目的は、主として、従来
の表面改質方法に用いていた撥液剤とは全く異なる原理
により、物品表面の特性を容易に改質し得る、具体的に
は、物品の表面に付与して被膜を形成させることによっ
て、種々の材料からなる物品表面の撥液性を容易に向上
させることができ、しかも、その状態を安定に維持させ
ることができる新規な高分子膜を提供することにある。
【0010】更に、本発明の目的は、上記の優れた効果
を得ることが可能な高分子膜を形成し得る新規な高分子
化合物及び該高分子膜の形成に用い得る撥液処理液を提
供することにある。更に、本発明の目的は、上記の優れ
た効果を奏することが可能な高分子膜を形成し得る高分
子化合物の合成に用いることのできる新規なマクロモノ
マーの製造方法、及びそのマクロモノマーを用いたフラ
フト共重合体の製造方法を提供することにある。
【0011】更に、本発明の別の目的は、撥液性及び成
膜性に優れた被膜、より好ましくは物品との密着性に優
れ、硬度や耐磨耗性にも優れた被膜を物品の表面に形成
し得る表面改質方法、及び表面改質された物品を提供す
ることにある。更に、本発明の目的は、上記のような優
れた被膜が得られ、しかも、エキシマレーザー等の光エ
ネルギーで加工可能な表面改質方法、及び表面改質され
た物品を提供することにある。更に本発明の目的は、イ
ンクジェット記録ヘッドの吐出口面に塗布することによ
って、吐出口面に対して優れた撥液特性、更に好ましく
は基材との密着性、膜の硬度や耐磨耗性を付与し、更に
はかかる撥液特性等が使用によって損なわれることなく
維持されるインクジェット記録ヘッド、及びこれを用い
たインクジェット記録装置を提供することにある。
【0012】更に本発明の別の目的は、撥液性等に優れ
た塗膜が塗布された吐出口面を有する上記の優れた効果
が得られるインクジェット記録ヘッドが容易に得られる
インクジェット記録ヘッド用の吐出口プレートの製造方
法を提供することであり、好ましくはエキシマレーザー
等の光エネルギーで容易に加工できるインクジェット記
録ヘッド用のオリフィスプレートの製造方法を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、フッ素原子を含
む高分子鎖を備えた高分子の膜であって、その内部及び
表面の少なくとも一方に上記高分子鎖の物理的集合体を
有していることを特徴とする高分子膜を提供する。
【0014】上記高分子は、グラフト共重合体であるこ
とが好ましく、又、該グラフト共重合体は、その幹部に
フッ素原子が含まれていることが好ましい。又、グラフ
ト共重合体の枝部にフッ素原子が含まれていることが好
ましい。
【0015】又、本発明は、フッ素原子を含む高分子鎖
(以下、第1のセグメントという)と、該第1のセグメ
ントとは溶剤に対する親和性が相対的に異なる高分子鎖
(以下、第2のセグメントという)とを有し、且つ上記
第1のセグメントの物理的な架橋による上記高分子化合
物の集合体(以下単に「フッ素ドメイン」という)をそ
の内部及び表面の少なくとも一方に含む高分子化合物か
らなることを特徴とする高分子膜;フッ素原子を含む第
1のセグメントと、該第1のセグメントとは溶剤に対す
る親和性が相対的に異なる第2のセグメントとを有し、
且つフッ素ドメインを有し、更に上記第2のセグメント
同士が化学的に架橋している高分子化合物からなること
を特徴とする高分子膜;及びフッ素原子を含むセグメン
トを有する高分子化合物が液中に溶解されており、且つ
該液中にフッ素ドメインを含むことを特徴とする撥液処
理液を提供する。
【0016】又、本発明は、フッ素原子を含む第1のセ
グメントと、溶剤に対する親和性が第1のセグメントと
相対的に異なる第2のセグメントとを有する高分子化合
物が上記溶剤に溶解されて液状となっており、且つ該液
中にフッ素ドメインを含むことを特徴とする撥液処理液
を提供する。上記高分子化合物は、第1のセグメント及
び第2のセグメントのいずれか一方が幹成分、他方が枝
成分を構成するグラフト共重合体であることが好まし
い。又、上記第2のセグメントが、該第2のセグメント
同士を互いに化学的に架橋可能な官能基を有することが
好ましい。
【0017】又、本発明は、フッ素原子を含むセグメン
トを有し、その内部及び表面の少なくとも一方にフッ素
ドメインを有している高分子膜を表面に具備しているこ
とを特徴とする表面改質された物品;及びフッ素原子を
含む第1のセグメントと、該第1のセグメントとは溶剤
に対する親和性が相対的に異なる第2のセグメントとを
有する高分子化合物からなり、且つフッ素ドメインをそ
の内部及び表面の少なくとも一方に含む高分子膜を表面
に具備していることを特徴とする表面改質された物品を
提供する。
【0018】上記高分子化合物は、第1のセグメント及
び第2のセグメントのいずれか一方が幹成分、他方が枝
成分を構成するグラフト共重合体であることが好まし
い。又、上記第2のセグメント同士、若しくは該第2の
セグメントと物品の表面とが化学的に結合していること
が好ましい。
【0019】又、本発明は、フッ素原子を含むセグメン
トを有する高分子化合物が溶解され、且つフッ素ドメイ
ンを含む撥液処理液を、物品の表面に塗布し、その後に
乾燥させる工程を有することを特徴とする物品の表面改
質方法;及びフッ素原子を含む第1のセグメントと、該
第1のセグメントとは溶剤に対する親和性が相対的に異
なる第2のセグメントとを有する高分子化合物が上記溶
剤に溶解されており、且つフッ素ドメインを含む撥液処
理液を、物品の表面に塗布し、その後に乾燥させる工程
を有することを特徴とする物品の表面改質方法を提供す
る。
【0020】上記高分子化合物は、第1のセグメント及
び第2のセグメントのいずれか一方が幹成分、他方が枝
成分を構成するグラフト共重合体であることが好まし
い、又、上記第2のセグメントが、該第2のセグメント
同士、又は第2のセグメントと物品の表面との間に化学
的な架橋を形成することが可能な官能基を有することが
好ましい。更に、第2のセグメント同士、又は第2のセ
グメントと物品の表面との間に化学的な架橋を生じさせ
ることが好ましい。
【0021】又、本発明は、フッ素原子を含む第1のセ
グメントと、該第1のセグメントとは溶剤に対する親和
力が相対的に異なる第2のセグメントとを有し、第1の
セグメントとして、下記一般式(1)〜(4)から選ば
れる少なくとも1つのセグメントを有し、且つ第2のセ
グメントとして、下記一般式(5)又は(6)のセグメ
ント、及び[1]〜[4]に列挙した単量体からなるセ
グメントから選ばれる少なくとも1つのセグメントを有
することを特徴とする高分子化合物を提供する。
【0022】
【0023】
【0024】又、本発明は、末端にカルボキシル基を有
するパーフルオロアルキル基含有オリゴマーに、エチレ
ン性不飽和基含有エポキシ化合物を反応させて、末端に
エチレン性不飽和基を有するパーフルオロアルキル基含
有マクロモノマーを製造する工程を有することを特徴と
するマクロモノマーの製造方法を提供する。
【0025】上記パーフルオロアルキル基含有オリゴマ
ーは、フッ素原子含有量として10重量%以上、連鎖個
数数平均分子量が1,000〜100,000であるこ
とが好ましく、又、上記パーフルオロアルキル基含有オ
リゴマーは、架橋可能な基を含んでいることが好まし
い。上記架橋可能な基は、マクロモノマーの製造時に導
入することが好ましく、架橋可能な基は、水酸基、メチ
ロール基、アミノ基及びエポキシ基から選ばれる少なく
とも1つであることが好ましい。
【0026】又、本発明は、末端にエチレン性不飽和基
を有するパーフルオロアルキル基含有マクロモノマー
と、ラジカル重合可能な官能基を有する芳香環含有モノ
マーとを共重合させてグラフト共重合体を得る工程を有
することを特徴とするグラフト共重合体の製造方法を提
供する。
【0027】上記芳香環含有モノマーは、フェニル基、
ナフチル基及び複素環基から選ばれる少なくとも1つを
有する化合物であることが好ましい。上記複素環基は、
ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキ
サゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソインダゾー
ル、アントラニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサチ
アゾールの何れかであることが好ましい。
【0028】又、本発明は、末端にエチレン性不飽和基
を有するパーフルオロアルキル基含有マクロモノマー
と、ラジカル重合可能な官能基を有するモノマーとを共
重合させてグラフト共重合体を得る工程を有することを
特徴とするグラフト共重合体の製造方法を提供する。上
記モノマーは、芳香環を含むことが好ましい。
【0029】又、本発明は、末端にカルボキシル基を有
する芳香環含有オリゴマーに、エチレン性不飽和基含有
エポキシ化合物を反応させて、末端にエチレン性不飽和
基を有する芳香環含有マクロモノマーを製造する工程を
有することを特徴とするマクロモノマーの製造方法を提
供する。上記芳香環含有モノマーは、フェニル基、ナフ
チル基又は複素環基を有する化合物の何れかであること
好ましく、複素環基は、ベンゾトリアゾール、ベンゾイ
ミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾ
ール、イソインダゾール、アントラニル、ベンゾチアゾ
ール、ベンゾオキサチアゾールの何れかであることが好
ましい。
【0030】又、本発明は、末端にエチレン性不飽和基
を有する芳香環含有マクロモノマーと、ラジカル重合可
能な官能基を有するパーフルオロアルキル基含有モノマ
ーとを共重合させてグラフト共重合体を得る工程を有す
ることを特徴とするグラフト共重合体の製造方法を提供
する。更に、架橋性モノマーを共重合反応時に配合する
工程を有することが好ましい。又、グラフト共重合体が
溶解している状態で架橋性モノマーを配合する工程を有
することが好ましい。又、グラフト共重合体と架橋性モ
ノマーとを重合させる工程を有することが好ましい。更
に架橋性モノマーとして、ビニル系シランカップリング
剤、ビニル系フッ素シランカップリング剤、エポキシ基
含有化合物、ポリイソシアネート化合物又はメラミン化
合物の何れかを用いることが好ましい。又、架橋性モノ
マーが芳香環を含むことが好ましい。芳香環が、フェニ
ル基、ナフチル基又は複素環基を有する化合物の何れか
であることが好ましい。
【0031】又、本発明は、末端にエチレン性不飽和基
を有するマクロモノマーと、ラジカル重合可能な官能基
とパーフルオロアルキル基とを有する芳香環含有モノマ
ーとを共重合させてグラフト共重合体を得る工程を有す
ることを特徴とするグラフト共重合体の製造方法を提供
する。芳香環は、フェニル基、ナフチル基又は複素環基
であることが好ましい。
【0032】又、本発明は、末端にエチレン性不飽和基
を有し、且つ分子内に架橋可能な官能基を有するマクロ
モノマーと、ラジカル重合可能な官能基を有するパーフ
ルオロアルキル基含有モノマーとを共重合させてグラフ
ト共重合体を得る工程と、該グラフト共重合体中の上記
マクロモノマー由来の官能基を架橋させる工程とを有す
ることを特徴とする架橋グラフト共重合体の製造方法を
提供する。マクロモノマーが、芳香環を含むことが好ま
しい。又、芳香環は、フェニル基、ナフチル基又は複素
環基を有する化合物のいずれかであることが好ましい。
架橋可能な官能基は、水酸基、メチロール基、アミノ基
及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1つであること
が好ましい。
【0033】又、本発明は、複数のインク吐出口を有す
るインクジェット記録ヘッドの吐出口面が、溶剤に対し
て所定の親和性を有する第1のセグメント(第1の領
域)と該第1のセグメントとは溶剤に対する親和性が異
なる第2のセグメント(第2の領域)とを有し、且つ該
インク吐出口の周方向に沿って上記第1のセグメント及
び第2のセグメントが交互に並んで形成されていること
を特徴とするインクジェット記録ヘッドを提供する。
【0034】又、本発明は、複数のインク吐出口を有す
るインクジェット記録ヘッドの吐出口面に、フッ素原子
を含むセグメントを有し、内部及び/又は表面にフッ素
ドメインを有している高分子膜が設けられていることを
特徴とするインクジェット記録ヘッドを提供する。
【0035】又、本発明は、フッ素原子を含む第1のセ
グメントと、該第1のセグメントとは溶剤に対する親和
性が相対的に異なる第2のセグメントとを有する高分子
化合物からなり、且つフッ素ドメインをその内部及び/
又は表面に含む高分子膜を吐出口面に具備していること
を特徴とするインクジェット記録ヘッドを提供する。第
2のセグメント同士、若しくは該第2のセグメントとイ
ンクジェット記録ヘッドの吐出口面との間に化学的な架
橋を有することが好ましい。第2のセグメント中に、高
分子化合物に所定の波長の光に対して吸収性を持たせる
ための基が含まれていることが好ましい。前記基が、フ
ェニル基若しくはビニル基であることが好ましい。
【0036】又、本発明は、板状部材の一方の表面に、
フッ素原子を含むセグメントを有し、その内部及び/又
は表面にフッ素ドメインを有し、且つ所定の波長域の光
に対する吸収性を有する高分子膜を設ける工程、及び上
記工程によって得られた高分子膜を表面に有する板状部
材に対して、上記高分子膜が吸収を示す波長域の光を含
む光を照射して上記板状部材に貫通孔を形成する工程を
有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド用の
吐出口プレートの製造方法を提供する。前記波長域は、
紫外領域であることが好ましい。
【0037】又、本発明は、板状部材の一方の表面に、
フッ素原子を含む第1のセグメントと、該第1のセグメ
ントとは溶剤に対する親和性が相対的に異なる第2のセ
グメントとを有する高分子化合物からなり、且つフッ素
ドメインをその内部及び/又は表面に含み、所定の波長
域の光に対する吸収性を有する高分子膜を設ける工程、
及び上記工程によって得られた高分子膜を表面に有する
板状部材に対して、上記高分子膜が吸収を示す波長域の
光を含む光を照射して上記板状部材に貫通孔を形成する
工程を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッ
ド用の吐出口プレートの製造方法を提供する。前記波長
域が、紫外領域であることが好ましい。
【0038】又、本発明は、高分子化合物が、第2のセ
グメント同士、若しくは該第2のセグメントとインクジ
ェット記録ヘッドの吐出口面との間に化学的な架橋を生
じさせるための基を、第2のセグメント中に有する上記
に記載の吐出口プレートの製造方法を提供する。
【0039】又、本発明は、インク吐出口と、該吐出口
に連通されているインク液路と、該インク液路に配設さ
れたインク吐出エネルギー発生素子と、上記インク液路
に連通する開口が配置された開口面に接合されているイ
ンク吐出口プレートとを有するインクジェット記録ヘッ
ドであって、上記吐出口プレートが、前記の製造方法で
得られた吐出口プレートであることを特徴とするインク
ジェット記録ヘッドを提供する。
【0040】又、本発明は、前記のインクジェット記録
ヘッドと、該ヘッドにインクを供給するインクタンクと
が一体的に形成されていることを特徴とするインクジェ
ットカートリッジを提供する。
【0041】又、本発明は、前記のインクジェットカー
トリッジと、該インクジェットカートリッジを搭載して
走査可能に設けられたキャリジとを備えたことを特徴と
するインクジェット記録装置を提供する。
【0042】
【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明をより詳細に説明する。本発明は、種々の分野
に利用可能な塗布系の撥液剤の検討を行ううえで、いず
れの場合においても優れた撥液特性を発揮できる新たな
撥液剤を開発する過程において生まれたものである。
【0043】<高分子膜の説明>本発明の高分子膜の一
実施形態を、図1を用いて説明する。図1は、基材の上
に設けられた本発明の高分子膜の構造を概念的に説明す
る図である。かかる例では、高分子膜が、フッ素原子を
含む第1のセグメントと、該第1のセグメントとは溶剤
に対する親和性の異なる第2のセグメントとを有する高
分子化合物からなり、且つ上記第1のセグメントの物理
的な架橋(凝集)による上記高分子化合物の集合体(フ
ッ素ドメイン)が、その内部及び表面に非局在的に形成
されている。
【0044】具体的には、図1に示したように、かかる
形態の本発明の高分子膜は、フッ素原子を含む第1のセ
グメントと、該第1のセグメントとは溶剤、例えば、ト
ルエンやメチルエチルケトン(MEK)に対する親和性
が異なる第2のセグメントとを有する一成分系高分子化
合物からなり、且つフッ素ドメインを、膜の内部及び表
面に非局在的に含んでいる。そして、このような高分子
膜の基材に対向する側と反対側の表面には、図1に示し
たように、フッ素ドメインを有するので、表面にはフッ
素原子が集合した部分(フッ素ドメイン)が点在的に露
出することになる。これによって、高分子膜の表面に
は、溶剤、例えば、水に対する親和性が異なる2つの領
域が存在することになり、この結果、高分子膜の表面は
優れた撥液性を示すようになる。本発明者らの検討によ
れば、撥液性を付与しようとする物品の表面が均一な撥
水面であるよりも、撥液性を有するフッ素ドメインが、
図1に示したように、実質的にフッ素原子が物理的に集
合した部分が点在的に存在している状態の方が、液体に
対しての表面エネルギーが微小レベルで変化しているた
め、より優れた撥液性が得られることがわかった。
【0045】以上のように、一成分系の高分子化合物か
らなり、且つ膜の内部及び表面の少なくとも一方にフッ
素ドメインを有する本発明の高分子膜は、フッ素原子が
高分子化合物の一部として取込まれ、且つフッ素ドメイ
ンが非局在的に存在するために、従来より知られている
フッ素樹脂微粒子を単に膜中に分散させて混在させただ
けの樹脂膜と異なり、安定した撥液性を長期間にわたり
発現するという優れた効果が奏される。
【0046】<高分子膜の製法>次に、上記のような特
性を有する本発明の高分子膜の製法について説明する。
かかる高分子膜は、例えば、フッ素原子を含む第1のセ
グメントと、該第1のセグメントとは用いる溶剤に対す
る親和性が相対的に異なる第2のセグメントとを有する
高分子化合物を、前記溶剤に溶解させて得られる溶液
(撥液処理液)を基材に塗布し、該溶剤を蒸発させるこ
とで容易に得ることができる。この際に使用する高分子
化合物の具体的な構造としては、第1のセグメント及び
第2のセグメントの、いずれか一方が幹成分となり、他
方が枝成分となって構成されるグラフト共重合体構造を
有するものが好ましい。従って、フッ素原子を含む第1
のセグメントが、幹成分を構成する構造のものでも、枝
成分を構成する構造のものでもよい。
【0047】本発明の高分子膜を構成する高分子化合物
として、上記のようなグラフト共重合体を用いた場合に
は、使用する溶剤にグラフト共重合体を溶解させること
で、自発的に、しかも効率よくフッ素ドメイン構造が溶
液中で形成されるため、かかる溶液を使用すれば、優れ
た撥液性を有する膜を容易に形成することができる。
【0048】次に、フッ素ドメイン構造を有する本発明
の高分子膜の構成材料である高分子化合物の製造方法を
説明する。先に述べたように、本発明においては、高分
子化合物としてグラフト共重合体を用いることが好まし
い。グラフト共重合体は、一般的には、セグメントとセ
グメントとの反応によって、或いはセグメントとモノマ
ーとの反応により合成することができ、通常、幹(主
鎖)となるセグメントの存在下に、第2のセグメント
(枝)となるセグメントを結合或いは重合させることに
よって得られる。下記に、第1のセグメントを構成する
ポリマーの具体的な材料(モノマー)を挙げる。
【0049】フッ素原子を含有するモノマー成分として
は、例えば、1H,1H−パーフルオロ−n−オクチル
(メタ)アクリレート、1H,1H,2H−パーフルオ
ロ−1−ドデセン、1H,1H,2H−パーフルオロ−
1−デセン、1H,1H,2H−パーフルオロ−1−オ
クテン等を使用することができる。又、重合性モノマー
として、例えば、エチレン性不飽和基を有するエポキシ
化合物である、グリシジル(メタ)アクリレート、2−
メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル、アリル−2−メチルグリシジルエーテル
等を使用することができる。尚、上記において、(メ
タ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレー
トの双方を意味する。以降も同様である。
【0050】又、重合開始剤として、例えば、4,4’
−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、2,2’−アゾ
ビス−2−アミノプロパン塩酸塩、過酸化ベンゾイル、
アゾビスイソブチロニトリル、3弗化ホウ素塩等を使用
することができる。又、架橋剤として、例えば、ビニル
系シランカップリング剤であるビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン等や、エポキシ基を
有する化合物である2,2−ビス(4−グリシジルオキ
シフェニル)ヘキサフルオロプロパン、パーフロロ化ノ
ボラック多官エポキシ樹脂、ビスフェノール型フッ素化
エポキシ樹脂、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ノボ
ラック系エポキシ樹脂等や、ウレタン結合を生じ得るジ
フェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシア
ネート、フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイ
ソシアネート等のポリイソシアネート化合物を使用する
ことができる。
【0051】又、第2のセグメントの構成に使用できる
具体的な材料(モノマー)としては、例えば、スチレ
ン、(メタ)アクリレート、アリルフェノール、アリル
ベンゼン、ブタジエン、プロピレン等の重合性モノマー
が挙げられる。
【0052】更に、第2のセグメントの形成に使用し得
る架橋剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン等のビニル系シラン
カップリング剤や、エポキシ基を有する化合物である
2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン、パーフロロ化ノボラック多官エポキ
シ樹脂、ビスフェノール型フッ素化エポキシ樹脂、ビス
フェノールA系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹
脂等や、ウレタン結合を生じ得るジフェニルメタンジイ
ソシアネート、トリジンジイソシアネート、フェニレン
ジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート等のポ
リイソシアネート化合物が挙げられる。
【0053】本発明者らの検討によれば、本発明の高分
子膜に使用するグラフト共重合体としては、枝となる部
分を前もってマクロモノマーとして合成し、これを、幹
を構成することとなる他のモノマーと共重合の方法で幹
中に組み込むマクロモノマー法によって得られるものを
使用することが好ましいことがわかった。ここで、マク
ロモノマーとは、数百から1万程度の分子量を有し、且
つ重合し得る官能基を持ったモノマーとみなし得る化合
物のことである。かかるマクロモノマーを用いてグラフ
ト共重合体を合成することで、枝の長さや数等、構造の
明確な所望のグラフト共重合体を得ることが可能とな
る。
【0054】以下に、本発明で使用する高分子化合物の
好ましい一実施例の製造方法として、主鎖(幹)となる
セグメントに、側鎖(枝)となるフッ素原子を含むマク
ロモノマーを共重合させることによって得られるグラフ
ト共重合体の製造方法について具体的に説明する。
【0055】先ず、フッ素原子を含むマクロモノマーの
製造方法について説明する。最初に、フッ素原子を含み
且つ末端にエチレン不飽和基を有するモノマーと、一端
にカルボキシル基を有し、且つ前記モノマーの一端にあ
るエチレン不飽和基とラジカル付加重合する官能基を有
する開始剤を反応させることにより、カルボキシル基と
フッ素原子を含むオリゴマーを形成する。
【0056】この反応の一実施例として、例えば、下記
のスキームに基づく方法が挙げられる。下記に化学式で
示したように、フッ素原子を含み且つ末端にエチレン不
飽和基を有する重合性モノマーとして、下記の構造を有
する1H,1H−パーフルオロ−n−オクチルアクリレ
ート(式1)を用い、一端にカルボキシル基と、上記重
合性モノマーが有するエチレン不飽和基とラジカル付加
重合する官能基を有する下記の構造を有する開始剤4,
4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸(式2)とを
反応させる。すると、4,4’−アゾビス−4−シアノ
バレリアン酸(式2)が重合開始剤となって、(式1)
に示したモノマーの官能基がラジカル重合して、カルボ
キシル基とフッ素原子とを含むオリゴマー(式3)が形
成される。
【0057】
【0058】次に、以上のようにして得られるカルボキ
シル基とフッ素原子を含むオリゴマーと、エチレン性不
飽和基含有エポキシ化合物とを反応させることによっ
て、その一端のみにエチレン性不飽和基を有し、フッ素
原子を含んだマクロモノマーを形成することができる。
この際に、パーフルオロアルキル基含有のオリゴマーと
しては、フッ素原子含有量として10重量%以上、連鎖
個数数平均分子量が1,000〜100,000である
ものを使用することが好ましい。
【0059】この反応を前述のスキームに基づく方法に
続く一実施例として挙げると、下記に化学式で示したよ
うに、前記で得られたカルボキシル基とフッ素原子を含
むオリゴマー(式3)に、エチレン性不飽和基含有エポ
キシ化合物としてグリシジルメタクリレート(式4)を
反応させると、オリゴマー(式3)のカルボキシル基と
グリシジルメタクリレート(式4)のエポキシ基が反応
して、一端のみにエチレン性不飽和基を有したマクロモ
ノマー(式5)を形成できる。
【0060】
【0061】ここで、(式1)で示されるフッ素原子を
含有するモノマー成分に代えて、例えば、1H,1H−
パーフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1H,1
H,2H−パーフルオロ−1−ドデセン、1H,1H,
2H−パーフルオロ−1−デセン、1H,1H,2H−
パーフルオロ−1−オクテン等を使用することができ
る。同様に、開始剤として(式2)で示される開始剤に
代えて、例えば、2,2’−アゾビス−2−アミノプロ
パン塩酸塩、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニ
トリル、3弗化ホウ素塩等を使用することができる。更
に、(式4)で示されるエポキシ基含有化合物に代え
て、例えば、2−メチルグリシジル(メタ)アタクリレ
ート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル、アリル−2−メチルグリシジルエーテル
等のエチレン性不飽和基を有するエポキシ基含有化合物
を使用することができる。
【0062】次に、上記方法によって得られたマクロモ
ノマー(式5)を用いて得られるグラフト共重合体の製
造方法について説明する。マクロモノマー(式5)の末
端にあるエチレン性不飽和基と、該エチレン性不飽和基
とラジカル付加重合する官能基を有するモノマーとを共
重合させることにより、グラフト共重合体を形成するこ
とができる。更に共重合させる際に熱を加えれば反応が
促進され、より好ましい形態となる。
【0063】この反応を前述のスキームに基づく方法に
続く一実施例として挙げると、前記一端のみにエチレン
性不飽和基を有したマクロモノマー(式5)に、これと
反応し得る官能基を有するモノマーであるメチルメタク
リレート(式6)又はエチルメタクリレート(式7)を
反応させると、下記に示すように、マクロモノマー(式
5)の末端にあるエチレン性不飽和基と、メチルメタク
リレート(式6)又はエチルメタクリレート(式7)の
エチレン性不飽和基とがラジカル重合してグラフト共重
合体(式G1又はG2)が合成される。尚、上記におい
て、メチルメタクリレートやエチルメタクリレートに代
えて、イソボルニール(メタ)アクリレートやジシクロ
ペンタジエニル(メタ)アクリレート等の他のモノマー
を用いることもできる。
【0064】
【0065】本発明のフッ素ドメイン構造を含有する高
分子膜を基材表面に形成する好ましい実施形態として
は、例えば、上記で述べたような方法でマクロモノマー
を形成後、少なくともマクロモノマーと、該マクロモノ
マーのエチレン性不飽和基とラジカル付加重合し得る官
能基を有するモノマーとを溶液中で重合させ、グラフト
ポリマーの溶液とし、これを基材表面に塗布、乾燥させ
るか、或いは基材表面においてこれらを共重合させるこ
とにより、基材表面に、フッ素ドメイン構造を含有する
本発明の高分子膜を形成することが挙げられる。
【0066】本発明の高分子膜を形成する場合におい
て、上記のようにマクロモノマーを用いて共重合させる
ことは必須ではないが、マクロモノマーを用いてグラフ
ト共重合体を形成させると、上記のようにしてマクロモ
ノマーを予め合成しておくことで側鎖の長さを揃えるこ
とができるので、高分子膜とした場合に、グラフト共重
合体の機能をより好ましく発揮させることが可能とな
る。
【0067】本発明においては、エチレン性不飽和基を
有したマクロモノマー(式5)のエチレン性不飽和基と
ラジカル付加重合し得る官能基を有するモノマーとし
て、マクロモノマーとの重合反応後においても維持され
る反応性基を有するモノマーを使用してもよい。そのよ
うなモノマーとしては、例えば、水酸基、アミノ基やカ
ルボキシル基を有するビニル化合物等が挙げられる。よ
り具体的には、下記[1]〜[4]に挙げたモノマーを
用いることができる。
【0068】上記[1]及び[2]に挙げたモノマーを
用いて得られるポリマーは、特に架橋剤を用いることな
しに、該ポリマー同士(第2のセグメント同士)又はポ
リマーと物品表面(第2のセグメントと物品表面)とを
架橋させることができる。架橋の際に触媒を用いてもよ
く、例えば、ルイス酸、アミン類等が挙げられる。又、
上記[3]及び[4]に挙げたモノマーを用いて得られ
るポリマーは、上記のようにしてグラフト共重合体を形
成後、下記に挙げるようなビニル系シランカップリング
剤等の架橋剤を添加することにより、グラフト共重合体
の側鎖同士、又、側鎖と基材との間に化学架橋構造を形
成させることができる。この際、架橋剤は、グラフト共
重合体がフッ素ドメイン構造を形成した後に添加される
ことが好ましく、架橋剤を物品に塗布した後に、UV照
射や熱を加えることにより架橋させて、架橋構造を形成
させればよい。
【0069】この際に架橋剤として用いられる化合物と
しては、例えば、エポキシ基を有する化合物である2,
2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)ヘキサフル
オロプロパン、パーフロロ化ノボラック多官エポキシ樹
脂、ビスフェノール型フッ素化エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールA系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂等
のエポキシ化合物や、ウレタン結合を生じ得るジフェニ
ルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシ
アネート等のポリイソシアネート化合物を使用すること
ができる。
【0070】又、本発明の高分子膜のその他の実施形態
としては、マクロモノマー形成の際に、スチレン等の芳
香環を有する化合物や、ブタジエンのようなグラフト重
合後にも残存するような二重結合を有する成分を添加し
ておくことにより、形成される高分子膜に芳香環や二重
結合を導入することができ、その結果、その高分子膜
は、特定波長の光に対して吸収性を有するようにするこ
とができる。このようにすれば、この高分子膜をレーザ
ー等を用いて加工することが可能となる。図2に、その
場合の概念図を示す。図示のように、基材の表面に設け
た本発明の高分子膜に、エキシマレーザー等の光エネル
ギーを照射すると、膜が光吸収性を有するため、膜を容
易にエッチング加工することが可能となる。又、このと
き、高分子膜の、削られた表面にも先に説明したフッ素
ドメイン構造が点在的に存在しており(不図示)、優れ
た撥液性は依然として維持されている。
【0071】本発明の高分子膜に光吸収性を付与するた
めの成分としては、例えば、アリルフェノール、アリル
ベンゼン、アリールビニルメタン、フェニル(メタ)ア
クリレート、ブタジエン、フェノプレン、4−フェニル
−1−ブテン等が挙げられる。尚、上記した形態の高分
子膜では、膜に光吸収性を付与するための成分をマクロ
モノマーに付与する例を説明したが、これに限定され
ず、主鎖となるモノマーに、上記したような光吸収性を
付与するための成分を予め反応させても、同様の効果が
得られることはいうまでもない。
【0072】本発明のグラフト共重合体の第2の実施形
態として、エチレン性不飽和基を有し、且つフッ素を含
有している分子鎖を含むモノマーと、架橋可能な官能基
を有するマクロモノマーとを共重合させることによって
得られるグラフト共重合体の製造方法について次に述べ
る。尚、本発明においては、かかる形態のグラフト共重
合体は、主鎖を構成することとなるモノマーにフッ素原
子を含む基が結合していることから、幹部にフッ素原子
が含まれているものと定義する。
【0073】かかるグラフト高分子化合物は、例えば、
末端にエチレン性不飽和基を有し、且つ分子内に架橋可
能な官能基を有するマクロモノマーとラジカル重合可能
な官能基を有するパーフロロアルキル基含有モノマーと
を共重合させることによって得ることができる。
【0074】先ず、末端にエチレン性不飽和基を有し、
且つ分子内に架橋可能な官能基を有するマクロモノマー
を製造する。このようなマクロモノマーの製造方法は、
例えば、特開昭62−277408号公報に詳細に記載
されている。具体的に述べれば、末端に、例えば、カル
ボキシル基等の親水性基を含有しているポリマーに、親
水性有機溶媒の存在下で、エチレン性不飽和基含有エポ
キシドを反応させることによって得られる。ここで該親
水性基含有ポリマーは、少なくともヒドロキシ基及びメ
チロール基の少なくとも一方を有していることが好まし
い。又、この親水性基含有ポリマ−の好ましい分子量と
しては、500〜300,000程度、特には1,00
0〜100,000程度である。該親水性基含有ポリマ
ーは、カルボキシル基含有連鎖移動剤と開始剤との組合
せの存在下、又はカルボキシル基を含む開始剤の存在
下、親水性基として例えばヒドロキシル基やメチロール
基を有するエチレン性不飽和基含有モノマーを重合して
得ることができる。
【0075】ここで開始剤としては、4,4’−アゾビ
ス−4−シアノバレリアン酸、2,2’−アゾビス−2
−アミジノプロパン塩酸塩、過酸化カリウム、過酸化ア
ンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベン
ゾイル等がある。
【0076】又、上記の親水性基を含有するエチレン性
不飽和基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル
アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−
メトキシエチル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メ
タ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート、多価アルコール
のアクリル酸エステル及び多価アルコールのメタクリル
酸エステル等がある。この他に、共重合可能なモノマー
として、(メタ)アクリルアミド誘導体、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド誘導体、(メタ)アクリル酸
エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸メチルトリグ
リコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
ホスフェート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート
等がある。
【0077】親水性基、例えば、ヒドロキシル基及びメ
チロール基の少なくとも一方を含有するエチレン性不飽
和基含有モノマーを主成分とする出発原料を、カルボキ
シル基含有開始剤の存在下に、水及び/又は有機溶媒中
でラジカル重合するに際し、開始剤を上記のモノマー1
00グラムモルあたり5〜20グラムモルの範囲で使用
すればポリマーの片末端にカルボキシル基を確実に導入
することができる。こうして得られた末端カルボキシル
基を含有する親水性基含有ポリマーに、親水性有機溶媒
の存在下で、エチレン性不飽和基含有エポキシ化合物を
反応させることで、末端にカルボキシル基を有する親水
性基含有マクロモノマーを得ることができる。この反応
は、通常、80〜180℃、好ましくは90℃〜140
℃の反応温度で行なうことができる。
【0078】こうして得たマクロモノマーと、ラジカル
重合可能な官能基を有するパーフルオロアルキル基含有
モノマー(例えば、2−(パーフロロオクチル)−エチ
ルメタクリレート等)とを、前記した第1の実施形態に
かかるグラフト共重合体の製造方法と同様にして共重合
させると、本発明の第2の実施形態にかかるグラフト共
重合体を得ることができる。ここで、第2の形態にかか
るグラフト共重合体の製造を、下記のスキームに基づき
より具体的に説明すると、例えば、マクロモノマーを合
成するための親水性基を含有するエチレン性不飽和モノ
マーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(式1
1)、カルボキシル基含有開始剤として4,4’−アゾ
ビス−4−シアノバレリアン酸(式2)とを反応させ
る。
【0079】すると(式12)に示した構造のオリゴマ
ーが得られる。このオリゴマーと(式4)で示したグリ
シジルメタクリレートとを反応させることによって、一
端にのみエチレン性不飽和基を有し、且つ分子内に架橋
可能な基を有するマクロモノマー(式13)を形成する
ことができる。続いて、(式13)のオリゴマーと(式
1)で示される末端にエチレン性不飽和基を有し、フッ
素原子を含む重合性モノマーとを共重合させると、(式
14)に示したように幹部にフッ素原子を有する基を有
し、枝部に架橋可能な基を有したグラフト共重合体を得
ることができる。
【0080】
【0081】そして上記(式14)に示したグラフト共
重合体は、例えば、下記(式15)に示す2,4−トリ
レンジイソシアネート等の架橋剤を用いて、枝部同士を
架橋させることが可能である。
【0082】
【0083】以上説明してきた第2の実施形態にかかる
グラフト共重合体に関しても、第1の実施形態にかかる
グラフト共重合体と同様に、芳香環や二重結合を導入す
ることで、該グラフト共重合体からなる高分子膜に特定
波長の光に対する吸収性を担持させることができる。具
体的には、例えば、マクロモノマーの合成時に、スチレ
ンやブタジエン等を添加しておく方法が挙げられる。又
はマクロモノマーと共重合させるパーフルオロアルキル
基を含有しているモノマーに芳香環や、グラフト重合後
にも維持されるような二重結合を導入しておく方法があ
る。
【0084】本発明の高分子膜は、マクロモノマー等に
よって上記の実施形態の場合に、側鎖となるフッ素含有
基を同様の界面エネルギーとして膜中に均等に分散でき
るため、本発明でいうフッ素ドメインの集合程度を均等
化でき、この結果、フッ素ドメインの均一な分散状態が
膜の表面及び内部にも形成されることになる。従って、
高分子膜の表面及び内部に、このような均一分散状態で
且つフッ素の集中の程度が均一なフッ素ドメインを有す
ることとなる。例えば、上記した光吸収性の高分子膜表
面の一部を加工して凹部を形成しても、凹部の全面が、
加工前の高分子膜の表面と同様のフッ素の含有状態を維
持しているため、本発明の高分子膜を形成後に、膜を加
工して使用するような場合にも良好な状態で使用するこ
とが可能である。
【0085】そしてこれまで説明してきた本発明の高分
子膜をインクジェット記録ヘッドに適用することによっ
て、インクの吐出口面が、優れた撥液性を有し、且つそ
の撥液性の耐久性が良好なインクジェット記録ヘッドを
得ることができる。即ち、インクジェット記録ヘッドの
インク吐出口面の撥液性に関しては、未だ十分に満足で
きるレベルにないことは先に述べた通りである。
【0086】この点に関して更に言えば、物品に撥液性
を持たせるために、物品に塗布する撥液処理液として、
ポリテトラフルオロエチレンが知られているが、かかる
ポリテトラフルオロエチレンを用いた場合には、先ず、
ポリテトラフルオロエチレンが粒子状で基材表面に塗布
され、その後、300℃で焼成することによって撥液層
が形成される。本発明者らは、このポリテトラフルオロ
エチレンの撥液層を、インクジェット記録ヘッドの吐出
口面に形成することにより、吐出口面の撥液性を向上さ
せようと試みたが、吐出口面の形成材料として、一般的
に使用されているポリサルフォン等の融点が200℃以
下である樹脂の場合には、ポリテトラフルオロエチレン
の焼成温度300℃に耐えられず、吐出口面にポリテト
ラフルオロエチレンの撥液層を形成することはできなか
った。
【0087】本発明者らは、このような技術的背景の下
での検討によって、インクジェット記録ヘッドの吐出口
面の撥液性を向上させ、その状態を安定に維持させるた
めには、従来の技術では未だ不充分な点があるという見
解を有していた。そして本発明はかかる見解に鑑みなさ
れたものである。
【0088】次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明
のインクジェット記録ヘッドについて詳細に説明する。
先ず、本発明のインクジェット記録ヘッド(以下、液体
吐出ヘッドとも呼ぶ)の概略構成を、図面を用いて説明
する。図3は、本発明の一実施例にかかる液体吐出へッ
ドの構造を説明するために、構成部材を分解した模式的
斜視図である。図5は、図3に示した本発明の一実施例
の液体吐出ヘッドの吐出口を有する吐出面の模式的断面
図であり、図4は、図5に示した液体吐出へッドの吐出
口を有する吐出面の表面状態を説明するための模式図で
ある。
【0089】上記の図3〜5に示した液体吐出ヘッド
は、図3及び図5に示したように、インク流路及び液室
を構成するための段差が一体に形成されている天板と、
吐出エネルギーを発生するためのエネルギー発生素子
(以下、ヒータと呼ぶ)、及び該ヒータに電気信号を供
給するためのA1配線とが成膜技術によってSi基板上
に形成されている基板(以下、ヒータボードと呼ぶ)と
を接合することによってヘッド本体(不図示)が構成さ
れる。そして、かかる構造のヘッド本体において、上記
で説明した天板とヒータボードとの接合によって、各ユ
ニット毎に形成される流路の開口が配置されることとな
る開口部配設面(以下、ヘッド本体接合面と呼ぶ)に、
次に説明するオリフィスプレートとが、接着剤によって
貼り合わされて液体吐出ヘッドが構成される(図3及び
図5参照)。
【0090】オリフィスプレートの形成材料としては、
例えば、SUS、Ni等の金属フィルム、又は耐インク
性に優れたプラスチックフィルム、例えば、ポリイミ
ド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ボリフ
エニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リプロピレン等の樹脂フィルム材を用いることが望まし
い。又、オリフィスプレートと、ヘッド本体とを接合す
る接着剤としては、例えば、UV照射によりタック性を
保持したままBステージ化して硬化収縮が終了し、更な
るUV照射、若しくは加熱することにより硬化するエポ
キシ系接着剤を用いればよい。かかる接着剤は、加熱圧
着のみで接着可能であるので、加工性に優れるため好ま
しい。
【0091】かかる構成のオリフィスプレートの表面状
態は、例えば、図3に示したように、フッ素原子を含む
セグメント又は基を有し、且つその内部及び/又は表面
にフッ素ドメインを有している高分子膜を設けることに
より、或いはフッ素原子を含む第1のセグメントと、該
第1のセグメントとは溶剤に対する親和性の異なる第2
のセグメントとを有する一成分系の高分子化合物からな
り、且つフッ素ドメインをその内部及び/又は表面に含
む高分子膜を設けることによって容易に得ることができ
る。
【0092】上記において、第2のセグメント同士、若
しくは該第2のセグメントとインクジェット記録ヘッド
の吐出口面との間に化学的な架橋を有するように構成す
ることによって、より優れた特性の表面性状が得られ
る。
【0093】又、第2のセグメント中に、高分子化合物
に所定の波長の光に対して吸収性を持たせるための基、
例えば、フェニル基若しくはビニル基を含むように構成
することによって、所定の波長域の光に対する吸収性を
有する高分子膜を形成することができる。このような高
分子膜を基材表面に設ければ、該高分子膜が吸収を示す
波長域の光を含む光を照射することで、高分子膜に容易
に貫通孔を形成することが可能となる。その結果、優れ
た表面特性を有するオリフィスプレートの製造が容易に
なる。例えば、上記の波長域が、紫外領域である場合に
は、エキシマレーザー等を使用して、所望の部位に光エ
ネルギーを与えることによって、吐出口の形成等の加工
を容易にすることができる。
【0094】<高分子膜の説明>以下、本発明のインク
ジェット記録ヘッドにおいて、該ヘッドを構成するオリ
フィスプレートの表面に好適に設けられる高分子膜につ
いて説明する。その一実施形態を、図8を用いて説明す
る。図8は、基材の上に設けられた高分子膜の構造を概
念的に説明するための説明図である。かかる例では、高
分子膜が、フッ素原子を含む第1のセグメントと、該第
1のセグメントとは溶剤に対する親和性の異なる第2の
セグメントとを有する一成分系高分子化合物からなり、
且つ図8に示した例では、フッ素ドメインが、その内部
及び表面に非局在的に形成されている。
【0095】具体的には、図8に示したように、かかる
形態の高分子膜は、フッ素原子を含む第1のセグメント
と、該第1のセグメントとは溶剤、例えば、トルエンや
メチルエチルケトン(MEK)に対する親和性が異なる
第2のセグメントとを有する一成分系高分子化合物から
なり、且つフッ素ドメインを、膜の内部及び/又は表面
に非局在的に含んでいる。そして、このような高分子膜
の基材に対向する側と反対側の表面には、図8に示した
ように、フッ素ドメインを有するので、表面にはフッ素
原子が集合した部分が点在的に露出することになる。
【0096】これによって、高分子膜の表面には、溶
剤、例えば、水に対する親和性が異なる2つの領域が存
在することになり、この結果、高分子膜の表面は優れた
撥液性を示すようになる。本発明者らの検討によれば、
撥液性を付与しようとする物品の表面が均一な撥水面で
あるよりも、撥液性を有するフッ素ドメインが、図8及
び図4に示したように、実質的にフッ素原子が物理的に
集合した部分が点在して存在している状態の方が、液体
に対しての表面エネルギーが微小レベルで変化している
ため、より優れた撥液性が得られることがわかった。そ
して図4に示したように吐出口の周囲に、実質的にフッ
素原子が物理的に凝集したフッ素ドメインが点在して存
在することによって吐出口周囲へのインクの付着を極め
て有効に抑制することができるという効果が奏される。
【0097】以上のように、一成分系の高分子化合物か
らなり、且つ膜の内部及び/又は表面にフッ素ドメイン
を有する高分子膜は、フッ素原子が、膜を構成している
高分子化合物の一部として取込まれ、且つフッ素ドメイ
ンが非局在的に存在するために、従来より知られている
フッ素樹脂微粒子を単に膜中に分散させて混在させただ
けの樹脂膜と異なり、安定した撥液性を長期間にわたり
発現するという優れた効果が奏される。
【0098】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけ
ではない。尚、文中「部」及び「%」とあるのは、特に
断りのない限り質量基準である。
【0099】実施例1 1H,1H−パーフルオロ−n−オクチルアクリレート
(式1)100部、4,4’−アゾビス−4−シアノバ
レリアン酸(式2)10部、メチルエチルケトン500
部及びトルエン500部からなる溶液を、N2気流下、
100℃で10時間反応させ、オリゴマー(式3)を生
成させた。
【0100】
【0101】上記で生成させたオリゴマー(式3)にメ
タノールを加え、未反応成分を溶解しオリゴマー再沈さ
せ、オリゴマーのみを分離した後、トルエンに再溶解さ
せて、オリゴマーの25%トルエン溶液を作製した。こ
のようにして得られたオリゴマー溶液に、下記に化学式
で示したように、グリシジルメタクリレート(式4)を
10部及びN,N−ジメチルドデシルアミンを0.05
部を加え、100℃で5時間反応を行って、ビニル基末
端マクロモノマー(式5)のトルエン溶液(不揮発分2
5%)を得た。
【0102】
【0103】次に、下記に化学式で示したように、得ら
れたビニル基末端マクロモノマー(式5)(25%トル
エン溶液)120部、メタクリル酸メチル(式6)70
部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部及びトルエン
60部からなる溶液を、N2気流下、100℃で12時
間重合反応を行ってグラフト共重合体(G1)を含む撥
液処理液を得た。
【0104】
【0105】以上のようにして得られたグラフト共重合
体(G1)を含む撥液処理液を、ポリサルフォン板上に
wetで5μm厚さにスピンナーを用いて塗布した後、
110℃のホットプレート上で5分間乾燥し、溶媒を除
去して、本実施例の高分子膜を形成した。そして、得ら
れた高分子膜について、純水、オレイン酸の10%水溶
液、グリセリン20%水溶液、界面活性剤1%水溶液
(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル;HLB
=10)の各液体を用い、常温にて、静的接触角の測定
を行なった。その結果、各液体に対して、夫々、98
°、86°、96°、85°と高い接触角を示し、上記
で得られた本実施例の高分子膜が、いずれの液体に対し
ても良好な撥液性を示すことを確認できた。
【0106】実施例2 実施例1と同様の方法で、ビニル基末端マクロモノマー
(式5)のトルエン溶液(不揮発分25%)を作成し
た。そして、下記に化学式で示したように、得られたビ
ニル基末端マクロモノマー(25%トルエン溶液)12
0部、スチレン(式11)70部、アゾビスイソブチロ
ニトリル0.3部及びトルエン60部からなる溶液を、
2気流下、100℃で12時間重合反応を行ってグラ
フト共重合体(G3)を含む撥液処理液を得た。
【00107】
【0108】以上のようにして得られたグラフト共重合
体(G3)を含む撥液処理液を、ポリサルフォン板上に
wetで5μm厚さにスピンナーを用いて塗布した後、
110℃のホットプレート上で5分間乾燥し、溶媒を除
去して本実施例の高分子膜を形成した。そして、得られ
た高分子膜について、純水、オレイン酸の10%水溶
液、グリセリン20%水溶液、界面活性剤1%水溶液
(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル;HLB
=10)の各液体を用い、常温にて静的接触角の測定を
行なった。その結果、各液体に対して夫々102°、9
5°、100°、88°と高い接触角を示し、上記で得
られた本実施例の高分子膜が、いずれの液体に対しても
良好な撥液性を示すことを確認できた。
【0109】実施例3 実施例1と同様の方法で、ビニル基末端マクロモノマー
(式5)のトルエン溶液(不揮発分25%)を作成し
た。そして、得られたビニル基末端マクロモノマー(2
5%トルエン溶液)120部、グリシジルメタクリレー
ト60部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部及びト
ルエン60部からなる溶液を、N2気流下、100℃で
12時間重合反応を行ってグラフト共重合体を含む液を
得た。
【0110】次に、上記で得られたグラフト共重合体を
含む液に、更に、オプトマーSP170(旭電化製)1
部、下記に示す構造を有する2,2−ビス(4−グリシ
ジルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(式8)
10部を加えて充分に攪拌して撥液処理液を調製した。
得られた撥液処理液を、ポリサルフォン板上に、wet
で5μm厚さにスピンナーを用いて塗布した後、110
℃のホットプレート上で5分間乾燥し、溶媒を除去して
被膜を形成した。更に、この基板に、高圧水銀灯を用い
た紫外線照射装置にて、2J/cm2の積算量の紫外線
を照射して架橋させた。次に、100℃で5時間加熱し
て架橋反応を完結させ、本実施例の高分子膜を得た。
【0111】
【0112】上記で得られた本実施例の高分子膜につい
て、常温にて、純水、オレイン酸の10%水溶液、グリ
セリン20%水溶液、界面活性剤1%水溶液(ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル;HLB=10)の
各液体を用いて、静的接触角の測定を行なった。その結
果、各液体に対して、100°、90°、93°、86
°と高い接触角を示し、良好な撥液性が得られることが
確認できた。更に、本実施例の高分子膜は、実施例1の
高分子膜と比べて、物品との密着性に優れ、その硬度が
高く、耐磨耗性にも優れていることがわかった。
【0113】実施例4 スチレンの代わりにアリルフェノールを使う以外は実施
例2と同様の操作を行い、重合反応を行った。得られた
グラフト共重合体を含む液に、ジブチルスズジラウリレ
ート0.1部、下記に示す構造を有するジフェニルメタ
ンジイソシアネート(式9)5部を加え充分に攪拌した
後、ポリサルフォン板上に、wetで5μm厚さにスピ
ンナーを用いて塗布した後、100℃で15分間加熱し
て、架橋反応を完結させて本実施例の高分子膜を得た。
【0114】
【0115】得られた本実施例の高分子膜について、常
温にて、純水、オレイン酸の10%水溶液、グリセリン
20%水溶液、界面活性剤1%水溶液(ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル;HLB=10)の各液体
を用いて静的接触角の測定を行なった。その結果、各液
体に対して、96°、89°、95°、85°と高い接
触角を示し、良好な撥液性が得られることが確認でき
た。更に、本実施例の高分子膜は、実施例2の高分子膜
と比べて、物品との密着性に優れ、その硬度が高く、耐
磨耗性にも優れていることがわかった。
【0116】実施例5 ビニル基末端マクロモノマー(式5)のトルエン溶液
(不揮発分25%)を実施例1と同様の方法で作成し
た。得られたビニル基末端マクロモノマー(25%トル
エン溶液)120部、メタクリル酸メチル(式6)40
部、下記に示す構造を有するγ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン(A174 UCA製)(式1
0)30部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部及び
トルエン60部からなる溶液を、N2気流下で、100
℃で12時間重合反応を行う以外は、実施例1と同様の
方法で本実施例の高分子膜を得た。
【0117】
【0118】得られた本実施例の高分子膜について、常
温にて、純水、オレイン酸の10%水溶液、グリセリン
20%水溶液、界面活性剤1%水溶液(ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル;HLB=10)の各液体
を用いて、静的接触角の測定を行なった。その結果、各
液体に対して、105°、96°、90°、90°と高
い接触角を示し、良好な撥液性が得られることが確認で
きた。
【0119】実施例6 2−ヒドロキシエチルアクリレート100部、4,4’
−アゾビス−シアノバレリアン酸10部及びエチレング
リコールモノブチルエーテル200部からなる溶液をN
2気流下で95℃で、10時間反応させ、オリゴマーを
生成させた。上記で得たオリゴマーにメタノールを加
え、未反応成分を溶解しオリゴマーを再沈殿させ、オリ
ゴマーのみを分離した後、該オリゴマーをトルエンに再
溶解させ、オリゴマーの25%トルエン溶液を得た。こ
のようにして得たオリゴマー溶液に、グリシジルメタク
リレートを10部及びN,N’−ジメチルドデシルアミ
ンを0.05部加え、100℃で5時間反応を行なっ
て、ビニル基末端マクロモノマーのトルエン溶液(不揮
発分25%)を得た。
【0120】こうして得たビニル基末端マクロモノマー
(25%トルエン溶液)120部、1H,1H−パーフ
ルオロ−n−オクチルアクリレート70部、アゾビスイ
ソブチロニトリル0.3部及びトルエン60部からなる
溶液を、N2気流下、100℃で12時間重合反応を行
なってグラフト共重合体を含む撥液処理液を得た。以上
のようにして得られたグラフト共重合体を含む撥液処理
液に、更にジブチルスズラウリレート0.1部、トリレ
ンジイソシアネート5部を加え十分に攪拌した後、PS
F板上に乾燥前の膜厚で5μmとなるようにスピンナー
を用いて塗布し、100℃で15分間加熱して架橋反応
を完結させて高分子膜を得た。
【0121】こうして得られた高分子膜について、常温
にて、純水、オレイン酸の10%水溶液、グリセリン2
0%水溶液、界面活性剤1%水溶液(ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル;HLB=10)の各液体を
用いて静的接触角の測定を行なった。その結果、各溶液
に対し、92°、85°、90°、88°と高い接触角
を示し、良好な撥液性が得られることが確認できた。
【0122】次に、本発明の高分子膜のインクジェット
記録ヘッドへの適用とそれによって得られる効果につい
て、具体例を挙げて更に詳細に説明する。 実施例7 先ず、下記のようにしてビニル基未端マクロモノマー
(25%トルエン溶液)を調製した。1H,1H−パー
フルオロ−n−オクチルアクリレート(式1)100
部、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸(式
2)10部、メチルエチルケトン500部及びトルエン
500部からなる溶液を、N2気流下、100℃で10
時間反応させ、オリゴマー(式3)を生成させた。
【0123】
【0124】上記で生成させたオリゴマー(式3)にメ
タノールを加え、未反応成分を溶解しオリゴマーを再沈
させ、オリゴマーのみを分離した後、該オリゴマーをト
ルエンに再溶解させて、オリゴマーの25%トルエン溶
液を作製した。このようにして得られたオリゴマー溶液
に、先に(式4)で示した構造を有するグリシジルメタ
クリレートを10部及びN,N−ジメチルドデシルアミ
ンを0.05部加え、100℃で5時間反応を行って、
ビニル基末端マクロモノマー(式5)のトルエン溶液
(不揮発分25%)を得た。
【0125】次に、上記で得られたビニル基未端マクロ
モノマー(25%トルエン溶液)120部、メタクリル
酸メチル70部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部
及びトルエン60部からなる撥液処理剤を調製した。そ
して、オリフィスプレートとして、厚さが50μmのP
SF(ポリサルフォン)フィルムを用い、上記で得られ
た撥液処理剤を、このPSFフィルム上の一方の面に、
形成される膜の膜厚が0.5μmとなるようにスピンコ
ータを用いて塗布した。尚、本実施例ではスピンコータ
を用いたが、その他、ロールコーター、グラビアコータ
ー、スプレイコーター等の通常の精密塗布装置を用いる
こともできる。
【0126】次に、上記で得られた一方の面に、撥液処
理剤によって塗膜が形成されているPSFを、100℃
のオープンに12時間投入し、重合反応を終了させた。
次に、上記のようにして得られたPSFを加工して、複
数の吐出口を有するオリフィスプレートを作成した。こ
の際の加工には、波長248nmのKrFエキシマレー
ザー光を使用し、図6に示す装置によって、下記に述べ
るようにしてオリフィスが600dpi相当の間隔に直
線的に複数個並ぶように、加工を行った。即ち、図6に
示したように、オリフィスプレートの、塗膜が形成され
ていない接合面側からエキシマレーザー光を照射し、基
材に、図7に示したような、オリフィス径20μmのオ
リフィスを形成した。
【0127】一方、UV照射によりタック性を保持した
ままBステージ化し、硬化収縮が終了し、加熱圧着によ
り接着できる状態のエポキシ系の接着剤を、転写法を用
いてヘッド本体の接合面に均一に塗布した。その後、1
mW/lcm2の紫外線を60秒照射してBステージ化
を行い、接着剤の硬化収縮を終わらせた。
【0128】次に、図5に示したように、上記のように
して、接合面に接着剤が塗布され、流路、ヒータ、基
板、天板を有するヘッド本体の流路と、先に調製したオ
リフィスプレートのオリフィスとが合うようにアライメ
ントを行った。その後、オリフィス面側から1kg/m
2の荷重をかけて、オリフィスプレートとへッド本体と
を密着させ、その状態を保持したまま60℃で加熱圧着
させ、接着剤の硬化を終了させた。上記で得られた本実
施例の液体吐出ヘッドを用いて印字を行ったところ、印
字にヨレやムラが発生せず、良好な印字物が得られた。
【0129】その他の実施例 上記した実施例1では、オリフィスプレートに塗膜(撥
液層)を形成してから吐出口を設けたが、本発明の主旨
に沿うものであれば、吐出口面に撥液層を設けるインク
ジェット記録ヘッドの製造方法はこれに限らず、異なる
インクジェット記録ヘッドの製造方法であってもよい。
【00130】図9は、本発明の別の実施例の液体吐出
ヘッドの作成手順を示しているが、該ヘッドの場合は、
先ず、液室、流路、吐出オリフィス面とを一体成形によ
り作りあげた溝付天板のオリフィス面に、実施例1で使
用したと同様の撥液処理剤を塗布した後、これを熱硬化
させて撥液膜を形成する。その後、実施例1で述べたと
同様にしてエキシマレーザー等による穴あけによって、
吐出オリフィス面に吐出オリフィスを形成する。そし
て、このようにして形成した吐出オリフィスを有する溝
付天板を、インクを吐出オリフィスより吐出させるため
の手段である発熱体を有する基板に接着して、図9
(2)に示すような構造の液体吐出ヘッドを作製する。
上記のようにして得られる液体吐出ヘッドは、実施例1
の場合と同様に、安定なインクジェット記録をいつまで
も継続することができる。
【0131】更に、上記以外の構造を有するものであっ
ても、例えば、吐出オリフィスより液体を吐出させるも
のであれば、図10に示したような、流路の終端部に吐
出オリフィスを形成するタイプの場合や、その他、流路
の端部に所定の径の穴を設けた流路とは別の吐出オリフ
ィス板を付設して吐出オリフィスを形成したタイプ(不
図示)の場合にも、図10に示したように、吐出オリフ
ィスが形成される面を、撥液処理剤で処理することで、
安定なインクジェット記録を行なうことができ、印字に
ヨレやムラが発生せず、良好な印字物が安定して得られ
るインクジェット記録ヘッドとなる。
【0132】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来の表面改質方法に用いていた撥液処理液とは全く異
なる原理により、物品表面の特性を容易に改質し得る、
具体的には、物品の表面に付与して被膜を形成させるこ
とによって、種々の材料からなる物品表面の撥液性を容
易に向上させることができ、しかも、その状態を安定に
維持させることができる新規な高分子膜が提供される。
更に、本発明によれば、上記の優れた効果を得ることが
可能な高分子膜を容易に形成し得る新規な高分子化合
物、該高分子化合物を含む撥液処理液、及び該高分子化
合物の製造方法が提供される。更に、本発明によれば、
撥液性及び成膜性に優れた被膜、より好ましくは物品と
の密着性に優れ、硬度や耐磨耗性にも優れた被膜を物品
の表面に形成し得る表面改質方法、及び表面改質された
物品が提供される。
【0133】又、以上説明したように、本発明によれ
ば、インクジェット記録ヘッドの吐出口面に塗布するこ
とによって、吐出口面に対して、優れた撥液特性(更に
好ましくは基材との密着性、膜の硬度や耐磨耗性)を付
与し、更には、かかる撥液特性等が使用によって損なわ
れることなく維持されるインクジェット記録ヘッド、及
びこれを用いたインクジェット記録装置が提供される。
【0134】又、本発明によれば、上記の優れた効果が
得られるインクジェット記録ヘッドが容易に得られるイ
ンクジェット記録ヘッド用の吐出口プレートが容易に得
られる該プレートの製造方法が提供される。特に、エキ
シマレーザー等の光エネルギーで容易に加工できるイン
クジェット記録ヘッド用のオリフィスプレートの製造方
法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高分子膜の構造を概念的に説明するた
めの説明図。
【図2】本発明の高分子膜表面を光エネルギーによって
加工する状態を概念的に説明する説明図。
【図3】本発明の一実施例にかかる液体吐出へッドの構
造を説明するために、構成部材を分解した模式的斜視
図。
【図4】液体吐出へッドの吐出口を有する吐出面の表面
状態を説明するための模式図。
【図5】図3に示した本発明の一実施例の液体吐出ヘッ
ドの吐出口を有する吐出面の模式的断面図。
【図6】本発明のインクジェット記録ヘッド用の吐出口
プレートの吐出口を作成するための装置の模式図。
【図7】本発明のインクジェット記録ヘッド用の吐出口
プレートの一例を示す断面図。
【図8】本発明のインクジェット記録ヘッドを構成する
オリフィスプレートの表面に好適に設けられる高分子膜
を概念的に示した説明図。
【図9】本発明の別の形態の液体吐出ヘッドの作成手順
を示す説明図。
【図10】本発明の別の形態の液体吐出ヘッドの斜視
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/00 C09D 151/00 151/00 155/00 155/00 201/02 201/02 C08L 27:12 // C08L 27:12 B41J 3/04 103N

Claims (60)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素原子を含む高分子鎖を備えた高分
    子の膜であって、その内部及び表面の少なくとも一方に
    上記高分子鎖の物理的集合体を有していることを特徴と
    する高分子膜。
  2. 【請求項2】 該高分子が、グラフト共重合体である請
    求項1に記載の高分子膜。
  3. 【請求項3】 該グラフト共重合体の幹部にフッ素原子
    が含まれている請求項2に記載の高分子膜。
  4. 【請求項4】 該グラフト共重合体の枝部にフッ素原子
    が含まれている請求項2に記載の高分子膜。
  5. 【請求項5】 フッ素原子を含む高分子鎖(以下、第1
    のセグメントという)と、該第1のセグメントとは溶剤
    に対する親和性が相対的に異なる高分子鎖(以下、第2
    のセグメントという)とを有し、且つ上記第1のセグメ
    ントの物理的な架橋による上記高分子化合物の集合体
    (以下単に「フッ素ドメイン」という)をその内部及び
    表面の少なくとも一方に含む高分子化合物からなること
    を特徴とする高分子膜。
  6. 【請求項6】 フッ素原子を含む第1のセグメントと、
    該第1のセグメントとは溶剤に対する親和性が相対的に
    異なる第2のセグメントとを有し、且つフッ素ドメイン
    を有し、更に上記第2のセグメント同士が化学的に架橋
    している高分子化合物からなることを特徴とする高分子
    膜。
  7. 【請求項7】 フッ素原子を含むセグメントを有する高
    分子化合物が液中に溶解されており、且つ該液中にフッ
    素ドメインを含むことを特徴とする撥液処理液。
  8. 【請求項8】 フッ素原子を含む第1のセグメントと、
    溶剤に対する親和性が第1のセグメントと相対的に異な
    る第2のセグメントとを有する高分子化合物が上記溶剤
    に溶解されて液状となっており、且つ該液中にフッ素ド
    メインを含むことを特徴とする撥液処理液。
  9. 【請求項9】 高分子化合物が、第1のセグメント及び
    第2のセグメントのいずれか一方が幹成分、他方が枝成
    分を構成するグラフト共重合体である請求項8に記載の
    撥液処理液。
  10. 【請求項10】 第2のセグメントが、該第2のセグメ
    ント同士を互いに化学的に架橋可能な官能基を有する請
    求項9に記載の撥液処理液。
  11. 【請求項11】 フッ素原子を含むセグメントを有し、
    その内部及び表面の少なくとも一方にフッ素ドメインを
    有している高分子膜を表面に具備していることを特徴と
    する表面改質された物品。
  12. 【請求項12】 フッ素原子を含む第1のセグメント
    と、該第1のセグメントとは溶剤に対する親和性が相対
    的に異なる第2のセグメントとを有する高分子化合物か
    らなり、且つフッ素ドメインをその内部及び表面の少な
    くとも一方に含む高分子膜を表面に具備していることを
    特徴とする表面改質された物品。
  13. 【請求項13】 高分子化合物が、第1のセグメント及
    び第2のセグメントのいずれか一方が幹成分、他方が枝
    成分を構成するグラフト共重合体である請求項12に記
    載の表面改質された物品。
  14. 【請求項14】 第2のセグメント同士、若しくは該第
    2のセグメントと物品の表面とが化学的に結合している
    請求項12又は13に記載の表面改質された物品。
  15. 【請求項15】 フッ素原子を含むセグメントを有する
    高分子化合物が溶解され、且つフッ素ドメインを含む撥
    液処理液を、物品の表面に塗布し、その後に乾燥させる
    工程を有することを特徴とする物品の表面改質方法。
  16. 【請求項16】 フッ素原子を含む第1のセグメント
    と、該第1のセグメントとは溶剤に対する親和性が相対
    的に異なる第2のセグメントとを有する高分子化合物が
    上記溶剤に溶解されており、且つフッ素ドメインを含む
    撥液処理液を、物品の表面に塗布し、その後に乾燥させ
    る工程を有することを特徴とする物品の表面改質方法。
  17. 【請求項17】 高分子化合物が、第1のセグメント及
    び第2のセグメントのいずれか一方が幹成分、他方が枝
    成分を構成するグラフト共重合体である請求項16に記
    載の表面改質方法。
  18. 【請求項18】 第2のセグメントが、該第2のセグメ
    ント同士、又は第2のセグメントと物品の表面との間に
    化学的な架橋を形成することが可能な官能基を有する請
    求項17に記載の表面改質方法。
  19. 【請求項19】 更に、第2のセグメント同士、又は第
    2のセグメントと物品の表面との間に化学的な架橋を生
    じさせる工程を有する請求項18に記載の表面改質方
    法。
  20. 【請求項20】 フッ素原子を含む第1のセグメント
    と、該第1のセグメントとは溶剤に対する親和力が相対
    的に異なる第2のセグメントとを有し、第1のセグメン
    トとして、下記一般式(1)〜(4)から選ばれる少な
    くとも1つのセグメントを有し、且つ第2のセグメント
    として、下記一般式(5)又は(6)のセグメント、及
    び[1]〜[4]に列挙した単量体からなるセグメント
    から選ばれる少なくとも1つのセグメントを有すること
    を特徴とする高分子化合物:
  21. 【請求項21】 末端にカルボキシル基を有するパーフ
    ルオロアルキル基含有オリゴマーに、エチレン性不飽和
    基含有エポキシ化合物を反応させて、末端にエチレン性
    不飽和基を有するパーフルオロアルキル基含有マクロモ
    ノマーを製造する工程を有することを特徴とするマクロ
    モノマーの製造方法。
  22. 【請求項22】 パーフルオロアルキル基含有オリゴマ
    ーが、フッ素原子含有量として10重量%以上、連鎖個
    数数平均分子量が1,000〜100,000である請
    求項21に記載のマクロモノマーの製造方法。
  23. 【請求項23】 パーフルオロアルキル基含有オリゴマ
    ーが、架橋可能な基を含んでいる請求項22に記載のマ
    クロモノマーの製造方法。
  24. 【請求項24】 架橋可能な基を、マクロモノマーの製
    造時に導入する請求項23に記載のマクロモノマーの製
    造方法。
  25. 【請求項25】 架橋可能な基が、水酸基、メチロール
    基、アミノ基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1
    つである請求項23又は24に記載のマクロモノマーの
    製造方法。
  26. 【請求項26】 末端にエチレン性不飽和基を有するパ
    ーフルオロアルキル基含有マクロモノマーと、ラジカル
    重合可能な官能基を有する芳香環含有モノマーとを共重
    合させてグラフト共重合体を得る工程を有することを特
    徴とするグラフト共重合体の製造方法。
  27. 【請求項27】 芳香環含有モノマーが、フェニル基、
    ナフチル基及び複素環基から選ばれる少なくとも1つを
    有する化合物である請求項26に記載のグラフト共重合
    体の製造方法。
  28. 【請求項28】 複素環基が、ベンゾトリアゾール、ベ
    ンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオ
    キサゾール、イソインダゾール、アントラニル、ベンゾ
    チアゾール、ベンゾオキサチアゾールの何れかである請
    求項27に記載のグラフト共重合体の製造方法。
  29. 【請求項29】 末端にエチレン性不飽和基を有するパ
    ーフルオロアルキル基含有マクロモノマーと、ラジカル
    重合可能な官能基を有するモノマーとを共重合させてグ
    ラフト共重合体を得る工程を有することを特徴とするグ
    ラフト共重合体の製造方法。
  30. 【請求項30】 モノマーが、芳香環を含む請求項29
    に記載のグラフト共重合体の製造方法。
  31. 【請求項31】 末端にカルボキシル基を有する芳香環
    含有オリゴマーに、エチレン性不飽和基含有エポキシ化
    合物を反応させて、末端にエチレン性不飽和基を有する
    芳香環含有マクロモノマーを製造する工程を有すること
    を特徴とするマクロモノマーの製造方法。
  32. 【請求項32】 芳香環含有モノマーが、フェニル基、
    ナフチル基又は複素環基を有する化合物の何れかである
    請求項31に記載のマクロモノマーの製造方法。
  33. 【請求項33】 複素環基が、ベンゾトリアゾール、ベ
    ンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオ
    キサゾール、イソインダゾール、アントラニル、ベンゾ
    チアゾール、ベンゾオキサチアゾールの何れかである請
    求項31に記載のマクロモノマーの製造方法。
  34. 【請求項34】 末端にエチレン性不飽和基を有する芳
    香環含有マクロモノマーと、ラジカル重合可能な官能基
    を有するパーフルオロアルキル基含有モノマーとを共重
    合させてグラフト共重合体を得る工程を有することを特
    徴とするグラフト共重合体の製造方法。
  35. 【請求項35】 更に、架橋性モノマーを共重合反応時
    に配合する工程を有する請求項34に記載のグラフト共
    重合体の製造方法。
  36. 【請求項36】 グラフト共重合体が溶解している状態
    で架橋性モノマーを配合する工程を有する請求項35に
    記載のグラフト共重合体の製造方法。
  37. 【請求項37】 グラフト共重合体と架橋性モノマーと
    を重合させる工程を有する請求項35又は36に記載の
    グラフト共重合体の製造方法。
  38. 【請求項38】 架橋性モノマーとして、ビニル系シラ
    ンカップリング剤、ビニル系フッ素シランカップリング
    剤、エポキシ基含有化合物、ポリイソシアネート化合物
    又はメラミン化合物の何れかを用いる請求項35〜37
    の何れか1項に記載のグラフト共重合体の製造方法。
  39. 【請求項39】 架橋性モノマーが芳香環を含む請求項
    38に記載のグラフト共重合体の製造方法。
  40. 【請求項40】 芳香環が、フェニル基、ナフチル基又
    は複素環基を有する化合物の何れかである請求項39に
    記載のグラフト共重合体の製造方法。
  41. 【請求項41】 末端にエチレン性不飽和基を有するマ
    クロモノマーと、ラジカル重合可能な官能基とパーフル
    オロアルキル基とを有する芳香環含有モノマーとを共重
    合させてグラフト共重合体を得る工程を有することを特
    徴とするグラフト共重合体の製造方法。
  42. 【請求項42】 芳香環が、フェニル基、ナフチル基又
    は複素環基である請求項41に記載のグラフト共重合体
    の製造方法。
  43. 【請求項43】 末端にエチレン性不飽和基を有し、且
    つ分子内に架橋可能な官能基を有するマクロモノマー
    と、ラジカル重合可能な官能基を有するパーフルオロア
    ルキル基含有モノマーとを共重合させてグラフト共重合
    体を得る工程と、該グラフト共重合体中の上記マクロモ
    ノマー由来の官能基を架橋させる工程とを有することを
    特徴とする架橋グラフト共重合体の製造方法。
  44. 【請求項44】 マクロモノマーに、芳香環を含む請求
    項43に記載の架橋グラフト共重合体の製造方法。
  45. 【請求項45】 芳香環が、フェニル基、ナフチル基又
    は複素環基を有する化合物のいずれかである請求項44
    に記載の架橋グラフト共重合体の製造方法。
  46. 【請求項46】 架橋可能な官能基が、水酸基、メチロ
    ール基、アミノ基及びエポキシ基から選ばれる少なくと
    も1つである請求項43〜45の何れか1項に記載の架
    橋グラフト共重合体の製造方法。
  47. 【請求項47】 複数のインク吐出口を有するインクジ
    ェット記録ヘッドの吐出口面が、溶剤に対して所定の親
    和性を有する第1のセグメント(第1の領域)と該第1
    のセグメントとは溶剤に対する親和性が異なる第2のセ
    グメント(第2の領域)とを有し、且つ該インク吐出口
    の周方向に沿って上記第1のセグメント及び第2のセグ
    メントが交互に並んで形成されていることを特徴とする
    インクジェット記録ヘッド。
  48. 【請求項48】 複数のインク吐出口を有するインクジ
    ェット記録ヘッドの吐出口面に、フッ素原子を含むセグ
    メントを有し、内部及び/又は表面にフッ素ドメインを
    有している高分子膜が設けられていることを特徴とする
    インクジェット記録ヘッド。
  49. 【請求項49】 フッ素原子を含む第1のセグメント
    と、該第1のセグメントとは溶剤に対する親和性が相対
    的に異なる第2のセグメントとを有する高分子化合物か
    らなり、且つフッ素ドメインをその内部及び/又は表面
    に含む高分子膜を吐出口面に具備していることを特徴と
    するインクジェット記録ヘッド。
  50. 【請求項50】 第2のセグメント同士、若しくは該第
    2のセグメントとインクジェット記録ヘッドの吐出口面
    との間に化学的な架橋を有する請求項49に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  51. 【請求項51】 第2のセグメント中に、高分子化合物
    に所定の波長の光に対して吸収性を持たせるための基が
    含まれている請求項49に記載のインクジェット記録ヘ
    ッド。
  52. 【請求項52】 前記基が、フェニル基若しくはビニル
    基である請求項51に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  53. 【請求項53】 板状部材の一方の表面に、フッ素原子
    を含むセグメントを有し、その内部及び/又は表面にフ
    ッ素ドメインを有し、且つ所定の波長域の光に対する吸
    収性を有する高分子膜を設ける工程、及び上記工程によ
    って得られた高分子膜を表面に有する板状部材に対し
    て、上記高分子膜が吸収を示す波長域の光を含む光を照
    射して上記板状部材に貫通孔を形成する工程を有するこ
    とを特徴とするインクジェット記録ヘッド用の吐出口プ
    レートの製造方法。
  54. 【請求項54】 前記波長域が、紫外領域である請求項
    53に記載の吐出口プレートの製造方法。
  55. 【請求項55】 板状部材の一方の表面に、フッ素原子
    を含む第1のセグメントと、該第1のセグメントとは溶
    剤に対する親和性が相対的に異なる第2のセグメントと
    を有する高分子化合物からなり、且つフッ素ドメインを
    その内部及び/又は表面に含み、所定の波長域の光に対
    する吸収性を有する高分子膜を設ける工程、及び上記工
    程によって得られた高分子膜を表面に有する板状部材に
    対して、上記高分子膜が吸収を示す波長域の光を含む光
    を照射して上記板状部材に貫通孔を形成する工程を有す
    ることを特徴とするインクジェット記録ヘッド用の吐出
    口プレートの製造方法。
  56. 【請求項56】 前記波長域が、紫外領域である請求項
    55に記載の吐出口プレートの製造方法。
  57. 【請求項57】 高分子化合物が、第2のセグメント同
    士、若しくは該第2のセグメントとインクジェット記録
    ヘッドの吐出口面との間に化学的な架橋を生じさせるた
    めの基を、第2のセグメント中に有する請求項55に記
    載の吐出口プレートの製造方法。
  58. 【請求項58】 インク吐出口と、該吐出口に連通され
    ているインク液路と、該インク液路に配設されたインク
    吐出エネルギー発生素子と、上記インク液路に連通する
    開口が配置された開口面に接合されているインク吐出口
    プレートとを有するインクジェット記録ヘッドであっ
    て、上記吐出口プレートが、請求項53〜57のいずれ
    か1項に記載の製造方法で得られた吐出口プレートであ
    ることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  59. 【請求項59】 請求項47〜52及び請求項58のい
    ずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドと、該ヘ
    ッドにインクを供給するインクタンクとが一体的に形成
    されていることを特徴とするインクジェットカートリッ
    ジ。
  60. 【請求項60】 請求項59に記載のインクジェットカ
    ートリッジと、該インクジェットカートリッジを搭載し
    て走査可能に設けられたキャリジとを備えたことを特徴
    とするインクジェット記録装置。
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