JP2001233815A - 含フッ素ビニルエーテル化合物、含フッ素ビニルエーテル化合物重合体、および含フッ素ビニルエーテル化合物の製造方法 - Google Patents

含フッ素ビニルエーテル化合物、含フッ素ビニルエーテル化合物重合体、および含フッ素ビニルエーテル化合物の製造方法

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JP2001233815A
JP2001233815A JP2000044915A JP2000044915A JP2001233815A JP 2001233815 A JP2001233815 A JP 2001233815A JP 2000044915 A JP2000044915 A JP 2000044915A JP 2000044915 A JP2000044915 A JP 2000044915A JP 2001233815 A JP2001233815 A JP 2001233815A
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fluorine
ether compound
compound
meth
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English (en)
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Nobuyasu Shinohara
宣康 篠原
Akira Nishikawa
昭 西川
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JSR Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F12/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an aromatic carbocyclic ring
    • C08F12/02Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical
    • C08F12/04Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical containing one ring
    • C08F12/14Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical containing one ring substituted by hetero atoms or groups containing heteroatoms
    • C08F12/26Nitrogen

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低屈折率樹脂組成物等の原料成分、あるいは
ラジカル硬化性成分やカチオン硬化性成分として好適な
含フッ素ビニルエーテル化合物およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表わされる含フッ素
ビニルエーテル化合物。 【化1】 [一般式(1)中、置換基Rfは、式Cn2n-1、式Cn
2nHまたは式Cn2n+ 1(それぞれの式中のnは2〜
12の整数である。)で表される含フッ素基であり、繰
り返し数mは、1〜10の整数である。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含フッ素ビニルエ
ーテル化合物、含フッ素ビニルエーテル化合物重合体、
および含フッ素ビニルエーテル化合物の製造方法に関す
る。より詳細には、低屈折率樹脂の原料成分等として好
適な含フッ素ビニルエーテル化合物、このような化合物
からなる重合体、およびこのような化合物が効率的に得
られる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、含フッ素ビニルエーテル化合物と
して、文献1「J. Fluorine Chem., 44(1989)395-412」
に、下記式(4)で表される1H,1H,2H,2H−
トリデカフルオロオクチロキシエチルビニルエーテル
や、下記式(5)で表される1H,1H,2,2H−ト
リデカフルオロオクチルビニルエーテルが記載されてい
る。また、文献2「Makromol. Chem., 194(1992)275-28
4」には、下記式(6)で表される1H,1H,2H,
2H−ヘプタデカフルオロデシルビニルエーテル等が記
載されている。
【0003】
【化4】
【0004】
【化5】
【0005】
【化6】
【0006】しかしながら、これらの含フッ素ビニルエ
ーテル化合物は、いずれも製造収率が低く、また反応触
媒として高価な金属化合物(たとえばパラジウム錯体
等)を用いなければならないため、経済的に不利である
という問題が見られた。
【0007】また、特開昭50−52019号公報に、
パーフルオロオレフィンと、不飽和酸オキシアルキルエ
ステルとをモノマ原料として使用し、これらを塩基性物
質の存在下に反応させてなる含フッ素不飽和単量体の製
造方法が開示されている。しかしながら、かかる反応系
は、制御するのが困難であり、反応中にゲル化をし易い
という問題が見られた。したがって、製造管理が容易で
なく、製造コストが高くなるなど、経済的に不利であっ
た。また、特開昭50−52019号公報に開示された
製造方法によって得られる含フッ素不飽和単量体は、激
しく着色しているという問題も見られた。したがって、
透明性が要求される用途には、使用できないなどの制限
が見られた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の発明
者らは鋭意検討した結果、特定構造を有する含フッ素ビ
ニルエーテル化合物とするか、あるいは、当該含フッ素
ビニルエーテル化合物を、特定構造を有するパーフルオ
ロオレフィン化合物およびビニルエーテル化合物を反応
させて構成することにより、上述した問題を解決できる
ことを見出した。すなわち、本発明は、ラジカル硬化性
成分、カチオン硬化性成分、あるいは低屈折率樹脂組成
物等の原料成分として好適であり、透明性が高く、安価
であり、しかも製造効率が高い含フッ素ビニルエーテル
化合物を提供することを目的とする。また、本発明の他
の目的は、特定構造を有する含フッ素ビニルエーテル化
合物を、高い収率で、しかも比較的低温で効率的に製造
することが出来る含フッ素ビニルエーテル化合物の製造
方法を提供することにある。また、本発明の別の目的
は、優れた透明性や低屈折率等の特性を有する含フッ素
ビニルエーテル化合物重合体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記一
般式(1)で表される含フッ素ビニルエーテル化合物が
提供され、上述した問題点を解決することができる。
【0010】
【化7】
【0011】[一般式(1)中、置換基Rfは、式Cn
2n-1、式Cn2nHまたは式Cn2n+ 1(それぞれの式
中のnは2〜12の整数である。)で表される一価の含
フッ素基であり、繰り返し数mは、1〜10の整数であ
る。]
【0012】このように含フッ素ビニルエーテル化合物
中に、所定の置換基としてのフッ素原子、および反応性
二重結合を分子内に含むことにより、ラジカル硬化性成
分、カチオン硬化性成分、あるいは低屈折率樹脂組成物
等の原料成分として好適に使用することができる。ま
た、かかる含フッ素ビニルエーテル化合物は、透明性が
高く、安価であり、しかも高い製造効率で製造が可能で
あるという特徴がある。さらに、このような化合物はマ
クロモノマとして使用することができ、フッ素含有の側
鎖を有するポリマを容易に得ることができる。
【0013】また、本発明の含フッ素ビニルエーテル化
合物を構成するにあたり、置換基Rfが、式Cn2n-1
(nは、3〜9の整数である。)で表される含フッ素基
であることが好ましい。このような構成にすることによ
り、より高い収率で、しかも特殊な設備を必要とせずに
目的の含フッ素化合物を得ることができる。
【0014】また、本発明の別の態様は、上述した一般
式(1)で表される含フッ素ビニルエーテル化合物の製
造方法であり、下記一般式(2)で表されるヒドロキシ
アルキルビニルエーテル化合物と、下記一般式(3)で
表されるパーフルオロオレフィン化合物とを反応させる
ことを特徴としている。なお、かかる反応を著しく促進
させることができることから、反応系内に塩基性物質を
添加することが好ましく、さらに反応収率を向上させる
ことができることから、相間移動触媒の存在下で反応を
行うことがより好ましい。
【0015】
【化8】
【0016】[一般式(2)中の繰り返し数mは、一般
式(1)と同様の内容である。]
【0017】
【化9】
【0018】[一般式(3)中、nは、2〜12の整数
である。]
【0019】また、本発明の別の態様は、上述した含フ
ッ素ビニルエーテル化合物を単独重合あるいは共重合し
てなる含フッ素ビニルエーテル化合物重合体に関する。
このような含フッ素ビニルエーテル化合物を含んだ重合
体とすることにより、分子内に所定のフッ素原子を含ま
せることができるとともに、優れた透明性や低屈折率等
の特性を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の含フッ素ビニルエーテル
化合物に関する実施の形態(第1の実施形態)、含フッ
素ビニルエーテル化合物の製造方法に関する実施の形態
(第2の実施形態)、および含フッ素ビニルエーテル化
合物重合体に関する実施の形態(第3の実施形態)を具
体的に説明する。
【0021】[第1の実施形態]本発明の第1の実施形
態は、一般式(1)で表される含フッ素ビニルエーテル
化合物である。
【0022】(1)置換基Rf 一般式(1)におけるRfは、式Cn2n-1、式Cn2n
Hまたは式Cn2n+1(それぞれの式中のnは、2〜1
2の整数である。)で表される含フッ素基(フッ化炭素
基またはフッ素化炭化水素基)である。かかる含フッ素
基は、直鎖状であっても分岐状であっても良い。また、
Rfが式Cn2n-1で表される含フッ素基の場合、その
不飽和結合を、分子末端に有していても、あるいは、分
子内部に有していても良い。
【0023】ここで、Cn2n-1で表される具体的な含
フッ素基としては、1−ペンタフルオロエチル−2,2
−ビス(トリフルオロメチル)エテニル基、1,2−ジ
フルオロ−2−トリフルオロメチルエテニル基、1−ト
リフルオロメチル−2,2−ビス(ヘプタフルオロイソ
プロピル)エテニル基、1,2,3−トリフルオロエテ
ニル基、2−フルオロ−1,2−ビス(トリフルオロメ
チル)エテニル基等が挙げられる。また、式Cn2n
で表される具体的な含フッ素基としては、1−(1−ト
リフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)
−1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル
基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル
基、1,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1,3−ビ
ス(トリフルオロメチル)−2−(ヘプタフルオロイソ
プロピル)ブチル基等が挙げられる。さらに、式Cn
2n+1で表される具体的な含フッ素基としては、1−
(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)−2−
トリフルオロメチル−1,2,3,3,3−ペンタフル
オロプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタ
フルオロプロピル基、1,2,3,4,4,4−ヘキサ
フルオロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−2−
(ヘプタフルオロイソプロピル)ブチル基等が挙げられ
る。
【0024】これらのうち、一般式(1)におけるRf
としては、不飽和部を有するとともに、nが3〜9の整
数であって、式Cn2n-1で表される含フッ素基がより
好ましい。この理由は、このような含フッ素基を有する
フルオロオレフィンであれば、アルコール性一級水酸基
を有する化合物に対して、一般的に入手が容易な炭酸カ
リウムなどの弱塩基の存在下に、付加脱離反応を容易に
進行させることが可能だからである。したがって、かか
る反応により、高い収率で、しかも特殊な設備を必要と
せずに、特定の構造を有する含フッ素化合物を得ること
ができる。
【0025】(2)具体例 一般式(1)で表される含フッ素ビニルエーテル化合物
の具体例としては、1−ペンタフルオロエチル−2,2
−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシエチルビ
ニルエーテル、1−ペンタフルオロエチル−2,2−ビ
ス(トリフルオロメチル)エテニルオキシブチルビニル
エーテル、1,2−ジフルオロ−2−トリフルオロメチ
ルエテニルオキシエチルビニルエーテル、1,2−ジフ
ルオロ−2−トリフルオロメチルエテニルオキシブチル
ビニルエーテル、1−トリフルオロメチル−2,2−ビ
ス(ヘプタフルオロイソプロピル)エテニルオキシエチ
ルビニルエーテル、1−トリフルオロメチル−2,2−
ビス(ヘプタフルオロイソプロピル)エテニルオキシブ
チルビニルエーテル、1−ヘプタフルオロイソプロピル
−2−トリフルオロメチル−2−ヘプタフルオロプロピ
ル−エテニルオキシエチルビニルエーテル、1−ヘプタ
フルオロイソプロピル−2−トリフルオロメチル−2−
ヘプタフルオロプロピル−エテニルオキシブチルビニル
エーテル、1,2,3−トリフルオロエテニルオキシエ
チルビニルエーテル、1,2,3−トリフルオロエテニ
ルオキシブチルビニルエーテル、2−フルオロ−1,2
−ビス(トリフルオロメチル)エテニルオキシエチルビ
ニルエーテル、2−フルオロ−1,2−ビス(トリフル
オロメチル)エテニルオキシブチルビニルエーテル、1
−(1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオ
ロエチル)−1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ
プロピルオキシエチルビニルエーテル、1−(1−トリ
フルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)−
1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキ
シブチルビニルエーテル、1,1,2,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロピルオキシエチルビニルエーテル、
1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキ
シブチルビニルエーテル、1,3,4,4,4−ペンタ
フルオロ−1,3−ビス(トリフルオロメチル)−2−
(ヘプタフルオロイソプロピル)ブチルオキシエチルビ
ニルエーテル、1,3,4,4,4−ペンタフルオロ−
1,3−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ヘプタフ
ルオロイソプロピル)ブチルオキシブチルビニルエーテ
ル、1,3,3,4,4,5,5,5−オクタフルオロ
−1−ヘプタフルオロイソプロピル−2−トリフルオロ
メチル−ペンチルオキシエチルビニルエーテル、1,
3,3,4,4,5,5,5−オクタフルオロ−1−ヘ
プタフルオロイソプロピル−2−トリフルオロメチル−
ペンチルオキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0026】また、これらの含フッ素ビニルエーテル化
合物の構造式(7)および(8)を下記に示す。なお、
ここで構造式(7)に示す一連の化合物群は、分子内に
二重結合を有している化合物の具体例であり、一方、構
造式(8)に示す一連の化合物群は、分子内に二重結合
を有していない化合物の具体例である。
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】なお、これらに例示した含フッ素ビニルエ
ーテル化合物は、1H−NMRスペクトル、13C−NM
Rスペクトル、および19F−NMRスペクトルにおい
て、ビニル基やエーテル結合由来の特定のケミカルシフ
ト値を有しており、また、IRスペクトルにおいて、炭
素−炭素二重結合、炭素−フッ素結合の特定の赤外吸収
ピークを有している(実施例参照)。逆に言えば、1
−NMRスペクトル等における特定のケミカルシフト値
や、IRスペクトルにおける特定の赤外吸収ピークを測
定することにより、本発明の含フッ素ビニルエーテル化
合物であると同定することができる。
【0030】[第2の実施形態]本発明の第2の実施形
態は、一般式(1)で表される含フッ素ビニルエーテル
化合物(ただし、置換基Rfが、式Cn2n+1の場合を
除く。)の製造方法であり、一般式(2)で表されるヒ
ドロキシアルキルビニルエーテル化合物と、一般式
(3)で表されるパーフルオロオレフィン化合物とを、
相間移動触媒の存在下に反応させることを特徴とする。
【0031】(1)ヒドロキシアルキルビニルエーテル
化合物 第2の実施形態で使用されるヒドロキシアルキルビニル
エーテル化合物は、一般式(2)で表される化合物であ
れば好適に使用することができる。ただし、入手が容易
であり、しかも、経済性に優れていることから、下記式
(9)で表されるヒドロキシエチルビニルエーテルや、
下記式(10)で表されるヒドロキシブチルビニルエー
テルがより好適である。
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】(2)パーフルオロオレフィン化合物 種類 第2の実施形態で使用されるパーフルオロオレフィン化
合物は、一般式(3)で表される化合物であれば好適に
使用することができるが、具体的に、ヘキサフルオロプ
ロペン、ヘキサフルオロプロペン二量体(ダイマー)、
ヘキサフルオロプロペン三量体(トリマー)、ヘキサフル
オロプロペン四量体、ヘキサフルオロプロペン五量体、
ヘキサフルオロプロペン六量体、テトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン二量体、テトラフルオロエ
チレン三量体、テトラフルオロエチレン四量体、テトラ
フルオロエチレン五量体、テトラフルオロエチレン六量
体、オクタフルオロイソブテン等の一種単独または二種
以上の組み合わせが挙げられる。
【0035】これらのパーフルオロオレフィン化合物の
うち、常温で液体であり、反応操作性に優れ、しかも反
応性も良好な点から、下記式(11)および(12)で
表される異性体からなるヘキサフルオロプロペンダイマ
ー、下記式(13)および(14)で表される異性体か
らなるヘキサフルオロプロペントリマーがより好適に使
用される。なお、ここで用いられるヘキサフルオロプロ
ペンダイマーおよびヘキサフルオロプロペントリマー
は、それぞれ、下記式(11)、(12)、(13)、
(14)で表される化合物ばかりでなく、これら化合物
の混合物を含む場合がある。
【0036】
【化14】
【0037】
【化15】
【0038】
【化16】
【0039】
【化17】
【0040】使用量 また、パーフルオロオレフィン化合物の使用量は特に制
限されるものではないが、ヒドロキシアルキルビニルエ
ーテル化合物1モルに対して、0.5〜10モルの範囲
内の値とするのが好ましい。この理由は、パーフルオロ
オレフィン化合物の反応量が0.5モル未満となると、
副生成物が生成したり、あるいは、目的物の収率が低下
する場合があるためであり、一方、パーフルオロオレフ
ィン化合物の使用量が10モルを超えると、経済的に著
しく不利となる場合があるためである。したがって、パ
ーフルオロオレフィン化合物の使用量を、ヒドロキシア
ルキルビニルエーテル化合物1モルに対して、0.8〜
5モルの範囲内の値とするのがより好ましく、1〜3モ
ルの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0041】3)相間移動触媒 種類 相間移動触媒の種類は特に制限されるものではないが、
例えば、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、テ
トラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラメチル
アンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロ
リド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベン
ジルトリメチルアンモニウムクロリド、などのアンモニ
ウム塩、トリフェニルメチルホスホニウムブロミド、ト
リフェニルメチルホスホニウムクロリド、などのホスホ
ニウム塩等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙
げられる。特に、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロ
ミドおよびテトラ−n−メチルアンモニウムブロミド
は、副反応を効果的に抑制することができ、精製操作が
容易であることから好適に使用することができる。
【0042】添加量 また、使用する相間移動触媒の添加量についても特に制
限されるものではないが、ヒドロキシアルキルビニルエ
ーテル化合物1モルに対して、0.00001〜1モル
の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、相間移
動触媒の添加量が0.00001モル未満となると、触
媒としての効果に乏しく反応収率が低下する場合があ
り、一方、相間移動触媒の添加量が1モルを超えると、
反応終了後の精製操作が困難となる場合があるためであ
る。したがって、相間移動触媒の添加量を、ヒドロキシ
アルキルビニルエーテル化合物1モルに対して、0.0
001〜0.5モルの範囲内の値とするのがより好まし
く、0.001〜0.1モルの範囲内の値とするのがさ
らに好ましい。
【0043】(4)反応条件 反応温度 ヒドロキシアルキルビニルエーテル化合物と、パーフル
オロオレフィン化合物との反応温度は特に制限されるも
のではないが、反応温度を10〜100℃の範囲内の値
とするのが好ましい。この理由は、反応温度が10℃未
満となると、反応速度が著しく遅くなり、経済的に不利
となる場合があるためであり、一方、反応温度が100
℃を超えると、副反応が生じたり、使用可能な有機溶媒
の種類が過度に制限される場合があるためである。した
がって、ヒドロキシアルキルビニルエーテル化合物と、
パーフルオロオレフィン化合物との反応温度を20〜7
0℃の範囲内の値とするのがより好ましく、25〜50
℃未満の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0044】反応時間 また、ヒドロキシアルキルビニルエーテル化合物と、パ
ーフルオロオレフィン化合物との反応時間についても特
に制限されるものではないが、1〜100時間の範囲内
の値とするのが好ましい。この理由は、反応時間が1時
間を未満となると、未反応性分が著しく多くなる場合が
あるためであり、一方、反応時間が100時間を超える
と、副反応が生じたり、経済的に著しく不利となる場合
があるためである。したがって、ヒドロキシアルキルビ
ニルエーテル化合物と、パーフルオロオレフィン化合物
との反応時間を3〜72時間の範囲内の値とするのがよ
り好ましく、5〜48時間の範囲内の値とするのがさら
に好ましい。
【0045】塩基性物質 また、パーフルオロオレフィン化合物と、ヒドロキシア
ルキルビニルエーテル化合物とを反応させる際に、塩基
性物質を添加することが好ましい。このように塩基性物
質を添加することにより、これらのパーフルオロオレフ
ィン化合物とヒドロキシアルキルビニルエーテル化合物
とを容易に反応させることができるとともに、副生成物
である弗化水素(HF)を中和することができる。ま
た、塩基性物質の種類は特に制限されるものではない
が、例えば、pH8〜12程度の弱塩基性を示す無機化
合物が好ましい。このような無機化合物としては、具体
的に、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等を挙げることが
できる。また、塩基性物質の添加量を、パーフルオロオ
レフィン化合物とヒドロキシアルキルビニルエーテル化
合物との合計量に対して、0.001〜20重量%の範
囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる塩
基性物質の添加量が0.001重量%未満となると、添
加効果が得られない場合があるためであり、一方、塩基
性物質の添加量が20重量%を超えると、反応を制御す
ることが困難となる場合があるためである。したがっ
て、かかる塩基性物質の添加量を0.01〜10重量%
の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜5重
量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0046】溶媒 また、ヒドロキシアルキルビニルエーテル化合物と、パ
ーフルオロオレフィン化合物とを反応させる際に、溶媒
を使用するのが好ましい。このように溶媒を使用するこ
とにより、反応活性種の濃度を調整し、副反応を抑制す
ることができ、しかも、反応温度の制御が容易となる。
【0047】また、使用する溶媒の種類についてもビニ
ルエーテル基と反応する酸性物質、あるいはパーフルオ
ロオレフィンと反応する活性水酸基を有する化合物以外
であれば特に制限されるものではないが、塩化メチレ
ン、フロン系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、
ヘキサメチルホスホルアミド、アセトニトリル、アセト
ン、ジフェニルエーテル、ジグリム、等の一種単独また
は二種以上の組み合わせが挙げられる。さらに、使用す
る溶媒量については、ヒドロキシビニルエーテル化合物
と、パーフルオロオレフィン化合物との濃度が10〜9
0重量%の範囲内の値となるように添加するのが好まし
い。この理由は、これらの濃度範囲外となると、反応速
度が著しく低下、あるいは副反応が進行する場合がある
ためである。
【0048】[第3の実施形態]本発明の第3の実施形
態は、一般式(1)で表される含フッ素ビニルエーテル
化合物の重合体である。このような含フッ素ビニルエー
テル化合物重合体は、優れた透明性や低屈折率等の特性
を有しているという特徴がある。また、かかる含フッ素
ビニルエーテル化合物重合体は、含フッ素不飽和基を側
鎖に有しているため、グラフトポリマの原料としても好
適に使用できる。なお、含フッ素ビニルエーテル化合物
重合体は、上述した含フッ素ビニルエーテル化合物を単
独重合することにより得られる含フッ素ビニルエーテル
化合物単独重合体、および上述した含フッ素ビニルエー
テル化合物と、後述する共重合成分とを共重合すること
により得られる含フッ素ビニルエーテル化合物共重合体
の両者を意味する。したがって、特に限定が無い場合に
は、両者の重合体を含んだ意味である。
【0049】(1)重合方法 含フッ素ビニルエーテル化合物重合体を得るための重合
方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニ
ル基を利用したカチオン重合やラジカル重合、あるい
は、含フッ素二重結合を利用したラジカル重合やアニオ
ン重合等の重合方法を採ることができる。したがって、
ビニル基の重合開始剤や反応性二重結合の重合開始剤を
室温または必要に応じて冷却下において添加することに
より、さらに必要に応じて反応系を加熱することによ
り、もしくは、紫外線や電子線を照射することにより、
含フッ素ビニルエーテル化合物を容易に重合することが
できる。また、この重合方法は、回分式、半連続式また
は連続式など、目的に応じて適宜選択することができ
る。以下、重合開始剤や重合条件等について、具体的に
説明する。
【0050】重合開始剤 重合開始剤(ラジカル発生剤と称する場合がある。)と
しては、ラジカル性熱重合開始剤や、ラジカル性光重合
開始剤等の公知の化合物を使用することができるが、特
に、ラジカル性熱重合開始剤を使用することが好まし
い。ここで、ラジカル性熱重合開始剤は、分解温度以上
に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物で
ある。このようなラジカル性熱重合開始剤(後述するヨ
ウ素含有フッ素化合物およびアゾ基含有ポリシロキサン
化合物を除く。)としては、例えば、アセチルパーオキ
サイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオ
キサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロ
ヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;
過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオ
キサイド;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等の
ジアルキルパーオキサイド;tert−ブチルパーオキ
シアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート
等のパーオキシエステル類;アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物;過
硫酸アンモニウム、 過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウ
ム等の過硫酸塩類が挙げられる。このようなラジカル性
熱重合開始剤は、1種を単独で使用することもできる
し、あるいは2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。
【0051】また、ラジカル性熱重合開始剤の1種とし
て、ヨウ素含有フッ素化合物を使用することも好まし
い。このようなヨウ素含有フッ素化合物としては、パー
フルオロエチルアイオダイド、パーフルオロプロピルア
イオダイド、パーフルオロブチルアイオダイド、(パー
フルオロブチル)エチルアイオダイド、パーフルオロヘ
キシルアイオダイド、2−(パーフルオロヘキシル)エ
チルアイオダイド、パーフルオロヘプチルアイオダイ
ド、パーフルオロクチルアイオダイド、2−(パーフル
オロオクチル)エチルアイオダイド、パーフルオロデシ
ルアイオダイド、2−(パーフルオロデシル)エチルア
イオダイド、ヘプタフルオロ−2−ヨードプロパン、パ
ーフルオロ−3−メチルブチルアイオダイド、パーフル
オロ−5−メチルヘキシルアイオダイド、2−(パーフ
ルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアイオダイド、パ
ーフルオロ−7−メチルオクチルアイオダイド、2−
(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアイオダ
イド、パーフルオロ−9−メチルデシルアイオダイド、
2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチルアイオ
ダイド、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアイ
オダイド、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル
アイオダイド、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプ
チルアイオダイド、テトラフルオロ1,2−ジヨードエ
タン、オクタフルオロ−1,4−ジヨードブタン、ドデ
カフルオロ−1,6−ジヨードヘキサン等が挙げられ
る。これらのヨウ素含有フッ素化合物は1種を単独で使
用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせ
て使用することができる。また、上述した有機過酸化
物、アゾ系化合物あるいは過硫酸塩と併用することも好
ましい。
【0052】また、ラジカル性熱重合開始剤の1種とし
て、アゾ基含有ポリシロキサン化合物を使用することも
好ましい。アゾ基含有ポリシロキサンは、ラジカル性熱
重合開始剤の一種であり、分解温度以上に加熱すること
により、アゾ基がラジカルを発生させるとともに、分子
内にシロキサン構造を有している化合物である。このよ
うな化合物としては、下記式(15)で表される化合物
が挙げられる。かかる化合物は、数平均分子量が10,
000〜100,000の範囲内の高分子材料である。
このようなアゾ基含有ポリシロキサンを重合開始剤とし
て使用することにより、共重合成分をラジカル重合させ
るとともに、ビニルエーテル共重合体中に、シロキサン
セグメント(構造)を容易に導入することができる。し
たがって、ビニルエーテル共重合体に優れた潤滑性や耐
擦傷性を付与することができる。
【0053】
【化18】
【0054】[式(15)中、yおよびzはそれぞれ繰
り返し数であり、yは1〜200の整数であり、zは5
〜10の整数である。]
【0055】なお、ビニルエーテル共重合体中における
シロキサンセグメント量が、0.1〜20モル%の範囲
内の値となるように、重合開始剤量を定めて使用するこ
とが好ましい。この理由は、かかるシロキサンセグメン
ト量が、0.1モル%未満となると、導入効果が発現し
ない場合があり、一方、20モル%を超えると、ビニル
エーテル共重合体の透明性が低下する傾向があるためで
ある。したがって、シロキサンセグメント量が0.1〜
15モル%の範囲内の値となるように、重合開始剤量を
定めることがより好ましく、さらに好ましいのは、0.
1〜10モル%の範囲内の値である。
【0056】重合開始剤の添加量 また、重合開始剤の添加量は特に制限されるものではな
いが、モノマの合計量を100重量部としたときに、
0.01〜10重量部の範囲内の値とするのが好まし
い。この理由は、かかる重合開始剤の添加量が0.01
重量部未満では、未反応モノマの残留量が多くなる場合
があるためであり、一方、10重量部を超えると、分子
量が極端に低下したり、得られるビニルエーテル共重合
体の耐熱性が低下する場合があるためである。したがっ
て、かかる重合開始剤の添加量を、モノマの合計量を1
00重量部としたときに、より好ましくは0.1〜5重
量部の範囲内の値とすることである。また、重合開始剤
として、アゾ基含有ポリシロキサンを使用した場合に
は、上述したような添加量とするのが良い。
【0057】ラジカル重合方法 また、第3の実施形態で使用するラジカル重合方法は、
特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、
塊状重合法、溶液重合法等を採ることが可能である。こ
こで、より典型的なラジカル重合方法である、溶液重合
についてさらに具体的に説明する。
【0058】溶液重合を行うためには、有機溶媒を使用
する必要がある。このような有機溶媒としては、本発明
の目的、効果を損なわない範囲で選ぶことができるが、
通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値
を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解さ
せる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒の例を示
すと、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール等のアルコール類、ジブチルエーテル、エチレング
リコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブ
チロラクトン等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。なお、これ
らの有機溶媒は、1種単独または2種以上を組み合わせ
て用いることが可能である。
【0059】また、溶液重合条件も特に制限されるもの
ではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で、
10分〜30時間加熱することが好ましい。さらに、発
生したラジカルが死活しないように、溶液重合中はもち
ろんのこと、溶液重合開始前にも、不活性ガスパージを
行うことが好ましい。なお、不活性ガスとしては、窒素
ガスが好適に用いられる。
【0060】重量平均分子量 含フッ素ビニルエーテル化合物重合体、すなわち、単独
重合体であっても、共重合体であっても、その重量平均
分子量を5,000〜2,000,000の範囲内の値
とすることが好ましい。この理由は、重量平均分子量が
5,000より小さいと、得られるビニルエーテル単独
重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、
一方、2,000,000を超えると、透明性が低下す
る場合があるためである。したがって、含フッ素ビニル
エーテル化合物重合体の重量平均分子量を30,000
〜1,000,000の範囲内の値とすることがより好
ましい。なお、このような重量平均分子量は、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポ
リスチレン換算の値として測定することができる。
【0061】(2)共重合性成分 第3の実施形態において、以下の化合物を共重合成分と
して使用し、含フッ素ビニルエーテル化合物共重合体と
することが好ましい。
【0062】共重合可能なモノマ 共重合可能なモノマの種類としては、2−ヒドロキシエ
チルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエ
ーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−
ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチ
ルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエー
テル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどの水
酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリ
ルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グ
リセロールモノアリルエーテルなどの水酸基含有アリル
エーテル類;アリルアルコール;メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテ
ル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエ
ーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチル
ビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘ
キシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、
n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニ
ルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのアル
キルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエー
テル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パー
フルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プ
ロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニル
エーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテ
ル)、パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテ
ル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)も
しくはパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテ
ル)類、あるいはCH 2=CH−O−Rg(Rgはフッ素
原子を含むアルキル基もしくはアルコキシアルキル基を
示す)で表される(フルオロアルキル)ビニルエーテル
もしくは(フルオロアルコキシアルキル)ビニルエーテ
ル類;ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、ク
ロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロ
プロピレン、テトラフルオロエチレンなどのフルオロオ
レフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチ
ック酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのカルボン酸ビ
ニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブテンな
どのα−オレフィン類;2,2,2−トリフルオロエチ
ル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタ
フルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフ
ルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パ
ーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2
−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレー
ト、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリ
レートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル
類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ
ル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)
アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレー
トなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アク
リル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)ア
クリレートなどのカルボキシル基もしくはエポキシ基含
有ビニルモノマ;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカ
プロラクタム等のN−ビニルモノマなどの一種単独また
は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0063】これらの共重合モノマのうち、含フッ素ビ
ニルエーテル量が53重量%未満となる場合には、フッ
素含量を高めるために、例えば、ヘキサフルオロプロペ
ン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキル
ビニルエーテル)あるいはパーフルオロ(アルコキシア
ルキルビニルエーテル)のようなフッ素含量が大きい含
フッ素モノマを共重合することが好ましい。
【0064】また、含フッ素ビニルエーテル化合物共重
合体の収率をより高めるためには、水酸基含有ビニルエ
ーテル、アルキルビニルエーテル類、シクロアルキルビ
ニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類を使用す
ることが好ましい。さらに、含フッ素ビニルエーテル化
合物共重合体の高硬度化するためには、イソプロピルビ
ニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ピバ
リン酸ビニルなどの分岐状モノマを使用することが好ま
しい。なお、基材との密着性を高めるために、ヒドロキ
シル基、エポキシ基、アミノ基、及びカルボキシル基か
ら選ばれる少なくとも1つの反応性基を含有する反応性
基含有モノマ(以下、反応性基含有モノマと称する。)を
使用することが好ましい。
【0065】ノニオン性反応性乳化剤 また、含フッ素ビニルエーテル化合物共重合体の重合の
際に、ノニオン性反応性乳化剤を使用することも好まし
い。この理由は、得られる共重合体の透明性が向上する
ためである。このようなノニオン性反応性乳化剤として
は、例えば、下記一般式(16)で表される乳化剤を挙
げることができ、また、市販のノニオン性反応性乳化剤
としては、アデカリアソ−プNE−30(旭電化工業
(株)製)等が挙げられる。
【0066】
【化19】
【0067】[一般式(16)中、nは1〜20の整
数、uは10〜100の整数、vは1〜10の整数であ
る。]
【0068】なお、ノニオン性反応性乳化剤の使用量
を、モノマの合計量100重量部に対して、0.01〜
15重量部の範囲内の値とするのが好ましい。この理由
は、ノニオン性反応性乳化剤の使用量が0.01重量部
未満となると、添加効果が得られない場合があるためで
あり、一方、ノニオン性反応性乳化剤の使用量が15重
量部を超えると、得られるビニルエーテル共重合体に一
般的な再沈処理を施して、精製処理が出来ない場合があ
るためである。すなわち、ノニオン性反応性乳化剤が多
量に存在すると、含フッ素共重合体を凝固させることが
困難となる場合があるためである。したがって、ノニオ
ン性反応性乳化剤の使用量を、モノマの合計量100重
量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内の値とする
のがより好ましく、1〜5重量部の範囲内の値とするの
がさらに好ましい。
【0069】多官能性モノマ また、エチレン性不飽和モノマである多官能性モノマも
共重合モノマとして用いることができる。例えばエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテ
ニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
ジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ
(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチ
ル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メ
タ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒ
ドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プ
ロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール
Aジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付
加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポ
リエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジ
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カ
プロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ
(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ
(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ
(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールA
ジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノール
Aジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールF
ジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグ
リシジルエーテルの(メタ)アクリレートなどが例示さ
れる。これらの多官能性モノマは、1種単独で使用する
こともできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用
することもできる。
【0070】これらの多官能性モノマの中でも、耐候性
あるいは耐熱性がより優れていることから芳香環を含有
しないアクリレートが好ましい。したがって、例えば、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロ
ペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリ
コールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチ
レンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペ
ンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0071】組み合わせ また、上述した単官能モノマおよび多官能モノマは、そ
れぞれ別個に使用することもできるし、あるいは単官能
モノマと多官能モノマとを組み合わせて使用することも
好ましい。このような組み合わせに使用する多官能モノ
マとしては、上述したもののうち、トリ(メタ)アクリ
レート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合物、ペ
ンタ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサ(メタ)アク
リレート化合物の中から選択することが好ましい。より
具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ
(メタ)アクリレートが好ましい。
【0072】共重合モノマの配合量 含フッ素ビニルエーテル化合物共重合体を構成する各モ
ノマの比率としては、共重合体を作成する際のモノマ全
体量を100モル%としたときに、含フッ素ビニルエー
テル単位を、5〜90モル%の範囲内の値とするのが好
ましく、10〜80モル%の範囲内の値とするのがより
好ましい。この理由は、含フッ素ビニルエーテルの配合
量が5モル%よりも小さくなると、密着性あるいは撥水
性が低下する場合があるためであり、一方、90モル%
よりも大きくなると硬化膜の透明性が低下したり、機械
的強度が低下する場合があるためである。
【0073】なお、反応性基含有モノマを配合する場合
には、その配合量を、共重合体を作成する際のモノマ全
体量を100モル%としたときに、1〜20モル%の範
囲内の値とするのが好ましく、3〜15モル%の範囲内
の値とするのがより好ましい。この理由は、かかる反応
性基含有モノマが1モル%未満となると、形成される塗
膜の強度、基材への密着力が低下する場合があるためで
あり、一方、20モル%を超えると塗料の保存安定性が
低下する場合があるためである。
【0074】フッ素含量 含フッ素ビニルエーテル化合物共重合体中のフッ素含量
としては、30重量%以上とすることが好ましく、40
重量%以上の値とすることがより好ましい。かかるフッ
素含量が30重量%未満となると、屈折率が大きくな
り、反射防止膜やクラッド材としての要求特性を満足で
きない場合があるためである。なお、含フッ素ビニルエ
ーテル化合物共重合体中のフッ素含量は、アリザリンコ
ンプレクソン法を用いて測定することができる。
【0075】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、
本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるもので
はない。また、実施例中、各成分の配合量の部および%
は、特に記載のない限り、重量部および重量%を意味し
ている。
【0076】[実施例1] (含フッ素ビニルエーテル化合物の合成)攪拌機、冷却
機および滴下ロートを備えた2リットルのセパラブルフ
ラスコ内に、500g(1.67モル)のヘキサフルオ
ロプロペンダイマー(日本メクトロン(株)製、商品名
CHEMINOX HFP−D)と、58.3g(0.
42モル)の炭酸カリウムと、125g(1.46モ
ル)の塩化メチレンとを収容して均一に攪拌した後、さ
らに相間移動触媒として、1.1g(0.003モル)
のテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド(和光純薬
工業(株)製)を添加した。次いで、73.0g(0.
83モル)の2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(日
本カーバイト工業(株)製、商品名HEVE)と、12
5g(1.46モル)の塩化メチレンとの混合溶液を予
め作成しておき、その混合溶液を、室温(25℃)条件
で、上述したセパラブルフラスコ内に滴下した。滴下終
了後、オイルバスを用いてセパラブルフラスコ内の温度
を35℃に保持したまま、24時間加熱を続け、ヘキサ
フルオロプロペン二量体と、2−ヒドロキシエチルビニ
ルエーテルとの反応液を得た。得られた反応液を空気冷
却した後、炭酸カリウムを濾別し、さらに水(500
g)を加えて激しく振とうし、水層と有機層とに分離さ
せた。その後、有機層を20g(0.17モル)の硫酸
マグネシウムを用いて乾燥し、次いで、減圧下、塩化メ
チレンを留去し、さらに真空蒸留(温度55℃、圧力3
99Pa)して、無色透明の液状の精製物を得た。な
お、得られた精製物(含フッ素ビニルエーテル化合物)
の収率は95%であった。
【0077】(含フッ素ビニルエーテル化合物の評価)
得られた精製物につき、以下に示すように1H−NMR
測定、19F−NMR測定、赤外吸収スペクトル測定を行
った。その結果、得られた精製物は1−ペンタフルオロ
エチル−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エテニル
オキシエチルビニルエーテルであると同定した。
【0078】(1)NMR測定 NMR測定装置MSL400(BRUKER社製)を用
いて、溶媒CDCl3の条件で測定した。得られた1H−
NMRチャートを図1に、19F−NMRチャートを図2
に、それぞれ示す。図1から理解されるように、1H−
NMRチャート上に、以下のピークが観察された。 δ=3.93(2H,t,J=4.39Hz,OC
2)、 δ=4.09(1H,dd,J=2.28,6.57H
z, 2C=CH)、 δ=4.14(1H,dd,J=2.38,15.5H
z, 2C=CH)、 δ=4.47(2H,t,J=4.23Hz,OC
2)、 δ=6.45(1H,dd,J=6.65,14.6H
z,H2C=C)、
【0079】また、図2から理解されるように、19F−
NMRチャート上に、以下のピークが観察された。 δ=−114.41(2F,m,C 2) δ=−81.65(3F,s,CF2 3) δ=−59.96(3F,q,J=8.3Hz,CC
3) δ=−57.21(3F,q,J=6.4Hz,CC
3
【0080】(2)赤外吸収スペクトル測定 フーリエ変換型赤外分光測定装置JIR−5500(日
本分光(株)製)を用いて、室温(25℃)、解像度4
cm-1、ゲイン1倍、スキャン回数10回、スキャン速
度TGSの条件で測定した。得られた赤外吸収スペクト
ルチャートを図3に示す。図3から理解されるように、
赤外吸収スペクトルチャート上に、以下の特徴的なピー
クが観察され、一方で原料のヒドロキシエチルビニルエ
ーテルでは観察された水酸基のピークは消失しているこ
とが確認された。 C−H帰属 2974cm-1,2935cm-1,287
5cm-1 C=C帰属 1680cm-1,1639cm-1 C−F帰属 1100〜1300cm-1
【0081】なお、参考のため、原料として用いた2−
ヒドロキシエチルビニルエーテルについての1H−NM
Rチャートおよび赤外吸収スペクトルチャートを図4お
よび図5に、式(11)および(12)で表されるヘキ
サフルオロプロペンダイマーについての19F−NMRチ
ャートおよび赤外吸収スペクトルチャートを図6および
図7にそれぞれ示す。
【0082】[実施例2] (含フッ素ビニルエーテル化合物の合成)実施例1にお
ける2−ヒドロキシエチルビニルエーテルの代わりに、
式(10)で表される4−ヒドロキシブチルビニルエー
テル96.3g(0.83モル)(日本カーバイト工業
(株)製、商品名HBVE)を、ヘキサフルオロプロペ
ンダイマーの代わりに、式(13)および(14)で表
されるヘキサフルオロプロペントリマーをそれぞれ用い
たほかは、実施例1と同様に精製物を得た。
【0083】(含フッ素ビニルエーテル化合物の評価)
得られた精製物につき、実施例1と同様に1H−NM
R、19F−NMR測定、赤外吸収スペクトル測定を行
い、式(7)中の1−トリフルオロメチル−2,2−ビ
ス(ヘプタフルオロイソプロピル)エテニルオキシブチ
ルビニルエーテル、および1−ヘプタフルオロイソプロ
ピル−2−トリフルオロメチル−2−ヘプタフルオロプ
ロピル−エテニルオキシブチルビニルエーテルを主成分
とする構造異性体の混合物であると同定した。また、含
フッ素ビニルエーテル化合物の収率は65%であった。
得られた精製物についての1H−NMRチャートを図8
に、19F−NMRチャートを図9に、赤外吸収スペクト
ルチャートを図10にそれぞれ示す。
【0084】図8から理解されるように、1H−NMR
チャート上に、以下のピークが観察された。 δ=1.72(4H,m,OCH 2) δ=3.70(2H,m,OC 2) δ=3.99(1H,m, 2C=CH) δ=4.18(1H,m, 2C=CH) δ=6.45(1H,m,H2C=C
【0085】また、図9から理解されるように、19F−
NMRチャート上に、以下のピークが観察された。 δ=−133.2,−131.0(2F,m,CF2
2CF3) δ=−114.15,106.3,−100.5(2F,
m,C=CC 2) δ=−83.4,−82.5,−80.9,−80.6
(3F,m,CF2 3) δ=-73.8, -72.8, -66.7, -67.5, -
61.5, -59.4,-58.0(3F,m,CC
【0086】また、図10から理解されるように、IR
チャート上に、以下のピークが観察された。 C−H帰属ピーク 2937cm-1,2875cm-1 C=C帰属ピーク 1784cm-1,1695cm-1
1616cm-1 C−F帰属ピーク 1100〜1300cm-1
【0087】また、参考のため、原料として用いた4−
ヒドロキシブチルビニルエーテルについての1H−NM
Rチャートおよび赤外吸収スペクトルチャートを図11
および図12に、ヘキサフルオロプロペントリマーにつ
いての19F−NMRチャートおよび赤外吸収スペクトル
チャートを図13および図14にそれぞれ示す。
【0088】[実施例3] (共重合体の合成)内容積0.5リットルの電磁撹拌機
付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換
した後、溶剤として酢酸エチル300gと、実施例2で
得られた、66.6gの含フッ素ビニルエーテル化合物
の混合物(6FTBVE)と、11.7gのエチルビニ
ルエーテル(EVE)と、及び10.8gのヒドロキシ
エチルビニルエーテル(HEVE)と、0.75gのジ
ラウロイルパーオキサイド(LPO)とをそれぞれ仕込
み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した
後、再度窒素ガスで十分置換した。
【0089】次いで、73.1gのヘキサフルオロプロ
ピレン(HFP)をオートクレーブ内に導入した後、昇
温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達し
た時点での圧力は4.6×10Paを示した。その
後、60℃で25時間撹拌下に反応を継続し、圧力が
2.5×10Paに低下した時点でオートクレーブを
水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モ
ノマを放出しオートクレーブを開放して、ポリマ溶液を
得た。得られたポリマ溶液をメタノールに投入してポリ
マを析出させ、メタノールにて洗浄し、さらに50℃に
て真空乾燥を行い128gの共重合体を得た。
【0090】得られた共重合体を濃度が0.5重量%溶
液となるようにTHFを用いて調整し、GPCによる分
子量測定を行った。その結果、ポリスチレン換算による
重量平均分子量は51,700であった。さらにDSC
分析を行った結果、ガラス転移温度(Tg)は38.3
℃であった。得られたGPCチャート、DSCチャート
を図15、図16にそれぞれ示す。なお、1H−NM
R、13C−NMRの分析結果、元素分析結果並びにフッ
素含量、水酸基価を測定し、これらの測定から共重合体
を構成する各モノマ成分の割合を決定した。その結果、
HFP/6FTBVE/EVE/HEVE=49.6/
14.8/20.4/15.2のモル比であることを確
認した。したがって、得られた共重合体は、6FTBV
Eを確実に含んでいることが判明した。
【0091】(透明性評価および屈折率測定)20×3
0cm角に切断されたガラス板に実施例3で得た重合体
のアセトン溶液(濃度20重量%)をキャスティングし
た。風乾後、得られた塗膜(膜厚約200μm)につ
き、透明性を目視により評価したところ、濁りは全く観
察されず透明であった。また、アッベ屈折率計(測定温
度25℃)を用いて、塗膜の屈折率を測定したところ、
25=1.374であった。なお、屈折率として1.
50以下の値が得られれば、光伝送用ファイバのクラッ
ド材等の用途に好適に使用することができる。
【0092】
【発明の効果】本発明の含フッ素ビニルエーテル化合物
によれば、低屈折率樹脂の原料成分、ラジカル硬化性成
分、カチオン硬化性成分として好適であり、透明性が高
く、安価であり、しかも製造効率が高い含フッ素ビニル
エーテル化合物を提供することが可能となった。また、
本発明の含フッ素ビニルエーテル化合物の製造方法によ
れば、特定構造を有する含フッ素ビニルエーテル化合物
を、高い収率で、しかも比較的低温で効率的に製造する
ことができるようになった。
【0093】また、本発明の含フッ素ビニルエーテル化
合物重合体によれば、優れた透明性や低屈折率等の特性
を有する含フッ素ビニルエーテル化合物重合体、及び共
重合体を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた含フッ素ビニルエーテル化
合物についての1H−NMRチャートである。
【図2】実施例1で得られた含フッ素ビニルエーテル化
合物についての19F−NMRチャートである。
【図3】実施例1で得られた含フッ素ビニルエーテル化
合物についての赤外吸収スペクトルチャートである。
【図4】2−ヒドロキシエチルビニルエーテルについて
1H−NMRチャートである。
【図5】2−ヒドロキシエチルビニルエーテルについて
の赤外吸収スペクトルチャートである。
【図6】ヘキサフルオロプロペンダイマーについての19
F−NMRチャートである。
【図7】ヘキサフルオロプロペンダイマーについての赤
外吸収スペクトルチャートである。
【図8】実施例2で得られた含フッ素ビニルエーテル化
合物についての1H−NMRチャートである。
【図9】実施例2で得られた含フッ素ビニルエーテル化
合物についての19F−NMRチャートである。
【図10】実施例2で得られた含フッ素ビニルエーテル
化合物についての赤外吸収スペクトルチャートである。
【図11】4−ヒドロキシブチルビニルエーテルについ
ての1H−NMRチャートである。
【図12】4−ヒドロキシブチルビニルエーテルについ
ての赤外吸収スペクトルチャートである。
【図13】ヘキサフルオロプロペントリマーについての
19F−NMRチャートである。
【図14】ヘキサフルオロプロペントリマーについての
赤外吸収スペクトルチャートである。
【図15】実施例3で得られた含フッ素ビニルエーテル
共重合体についてのGPCチャートである。
【図16】実施例3で得られた含フッ素ビニルエーテル
共重合体についてのDSCチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H050 AB47Y AB50Y 4H006 AA01 AA02 AB46 AC43 GN21 GP01 GP20 4J100 AA02Q AA03Q AA06Q AC24Q AC26Q AC27Q AC28Q AC31Q AD03Q AE02Q AE03Q AE04Q AE05Q AE06Q AE09P AE09Q AE10Q AE18Q AE19Q AE72P AG02Q AG04Q AG05Q AJ01Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AL03Q AL08Q AL10Q AQ07Q AQ08Q BA04P BA04Q BA05Q BA06Q BB17P BB17Q BB18P BB18Q BC04Q BC54Q CA01 CA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される含フッ素ビ
    ニルエーテル化合物。 【化1】 [一般式(1)中、置換基Rfは、式Cn2n-1、式Cn
    2nHまたは式Cn2n+ 1(それぞれの式中のnは2〜
    12の整数である。)で表される一価の含フッ素基であ
    り、繰り返し数mは、1〜10の整数である。]
  2. 【請求項2】 前記置換基Rfが、式Cn2n-1(nは
    3〜9の整数である。)で表される一価の含フッ素基で
    ある請求項1に記載の含フッ素ビニルエーテル化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の一般式(1)で表され
    る含フッ素ビニルエーテル化合物(ただし、置換基Rf
    が、式Cn2n+1の場合を除く。)の製造方法であっ
    て、 下記一般式(2)で表されるヒドロキシアルキルビニル
    エーテル化合物と、 下記一般式(3)で表されるパーフルオロオレフィン化
    合物と、 を反応させることを特徴とする含フッ素ビニルエーテル
    化合物の製造方法。 【化2】 [一般式(2)中、繰り返し数mは、一般式(1)と同
    様の内容である。] 【化3】 [一般式(3)中、繰り返し数nは、2〜12の整数で
    ある。]
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の含フッ素ビニ
    ルエーテル化合物を単独重合あるいは共重合してなる含
    フッ素ビニルエーテル化合物重合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010047680A (ja) * 2008-08-21 2010-03-04 Neos Co Ltd 反応性含フッ素オリゴマー及びその製造方法
CN108658736A (zh) * 2017-04-01 2018-10-16 中国科学院成都有机化学有限公司 一种具有“树形”结构的短氟碳链含氟单体及制备方法

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