JP2001232686A - 振動溶着用治具の製作方法及び振動溶着用治具 - Google Patents

振動溶着用治具の製作方法及び振動溶着用治具

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JP2001232686A
JP2001232686A JP2000049423A JP2000049423A JP2001232686A JP 2001232686 A JP2001232686 A JP 2001232686A JP 2000049423 A JP2000049423 A JP 2000049423A JP 2000049423 A JP2000049423 A JP 2000049423A JP 2001232686 A JP2001232686 A JP 2001232686A
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vibration welding
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Katsushige Asada
勝茂 浅田
Tomohiro Arakawa
智広 荒川
Yoshiki Mitani
佳樹 三谷
Naohito Torii
直仁 鳥居
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Toyota Auto Body Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで振動溶着用の上治具を製作する方
法を提供すること。 【解決手段】 インストルメントパネル31を保持する
上治具20と、ダクト32を保持する下治具16と、上
治具20を下治具16に対して振動させる振動発生手段
とを有する振動溶着装置に用いる上治具20の製作方法
であって、表面がワークに略合致する凹面形状に形成さ
れた受け駒21の表面にウレタン樹脂23を簡易積層す
る工程と、ウレタン樹脂層23を所定の刃具により、切
削加工してインストルメントパネル31の外形形状に合
致する形状に成形する工程とを有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動溶着用治具の
製作方法に関し、さらに詳細には、振動溶着用治具のワ
ークとの接触面を形成するウレタン樹脂層を刃具により
直に切削することにより製作する振動溶着用治具の製作
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のインストルメントパネルの裏面
には、空調ダクトが接合されている。従来から、樹脂製
のインストルメントパネルと樹脂製のダクトとを接合す
るには、振動溶着法が用いられている。振動溶着法と
は、ダクトを下治具に固定し、インストルメントパネル
を上治具に固定保持させ、ダクトとインストルメントパ
ネルを圧接させた状態で、上治具を毎秒100回程度振
動させ、インストルメントパネルとダクトとの間に摩擦
熱を発生させてインストルメントパネルとダクトとの圧
接面を溶融し、ダクトとインストルメントパネルとを溶
着させる方法である。
【0003】次に、従来の上治具の製作方法について具
体的に説明する。図3に従来の上治具の製作方法を示
す。始めに、S11において、インストルメントパネル
の表面形状が表面に形成されているマスターモデル10
1を製作する。次ぎに、S12において、マスターモデ
ル101を利用して鋳型を作り、その鋳型を用いたアル
ミ鋳造により、受け駒102を製作する。次ぎに、S1
3において、受け駒102の底面を切削して取付基準面
102aを形成する1次機械加工を行う。次に、S14
において、受け駒102とマスターモデル101とを若
千(10mm前後)隙間をあけて合体させる。このと
き、受け駒102とマスターモデル101との間には、
少しの隙間が形成される。
【0004】次に、S15において、その隙間にウレタ
ン樹脂を注入して受け駒102の表面にウレタン樹脂層
103を積層成形する。受け駒102の表面にウレタン
樹脂層103を形成するのは、上治具がインストルメン
トパネルを振動させるときに、インストルメントパネル
表面に傷付きが発生するのを防止するためである。次
に、S16でマスターモデル101を脱型する。ここ
で、ウレタン樹脂層103の表面は、マスターモデルの
表面がそのままを転写した状態で形成される。次ぎに、
S17において、ウレタン樹脂製の注入積層103の表
面を修正することにより、上治具が完成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
振動溶着用上治具の製作方法には、次のような問題があ
った。 (1)上治具を製作するためのマスターモデルを製作す
るのに、数百万円かかり、コストアップの原因となって
いた。 (2)マスターモデルという反転転写モデルを製作し、
そのマスターモデルとアルミ鋳造による受け駒との隙間
にウレタン樹脂を注入して受け駒の表面にウレタン樹脂
層を積層形成して上治具を製作しているため、上治具の
面精度が悪く、インストルメントパネルを振動させると
きに、インストルメントパネル表面に傷付きを発生する
恐れがあった。それを回避するには、ウレタン樹脂層の
面修正を入念に行わなければならず、コストアップの原
因となっていた。
【0006】本発明は、上記問題点を解決することを目
的とし、低コストで振動溶着用の上治具を製作する方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の振動溶着用治具
の製作方法は、次のような工程を有している。 (1)振動溶着すべきワークの一方を固定保持する第1
治具と、他方を固定保持する第2治具と、第1治具を第
2治具に対して振動させる振動発生手段とを有する振動
溶着装置に用いる振動溶着用治具の製作方法であって、
表面がワークに略合致する凹面形状に形成された受け駒
の表面にウレタン樹脂を簡易積層する工程と、ウレタン
樹脂層を所定の刃具により、切削加工してワークの外形
形状に合致する形状に成形する工程とを有している。
【0008】(2)(1)に記載する振動溶着用治具の
製作方法において、前記刃具が、すくい角が略20度、
ねじれ角が略40度のボールエンドミルであることを特
徴とする。
【0009】また、本発明の振動溶着用治具は、次のよ
うな構成を有している。 (3)(1)または(2)に記載する振動溶着用治具の
製作方法により製作されたことを特徴とする。
【0010】所定の刃具を用いて、受け駒の表面に簡易
積層されたウレタン樹脂層を直に切削加工することによ
り、フライス盤の数値制御そのものでウレタン樹脂層の
表面を精度良く成形することができる。特に、従来のよ
うにマスターモデルを製作し、このマスターモデルを利
用してウレタン樹脂層を積層成形していた場合と比較し
て、精度が2倍以上向上し、治具の製作コストも大幅に
低減した。一方、刃具として、すくい角が略20度、ね
じれ角が略40度のボールエンドミルを用いることによ
り、切削加工によるウレタン樹脂層の表面の凹凸やむし
れを防止できるため、表面を滑らかに成形できる。そし
て、振動溶着用治具のウレタン樹脂層の表面が滑らかに
なることにより、振動溶着を行うときに、インストルメ
ントパネルと上治具とを密着させることができるため、
インストルメントパネルに充分な振動を与えて、インス
トルメントパネルとダクトとの間に充分な摩擦熱を発生
させ、インストルメントパネルとダクトとを必要な強度
で溶着することができる。同時に、インストルメントパ
ネルが上治具に密着しているので、インストルメントパ
ネルと上治具との間で擦れが生じることが少なく、イン
ストルメントパネルに傷付きが発生することがなくな
る。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る振動溶着用治
具の製作方法の一実施の形態について、図面を参照して
詳細に説明する。図1は、振動溶着用治具の製作方法を
示す工程図である。まず、発泡スチロールよりなる簡易
モデルを製作し、それを利用して鋳型を作り、受け駒2
1のアルミ鋳造を行う(S1)。発泡スチロールよりな
る簡易モデルはマスターモデルと異なり、精度は悪い
が、極めて安価に製作することができる。次に、通常の
切削等の機械加工により、受け駒21の底面に取り付け
基準面21aを形成する(S2)。
【0012】次に、簡易モデル22と受け駒21とを少
しの隙間(15〜20mm)をあけて合体させる。この
とき、受け駒21と簡易モデル22との間には、少しの
隙間が形成される。次に、S3において、その隙間にウ
レタン樹脂を注入して受け駒21の表面にウレタン樹脂
層を簡易積層する。ウレタン樹脂層23を積層するの
は、上治具がインストルメントパネルを振動させるとき
に、インストルメントパネル表面に傷付きが発生するの
を防止するためである。ここで、ウレタン樹脂層23の
表面は、簡易モデル22の表面がそのままを転写される
ため、従来のマスターモデルを使用する場合と比較して
面精度が悪い。
【0013】このため、S4において、ウレタン樹脂層
23の表面を特定の刃具で直に切削加工してインストル
メントパネルの外形形状に合致する形状に成形する。こ
の切削加工により、ウレタン樹脂層23の面精度を確保
することができる。従来、刃具を用いてウレタン樹脂を
直に切削加工することは困難であると考えられてきた。
それは、刃具による切削加工では、ウレタン樹脂表面の
表面粗さが所望の程度確保できなかったからであり、刃
具による切削加工によりウレタン樹脂表面に凹凸やむし
れが発生する問題があったからである。本発明者らは、
試行錯誤の結果、凹凸やむしれの発生しないウレタン樹
脂切削加工用刃具を開発した。すなわち、すくい角を略
20度、ねじれ角を略40度とすることにより、刃具の
切れ味をシャープにすることができ、ウレタン樹脂の凹
凸やむしれの発生を防止できたのである。なお、すくい
角は20度より小さければ、より効果があると考えられ
るが、現在の刃具の製造技術では、すくい角を20度と
することが限度である。
【0014】次に、ウレタン樹脂の切削加工方法につい
て説明する。刃具としては、すくい角略20度、ねじれ
角略40度、刃具径20mm、ハイス鋼製のボールエン
ドミルを用いている。ここで、特に重要なのは、刃具の
すくい角を略20度としている点である。すくい角と
は、基準面に対するすくい面の傾きをいう。すくい面と
は、刃具の切削を営む主体となる面で、切りくずは、こ
の面上を擦過する。また、切削加工の条件としては、荒
削りは切り込み量10〜15mm、回転数6000rp
m、送り速度600mm/min、仕上げは、切り込み
量0.8mm、刃具の回転数6000rpm、送り速度
2400mm/minが適当である。
【0015】次ぎに、振動溶着装置について図2に基づ
いて説明する。床に固定されたベースフレーム17の上
に下治具16が固定されている。下治具16の上には、
ダクト32がセットされている。下治具16には、ガイ
ドシャフト15を介して上部ユニットブリッジ12が取
り付けられている。上部ユニットブリッジ12には、両
端部から順次駆動用マグネットコイル14、バイプレー
タ13、スプリング11が取り付けられている。両側の
スプリング11の下部に上治具21が取り付けられてい
る。上治具20は、受け駒21と、受け駒21の表面に
積層されたウレタン樹脂層23とを有する。上治具20
には、インストルメントパネル31がセットされてい
る。
【0016】次ぎに、上記構成を有する振動溶着装置の
作用を説明する。図示しない発振機により左右のマグネ
ットコイル14に交互に通電することにより、バイプレ
ータ13を交互に吸引し、スプリング13を介して上治
具20を振動させる。このとき、通電を、毎秒100回
以上の周期で切り換えているので、上治具20も毎秒1
00回以上、左右に各々3mm振動させる。通電は、1
0秒間行っている。上治具20に保持されているインス
トルメントパネル31が、下治具16に保持されている
ダクト32に対して、毎秒100回以上、左右に各々2
mm振動する。この振動により、インストルメントパネ
ル31とダクト32とが擦り合わされ、摩擦熱が発生す
る。この摩擦熱により、インストルメントパネル31と
ダクト32の接触部が溶融され、インストルメントパネ
ル31とダクト32とが溶着する。
【0017】この振動溶着において、上治具20の性能
として問題となるのは、第1にウレタン樹層23とイン
ストルメントパネル31との密着力である。この密着力
は静摩擦係数として表せる。ウレタン樹脂層23とイン
ストルメントパネル31(PP製)との静摩擦係数は、
従来のマスターモデル法で形成したウレタン樹脂層で
は、平均1.03であった。サンドペーパー#220で
修正したウレタン樹脂層では、平均0.98であり、サ
ンドペーパー#320で修正したウレタン樹脂層では、
平均1.07であり、サンドペーパー#400で修正し
たウレタン樹脂層では、平均1.17であった。
【0018】本発明の直に切削加工したウレタン樹脂層
23では、1.07あり、従来と比較して、ほぼ同等で
ある。従来の静摩擦係数以上の数値があれば、密着力が
強く、振動を与えたときに、インストルメントパネル3
1とウレタン樹脂層23とが密着しているので、インス
トルメントパネル31の表面に傷付きが発生しないので
ある。また、上治具20の性能の第2の問題は、加工精
度であるが、上記特定の刃具と、切削条件によれば、加
工精度は満足すべき結果であった。また、上治具20の
性能の第3の問題は、インストルメントパネル31とダ
クト32の溶け込み量であるが、平均で0.7mm以上
の溶け込みがあり、ダクト32をインストルメントパネ
ル31から引き剥がす引っ張り力も32Kg/cm 2
上あり、充分な強度が得られている。
【0019】以上、本発明の実施の形態を詳細に説明し
たが、本実施の形態によれば、インストルメントパネル
31を保持する上治具20と、ダクト32を保持する下
治具16と、上治具20を下治具16に対して振動させ
る振動発生手段とを有する振動溶着装置に用いる上治具
20の製作方法であって、表面がインストルメントパネ
ル31に略合致する凹面形状に形成された受け駒21の
表面にウレタン樹脂23を簡易積層する工程と、ウレタ
ン樹脂層23を所定の刃具により、切削加工してインス
トルメントパネル31の外形形状に合致する形状に成形
する工程とを有しているので、フライス盤の数値制御そ
のものでウレタン樹脂層23の表面を精度良く成形する
ことができる。特に、従来のようにマスターモデルを製
作し、このマスターモデルを利用してウレタン樹脂層を
積層成形していた場合と比較して、精度を2倍以上向上
させ、かつ上治具20の製作コストを大幅に低減でき
る。
【0020】特に、刃具として、すくい角を略20度、
ねじれ角を略40度のボールエンドミルを用いることに
より、切削加工によるウレタン樹脂層の表面の凹凸やむ
しれを防止できるため、表面を滑らかに成形できる。そ
して、振動溶着用治具のウレタン樹脂層の表面が滑らか
になることにより、振動溶着を行うときに、インストル
メントパネルと上治具とを密着させることができるた
め、インストルメントパネルに充分な振動を与えて、イ
ンストルメントパネルとダクトとの間に充分な摩擦熱を
発生させ、インストルメントパネルとダクトとを必要な
強度で溶着することができる。同時に、インストルメン
トパネルが上治具に密着しているので、インストルメン
トパネルと上治具との間で擦れが生じることが少なく、
インストルメントパネルに傷付きが発生することがなく
なる。
【0021】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その
趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例え
ば、振動溶着の対象として、インストルメントパネルと
樹脂製ダクトとの組み合わせを例としたが、他の樹脂製
部品を振動溶着法により溶着する場合に使用する上治具
の製作にも適用できることは当然である。
【0022】
【発明の効果】本発明の振動溶着用治具の製作方法によ
れば、振動溶着すべきワークの一方を固定保持する第1
治具と、他方を固定保持する第2治具と、第1治具を第
2治具に対して振動させる振動発生手段とを有する振動
溶着装置に用いる振動溶着用治具の製作方法であって、
表面がワークに略合致する凹面形状に形成された受け駒
の表面にウレタン樹脂を簡易積層する工程と、ウレタン
樹脂層を所定の刃具により、切削加工してワークの外形
形状に合致する形状に成形する工程とを有しているの
で、フライス盤の数値制御そのものでウレタン樹脂層の
表面を精度良く成形することができる。特に、従来のよ
うにマスターモデルを製作し、このマスターモデルを利
用してウレタン樹脂層を積層成形していた場合と比較し
て、精度が2倍以上向上でき、かつ治具の製作コストを
大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振動溶着用治具の製作方法を示す
工程図である。
【図2】振動溶着装置の構成を示す全体図である。
【図3】従来の振動溶着用治具の製作方法を示す工程図
である。
【符号の説明】
11 スプリング 13 バイプレータ 14 マグネットコイル 16 下治具 20 上治具 21 受け駒 23 ウレタン樹脂層 31 インストルメントパネル 32 ダクト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三谷 佳樹 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 トヨ タ車体株式会社内 (72)発明者 鳥居 直仁 愛知県刈谷市一里山町金山100番地 トヨ タ車体株式会社内 Fターム(参考) 3D044 BA11 BB01 BC01 BC13 BD11 4F211 AA42 AH25 TA02 TA06 TC01 TD01 TN20 TN31 TQ05 TW23 TW24

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動溶着すべきワークの一方を固定保持
    する第1治具と、他方を固定保持する第2治具と、第1
    治具を第2治具に対して振動させる振動発生手段とを有
    する振動溶着装置に用いる振動溶着用治具の製作方法に
    おいて、 表面が前記ワークに略合致する凹面形状に形成された受
    け駒の表面にウレタン樹脂を簡易積層する工程と、 前記ウレタン樹脂層を所定の刃具により、切削加工して
    前記ワークの外形形状に合致する形状に成形する工程と
    を有することを特徴とする振動溶着用治具の製作方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する振動溶着用治具の製
    作方法において、 前記刃具が、すくい角が略20度、ねじれ角が略40度
    のボールエンドミルであることを特徴とする振動溶着用
    治具の製作方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載する振動
    溶着用治具の製作方法により製作されたことを特徴とす
    る振動溶着用治具。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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