JP2001231873A - 荷電粒子ビーム照射方法および装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム照射方法および装置

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JP2001231873A
JP2001231873A JP2000048936A JP2000048936A JP2001231873A JP 2001231873 A JP2001231873 A JP 2001231873A JP 2000048936 A JP2000048936 A JP 2000048936A JP 2000048936 A JP2000048936 A JP 2000048936A JP 2001231873 A JP2001231873 A JP 2001231873A
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charged particle
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particle beam
intensity distribution
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Masumi Umezawa
真澄 梅沢
Kazuo Hiramoto
和夫 平本
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多極電磁石を用いたビーム強度均一化におい
て、多極電磁石に必要な多極強度を低減するビーム輸送
系を提供する。 【解決手段】ターゲット19位置での垂直方向のビーム
強度分布均一化に用いる八極電磁石17を通過するビー
ムを、この八極電磁石17より上流の垂直方向走査電磁
石20を用いて走査し、位相空間内の粒子分布、すなわ
ち時間的平均したビーム強度分布の平坦化する。水平方
向も同様に、水平方向強度分布均一化用の八極電磁石1
8を通過する前に水平方向走査電磁石21を用いてあら
かじめ均一化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子ビームを
照射目標に向けて輸送・照射するための粒子ビーム装置
及び粒子ビーム照射方法に関するもので、特に照射され
た荷電粒子ビームの強度をほぼ均一な分布にするための
照射装置及び照射方法に関する。
【0002】
【従来の技術】線形加速器、サイクロトロン、シンクロ
トロンなどのようなさまざまな粒子加速器が電子・陽子
・重イオンなどの荷電粒子ビーム生成に用いられてい
る。これらの荷電粒子ビームは高エネルギーに加速され
て、医療装置、食品滅菌、材料処理、イオンビーム微細
加工、加速器駆動未臨界増殖炉、消滅処理用、中性子源
などさまざまな適用分野に利用されている。
【0003】これらの適用分野では、加速器から得られ
る荷電粒子ビームの照射範囲をターゲット領域の大きさ
まで拡大する必要がある。さらに、ターゲットに照射す
る前に、粒子加速器から発生するビームを拡張して照射
強度分布が実質的に均一なビームを生成し、照射するタ
ーゲットの局所的な加熱状態を避ける必要がある。ま
た、医療装置における照射においても、患部への照射線
量の一様化が求められるため、ビーム強度の均一性が必
要となる。
【0004】荷電粒子ビームを拡張して照射強度分布を
均一化する場合、例えば非常に強度の大きい荷電粒子ビ
ームの場合には、散乱体を用いて拡張すると散乱体の耐
性や放射化(ビームの損失)などの問題があることなど
から、ビームを損失することなく拡張することが望まし
い。また、ビーム損失することなくビームを拡張するこ
とで粒子加速器から得られるビームの利用効率を大きく
することができる。
【0005】従来、粒子加速器から得られる荷電粒子ビ
ームをターゲットに照射する場合、荷電粒子ビームを損
失することなく照射強度分布を広範な領域において均一
にするために、非線形磁場を持つ多極電磁石を用いる方
法がよく知られている。多極電磁石を用いたビーム強度
平坦化については、1990 リニア― アクセラレイ
ター カンファレンス プロシィーディングス(199
0年)第453貢から第455貢(1999 Line
ar Accelerator Conference
Proceedings(1990)PP453−4
55)において論じられている。
【0006】従来の、非線形磁場による強度分布均一化
について、非線形磁場を持つ八極電磁石と、線形磁場を
持つ四極電磁石を備えたビーム輸送系を図1に示す。
【0007】図1において、10が荷電粒子ビームを通
すビームダクトで、発散型四極電磁石11、13、1
5、収束型四極電磁石12、14、16、垂直方向分布
平坦化用八極電磁石17、水平方向分布平坦化用八極電
磁石18を備え、照射ターゲット19で均一なビーム強
度分布を形成するものである。
【0008】八極電磁石17、18は図2に示すよう
に、ヨーク2に8つの磁極部1を設け、各磁極部1に巻装
したコイル3を備え、ビーム軌道中心からの距離の3乗
に比例した非線型磁場を発生する。
【0009】荷電粒子ビームの水平方向位置をx、水平
方向位置のビーム進行方向に対する勾配をx’、垂直方
向位置をy、垂直方向位置のビーム進行方向に対する勾
配をy’とすると、粒子加速器からの荷電粒子ビームの
x、x’、y、y’方向の分布は典型的にはガウス分布
をしている。ビーム輸送系の最上流位置でのy−y’空
間の粒子分布とy方向の強度分布を図3に示す。なお、
図3〜図5に示す位相空間を示す図は10000点の粒
子を位相空間上に乱数を用いて一般的なガウス分布のビ
ームを再現するように配置したものであり、強度分布は
それらの粒子位置の分布をとり、実際の強度分布を示し
たものである。
【0010】四極電磁石などの線形磁場では、この分布
を保ったまま拡大、縮小はできるが、分布そのものを変
化させることはできない。強度分布がガウス分布をして
いるということはビーム中心部より遠い周辺部にまでビ
ームが分布しているということであるから、均一な分布
に変形させるために八極電磁石を用いて周辺部のみ中心
部へ畳み込むように再分布させ、ターゲット位置での照
射強度分布を均一化させる。
【0011】水平方向のビーム分布変形用八極電磁石1
8の通過前と通過後のy-y’位相空間を図4に示す。
八極電磁石18を通過するビームは位置の3乗に比例し
た勾配の変化を受けて位相空間上でビーム周辺部が折り
曲げられたようになる。ターゲット位置19でのy−
y’位相空間とy方向強度分布を図5に示す。八極電磁
石位置で折り曲げられた形状のビームがターゲット19
まで輸送され、中心部に畳み込まれたような状態にな
り、ターゲット19での照射強度分布は平坦化される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】八極電磁石を通過する
荷電粒子ビームの強度分布がガウス分布の場合、周辺部
に分布する粒子は中心部に比べ小さいため、周辺部を大
きく畳み込まないと分布を均一化することはできない。
周辺部を畳み込む大きさは八極電磁石の強度とその位置
での荷電粒子ビームのサイズに依存する。八極電磁石
は、図2に示したような8個の磁極1を持ち、中心から
の距離の3乗に比例した磁場強度を発生するが、大きな
強度を発生する場合には磁極1同士が近接する部分や磁
極1とヨーク2との接合部分などに局所的な磁束の集中
が起こり、鉄心の飽和の影響などから大きな強度が得ら
れない。
【0013】また、大きな磁場強度を得るためには鉄心
の飽和の影響を考慮して大きな電流が必要になるなどの
問題がある。また、八極電磁石の磁極長を大きくして実
効的な八極強度を大きくすることが可能であるが、設置
場所を大きく用意する必要があり、ビーム輸送系全体の
設置面積を大きくしてしまう。
【0014】本発明の目的は、荷電粒子ビームの照射強
度分布を均一にするために非線型磁場を発生する多極電
磁石を用いて均一化のための多極電磁石の多極磁場強度
を低減し軸ずれ影響を低減できる荷電粒子ビーム照射方
法および装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の特徴は、多極電磁石に入射される荷電粒子ビームの
強度分布積分値を所定の強度分布に成形するようにした
ことにある。具体的には、ターゲット位置でのビーム照
射強度分布を均一化するための多極電磁石と、前記多極
電磁石を通過するビームの時間平均した強度分布を平坦
化させる手段を設けている。
【0016】本発明は多極電磁石に入射される荷電粒子
ビームの強度分布積分値を平坦化しておくことにより、
均一化に必要な多極電磁石による分布の畳み込みが小さ
くてよいため多極磁場強度を低減することができると共
にビームの軸ずれの影響を低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
例を詳細に説明する。
【0018】図6は、本発明の好適な一実施例であるビ
ーム輸送システムの構成を示す。なお、本実施例のビー
ム輸送システムは、大強度・高エネルギーの陽子ビーム
をおよそ1.5GeVまで加速し、そのビームを極力損
失することなく照射目標まで輸送する輸送システムであ
る。また、加速器から得られる強度分布がガウス分布と
なっているビームを成形し、目標位置でのビームの照射
強度分布を可能な限り均一化して照射目標に照射し、照
射目標と陽子ビームの相互作用により生じる中性子を物
性研究等に用いるものである。
【0019】図6において、19が照射目標ターゲット
であり、10が陽子を輸送するビームダクトである。加
速器で加速されたビームはビームダクト10を通り発散
型四極電磁石11の上流側に達する。
【0020】発散型四極電磁石11の上流側から照射目
標19に至るまでの間には、発散型四極電磁石11、1
3、15、収束型四極電磁石12、14、16さらに垂
直方向ビーム強度分布均一化用八極電磁石17、水平方
向ビーム強度分布平坦化用八極電磁石19、さらに垂直
・水平方向にそれぞれの方向にビーム走査する走査電磁
石20、21が設置されている。
【0021】収束型四極電磁石12、14、16は磁石
中心位置から水平方向(以下、x方向)変位が大きくな
るとx方向変位に比例した力で粒子ビームの水平方向軌
道勾配(以下x’)を変えて粒子ビームを収束し、垂直
方向(以下y方向)についてはy方向変位に比例した力
で垂直方向軌道勾配(以下y’)を変えて発散する。一
方、発散型四極電磁石11、13、15の場合は、収束
型四極電磁石12、14、16と反対の作用をビームに
与える。
【0022】この結果、ビームは発散型・収束型四極電
磁石11〜16によりそれぞれの作用を受け発散・収束
を繰り返して照射目標19に輸送される。発散型・収束
型四極電磁石11〜16は線形磁場を発生するので、軌
道勾配の変化は変位に比例するため、ビームの粒子数分
布つまりビームの強度分布も線形に変化するだけであ
る。したがって、粒子数分布の形状、すなわちビームの
強度分布の成形は八極電磁石17、18と走査電磁石2
0、21を用いて行う。
【0023】図8に、走査電磁石20によるビーム走査
がない場合の八極電磁石17の位置でのビーム分布を示
す。
【0024】走査電磁石20、21は線形磁場を発生
し、ビームを偏向するための二極電磁石であり、垂直方
向走査電磁石20ではビームを垂直方向に偏向させる機
能を有する。この走査電磁石20に図7に示すような正
弦波状の電流iを加えることによって、加速器から得ら
れるガウス分布のビームは図9に示すように垂直方向位
相空間内を移動し、ビーム走査後の強度分布をガウス分
布からガウス分布の重ね合わせのような分布に変化させ
ることができる。走査後の垂直方向位相空間(y-y’
空間)の粒子数分布と強度分布を図9に示す。
【0025】八極電磁石17、18は、x方向変位の3
乗に比例した力で軌道変位x’を変化させ、y方向変位
の3乗に比例した力で軌道変位y’を変化させる作用を
持つ。八極電磁石を通過することにより変位の大きな粒
子はより大きな勾配の変化を受けるためビームの粒子数
分布が変化する。
【0026】垂直方向走査電磁石20で走査され垂直方
向分布がガウス分布から変化したビームが、垂直方向強
度分布均一化用八極電磁石17を通過すると、走査電磁
石20がない場合に比べより変位の大きいビームが大き
くなり八極電磁石17の効果が大きくなること、また、
ガウス分布の重ね合わせによりビーム強度分布がある程
度均一化されていることから、強度分布均一化に要する
八極電磁石17の強度を低減することができる。
【0027】図9に示したような分布のビームをターゲ
ット位置19まで輸送した場合の垂直方向位相空間と強
度分布を図10に示す。また、図10の場合と同様の電
磁石配置、および四極強度において走査電磁石を用いず
に、八極電磁石のみでターゲットにおける強度分布均一
化を行った場合の垂直方向位相空間と強度分布について
は、図5に示している。
【0028】本実施例の計算において、走査電磁石2
0、21を用いた場合の八極電磁石17、18の磁場強
度は、走査電磁石20、21を用いない場合に比べて低
減されている。さらに、磁場強度の平坦な領域は走査電
磁石20、21を用いた場合に、走査電磁石20、21
を用いない場合に比べて拡張されている。
【0029】また、水平方向においても水平方向強度分
布均一化用八極電磁石18に水平方向の走査電磁石21
を組み合わせて用いることによって、八極強度を低減
し、かつターゲット位置での強度の均一な領域を拡大す
ることができる。
【0030】したがって、同一のビーム条件、電磁石配
置、四極電磁石強度の場合に八極電磁石の強度を低減
し、かつビーム強度の均一な領域が大きいビーム輸送系
を実現できる。
【0031】また、ターゲット位置19で得られる照射
強度分布の均一な領域の大きさが同一であれとすれば、
八極電磁石のみを用いる方法に比べ走査電磁石を用いる
方法は走査電磁石より上流でのビームサイズが小さくて
も良いため、走査電磁石より上流に配置されたビーム輸
送用の機器、偏向電磁石や四極電磁石の機器サイズを小
さくすることができる。
【0032】さらに、このようなビーム輸送系でターゲ
ット位置での強度分布の均一な領域の大きさを拡大・縮
小する場合、走査電磁石を用いずに八極電磁石のみを用
いる方法では、図6中の四極電磁石15、16などの励
磁量を変更してビームの拡大・縮小を行い、その上で八
極電磁石の強度を調整する必要がある。このようなビー
ム輸送系では、機器を設置する場合に精密となるように
実施しているが、四極電磁石には0.1mmオーダーの
設置誤差が残る場合があり、その設置誤差によるビーム
軌道への影響は四極電磁石の励磁量に比例する。ビーム
輸送系において、ビーム軌道の調整時にはそれらの設置
誤差による影響をビーム軌道補正用のステアリング電磁
石などで補正しているが、四強電磁石の励磁量を変えた
場合にはその補正量も再設定する必要が生じる。
【0033】しかし、本実施例では、強度分布の均一な
領域を拡大・縮小する場合に四極電磁石の励磁量を変え
ずに、走査電磁石による蹴り量と八極電磁石の強度を変
更するだけでよい。すなわち、走査電磁石の蹴り量(勾
配の変化量)を小さくして八極電磁石位置でのビームサ
イズを小さくし八極電磁石の強度を大きくすればターゲ
ット位置での均一領域は縮小できる。逆に、走査電磁石
の蹴り量を大きくして八極電磁石位置でのビームサイズ
を大きくし、八極電磁石の強度を小さくすれば均一領域
は拡大できる。このとき、四極電磁石の励磁量を変更す
る必要はなく、ビーム軌道、および分布の中心の位置は
変化しなため軌道補正用ステアリング電磁石の補正量を
変更することなく強度分布均一領域を拡大・縮小するこ
とができる。
【0034】また、八極電磁石を通過するビームの中心
位置がずれている場合には、八極電磁石位置でのビーム
分布が非対称となる。八極電磁石による勾配の変化は変
位の3乗に比例するため勾配の変化も非対称となり、タ
ーゲット位置19での磁場強度分布が非対称となる。こ
の非対称性によりターゲット位置19での磁場強度分布
の均一度が低下する。
【0035】本発明では、八極電磁石位置でのビーム分
布が従来のビーム分布に比べて特に中央部が幅広くなる
ことからビームの位置ずれに対する強度分布の対称性の
悪化を低減できる。したがって、ターゲット位置19で
の強度分布の対称性の悪化、すなわち、均一性の悪化を
小さくできる。
【0036】八極電磁石以外を用いて強度分布を均一化
させる方法として十二極電磁石などを組み合わせる方法
もあるが、位相空間上でビーム分布を折り曲げて周辺部
を中心部に畳み込むことにより強度分布を均一化する基
本的な原理は八極電磁石のみを用いる場合と変わらない
ため、多極電磁石通過前に時間的平均した強度分布、す
なわち、強度分布積分値を平坦化する方法を適用するこ
とができる。
【0037】多極電磁石を用いずに、ターゲット位置1
9での時間的平均した照射強度分布を平坦化する方法と
して、水平・垂直2台の走査電磁石を用いる方法があ
る。この方法では、照射ターゲット位置19の上流に2
台の走査電磁石を設置し、ガウス分布のビームを照射タ
ーゲットの照射範囲全体に渡って走査することで走査後
の平坦な分布を得ることができるが、ガウス分布のビー
ム径が大きいと、照射領域の辺縁部にガウス分布の裾の
部分にあたる分布が残り、平坦な分布とならないビーム
の量・範囲とも増加するため、ビーム径を小さく抑える
必要がある。しかし、ビーム径を小さくするとある照射
面積を照射するために必要な照射回数が多くなるととも
に、必要な時間が長くなり、かつ精度よく走査する必要
が出てくる。
【0038】走査の方法によっては、偏向量をステップ
上に変化するなど複雑な電源や制御も必要となってく
る。また、照射ターゲット19の上流のドリフトが短い
と走査範囲の大きさに応じて走査電磁石の偏向量が大き
く必要となるなどの問題がある。
【0039】本発明の場合、走査電磁石は時間的平均し
た分布をある程度まで平坦化するだけでよいため、走査
電磁石の偏向量も小さくてよく、走査の方法、すなわち
走査電磁石の電流も本実施例に示したような正弦波など
の簡単なパターンでよい。また、任意の場所に設置でき
るためターゲット前のドリフト空間の長さに対する制約
もない。
【0040】図11は、本発明を用いるのに好適な一実
施例である加速器を用いたビーム照射システムの構成を
示す。本実施例は、ビーム強度均一化の方法として本発
明のビーム輸送システムを用いており、ビーム強度均一
化用に八極電磁石107、109と走査電磁石106、
108を用いている。
【0041】図11において、加速器システム100は
入射器101から入射したビームを加速器102によっ
て所望のエネルギーまで加速し、ビーム輸送系システム
103に出射する。ビーム輸送系システム103はビー
ムを偏向する偏向電磁石104と、ビームに対して収束
・発散の作用を持つ四極電磁石105、垂直方向走査電
磁石106、垂直方向強度分布均一化用八極電磁石10
7、水平方向走査電磁石108、水平方向強度分布均一
化用八極電磁石109からなり、照射ターゲット110
へ均一な強度分布のビームを照射する。
【0042】照射ターゲット110に照射するビームの
強度分布を測定するものとして、ビーム分布モニタ11
1が設置されている。なお、ビーム分布モニタ111が
ビームを非破壊で測定できるものであればビームライン
上に常時設置可能であるが、ビームを破壊して測定する
ものである場合にはターゲット110へのビーム照射時
にはビームライン上から取り除かれる。
【0043】加速器システム100から出射されるビー
ムは3GeV程度の高エネルギーで、かつ数10μAの
大電流であり、ビーム損失による機器の放射化やビーム
損失によって生じる放射線によるコイル絶縁の破壊など
の問題を生じさせないようにするために加速器102、
およびビーム輸送系103でのビーム損失を極力低減す
る必要がある。また、照射ターゲット110ではビーム
強度分布が不均一である場合にターゲットの局所的な発
熱により温度分布が生じて、ターゲット110の破壊、
もしくは照射可能時間(寿命)の低下をもたらすため、
ターゲット110でのビーム強度分布を極力均一化する
必要がある。
【0044】加速器システム100から出射されるビー
ムは水平・垂直方向ともガウス分布をしており、このビ
ームを垂直方向走査電磁石106で走査して時間的平均
した分布をある程度まで平坦化後に垂直方向強度分布均
一化用八極電磁石107を通して、ターゲット110で
の垂直方向ビーム強度分布を均一化する。同様に、水平
方向走査電磁石108で走査して時間的平均した分布を
ある程度まで平坦化後に水平方向強度分布均一化用八極
電磁石109を通して、ターゲット110での垂直方向
ビーム強度分布を均一化する。
【0045】ターゲット110での強度分布を均一化す
るための八極電磁石107、109の八極強度、すなわ
ち励磁量と、走査電磁石106、108での走査量すな
わちビームの勾配の変化量(蹴り量)の範囲は、ビーム
強度分布モニタ111を挿入した状態で強度分布を測定
してそれぞれ決定する。実際には、ビーム強度分布モニ
タ111で測定された信号はモニタ信号処理回路系21
1を通じて制御系300に達し、その分布が均一になる
ように八極電磁石107、109の電源装置207、2
09、および走査電磁石106、108の電源装置20
6、208への設定値を与える。
【0046】また、ビーム強度走査電磁石106、10
8でビームを走査して時間平均した分布を平坦化してい
るが、ビーム走査後の積分値として平坦化した分布を得
る必要があるためにビーム走査の方法、すなわち走査電
磁石電源装置206、208の励磁方法を加速から得ら
れるビームの時間構造に対応させる必要がある。
【0047】図12に、加速器システムが速い繰り返し
のシンクロトロンの場合の走査電磁石電源励磁方法の一
例を示す。ここでいう早い繰り返しのシンクロトロンと
は、25Hz(数10Hz)ごとに入射から出射を繰り
返すシンクロトロンのことを指す。図12に示したよう
にこの加速器102の偏向電磁石電流、すなわち、それ
に対応して加速器102内のビームのエネルギーが正弦
波で変化し、電流量の極小となる部分で入射を、極大と
なる部分で出射を行う。したがって、ビームの入射・出
射は40msecごとに行われ、1μsecの長さのビ
ームを出射する。
【0048】走査電磁石106、108の電源206、
208はこの例では25Hzの6分の1、約4.17H
zで走査電磁石106、108を正弦波で励磁して、1
周期後の積分値として分布を平坦化する。走査電磁石1
06、108の電源206、208の励磁の周期や蹴り
量は、制御系300が加速器システム100から得た運
転条件を基に、ビーム強度分布モニタ110で測定する
強度分布が均一になるように制御される。なお、図12
では走査電磁石106、108の電源206、208の
励磁の周期や蹴り量を同一のものとしているが、走査電
磁石106、108はそれぞれ垂直方向・水平方向走査
用であるから、それぞれの方向の強度分布を均一にする
ために周期や蹴り量が異なる場合もある。
【0049】このような加速器を用いたビーム照射シス
テムに、走査電磁石と八極電磁石を用いた本発明を採用
したことによる効果を説明する。
【0050】走査電磁石106、108を用いて時間平
均した強度分布積分値を平坦化したビームで八極電磁石
107、109により強度分布均一化を実施するビーム
輸送システム103を用いることによって、八極電磁石
の強度を低減し、かつ強度分布が均一な領域を拡大する
ことが可能となる。八極電磁石の強度が低減可能である
ということは、同じ八極強度を発生する形状の電磁石で
あれば磁極長を小さくすることが可能となるため輸送シ
ステムの全体のサイズを低減できる。
【0051】また、ターゲット110位置での強度分布
が均一な領域の大きさが一定であれば、走査電磁石10
6より上流側のビームサイズを小さくできることから、
ビーム輸送系103の偏向電磁石104、四極電磁石1
05のビーム通過領域のサイズを小さくできる。また、
加速器102から出射されるビームのエミッタンスが小
さくてよいため、加速器102を構成する機器のサイズ
も低減できる。
【0052】また、ビーム輸送系の四極電磁石105の
励磁量を変更せずに走査電磁石106、108の蹴り量
と八極電磁石107、109の励磁量によってターゲッ
ト110位置での強度分布均一領域の拡大・縮小が行え
るため四極電磁石の設置誤差による生じる四極強度に依
存するビーム軌道ずれが発生せず、ビーム輸送系103
に配置される軌道補正用電磁石の設定を変える必要がな
い。
【0053】また、走査電磁石の走査によりビームの時
間平均した強度分布を平坦化した場合には八極電磁石位
置でのビーム中心位置のずれによって生じる均一度の変
化を小さく抑えることができるため、ビーム位置精度の
要求が緩和されて加速器200の機器・電源の仕様を緩
和し、システム全体のコストを低減可能となる。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、荷電粒子ビームの強度
分布を多極電磁石で均一化するビーム輸送系において、
多極電磁石通過前に走査電磁石を用いてビームの時間平
均した強度分布をある程度均一化することにより多極電
磁石の多極磁場強度を低減することが可能となる。ま
た、走査電磁石上流の必要なビームサイズを小さくし、
かつ八極電磁石位置でのビーム位置ずれの影響を緩和す
るので、ビーム輸送系および加速器システム全体に求め
られる仕様を簡単にしてより安価なビーム照射システム
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】八極電磁石を用いたビーム強度分布平坦化用ビ
ーム輸送系を示す図である。
【図2】八極電磁石の断面を示す図である。
【図3】ビーム輸送系に入射する点(図1中 Aの位
置)ビームの初期分布を示す図である。
【図4】八極電磁石位置(図1中 Bの位置)でのビー
ム分布を示す図である。
【図5】ターゲット位置(図1中 Cの位置)でのビー
ム分布を示す図である。
【図6】本発明の第一実施例である、走査電磁石と八極
電磁石を備えたビーム輸送系を示す図である。
【図7】本発明の第一実施例における、走査電磁石電源
電流の時間変化を示す図である。
【図8】本発明の第一実施例における、走査電磁石17
によるビーム走査がない場合の八極電磁石20通過前の
ビームの分布を示す図である。
【図9】本発明の第一実施例における、走査電磁石17
によるビーム走査を行った場合の八極電磁石20通過前
のビームの分布を示す図である
【図10】本発明の第一実施例における、走査電磁石1
7によるビーム走査を行った場合の八極電磁石20通過
前のビームの分布を示す図である
【図11】本発明を適用したビーム照射用加速器システ
ムを示す図である。
【図12】本発明における、加速器の運転周期と走査電
磁石の励磁パターンの関係を示す図である。
【符号の説明】
1・・・磁極、2・・・ヨーク、3・・・コイル、10・・・ビーム
ダクト、11,13,15・・・発散型四極電磁石、1
2,14,16・・・収束型四極電磁石、17・・・垂直方向
強度分布平坦化用八極電磁石、18・・・水平方向強度分
布平坦化用八極電磁石、19・・・照射ターゲット、20・
・・垂直方向走査電磁石、21・・・水平方向走査電磁石、
100・・・加速器システム、101・・・ビーム入射器、1
03・・・ビーム輸送システム、104・・・ビーム輸送系偏
向電磁石、105・・・ビーム輸送系四極電磁石、106・
・・垂直方向走査電磁石、107・・・垂直方向強度分布均
一化用八極電磁石、108・・・水平方向走査電磁石、1
09・・・水平方向強度分布均一化用八極電磁石、110・
・・照射ターゲット、111・・・ビーム強度分布モニタ、
206・・・垂直方向走査電磁石電源、207・・・垂直方向
強度分布均一化用八極電磁石電源、208・・・水平方向
走査電磁石電源、209・・・水平方向強度分布均一化用
八極電磁石電源、211・・・ビーム強度分布モニタ信号
処理系、300・・・全体システム制御系

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非線形磁場を発生する多極電磁石によって
    荷電粒子ビームの強度分布を均一にして照射目標の所定
    範囲に照射するものであって、前記多極電磁石に入射さ
    れる荷電粒子ビームの強度分布積分値を所定の強度分布
    に成形するようにしたことを特徴とする荷電粒子ビーム
    照射方法。
  2. 【請求項2】非線形磁場を発生する多極電磁石によって
    荷電粒子ビームの強度分布を均一にして照射目標の所定
    範囲に照射するものであって、前記多極電磁石に入射さ
    れる荷電粒子ビームの強度分布積分値を所定の強度分布
    に線形磁場を発生する電磁石によって成形するようにし
    たことを特徴とする荷電粒子ビーム照射方法。
  3. 【請求項3】非線形磁場を発生する八極電磁石によって
    荷電粒子ビームの強度分布を均一にして照射目標の所定
    範囲に照射するものであって、前記八極電磁石を通過す
    る荷電粒子ビームの粒子数積分値を所定の粒子数分布に
    線形磁場を発生する二極電磁石によって成形するように
    したことを特徴とする荷電粒子ビーム照射方法。
  4. 【請求項4】非線形磁場を発生する多極電磁石によって
    荷電粒子ビームの強度分布を均一にして照射目標の所定
    範囲に照射する荷電粒子ビーム照射装置において、前記
    多極電磁石に入射される荷電粒子ビームの強度分布積分
    値を所定の強度分布に成形するビーム分布調整手段を設
    けたことを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。
  5. 【請求項5】非線形磁場を発生する多極電磁石によって
    荷電粒子ビームの強度分布を均一にして照射目標の所定
    範囲に照射する荷電粒子ビーム照射装置において、前記
    多極電磁石に入射される荷電粒子ビームの強度分布積分
    値を所定の強度分布に成形する線形磁場を発生する電磁
    石を設けたことを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。
  6. 【請求項6】非線形磁場を発生する八極電磁石によって
    荷電粒子ビームの強度分布を均一にして照射目標の所定
    範囲に照射する荷電粒子ビーム照射装置において、もの
    であって、前記八極電磁石を通過する荷電粒子ビームの
    粒子数積分値を所定の粒子数分布に成形する二極電磁石
    を設けたことを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。
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