JP2001227567A - 一方向クラッチ - Google Patents

一方向クラッチ

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JP2001227567A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルク伝達能力の低下を生じることなく、か
つ、クラッチ入切の応答性が優れた総ころ形式の一方向
クラッチを提供することである。 【解決手段】 内周面に傾斜カム面2を設けた外輪1の
内側に、ころ4を総ころ状態で配するとともに、ころ4
を押圧するばね6をころ4の間に介在させないように外
輪1の内周面の溝5に係止し、全てのころ4が常に相互
の当接状態を保つようにすることにより、ばね6の押圧
力を確実、かつ瞬時に全てのころ4に伝達でき、トルク
伝達能力の低下を生じることなく、かつ、クラッチ入切
の応答性も優れたものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ころを係合子と
して用いた一方向クラッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ころを係合子とする一方向クラッチとし
て、特開昭47−43645号公報に開示されたものが
ある。この一方向クラッチは、図5および図6に示すよ
うに、外部中空部材(外輪)51の内周面と内部軸部材
52の外周面との間に、ころ53が相互に係合し合うよ
うに内部軸部材52を取り囲んで、いわゆる総ころ状態
で配され、各ころ53が外部中空部材51の内周面に設
けられた複数の傾斜カム面54に楔効果で一方向にロッ
クされるようにしたものである。外部中空部材51を時
計回りに回転するか、または内部軸部材52を反時計回
りに回転するときに、各ころ53が各カム面54にロッ
クされ、トルクが伝達される。
【0003】図5に示す一方向クラッチは、ころ53が
内部軸部材52の全周を囲む状態で配され、外部中空部
材51または内部軸部材52が前記回転方向に回転する
ときのこれらの回転部材ところ53との間の摩擦力によ
り、ころ53をカム面54にロックさせるようにしてい
る。この実施例ではいずれか一つのころ53に摩擦力が
作用すると、相互のころ53の係合で全てのころ53が
カム面54にロックされるとしている。
【0004】図6に示す一方向クラッチは、前記総ころ
状態で配されたころ53の一つをばねローラ55で置き
換えたものであり、その弾性変形に伴う弾性力でばねロ
ーラ55と当接するころ53を押圧することにより、相
互に係合し合う全てのころ53をカム面54にロックさ
せる。なお、ばねローラ55の替わりに、ゴム等の弾性
ローラや板ばね等の弾性体を使用してもよいとしてい
る。
【0005】これらの総ころ形式の一方向クラッチは、
ころの配置本数を増加させてトルク伝達能力を増大する
とともに、ころの保持器を不要としてコンパクトな設計
を可能とすることを狙いとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の総ころ
形式の一方向クラッチは、以下の問題点を有する。すな
わち、図5に示した一方向クラッチは、前記摩擦力の発
生が不安定であるので、傾斜カム面にころを確実にロッ
クさせることができず、クラッチが作用しない場合があ
る。
【0007】一方、図6に示した形式の一方向クラッチ
は、総ころ状態に配されたころの間に介在するばねロー
ラ等の弾性体が、弾性変形により過大に縮むことがある
ので、いずれかのころ同士の間、または弾性体ところと
の間に隙間が生じ、前記弾性体の押圧力を確実、かつ瞬
時に全てのころに伝達することができず、トルク伝達能
力の低下や、クラッチ入切の遅れが生じる問題がある。
【0008】そこで、この発明の課題は、トルク伝達能
力の低下を生じることなく、かつ、クラッチ入切の応答
性が優れた総ころ形式の一方向クラッチを提供すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明は、外輪の内周面または内輪の外周面に
複数の傾斜カム面が設けられ、これらの各カム面と対向
する位置にころが配され、これらの各ころが弾性体によ
り前記カム面でロックされる方向に押圧された一方向ク
ラッチにおいて、前記各ころを周方向で、直接相互に当
接させるか、またはこれらのころよりも小径の補助ころ
を介して相互に当接させて配し、少なくとも一つの前記
弾性体を前記外輪の内周面または内輪の外周面に係止
し、この弾性体の押圧力を前記相互に当接するころを介
して、全てのころに伝達する構成を採用した。
【0010】すなわち、ころを押圧する弾性体を外輪の
内周面または内輪の外周面に係止することにより、弾性
体をころの間に介在させず、全てのころが常に直接また
は補助ころを介して相互の当接状態を保てるようにし、
弾性体の押圧力を確実、かつ瞬時に全てのころに伝達で
きるようにした。
【0011】前記内輪を焼結金属または鋼板を打ち抜き
加工したもので形成することにより内輪を安価に製造す
ることができる。
【0012】また、この発明は、外輪の内周面に複数の
傾斜カム面が設けられ、これらの各カム面と対向する位
置にころが配され、これらの各ころが弾性体により前記
カム面でロックされる方向に押圧された一方向クラッチ
において、前記各ころを周方向で、直接相互に当接させ
るか、またはこれらのころよりも小径の補助ころを介し
て相互に当接させて配し、少なくとも一つの前記弾性体
を前記外輪の内周面に係止し、この弾性体の押圧力を前
記相互に当接するころを介して、全てのころに伝達する
構成のものも採用することができる。
【0013】前記外輪を焼結金属または鋼板を打ち抜き
加工したもので形成することにより外輪を安価に製造す
ることができる。
【0014】前記補助ころを前記弾性体の係止部位と対
向する位置に配することにより、弾性体を係止するスペ
ースを広く確保し、より大寸法の弾性体を用いて、前記
ころの押圧力を大きくすることができる。
【0015】前記弾性体としては、前記ころを押圧する
舌片を有する鋼板製のばねを採用することができる。
【0016】前記外輪の外径に、トルク伝達手段を一体
に形成することにより、部品点数を減らすとともに、ク
ラッチの組み込み作業を簡素化することができる。
【0017】前記トルク伝達手段は、前記外輪の外径に
形成された凹凸とすることができる。
【0018】
【実施の形態】以下、図1乃至図4に基づき、この発明
の実施形態を説明する。図1(a)、(b)は、第1の
実施形態を示す。この一方向クラッチは、焼結金属製の
外輪1の内周面に複数の傾斜カム面2が設けられ、これ
らのカム面2と回転軸3の外周面との間にころ4が総こ
ろ状態で配されている。外輪1の内周面に設けられた溝
5には鋼板製のばね6が係止され、その舌片6aに当接
されたころ4aがカム面2でロックされる方向に押圧さ
れ、この押圧力が相互に当接するころ4を介して全ての
ころ4に伝達され、各ころ4がカム面2で一方向にロッ
クされるようになっている。各カム面2は、1つの平面
で形成されている。
【0019】前記外輪1の外径にはトルク伝達手段とし
ての複数の突条7が一体に形成され、一方向クラッチ
は、側板8を介して止め環9で回転軸3に抜け止めされ
ている。この実施形態では、回転軸3が時計回りに回転
すると、全てのころ4がカム面2でロックされて、回転
軸3のトルクが外輪1に伝達され、回転軸3が反時計回
りに回転すると、トルクの伝達が解除される。
【0020】図2(a)、(b)は、第2の実施形態を
示す。この一方向クラッチは、外輪10が鋼板を打ち抜
き加工して形成されており、その内周面に設けられた溝
11には鋼板製のぜんまいばね12が係止され、ころ4
aをカム面2でロックされる方向に押圧している。その
他の部分は第1の実施形態と同じであるので、図1と同
じ符号で表示した。
【0021】図3は、第3の実施形態を示す。この一方
向クラッチは、ころ4aを押圧する弾性体にゴム13を
使用したものである。その他の部分は第2の実施形態と
同じであるので、図2と同じ符号で表示した。
【0022】図4(a)、(b)は、第4の実施形態を
示す。この一方向クラッチは、内輪14付きのものであ
り、内輪14の外周面に複数の傾斜カム面15が設けら
れ、これらのカム面15と外輪16の内周面との間にこ
ろ17が総ころ状態で配されている。内輪14および外
輪16は、いずれも焼結金属製のものである。
【0023】前記内輪14の外周面には2ヵ所に溝18
が設けられ、各溝18に鋼板製のばね19が係止されて
おり、その舌片19aに当接されたころ17aがカム面
15でロックされる方向に押圧されている。各ばね19
と対向する位置には、小径の補助ころ20が外輪16側
に押し当てられて配され、各補助ころ20の両側のころ
17a、17bは補助ころ20を介して相互に当接して
いる。なお、ばね19を外輪16側に係止し、補助ころ
20を内輪14側に押し当てた構成とすることもでき
る。
【0024】前記外輪16の外径にはトルク伝達手段と
しての複数の突条21が一体に形成され、内輪14内径
のコーナを丸められた矩形孔22に回転軸(図示省略)
の軸端部が嵌合されるようになっている。一方向クラッ
チの両端には、クラッチ部を覆う側板23が取り付けら
れる。この実施形態では、内輪14が時計回りに回転す
るか、外輪16が反時計回りに回転すると、全てのころ
17がカム面15でロックされ、内輪14または外輪1
6がこれらと逆向きに回転すると、ロックが解除され
る。各カム面15は、2つの平面を組み合わせて形成さ
れている。
【0025】上述した各実施形態では、ころと係合する
カム面を1つの平面または2つの平面を組み合わせたも
ので形成したが、曲面で形成することもできる。また、
各実施形態における総ころ状態のころは、厳密には相互
間に僅かの隙間を許容されており、この隙間の許容量
は、一方向クラッチの定格負荷時におけるころや内外輪
の弾性変位量以下に設定され、定格負荷時に全てのころ
が当接状態を保てるようになっている。
【0026】
【発明の効果】以上のように、この発明の一方向クラッ
チは、外輪の内周面または内輪の外周面に設けた傾斜カ
ム面に係合するころを総ころ状態で配するとともに、こ
ろを押圧する弾性体をころの間に介在させないように外
輪の内周面または内輪の外周面に係止し、全てのころが
常に相互の当接状態を保てるようにしたので、弾性体の
押圧力を確実、かつ瞬時に全てのころに伝達でき、トル
ク伝達能力の低下を生じることなく、かつ、クラッチ入
切の応答性も優れたものとすることができる。
【0027】前記弾性体の係止部位と対向する位置に、
両側のころに当接し、各ころよりも小径の補助ころを配
することにより、弾性体を係止するスペースを広く確保
し、より大寸法の弾性体を用いて、ころの押圧力を大き
くすることができる。
【0028】前記外輪の外径に、トルク伝達手段を一体
に形成することにより、部品点数を減らすとともに、ク
ラッチの組み込み作業を簡素化することができる。
【0029】前記内輪や外輪に、焼結金属で形成したも
の、または鋼板を打ち抜き加工して形成したものを採用
することにより、クラッチの製造コストを下げることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】aは第1の実施形態の一方向クラッチを示す正
面図、bはaの側面断面図
【図2】aは第2の実施形態の一方向クラッチを示す正
面図、bはaの側面断面図
【図3】第3の実施形態の一方向クラッチを示す正面図
【図4】aは第4の実施形態の一方向クラッチを示す正
面図、bはaのIV−IV線に沿った断面図
【図5】従来の一方向クラッチを示す一部省略断面図
【図6】他の従来の一方向クラッチを示す一部省略断面
【符号の説明】
1 外輪 2 カム面 3 回転軸 4、4a ころ 5 溝 6 ばね 6a 舌片 7 突条 8 側板 9 止め環 10 外輪 11 溝 12 ぜんまいばね 13 ゴム 14 内輪 15 カム面 16 外輪 17、17a、17b ころ 18 溝 19 ばね 19a 舌片 20 補助ころ 21 突条 22 矩形孔 23 側板

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外輪の内周面または内輪の外周面に複数
    の傾斜カム面が設けられ、これらの各カム面と対向する
    位置にころが配され、これらの各ころが弾性体により前
    記カム面でロックされる方向に押圧された一方向クラッ
    チにおいて、前記各ころを周方向で、直接相互に当接さ
    せるか、またはこれらのころよりも小径の補助ころを介
    して相互に当接させて配し、少なくとも一つの前記弾性
    体を前記外輪の内周面または内輪の外周面に係止し、こ
    の弾性体の押圧力を前記相互に当接するころを介して、
    全てのころに伝達するようにしたことを特徴とする一方
    向クラッチ。
  2. 【請求項2】 前記内輪を焼結金属または鋼板を打ち抜
    き加工したもので形成した請求項1に記載の一方向クラ
    ッチ。
  3. 【請求項3】 外輪の内周面に複数の傾斜カム面が設け
    られ、これらの各カム面と対向する位置にころが配さ
    れ、これらの各ころが弾性体により前記カム面でロック
    される方向に押圧された一方向クラッチにおいて、前記
    各ころを周方向で、直接相互に当接させるか、またはこ
    れらのころよりも小径の補助ころを介して相互に当接さ
    せて配し、少なくとも一つの前記弾性体を前記外輪の内
    周面に係止し、この弾性体の押圧力を前記相互に当接す
    るころを介して、全てのころに伝達するようにしたこと
    を特徴とする一方向クラッチ。
  4. 【請求項4】 前記外輪を焼結金属または鋼板を打ち抜
    き加工したもので形成した請求項1乃至3のいずれかに
    記載の一方向クラッチ。
  5. 【請求項5】 前記補助ころを前記弾性体の係止部位と
    対向する位置に配した請求項1乃至4のいずれかに記載
    の一方向クラッチ。
  6. 【請求項6】 前記弾性体が、前記ころを押圧する舌片
    を有する鋼板製のばねである請求項1乃至5のいずれか
    に記載の一方向クラッチ。
  7. 【請求項7】 前記外輪の外径に、トルク伝達手段を一
    体に形成した請求項1乃至6のいずれかに記載の一方向
    クラッチ。
  8. 【請求項8】 前記トルク伝達手段が、前記外輪の外径
    に形成された凹凸である請求項7に記載の一方向クラッ
    チ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006114889A1 (ja) * 2005-04-25 2006-11-02 Ashimori Industry Co., Ltd. ベルト締具

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WO2006114889A1 (ja) * 2005-04-25 2006-11-02 Ashimori Industry Co., Ltd. ベルト締具
JPWO2006114889A1 (ja) * 2005-04-25 2008-12-11 芦森工業株式会社 ベルト締具
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