JP2001227464A - 圧縮機用中空ピストンおよびその製造方法 - Google Patents

圧縮機用中空ピストンおよびその製造方法

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JP2001227464A JP2000038329A JP2000038329A JP2001227464A JP 2001227464 A JP2001227464 A JP 2001227464A JP 2000038329 A JP2000038329 A JP 2000038329A JP 2000038329 A JP2000038329 A JP 2000038329A JP 2001227464 A JP2001227464 A JP 2001227464A
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piston
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groove
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Takayuki Kato
崇行 加藤
Seiji Katayama
誠二 片山
Takahiro Hoshida
隆宏 星田
Fuminobu Enoshima
史修 榎島
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Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04BPOSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS
    • F04B27/00Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders
    • F04B27/08Multi-cylinder pumps specially adapted for elastic fluids and characterised by number or arrangement of cylinders having cylinders coaxial with, or parallel or inclined to, main shaft axis
    • F04B27/0873Component parts, e.g. sealings; Manufacturing or assembly thereof
    • F04B27/0878Pistons

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Abstract

(57)【要約】 【課題】中空円筒状部材と閉塞部材とを十分な溶接強度
で接合する。 【解決手段】本体部材162は、中空円筒状部170を
備え、その外周面173の開口側端面174に隣接する
部分に端面174の外周縁に沿って延びる切欠176を
有する。中空円筒状部170の開口を閉塞するキャップ
164は、有底の段付円筒状をなし、その外周面203
の端面196に隣接する部分には、端面196の外周縁
に沿って延びる切欠204を有する。端面174と端面
196とが当接してキャップ164の中空円筒状部17
0内の嵌合深さを規定した状態では、切欠176,20
4により矩形断面の溝220が周方向に形成される。溝
220の底面222の端面174,196の位置に沿っ
て電子ビームを照射し、端面174,196同士を溶接
する。溶接後、中空円筒状部170およびキャップ16
4の外周面173,203の機械加工時に、溝220を
残して油溝として使用してもよいし、溝220を完全に
除去してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧縮機用のピストン
に関するものであり、特に、少なくともシリンダボアに
嵌合される頭部が中空である中空ピストンと、それの製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】圧縮機のピストンは往復運動をするもの
であるからできる限り軽量化することが望ましい。特
に、圧縮機全体の小形化が強く要求される車両用エアコ
ンの冷媒圧縮機においては、ピストンの往復運動の周波
数が高いため、ピストン軽量化の要求が強く、中でも、
斜板の傾斜角度を変更することにより吐出容量を変更す
る可変容量型斜板式圧縮機においてその要求が強い。そ
のため、従来から、ピストンの、少なくともシリンダボ
アに嵌合される頭部を中空とすることが行われている。
この中空ピストンは、有底の中空円筒状部を有する本体
部材の開口を閉塞部材によって閉塞することにより製造
されている。
【0003】閉塞部材は単純な円板状とされることも、
円板部と円筒部とを備えた有底の中空円筒状とされるこ
ともあり、さらに、ピストンを往復運動させる往復駆動
装置と係合する係合部を一体に備えるものとされること
もある。本体部材と閉塞部材とは溶接により接合される
ことが多い。閉塞部材が単純な円板状のものである場合
には、閉塞部材の端面が本体部材の中空円筒部の開口側
端面に溶接される場合と、閉塞部材が中空円筒部の開口
端部内に嵌合され、中空円筒部の内周面と閉塞部材の外
周面とが溶接される場合とがある。閉塞部材が円板部と
円筒部とを備える場合には、その円筒部の端面と本体部
材の中空円筒部の端面とにおいて溶接される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本体部材と閉塞部材との溶接後、中空ピストンの外
面に切削,研削等の機械加工が施される。その際、溶接
時に形成された溶融部の外面側の部分も共に除去される
ため、その分、溶接深さを深くしておくことが必要であ
る。中空ピストンの使用中に、本体部材と閉塞部材との
間には、被圧縮ガスの圧力や往復運動に伴う慣性力等に
基づく力が作用するため、一定以上の溶接強度が必要で
あるからである。この観点からすると、一旦深い溶接を
行った後、溶融金属の一部を除去することは著しく無駄
である。特に、溶接が電子ビーム,レーザビーム等を使
用したビーム溶接により行われる場合には、溶接深さを
深くするためにビームの強度を強くし、あるいは照射時
間を長くすることが必要であって、設備コストの上昇あ
るいは作業能率の低下につながるため望ましくない。そ
の上、中空ピストンが、軽量化のためにアルミニウム合
金製とされる場合には、溶接時にアルミニウム合金中に
含まれる気体がブローホールを形成し易く、溶接深さが
深いほどブローホールが生じ易い。したがって、ビーム
溶接が行われる場合には溶接深さをできる限り浅くする
ことが望ましく、中空ピストンがアルミニウム合金製で
ある場合には特に望ましい。
【0005】本発明は、以上の事情を背景とし、圧縮機
用中空ピストンの製造時に溶接深さを無駄に深くする必
要がないようにすることを課題としてなされたものであ
り、本発明によって、下記各態様の圧縮機用中空ピスト
ンおよびそれの製造方法が得られる。各態様は請求項と
同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて
他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あく
までも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書
に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各
項に記載のものに限定されると解釈されるべきではな
い。また、一つの項に複数の事項が記載されている場
合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければなら
ないわけではない。一部の事項のみを選択して採用する
ことも可能なのである。
【0006】(1)少なくとも一端が開口した中空円筒
状部材と、その開口を閉塞する閉塞部材とを、それら中
空円筒状部材と閉塞部材との溶接面同士を溶接すること
により一体化し、圧縮機用中空ピストンを製造する方法
であって、前記中空円筒状部材と前記閉塞部材との各外
面の、前記溶接面に隣接する部分にそれぞれ溶接面の端
縁に沿って延びる切欠を形成し、それら切欠に、中空円
筒状部材と閉塞部材とを合わせた状態で溝を形成させ、
その溝の底面に溶接ビームを照射することにより、溶接
面同士を溶接することを特徴とする圧縮機用中空ピスト
ンの製造方法(請求項1)。このように、中空円筒状部
材と閉塞部材とを合わせた状態で溝が形成されるように
し、その溝の底面に溶接ビームを照射することによって
溶接面同士を溶接すれば、従来より溝の深さ分だけ溶接
深さを浅くすることができる。 (2)前記溶接面が、前記中空円筒状部材の開口側端面
と、前記閉塞部材の前記開口側端面に当接する面とであ
る (1)項に記載の圧縮機用中空ピストンの製造方法(請
求項2)。この態様においては、溝が、中空円筒状部材
と閉塞部材とが合わされたものの外周面に形成される。 (3)前記閉塞部材に中空円筒状部を設け、その中空円
筒状部の端面と中空円筒状部材の開口側端面とを溶接面
とする (2)項に記載の圧縮機用中空ピストンの製造方法
(請求項3)。このように、閉塞部材の中空円筒状部の
端面と中空円筒状部材の開口側端面とを溶接すれば、中
空ピストンの使用時に溶接部に応力集中が発生すること
を回避し得る。中空ピストンの使用時には、被圧縮ガス
の圧力に基づいて閉塞部材の円板部が内側に凸に湾曲さ
せられ、慣性力に基づいて外側に凸に湾曲させられる。
その際、円板部と円筒部との境界部に応力集中が発生
し、この部分に溶接部が存在すれば、溶接部が応力集中
による大きい応力を受けることとなり、疲労破壊等の原
因となるため、その分だけ溶接面積を広くしておく必要
があるのであるが、本態様によれば、その必要がない。 (4)前記閉塞部材に円環状の嵌合突部を形成し、その
嵌合突部を前記中空円筒状部材の開口部内に嵌合する
(2)項または (3)項に記載の圧縮機用中空ピストンの製
造方法(請求項4)。嵌合突部を中空円筒状部材の開口
部内に嵌合すれば、中空円筒状部材と閉塞部材との相対
位置決めを容易に行うことができる。 (5)前記中空円筒状部材の開口側端面と、前記閉塞部
材の前記開口側端面に当接する面とを、開口側端面の内
周縁まで溶接する (2)項ないし (4)項のいずれか1つに
記載の圧縮機用中空ピストンの製造方法(請求項5)。
このように、開口側端面の内周縁まで溶接すれば、溶接
部の強度が向上する。開口側端面の内周側の部分は溶接
せず、外周側の部分のみを溶接することも可能である。
しかし、この場合には、内周側の溶接されていない部分
が、あたかもクラックであるかのように機能し、 (3)項
に関連して説明した円板部の湾曲に伴って溶接部に応力
集中が生じるのに対し、開口側端面の内周縁まで溶接さ
れるようにすれば、上記応力集中を回避することがで
き、溶接部の強度を向上させることができるのである。 (6)前記溶接面が、前記中空円筒状部材の開口部内周
面と、前記閉塞部材の前記内周面に嵌合する外周面とで
ある (1)項に記載の圧縮機用中空ピストンの製造方法。 (7)前記溝の横断面形状が矩形である (1)項ないし
(6)項のいずれか1つに記載の圧縮機用中空ピストンの
製造方法。溝の横断面形状を浅いV字形,U字形等他の
形状とすることも可能であるが、矩形溝とすれば、溶融
部が最も少なくて済む利点がある。 (8)前記溶接面の溶接後、前記外面を機械加工する
(1)項ないし (7)項のいずれか1つに記載の圧縮機用中
空ピストンの製造方法。外面の機械加工時に溝が残るよ
うに外面を加工してもよく、次項に記載するように溝が
残らないように加工してもよい。溝が残される外面が、
中空ピストンの外周面である場合には、残された溝を潤
滑油を保持する油溝として機能させ得る利点がある。 (9)前記外面の機械加工時に、前記溝の底面も同時に
機械加工する (8)項に記載の圧縮機用中空ピストンの製
造方法。溝の底面も機械加工する場合でも、従来のよう
に溝を形成することなく溶接を行った後に外面を機械加
工する場合に比較して、溶融部の加工量が少なくなり、
溶接深さが浅くて済むという本発明の効果を享受するこ
とができる。溝が形成されるのが中空ピストンの外周面
である場合に溝が残るようにすれば、 (8)項で説明した
利点が得られるのであるが、溝を残すことは不可欠では
ない。溝が形成されるのが、中空ピストンの頂面である
場合には、中空ピストンが上死点に達した時点での圧縮
室の容積が無駄に大きくなることを回避するために、溝
底面まで機械加工し、溝を完全に除去することが望まし
い。 (10)前記中空円筒状部材と前記閉塞部材とをアルミ
ニウム合金により製造する (1)項ないし (9)項のいずれ
か1つに記載の圧縮機用中空ピストンの製造方法。 (11)有底の中空円筒状部を有する本体部材と、その
本体部材の開口を閉塞する閉塞部材とが、軸方向の端面
同士において溶接されて成る圧縮機用中空ピストンであ
って、前記中空円筒状部と前記閉塞部材との各外周面
の、前記端面に隣接する部分にそれぞれ端面の外周縁に
沿って延びる切欠が形成され、中空円筒状部と閉塞部材
とが合わされた状態で前記切欠により形成される溝の底
壁内に前記端面同士の溶接部が存在する圧縮機用中空ピ
ストン(請求項6)。本態様の発明によれば、前記 (1)
項に記載の効果が得られ、かつ、溝を油溝として機能さ
せ得る効果も得られる。 (12)前記閉塞部材が中空円筒状部を有し、その中空
円筒状部の端面と前記中空円筒状部の開口側端面とが溶
接された(11)項に記載の圧縮機用中空ピストン。 (13)前記中空円筒状部の開口側端面と前記閉塞部材
とが、前記開口側端面の内周縁まで溶接された(11)項ま
たは(12)項に記載の圧縮機用中空ピストン。 (14)前記閉塞部材が円環状の嵌合突部を有し、その
嵌合突部が前記中空円筒状部の開口部内に嵌合された(1
1)項ないし(13)項に記載の圧縮機用中空ピストン。 (15)前記溝にピストンリングが嵌合された(11)項な
いし(14)項のいずれか1つに記載の圧縮機用中空ピスト
ン(請求項7)。本態様によれば、溝をリング溝として
利用することができる。この場合には、必要に応じて溝
の底面を中空ピストンの外径より小さく機械加工しても
よい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態である車
両用空調装置に用いられる斜板式圧縮機用中空ピストン
の製造を例に取り、図面に基づいて詳細に説明する。図
1に本実施形態における斜板式圧縮機を示す。図1にお
いて、10はシリンダブロックであり、シリンダブロッ
ク10の中心軸線回りの一円周上には、軸方向に延びる
複数のシリンダボア12が形成されている。シリンダボ
ア12の各々には、片頭ピストン14(以下、ピストン
14と略称する)が往復運動可能に配設されている。シ
リンダブロック10の軸方向の一端面(図1の左側の端
面であり、前端面と称する)には、フロントハウジング
16が取り付けられ、他方の端面(図1の右側の端面で
あり、後端面と称する)には、リヤハウジング18がバ
ルブプレート20を介して取り付けられている。フロン
トハウジング16,リヤハウジング18,シリンダブロ
ック10等により斜板式圧縮機の本体が構成される。リ
ヤハウジング18とバルブプレート20との間には、吸
気室22,吐出室24が形成され、それぞれ、吸入ポー
ト26,供給ポート28を経て、図示しない冷凍回路に
接続される。バルブプレート20には、吸入孔32,吸
入バルブ34,吐出孔36,吐出バルブ38等が設けら
れている。
【0008】シリンダブロック10の中心軸線上には、
回転軸50が回転可能に設けられている。回転軸50
は、両端部においてそれぞれベアリングを介してフロン
トハウジング16,シリンダブロック10に支持されて
いる。シリンダブロック10の中心部には、中心支持穴
56が形成されており、その中心支持穴56において支
持されているのである。回転軸50のフロントハウジン
グ16側の端部は、図示しない駆動源の一種である外部
駆動源としての車両エンジンに、電磁クラッチ等のクラ
ッチ機構を介して連結されている。したがって、車両エ
ンジンの作動時に、クラッチ機構によって回転軸50が
車両エンジンに接続されれば、回転軸50が自身の軸線
まわりに回転させられる。
【0009】回転軸50には、斜板60が軸方向に相対
移動可能かつ傾動可能に取り付けられている。斜板60
には、中心線を通る中心穴61が形成され、この中心穴
61を回転軸50が貫通している。中心穴61は、両端
開口側ほど径が漸増させられている。回転軸50には、
また、回転伝達部材としての回転板62が固定され、ス
ラストベアリング64を介してフロントハウジング16
に係合させられている。斜板60は、ヒンジ機構66に
より、回転軸50と一体的に回転させられるとともに、
軸方向の移動を伴う傾動を許される。ヒンジ機構66
は、回転板62に固定的に設けられた支持アーム67
と、斜板60に固定的に設けられ、支持アーム67のガ
イド穴68にスライド可能に嵌合されたガイドピン69
と、斜板60の中心穴61と、回転軸50の外周面とを
含むものである。本実施形態においては、駆動部材とし
ての斜板60,回転軸50,回転伝達装置を構成するヒ
ンジ機構66等がピストン14を往復運動させる往復駆
動装置を構成している。
【0010】前記ピストン14は、中空ピストンの一種
であり、斜板60と係合させられる係合部70と、係合
部70と一体に設けられ、シリンダボア12に嵌合され
る中空頭部としての頭部72とを備えている。係合部7
0に形成された溝74に球冠状の一対のシュー76を介
して斜板60が係合させられている。シュー76は、球
面部において係合部70に摺動可能に保持され、平面部
において斜板60の両側面に当接し、斜板60の外周部
を両側から摺動可能に挟持している。ピストン14の形
状についての詳細な説明は後に行う。
【0011】斜板60の回転運動は、シュー76を介し
てピストン14の往復直線運動に変換される。ピストン
14が上死点から下死点へ移動する吸入行程において、
吸気室22内の冷媒ガスが吸入孔32,吸入バルブ34
を経てシリンダボア12内に吸入される。ピストン14
が下死点から上死点へ移動する圧縮行程において、シリ
ンダボア12内の冷媒ガスが圧縮され、吐出孔36,吐
出バルブ38を経て吐出室24に吐出される。冷媒ガス
の圧縮に伴ってピストン14には、軸方向の圧縮反力が
作用する。圧縮反力は、ピストン14,斜板60,回転
板62およびスラストベアリング64を介してフロント
ハウジング16に受けられる。ピストン14の係合部7
0には、回り止め部(図示省略)が一体的に設けられて
いる。回り止め部は、フロントハウジング16の内周面
に接触する状態とされ、ピストン14の中心軸線回りの
回転を規制し、ピストン14と斜板60との衝突を回避
する。
【0012】シリンダブロック10を貫通して給気通路
80が設けられている。この給気通路80により、吐出
室24と、フロントハウジング16とシリンダブロック
10との間に形成された斜板室86とが接続されてい
る。給気通路80の途中には、容量制御弁90が設けら
れている。容量制御弁90は、電磁弁であり、ソレノイ
ド92はコンピュータを主体とする制御装置(図示省
略)により励磁,消磁され、冷房負荷等の情報に応じて
供給電流量が制御されて容量制御弁90の開度が調節さ
れる。
【0013】回転軸50の内部には、排出通路100が
設けられている。排出通路100は、一端において前記
中心支持穴56に開口させられるとともに、他端におい
て斜板室86に開口させられている。中心支持穴56は
排出ポート104を経て吸気室22に連通させられてい
る。
【0014】本斜板式圧縮機は可変容量型であり、高圧
源としての吐出室24と低圧源としての吸気室22との
圧力差を利用して斜板室86内の圧力が制御されること
により、ピストン14の前後に作用する、圧縮室として
のシリンダボア12の圧力と斜板室86の圧力との差が
調節され、斜板60の傾斜角度が変更されてピストン1
4のストロークが変更され、圧縮機の吐出容量が調節さ
れる。具体的には、容量制御弁90の制御により、斜板
室86が吐出室24に連通させられたり、遮断されたり
することによって、斜板室86の圧力が制御される。ソ
レノイド92の消磁状態では、容量制御弁90が全開さ
せられて給気通路80が連通させられた状態となり、吐
出室24の高圧の冷媒ガスが斜板室86に供給され、斜
板室86内の圧力が高くなり、斜板60の傾斜角が最小
となる。ピストン14は、斜板60の回転に伴って往復
移動させられるが、斜板60の傾斜角が最小となると、
ピストン14の容積変化率が小さくなり、圧縮機の吐出
容量が最小となる。ソレノイド92の励磁状態では、供
給電流量を多くして容量制御弁90の開度が小さくなる
(開度0も含む)ほど、吐出室24の高圧の冷媒ガスの
斜板室86への供給量が減り、斜板室86内の冷媒ガス
は、排出通路100,排出ポート104を経て吸気室2
2に放出されるため、斜板室86内の圧力が低くなる。
それに伴って斜板60の傾斜角が大きくなり、ピストン
14の容積変化率が大きくなって圧縮機の吐出容量が大
きくなる。ソレノイド92の励磁により給気通路80が
遮断された状態では、吐出室24の高圧の冷媒ガスが斜
板室86に供給されない状態となって斜板60の傾斜角
が最大となり、圧縮機の吐出容量が最大となる。斜板6
0の最大傾斜角は、斜板60に設けられたストッパ10
6の回転板62への当接によって規定され、最小傾斜角
は、斜板60の回転軸50上のストッパ107への当接
によって規定される。給気通路80,斜板室86,容量
制御弁90,排出通路100,排出ポート104,制御
装置等により、斜板室圧力制御装置ないし斜板傾斜角度
調節装置(吐出容量調節装置)が構成されている。
【0015】シリンダブロック10およびピストン14
は、金属の一種であるアルミニウム合金製のものとさ
れ、ピストン14の外周面には、フッ素樹脂のコーティ
ングが施されている。フッ素樹脂でコーティングすれ
ば、同種金属との直接接触を回避して焼付きを防止しつ
つシリンダボア12との嵌合隙間を可及的に狭くするこ
とができる。なお、シリンダブロック10およびピスト
ン14は、アルミニウム珪素系合金製のもの等とするこ
とが望ましい。ただし、シリンダブロック10やピスト
ン14の材料、コーティング層の材料等は、上述の材料
に限らず、他の材料であってもよい。
【0016】ピストン14をさらに詳細に説明する。ピ
ストン14の係合部70の頭部72から遠い側の端部
は、図2に示すように、前記溝74の形成により概して
U字形をなし、U字形の底部を成す基部108と、基部
108からピストン14の軸線と直交する方向に延び出
す一対のアーム部110,112とを備えている。アー
ム部110,112の互いに対向する側面には、それぞ
れ凹部114が形成されている。これら凹部114の内
面は凹球面状をなし、2つの凹球面が一球面上に位置し
ている。前記一対のシュー76は、斜板60の外周部の
表裏両面に接触し、斜板60を挟持するとともに凹部1
14に保持されている。
【0017】ピストン14の頭部72は、一端が開口
し、他端が閉塞された有底の中空円筒状をなす中空円筒
状部120と、中空円筒状部120に固定され、中空円
筒状部120の開口を閉塞する閉塞部材としてのキャッ
プ122とを備えている。中空円筒状部120は、底部
124において係合部70のアーム部112側と一体に
形成され、本体部材125を構成している。底部124
は、中空円筒状部120の他端を閉塞する閉塞部を構成
している。中空円筒状部120の内周面126は、単純
な円筒面とされている。中空円筒状部120の外周面1
27の開口側端面128に隣接する部分には、端面12
8の外周縁に沿って延びる切欠130が形成されてい
る。なお、中空円筒状部120の周壁は、ピストン14
の軽量化のために薄肉にされることが望ましいが、図2
においては、理解を容易にするために中空円筒状部12
0の周壁等の厚みが誇大に示されている。
【0018】キャップ122は、平板状の円板部134
と、円板部134の外周部から軸方向に延びる中空円筒
状の大径部136と、大径部136の端面138の内周
部から軸方向に延びる円環状の小径部140とを備えて
有底の段付円筒状をなしている。小径部140,大径部
136の内周面と円板部134の内面とによりキャップ
122内部には小径部140の端面142に開口する凹
部144が形成され、重量が軽減されている。キャップ
122(円板部134および大径部136)の外周面1
46の端面138に隣接する部分には、端面138の外
周縁に沿って延びる切欠148が形成されている。
【0019】キャップ122が、小径部140の外周面
150が中空円筒状部120の内周面126に嵌合させ
られるとともに、端面138が中空円筒状部120の開
口側端面128と当接する深さまで嵌合させられてお
り、開口側端面128と端面138とが溶接されること
により、両部材が接合されている。中空円筒状部120
の切欠130とキャップ122の切欠148とにより、
横断面形状が矩形の溝154が周方向に形成され、端面
128,138同士の溶接部155が、この溝154の
底壁156内に存在している。溝154は、潤滑油を保
持するための油溝として機能する。ピストン14の圧縮
行程において頭部72の頂面(キャップ122の端面1
42とは反対側の端面)に作用する冷媒ガスの圧縮反力
は、端面138と開口側端面128との溶接部155に
よって受けられる。
【0020】上記のように構成されたピストン14は、
本実施形態においては1個のピストン素材から2個製造
される。そのため、図3に示すように、ピストン14を
製造するための片頭ピストン製造用素材160(以下、
素材160と略称する)は、本体部材162と閉塞部材
としてのキャップ164とを備えている。本体部材16
2は、係合部166と、係合部166とは反対向きに開
口した有底の中空円筒状をなす中空円筒状部170とを
備えている。2つの本体部材162は、中空円筒状部1
70が互いに同心となるように、係合部166側が互い
に隣接して一体に形成されている。なお、図3において
も、中空円筒状部170の周壁の厚み等が理解を容易に
するために誇大に示されている。
【0021】中空円筒状部170の内周面172は、単
純な円筒面とされている。内周面172は、製品たるピ
ストン14になった場合に内周面126となる。中空円
筒状部170の外周面173の開口側端面174に隣接
する部分には、端面174の外周縁に沿って延びる切欠
176が形成されている。各係合部166に設けられた
ブリッジ部182は、図3に示すように基部108およ
びアーム部110,112を構成することになる部分
(それぞれ基部184,アーム部186,188と称す
る)の内側面同士を連結して、加工時の挟持作用に対し
て係合部166を補強するものであり、本体部材162
の剛性を高め、あるいは熱による歪みを抑制するための
補強部として設けられている。本体部材162は、本実
施形態においては、金属の一種であるアルミニウム合金
製であって、鋳造または鍛造により製造される。鋳造
は、砂型,金型鋳造や、真空法,PF(ポアフリーダイ
キャスティング)法,レオキャスティング法等の各種ダ
イキャスト、溶湯鍛造を含む。また、鍛造は、通常の鍛
造や、半溶融鍛造(SSF)等を含む。
【0022】2個のキャップ164は同様に構成されて
おり、一方を代表的に説明する。図3に示すように、キ
ャップ164は、平板状の円板部192と、円板部19
2の外周部から軸方向に延びる中空円筒状の大径部19
4と、大径部194の端面196の内周部から軸方向に
延びる円環状の小径部198とを備えて有底の段付円筒
状をなしている。小径部198,大径部194の内周面
と円板部192の内面とによりキャップ164内部には
小径部198の端面200に開口する凹部202が形成
され、重量が軽減されている。凹部202は、製品たる
ピストン14となった場合に凹部144となる。キャッ
プ164の外周面203の端面196に隣接する部分に
は、端面196の外周縁に沿って延びる切欠204が形
成されている。小径部198の外周面206の直径は大
径部194の外径より小さくされ、中空円筒状部170
の内周面172に嵌合可能である。キャップ164の小
径部198側の端面200とは反対側の端面210の中
心には、図示の例では円形断面の保持部212が突設さ
れている。このように構成されるキャップ164は、本
実施形態においては、金属の一種であるアルミニウム合
金製であって、本体部材162と同様に、鋳造または鍛
造により製造される。
【0023】本体部材162にキャップ164を固定す
る工程について説明する。図4(a)に示すように、キ
ャップ164が中空円筒状部170に同軸に位置決めさ
れ、キャップ164が小径部198を先端側として中空
円筒状部170の開口側から挿入され、小径部198が
内周面172に嵌合される。キャップ164の端面19
6と中空円筒状部170の開口側端面174との当接に
より、キャップ164の嵌合深さが規定される。端面1
74と端面196とが互いに当接する状態では、中空円
筒状部170およびキャップ164の外周面173,2
03には、切欠176と切欠204(これらは理解を容
易にするために深さが誇大に図示されている)とによ
り、矩形の横断面形状を有する溝220が周方向に形成
される。そして、この溝220の底面222に図示しな
い電子ビーム溶接機の電子ビーム照射装置から電子ビー
ムが照射され、端面174,196が溶接面として溶接
される。この時、キャップ164の保持部212を収容
する収容穴を有する一対の治具(図示省略)により本体
部材162およびキャップ164が両側から挟まれた状
態で、回転駆動装置により本体部材162およびキャッ
プ164がそれらの軸線まわりに回転させられつつ、電
子ビームが本体部材162の軸線に直交する方向(上記
溶接面に平行な直線に沿った方向)から溝220の底面
222の上記溶接面の位置に照射されることにより、共
に円環状をなす溶接面同士が溶接される。キャップ16
4の本体部材162からの浮き上がりが治具により防止
されているため、溶接が良好に行われる。本実施形態に
おいては、端面174,196の内周縁まで溶接され
る。
【0024】なお、本実施形態においては、片頭ピスト
ン製造用素材160が回転させられることにより、電子
ビームの照射点が周方向に移動させられるのであるが、
電子ビーム照射装置または電子ビーム照射点が周方向に
移動させられるようにしてもよい。電子ビーム溶接は、
ビーム溶接の一種であり、これ以外に、レーザビーム溶
接としてもよい。
【0025】上記のようにして本体部材162に2個の
キャップ164が固定された後、図4(b)に示すよう
に、頭部72を構成することになる部分、すなわち本体
部材162の中空円筒状部170を始めとする複数の部
分の切削加工が行われる。まず2個のキャップ164に
それぞれ設けられた保持部212にセンタ穴214(図
3に二点鎖線で図示)が形成される。その後、センタ穴
214にセンタが嵌合されて心出しがなされるととも
に、2個の保持部212がそれぞれチャックにより把持
された状態で、回転駆動装置の回転がキャップ164お
よび本体部材162に伝達され、加工が良好に行われ
る。中空円筒状部170およびキャップ164の外周面
173,203は溝220が残るように切削加工され
る。この残された溝が、製品としてのピストン14とな
った場合に潤滑油保持用の溝154となる。
【0026】次に、本体部材162の中空円筒状部17
0の外周面を始めとする部分に塗装が行われ、例えば、
ポリテトラフルオロエチレンのコーティング層が形成さ
れる。そして、図4(b)に二点鎖線で示すように、キ
ャップ164の端面210が削られて保持部212が除
去された後、コーティング層が形成された中空円筒状部
170の外周面等にセンタレス研削が行われ、頭部72
が完成する。続いて、係合部166にそれぞれ機械加工
が施され、ブリッジ部182が除去されるとともに、ピ
ストン14となった際にシュー76を保持する凹部11
4(図3に二点鎖線で図示)が加工され、係合部70が
完成する。そして、素材160が2つに切り離され、2
個のピストン14が得られる。
【0027】以上の説明から明らかなように、中空円筒
状部170が中空円筒状部材を構成し、キャップ164
が閉塞部材を構成している。キャップ164の端面19
6が中空円筒状部170の開口側端面174と当接する
面を構成し、これら端面196および開口側端面174
がそれぞれ溶接面を構成している。また、大径部194
が中空円筒状部を構成し、小径部198が嵌合突部を構
成している。
【0028】本実施形態において、溝220を残すこと
は不可欠ではなく、外周面173,203の機械加工時
に溝220の底面222も機械加工して溝220を除去
してもよい。いずれの場合でも溶接部の加工量は少なく
なり、溝220の分だけ溶接深さを浅くしても十分実用
に耐えうる接合強度が得られる。また、溶接深さを浅く
できれば、本実施形態のようにアルミニウム合金製の2
部材を溶接する場合に生じ易いブローホールの発生を抑
制することができる。さらに、中空円筒状部170およ
びキャップ164の外周面173,203を溝220が
残るように機械加工すれば、外周面の取り代が少なくて
済み、また、残された溝を油溝として使用できるため、
無駄が少なく、製造コストを低減できる。本実施形態の
ように端面174,196の内周縁まで溶接されること
が溶接部の強度を向上させるためには望ましいが、不可
欠ではない。
【0029】溝の横断面形状は、矩形以外にも種々の形
状が採用可能であり、例えば、図5に示すように、横断
面形状が浅いV字形をなす溝300を周方向に形成して
もよい。本実施形態においては、図1ないし図4に示す
実施形態と異なる部分のみについて図示,説明し、同じ
構成の部分には同一符号を付して説明を省略する。溝3
00は、中空円筒状部170に形成された切欠302
と、キャップ164に形成された切欠304とが合わさ
れることにより形成される。切欠302は、中空円筒状
部170の外周面173の開口側端面174に隣接する
部分において、開口側端面174から遠ざかるにつれて
直径が増大する向きに傾斜させられている。切欠304
は、キャップ164の外周面203の端面196に隣接
する部分において、端面196から遠ざかるにつれて直
径が増大する向きに傾斜させられている。前記実施形態
と同様に、キャップ164が中空円筒状部170に嵌合
され、端面174,196が当接させられた状態で、溝
300のV字形の底面306に沿って、電子ビーム等の
溶接ビームが照射されることにより、開口側端面174
と端面196とが溶接されて接合される。本実施形態に
おいても端面174,196の内周縁まで溶接される。
溶接後に中空円筒状部170およびキャップ164の外
周面173,203が機械加工されるが、この時、図5
に二点鎖線で示すように、溝300が残るように加工し
て、残された溝300を製品としてのピストンの油溝と
して使用してもよいし、溝300を完全に除去してもよ
い。本実施形態においても、溶接深さを溝300の分だ
け浅くすることができ、また、溶接部の加工量が少なく
て済むため、無駄少なく実用に耐え得る溶接強度が得ら
れる。
【0030】中空円筒状部材の内周面と、閉塞部材の内
周面に嵌合される外周面とを溶接面としてもよい。その
一例を図6に示す。本体部材400の中空円筒状部40
2の内周面は、内径が互いに異なる2つの内周面40
4,406を有し、開口側の内周面404が大径とされ
ている。内周面404と内周面406との間には肩面4
08が形成されている。中空円筒状部402の開口側端
面410の内周面404に隣接する部分には、内周面4
04の内周縁に沿って延びる切欠412が形成されてい
る。
【0031】中空円筒状部402の開口を閉塞する閉塞
部材としてのキャップ420は、平板状の円板部422
と、円板部422の外周部から軸方向に延びる中空円筒
状部424とを備える。中空円筒状部424の内周面と
円板部422の内面とにより、キャップ420内部には
中空円筒状部424の端面426に開口する凹部428
が形成され、重量が軽減されている。キャップ420の
端面426とは反対側の端面430の中心には、図示の
例では円形断面の保持部434が突設されている。キャ
ップ420の外周面436は、中空円筒状部402の内
周面404に嵌合可能である。端面430の外周面43
6に隣接する部分には、外周面436の外周縁に沿って
延びる切欠438が形成されている。開口側端面410
が中空円筒状部材の外面を構成し、端面430が閉塞部
材の外面を構成している。
【0032】キャップ420が、端面426が肩面40
8と当接する深さまで嵌合させられれば、切欠412と
切欠438とにより矩形の横断面形状を有する溝442
が周方向に形成される。この溝442の底面444に沿
って電子ビーム等の溶接ビームが照射されることによ
り、中空円筒状部402の内周面404とキャップ42
0の外周面436とが溶接により接合される。溶接後、
ピストンの頭部を構成することになる中空円筒状部40
2の外周面,開口側端面410およびキャップ420の
端面430が機械加工されるのであるが、この時、図6
に二点鎖線で示すように、溝442の底面444まで機
械加工して、溝442が完全に除去される。圧縮時にお
いてピストンの頂面側の容積が無駄に大きくなることに
よる圧縮効率の低下を回避するためである。本実施形態
においても、溝442の分だけ溶接深さを浅くすること
ができ、ブローホールの発生を抑制することができる。
溝の横断面形状は、矩形以外でもよく、例えば、図5に
示したようにV字形としてもよい。
【0033】前記図1ないし図4に示す実施形態と、図
5に示す実施形態とにおいては、溝が残されて潤滑油保
持用の溝として利用されていたが、ピストンリングを保
持するリング溝として利用してもよい。その一例を図7
に示す。なお、本実施形態においても、図1ないし図4
に示す実施形態と異なる部分のみを図示,説明すること
とし、同じ構成部分には同一符号を付して説明を省略す
る。図7において、中空円筒状部170に形成された切
欠176と、キャップ164に形成された切欠204と
により、矩形断面の溝220が形成される。図1ないし
図4に示す実施形態と同様にして、溝220の底面22
2に溶接ビームが照射されて中空円筒状部170の開口
側端面174とキャップ164の端面196とが溶接さ
れた後、中空円筒状部170の外周面173とキャップ
164の外周面203とを含む、後にピストンの頭部と
なる部分が機械加工されるが、この時、二点鎖線で示す
ように、溝220が残るように機械加工されるととも
に、溝220の底面222がピストンリング500の厚
みに合わせて機械加工されて円環状のピストンリング5
00を保持するためのリング溝が形成される。
【0034】片頭ピストンの分割形態は、上記実施形態
のものに限定されるわけではなく、例えば、図8に示す
形態とすることができる。中空ピストンとしての片頭ピ
ストン600(以下、ピストン600と称する)は、斜
板60と係合する係合部70と同様、基部601,アー
ム部602,603を有する概してU字形の係合部60
4と、シリンダボア12に嵌合される頭部606とを備
える。アーム部602,603の互いに対向する側面に
はそれぞれ、一対のシューを保持する凹部608が形成
されている。頭部606は、有底の中空円筒状部材であ
る頭部本体部610と、頭部本体部610の開口を閉塞
する閉塞部材としての閉塞部612とを備える。係合部
604および閉塞部612は金属の一種としてのアルミ
ニウム合金製であり、鍛造あるいは鋳造により一体に製
造される。頭部本体部610もアルミニウム合金製であ
り、鍛造あるいは鋳造により係合部604および閉塞部
612とは別個に製造される。頭部本体部610の内周
面614は、単純な円筒面とされている。なお、図8に
おいても、頭部本体部610の周壁の厚みが誇大に示さ
れている。
【0035】閉塞部612は、外径が頭部本体部610
の外径とほぼ等しい円板部620と、円板部620の外
周部から軸方向に延びる中空円筒状部としての大径部6
24と、大径部624の端面626の内周部から軸方向
に延びる嵌合突部としての小径部628とを備えて有底
の段付円筒状をなしている。小径部628,大径部62
4の内周面と円板部620の内面とにより閉塞部612
内部には小径部628の端面632に開口する凹部63
4が形成され、重量が軽減されている
【0036】図8には、頭部本体部610の外周面を始
めとする部分に塗装が行われ、頭部606,係合部60
4に機械加工が施された製品としてのピストン600が
実線で示され、機械加工前の頭部本体部610および閉
塞部612の外周面640,642が二点鎖線で示され
ている。頭部本体部610の外周面640の開口側端面
643に隣接する部分には、端面643の外周縁に沿っ
て延びる切欠644が形成されている。閉塞部612の
外周面642の端面626に隣接する部分には、端面6
26の外周縁に沿って延びる切欠646が形成されてい
る。閉塞部612が頭部本体部610に同軸に位置決め
され、小径部628を先端部として頭部本体部610の
開口側から挿入されれば、小径部628が頭部本体部6
10の内周面614に嵌合される。端面643と端面6
26との当接により嵌合深さが規定された状態では、切
欠644と切欠646とにより矩形断面の溝648が形
成される。この溝648の底面650の端面643,6
26の位置に沿って電子ビーム等の溶接ビームが照射さ
れて端面643と端面626とが溶接された後、頭部本
体部610の外周面640と閉塞部612の外周面64
2とを含む、後にピストン600の頭部606となる部
分が機械加工されるが、この時、図8に示すように、溝
648の底面650も同時に機械加工されて溝648が
除去される。
【0037】本体部材と閉塞部材との少なくとも一方
を、アルミニウム合金以外の金属材料、例えばマグネシ
ウム合金により形成してもよい。上記各実施形態のよう
に閉塞部材内部に凹部を形成することは、軽量化の点か
ら望ましいが、不可欠ではない。ピストン製造用素材
を、本体部材と閉塞部材とをそれぞれ1つずつ備えるピ
ストン1個分の素材としてもよい。
【0038】斜板式圧縮機の構造は、上記実施形態にお
けるそれに限らず、他の構造のものとすることもでき
る。例えば、容量制御弁90は不可欠ではなく、吐出室
24の圧力と斜板室86の圧力との差圧に基づいて機械
的に開閉させられる開閉弁を設けることもできる。ま
た、容量制御弁90に代えて、あるいはそれとともに、
排出通路100の途中に、容量制御弁90と同様な電磁
制御弁を設けてもよいし、あるいは斜板室86の圧力と
吸気室22の圧力との差圧に基づいて機械的に開閉させ
られる開閉弁を設けてもよい。
【0039】本発明を斜板との係合部の両側に頭部を有
する両頭ピストンに適用してもよく、固定容量型斜板式
圧縮機用のピストンに適用することも可能である。
【0040】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である圧縮機用中空ピスト
ンの製造方法により製造された中空ピストンを備える斜
板式圧縮機を示す正面断面図である。
【図2】上記中空ピストンを示す正面断面図である。
【図3】上記中空ピストンを製造するためのピストン製
造用素材を構成する本体部材と閉塞部材とを示す正面図
(一部断面)である。
【図4】上記中空ピストンの製造方法を説明するための
正面断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態である圧縮機用中空ピス
トンの製造方法を説明するための正面断面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態である圧縮機用中
空ピストンの製造方法を説明するための正面断面図であ
る。
【図7】本発明のさらに別の実施形態である圧縮機用中
空ピストンの製造方法により製造された中空ピストンを
示す正面断面図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態である圧縮機用中
空ピストンの製造方法により製造された中空ピストンを
示す正面断面図である。
【符号の説明】
14:片頭ピストン 120,170:中空円筒状部
122,164:キャップ 125,162:本
体部材 127,146,173,203:外周面
128,174:開口側端面 130,148,1
76,204:切欠 138,196:端面 15
4,220:溝 222:底面 300,442,
648:溝 302,304,412,438,64
4,646:切欠 306,444,650:底面
400:本体部材 402:中空円筒状部 40
4:内周面 420:キャップ 436:外周面
500:ピストンリング 600:片頭ピストン
610:頭部本体部 612:閉塞部 626:
端面 640,642:外周面 643:開口側端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星田 隆宏 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 榎島 史修 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H003 AA03 AC03 AD01 CB07 CE04 3H076 AA06 BB50 CC31

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一端が開口した中空円筒状部
    材と、その開口を閉塞する閉塞部材とを、それら中空円
    筒状部材と閉塞部材との溶接面同士を溶接することによ
    り一体化し、圧縮機用中空ピストンを製造する方法であ
    って、 前記中空円筒状部材と前記閉塞部材との各外面の、前記
    溶接面に隣接する部分にそれぞれ溶接面の端縁に沿って
    延びる切欠を形成し、それら切欠に、中空円筒状部材と
    閉塞部材とを合わせた状態で溝を形成させ、その溝の底
    面に溶接ビームを照射することにより、溶接面同士を溶
    接することを特徴とする圧縮機用中空ピストンの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記溶接面が、前記中空円筒状部材の開
    口側端面と、前記閉塞部材の前記開口側端面に当接する
    面とである請求項1に記載の圧縮機用中空ピストンの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記閉塞部材に中空円筒状部を設け、そ
    の中空円筒状部の端面と中空円筒状部材の開口側端面と
    を溶接面とする請求項2に記載の圧縮機用中空ピストン
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記閉塞部材に円環状の嵌合突部を形成
    し、その嵌合突部を前記中空円筒状部材の開口部内に嵌
    合する請求項2または3に記載の圧縮機用中空ピストン
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記中空円筒状部材の開口側端面と、前
    記閉塞部材の前記開口側端面に当接する面とを、開口側
    端面の内周縁まで溶接する請求項2ないし4のいずれか
    1つに記載の圧縮機用中空ピストンの製造方法。
  6. 【請求項6】 有底の中空円筒状部を有する本体部材
    と、その本体部材の開口を閉塞する閉塞部材とが、軸方
    向の端面同士において溶接されて成る圧縮機用中空ピス
    トンであって、 前記中空円筒状部と前記閉塞部材との各外周面の、前記
    端面に隣接する部分にそれぞれ端面の外周縁に沿って延
    びる切欠が形成され、中空円筒状部と閉塞部材とが合わ
    された状態で前記切欠により形成される溝の底壁内に前
    記端面同士の溶接部が存在する圧縮機用中空ピストン。
  7. 【請求項7】 前記溝にピストンリングが嵌合された請
    求項6に記載の圧縮機用中空ピストン。
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