JP2001226775A - 表面処理装置 - Google Patents

表面処理装置

Info

Publication number
JP2001226775A
JP2001226775A JP2000066106A JP2000066106A JP2001226775A JP 2001226775 A JP2001226775 A JP 2001226775A JP 2000066106 A JP2000066106 A JP 2000066106A JP 2000066106 A JP2000066106 A JP 2000066106A JP 2001226775 A JP2001226775 A JP 2001226775A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasma
hollow
electrode
surface treatment
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000066106A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4212210B2 (ja
Inventor
Toshihiro Tabuchi
俊宏 田渕
Koichi Ishida
晃一 石田
Hiroyuki Mizukami
裕之 水上
Masayuki Koushiri
雅之 高尻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Ltd filed Critical Komatsu Ltd
Priority to JP2000066106A priority Critical patent/JP4212210B2/ja
Priority to DE10060002.6A priority patent/DE10060002B4/de
Priority to US09/730,813 priority patent/US20010006093A1/en
Priority to FR0015934A priority patent/FR2801813A1/fr
Publication of JP2001226775A publication Critical patent/JP2001226775A/ja
Priority to US10/264,504 priority patent/US20030106643A1/en
Priority to US11/046,273 priority patent/US20050126487A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4212210B2 publication Critical patent/JP4212210B2/ja
Priority to US14/721,772 priority patent/US20150332893A1/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Plasma Technology (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】高速且つ高品質に表面処理が可能な表面処理装
置を提供する。 【解決手段】表面処理装置(1) のケーシング(2) はプラ
ズマ発生電極(5,6) を備えたプラズマ発生室(3) と、基
板支持台(9) を備えた基板処理室(4) との二室に画成さ
れている。前記両室(3,4) の隔壁を構成するアノード電
極(6) にはプラズマ吹出口(7) が形成されている。上方
のカソード電極(5) は凹部(5a)が形成されている。更に
前記プラズマ吹出口(7) をホローアノード放電の発生域
とし、前記凹部(5a)をホローカソード放電の発生域とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基板への各種表面処
理、特に基板への成膜処理に適した表面処理装置に関
し、更に詳しくは、結晶質薄膜を高品質で且つ高速に成
膜することが可能な表面処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から平行平板電極に高周波電力を印
加して反応ガスをプラズマ状態にし、化学的に活性なイ
オンやラジカルに分解させて、エッチングや成膜などの
表面処理を行う表面処理装置が知られている。
【0003】例えば、成膜処理を行う従来の平行平板型
プラズマCVD (Chemical VaporDeposition) 装置は、
ケーシング内に一対の平板状のプラズマ発生電極が平行
に対向して設けられている。前記プラズマ発生電極のう
ち、一方の電極は基板支持台としての機能を兼ね備えて
おり、更に、同装置は基板の温度を、気相成長に適した
温度に調整するためにヒータが設けられている。前記一
方の電極に基板を載置した状態で、両プラズマ発生電極
間に高周波数の電源(13. 56MHzの電源)による
電力が印加されると、これら電極間でプラズマが発生
し、原料ガス、例えばモノシランガスが活性化され、前
記基板表面にシリコン膜が形成される。
【0004】かかる従来の平行平板型のプラズマCVD
装置にあっては、基板を載置する平板状の前記プラズマ
発生電極の面積を大きくすることで、大面積の基板を一
度の成膜処理で成膜することができるといった利点を有
している。しかしながら、従来の平行平板型のプラズマ
CVD装置にあっては、両プラズマ発生電極によりプラ
ズマ化された原料ガスは成膜ガス処理室内に均一に拡散
され、その一部が前記電極上に載置された基板の成膜に
寄与するだけである。このため原料ガスの利用効率が低
く、例えばアモルファスシリコン薄膜や徴結晶シリコン
薄膜を基板上に成膜しようとする場合、成膜速度が1〜
2Å/sec.程度と、投入電力が大きいにもかかわらず、
成膜速度は遅い。そのため太陽電池などの比較的膜厚の
厚い半導体デバイスを製作するには、更に長時問を要
し、低スループット、高コストの主要因となっていた。
【0005】そこで、成膜速度を上げるために、高周波
電源による投入電力を増大させることも考えられる。し
かしながら、投入電力を増大させることにより、プラズ
マ中の荷電粒子のもつエネルギーが大きくなる。この高
エネルギーをもった荷電粒子の基板への衝突によるダメ
ージで、同基板は膜質に劣化を来す。更には高周波電源
による高周波電力の増大に伴い、気相中で微粉末が多量
に発生することになり、微粉末による膜質の劣化も飛躍
的に増大することとなる。
【0006】従って、従来の平行平板型のプラズマCV
D装置にあっては、こうした高エネルギーの荷電粒子の
衝突によるダメージや微粉末による膜質の劣化を避ける
ために、投入電力を抑えざるを得ない。即ち、実質的に
は投入電力の上限値が存在し、成膜速度を一定レベル以
上に高めることができなかった。
【0007】また、平行平板型のプラズマによるエッチ
ング装置にあっては、投入電力の増大による処理品質の
劣化は成膜処理に比べれば少ないため、投入電力を増大
させて処理速度をある程度は高めることができる。しか
しながら、エッチング処理の品質向上や製造効率の向
上、製造コストの削減などの目的から、更なる処理速度
の向上が望まれているのが現状である。
【0008】これに対して、特開平11−145492
号公報に開示されている走行する被処理体である帯状部
材への光起電力素子の形成装置は、高周波電力印加電極
(カソード電極)の放電空間における表面積を、前記帯
状部材を含むアノード電極全体の放電空間における表面
積よりも大きくし、グロー放電生起時のカソード電極の
電位を帯状部材を含む接地されたアノード電極に対して
+30V以上の正電位を維持させている。更に、前記カ
ソード電極には前記帯状部材の走行方向に直交して複数
のしきり状電極を設置し、隣り合うしきり状電極の間に
も放電を生起させている。このように、帯状部材及びア
ノード電極に対してカソード電極を+30V以上の正電
位に維持すると共に、しきり状電極をもつ上述のような
カソード電極構造とすることにより、帯状部材を含むア
ノード電極側において材料ガスの励起、分解反応を促進
している。
【0009】上記公報に開示された光起電力素子の形成
装置は確かに、帯状部材を含むアノード電極側において
材料ガスの励起、分解反応を促進することにより、成膜
速度は向上すると考えられる。しかしながら、帯状部材
とカソード電極との空間においてもグロー放電を発生さ
せているため、相変わらず荷電粒子の衝突によるダメー
ジは避けられない。
【0010】そこで、例えば特開昭61−32417号
公報に開示されている薄膜形成装置は、基板に薄膜形成
を行うための真空室内に、対向する一対のプラズマ発生
電極を有する画成室からなる活性化気体発生装置が配さ
れている。前記活性化気体発生装置の一壁部には活性化
気体を真空室内へと噴出するための単一の細孔が形成さ
れている。また、前記真空室内には前記細孔に対向する
位置に基板が支持されている。
【0011】前記薄膜形成装置では前記一対のプラズマ
発生電極に高周波電力を印加して、両電極間にグロー放
電を発生させてプラズマを作る。前記活性化気体発生装
置内に導入された原料ガスは、このプラズマによって分
解される。このとき、真空室に配された真空ポンプと前
記細孔のコンダクタンスとを調整することにより、前記
真空室の真空度を前記活性化気体発生装置よりも2〜3
桁低くなるようにして、活性化された原料ガスを基板に
向けて前記細孔から噴出させる。
【0012】このように薄膜形成を行う真空室内におい
て画成された活性化気体発生装置の内部にプラズマ発生
電極を配し、同活性化気体発生装置において活性化され
た原料ガスを基板に向けて積極的に吹き付ける薄膜形成
装置では、投入電力を増大させることなく、成膜速度を
高めることができる。更には、投入電力を増大させてよ
り強いプラズマを発生させた場合にも、プラズマ発生電
極は画成された前記活性化気体発生装置内に設置されて
おり、同電極間でのグロー放電により基板へダメージを
与える虞れが全くない。そのため、投入電力を増大させ
て成膜速度を更に高めることが可能となる。また、成膜
速度が高まるにもかかわらず、薄膜の結晶化も促進さ
れ、従来よりも速い成膜速度で高品質の薄膜を形成する
ことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、プラズマ
発生室と成膜処理室とを画成することにより成膜速度が
高まってはいるが、更なる成膜速度の向上が望まれてお
り、特に、太陽電池等の用途として微結晶薄膜の高速成
膜が強く望まれている。そこで本発明はかかる要望を達
成すべく、更に高速且つ高品質に表面処理が可能な表面
処理装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用効果】かかる課題
を解決するために、請求項1に係る発明は、プラズマ発
生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えたケー
シング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマを発
生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台上に
載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装置で
あって、前記ケーシングは、前記プラズマ発生手段を備
えたプラズマ発生室と前記基板支持台を備えた基板処理
室との二室に画成され、前記基板処理室と前記プラズマ
発生室とが一以上のプラズマ吹出口を介して連通されて
なり、少なくとも一の前記プラズマ吹出口がホロー放電
の発生域とされてなることを特徴としている。
【0015】更に、本件請求項2に係る発明は、プラズ
マ発生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えた
ケーシング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマ
を発生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台
上に載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装
置であって、前記ケーシングは、前記プラズマ発生手段
を備えたプラズマ発生室と前記基板支持台を備えた基板
処理室との二室に画成され、前記基板処理室と前記プラ
ズマ発生室とが一以上のプラズマ吹出口を介して連通さ
れてなり、前記プラズマ発生室には一以上のホロー放電
発生域を有するホロープラズマ電極が配されてなること
を特徴としている。
【0016】また、本件請求項3に係る発明は、プラズ
マ発生手段、原料ガス導入口、及び基板支持台を備えた
ケーシング内に、前記プラズマ発生手段によりプラズマ
を発生させて原料ガスをプラズマ化し、前記基板支持台
上に載置された基板表面をプラズマ処理する表面処理装
置であって、前記ケーシングは、前記プラズマ発生手段
を備えたプラズマ発生室と前記基板支持台を備えた基板
処理室との二室に画成され、前記基板処理室と前記プラ
ズマ発生室とが一以上のプラズマ吹出口を介して連通さ
れてなり、少なくとも一の前記プラズマ吹出口がホロー
放電の発生域とされてなり、前記プラズマ発生室には一
以上のホロー放電発生域を有するホロープラズマ発生電
極が配されてなることを特徴としている。
【0017】なお、本発明においてホロー放電とは、特
に貫通孔や凹部、空洞部分において認められるプラズマ
が強く発生し、プラズマの密度が高くなる現象をいう。
プラズマ発生手段としては、カソード及びアノードから
なる一対のプラズマ発生電極による放電や、三極以上の
電極を有する放電、マイクロ波放電、容量結合型放電、
誘導結合型放電、ヘリコン波放電、PIG放電、電子線
励起放電などの手段を採用できる。
【0018】前記プラズマ吹出口は、前記基板処理室と
プラズマ発生室との隔壁に形成されている。請求項1及
び3に係る発明において、このプラズマ吹出口に発生す
るホロー放電は、同プラズマ吹出口の電位によりホロー
カソード放電又はホローアノード放電となる。
【0019】例えば、前記プラズマ発生手段としてカソ
ード及びアノードからなる一対のプラズマ発生電極を採
用する場合には、そのいずれかの電極を前記隔壁として
採用することもできる。前記隔壁としてアノード電極を
使用し、前記プラズマ吹出口を同アノード電極に形成し
た場合には、前記ホロー放電はホローアノードグロー放
電となり、前記隔壁としてカソード電極を使用し、前記
プラズマ吹出口を同カソード電極に形成した場合には、
前記ホロー放電はホローカソードグロー放電となる。な
お、本発明においては、放電のための主たる電力を印加
する側の電極をカソード電極とし、同カソード電極に対
向する電極をアノード電極としている。或いは、プラズ
マ発生手段である一対のプラズマ発生電極とは別途に、
二室を画成する隔壁を設けてその隔壁にプラズマ吹出口
を形成してもよい。
【0020】本件請求項2及び3に係る発明にあって
は、前記プラズマ発生手段としてカソード及びアノード
からなる一対のプラズマ発生電極を採用する場合に、前
記プラズマ発生電極の少なくとも一方の電極を前記ホロ
ープラズマ発生電極として兼用させることもできる。或
いは、前記プラズマ発生電極とは別個に、第三の電極と
して前記ホロープラズマ発生電極を配することもでき
る。
【0021】上記表面処理装置により表面処理を施すに
は、先ず、ガス供給管を通じてケーシング内に原料ガス
及びキャリアガスを注入し、プラズマ発生手段によりプ
ラズマ発生室内にプラズマを発生させる。このとき、本
発明の表面処理装置では、前記プラズマ発生室と前記基
板処理室とに画成されているため、キャリアガス及び原
料ガスを効率良く利用することができ、キャリアガス及
び原料ガスのプラズマ化が促進される。
【0022】前記プラズマ発生室において発生したプラ
ズマは、前記基板処理室からの排気による内部ガスの流
れや二室間の差圧によって、或いは拡散によって、前記
プラズマ吹出口から前記基板処理室へと流れ出す。この
とき、適切なガス流量、ガス圧力、プラズマパラメータ
を与えることにより、前記プラズマ発生室のプラズマが
前記プラズマ吹出口から前記基板処理室内へと円滑に輸
送される。
【0023】なお、原料ガスは、前記プラズマ発生室内
で発生したプラズマが、基板処理室へと吹き出して基板
表面へ到るまでの間で導入することもできる。プラズマ
中の活性化された原料ガスは、前記プラズマの流れによ
り前記処理室内の基板表面へと到達し、同基板にエッチ
ングや成膜等の表面処理が施される。
【0024】本件請求項1に係る発明にあっては、少な
くとも一の前記プラズマ吹出口において、ホロー放電を
発生させることが重要である。このホロー放電によって
前記プラズマ吹出口において新たにプラズマが生成され
るため、基板処理室へと導かれるプラズマの密度が高め
られる。更には、プラズマ発生室内で発生したプラズマ
は、ホロー放電の発生しているプラズマ吹出口を通過す
る際に、衝突などによる相互作用によって前記プラズマ
内の荷電粒子 (電子又はイオン)のエネルギーが低下す
る。電子のエネルギーが低下することにより、電子は、
原料ガスから表面処理に寄与する中性活性種を生成する
に十分であり、しかも基板表面に衝突して損傷させるイ
オンは生成することの少ない適度な強度のエネルギーと
なるため、結果としてイオンを増加させることなく中性
活性種の数を増やすことができる。また、プラズマ内の
高エネルギーイオンの数を減少させることにより、これ
らのイオンによる基板損傷の影響を減少できる。
【0025】このように、ホロー放電により、プラズマ
密度が向上して表面処理に寄与する中性活性種が増加す
るため、表面処理の速度が高められる。また、プラズマ
内に存在する、基板に衝突してダメージを与えるイオン
のエネルギーを低下させることにより、基板表面の劣化
を抑制でき、高品質の表面処理を高速で行うことができ
る。
【0026】本件請求項2に係る発明にあっては、前記
プラズマ発生室内にホロープラズマ発生電極を配するこ
とが重要である。例えばプラズマ発生手段としてアノー
ド及びカソードからなる一対のプラズマ発生電極を採用
した場合には、少なくともその一方をホロープラズマ発
生電極として使用することができる。すなわち、アノー
ド電極でホローアノード放電が発生し、又はカソード電
極でホローカソード電極が発生し、或いは両電極におい
てそれぞれホロー放電が発生させることが必要である。
前記ホロー放電を発生させることにより、そのホロー放
電発生域において新たにプラズマが生成されるため、基
板処理室へと導かれるプラズマの密度が大きくなり、表
面処理に寄与する活性種が増加するため、表面処理の速
度が更に高められる。
【0027】更に本件請求項3に係る発明にあっては、
上述したプラズマ吹出口でのホロー放電とホロープラズ
マ発生電極でのホロー放電との両方を発生させている。
そのため、プラズマ吹出口でのホロー放電とホロープラ
ズマ発生電極でのホロー放電とのそれぞれの上述した作
用効果を併せ持つこととなり、表面処理の速度及び品質
がより高められる。
【0028】更には、プラズマ吹出口におけるホロー放
電だけでなく、ホロープラズマ発生電極でのホロー放電
が生じることにより、上述したそれぞれの放電によるの
作用効果に加え、以下のような相乗的な作用効果も得ら
れるものである。すなわち、プラズマ吹出口におけるホ
ロー放電に加え、ホロープラズマ発生電極でのホロー放
電が生じることにより、電極でのホロー放電域での電子
温度が低下すると共に電子密度が高くなるため、プロセ
スプラズマとしての性能が向上する。更に、例えばカソ
ード電極がホロープラズマ発生電極であり、同カソード
電極でホロー放電が発生する場合は、同カソード電極で
の高周波電圧が減少すると共に自己バイアス電圧が上昇
するため、プラズマ発生室内に生じたプラズマの有する
空間電位も上昇する。その結果、プラズマ吹出口におけ
るホロー放電が生じやすくなり、同プラズマ吹出口にお
いて高密度なプラズマを生成することが可能となる。ま
た、同様の理由からプラズマ発生室内では電界集中も生
じやすくなり、局所的に高密度プラズマ化された不均一
な放電が生成可能となる。
【0029】前記ホロープラズマ発生電極の電極材料と
しては、また、プラズマ発生手段として一対のプラズマ
発生電極を使用する場合にはその電極材料としては、S
USやAlなどの他に、Ni,Si,Mo,Wなどを採
用することができる。プラズマからのイオン衝撃による
二次イオン放出係数が大きな電極材料を使用すると、プ
ラズマがより高密度になるので、処理速度が向上する。
また、特に、シリコンの成膜処理を行う表面処理装置で
ある場合には、電極材料としてSiを使用すると、その
電極自身が薄膜材料の供給源として機能するので、成膜
速度が向上すると共にその安定性も増す。更に、Siか
らなる電極にボロンやリンを予めドーピングしておけ
ば、薄膜へのドーピングを自動的に行うことが可能とな
り、特に極微量のドーピングを行うときに有利である。
【0030】前記基板としてはガラス、有機フィルム、
或いはSUS等の金属を使用することができる。さらに
本発明の表面処理装置は成膜やアッシング、エッチン
グ、イオンドーピング等の各種表面処理に使用できる
が、前記基板表面にアモルファスシリコンや、更には結
晶質シリコンなどのシリコン薄膜や酸化膜を成膜する際
に特に好適に使用される。
【0031】前記プラズマ吹出口を多数設ける場合に、
特に、その全ての吹出口においてホロー放電を生じせし
めれば、大面積の基板に対しても均一な薄膜を高速で成
膜することができるため、好ましい。
【0032】前記原料ガス導入口は、前記プラズマ発生
室内に開口させてもよく、或いは、前記プラズマ発生室
内にはキャリアガスのみを導入し、前記原料ガス導入口
は前記プラズマ吹出口の側面に開口させることもでき
る。更には、例えば原料ガス導入用のパイプなどの導入
手段を用いて、前記原料ガス導入口を基板処理室内に開
口させ、原料ガスを基板処理室内における前記プラズマ
吹出口と基板との間に導入してもよい。前記原料ガス導
入口を前記吹出口に開口させる場合や、基板処理室内に
開口させる場合には、前記原料ガスは前記吹出口を通過
するプラズマ化されたキャリアガスによりプラズマ化さ
れる。この場合には、前記プラズマ発生室の内壁面が前
記原料ガスにより汚染されることがない。
【0033】なお、前記プラズマ発生電極には直流電源
又は高周波電源を接続して直流〜高周波電力まで印加す
ることが可能であるが、特に、高周波電力を投入するこ
とが好ましい。更に、カソード電極及びアノード電極に
それぞれ直流又は交流の電源、或いはパルス発生電源に
よってバイアスを印加することもできる。
【0034】前記プラズマ吹出口においてホロー放電を
発生させるために、本件請求項4に係る発明では、少な
くとも一の前記プラズマ吹出口における最小部分の開口
幅W(1) を、W(1) ≦5L(e) 又はW(1) ≦20Xのい
ずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e) は
所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそ
こから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性
種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)
に対する電子の平均自由行程であり、Xとは所望のプラ
ズマ発生条件下において発生するシース層の厚みであ
る。また、少なくとも一の前記プラズマ吹出口における
最小部分の前記開口幅W(1) は、X/20≦W(1) をも
満足する範囲、更にはX/5≦W(1) をも満足する範囲
に設定することが好ましい。
【0035】なお、電子とガス分子(原子を含む)との
散乱における電子の平均自由行程は、ガス圧、原子・分
子の散乱断面積及び温度に依存するが、前記プラズマ発
生条件には、これらガス圧、原子・分子の散乱断面積、
及び温度などが含まれている。
【0036】前記プラズマ吹出口の前記開口幅W(1) を
上記範囲に設定することにより、前記プラズマ吹出口に
おいて効果的にホロー放電を発生させることができると
共に、前記吹出口から効率良くプラズマを吹出させるこ
とができる。
【0037】なお、本発明において前記プラズマ吹出口
の開口幅W(1) とは、前記プラズマ吹出口の開口形状が
円形の場合には直径であり、矩形状やスリット形状の場
合には短辺の長さ寸法である。すなわち、開口形状にお
ける最短寸法部分を開口幅W(1) としている。
【0038】前記プラズマ吹出口の形状はプラズマ発生
室のプラズマを積極的に吹出口内に引き込み、基板処理
室においてプラズマを所望の角度で拡散させて噴出する
ことのできる形状を採用することができる。例えば、円
形断面の円柱形状や、プラズマ発生室から基板処理室に
向けて拡径する載頭円錐形状、及びその組み合わせ、更
には上流側の略半部が下流側に向けて縮径し、下流側の
半部が下流側に向けて拡径する形状などが挙げられる。
更には上述したように断面が矩形状の角柱状であっても
よく、スリット形状とすることも可能である。
【0039】また、基板の広い面積にわたって表面処理
を施す場合には、例えば円形の前記プラズマ吹出口を所
要のパターンで複数、形成することができる。或いは、
一筆書きできる実質的に連続した長尺なスリット形状、
具体的には渦巻き形状や蛇行形状にしてもよい。
【0040】本件請求項5に係る発明によれば、前記ホ
ロープラズマ発生電極は、プラズマ発生手段により発生
したプラズマとの対向面に一以上の凹部を有してなり、
少なくとも一の前記凹部がホロー放電の発生域とされて
いる。また、本件請求項6に係る発明によれば、前記ホ
ロープラズマ発生電極は空洞体であって、同電極はプラ
ズマ発生手段により発生したプラズマとの対向部分に空
洞内部に連通する1以上の貫通孔を有してなり、少なく
とも一の前記貫通孔がホロー放電の発生域とされてい
る。
【0041】このように、前記ホロープラズマ発生電極
に凹部を形成したり、或いは前記ホロープラズマ発生電
極を空洞体としその空洞内部に連通する貫通孔を形成
し、それら凹部又は貫通孔をホロー放電の発生域とする
ことにより、実質的にプラズマと接触するホロープラズ
マ発生電極の表面積が増大する。例えばカソード電極を
ホロープラズマ発生電極とし、同カソード電極にカソー
ド放電域を形成した場合には、グロー放電生成時におけ
るカソード電極の電位(自己バイアス)をプラスの方向
へともっていくことができ、接地されているアノード電
極近傍での投入電力の消費、すなわち原料ガスの励起、
分解反応を促進し、表面処理の速度を向上させることが
できる。
【0042】このような自己バイアスの制御はプラズマ
空間電位の制御にもつながり、イオンの基板への衝突に
よるダメージの大きさをも意図的に調整できる。従っ
て、例えば成膜処理を施す場合に、その結晶性薄膜の結
晶性を制御することができる。
【0043】前記凹部又は前記貫通孔において効果的に
ホロー放電を発生させるために、本件請求項7に係る発
明では、前記凹部又は前記貫通孔における最小部分の開
口幅W(2) を、W(2) ≦5L(e) 又はW(2) ≦20Xの
いずれかを満足する範囲に設定している。但し、L(e)
は所望のプラズマ発生条件下において、原料ガス種及び
そこから分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活
性種)のうち最も直径の小さな原子又は分子種(活性
種)に対する電子の平均自由行程であり、Xとは所望の
プラズマ発生条件下において発生するシース層の厚みで
ある。
【0044】なお、前記凹部又は前記貫通孔の断面形状
は円形や多角形などを採用でき、その開口形状における
最短寸法部分を開口幅W(2) としている。更に、少なく
とも一の前記プラズマ吹出口における最小部分の前記開
口幅W(2) は、X/20≦W(2) をも満足する範囲、更
にはX/5≦W(2) をも満足する範囲に設定することが
好ましい。
【0045】本件請求項8に係る発明によれば、前記ホ
ロープラズマ発生電極は空洞体であって、同電極はプラ
ズマ発生手段により発生したプラズマとの対向部分に空
洞内部に連通する1以上の貫通孔を有してなり、空洞内
部の少なくとも一部がホロー放電の発生域とされてい
る。このように、空洞内部の少なくとも一部においてホ
ロー放電を発生させることで、プラズマの密度を更に高
めることができるため、原料ガスの励起、分解反応が著
しく促進され表面処理の速度も向上する。また、前記ホ
ロープラズマ発生電極がカソード電極である場合には、
プラズマに接触するカソード電極の表面積を増大させる
ことにより、自己バイアスを更に正方向の電位へと制御
ができるため、原料ガスの励起、分解反応が更に促進さ
れ表面処理の速度も著しく向上する。
【0046】また、エッチングやアッシング、イオンド
ーピングなど、イオンの基板への衝突により悪影響を及
ぼすことのない表面処理を行う装置に関しては、前記ホ
ロープラズマ発生電極をアノード電極により構成し、そ
のアノード電極の内壁面を基板支持台とし、前記アノー
ド電極内を前記基板処理室とすることもできる。この場
合に、基板はホローアノード放電に直接曝されることに
なり、エッチングやアッシング、イオンドーピングなど
の処理速度が向上する。但し、アノード電極の内部を基
板処理室とするかかる表面処理装置では、イオンの基板
への衝突ダメージが大きいため、成膜処理には不適であ
る。
【0047】更に空洞体からなる前記ホロープラズマ発
生電極は、その表面積を増やすために空洞内部の高さ方
向に延びる1以上の隔壁を配することが好ましい。すな
わち、前記ホロープラズマ発生電極の空洞内部が前記隔
壁により複数に画成されることが好ましい。この場合に
は、それぞれの画成された領域ごとに少なくとも1の前
記貫通孔を形成する必要がある。
【0048】前記ホロープラズマ発生電極の空洞内部に
おいてホロー放電を効率よく発生させるために、本件請
求項9に係る発明によれば、前記ホロープラズマ発生電
極の前記貫通孔の形成方向に沿った空洞内部の対面距離
Hが、H≦5L(e) 又はH≦20Xのいずれかを満足す
る範囲に設定される。但し、L(e) は所望のプラズマ発
生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生す
る電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直
径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平
均自由行程であり、Xとは所望のプラズマ発生条件下に
おいて発生するシース層の厚みである。空洞体である前
記ホロープラズマ発生電極の前記貫通孔の形成方向に沿
った空洞内部の対面距離Hは、X/20≦Hをも満足す
る範囲、更にはX/5≦Hをも満足する範囲に設定する
ことが好ましい。
【0049】また、本件請求項10に係る発明によれ
ば、前記プラズマ吹出口の近傍、及び/又は凹部、貫通
孔の近傍、及び/又は前記空洞内部に磁場が形成されて
いる。ここで「近傍」とは前記プラズマ吹出口、凹部、
貫通孔の内部や、同吹出口、凹部、貫通孔の開口周縁或
いはその近傍を含む。また、前記磁石はその磁場の磁力
線が前記プラズマ吹出口、凹部、貫通孔の軸線方向と平
行に、また、前記空洞内部では電極面と平行になるよう
に配することが好ましい。
【0050】磁場の強さは前記プラズマ吹出口、凹部、
貫通孔の中心部、又は空洞内部で1〜2000mTとす
ることが好ましく、更には5〜500mTとすることが
好ましい。また、プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通
孔の内壁面及びその近傍、又は空洞内壁部の近傍では磁
場の強さを2〜2000mTとすることが好ましく、更
には5〜1000mTとすることが好ましい。
【0051】このように磁場を配することにより、電子
の軌道を調整して、ホロー放電が生じている前記プラズ
マ吹出口内及びその近傍や、ホローカソード放電又はホ
ローアノード放電が生じている前記凹部又は貫通孔の内
部及びその近傍、或いは空洞内部に電子を長時間留まら
せることができ、表面処理に寄与する活性種の生成が促
進される。そのため、表面処理速度が更に向上する。な
お、この磁場により電子のエネルギーには何ら変化はな
いため、電子エネルギーが大きくなって悪影響を及ぼす
イオンを生成することもなく、高品質な表面処理を維持
できる。
【0052】更に、本件請求項11に係る発明によれ
ば、前記基板に所望の電位を印加するための電位印加手
段を備えている。この電位印加手段とは、例えば、前記
基板が載置されている前記基板支持台に対して所望の電
位を印加することにより、前記基板にも同電位を印加す
ることができる。また、同電位印加手段は、必要に応じ
て、前記基板に到達するプロセスプラズマの電位Vsや
基板の電位をモニターする手段を含む。前記プロセスプ
ラズマの電位Vsは、同プラズマの大部分が接触してい
る電極の電位により決まる。従って、例えばプラズマ発
生電極等の高周波電圧と自己バイアスとをモニターする
ことにより、前記プロセスプラズマの電位Vsをモニタ
ーすることができる。
【0053】例えば基板に成膜処理を施す場合には、プ
ラズマからのイオンダメージを抑制するため、同基板を
前記プロセスプラズマの電位Vsとの差電圧を小さくす
ることが望ましく、前記プラズマの電位Vsと概ね同一
の電位を印加することがより好ましい。成膜処理の場合
の基板への印加電位は、前記プロセスプラズマの電位V
sに対して1/2〜1倍の範囲であることが好ましい。
また、例えばエッチング処理を施す場合には、前記プラ
ズマの電位Vsよりも小さい電位、特にマイナスの電圧
を印加することにより、異方性を向上させることができ
る。
【0054】このように、基板に所望の電位を印加し
て、前記基板とプラズマとの差電圧を意図的に制御する
ことにより、成膜処理の場合には処理速度を落とすこと
なくプラズマのダメージを低減されるなどの膜質の制御
が可能となり、また、エッチング処理の場合には、異方
性をなどのエッチング形状を制御できる。
【0055】また、前記プラズマ吹出口及び/又は凹
部、貫通孔の少なくとも片側の開口縁にノズル体を突設
させることが好ましい。同ノズル体はその中心線を前記
プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔の軸線方向と一
致させてもよく、或いは同ノズル体の中心線を前記プラ
ズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔の同軸線方向に対し
て角度をもって配設してもよい。また、前記ノズル体の
形状も、断面形状が一定の筒体や、断面寸法を漸減又は
漸増させる筒体であってもよい。更には、チューブ状の
ノズル体をらせん状に配してもよい。
【0056】前記プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通
孔に前記ノズル体を突設させることにより、前記プラズ
マ吹出口の形成されている部材や、前記ホロープラズマ
発生電極の厚み寸法を不必要に厚くすることがなく、前
記プラズマ吹出口及び/又は凹部、貫通孔の長さ寸法を
自由に設定でき、その長さを大きくすればそれらプラズ
マ吹出口及び/又は凹部、貫通孔でのホロー放電の発生
域が広がるため、プラズマ密度も高まり表面処理速度も
向上する。
【0057】更に、前記ノズル体のノズル長が不定長で
あることが好ましい。すなわち、プラズマ吹出口及び/
又は凹部、或いはプラズマ吹出口及び/又は貫通孔にお
いて、その全てのノズル体が均一の長さとする必要はな
く、適宜、変化させることができる。このようにノズル
体の長さを変化させることにより、基板へ到達するプラ
ズマの強度を、その基板の全表面において均一化するこ
とができる。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面及び好適な実施例を参照して具体的に説明す
る。図1は本発明の第1実施例である表面処理装置1の
概略図である。同装置1は外気と遮断され、接地された
ケーシング2が、プラズマ発生室3と基板処理室4との
2室に画成されている。
【0059】前記プラズマ発生室3内には一対のプラズ
マ発生電極5,6が上下に平行に配されている。一対の
電極5,6のうち高周波電源Pに接続されている上方の
電極(カソード電極)5は前記ケーシング2の絶縁体に
より形成されている上壁2aに取り付けられており、一
方、接地されている下方の電極(アノード電極)6は、
前記プラズマ発生室3と前記基板処理室4とを画成して
いる。なお、前記アノード電極6は接地されているケー
シング2の周壁2bに取り付けられているが、これに限
定されるものではなく、ケーシング2の任意の位置に取
り付けることが可能である。
【0060】前記アノード電極6の中心には円形の通孔
7が形成されており、同通孔7は本発明のプラズマ吹出
口7を構成する。このプラズマ吹出口7を介して前記プ
ラズマ発生室3と基板処理室4とが連通されている。な
お、前記アノード電極6とは別途に前記プラズマ発生室
3と基板処理室4とを画成するための仕切り板を配し、
同仕切り板にプラズマ吹出口を形成することもできる。
【0061】本実施例においては、前記プラズマ吹出口
7の断面形状を円形としているが、他にも例えば矩形状
としたり、或いはプラズマ発生室3から基板処理室4に
向けて拡径する載頭円錐形状や、載頭角錐形状、更には
上流側の略半部が下流側に向けて縮径し、下流側の半部
が下流側に向けて拡径する形状などとすることも可能で
ある。また、前記プラズマ吹出口7をスリット形状とす
ることも可能である。
【0062】前記プラズマ吹出口7の開口幅W、すなわ
ち直径Wは、W≦5L(e) 又はW≦20Xのいずれかを
満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプ
ラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから分
解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)のう
ち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する
電子の平均自由行程であり、Xとは所望のプラズマ発生
条件下において発生するシース層の厚みである。かかる
範囲に設定することにより、前記プラズマ吹出口7をホ
ローアノード放電の発生域とすることができる。前記開
口幅WをX/20≦Wの範囲に設定することが好まし
く、更には、前記開口幅WをX/5≦Wの範囲に設定す
ることが好ましい。
【0063】上方のカソード電極5は本発明のホロープ
ラズマ発生電極を構成し、同カソード電極5の前記アノ
ード電極6との対向面に、断面が円形をなす複数の凹部
5aが形成されている。この凹部5aの開口幅W、すな
わち直径Wは、W≦5L(e)又はW≦20Xのいずれか
を満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望の
プラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから
分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)の
うち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対す
る電子の平均自由行程であり、Xとは所望のプラズマ発
生条件下において発生するシース層の厚みである。前記
開口幅WをX/20≦Wの範囲に設定することが好まし
く、更には、前記開口幅WをX/5≦Wの範囲に設定す
ることが好ましい。前記プラズマ発生条件のうちガス圧
が10〜1400Paの範囲内にあるときは、前記凹部
5aの直径は0.1〜100mmの範囲に設定され、よ
り好ましくは1〜20mmである。前記凹部5aの直径
をかかる範囲に設定することにより、前記凹部5aをホ
ローカソード放電の発生域とすることができる。
【0064】前記複数の凹部5aは図33〜図36に示
すような配置で形成することが好ましい。図33(a)
に示す正6角形を基本とする配置や、図33(b)に示
す4角形を基本とする配置、図33(c)に示す3角形
を基本とする配置などが好ましい。更には、図34
(a)〜(c)に示すように、これらの配置において中
心部分、即ち、プラズマ吹出口7の直上位置には凹部5
aを形成しない配置が更に好ましい。また、図35
(a)及び図35(b)に示す放射状や、図36(a)
及び図36(b)に示す中心部分を除く配置とすること
も好ましい。
【0065】また、前記プラズマ吹出口7の長さ方向
(厚さ方向)の寸法T、及び前記凹部5aの深さDは概
ねX/50を下限とする。上限は装置寸法上の制約、す
なわち前記アノード電極6の厚み、又は前記カソード電
極5の厚みによって決定される。このプラズマ吹出口7
の長さT及び前記凹部5aの深さDは、上述したガス圧
及び直径の場合には0.1mm〜100mmが好まし
い。なお、ホロー放電を効率良く発生させる観点から
は、前記プラズマ吹出口7の長さTや前記凹部5aの深
さDは大きいほうが有利であり、より強いプラズマを発
生させることができる。そのため、前記プラズマ吹出口
7や前記凹部5aの開口縁部にノズル体を取り付けて、
前記プラズマ吹出口7の実質的な長さTや前記凹部5a
の実質的な深さDを大きくさせることもできる。
【0066】なお、本実施例にあっては前記凹部5aは
円形断面であるが、他にも多角形状としてもよい。断面
積も一定でなくてもよく、軸線方向に断面積を変化さ
せ、例えば底面が開口よりも大きく、或いは小さい凹部
であってもよい。更には、前記凹部5aを矩形状や図3
7に示すような渦巻き形状や蛇行形状などの溝構造とす
ることもできる。このような矩形状や渦巻き形状等の溝
構造とする場合には、その凹部5aの開口幅Wとは溝幅
(溝壁間の寸法)であり、この溝幅を上述の範囲内で設
定する。なお、この溝幅は一定でなくてもよく、カソー
ド電極5の中心から外縁へ向けてその溝幅を漸減又は漸
増させることもできる。また、前記凹部5aの内壁面に
部分的な凹凸を形成してもよい。複数の前記凹部5a
は、互いに同一寸法及び同一形態とする必要は無く、異
なる寸法及び形態をもつ凹部5aを複数形成してもよ
い。
【0067】本実施例にあっては、前記ケーシング2の
上壁2a及びカソード電極5を貫通してガス供給口8が
形成されており、このガス供給口8からプラズマ発生室
3内に、成膜処理の場合には例えばモノシラン等の原料
ガスと、プラズマの発生を促進すると共にプラズマを安
定化し、且つ原料ガスを基板Sまで搬送するためのキャ
リアガスとの混合ガスを導入している。なお、このガス
供給口8は円筒状に限定されるものではなく、矩形筒状
であってもよい。
【0068】更に、同ガス供給口8の形成位置も上述の
位置に限定されるものではなく、任意の位置に形成する
ことが可能である。例えば図2に示すように、前記凹部
5aの底部に開口する位置に形成してもよく、或いは前
記アノード電極6の周壁部に開口する位置に形成するこ
ともできる。また、前記ガス供給口8を複数形成するこ
ともできる。
【0069】なお、前記ガス供給口8からはプラズマ発
生室3へキャリアガスのみを導入して、原料ガスは別
途、異なる導入口を設けて前記プラズマ発生室3の内
部、成膜処理室4の内部、或いは前記プラズマ吹出口7
の途中へと導入することもできる。
【0070】前記基板処置室4内には前記プラズマ吹出
口7に対向する位置に基板支持台9が配されている。本
実施例においては前記基板支持台9は接地されているた
め、同支持台9上に載置された基板Sも同様に接地され
ることとなる。なお、前記基板支持台9、すなわち基板
Sを接地せずに直流的又は交流的にバイアス印加するこ
とも、パルス的にバイアス印加することも可能である。
或いは、前記基板支持台9に対して基板Sを電気的に絶
縁することも可能である。また、前記基板支持台9には
ヒータが内蔵されており、前記基板支持台9の上面に載
置された基板Sの温度を、気相成長に適した温度に調整
する。なお、前記基板処理室4は図示せぬバルブ、圧力
調整弁及び真空ポンプにより、前記プラズマ発生室3よ
りも低い室圧に調整されている。
【0071】上記表面処理装置1により成膜処理を施す
場合に、前記カソード電極5に高周波電源Pにより高周
波電力を投入すると、前記電極5,6間で放電が起こ
り、前記プラズマ発生室3内にプラズマが発生する。そ
のプラズマにより、同プラズマ発生室3内に導入された
原料ガス及びキャリアガスが活性化され、成膜に寄与す
る活性種が生成される。このとき、前記基板処理室4は
室圧を前記プラズマ発生室3よりも低圧に調整している
ためその差圧と、さらに拡散とによって、同プラズマ発
生室3内のプラズマは、前記プラズマ吹出口7から前記
基板処理室4内へと流れ出る。このプラズマの流れによ
り前記処理室4内の基板S表面がプラズマ処理され、同
基板4の表面に薄膜が形成される。
【0072】このとき、前記カソード電極5には複数の
凹部5aが形成されており、しかも同凹部5aの開口幅
Wが上述の範囲内に設定されているため、印加する高周
波電力に応じて通常のグロー放電からホローカソード放
電を含む放電に移行する。同凹部5aにおいてホローカ
ソード放電が発生し、同凹部5aにおいて新たなプラズ
マが発生する。そのため、前記プラズマ発生室3内にお
いて発生するプラズマは密度の大きなプラズマとなり、
成膜処理に寄与する活性種が増加するため、表面処理の
速度が高められる。また、前記カソード電極5に凹部5
aを形成することにより、実質的にプラズマと接触する
カソード電極5の表面積が増大する。それにより、放電
生成時における自己バイアスをよりプラスの方向へとも
っていくことができ、接地されているアノード電極6近
傍での原料ガスの励起、分解反応を促進し、表面処理の
速度を向上させることができる。
【0073】更には、前記プラズマ吹出口7の開口幅W
を上述の範囲内に設定することにより、前記プラズマ吹
出口7にはホローアノード放電が発生する。このホロー
アノード放電によって前記プラズマ吹出口7には新たに
プラズマが生成されるため、基板処理室4へと導かれる
プラズマの密度が高められる。更には、プラズマ発生室
3内で発生したプラズマが、ホローアノード放電の発生
域であるプラズマ吹出口7を通過する際に、前記プラズ
マ内の電子のエネルギーが、活性種を生成するに十分
で、イオンを生成するには不充分な強度まで適度に低減
されるため、基板処理室4へと導かれるプラズマは成膜
に寄与する活性種が更に増大し、密度の大きなプラズマ
となり、成膜速度が著しく向上する。更には、ホローア
ノード放電の発生しているプラズマ吹出口7を通過する
際に、前記プラズマ内のイオンエネルギーも低下するた
め、基板処理室4へと導かれたプラズマには、基板に衝
突してダメージを与えるイオンが少なく、高品質な成膜
が可能となる。
【0074】更には、プラズマ吹出口7におけるホロー
アノード放電に加え、ホローカソード放電が生じること
により、両電極5,6間でのプラズマの電子温度が低下
すると共に電子密度が高くなるため、プロセスプラズマ
としての性能が向上する。更に、ホローカソード放電に
よりカソード電極5での高周波電圧が減少すると共に自
己バイアス電圧が上昇するため、両電極5,6間に生じ
たプラズマの有する空間電位も上昇する。その結果、プ
ラズマ吹出口7におけるホローアノード放電が生じやす
くなり、同プラズマ吹出口7において高密度なプラズマ
を生成することができるといった相乗効果が得られる。
また、同様の理由からプラズマ発生室3内では電界集中
も生じやすくなり、局所的に高密度プラズマ化された不
均一な放電が生成可能となる。
【0075】なお、上述したように本実施例では前記基
板支持台9、即ち基板Sが接地されているが、同基板S
を接地せずに所望の電位を印加することも可能である。
成膜処理にあたって、同基板Sに到達するプロセスプラ
ズマの電位Vsに対して1/2〜1倍の電位を前記基板
Sに印加し、同基板と前記プロセスプラズマとの差電圧
を小さくすることにより、プラズマからのイオンダメー
ジを減少させて高品質の薄膜を成膜することが可能とな
る。
【0076】このとき、前記プロセスプラズマの電位V
sは、同プラズマの大部分が接触している電極の電位に
より決まる。従って、例えばカソード電極等の高周波電
圧と自己バイアスとをモニターすることにより、前記プ
ロセスプラズマの電位Vsをモニターすることができ
る。
【0077】更に、本実施例では、円形断面の単一のプ
ラズマ吹出口7が形成されているが、基板Sの広い面積
にわたって表面処理を施す場合には、前記プラズマ吹出
口7を例えば図33〜36に示すような配置で複数形成
することもできる。更には、一筆書きできる実質的に一
続きのスリット形状、例えば図37に示すような渦巻き
状や蛇行状などの形状とすれば、大面積にわたって均一
な処理が可能となる。
【0078】なお、複数孔にする場合も、スリット状に
する場合も、それらの孔径やスリット幅Wは本発明の範
囲内に設定することが好ましい。但し、複数の孔を一定
の孔径とする必要はなく、またスリット幅もその長さ方
向で一定である必要はない。均一にホローアノード放電
を発生させるためには、各種条件に応じて前記孔径やス
リット幅はアノード電極の中心部分から外縁部分へとそ
の寸法を漸減又は漸増させることが望ましい。
【0079】また、上記実施例では前記アノード電極6
を接地しているが、前記電極5,6にそれぞれ直流又は
交流の電源又はパルス電源によってバイアスを印加する
こともできる。更には、上述の実施例ではアノード電極
6によりプラズマ発生室3と基板処理室4とを画成して
いるが、前記アノード電極6とは別途にプラズマ吹出口
を有する仕切り板を設けてプラズマ発生室3と基板処理
室4とを画成することもできる。
【0080】なお、本実施例にあっては前記基板処理室
4から内部ガスを排気すると共に、前記基板処理室4が
前記プラズマ発生室3よりも低い室圧に調整されてい
る。従って、前記表面処理装置内ではプラズマ発生室3
から基板処理室4への内部ガスの流れが形成されている
が、これに限定されるものではない。前記プラズマ発生
室に内部ガスの排気口を設けて、内部ガスの流れを逆に
することもできる。但し、この場合には前記プラズマ発
生室3から前記基板処理室4へのプラズマの輸送が拡散
によってのみなされ、内部ガスの流れによるプラズマの
輸送は期待できないため、表面処理速度が若干、低下す
るものの、従来よりも高速な処理は確保される。
【0081】更に、上述した装置を用いて、アッシング
やエッチング、イオンドーピング等の他の表面処理を行
う場合にも、従来よりも低温で且つ高速に表面処理を行
うことが可能である。なお、例えばエッチング処理を施
す場合には、前記基板Sに対して前記プロセスプラズマ
の電位Vsよりも小さい電位、特にマイナスの電圧を印
加することにより、異方性を向上させることができる。
【0082】以下、本発明の他の実施例について図面を
参照して具体的に説明する。なお、以下の説明におい
て、上述の第1実施例と同一の構成には同一の符号を付
し、その詳細な説明は省略する。
【0083】図3は、第2実施例による表面処理装置2
0の概略図である。同装置20は、カソード電極5に形
成された凹部5aの内壁面及びプラズマ吹出口7の内壁
面に磁石10が配されている点で上述した第1実施例と
異なるが、その他の構成は上記第1実施例の表面処理装
置1と同一である。なお、前記磁石10は、前記凹部5
aや前記プラズマ吹出口7に磁場を付与するように配さ
れていればよい。したがって、前記磁石10は同図3に
示すように前記内壁面内に埋設する他にも、例えば、図
4(a)に示すように前記カソード電極5内の前記凹部
5aの上方に埋設したり、或いは図4(b)に示すよう
に前記カソード電極5の外部に配することもでき、さら
にはこれらの配置の組み合わせであってもよい。なお、
これらの磁石10の配置にあたっては、前記磁石10が
プラズマに直接晒されることがないように磁石10を取
り付けることが好ましい。
【0084】前記磁石10の磁場は、磁力線の方向が上
記凹部5a及びプラズマ吹出口7の各軸線方向と平行に
なるように印加されていることが好ましい。同磁石の強
度は前記凹部5a及びプラズマ吹出口7のそれぞれの軸
中心において1〜2000mT、内壁面及びその近傍で
は2〜2000mTとし、より好ましくは軸中心で5〜
500mT、内壁面及びその近傍で5〜1000mTで
ある。
【0085】このように凹部5a及びプラズマ吹出口7
に磁場を形成することにより、そこに発生しているプラ
ズマ内の電子の軌道を前記磁場により調整し、前記凹部
及びプラズマ吹出口7の内部に電子を長く留まらせるこ
とができる。この電子の軌道調整により、電子のエネル
ギー(電子温度)を高めることなく、原料ガスへの電子
の作用時間を長くできるため、活性種の生成が促進さ
れ、成膜速度が向上する。
【0086】また、磁石10を配して磁場を形成するこ
とにより、凹部5aの開口幅Wや深さD又はプラズマ吹
出口7の開口幅Wの寸法の許容範囲が、磁石10を配し
ていない場合に比べて概ね30%程度広がる。
【0087】なお、本実施例では全ての凹部5a及びプ
ラズマ吹出口7に磁石10を配しているが、それら全て
に磁石10を配するのではなく、選択されたいずれかに
のみ磁石10を配することもできる。更には電磁石等の
手段により磁場を形成することも可能である。また、磁
石の極性を含めた磁場の配置と同磁場の強度とは、プラ
ズマ密度を高めるよう任意に設定される。
【0088】図5は、第3実施例による表面処理装置2
1の概略図である。同装置21は、本発明のホロープラ
ズマ発生電極であるカソード電極11が中空円柱状の空
洞体である点で上述した第1実施例と異なるが、その他
の構成は上記第1実施例の表面処理装置1と同一であ
る。
【0089】空洞体である前記カソード電極11は、ア
ノード電極6との対向部分、すなわち前記カソード電極
11の下壁部11aに、空洞内部に連通する円形断面を
もつ複数の貫通孔11bが形成されている。この貫通孔
11bは図33〜36に示すような配置で形成すること
が好ましい。なお、この貫通孔11bは前記アノード電
極6に形成されたプラズマ吹出口7の直上位置を避けた
位置、即ち図34又は図36に示す配置で形成すること
がより望ましい。
【0090】この貫通孔11bをホローカソード放電の
発生域とし得るよう、その開口幅W、すなわち直径Wを
W≦5L(e) 又はW≦20Xのいずれかを満足する範囲
に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発生条
件下において、原料ガス種及びそこから分解発生する電
気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の
小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自
由行程であり、Xは所望のプラズマ発生条件下において
発生するシース層の厚みである。なお、前記開口幅Wは
X/20≦Wの範囲に設定されることが好ましく、更に
は、X/5≦Wの範囲に設定されることがより好まし
い。
【0091】また、複数の前記貫通孔11bは開口幅W
が全て同一でなくてもよく、複数の前記貫通孔11bに
おいて均一にホローカソード放電を発生させるために、
適宜、異なる開口幅Wに設定することができる。特に、
印加電力の周波数に応じて、或いは、その他の条件によ
って、中心付近の貫通孔11bは開口幅Wを小さくし外
縁方向にその開口幅Wを漸増させ、或いは、中心付近で
開口幅Wを大きくし外縁方向にその開口幅Wを漸減させ
ることが好ましい。
【0092】前記プラズマ発生条件のうちガス圧が10
〜1400Paの範囲内にあるときは、前記貫通孔11
bの直径は0.1〜100mmの範囲に設定され、より
好ましくは1〜20mmである。前記貫通孔11bの直
径をかかる範囲に設定することにより、前記貫通孔11
bにホローカソード放電が発生する。
【0093】また、前記貫通孔11bの長さT、すなわ
ち本実施例の場合には前記下壁部11aの厚みTは概ね
X/50を下限とする。上限は装置寸法上の制約によっ
て決定される。この貫通孔11bの長さTは上述したガ
ス圧及び直径の場合には、0.3〜70mmが好まし
い。
【0094】なお、本実施例にあっては前記貫通孔11
bは円形断面であるが、他にも楕円形、矩形、多角形、
不定形状など任意の形状とすることができる。断面積も
一定でなくてもよく、軸線方向に断面積を変化させても
よい。更には、前記貫通孔11bを断面が矩形状のスリ
ット構造としたり、或いは図37に示すような渦巻き形
状、蛇行状などの一次元的広がりをもつスリット構造と
することもできる。このようなスリット構造とする場合
には、その貫通孔11bの開口幅Wとはスリット幅であ
り、このスリット幅を上述の範囲内で設定する。なお、
このスリット幅は一定でなくてもよく、中心から外縁へ
向けて漸増又は漸減させることもできる。また、前記貫
通孔11bの内壁面に部分的な凹凸を形成してもよい。
複数の前記貫通孔11bは、互いに同一寸法及び同一形
態とする必要は無く、異なる寸法及び形態をもつ貫通孔
11bを複数形成してもよい。
【0095】更に、本実施例にあっては、前記カソード
電極11の空洞内部をホローカソード放電の発生域とし
得るよう、前記カソード電極11の前記貫通孔11bの
形成方向に沿った空洞内部の対面距離、即ち図面では上
下の高さHを、H≦5L(e)又はH≦20Xのいずれか
を満足する範囲に設定している。但し、L(e) は所望の
プラズマ発生条件下において、原料ガス種及びそこから
分解発生する電気的に中性の原子、分子種(活性種)の
うち最も直径の小さな原子又は分子種(活性種)に対す
る電子の平均自由行程であり、Xは所望のプラズマ発生
条件下において発生するシース層の厚みである。前記空
洞内部の高さHは、X/20≦Hの範囲に設定すること
が好ましく、更には、X/5≦Hの範囲に設定すること
が好ましい。前記プラズマ発生条件のうちガス圧が上述
したように10〜1400Paの範囲内にあり、且つ貫
通孔11bの寸法が上述の範囲に有る場合には、空洞内
部の高さHは0.1〜100mmに設定することが好ま
しく、更には空洞内部の高さHは1〜20mmに設定す
ることがより好ましい。
【0096】なお、図示例では前記空洞内部の高さHを
一定にしているが、前記高さHは一定でなくてもよい。
ホローカソード放電を空洞内部の略全域にわたって均一
に発生させるために、印加電力の周波数に応じて、或い
は、その他の条件によって、中心付近での空洞内部の高
さHを小さくし外縁方向にその高さHを漸増させ、或い
は、中心付近で高さHを大きくし外縁方向にその高さH
を漸減させることが好ましい。
【0097】また、図示例では前記カソード電極11は
壁部が略均一な厚みをもち、全体が中空になっている空
洞体であるが、周壁部を厚くし、中心部分のみを中空状
にしたり、或いは局部的な中空部分を形成することもで
きる。また、その中空部分に凹部を形成することもでき
る。
【0098】前記カソード電極11の上壁部11cの中
心に円筒状のガス供給口11dを形成し、このガス供給
口11dから前記カソード電極11の空洞内部に、モノ
シラン等の原料ガスと、プラズマの発生を促進すると共
にプラズマを安定化し、且つ原料ガスを基板Sまで搬送
するためのキャリアガスとの混合ガスを導入している。
なお、このガス供給口11dは円筒状に限定されるもの
ではなく、矩形筒状であってもよい。更に、同ガス供給
口11dの形成位置も前記上壁部11cの中心に限定さ
れるものではなく、任意の位置に形成することが可能で
ある。
【0099】かかるガス供給口11dから前記カソード
電極11の内部に導入された混合ガスは、前記貫通孔1
1bから前記プラズマ発生室3内にシャワー状に導入さ
れる。このように、混合ガスを一旦、前記カソード電極
11の内部に貯留したのち、前記貫通孔11bからシャ
ワー状に前記プラズマ発生室3内に導入することによ
り、前記混合ガスを均一の濃度及び圧力で前記プラズマ
発生室3内に導入することができる。
【0100】なお、前記カソード電極11の空洞内部に
はキャリアガスのみを導入して、原料ガスは別途、異な
る導入口を設けて前記プラズマ発生室3の内部、成膜処
理室4の内部、或いはプラズマ吹出口7の途中へと導入
することもできる。
【0101】前記カソード電極11に高周波電源Pによ
り高周波電力を投入すると、前記電極11,6間で放電
が起こり、前記プラズマ発生室3内にプラズマが発生す
る。印加する高周波電力に応じて通常のグロー放電から
ホローカソード放電を含む放電に移行する。このとき、
前記カソード電極11は、前記貫通孔11bにホローカ
ソード放電が発生し、同貫通孔11bにおいて新たなプ
ラズマが発生すると共に、同カソード電極11の空洞内
部においてもホローカソード放電が発生して新たなプラ
ズマが発生している。そのため、前記プラズマ発生室3
内において発生するプラズマは密度の大きなプラズマと
なり、成膜処理に寄与する活性種が増加するため、表面
処理の速度が高められる。
【0102】また、前記カソード電極11は空洞体であ
り、貫通孔11bを形成して同貫通孔11bと空洞内部
とにプラズマを発生させているため、実質的にプラズマ
と接触するカソード電極11の表面積が、上述した第1
実施例の場合よりも更に増大する。それにより、放電生
成時における自己バイアスをよりプラスの側へともって
いくことができ、接地されているアノード電極6近傍で
の原料ガスの励起、分解反応を促進し、表面処理の速度
をより向上させることができる。
【0103】〈実験1〉第3実施例による表面処理装置
21において、カソード電極11の貫通孔11bの直径
を2〜20mm、同貫通孔11bの長さ寸法Tを2〜8
mm、空洞内部の高さHを2〜20mmに設定し、水素
ガス圧を133Paとして、周波数が13.56MHz
のRFパワーを0.02W/cm2 で印加した。その結
果、プラズマ吹出口7ではホローアノード放電が発生
し、また、前記カソード電極11の貫通孔11b及びそ
の空洞内部ではホローカソード放電が発生した。
【0104】更に、このときのカソード電極11の自己
バイアスは最も低い値であっても−9Vであった。これ
に対して、カソード電極11の貫通孔11bの径を1m
mとし、同貫通孔11b及び空洞内部においてホローカ
ソード放電を発生させない、通常の正規放電型では、ガ
ス圧及びRFパワーを同一とした場合のカソード電極の
自己バイアスが−30Vであり、また通常の平行平板型
の場合には自己バイアスが−74Vである。このことか
ら、上記実施例の表面処理装置21にあっては、カソー
ド電極11の自己バイアスは著しくプラスの側へと寄っ
ていることがわかる。条件によって自己バイアスが正の
電位へと極性を変えることも可能である。
【0105】また、上記条件下において、前記カソード
電極11の貫通孔11bの長さ寸法Tを9mmとしたと
ころ、同貫通孔11bにおいてホローカソード放電は発
生せず、カソード電極11の空洞内部においてもホロー
カソード放電は発生しなかった。そこで、前記貫通孔1
1bの長さ寸法Tを9mmとしたままでRFパワーを上
げていくと、0.05W/cm2 のときに同カソード電
極11の貫通孔11b及び空洞内部においてホローカソ
ード放電が発生した。
【0106】更に、前記カソード電極11の貫通孔11
bの径を5mmとし、同カソード電極11の空洞内部の
高さHを2mmとしたところ、RFパワーが0.02W
/cm2 以下では同空洞内部にはホローカソード放電が
発生しなかったが、同カソード電極11の自己バイアス
は−6Vと大きくプラスの側へと寄っていた。また、前
記高さHを9mmとしたときには、RFパワーが0.0
5W/cm2 以下では同空洞内部にはホローカソード放
電が発生しなかったが、この場合もカソード電極11の
自己バイアスは−9Vであり、上述の正規放電型や通常
の平行平板型と比べて高い電圧となっていた。
【0107】〈実験2〉上記表面処理装置21を使用し
て、原料ガスとしてモノシランガス(SiH4)を7 cm3
/min.の流量で、またキャリアガスとして水素ガスを1
05 cm3/min.の流量で導入すると共に、成膜室の圧力
を29Pa、基板温度を150〜260℃に調整して、
13.56MHz、0.1W/cm2 の高周波電力を印
加し、白板ガラスの基板に成膜処理を行った。その結
果、基板温度が150℃と低い温度の場合でも前記基板
表面には微結晶薄膜が形成されていた。また、上記温度
範囲において、微結晶薄膜の成膜速度は最高で40Å/
sec.であり、従来達成できなかった高速での成膜が可能
であった。更に上述の成膜条件を最適化し、前記基板温
度を300℃とすることにより、150Å/sec.と極め
て高速での成膜が可能となり、このような高速成膜であ
って薄膜は微結晶化しており、太陽電池として十分に機
能する薄膜であった。勿論、アモルファス薄膜を成膜す
る場合には、更に高速での成膜が可能である。
【0108】〈実験3〉上記表面処理装置21を使用し
て高周波電源Pの周波数を105MHzに設定し、基板
処理室3の圧力を10〜1400Pa、基板の温度を1
00〜450℃の範囲に設定したとき、キャリアガスで
ある水素ガスの流量と原料ガスであるモノシランガス
(SiH4)の流量との比、水素ガス流量/モノシランガ
ス流量をRとすると、0.5<Rの範囲内において非晶
質ではない結晶性のシリコン薄膜を作成することができ
た。また、p−i−n構造の太陽電池を試作したとこ
ろ、太陽電池として動作することが確認できた。
【0109】特に、0.5<R<20の範囲にあるとき
には、従来は結晶化が困難であるといわれていたが、R
の大きい、即ち、モノシランガス流量に対して水素ガス
流量の大きな場合と同等以上の良好な結晶性薄膜が得ら
れることが、X線回折やラマン分光法によって確認でき
た。なお、具体的な処理条件とその条件において結晶性
の薄膜を形成可能な成膜速度とを以下の表1に例示す
る。
【表1】 上述した試料1〜4の結晶性薄膜は、いずれもX線回折
で(220)に配向する結晶性薄膜であることが確認さ
れた。更に、これらの薄膜をp−i−n型の太陽電池に
応用する場合には、n型、i型(上記条件)と積層した
後、p型を積層する前に上記条件よりも低パワー且つ低
速で更に薄くi型の層を積層してからp型の層を成膜し
て電池とすることにより、太陽電池の効率が向上する。
例えば、80Pa,100〜450℃、H2 ;40sc
cm、SiH4 ;1.5sccm、RFパワー;0.2
5W/cm2 の条件で且つ成膜速度を0.01μm/m
inとして、厚さ5〜100nmのi層をバッファ層と
して挿入すると、太陽電池の効率が50%向上した。
【0110】このように成膜速度が向上した理由として
は、先ず、プラズマ吹出口7におけるホローアノード放
電、カソード電極11の貫通孔11b及びその空洞内部
でのホローカソード放電により高密度なプラズマが得ら
れたことが挙げられる。更に、カソード電極11のプラ
ズマに接触する表面積を増大させたことにより、その自
己バイアスをプラスの側にもっていくことができ、プラ
ズマがアノード電極に近い領域でも発生するため、基板
処理室4へのプラズマ吹出口7を通して効率良く基板表
面へとプラズマを導くことができる。また、この自己バ
イアスの制御により、同時にプラズマ空間電位をも制御
することが可能になったため、そのプラズマ空間電位を
適度に設定し、成膜速度に応じた適度なイオンの衝撃を
与えることができ、高速成膜での結晶化が可能となった
ものと考えられる。
【0111】なお、上述の表面処理装置21は、成膜以
外のアッシングやエッチング、イオンドーピング等の他
の表面処理を行った場合にも、従来よりも低温で且つ高
速に表面処理を行うことが可能であった。
【0112】図6は、第4実施例による表面処理装置2
2の概略図である。同装置22は、空洞体であるカソー
ド電極11に形成された貫通孔11bの内壁面及びプラ
ズマ吹出口7の内壁面に磁石10が配されている点で上
述した第3実施例と異なるが、その他の構成は上記第3
実施例の表面処理装置21と同一である。
【0113】前記磁石10の磁場は、磁力線の方向が上
記貫通孔11b及びプラズマ吹出口7の各軸線方向と平
行になるように印加されることが望ましい。同磁石の強
度は前記貫通孔11b及びプラズマ吹出口7のそれぞれ
の軸中心において1〜2000mT、内壁面及びその近
傍で2〜2000mTとし、より好ましくは軸中心で5
〜500mT、内壁面及びその近傍で5〜1000mT
とする。
【0114】このように貫通孔11b及びプラズマ吹出
口7に磁場を形成することにより、そこに発生している
プラズマ内の電子の軌道を前記磁場により調整し、前記
貫通孔11b及びプラズマ吹出口7の内部に電子を長く
留まらせることができる。この電子の軌道調整により、
電子のエネルギー(電子温度)を高めることなく、原料
ガスへの電子の作用時間を長くできるため、活性種の生
成が促進され、成膜速度が向上する。
【0115】また、磁石10を配して磁場を形成するこ
とにより、貫通孔11bの開口幅Wや長さT及びプラズ
マ吹出口7の開口幅Wの寸法の許容範囲が、磁石10を
配していない場合に比べて概ね30%程度広がる。
【0116】なお、本実施例では全ての貫通孔11b及
びプラズマ吹出口7に磁石10を配しているが、それら
全てに磁石10を配するのではなく、選択されたいずれ
かにのみ磁石10を配することもできる。また、電磁石
等の手段により磁場を形成することも可能である。更に
は、前記磁石10は、例えば前記貫通孔11b及び前記
プラズマ吹出口7の内壁面内に埋設することもできる。
或いは図7(a)に示すように空洞体である前記カソー
ド電極11の上壁部11c内に埋設したり、図7(b)
に示すように、前記カソード電極11の外側、上壁部1
1cの上方に配することもできる。このような磁石10
の極性を含めた配置と磁場の強度とはプラズマ密度を高
めるよう、任意に設定される。
【0117】また、空洞内部のホローカソード放電がよ
り高密度になるよう、前記空洞内部にも磁場を形成すべ
く磁石を配置することも可能である。この場合には、空
洞内部における磁力線が電極面と平行になるように、磁
場を付与することが望ましい。例えば、図8(a)に示
すように、カソード電極11の上下壁部11c,11a
の内部や同カソード電極11の周壁部の外側に配した
り、図8(b)に示すように、カソード電極11の外
側、上壁部11cの上方や、同カソード電極の下壁部1
1aの内部、周壁部の外側などに配してもよい。また、
図8(c)に示すように周壁部の内部に埋設することも
できる。なお、同図8(c)は各種配置を一図にまとめ
て記載したものである。
【0118】これらの図は磁石の配置の単なる例示にす
ぎず、これら図面に開示された磁石10の配置位置や配
置個数に限定されるものではない。前記磁石10をカソ
ード電極11の内部に埋設又は外部に配置し、或いはそ
の組み合わせにより、前記空洞内部や貫通孔11bでの
ホローカソード放電がより高密度になるよう、磁石の配
置と磁場強度とを任意に設定することができる。なお、
これらの磁石10の配置にあたっては、前記磁石10が
プラズマに直接晒されることがないよう取り付けること
が好ましい。
【0119】〈実験4〉この図6に示す第4実施例によ
る表面処理装置22を用いて、上述の第3実施例の実験
2と同一の条件、すなわち、モノシランガス(SiH4)
を7cm3 /min.の流量で、また水素ガスを105
cm3 /min.の流量で導入すると共に、成膜室の圧
力を29Pa、基板温度を150〜260℃に調整し
て、13.56MHz、0.1W/cm2 の高周波電力
を印加し、白板ガラスの基板に成膜処理を行った。その
結果、成膜速度が70Å/sec.と上述の第3実施例
の場合と比べて更に75%も高速での成膜が可能とな
り、このような高速成膜であって薄膜は微結晶化してお
り、太陽電池として十分に機能する薄膜であった。
【0120】更に、カソード電極11における貫通孔1
1b又はその空洞内部でのホローカソード放電により生
じるプラズマ密度を大きくする変形例を図9に示す。先
ず、前記貫通孔11bにおいてホローカソード放電を効
率良く発生させる観点からは、前記貫通孔11bの長さ
Tは大きいほうが有利であり、より強いプラズマを発生
させることができる。しかしながら、前記カソード電極
の下壁部11aの厚みは、材料コストの観点からも空洞
内部に導入されるガス圧及び印加電力に耐え得る最小の
厚みにすることが望ましい。
【0121】そのため、前記貫通孔11bの長さTを長
くするためには、同貫通孔11bの周縁にノズル体12
を取り付けることが望ましい。なお、このノズル体12
は前記貫通孔11bからプラズマ発生室3側へ突設して
もよく、或いは空洞内部へ突設することもできる。更に
は両側へ突設してもよい。また、同ノズル体12を図9
に示すように磁石10により構成することもできる。但
し、磁石10が直接プラズマに晒されることのないよう
にすることが好ましい。
【0122】なお、図9に示すノズル体12はいずれ
も、その中心線を貫通孔11bの線と一致させて配して
いるが、前記ノズル体12の中心線を前記貫通孔11b
の軸線に対して角度をもって配する、即ち、ノズル体1
2を斜めに配することもできる。また、図9に示すノズ
ル体12は断面積が一定の筒体であるが、かかる形状に
限定されるものではなく、その断面積を漸増又は漸減さ
せる形状をもつ筒体であってもよい。更にはチューブ状
のノズル体をらせん状に配することもできる。かかるノ
ズル体の変形については、上述したプラズマ吹出口や凹
部に取り付けられるノズル体にも適用が可能である。
【0123】更に、プラズマが接触するカソード電極1
1の表面積を増大させるために、同カソード電極11の
空洞内部をその高さ方向に延在する隔壁11eにより仕
切ることもできる。このように表面積を自在に調節する
ことができるため、同カソード電極11の自己バイアス
を自由に制御できる。なお、前記隔壁11eはカソード
電極11の上下の壁部11c,11aと密着していなく
てもよく、隙間が形成され仕切られた各空間が連通して
いてもよい。
【0124】仕切られた各空間には図10に示すように
それぞれにガス供給口11dを設けることが望ましい。
或いは、前記アノード電極6の周壁部に開口する位置に
ガス供給口8を形成することもでき、また、それら複数
のガス供給口8,11dを組み合わせて複数形成するこ
ともできる。前記カソード電極11の前記ガス供給口1
1dからはキャリアガスのみを導入して、原料ガスは前
記アノード電極6のガス供給口8、或いは別途、異なる
導入口を設けて前記プラズマ発生室3の内部、成膜処理
室4の内部、或いは前記プラズマ吹出口7の途中へと導
入することもできる。
【0125】なお、図9は複数の貫通孔11bの形態を
例示するものであり、全ての貫通孔11bが異なる形態
である図示の実施例に限定されるものではない。全ての
貫通孔11bが同一の形態であってもよく、或いは複数
種類の貫通孔11bが混在していてもよい。ノズル体1
2の長さ寸法も、全ての貫通孔11bにおいて同一であ
ってもよく、或いは適宜長さを変化させ、基板表面へと
到達するプラズマの強さを基板の全表面において均一化
させることもできる。また、隔壁の形成位置及び形成数
も同図9に限定されるものではなく、表面処理に必要な
プラズマの強さに応じて自由に設計が可能である。
【0126】更に、プラズマの強さを左右する因子とし
て、高周波励起電源周波数を高めると結晶化が進むこと
は知られている。そこで、周波数を変更する実験を行っ
た。 〈実験5〉上述した実験1、2及び4では高周波励起電
源周波数を13.56MHzとしていたが、これを10
5MHzに変更し、同一の条件で成膜を行ったところ、
それぞれの実験における効果に更に高周波化による効果
が加わり、成膜速度が260Å/sec.であっても薄膜が
結晶化していた。また、成膜速度が240Å/sec.の場
合には太陽電池として十分に機能し得る結晶膜が得られ
た。
【0127】カソード電極11が空洞体である上述した
第3、第4実施例及びそれらの変形例では、図5、6及
び9に示すように、カソード電極11の空洞内部のほぼ
全域においてホローカソード放電が発生している。しか
しながら、前記カソード電極11の空洞内部の高さ寸法
や、貫通孔11dの形状、数、及び配置、更には磁石1
0の配置などによって、前記空洞内部の全域にわたって
ホロー放電が発生しない場合もあり、前記空洞内部の一
部にのみホローカソード放電が発生し、或いは前記空洞
内部において不均一にホローカソード放電が発生するこ
ともある。一般的傾向として、ホロー放電を起こしてい
る貫通孔近傍の中空部では、空洞内部でも他よりも明る
いホロー放電が発生している。
【0128】図11は、第5実施例による表面処理装置
23の概略図である。同装置23は、カソード電極1
1′の空洞内部にホローカソード放電が発生しないよう
に、同空洞内部の内壁面を絶縁体により構成している点
で上述した第3実施例と異なるが、その他の構成は上記
第3実施例の表面処理装置21と同一である。
【0129】ただし、前記カソード電極11′の下壁部
11a内面において一部電極を露出させてもよく、その
場合には前記プラズマ発生室3において発生したプラズ
マが貫通孔11bを通って空洞内部へと侵入し、その露
出した電極面を這うことができる。それにより、プラズ
マが実質的に接触し得るカソード電極11′の表面積を
増大させることができ、自己バイアスの増大を図ること
ができる。
【0130】また、前記カソード電極11′の空洞内部
にホローカソード放電を発生させないためには、上述の
ように内壁面を絶縁体で構成することの他にも、同空洞
内部の高さHを高くする方法が挙げられるが、この高さ
Hは、RFパワーやガス圧によっても変化するため、内
壁面を絶縁体で構成する方法がより確実である。
【0131】このようにプラズマの発生場所を制御でき
ると共に、カソード電極11′のプラズマと接触する表
面積をも調節でき、自己バイアスをも制御できるため、
用途に応じた強さのプラズマを発生させることができ
る。
【0132】〈実験6〉上記表面処理装置23を使用し
て、上述した実験2と同一の条件で成膜をおこなったと
ころ、前記貫通孔11bにおいてホローカソード放電が
発生し、プラズマ吹出口7においてはホローアノード放
電が発生して、プラズマの密度が高まり、微結晶薄膜を
高速で成膜することが可能であった。また、得られた薄
膜は太陽電池としても十分に機能し得るものであった。
【0133】図12は第6実施例による表面処理装置2
4の概略図であり、この表面処理装置24は上述した第
5実施例の表面処理装置23におけるカソード電極1
1′の貫通孔11b及びプラズマ吹出口7の内周壁に磁
石10を配したものである。
【0134】〈実験7〉第6実施例の表面処理装置24
を使用して、上述した実験2と同一の条件で成膜を行っ
たところ、上述の実験6と比較して、成膜速度や電池効
率が10%以上向上した。
【0135】なお、上述した空洞体であるカソード電極
11の変形例として、例えば図13(a)に示す空洞体
であるカソード電極15のように、空洞内部に連通する
複数の貫通孔15bを有する下壁部15aと、上壁部1
5cとの間を、一以上の貫通孔15dを有する一以上の
仕切り壁15eにより上下に複数段に仕切ることができ
る。また、このとき、図13(b)に示す空洞体である
カソード電極15′のように、下壁部15aに形成され
た複数の貫通孔15bと、仕切り壁15eに形成された
複数の貫通孔15dとが、上下方向に互いに重ならない
ようにそれぞれの貫通孔15b,15dを形成すること
が好ましい。
【0136】また、各貫通孔15b,15dの数を下壁
部15aと仕切り壁15eとの間で異ならせてもよい。
また、各貫通孔15b,15dの開口寸法も下壁部15
aと仕切り壁15eとで異ならせてもよく、更には、下
壁部15aの複数の貫通孔15bや、仕切り壁15eの
複数の貫通孔15dにおいても、全て均一の開口寸法と
する必要はなく、開口寸法を中心部分から外縁方向に漸
減又は漸増させるように変化させることもできる。
【0137】上述した空洞体であるカソード電極11の
更に他の変形例として、図13(c)に示す空洞体から
なるカソード電極16のように、複数の中空電極部材1
6aを連結口16bにより上下に複数段に連結すること
もできる。
【0138】図14は本発明の第7実施例による表面処
理装置25の概略図である。この表面処理装置25も、
ケーシング2内がプラズマ発生室3と基板処理室4との
2室に画成されている。前記プラズマ発生室3内にはカ
ソード電極5とアノード電極6′とが配され、前記アノ
ード電極6′が前記プラズマ発生室3と基板処理室4と
を画成している。同アノード電極6′の中心には円形の
プラズマ吹出口7′が形成されており、このプラズマ吹
出口7′を介して前記プラズマ発生室3と基板処理室4
とが連通されている。
【0139】前記カソード電極5は前記アノード電極
6′との対向面に、断面が円形をなす複数の凹部5aが
形成されており、この凹部5aの開口幅Wは、W≦5L
(e) 又はW≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定さ
れている。更に好ましくは、前記開口幅WはX/5≦W
の範囲に設定される。前記凹部5aの直径をかかる範囲
に設定することにより、前記凹部5aにおいてホローカ
ソード放電が発生する。
【0140】本実施例の以上の構成は上述した第1実施
例と同様であるが、前記アノード電極6′に形成されて
いるプラズマ吹出口7′の開口幅Wが大きくため、又は
長さ(厚み)Tが小さいため、同プラズマ吹出口7′に
おいてホロー放電が発生していない点で上述した第1実
施例の表面処理装置1とは異なるものである。
【0141】本実施例では、プラズマ吹出口7′におい
てホロー放電が発生しないため、上述した第1実施例よ
りは表面処理の速度及び品質が若干劣るものの、カソー
ド電極5の凹部5aにおいてホローカソード放電が生じ
ているため、従来の表面処理装置と比較すれば、その処
理速度及び処理品質は向上している。
【0142】また、図15は本発明の第8実施例による
表面処理装置26の概略図である。この表面処理装置2
5も、ケーシング2内がプラズマ発生室3と基板処理室
4との2室に画成されている。前記プラズマ発生室3内
にはカソード電極5″とアノード電極6″とが配され、
電力の印加される前記カソード電極5″が前記プラズマ
発生室3と基板処理室4とを画成している。同カソード
電極5″の中心には円形のプラズマ吹出口7″が形成さ
れており、このプラズマ吹出口7″を介して前記プラズ
マ発生室3と基板処理室4とが連通されている。
【0143】前記プラズマ吹出口7″は、開口幅WがX
/5≦W≦5L(e) 又はX/5≦W≦20Xのいずれか
を満足する範囲に設定されているため、同プラズマ吹出
口7″において、ホローカソード放電が生じている。即
ち、本実施例における前記プラズマ吹出口7″は本件請
求項1に係る発明のホロー放電の発生域であると同時
に、本件請求項2に係る発明のホローカソード放電発生
域でもある。
【0144】なお、上述したいずれの実施例も表面処理
装置の上方にプラズマ発生室3を、その下方に基板処理
室4を設けているが、これら実施例とは逆に、下方にプ
ラズマ発生室3を配して、その上方に基板処理室を設
け、プラズマを下方から上方へと流出させるタイプの装
置とすることも可能である。更には、表面処理装置のケ
ーシングを左右二室に画成し、プラズマ発生室と基板処
理室とを水平に配し、プラズマを横方向に流出させるタ
イプの装置とすることも可能である。いずれの場合にあ
っても、基板はプラズマ吹出口に対向させてプラズマの
流出方向に直交して配することができ、或いは、基板を
プラズマの流出方向と平行に配することも可能である。
また、プラズマ発生手段も一対のプラズマ発生電極に限
定されるものではなく、例えば三極以上の電極を有する
放電、マイクロ波放電や容量結合型放電、誘導結合型放
電、PIG放電、電子線励起放電によるプラズマ発生手
段なども採用できる。
【0145】図16(a)及び図16(b)に示すよう
に、ホローカソード放電が発生するカソード電極5,1
1のアノード電極側及び/又はその反対側の近傍に、他
の電極13を配することもできる。他の電極13はカソ
ード電極5に形成された凹部5a又は空洞体であるカソ
ード電極11に形成された貫通孔11bの開口幅Wより
も小さな開口幅をもつ小孔13aが多数形成されてい
る。或いは、前記他の電極13はメッシュ状であっても
よい。なお、ホローカソード放電が発生する貫通孔を有
するカソード電極の場合であっても、同様に、前記貫通
孔の開口幅Wよりも小さな小孔が多数形成された他の電
極を配することもできる。
【0146】他の電極13はフローティング状態を含む
任意の電圧にバイアスされており、特に好ましくは、接
地されているアノード電極6の電圧とプラズマが有する
空間電位の最大値との間の電圧値に設定され、或いは、
ホローカソード放電が発生しているカソード電極5の電
圧とプラズマの有する空間電位の最大値との間の電圧値
に設定されている。
【0147】更に、前記他の電極13に形成されている
小孔13aを図16に示すように、カソード電極5,1
1の凹部5a又は貫通孔11bに対応する位置に形成す
れば、電子が更にホローカソード放電域に閉じ込められ
て、いっそう大電流の放電である超高密度ホローカソー
ド放電が可能になる。
【0148】或いは、図17(a)及び17(b)に示
すように、カソード電極5″に形成された凹部5a″
や、カソード電極11″に形成された貫通孔11b″に
おいて、開口部分の面積が前記凹部5a″や貫通孔11
b″の他の部分の断面積よりも十分小さく形成すること
により、電子をホローカソード放電域である前記凹部5
a″や前記貫通孔11b″内または中空部に効率よくに
閉じ込めることができる。なお、同図では前記凹部5
a″や貫通孔11b″はその上半部が円柱状で下半部が
半球状であるが、円錐状や角錐状、更には紡錘形状とし
てもよい。
【0149】図18は本発明の第9実施例である表面処
理装置27の概略図である。同装置27は、アノード電
極14がカソード電極5との対向部分が空洞体である点
で上述した第1実施例と異なるが、その他の構成は上記
第1実施例の表面処理装置1と略同一である。
【0150】前記アノード電極14は、カソード電極5
との対向部分が空洞体14aとなっており、その空洞体
14aの中心に、上壁部14bと下壁部14cとを一直
線上に貫通する単一のプラズマ吹出口7が形成されてい
る。更に、本実施例にあっては、前記アノード電極14
の空洞体14aの内部をホローアノード放電の発生域と
し得るよう、前記空洞体14aの前記プラズマ吹出口7
の形成方向に沿った対面距離、即ち図では上下の高さH
を、H≦5L(e) 又はH≦20Xのいずれかを満足する
範囲に設定している。但し、L(e) は所望のプラズマ発
生条件下において、原料ガス種及びそこから分解発生す
る電気的に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直
径の小さな原子又は分子種(活性種)に対する電子の平
均自由行程であり、Xは所望のプラズマ発生条件下にお
いて発生するシース層の厚みである。前記空洞内部の高
さHは、X/20≦Hの範囲に設定することが好まし
く、更には、X/5≦Hの範囲に設定することが好まし
い。
【0151】本実施例においては、プラズマ吹出口7に
おけるホローアノード放電とカソード電極5の凹部5a
におけるホローカソード放電とに加え、更に、アノード
電極14の空洞体14aの内部においてホローアノード
放電が発生し、前記アノード電極14の空洞体14aの
内部においても新たなプラズマが発生している。そのた
め、基板Sへと到達するプロセスプラズマの密度が更に
高まり、成膜処理に寄与する活性種が増加するため、表
面処理速度が向上すると共に、その処理品質も更に向上
する。
【0152】なお、図示例では前記空洞体14aの内部
高さHを一定にしているが、前記高さHは一定でなくて
もよい。ホローアノード放電を空洞体14aの内部の略
全域にわたって均一に発生させるために、印加電力の周
波数に応じて、或いは、その他の条件によって、中心付
近での空洞内部の高さHを小さくし外縁方向にその高さ
Hを漸増させ、或いは、中心付近で高さHを大きくし外
縁方向にその高さHを漸減させることが好ましい。
【0153】或いは、前記空洞体14aはその内部全体
においてホローアノード放電を発生させる必要は無く、
少なくとも一部においてホローアノード放電を発生させ
ることができれば、表面処理の品質及び処理速度の向上
が認められる。
【0154】図19は上述した空洞体であるアノード電
極14の変形例である。上述したアノード電極14は空
洞体14aの中心に単一のプラズマ吹出口7を貫通して
形成していたが、図19に示すアノード電極14′のよ
うに、空洞体14aの上壁部14bと下壁部14cとに
それぞれ空洞内部に連通する、プラズマ吹出口としての
複数の貫通孔14dを形成することも可能である。なお
この場合、上壁部14bの貫通孔14dと下壁部14c
の貫通孔14dとは上下に一直線上に並ばないように互
いにずらして形成することが好ましい。更に、貫通孔1
4dを図33〜図36の配列で形成することが好まし
い。
【0155】また、複数の前記貫通孔14dは開口幅W
が全て同一でなくてもよく、複数の前記貫通孔14dに
おいて均一にホローアノード放電を発生させるために、
適宜、異なる開口幅Wに設定することができる。特に、
印加電力の周波数に応じて、或いは、その他の条件によ
って、中心付近の貫通孔14dは開口幅Wを小さくし外
縁方向にその開口幅Wを漸増させ、或いは、中心付近で
開口幅Wを大きくし外縁方向にその開口幅Wを漸減させ
ることが好ましい。
【0156】また、前記貫通孔14dの長さT、すなわ
ち本実施例の場合には前記下壁部14bの厚みTは概ね
X/50を下限とする。上限は装置寸法上の制約によっ
て決定される。この貫通孔14dの長さTは上述したガ
ス圧及び直径の場合には、0.1〜70mmが好まし
い。
【0157】なお、本実施例にあっては前記貫通孔14
dは円形断面であるが、他にも楕円形、矩形、多角形、
不定形状など任意の形状とすることができる。断面積も
一定でなくてもよく、軸線方向に断面積を変化させても
よい。更には、前記貫通孔14dを断面が矩形状のスリ
ット構造としたり、或いは図37に示すような渦巻き形
状、蛇行状などの一次元的広がりをもつスリット構造と
することもできる。このようなスリット構造とする場合
には、その貫通孔14dの開口幅Wとはスリット幅であ
り、このスリット幅を上述の範囲内で設定する。また、
前記貫通孔11bの内壁面に部分的な凹凸を形成しても
よい。複数の前記貫通孔14dは、互いに同一寸法及び
同一形態とする必要は無く、異なる寸法及び形態をもつ
貫通孔14dを複数形成してもよい。
【0158】前記アノード電極14′には、前記貫通孔
14dの内壁面や空洞体14aの内部に開口するガス供
給口8′を形成することができる。例えば成膜処理の場
合には、前記プラズマ発生室3へはキャリアガスのみを
導入し、前記アノード電極14′のガス供給口8′から
はモノシラン等の原料ガスを導入することにより、同原
料ガスの不要な空間での分解を防止し、原料ガスを効率
よく成膜処理に寄与させることができる。なお、複数の
貫通孔14dの全てにガス供給口8′を設けることもで
き、あるいは一部の貫通孔14dにのみガス供給口8′
を設けることもできる。更に、空洞体14aの内壁面に
は複数のガス供給口8′を開口させることもできる。
【0159】更に、アノード電極14′における空洞体
14a内部及び貫通孔14dでのホローアノード放電に
より生じるプラズマ密度を大きくする変形例を、図20
(a)及び図20(b)に示す。先ず、前記貫通孔14
dにおいてホローアノード放電を効率良く発生させる観
点からは、前記貫通孔14dの長さTは大きいほうが有
利であり、より強いプラズマを発生させることができ
る。しかしながら、前記アノード電極の上下壁部14
b,14cの厚みは、材料コストの観点からも空洞内部
に導入されるガス圧及び印加電力に耐え得る最小の厚み
にすることが望ましい。
【0160】そのため、前記貫通孔14dの長さTを長
くするためには、下壁部14cの貫通孔14dの周縁に
ノズル体12を取り付けることが望ましい。なお、この
ノズル体12は前記貫通孔14dから基板処理室4側へ
突設してもよく、或いは空洞体14aの内部へ突設する
こともできる。更には両側へ突設してもよい。また、同
ノズル体12を図20(a)に示すように磁石10によ
り構成することもできる。このとき、磁石10は直接プ
ラズマに晒されないように配することが好ましい。
【0161】なお、図20(a)に示すノズル体12は
いずれも、その中心線を貫通孔14dの線と一致させて
配しているが、前記ノズル体12の中心線を前記貫通孔
14dの軸線に対して角度をもって配する、即ち、ノズ
ル体12を斜めに配することもできる。また、図20
(a)に示すノズル体12は断面積が一定の筒体である
が、かかる形状に限定されるものではなく、その断面積
を漸増又は漸減させる形状をもつ筒体であってもよい。
更にはチューブ状のノズル体をらせん状に配することも
できる。
【0162】更に、プラズマが接触するアノード電極1
4′の表面積を増大させるために、前記アノード電極1
4′の空洞体14aの内部に、上下方向に延びる隔壁
や、水平方向に延びる隔壁を設けて、内部を複数室に分
割することもできる。なお、内部の分割された各室に形
成されている貫通孔14dは全て同一であってもよく、
或いは異ならせることもできる。また、上下方向に延び
る前記隔壁は、前記空洞体14aの上下壁部14b,1
4cとの間に隙間が形成され、各室が連通していてもよ
い。
【0163】また、前記アノード電極14′には、図2
0(b)に示すように、プラズマ吹出口である前記貫通
孔14dや空洞体14aの内部に磁場を付与するように
磁石10を各貫通孔14dの内周面、前記空洞体14a
の上下壁部14b,14c、或いは周壁部に埋設した
り、それらの近傍に配することができる。前記磁石10
は、その磁力線の方向が貫通孔14dの軸線方向と平行
になるように磁場が印加されるよう、或いは磁力線の方
向が前記上下壁部14b,14cと平行になるように磁
場が印加されるよう、配されていることが好ましい。
【0164】このように貫通孔14dや空洞体14aの
内部に磁場を形成することにより、そこに発生している
プラズマ内の電子の軌道を前記磁場により調整し、前記
貫通孔14dや空洞体14aの内部に電子を長く留まら
せることができる。この電子の軌道調整により、電子の
エネルギー(電子温度)を高めることなく、原料ガスへ
の電子の作用時間を長くできるため、活性種の生成が促
進され、成膜速度が向上する。
【0165】図21〜図23は上述した第9実施例の第
1〜第3変形例による表面処理装置28〜30の概略図
である。図21に示す表面処理装置28は、第9実施例
のカソード電極5を空洞体のカソード電極11に変更
し、同カソード電極11の空洞内部及び同カソード電極
11に形成された貫通孔11bをホローカソード放電域
としたものである。
【0166】図22に示す表面処理装置29は、第9実
施例のカソード電極5を空洞体をなし且つその空洞内部
の内壁面を絶縁したカソード電極11′に変更し、同カ
ソード電極11′に形成された貫通孔11bをホローカ
ソード放電域としたものである。また、図23に示す表
面処理装置30は、第9実施例のカソード電極5を単な
る平板状の電極5′に変更し、同カソード電極5′では
ホローカソード放電は発生させず、ホローアノード放電
のみを発生させている。
【0167】これらの変形例はいずれも、第9実施例と
上述した本発明の他の実施例との組み合わせであり、そ
れぞれ、上述したような各実施例における作用効果を兼
ね備えている。従って、いずれの変形例にあっても、ホ
ローアノード放電やホローカソード放電によって、プロ
セスプラズマの密度が高まり、各種処理速度が著しく向
上する。
【0168】図24は本発明の第10実施例である表面
処理装置40の概略図である。同表面処理装置40は、
空洞状のアノード電極17の内部が基板処理室4′を構
成している。空洞状のアノード電極17は上壁部17a
の中心に貫通孔17bが形成されており、この貫通孔1
7bがプラズマ吹出口を構成している。また、同アノー
ド電極17の下壁部17cの内面中央部分が基板支持台
を構成すると共に、同下壁部17cの周縁部分には複数
の排気口17dが形成されている。また、同下壁部17
cの中央部分には基板の加熱手段を内装させることもで
きる。なお、アノード電極17内の基板の支持位置や排
気口17dの形成位置は上述のものに限定されるもので
はなく、任意の位置を選択できる。
【0169】本実施例にあっては、前記アノード電極1
7の貫通孔17bをホローアノード放電の発生域とし得
るよう、前記貫通孔17bの開口幅Wを、W≦5L(e)
又はW≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定してい
る。更に前記開口幅Wは、X/20≦Wの範囲に設定す
ることが好ましく、X/5≦Wの範囲に設定することが
より好ましい。また、本施例にあっては、前記アノード
電極17の空洞内部をもホローアノード放電の発生域と
し得るよう、前記空洞内部の高さHを、H≦5L(e) 又
はH≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定してい
る。前記空洞内部の高さHも、X/20≦Hの範囲に設
定することが好ましく、更には、X/5≦Hの範囲に設
定することが好ましい。
【0170】但し、L(e) は所望のプラズマ発生条件下
において、原料ガス種及びそこから分解発生する電気的
に中性の原子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さ
な原子又は分子種(活性種)に対する電子の平均自由行
程であり、Xは所望のプラズマ発生条件下において発生
するシース層の厚みである。
【0171】同基板処理装置40では、基板処理室4′
をアノード電極17の空洞内部に形成し、このアノード
電極17の空洞内部にはホローアノード放電を発生させ
ているため、基板Sの処理に寄与するプラズマの密度が
極めて高まるため、処理速度も著しく向上する。但し、
この基板処理装置40では、プラズマによる基板Sへの
イオンダメージが大きいため成膜処理には不適であり、
同装置40はエッチング、アッシング又はイオンドーピ
ングの処理に適している。
【0172】図25(a)及び図25(b)は基板処理
室4′を構成する空洞状のアノード電極の変形例であ
る。図25(a)に示すアノード電極17′は上壁部1
7aにプラズマ吹出口を構成する複数の貫通孔17bが
形成されている点で上述のアノード電極17とは異な
る。なお、前記貫通孔17bは図33〜図36に示すよ
うな配置で形成することが好ましい。
【0173】この複数の貫通孔17bは、本実施例にあ
っては円形断面であるが、他にも楕円形、矩形、多角
形、不定形状など任意の形状とすることができる。断面
積も一定でなくてもよく、軸線方向に断面積を変化させ
てもよい。更には、前記貫通孔17bを断面が矩形状の
スリット構造としたり、或いは図37に示すような渦巻
き形状、蛇行状などの一次元的広がりをもつスリット構
造とすることもできる。このようなスリット構造とする
場合には、その貫通孔17bの開口幅Wとはスリット幅
であり、このスリット幅を上述の範囲内で設定する。ま
た、前記貫通孔17bの内壁面に部分的な凹凸を形成し
てもよい。複数の前記貫通孔17bは、互いに同一寸法
及び同一形態とする必要は無く、異なる寸法及び形態を
もつ貫通孔17dを複数形成してもよい。
【0174】また、図25(b)に示すアノード電極1
7″は、プラズマ吹出口である前記貫通孔17bや排気
口17d、空洞内部に磁場を付与するように磁石10を
各貫通孔17bや排気口17dの内周面、前記空洞内部
の上下壁部17a,17c、或いは周壁部に埋設した
り、それらの近傍に配することができる。前記磁石10
は、その磁力線の方向が貫通孔17bや排気口17dの
軸線方向と平行になるように磁場が印加されるよう、或
いは磁力線の方向が前記上下壁部17a,17dと平行
になるように磁場が印加されるよう、配されていること
が好ましい。
【0175】このようにプラズマ吹出口である貫通孔1
7bや空洞内部に磁場を形成することにより、そこに発
生しているプラズマ内の電子の軌道を前記磁場により調
整し、前記貫通孔17bや空洞内部に電子を長く留まら
せることができる。この電子の軌道調整により、電子の
エネルギー(電子温度)を高めることなく、原料ガスへ
の電子の作用時間を長くできるため、活性種の生成が促
進され、成膜速度が向上する。
【0176】図26は、各種貫通孔でのホロー放電を発
生しやすくするための変形例を示している。同図26で
はアノード電極6に形成されたプラズマ吹出口7を例に
説明する。図26(a)に示す変形例では、アノード電
極6の下面にプレート状の絶縁体18を密着されて配し
ており、更に、同絶縁体18の下面に金属プレートから
なる他の電極19を配している。プラズマ吹出し口7は
これらアノード電極6、絶縁体18、及び他の電極19
を貫通して形成されている。この他の電極19には前記
アノード電極の電位よりも低い電位となるように、直流
バイアスや交流バイアス(高周波やパルスを含む)を印
加している。
【0177】ここで、プラズマの電位はそのプラズマの
大部分が接する電極の電位、即ち、この場合、アノード
電極6の電位によって決まる。このアノード電極6の面
積に比べてプラズマ吹出口7はプラズマとの接触面積が
極めて小さいが、このプラズマ吹出口7にバイアスを印
加してプラズマの電位とプラズマ吹出口との間の電位差
を自由に制御することが可能になる。従って、通常はプ
ラズマの電位とアノード電極6との電位差が小さくて、
プラズマ吹出口7においてホロープラズマが発生し得な
い低パワーの放電であっても、前記他の電極19にバイ
アスを印加してプラズマとプラズマ吹出口7との電位差
を大きくすることができるため、同プラズマ吹出口7の
ホロープラズマの発生を誘起することができる。
【0178】なお、プラズマ吹出口7の電位を自在に設
定し得る他の電極の配置例としては、他にも図26
(b)に示すように、アノード電極6のプラズマ吹出口
7の形成部分の下面にのみ、リング状の絶縁体18aと
リング状の他の電極19aとを重ねて配することもでき
る。
【0179】また、図26(c)に示すように、アノー
ド電極6のプラズマ吹出口7の内壁面にリング状の絶縁
体18bを介してリング状の他の電極19bを配しても
よく、或いは、図26(d)に示すように、アノード電
極6のプラズマ吹出口7の内壁面にリング状の絶縁体1
8bを介して円筒ノズル状の他の電極19cを配するこ
ともできる。なお、かかる構造はアノード電極に複数の
貫通孔を形成した場合や、カソード電極に形成された貫
通孔などの各種貫通孔に同様に適用が可能である。
【0180】以上説明した本発明の各種実施例及び変形
例では、プラズマ発生電極には高周波電源Pにより高周
波電力を投入しているが、直流電源により直流電圧を印
加することもできる。或いは、それぞれ直流や交流の電
源又はパルス電源によってバイアスを印加してもよい。
また、表面処理室4に配された基板Sとプラズマ吹出口
7との間にメッシュ状の電極を設置してトライオード型
に構成し、また様々なバイアスを印加することも可能で
ある。
【0181】更には、上述した実施例ではいずれも、表
面処理装置のケーシング2の内部をアノード電極6によ
り上下に2分割して上方をプラズマ発生室3、下方を基
板処理室4としているが、本発明はかかる装置に限定さ
れるものではない。
【0182】図27〜図32には本発明の他の実施例に
よる表面処理装置の水平方向の断面図を示す。図27に
示す本発明の第11実施例である表面処理装置41は、
ケーシング32が有底の円筒体からなり、その周壁内面
を基板支持台9としている。この場合に、前記ケーシン
グ32の内部には、小径円柱体からなるカソード電極3
5と、同カソード電極35よりも大径の円筒体かならる
アノード電極36とを、中心軸線を一致させて配してい
る。
【0183】前記アノード電極36には所定の形状と配
置を有する複数のプラズマ吹出口37が形成され、前記
アノード電極36と前記ケーシング32との間の領域が
本発明における基板処理室34を構成すると共に、前記
カソード電極35と前記アノード電極36との間の領域
が本発明におけるプラズマ発生室33を構成する。更
に、前記カソード電極35の周壁面には複数の軸線方向
に平行な凹部35aが所定の位相差をもって形成されて
いる。なお、前記カソード電極35を空洞体とした場合
には、前記凹部35aに変えて貫通孔を形成すると共
に、その空洞内部にキャリアガス及び原料ガスを供給し
てもよい。
【0184】或いは、図28に示す本発明の第12実施
例による表面処理装置42のように、最大径の円筒体を
カソード電極35とし、その内部に軸線を一致させて円
筒体からなるアノード電極36を配し、更にその中心に
最小径の円柱体39を配することもできる。この場合に
は中心の円柱体39の外周面が基板Wの支持台を構成す
る。前記カソード電極35の内周面には複数の軸線方向
に平行な凹部35aが所定の位相差をもって形成されて
いる。前記アノード電極36には所定の形状と配置を有
するプラズマ吹出口37を形成する。なお、前記カソー
ド電極35の更に外側にケーシングを配することもでき
る。
【0185】この図27及び図28に示す第11及び第
12実施例にあっても、前記プラズマ吹出口37の開口
幅を本発明の規定する上記範囲内とすることにより、同
吹出口37においてホローアノード放電が発生する。ま
た、前記凹部35aにおいても、その開口幅を本発明の
範囲内とすることにより、同凹部35aにおいてホロー
カソード放電が発生する。
【0186】更に、前記アノード電極35やカソード電
極36を空洞体により形成し、互いの電極との対向面に
貫通孔を形成してその貫通孔でホロー放電を発生させ、
更には、空洞内部の少なくとも一部でホロー放電を発生
させることもできる。その場合には、表面処理に寄与す
るプラズマがより高密度となり、表面処理の速度が向上
する。
【0187】かかるカソード電極35及びアノード電極
36が円筒体からなる装置は、感光ドラムのような円筒
形状の基板に表面処理を施す際に有用である。或いは、
円筒の一部の曲面を利用することにより、帯状フィルム
部材からなる基板にロール・ツー・ロールで連続的に成
膜やエッチングなどの表面処理を施す場合に、装置スペ
ースの低減が可能となるため、好ましい。
【0188】また、各プラズマ発生電極を上述した図2
7及び図28に示すような断面形態をもつ球形状とする
こともでき、或いは、図29及び図30に示す本発明の
第13及び第14実施例による表面処理装置43,44
のように、各プラズマ発生電極35,36を断面が半円
形状の筒体や半球体など曲面の一部となる形状とするこ
ともできる。このようにプラズマ発生電極を球形状や半
球形状とし、或いは一部を曲面とすることにより、球面
半導体のような特殊な形状の基板にも均一な表面処理を
施すことが可能になる。
【0189】更には、図31及び図32に示す本発明の
第15及び第16実施例による表面処理装置45,46
のように、プラズマ発生電極35,36を断面が正方形
の筒体とすることもできる。或いは断面が多角形状の筒
体や多面体形状とすることもできる。このようにプラズ
マ発生電極35,36を角形状とすることにより、装置
スペースの低減が可能となる。また、それら多様な形状
のプラズマ発生電極35,36を空洞体から構成し、互
いの電極との対向面に貫通孔を形成してその貫通孔でホ
ロー放電を発生させ、更には、空洞内部の少なくとも一
部でホロー放電を発生させて、プラズマの高密度化を図
ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である表面処理装置の概略
図である。
【図2】上記装置の変形例によるガス供給口の配置例を
示す概略図である。
【図3】本発明の第2実施例である表面処理装置の概略
図である。
【図4】カソード電極に対する磁石の他の配置態様を示
す概略図である。
【図5】本発明の第3実施例である表面処理装置の概略
図である。
【図6】本発明の第4実施例である表面処理装置の概略
図である。
【図7】空洞状のカソード電極に対する磁石の他の配置
態様を示す概略図である。
【図8】空洞状のカソード電極に対する磁石の更に他の
配置態様を示す概略図である。
【図9】上記第3及び第4実施例の装置の変形例による
カソード電極の概略図である。
【図10】上記変形例でのガス供給口の配置例を示す概
略図である。
【図11】本発明の第5実施例である表面処理装置の概
略図である。
【図12】本発明の第6実施例である表面処理装置の概
略図である。
【図13】空洞状のカソード電極の他の態様を示す概略
図である。
【図14】本発明の第7実施例である表面処理装置の概
略図である。
【図15】本発明の第8実施例である表面処理装置の概
略図である。
【図16】本発明の他の実施例による表面処理装置にお
けるカソード電極部分の概略図である。
【図17】本発明の更に他の実施例による表面処理装置
におけるカソード電極部分の概略図である。
【図18】本発明の第9実施例である表面処理装置の概
略図である。
【図19】上記第9実施例におけるアノード電極の変形
例を示す概略図である。
【図20】上記第9実施例におけるアノード電極の他の
変形例を示す概略図である。
【図21】上記第9実施例の第1変形例である表面処理
装置の概略図である。
【図22】上記第9実施例の第2変形例である表面処理
装置の概略図である。
【図23】上記第9実施例の第3変形例である表面処理
装置の概略図である。
【図24】本発明の第10実施例である表面処理装置の
概略図である。
【図25】上記第10実施例におけるアノード電極の変
形例を示す概略図である。
【図26】本発明の各種貫通孔における好適な変形態様
を示す概略図である。
【図27】本発明の第11実施例による表面処理装置の
水平方向の概略断面図である。
【図28】本発明の第12実施例による表面処理装置の
水平方向の概略断面図である。
【図29】本発明の第13実施例による表面処理装置の
水平方向の概略断面図である。
【図30】本発明の第14実施例による表面処理装置の
水平方向の概略断面図である。
【図31】本発明の第15実施例による表面処理装置の
水平方向の概略断面図である。
【図32】本発明の第16実施例による表面処理装置の
水平方向の概略断面図である。
【図33】多数の貫通孔又は凹部の配置例を示す図であ
る。
【図34】多数の貫通孔又は凹部の他の配置例を示す図
である。
【図35】多数の貫通孔又は凹部の更に他の配置例を示
す図である。
【図36】多数の貫通孔又は凹部の更に他の配置例を示
す図である。
【図37】渦巻き状の貫通孔又は凹部の説明図である。
【符号の説明】
1,20〜30,40〜46 表面処理装置 2 ケーシング 2a 上壁 2b 周壁 3 プラズマ発生室 4 基板処理室 5 カソード電極 5a 凹部 6 アノード電極 7 プラズマ吹出口 8 ガス供給口 9 基板支持台 10 磁石 11 カソード電極 11a 下壁部 11b 貫通孔 11c 上壁部 11d ガス供給口 11e 隔壁 12 ノズル体 13 他の電極 13a 小孔 14 アノード電極 14a 空洞体 14b 上壁部 14c 下壁部 14d 貫通孔 15 カソード電極 15a 下壁部 15b 貫通孔 15c 上壁部 15d 貫通孔 15e 仕切り壁 16 カソード電極 16a 中空電極部材 16b 連結口 17 アノード電極 17a 上壁部 17b 貫通孔 17c 下壁部 17d 排気口 18 プレート状の絶縁体 18a リング状の絶縁体 18b リング状の絶縁体 19 プレート状の他の電極 19a リング状の他の電極 19b リング状の他の電極 19c 円筒ノズル状の他の電極 32 ケーシング 33 プラズマ発生室 34 基板処理室 35 カソード電極 35a 凹部 36 アノード電極 37 プラズマ吹出口 39 基板支持台 S 基板 P 高周波電源
フロントページの続き (72)発明者 水上 裕之 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究本部内 (72)発明者 高尻 雅之 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所研究本部内 Fターム(参考) 4K030 AA06 AA17 BA29 BB04 EA06 FA01 FA03 HA06 JA03 KA08 KA12 KA30 KA34 LA16 4K057 DA16 DB02 DB06 DD01 DK03 DM04 DM08 DM40 DN02 5F004 BA06 BB13 BD01 BD04 5F045 AA08 AB03 AB04 AC01 AD05 AD06 AD07 AD08 AD09 CA13 DP03 EB02 EF01 EH04 EH05 EH13

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及
    び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発
    生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ
    化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズ
    マ処理する表面処理装置であって、 前記ケーシングは、前記プラズマ発生手段を備えたプラ
    ズマ発生室と前記基板支持台を備えた基板処理室との二
    室に画成され、 前記基板処理室と前記プラズマ発生室とが一以上のプラ
    ズマ吹出口を介して連通されてなり、 少なくとも一の前記プラズマ吹出口がホロー放電の発生
    域とされてなることを特徴とする表面処理装置。
  2. 【請求項2】 プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及
    び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発
    生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ
    化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズ
    マ処理する表面処理装置であって、 前記ケーシングは、前記プラズマ発生手段を備えたプラ
    ズマ発生室と前記基板支持台を備えた基板処理室との二
    室に画成され、 前記基板処理室と前記プラズマ発生室とが一以上のプラ
    ズマ吹出口を介して連通されてなり、 前記プラズマ発生室には一以上のホロー放電発生域を有
    するホロープラズマ発生電極が配されてなることを特徴
    とする表面処理装置。
  3. 【請求項3】 プラズマ発生手段、原料ガス導入口、及
    び基板支持台を備えたケーシング内に、前記プラズマ発
    生手段によりプラズマを発生させて原料ガスをプラズマ
    化し、前記基板支持台上に載置された基板表面をプラズ
    マ処理する表面処理装置であって、 前記ケーシングは、前記プラズマ発生手段を備えたプラ
    ズマ発生室と前記基板支持台を備えた基板処理室との二
    室に画成され、 前記基板処理室と前記プラズマ発生室とが一以上のプラ
    ズマ吹出口を介して連通されてなり、 少なくとも一の前記プラズマ吹出口がホロー放電の発生
    域とされてなり、 前記プラズマ発生室には一以上のホロー放電発生域を有
    するホロープラズマ発生電極が配されてなることを特徴
    とする表面処理装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも一の前記プラズマ吹出口にお
    ける最小部分の開口幅W(1) は、W(1) ≦5L(e) 又は
    W(1) ≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定されて
    なる請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理装置。 但し、L(e) :所望のプラズマ発生条件下において、原
    料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原
    子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は
    分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程 X :所望のプラズマ発生条件下において発生するシ
    ース層の厚み
  5. 【請求項5】 前記ホロープラズマ発生電極は、プラズ
    マ発生手段により発生したプラズマとの対向面に一以上
    の凹部を有してなり、少なくとも一の前記凹部が前記ホ
    ロー放電発生域とされてなる請求項2又は3記載の表面
    処理装置。
  6. 【請求項6】 前記ホロープラズマ発生電極は空洞体で
    あって、同電極はプラズマ発生手段により発生したプラ
    ズマとの対向部分に空洞内部に連通する1以上の貫通孔
    を有してなり、少なくとも一の前記貫通孔が前記ホロー
    放電発生域とされてなる請求項2又は3記載の表面処理
    装置。
  7. 【請求項7】 前記凹部又は前記貫通孔における最小部
    分の開口幅W(2) は、W(2) ≦5L(e) 又はW(2) ≦2
    0Xのいずれかを満足する範囲に設定されてなる請求項
    5又は6記載の表面処理装置。 但し、L(e) :所望のプラズマ発生条件下において、原
    料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原
    子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は
    分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程 X :所望のプラズマ発生条件下において発生するシ
    ース層の厚み
  8. 【請求項8】 前記ホロープラズマ発生電極は空洞体で
    あって、同電極はプラズマ発生手段により発生したプラ
    ズマとの対向部分に空洞内部に連通する1以上の貫通孔
    を有してなり、空洞内部の少なくとも一部がホロー放電
    の発生域とされてなる請求項2、3又は6記載の表面処
    理装置。
  9. 【請求項9】 前記ホロープラズマ発生電極の前記貫通
    孔の形成方向に沿った空洞内部の対面距離Hは、H≦5
    L(e) 又はH≦20Xのいずれかを満足する範囲に設定
    されてなる請求項8記載の表面処理装置。 但し、L(e) :所望のプラズマ発生条件下において、原
    料ガス種及びそこから分解発生する電気的に中性の原
    子、分子種(活性種)のうち最も直径の小さな原子又は
    分子種(活性種)に対する電子の平均自由行程 X :所望のプラズマ発生条件下において発生するシ
    ース層の厚み
  10. 【請求項10】前記プラズマ吹出口の近傍、及び/又は
    凹部、貫通孔の近傍、及び/又は前記空洞内部に磁場が
    形成されてなる請求項1〜9のいずれかに記載の表面処
    理装置。
  11. 【請求項11】前記基板に所望の電位を印加するための
    電位印加手段を備えてなる請求項 1〜10のいずれかに
    記載の表面処理装置。
JP2000066106A 1999-12-07 2000-03-10 表面処理装置 Expired - Fee Related JP4212210B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000066106A JP4212210B2 (ja) 1999-12-07 2000-03-10 表面処理装置
DE10060002.6A DE10060002B4 (de) 1999-12-07 2000-12-02 Vorrichtung zur Oberflächenbehandlung
US09/730,813 US20010006093A1 (en) 1999-12-07 2000-12-06 Surface treatment apparatus
FR0015934A FR2801813A1 (fr) 1999-12-07 2000-12-07 Dispositif de traitement de surface par plasma, en particulier pour former un film sur un substrat
US10/264,504 US20030106643A1 (en) 1999-12-07 2002-10-04 Surface treatment apparatus
US11/046,273 US20050126487A1 (en) 1999-12-07 2005-01-28 Surface treatment apparatus
US14/721,772 US20150332893A1 (en) 1999-12-07 2015-05-26 Surface Treatment Apparatus

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-347108 1999-12-07
JP34710899 1999-12-07
JP2000066106A JP4212210B2 (ja) 1999-12-07 2000-03-10 表面処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001226775A true JP2001226775A (ja) 2001-08-21
JP4212210B2 JP4212210B2 (ja) 2009-01-21

Family

ID=26578425

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000066106A Expired - Fee Related JP4212210B2 (ja) 1999-12-07 2000-03-10 表面処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4212210B2 (ja)

Cited By (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004107825A1 (ja) * 2003-05-30 2004-12-09 Tokyo Electron Limited プラズマ源及びプラズマ処理装置
JP2004356558A (ja) * 2003-05-30 2004-12-16 Toshio Goto コーティング装置およびコーティング方法
JP2008181704A (ja) * 2007-01-23 2008-08-07 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 高密度プラズマ処理装置
JP2008274385A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Toppan Printing Co Ltd 真空成膜装置、および高分子フィルム積層体の製造方法、ならびに高分子フィルム積層体
JP2008540821A (ja) * 2005-05-04 2008-11-20 エーリコン・トレイディング・アーゲー・トリューバッハ プラズマ処理プラント用プラズマ増幅器
US7649316B2 (en) * 2007-07-13 2010-01-19 Micron Technology, Inc. Assemblies for plasma-enhanced treatment of substrates
JP2010021140A (ja) * 2008-07-11 2010-01-28 Psk Inc ホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置
JP2010518555A (ja) * 2007-02-02 2010-05-27 バンクォン カン 均一な常圧プラズマ発生装置
JP2010157483A (ja) * 2009-01-05 2010-07-15 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd プラズマ発生装置
KR101010130B1 (ko) 2003-12-15 2011-01-24 주식회사 하이닉스반도체 전자빔 큐어링 장비
JP2011124153A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Denso Corp プラズマ発生装置
US20120237696A1 (en) * 2011-03-18 2012-09-20 Axcelis Technologies, Inc. Fluid distribution members and/or assemblies
JP2013520836A (ja) * 2010-02-26 2013-06-06 ラム リサーチ コーポレーション イオン発生と処理ガスの解離の独立制御を有するプラズマエッチングのためのシステム、方法、および装置
US8574445B2 (en) 2008-07-29 2013-11-05 Psk Inc. Method for generating hollow cathode plasma and method for treating large area substrate using hollow cathode plasma
KR20130133628A (ko) * 2012-05-29 2013-12-09 주성엔지니어링(주) 기판 처리 장치 및 기판 처리 방법
JP2015156376A (ja) * 2007-02-15 2015-08-27 アッシュ・ウー・エフ 真空筐体内においてコールドプラズマを生成する装置及び熱化学処理に対する該装置の使用
US9155181B2 (en) 2010-08-06 2015-10-06 Lam Research Corporation Distributed multi-zone plasma source systems, methods and apparatus
US9177762B2 (en) 2011-11-16 2015-11-03 Lam Research Corporation System, method and apparatus of a wedge-shaped parallel plate plasma reactor for substrate processing
JP2016085963A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 セメコン アーゲー 放電を発生させるための装置及び方法
US9449793B2 (en) 2010-08-06 2016-09-20 Lam Research Corporation Systems, methods and apparatus for choked flow element extraction
JP2017120781A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 芝浦メカトロニクス株式会社 プラズマ処理装置
US9911578B2 (en) 2009-12-03 2018-03-06 Lam Research Corporation Small plasma chamber systems and methods
JP2018037668A (ja) * 2011-09-07 2018-03-08 ラム リサーチ コーポレーションLam Research Corporation デュアルチャンバ構成のパルスプラズマチャンバ
US9967965B2 (en) 2010-08-06 2018-05-08 Lam Research Corporation Distributed, concentric multi-zone plasma source systems, methods and apparatus
US10283325B2 (en) 2012-10-10 2019-05-07 Lam Research Corporation Distributed multi-zone plasma source systems, methods and apparatus
US10504701B2 (en) 2012-05-29 2019-12-10 Jusung Engineering Co., Ltd. Substrate processing device and substrate processing method
CN114829671A (zh) * 2019-12-18 2022-07-29 应用材料股份有限公司 用于各向异性沉积薄膜的带状射束等离子体增强化学气相沉积系统

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6511813B2 (ja) * 2013-11-22 2019-05-15 東レ株式会社 プラズマ処理電極およびcvd電極

Cited By (39)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004356558A (ja) * 2003-05-30 2004-12-16 Toshio Goto コーティング装置およびコーティング方法
US7632379B2 (en) 2003-05-30 2009-12-15 Toshio Goto Plasma source and plasma processing apparatus
WO2004107825A1 (ja) * 2003-05-30 2004-12-09 Tokyo Electron Limited プラズマ源及びプラズマ処理装置
KR101010130B1 (ko) 2003-12-15 2011-01-24 주식회사 하이닉스반도체 전자빔 큐어링 장비
JP2008540821A (ja) * 2005-05-04 2008-11-20 エーリコン・トレイディング・アーゲー・トリューバッハ プラズマ処理プラント用プラズマ増幅器
JP2008181704A (ja) * 2007-01-23 2008-08-07 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 高密度プラズマ処理装置
JP2010518555A (ja) * 2007-02-02 2010-05-27 バンクォン カン 均一な常圧プラズマ発生装置
JP2015156376A (ja) * 2007-02-15 2015-08-27 アッシュ・ウー・エフ 真空筐体内においてコールドプラズマを生成する装置及び熱化学処理に対する該装置の使用
JP2008274385A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Toppan Printing Co Ltd 真空成膜装置、および高分子フィルム積層体の製造方法、ならびに高分子フィルム積層体
US7649316B2 (en) * 2007-07-13 2010-01-19 Micron Technology, Inc. Assemblies for plasma-enhanced treatment of substrates
US8674602B2 (en) 2007-07-13 2014-03-18 Micron Technology, Inc. Plasma-generating structures and display devices
US8274221B2 (en) 2007-07-13 2012-09-25 Micron Technology, Inc. Plasma-generating structures, display devices, and methods of forming plasma-generating structures
US8033884B2 (en) 2007-07-13 2011-10-11 Micron Technology, Inc. Methods of forming plasma-generating structures; methods of plasma-assisted etching, and methods of plasma-assisted deposition
JP2010021140A (ja) * 2008-07-11 2010-01-28 Psk Inc ホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置
US8574445B2 (en) 2008-07-29 2013-11-05 Psk Inc. Method for generating hollow cathode plasma and method for treating large area substrate using hollow cathode plasma
JP2010157483A (ja) * 2009-01-05 2010-07-15 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd プラズマ発生装置
US9911578B2 (en) 2009-12-03 2018-03-06 Lam Research Corporation Small plasma chamber systems and methods
JP2011124153A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Denso Corp プラズマ発生装置
US9190289B2 (en) 2010-02-26 2015-11-17 Lam Research Corporation System, method and apparatus for plasma etch having independent control of ion generation and dissociation of process gas
US9735020B2 (en) 2010-02-26 2017-08-15 Lam Research Corporation System, method and apparatus for plasma etch having independent control of ion generation and dissociation of process gas
JP2013520836A (ja) * 2010-02-26 2013-06-06 ラム リサーチ コーポレーション イオン発生と処理ガスの解離の独立制御を有するプラズマエッチングのためのシステム、方法、および装置
KR101765360B1 (ko) * 2010-02-26 2017-08-07 램 리써치 코포레이션 프로세스 가스의 이온 생성 및 해리의 독립적인 제어를 갖는 플라즈마 에칭을 위한 시스템, 방법 및 장치
US9155181B2 (en) 2010-08-06 2015-10-06 Lam Research Corporation Distributed multi-zone plasma source systems, methods and apparatus
US9967965B2 (en) 2010-08-06 2018-05-08 Lam Research Corporation Distributed, concentric multi-zone plasma source systems, methods and apparatus
US9449793B2 (en) 2010-08-06 2016-09-20 Lam Research Corporation Systems, methods and apparatus for choked flow element extraction
US20120237696A1 (en) * 2011-03-18 2012-09-20 Axcelis Technologies, Inc. Fluid distribution members and/or assemblies
US9129778B2 (en) * 2011-03-18 2015-09-08 Lam Research Corporation Fluid distribution members and/or assemblies
WO2012128821A1 (en) * 2011-03-18 2012-09-27 Axcelis Technologies, Inc. Fluid distribution members and/or assemblies
JP2018037668A (ja) * 2011-09-07 2018-03-08 ラム リサーチ コーポレーションLam Research Corporation デュアルチャンバ構成のパルスプラズマチャンバ
US9177762B2 (en) 2011-11-16 2015-11-03 Lam Research Corporation System, method and apparatus of a wedge-shaped parallel plate plasma reactor for substrate processing
KR20130133628A (ko) * 2012-05-29 2013-12-09 주성엔지니어링(주) 기판 처리 장치 및 기판 처리 방법
KR102029952B1 (ko) * 2012-05-29 2019-10-08 주성엔지니어링(주) 기판 처리 장치 및 기판 처리 방법
US10504701B2 (en) 2012-05-29 2019-12-10 Jusung Engineering Co., Ltd. Substrate processing device and substrate processing method
US10283325B2 (en) 2012-10-10 2019-05-07 Lam Research Corporation Distributed multi-zone plasma source systems, methods and apparatus
JP2016085963A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 セメコン アーゲー 放電を発生させるための装置及び方法
JP2017120781A (ja) * 2015-12-28 2017-07-06 芝浦メカトロニクス株式会社 プラズマ処理装置
CN114829671A (zh) * 2019-12-18 2022-07-29 应用材料股份有限公司 用于各向异性沉积薄膜的带状射束等离子体增强化学气相沉积系统
JP2023507112A (ja) * 2019-12-18 2023-02-21 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 薄膜の異方性堆積のためのリボンビームプラズマ化学気相堆積システム
JP7547483B2 (ja) 2019-12-18 2024-09-09 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 薄膜の異方性堆積のためのリボンビームプラズマ化学気相堆積システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP4212210B2 (ja) 2009-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001226775A (ja) 表面処理装置
US20150332893A1 (en) Surface Treatment Apparatus
CN111492469B (zh) 多区气体分配系统及方法
JP4212215B2 (ja) 表面処理装置
KR100536534B1 (ko) 박막 장치 제작방법
US20080230008A1 (en) Plasma species and uniformity control through pulsed vhf operation
US20100024729A1 (en) Methods and apparatuses for uniform plasma generation and uniform thin film deposition
US6380684B1 (en) Plasma generating apparatus and semiconductor manufacturing method
WO2005076336A1 (ja) 半導体装置の製造方法および絶縁膜のエッチング方法
US20130192759A1 (en) Plasma processing device
TWI523971B (zh) 自由基氣體產生系統
US20200251331A1 (en) Argon addition to remote plasma oxidation
JP2009123929A (ja) プラズマ処理装置
KR20110110056A (ko) 플라즈마 처리 방법 및 플라즈마 처리 장치
JP2003243378A (ja) 解離及びイオン化の空間的制御のためのプラズマ処理装置
CN101971292A (zh) 等离子体cvd用阴电极和等离子体cvd装置
US20160086773A1 (en) Plasma processing apparatus
JP2003243365A (ja) プラズマエッチング方法
JP2004353066A (ja) プラズマ源およびプラズマ処理装置
JPH11293469A (ja) 表面処理装置および表面処理方法
US20060276055A1 (en) Method of forming an oxygen- or nitrogen-terminated silicon nanocrystalline structure and an oxygen- or nitrogen-terminated silicon nanocrystalline structure formed by the method
JP2012054377A (ja) プラズマcvd装置
TWI809958B (zh) 半導體處理腔室適配器
JP2000054145A (ja) 表面処理装置
JP2008211243A (ja) プラズマ処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080808

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080812

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081008

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081028

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081028

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111107

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111107

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121107

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131107

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees