JP2001225733A - 車輌の走行制御装置 - Google Patents

車輌の走行制御装置

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JP2001225733A
JP2001225733A JP2000038340A JP2000038340A JP2001225733A JP 2001225733 A JP2001225733 A JP 2001225733A JP 2000038340 A JP2000038340 A JP 2000038340A JP 2000038340 A JP2000038340 A JP 2000038340A JP 2001225733 A JP2001225733 A JP 2001225733A
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Japan
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vehicle
turning
steering angle
wheel
yaw moment
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JP2000038340A
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English (en)
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Rei Eiraku
玲 永楽
Yoshikazu Hattori
義和 服部
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過渡旋回後の定常走行移行時に於ける車輌の
挙動悪化を招来することなく車輌の旋回性能を向上させ
る。 【解決手段】 操舵角δの変化に伴う車輌のヨーレート
γの応答性が実際の車輌よりも高く且つ過渡旋回終了後
に於けるヨーレートのオーバーシュートが実際の車輌よ
りも小さい車輌モデルと操舵角δ及び車速Vとに基づき
車輌の目標ヨーモーメントmが演算され(S30)、目
標ヨーモーメントに基づき各車輪の制動力が制御される
ことにより目標ヨーモーメントに相当するヨーモーメン
トが車輌に与えられ、これにより車輌の過渡旋回応答性
が向上されると共に過渡旋回後の定常走行移行時に於け
るヨーレートのオーバーシュートが防止される(S40
〜90)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輌の走行制御装
置に係り、更に詳細には車輌の旋回性能を向上させる走
行制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車輌の走行制御装置の一つと
して、例えば特開平1−208255号公報に記載され
ている如く、車輌の旋回挙動を所望の挙動にすべく、操
舵角に基づき操舵角速度を演算し、操舵角速度に基づき
旋回内側後輪に制動力を与えるよう構成された走行制御
装置が従来より知られている。
【0003】かかる走行制御装置によれば、車輌の過渡
旋回時に旋回内側後輪に制動力が与えられ、これにより
車輌に旋回補助方向のヨーモーメントが付与されるの
で、操舵角速度に基づく制動力の制御が行われない場合
に比して、車輌の過渡旋回性能を向上させることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、車輌の実際の
旋回挙動は操舵角の変化に対し時間的に遅れ、また制動
力の制御指令に対し実際の車輪制動力の変化も時間的に
遅れる。そのため上述の如き従来の走行制御装置に於い
ては、特に過渡旋回後の定常走行移行時に車輌のヨーレ
ートがオーバーシュートし、これに起因して過渡旋回後
の定常走行移行時に於ける車輌の挙動が不安定になり易
いという問題がある。またかかる問題を低減すべく操舵
角速度に対する制御ゲインを低く設定すると、車輌の過
渡旋回性能を効果的に向上させることができなくなる。
【0005】本発明は、車輌の操舵操作に関する上述の
如き問題及び操舵角速度に基づき旋回内側後輪に制動力
を与えるよう構成された従来の走行制御装置に於ける上
述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主
要な課題は、操舵角の変化に伴う車輌の旋回挙動を示す
パラメータの応答性が実際の車輌よりも高い車輌モデル
を利用して各車輪の制動力を制御することにより、過渡
旋回後の定常走行移行時に於ける車輌の挙動悪化を招来
することなく車輌の旋回性能を向上させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の主要な課題は、本
発明によれば、請求項1の構成、即ち操舵角を検出する
手段と、操舵角の変化に伴う車輌の旋回挙動を示すパラ
メータの応答性が実際の車輌よりも高い車輌モデルと、
少なくとも操舵角及び前記車輌モデルに基づき車輌の目
標ヨーモーメントを演算する手段と、前記目標ヨーモー
メントに基づき各車輪の制動力を制御する手段とを有す
ることを特徴とする車輌の走行制御装置によって達成さ
れる。
【0007】上記請求項1の構成によれば、走行制御装
置は操舵角の変化に伴う車輌の旋回挙動を示すパラメー
タの応答性が実際の車輌よりも高い車輌モデルを有し、
少なくとも操舵角及び車輌モデルに基づき車輌の目標ヨ
ーモーメントが演算され、目標ヨーモーメントに基づき
各車輪の制動力が制御されるので、過渡旋回時に於ける
操舵角の変化に対する車輌の旋回応答性が向上すること
によって車輌の旋回性能が向上し、また旋回応答性が向
上することにより、高い制御ゲインにて操舵角速度に基
づき車輌にヨーモーメントが付与される場合に比して過
渡旋回終了後に於ける旋回挙動のオーバーシュートが小
さくなる。
【0008】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前
記車輌モデルは操舵角の変化に伴う車輌の旋回挙動を示
すパラメータの過渡旋回終了後に於けるオーバーシュー
トが実際の車輌よりも小さい車輌モデルであるよう構成
される(請求項2の構成)。
【0009】上記請求項2の構成によれば、車輌モデル
は操舵角の変化に伴う車輌の旋回挙動を示すパラメータ
の過渡旋回終了後に於けるオーバーシュートが実際の車
輌よりも小さい車輌モデルであるので、過渡旋回終了後
に於ける旋回挙動のオーバーシュートが実際の車輌より
も小さくなり、これにより過渡旋回後の定常走行移行時
に於ける車輌の挙動が安定化される。
【0010】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於い
て、前記目標ヨーモーメントは車輌の旋回挙動を示すパ
ラメータが前記車輌モデルの旋回挙動を示すパラメータ
に一致するヨーモーメントであるよう構成される(請求
項3の構成)。
【0011】上記請求項3の構成によれば、目標ヨーモ
ーメントは車輌の旋回挙動を示すパラメータが車輌モデ
ルの旋回挙動を示すパラメータに一致するヨーモーメン
トであるので、車輌の旋回挙動が確実に車輌モデルの旋
回挙動に一致するよう各車輪の制動力が制御される。
【0012】
【課題解決手段の好ましい態様】本発明の一つの好まし
い態様によれば、上記請求項1乃至3の何れかの構成に
於いて、車輌の旋回挙動を示すパラメータはヨーレート
であるよう構成される(好ましい態様1)。
【0013】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、車輌モデルは操舵に
伴う車輌の旋回挙動を示すパラメータの過渡旋回終了後
に於けるオーバーシュートが実質的に零の車輌モデルで
あるよう構成される(好ましい態様2)。
【0014】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1乃至3の何れかの構成に於いて、各車
輪の制動力を制御する手段は目標ヨーモーメントに基づ
き車輌に目標ヨーモーメントに相当するヨーモーメント
を付与するための各車輪の目標制動制御量を演算し、目
標制動制御量に基づき各車輪の制動力を制御するよう構
成される(好ましい態様3)。
【0015】次に本発明の走行制御装置に於ける目標ヨ
ーモーメントの好ましい演算態様について説明する。一
般に、操舵角δ及びヨーモーメントmよりヨーレートγ
への伝達関数は下記の式(1)により表わされる。 γ=Gδ(s)δ+Gm(s)m ……(1)
【0016】ここにラプラス演算子sの関数である上記
δ(s)及びGm(s)はそれぞれ下記の式(2)及び
(3)により表され、これらの式に於けるΔ(s)は下記
の式(4)により表される。
【0017】
【数1】
【0018】尚これらの式に於いて、Lは車輌のホイー
ルベースであり、Lf及びLrはそれぞれ車体の重心より
前輪車軸及び後輪車軸までの距離であり、Cf及びCrは
それぞれ前輪及び後輪のコーナリングパワーであり、M
は車輌の質量であり、Izは鉛直軸周りの車輌の慣性モ
ーメントであり、Vは車輌の前後速度(車速)である。
【0019】ヨーレートは操舵角の変化に伴う車輌の旋
回挙動を示すパラメータの一つであり、操舵角の変化に
伴う車輌の旋回挙動を示すヨーレートの応答性が実際の
車輌よりも高い車輌モデル(例えば慣性モーメントIz
が実際の車輌よりも小さいIz′である車輌モデル)を
想定すると、その車輌モデルについての操舵角δよりヨ
ーレートγ′への伝達関数は下記の式(5)により表さ
れ、式(5)のGδ(s)′は下記の式(6)及び(7)
により表される。 γ=Gδ(s)′δ ……(5)
【0020】
【数2】
【0021】車輌の過渡旋回時に於ける旋回応答性を向
上させるためには、上記式(1)のヨーレートγが上記
式(5)のヨーレートγ′と一致しなければならず、目
標ヨーモーメントmはγ=γ′を満たすヨーモーメント
として下記の式(8)により求められる。
【0022】
【数3】
【0023】従って本発明の他の一つの好ましい態様に
よれば、上記請求項3の構成に於いて、走行制御装置は
車速Vを検出する手段を有し、目標ヨーモーメントmは
操舵角δ及び車速Vに基づき上記式(8)に従って演算
されるよう構成される(好ましい態様4)。尚式(8)
の但し書の式は定常旋回中に不必要な制動力が発生する
ことを防止するものである。
【0024】また本発明の他の一つの好ましい態様によ
れば、上記請求項1の構成に於いて、車輌モデルは慣性
モーメントが実際の車輌の慣性モーメントよりも小さい
車輌モデルであるよう構成される(好ましい態様5)。
【0025】また本発明の他の一つの好ましい態様によ
れば、上記請求項2の構成に於いて、車輌モデルは後輪
のコーナリングパワーが実際の車輌の後輪のコーナリン
グパワーよりも大きい車輌モデルであるよう構成される
(好ましい態様6)。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0027】図1は本発明による車輌の走行制御装置の
一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【0028】図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ
車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれ
ぞれ車輌の駆動輪である左右の後輪を示している。従動
輪であり操舵輪でもある左右の前輪10FL及び10FRは
運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答し
て駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステ
アリング装置16によりタイロッド18L及び18Rを介
して操舵される。
【0029】各車輪の制動力は制動装置20の油圧回路
22によりホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、
24RLの制動圧が制御されることによって制御されるよ
うになっている。図には示されていないが、油圧回路2
2はリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、
各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者による
ブレーキペダル26の踏み込み操作に応じて駆動される
マスタシリンダ28により制御され、また必要に応じて
後に詳細に説明する如く電気式制御装置30により制御
される。
【0030】車輪10FR〜10RLにはそれぞれ車輪速度
Vwi(i=fr、fl、rr、rl)を検出する車輪速度センサ
32FR、32FL、32RR、32RLが設けられ、ステアリ
ングホイール14が連結されたステアリングコラムには
操舵角δを検出する操舵角センサ34が設けられ、マス
タシリンダ28内の圧力をマスタシリンダ圧力Pmとし
て検出する圧力センサ36が設けられている。尚操舵角
センサ34は車輌の左旋回方向を正として操舵角を検出
する。
【0031】図示の如く、車輪速度センサ32FR〜32
RLにより検出された車輪速度Vwiを示す信号、操舵角セ
ンサ34により検出された操舵角δ及び圧力センサ36
により検出されたマスタシリンダ圧力Pmを示す信号は
電気式制御装置30に入力される。尚図には詳細に示さ
れていないが、電気式制御装置30は例えばCPUとR
OMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双
方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構
成のマイクロコンピュータを含んでいる。
【0032】電気式制御装置30は、後述の如く図2に
示されたフローチャートに従い、車輪速度Vwiに基づい
て車速Vを演算し、操舵角δ、車速V及び車輌モデルに
基づき車輌の目標ヨーモーメントmを演算し、車輌の目
標ヨーモーメントmを与えるための各車輪の目標スリッ
プ率Sai(i=fr、fl、rr、rl)を演算し、マスタシリ
ンダ圧力Pmに基づく目標スリップ率Sbi(i=fr、f
l、rr、rl)を演算し、これらの目標スリップ率に基づ
き最終目標スリップ率Si(i=fr、fl、rr、rl)を演
算し、各車輪のスリップ率が最終目標スリップ率Siに
なるよう各車輪の制動力を制御する。
【0033】尚この実施形態に於ける車輌モデルは、上
記式(6)に於ける慣性モーメントIz′が上記式(2)〜
(4)に於ける慣性モーメントIzよりも小さく設定さ
れることにより、過渡旋回時に於ける操舵角の変化に対
するヨーレートの応答が実際の車輌よりも高く、また上
記式(4)の第2項が大きくされることにより、若しく
は上記式(6)に於ける後輪のコーナリングパワーCrが
上記式(2)〜(4)に於ける後輪のコーナリングパワー
Crよりも大きく設定されることにより、過渡旋回終了
後に於けるヨーレートのオーバーシュートが実際の車輌
よりも小さい車輌モデルである。
【0034】次に図2に示されたフローチャートを参照
して図示の実施形態に於ける車輌の走行制御について説
明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御は
図には示されていないイグニッションスイッチの閉成に
より開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0035】まずステップ10に於いては車輪速度Vwi
を示す信号等の読み込みが行われ、ステップ20に於い
ては車輪速度Vwiに基づいて当技術分野に於いて公知の
要領にて車速Vが演算され、ステップ30に於いては操
舵角δ及び車速Vに基づき上記式(8)に従って車輌の
旋回性能を向上させるための目標ヨーモーメントmが演
算される。
【0036】ステップ40に於いては、目標ヨーモーメ
ントmが正であるか否かの判別、即ち車輌に与えられる
べきヨーモーメントが左旋回方向であるか否かの判別が
行われ、肯定判別が行われたときにはステップ50に於
いてKsf及びKsrをそれぞれ前輪及び後輪についての係
数(正の定数)として下記の式(9)に従って目標ヨー
モーメントmに基づき各車輪の目標スリップ率Sai(i
=fr、fl、rr、rl)が演算され、否定判別が行われたと
きにはステップ60に於いて下記の式(10)に従って
目標ヨーモーメントmに基づき各車輪の目標スリップ率
Sai(i=fr、fl、rr、rl)が演算される。
【0037】 Safl=Ksfm Safr=0 Sarl=Ksrm Sarr=0 ……(9) Safl=0 Safr=Ksfm Sarl=0 Sarr=Ksrm ……(10)
【0038】ステップ70に於いてはKbf及びKbrをそ
れぞれ前輪及び後輪についての係数(正の定数)として
下記の式(11)に従ってマスタシリンダ圧力Pmに基
づく目標スリップ率Sbi(i=fr、fl、rr、rl)が演算
される。
【0039】Sbfl=Sbfr=KbfPm Sbrl=Sbrr=KbrPm ……(11)
【0040】ステップ80に於いてはそれぞれ目標スリ
ップ率Saiと目標スリップ率Sbiとの和として最終目標
スリップ率Si(i=fr、fl、rr、rl)が演算され、ス
テップ90に於いては各車輪のスリップ率が最終目標ス
リップ率Siになるよう各車輪の制動力が制御され、こ
れにより目標ヨーモーメントmに相当するヨーモーメン
トが車輌に与えられる。
【0041】かくして図示の実施形態によれば、ステッ
プ30に於いて操舵角δ、車速V及び車輌モデルに基づ
き上記式(8)に従って車輌の挙動を車輌モデルの挙動
にするための車輌の目標ヨーモーメントmが演算され、
ステップ40〜70に於いて目標ヨーモーメントmに相
当するヨーモーメントが車輌に与えられるよう各車輪の
制動力が制御される。
【0042】従って図示の実施形態によれば、過渡旋回
時に於ける操舵角δの変化に対するヨーレートの応答が
実際の車輌よりも高く、また車輌モデルの過渡旋回終了
後に於けるヨーレートγのオーバーシュートが実際の車
輌よりも小さい車輌モデル及び操舵角δ、車速Vに基づ
いて目標ヨーモーメントmが演算され、その目標ヨーモ
ーメントmに相当するヨーモーメントが車輌に与えられ
るので、車輌の過渡旋回時に於ける車輌の旋回応答性を
向上させることができ、また過渡旋回終了後に於けるヨ
ーレートのオーバーシュートを実際の車輌よりも低減
し、これにより車輌の挙動を車輌モデルの挙動と実質的
に同一の挙動に制御して安定化させることができる。
【0043】また操舵角速度に基づき旋回内輪の制動力
が制御される場合には、過渡旋回応答性を向上させるべ
く制御ゲインが高く設定されると、過渡旋回終了後に於
けるヨーレートのオーバーシュートが生じ易くなり、車
輌の旋回時の安定性が悪化し易い。
【0044】これに対し図示の実施形態によれば、操舵
角速度に基づき旋回内輪の制動力を制御したりその制御
ゲインを高く設定したりすることなく車輌の過渡旋回時
に於ける車輌の旋回応答性を向上させることができるの
で、運転者により過剰操舵される虞れを低減することが
でき、このことによっても過渡旋回終了後に於けるヨー
レートのオーバーシュートを抑制して車輌の旋回挙動を
安定化させることができる。
【0045】例えば図3は直進走行状態より左旋回方向
へ操舵され、定常旋回状態後に直進走行状態に戻す操舵
が行われた場合に於ける操舵角δ、ヨーレートγ、目標
ヨーモーメントmの変化の一例を示している。
【0046】図示の如く、時点t1に於いて左旋回方向
への操舵が開始され、時点t3に於いて定常旋回状態に
移行し、時点t4に於いて戻し操舵が開始され、時点t6
に於いてステアリングホイールが直進位置に戻されたと
する。
【0047】操舵角速度に応じて旋回内輪の制動力が制
御される従来の走行制御装置の場合には、操舵系及び制
御系の応答遅れに起因してヨーレートγは図3に於いて
破線にて示されている如く時点t1より後の時点t2に於
いて増大し始め、また時点t3より後の時点に於いてオ
ーバーシュートする。またヨーレートγは時点t4より
後の時点t5に於いて減少し始め、また時点t6より後の
時点に於いてオーバーシュートする。
【0048】これに対し図示の実施形態によれば、図3
に於いて実線にて示されている如くヨーレートγは時点
t1と時点t2との間に於いて増大し始め、ヨーレートγ
は時点t4と時点t5との間に於いて減少し始め、これに
より車輌の過渡旋回応答性が向上する。また時点t3よ
り後の定常旋回状態及び時点t6より後の直進走行状態
の何れに於いてもヨーレートγはオーバーシュートせ
ず、これにより車輌の走行安定性が向上する。
【0049】また操舵角δの微分により操舵角速度が演
算され、操舵角速度に応じて旋回内輪の制動力が制御さ
れる従来の走行制御装置の場合には、微分演算の誤差な
どに起因して制御量が急激に変化する虞れがあり、また
制御ゲインが高く設定されると過渡旋回終了後に於ける
ヨーレートのオーバーシュートが生じ易くなり、逆に制
御ゲインが低く設定されると車輌の過渡旋回応答性が不
十分になり、これらの相反する問題を解消する制御ゲイ
ン設定することは非常に困難である。
【0050】これに対し図示の実施形態によれば、操舵
角δを微分して操舵角速度を演算する工程は不要である
ので、微分演算の誤差などに起因して制御量が急激に変
化することを確実に回避することができ、また試行錯誤
により車種毎に制御ゲイン設定することも不要である。
【0051】また例えば上記式(5)に従って車輌の目
標ヨーレートγtが演算され、実際の車輌のヨーレート
γが目標ヨーレートγtになるようヨーレートのフィー
ドバックにより制動力が制御される場合には、車輌のヨ
ーレートを検出するセンサが必要であり、また操舵角δ
の変化に対するヨーレートγの応答性は低いので、フィ
ードバック制御の応答遅れに起因して車輌の旋回応答性
が悪化し易い。
【0052】これに対し図示の実施形態によれば、車輌
のヨーレートを検出するセンサは不要であり、走行制御
装置を低廉に構成することができ、またヨーレートのフ
ィードバックにより制動力が制御される場合に比して確
実に且つ効果的に車輌の過渡旋回応答性を向上させるこ
とができる。尚ヨーレートのフィードバックと図示の実
施形態とが組合わされて制動力が制御されれば、車輌の
過渡旋回応答性が更に一層効果的に向上する。
【0053】以上に於いては本発明を特定の実施形態に
ついて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限
定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の
実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであ
ろう。
【0054】例えば上述の実施形態に於いては、操舵角
の変化に伴う車輌の旋回挙動を示すパラメータはヨーレ
ートγであるが、このパラメータは操舵角の変化に伴う
車輌の旋回挙動を示すものである限り、例えば車輌の横
加速度や車体のスリップ角などであってもよい。
【0055】また上述の実施形態に於いては、車輌モデ
ルは、上記式(6)に於ける慣性モーメントIz′が上記
式(2)〜(4)に於ける慣性モーメントIzよりも小さ
く設定されることにより、過渡旋回時に於ける操舵角の
変化に対するヨーレートの応答が実際の車輌よりも高
く、また上記式(4)の第2項が大きくされることによ
り、若しくは上記式(6)に於ける後輪のコーナリング
パワーCrが上記式(2)〜(4)に於ける後輪のコーナ
リングパワーCrよりも大きく設定されることにより、
過渡旋回終了後に於けるヨーレートのオーバーシュート
が実際の車輌よりも小さい車輌モデルであるが、車輌モ
デルは過渡旋回終了後に於けるヨーレートのオーバーシ
ュートが実際の車輌と同程度であり過渡旋回時に於ける
操舵角の変化に対するヨーレートの応答が実際の車輌よ
りも高い車輌モデルであってもよい。
【0056】更に上述の実施形態に於いては、各車輪の
制動力は車輪速度フィードバックにより制御されるよう
になっているが、各車輪の制動力は例えば油圧フィード
バックの如き当技術分野に於いて公知の任意の要領にて
制御されてよい。
【0057】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、過渡旋回時に於ける操舵
角の変化に対する車輌の旋回応答性を向上させることに
よって車輌の旋回性能を向上させることができ、また旋
回応答性が向上することにより、高い制御ゲインにて操
舵角速度に基づき車輌にヨーモーメントが付与される場
合に比して過渡旋回終了後に於ける旋回挙動のオーバー
シュートを低減することができる。
【0058】また請求項2の構成によれば、過渡旋回終
了後に於ける旋回挙動のオーバーシュートを実際の車輌
よりも小さくし、これにより過渡旋回後の定常走行移行
時に於ける車輌の挙動を安定化させることができ、請求
項3の構成によれば、車輌の旋回挙動を確実に車輌モデ
ルの旋回挙動に一致させて過渡旋回後の定常走行移行時
に於ける車輌の挙動を確実に安定化させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車輌の走行制御装置の一つの好ま
しい実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図示の実施形態に於ける走行制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図3】図示の実施形態の作動の一例を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10FR〜10RL…車輪 20…制動装置 28…マスタシリンダ 30…電気式制御装置 32FR〜32RL…車輪速度センサ 34……操舵角センサ 36……圧力センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 服部 義和 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3D045 BB40 GG01 GG26 GG28 3D046 BB21 HH08 HH16 HH23 HH36 JJ00 JJ06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】操舵角を検出する手段と、操舵角の変化に
    伴う車輌の旋回挙動を示すパラメータの応答性が実際の
    車輌よりも高い車輌モデルと、少なくとも操舵角及び前
    記車輌モデルに基づき車輌の目標ヨーモーメントを演算
    する手段と、前記目標ヨーモーメントに基づき各車輪の
    制動力を制御する手段とを有することを特徴とする車輌
    の走行制御装置。
  2. 【請求項2】前記車輌モデルは操舵角の変化に伴う車輌
    の旋回挙動を示すパラメータの過渡旋回終了後に於ける
    オーバーシュートが実際の車輌よりも小さい車輌モデル
    であることを特徴とする請求項1に記載の車輌の走行制
    御装置。
  3. 【請求項3】前記目標ヨーモーメントは車輌の旋回挙動
    を示すパラメータが前記車輌モデルの旋回挙動を示すパ
    ラメータに一致するヨーモーメントであることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の車輌の走行制御装置。
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