JP2001221819A - 導電性繊維の電気抵抗測定方法及びその測定装置 - Google Patents

導電性繊維の電気抵抗測定方法及びその測定装置

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JP2001221819A
JP2001221819A JP2000030316A JP2000030316A JP2001221819A JP 2001221819 A JP2001221819 A JP 2001221819A JP 2000030316 A JP2000030316 A JP 2000030316A JP 2000030316 A JP2000030316 A JP 2000030316A JP 2001221819 A JP2001221819 A JP 2001221819A
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Yasuteru Tawara
康照 田原
Teruhiro Ishimaru
輝太 石丸
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】単繊維、繊維束状或いは繊維シート状の炭素繊
維や金属繊維などからなる導電性繊維の電気抵抗を非破
壊的に且つ連続的に測定する際の、接触子と導電性繊維
との間に生じる接触抵抗の影響を排除した電気抵抗測定
方法を提供すると共に、更には、測定精度が高く且つ小
型化を達成した導電性繊維の電気抵抗測定装置を提供す
る。 【解決手段】導電性繊維(1) の長手方向の電気抵抗を非
破壊的に連続して測定する電気抵抗測定方法は、所定の
間隔を直列的に配された4つの第1〜第4通電手段(10,
20,30,40) に前記繊維(1) を順次接触させて走行させ、
前記第1及び第4通電手段(10,20,30,40) を介して前記
繊維(1) に電流を供給し、前記繊維(1)に供給された前
記電流(I) を測定し、同時に前記第1及び第4通電手段
(10,40)の間に配された第2及び第3通電手段(20,30)
を介して前記繊維(1) に生じた電圧降下(E) を測定し
て、前記第2及び第3通電手段(20,30) の間の前記繊維
(1)の電気抵抗値(R1b) を前記電圧降下(E) に対応する
電圧値と前記電流値との比から求めている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、導電性繊維の電気抵抗
測定方法及びその測定装置に係わり、例えば単繊維、繊
維束状、或いは繊維シート状の炭素繊維や金属繊維など
の導電性を有する繊維の長手方向の電気抵抗を非破壊的
に連続して測定する電気抵抗測定方法及びその測定装置
と同測定装置を装備した炭素繊維製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素繊維や金属繊維などの導電性
を有する高機能性繊維は、例えば密度、弾性率、強度な
どの各種特性が長手方向に均一であることが特に要求さ
れる製品である。このような繊維の長手方向の品質の均
一性を評価する方法としては、繊維の電気抵抗を測定
し、繊維の均一度の目安とする各種の電気抵抗測定方法
が採用される。しかしながら、従来の電気抵抗測定方法
にあっては、完全には非破壊的でなかったり、測定精度
が不十分であるがため、繊維の製造ラインに組み込んで
同繊維の電気抵抗測定を連続的に実施することは難し
い。
【0003】この種の電気抵抗測定方法は、例えば特開
昭54−127398号公報や特開平7−146318
号公報等に開示されている。前記特開昭54−1273
98号公報に開示された電気抵抗測定方法によれば、超
音波が照射されている一対の溶融金属槽にそれぞれロー
ラーを配し、各ローラーを介して炭素繊維を前記溶融金
属槽に浸漬走行させながら、同溶融金属槽内の溶融金属
を接触子として炭素繊維の電気抵抗を連続的に測定して
いる。この電気抵抗測定方法では、溶融金属に超音波を
照射することにより、張力がかかった炭素繊維の単繊維
間に溶融金属を均一に浸透させ、炭素繊維とローラーと
の接触抵抗を低減且つ安定化させて、炭素繊維の電気抵
抗の測定を行っている。
【0004】一方、上記特開平7−146318号公報
に開示された電気抵抗測定方法は、接触子として金属ロ
ーラーを用いる。この測定方法では、間隔をおいて配置
された2個の自由回転する各金属ローラーに導電性繊維
を捲回させて一定張力下で走行させ、前記金属ローラー
間に定電圧を印加し、各金属ローラー間を走行する導電
性繊維に流れる電流値を検出し、繊維の電気抵抗を連続
的に測定するものである。この電気抵抗測定方法によれ
ば、可能な限り大きな間隔をおいて配された2個の大径
の金属ローラーを接触子として、これに導電性繊維を捲
回させて一定張力に保持して走行させることにより、導
電性繊維と各ローラーとの大きな接触長を確保して接触
抵抗を減少させると共に、その接触抵抗の影響を相対的
に少なくするため導電性繊維の測定長を長くとり、測定
誤差を低減させようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特開昭
54−127398号公報に開示された電気抵抗測定方
法では、図12に示した電気抵抗測定装置の等価回路に
示すように、電気抵抗の測定値には、繊維の電気抵抗R
sに加えて接触抵抗R201とR202が含まれるが、
超音波により振動する溶融金属を接触子として用いるこ
とにより前記接触抵抗の絶対値を小さくし、その影響を
低減させるようにしている。
【0006】しかして、接触抵抗の影響が低減すること
は確かであるが、一方で炭素繊維が溶融金属槽から大気
中に出る際に繊維表面に溶融金属が付着して固化し、溶
融金属槽間の被測定部分である炭素繊維の電気抵抗に、
付着した溶融金属の抵抗が並列に加わり、しかも同伴す
る溶融金属の量が一定であるという保証がないことか
ら、却って炭素繊維自体の電気抵抗を測定する精度を低
下させるという不具合がある。また、特に炭素繊維の繊
維束のような繊維本数の多い場合には、溶融金属を同伴
する量が増え、測定速度を速くすることが困難となり、
更に溶融金属に接触させることは測定温度を高めること
となり、炭素繊維或いは添加物の劣化を起こす原因にな
り、非破壊測定とは言いがたい。
【0007】また更に、炭素繊維に付着固化された溶融
金属は不純物であるから、溶融金属が付着固化したまま
の炭素繊維は製品として出荷できず不良品として扱わざ
るを得ない。また前述のように、炭素繊維の繊維表面に
対する溶融金属の付着は一様ではないため、例えば炭素
繊維の密度、弾性率、強度などの各種特性を不均一にす
ることにもつながる。
【0008】一方、上記特開平7−146318号公報
に開示された電気抵抗測定方法は、上述したように走行
する導電性繊維を大きく間隔をおいて配された2個の回
転する大径の金属ローラーに捲回して一定張力で走行さ
せることにより、金属ローラーと導電性繊維との接触抵
抗の絶対値を低減して安定化し、更に測定間隔を長くし
て相対的に接触抵抗の影響を低減させている。しかしな
がら、接触抵抗そのものをゼロにはできないため、電気
抵抗が小さい金属繊維や半導体である炭素繊維などの導
電性繊維の正確な電気抵抗値を求めることは難しい。
【0009】すなわち、図13に示した上記特開平7−
146318号公報の電気抵抗測定装置における等価回
路からも理解できるように、繊維の電気抵抗Rsに対し
て、接触抵抗R302及び接触抵抗R302が大きけれ
ば、それらの接触抵抗が測定値の殆どを占め、繊維自体
がもつ電気抵抗を正確に測定することができなくなる。
このことは、同公報で述べているように、仮に繊維の張
力を一定に保って安定化させたとしても、その測定手法
を変更しないかぎり前記接触抵抗R302及びR302
を排除することはできない。
【0010】また更に、2個の前記金属ローラー間の距
離を長く設定して、同金属ローラーと導電性繊維との接
触抵抗の影響を相対的に少なくすることも考えられる
が、測定装置が大型化するという新たな課題が発生す
る。
【0011】このように、上記各公報に開示された従来
の電気抵抗測定方法では、ローラーと導電性繊維との接
触抵抗を少なくすると共に測定精度を高めようとしてい
るものの、特に、金属繊維や半導体の炭素繊維等のよう
に低い抵抗の導電性繊維に対しては、前記接触抵抗が余
りにも大きいため満足な結果が得られない。
【0012】また、上述の2つの公報に開示された測定
装置は、それぞれの構造が複雑化し、且つ大型化せざる
を得ず、測定装置に要する費用が高くなり、いずれにし
ても汎用化することは難しい。
【0013】本発明は、かかる課題を解決すべくなされ
たものであり、走行する導電性繊維と接触子との接触抵
抗の影響を測定回路の工夫により排除した高精度の導電
性繊維の電気抵抗測定方法及び測定装置を提供すること
を目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用効果】前記目的は
本件請求項1〜8に記載された各発明により効果的に達
成される。本発明における導電性繊維の電気抵抗測定方
法は、請求項1に係る発明のごとく、単繊維、繊維束状
或いは繊維シート状の炭素繊維や金属繊維などからなる
導電性繊維の長手方向の電気抵抗を非破壊的に連続して
測定する電気抵抗測定方法であって、所定の間隔を直列
的に配された4つの第1〜第4通電手段に前記繊維を順
次接触させて走行させること、前記第1及び第4通電手
段を介して前記繊維に電流を供給すること、前記繊維に
供給された前記電流を測定すること、前記第1及び第4
通電手段の間に配された第2及び第3通電手段を介して
前記繊維に生じた電圧降下を測定すること、前記第2及
び第3通電手段の間の前記繊維の電気抵抗値を、前記電
圧降下に対応する電圧値と前記電流値との比から求める
ことを含んでなることを特徴としている。
【0015】かかる導電性繊維の電気抵抗測定方法は、
以下の導電性繊維の電気抵抗測定装置を使って実施され
る。その代表的な装置発明が、本件請求項2に係る発明
であり、単繊維、繊維束状或いは繊維シート状等の炭素
繊維や金属繊維などからなる導電性繊維の長手方向の電
気抵抗を非破壊的に連続して測定する電気抵抗測定装置
であって、連続走行する前記繊維の走行路に所定の間隔
をおいて順次配された4つの第1〜第4通電手段と、前
記第1及び第4通電手段を介して前記繊維に電流を供給
する電流源と、同電流源から前記第1〜第4通電手段に
供給される電流を測定する電流計と、前記第1及び第4
通電手段の間に配された2つの前記第2及び第3通電手
段を介して前記繊維に生じた電圧降下を測定する電圧計
と、前記電圧計により測定された電圧と前記電流計によ
り測定された電流により、前記第2及び第3通電手段の
前記繊維の電気抵抗値を演算する演算部とを備えている
ことを特徴としている。
【0016】また、従来の上記公報のごとく、測定ロー
ラー径を大きくすると共にその測定間隔を長く設定した
り、或いは繊維に対する接触子として溶融金属を貯蔵し
た溶融金属槽を配して接触抵抗の大きさとその変動を低
減する必要がないため、電気抵抗測定装置の簡略化はも
とより、その小型化が実現できる。
【0017】請求項3に係る発明は前記電流源が定電流
源であることを規定している。電流源として定電流源を
使用すると、前記第1〜第4通電手段の接触抵抗及び電
導性繊維電気抵抗の変動に影響されずに一定の電流を供
給できるため、第2及び第3通電手段の間にある繊維の
長手方向の電圧降下の値は、繊維自体のもつ抵抗に依存
することになり、簡単に所定長さの繊維がもつ抵抗値を
求めることができ、しかもその値は繊維以外の抵抗によ
る影響を殆ど受けることがなく高精度な測定値となる。
【0018】請求項4に係る発明にあっては、回路中に
接続端子を介して直列的に接続することなく電流の測定
が可能である電流プローブを備えた電流計を採用してい
る。繊維の供給手段及び同引き取り手段が既存の製造設
備であって建物や大地に設置されているとき、電気的に
絶縁状態にすることが困難となる場合がある。この場合
には、電流源からの電流は測定目的とする回路以外の道
筋を通って分流される。このため、第2及び第3通電手
段の間にある被測定部分の電導性繊維を流れる電流を測
定する必要があり、繊維を切らずに測定できる前記電流
プローブを使用する。
【0019】本発明にあっては、上記のように電流プロ
ーブを適当な位置に設置することにより、前記周辺設備
に流れる電流による影響を排除して、前記第2及び第3
通電手段の間に流れる電流と電圧降下だけを独立して測
定し、繊維の電気抵抗を求める。
【0020】請求項5に係る発明にあっては、前記通電
手段は1個以上の接触子の役目をする金属ローラーを備
えていることを規定している。接触子の役目を図2や図
3に示すような構造のニップローラーは被測定電導性繊
維を挟み通電するために、少なくとも一方が接触子の役
目をする金属ローラーである。ニップローラー間に繊維
を通せば、線接触で通電できるため、繊維の測定距離に
変動をもたらすことなく、常に一定長の繊維の電気抵抗
の測定ができる。その結果、上記回路と相まって電気抵
抗が極めて小さい金属繊維や半導体である炭素繊維等の
導電性繊維であっても、その電気抵抗を効果的に測定す
ることができる。
【0021】請求項6に係る発明は、前記通電手段が、
走行する前記繊維の電気抵抗測定時に、同繊維に押付け
接触させる機構と、繊維の走行速度と同一速度で繊維と
共に移動する機構とを備えていることを規定し、また、
請求項7に係る発明にあっては、前記通電手段は前記繊
維の電気抵抗測定時に、同繊維の走行を停止させ、前記
繊維に押付け接触させる機構を備えていることを規定し
ている。
【0022】請求項6に係る発明にあっては、繊維が一
定速度で連続走行している場合には、繊維の電気抵抗測
定時に、繊維に前記第1〜第4通電手段を一時的に押し
付けて接触させると共に、同第1〜第4通電手段を繊維
と同一速度で繊維と共に直線的に移動させる。繊維の所
定の測定領域を測定後、前記第1〜第4通電手段を前記
繊維上から退避させたのち、前記移動手段を介して元の
待機位置に復帰させ、再び、前記第1〜第4通電手段を
測定すべき次位の測定領域にある繊維に一時的に押し付
けたまま、繊維と同一速度で繊維と共に直線的に移動さ
せる。この動作を順次繰り返すことにより非破壊的に且
つ連続的に繊維の長手方向の電気抵抗値を連続的に測定
することができる。更に、繊維の測定範囲や長さなどを
正確に把握することができるため、繊維の不良を的確に
且つ簡単に確認することができる。
【0023】また、請求項7に係る発明にあっては、繊
維の電気抵抗測定時に、繊維の走行路に繊維を間欠的に
所定の距離又は時間で移動させて繊維の走行と停止とを
順次繰り返す間欠的な走行を行わせる。この場合には、
繊維の電気抵抗測定時に製造装置の稼働を停止し、繊維
を所定の位置に停止させたのち、繊維に前記第1〜第4
通電手段を一時的に押し付けて、繊維の長手方向の電気
抵抗を測定する。繊維の電気抵抗を測定したのち、前記
第1〜第4通電手段を繊維上から非接触状態に退避させ
る。続いて、製造装置の稼働を再開し、測定すべき次位
の繊維が所定の測定位置に達する時点で装置を停止させ
たのち、前記第1〜第4通電手段を繊維に一時的に押し
付ける。この動作を順次繰り返すことにより非破壊的に
間欠的に一定長さの繊維の電気抵抗値を測定する。
【0024】このように、前述の発明にあっては、繊維
の測定時期や測定範囲を適宜に設定して測定することが
可能となる。このため、繊維の測定データを適切に且つ
効率よく整理し、また管理することが可能である。
【0025】なお、上述のごとく製造設備を停止させる
ことなく電気抵抗測定時に繊維を把持した状態で測定す
る他の手法としては、例えば繊維の製造設備と第1通電
手段との間に、繊維を一時的に貯留する貯留部を設けて
おき、繊維の電気抵抗測定時に繊維の引き取り手段によ
る引き取りを停止させ、その停止の間に上述のごとき繊
維に押付け接触させる機構を作動させて、第1〜第4通
電手段を繊維に接触させて第2及び第3通電手段の間の
繊維の電気抵抗を測定する。この場合には、前記押付け
接触機構だけで、繊維の走行方向への直線的な移動機構
は不要となる。
【0026】測定後は、前記引き取り手段を駆動して引
き取りを開始する。このときの繊維の引き取り速度は、
製造速度よりも高くなるように設定され、上記貯留部に
溜められた繊維が無くなると、製造速度と同等の速度に
戻される。
【0027】本発明の電気抵抗測定装置は繊維の一定速
度の供給に対応することが可能であり、繊維を製造した
のち直ちに繊維の電気抵抗値を測定することが可能とな
る。所望の繊維を一定速度で製造する典型的な製造設備
としては炭素繊維の製造装置がある。請求項8に係る発
明は、その典型的な装置を規定しており、上記請求項2
記載の電気抵抗測定装置が組み込まれた炭素繊維製造装
置であって、炭素繊維の品質の均一性の評価が正確にな
され、しかも簡便に検査することができると共に、その
繊維の測定データを効率よく確実に管理することができ
る。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明
の代表的な第1実施形態である電気抵抗測定装置を概略
的に示す機構図であり、図2は同電気抵抗測定装置の通
電手段を概略的に示す側面図である。
【0029】図1において、符号100は単繊維、繊維
束或いは繊維シート状等の炭素繊維や金属繊維などから
なる被測定物品である導電性繊維1の電気抵抗を非破壊
的に連続して測定する電気抵抗測定装置である。同電気
抵抗測定装置100は、前記被測定物品1の供給部2
と、同供給部2とは所定の間隔をおいて配された導電性
繊維1の引取り部3との間に配され、一定速度で連続走
行する導電性繊維1の電気抵抗を連続して測定する。前
記供給部2及び前記引取り部3は、絶縁部材2a及び3
aを介して図示せぬ架台又は大地にそれぞれ設置され、
電気的に絶縁されている。
【0030】前記導電性繊維1の走行路には所定の間隔
をおいて4つの第1〜第4通電手段10,20,30,
40が順次配されている。これらの第1〜第4通電手段
10,20,30,40は同一構造を採用しており、そ
れぞれ上部の接触子の役目をする金属ローラー11,2
1,31,41と下部のゴム張りローラー12,22,
32,42とから構成されている。前記金属ローラー1
1,21,31,41及びゴム張りローラー12,2
2,32,42は相対して配されたニップローラーとし
ての機能をもっている。これら一対の前記各ローラーは
前記導電性繊維1を一定の力で把持し、前記供給部2及
び前記引取り部3の間を走行する導電性繊維1の速度と
等しい周速度で回転するように構成されている。
【0031】上述のごとく各通電手段10,20,3
0,40は同一の構造であるため、以下の説明にあって
は、その冗長な説明を避けるため、前記第1通電手段1
0を例に挙げて説明し、他の前記第2〜第4通電手段2
0,30及び40については説明を省略する。
【0032】図2に示すように、接触子の役目をする前
記金属ローラー11の支軸11aが軸受け15を介して
側面視で略Z形をなす通電部架台18に取り付けられて
いる。同通電部架台18は、絶縁部材19を介して図示
せぬ架台又は大地に設置され、電気的に絶縁されてい
る。前記通電部架台18の上部先端には導電性板バネ1
3が固定されており、同接触子13には接続端子14が
取り付けられている。前記金属ローラー11は前記導電
性板バネ13を介して前記接続端子14と電気的に接続
される。
【0033】一方、前記金属ローラー11に相対して配
された前記ゴム張りローラー12の軸12aは、軸受け
16を介して上下方向に移動するガイド付きエヤーシリ
ンダー17の可動部17aに固設されており、同可動部
17aは前記通電部架台18の下部に固定されたシリン
ダー固定部17bに上下方向に摺動自在に取り付けられ
ている。前記エヤーシリンダー17に図示せぬ空気供給
口から圧縮空気が供給されると、前記ゴム張りローラー
12は前記可動部17aを介して前記シリンダー固定部
17bに沿って上下方向に位置調整され、前記接触子の
役目をする金属ローラー11の周面に一定の力で押し付
けられて、前記導電性繊維1を把持するようになってい
る。この把持力は前記シリンダー17の空気圧によって
任意に調整できる。
【0034】前記ゴム張りローラー12は導電性繊維1
を傷めずに確実に挟むことができるため好ましいが、同
ローラー12に代えて接触子の役目をする金属ローラー
を用いることもできる。また、前記ゴム張りローラー1
2をシリンダーにより上下動させる構成に代えて、前記
金属ローラー11を上下動可能な構成とすることもでき
る。このような移動ガイド機構や押付け力の発生機構
は、本実施形態に限定されるものではなく、従来から広
く知られた周知の構造、又は同構造の様々な変形例を適
用することができ、これらの変更によって本発明の本質
を変えるものではない。
【0035】図1に示すように、前記第1通電手段10
の接続端子14は電流計5を介して電流源4のプラス側
に接続されており、前記第4通電手段40の接続端子4
4は前記電流源4のマイナス側に接続されている。前記
第2通電手段20の接続端子24と前記第3通電手段3
0の接続端子34とは電圧計6に接続されている。
【0036】以上のごとく構成された本発明の第1〜第
4通電手段10,20,30,40では、前記供給部2
と前記引取り部3との間に導電性繊維1を一定速度で連
続走行させる際に前記電流源4により電流が供給され、
前記電圧計6により前記第2及び第3通電手段20,3
0の間の電圧降下が測定されるようになっている。な
お、6つの前記絶縁部材19,2a及び3aのうち任意
の1つの絶縁部材を省略することができる。該当部分に
対応する通電部架台18が大地に直接接地されていて
も、導電性繊維1の電気抵抗測定は可能である。
【0037】次に、図3に示した上記電気抵抗測定装置
100の等価回路を使用して走行中の導電性繊維1の長
手方向の電気抵抗を導電性繊維と接触子との接触抵抗に
影響されずに高精度に連続して測定する方法について説
明する。同図において、前記通電手段10,20,3
0,40により導電性繊維1が把持される位置は、それ
ぞれ符号N1,N2,N3,N4を付している。符号N
2と符号N3との間は導電性繊維1の電圧降下測定域で
ある。
【0038】符号R1a,R1b及びR1cは、それぞ
れ繊維把持位置N1〜N2間、N2〜N3間、N3〜N
4間における導電性繊維1a,1b及び1cの各抵抗値
をそれぞれ示している。符号R10,R20,R30及
びR40は、それぞれ上記各接続端子14,24,3
4,44から前記導電性板バネ13,23,33,43
及び接触子の役目をする前記金属ローラー11,21,
31,41を経由して、導電性繊維1に至るまでの配線
抵抗と接触抵抗との合計抵抗値を示しており、その大部
分は導電性繊維と前記金属ローラーとの接触抵抗であ
る。抵抗値Rvは前記電圧計6の内部抵抗である。高精
度の電圧計では、通常、この抵抗値Rvは他の抵抗値と
較べると極めて大きなものである。
【0039】前記電流源4は直流電源からなり、プラス
側が前記電流計5を経由して第1通電手段10の接続端
子14に接続され、そのマイナス側は第4通電手段40
の接続端子44に接続し、電流Iを供給する。前記電圧
計6は第2及び第3の通電手段20,30の接続端子2
4,34とに接続され、各接続端子24,34間の電圧
降下Eを測定する。
【0040】測定の目的とする前記抵抗値R1bを測定
するときの誤差の1つは電圧計6の内部抵抗Rvが無限
大でないことにより発生する。このときの近似誤差Ve
は次の式で表される。
【0041】 Ve={R1b/(R20+Rv+R30)}×100(%)……… 許容される誤差Veは測定の目的によって異なるが、例
えば炭素繊維の測定では0.1%以下の誤差Veであれ
ば、十分に実用に供することができる。前記電圧計6と
しては精密測定用のデジタル電圧計を使用することが好
ましく、通常、そのデジタル電圧計の内部抵抗は100
MΩ程度であるため、100kΩ以下の抵抗値の導電性
繊維1を測定することができる。特に、導電性繊維1が
炭素繊維である場合には、この条件を容易に満たすこと
ができる。従って、接触抵抗とその変動に殆ど影響され
ずに被測定部の導電性繊維1bの電圧降下を高精度で測
定可能である。また電圧計を流れる電流は極めて少ない
ので、被測定部の導電性繊維1bを流れる電流は電流源
の出力電流と等しいと見なせるから、この出力電流を電
流計で測定することで被測定部の導電性繊維1bを流れ
る電流を高精度で測定可能である。
【0042】一方、走行している被測定部の導電性繊維
1bを流れる電流は、導電性繊維1aの電気抵抗R1
a、導電性繊維1bの電気抵抗R1bおよび導電性繊維
1cの電気抵抗R1c、接触抵抗R10、接触抵抗R2
0の変動により変動している。しかし、本発明ではこの
電流を、僅かに式の誤差を伴ってはいるが、導電性繊
維1を切ることなく、電流計5により測定可能である。
この電流測定値と、別途独立に測定した前記電圧降下測
定値との比から、導電繊維1bの電気抵抗を接触抵抗の
変動を排除して高精度に求めることが可能となる。
【0043】また、前記電流源4として定電流源を使用
すると、各第1〜第4通電手段10,20,30,40
等の接触抵抗の変動に影響されずに一定の電流Iを供給
できるため、電流を刻々測定する必要はない。前記電圧
降下の測定により導電性繊維の電気抵抗の変動を知るこ
とができ、測定装置が簡単になる。
【0044】上述したごとき測定及び演算は、前記電流
計5と前記電圧計6との出力を図示せぬパソコンに接続
することにより容易に実施できる。また、4端子抵抗測
定可能な抵抗測定器を用いて、同抵抗測定器の電流出力
側を前記第1及び第4通電手段の接続端子14及び44
に接続し、その電圧入力側を前記第2及び第3通電手段
の接続端子24及び34に接続すると、導電性繊維1b
の抵抗値R1bを直読することができる。
【0045】本発明の電気抵抗測定方法によれば、被測
定部の導電性繊維1bの電圧降下を測定するための通電
手段20,30と前記導電性繊維1bに測定電流を供給
するための通電手段10,40を別々に設置したことに
より、前記導電性繊維1bの電圧降下値と電流値を独立
に測定できるので、接触抵抗やその変動の影響を排除し
て、高精度に電気抵抗を求めることが出来る。以上は直
流抵抗の測定について説明したが、電源を交流電源にす
ることにより、交流での電気抵抗測定も可能である。
【0046】次に、図4を参照して本発明の第2実施形
態を説明する。図4は本発明の電気抵抗測定装置におけ
る通電手段の変形例を示している。なお、同図におい
て、上記第1実施形態と実質的に同じ部材には同一の符
号と部材名を付している。従って、これらの部材に関す
る詳細な説明は省略する。
【0047】同図において、第2実施形態の通電手段1
0は接触子の役目をする金属ローラ11及びゴム張りロ
ーラー12を相対向して配しており、導電性繊維1を一
定速度で駆動できる機構を備えた構成になっている。前
記金属ローラ11は、その支軸11aを介して軸受け1
5に取り付けられており、この軸受け15は絶縁部材1
09を介して略L形をなす通電部架台18の上部に固定
されている。前記支軸11aは、前記絶縁部材109と
前記通電部架台18に接触することなく、同通電部架台
18に設けられたロータリーコネクター103に接続さ
れている。同ロータリーコネクター103は接続端子1
04を介して接触子の役目をする前記金属ローラ11と
電気的に接続されている。
【0048】一方、前記ゴム張りローラー12は図示せ
ぬキーを介して一定速度で回転するサ−ボモーター10
6の出力軸106aと結合されている。同モーター10
6はガイド付きエヤーシリンダー17の可動部17aに
固定されており、同可動部17aは前記通電部架台18
の下部に固設された固定部17bに摺動自在に取り付け
られている。
【0049】この第2実施形態の通電手段10によれ
ば、導電性繊維1を供給する前記供給装置2に駆動部を
設けていない場合に、同導電性繊維1を一定速度で供給
することができると共に前記エヤーシリンダー17に供
給する空気圧を調整して、導電性繊維1に対する挟持力
を調節することができる。また、前記サーボモーター1
06の代わりに、トルクモーターを採用してもよく、こ
の場合には、各通電手段の間を走行する導電性繊維1に
かかる張力を任意に制御することができる。
【0050】次に、図5を参照して本発明の第3実施形
態である電気抵抗測定装置について説明する。導電性繊
維1の前記供給部2及び前記引取り部3が既存の製造設
備であって建物や大地に設置されているとき、電気的に
絶縁状態にすることが困難となる場合がある。図5は、
このような場合の、本発明の方法を実施する際の電気抵
抗測定装置の等価回路を示している。なお、同図は、図
3に示した等価回路と殆ど同じであるので、実質的に同
じ部材には同一の符号と部材名を付して、これらの部材
に関する詳細な説明は省略し、異なる点について説明す
る。
【0051】同図において、抵抗値R1dは導電性繊維
供給部2と第1通電手段10との間を連続走行する導電
性繊維1の電気抵抗を示しており、抵抗値R1eは第4
通電手段40と導電性繊維引取り部3との間を走行する
導電性繊維1の電気抵抗を示している。また、抵抗値R
1fは前記供給部2と前記引取り部3との間の電気抵抗
を示している。
【0052】第1及び第4通電手段10,40の各接続
端子14,44に供給される電流Iは導電性繊維1が把
持される位置N1,N4において電流I1 と電流I2
に分流される。ここで、電流I2 が電流I1 に対して無
視できないほど大きい場合は、電流I1 を直接測定し、
その電流I1 と第2及び第3通電手段20,30の各接
続端子24,34間の電圧降下Eとから電気抵抗を求め
る必要がある。
【0053】この第3実施形態によれば、被測定部の導
電性繊維 1bに流れる電流を測定するために、これを切
断することなく測定可能な電流プローブ5bを備えた電
流計5aを用い、I2 を測定する。電圧降下Eは上記と
同様にして測定可能であるから、電気抵抗R1bを精度
良く測定できる。
【0054】また、この場合に電流源4に定電流源を用
いると共に、前記抵抗値R1dと抵抗値R1eとの和が
増加するように、繊維の供給部2及び前記引取り部3と
の距離を極力隔てることにより、電流I2 の変動影響を
低減することが電気抵抗の測定精度を高める上で好まし
い。
【0055】次に、図6を参照して本発明の第4実施形
態である電気抵抗測定装置について説明する。図6は本
発明の第4実施形態である電気抵抗測定装置の機構を概
略的に示している。上記第1〜第3実施形態では各通電
手段が導電性繊維を挟持するニップローラーの機能を介
して通電するものであったものを、この第4実施形態で
は各通電手段が導電性繊維に接触子の役目をする金属ロ
ーラーに張力を加えて押し付けることにより通電する機
能にしてある。なお、同図において上記各実施形態と実
質的に同じ部材には同一の符号と部材名とを付してい
る。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略す
る。
【0056】同図に示すように、この第4実施形態にお
ける電気抵抗測定装置100は、導電性繊維供給部2及
び導電性繊維引取り部3の間を連続走行する導電性繊維
1に張力を加えて、導電性繊維1に対して接触子の役目
をする4つの金属ローラー71〜74に押付け通電す
る。前記金属ローラー71〜74は所定の間隔をおいて
配され、同ローラー71〜74のうち両側に配された同
じ大きさをもつ2つの金属ローラー71及び74は、接
触長を長くするために、中央に配される同じ大きさをも
つ2つの金属ローラー72及び73よりも径の大きい寸
法に設定してある。各金属ローラー71〜74は第1〜
第4通電手段10,20,30,40の各接続端子1
4,24,34,44と電気的に接続されている。
【0057】前記導電性繊維供給部2と繊維導入側の金
属ローラー71との間には、接触長を長くするために、
ガイドローラー70が配され、繊維引出し側の金属ロー
ラー74と導電性繊維引取り部3との間にはガイドロー
ラー75が配されている。前記ローラー70〜75は図
示せぬ絶縁部材を介して同じく図示せぬ架台等と絶縁さ
れている。導電性繊維1は中央部の金属ローラー72,
73よりも径が大きく設定された両端の金属ローラー7
1,74と前記ガイドローラー70,75との周囲をジ
グザグ状に掛け回され、導電性繊維1との接触長さを長
くすることにより、それらの接触抵抗を減少させると共
に安定化させている。電流源4から電流計5を経由し、
前記第1及び第4通電手段10,40の各接続端子14
及び44を通って電流Iが導電性繊維1に流れる。
【0058】一方、抵抗測定域にある導電性繊維1bの
両端位置N2及びN3の間の長さ精度を考慮すると線接
触が好ましい。このため、抵抗測定域の前記導電性繊維
1bの電気抵抗を測定するには、小径の金属ローラー7
2及び73が使用されている。しかし、こうすることに
よっても、通常は電圧計6の内部抵抗Rvが他の抵抗よ
りも極めて大きいため、電圧降下や接触抵抗が増加する
ことは殆ど問題にならない。
【0059】なお、各接続端子14,24,34,44
から接触子の役目をする各金属ローラー71〜74まで
は電気的に接続されているが、図示を省略してある。ま
た、絶縁部材についても同じく図示を省略したが、前記
ガイドローラー70,75を含め、上記各実施形態のよ
うに、図示せぬ架台等に対して絶縁されている。また、
前記金属ローラー71〜74の代わりに非回転状態の金
属製丸棒などを使用することも、導電性繊維1の材質に
よっては可能である。
【0060】次に、図7及び図8を参照して本発明の第
5実施形態である電気抵抗測定装置について説明する。
図7は本発明の第5実施形態である電気抵抗測定装置の
機構を概略的に示しており、図8は同電気抵抗測定装置
の通電手段を示している。なお、これらの図において、
上述の各実施形態と実質的に同じ部材には同一の符号と
部材名とを付している。従って、これらの部材に関する
詳細な説明は省略する。
【0061】図7及び図8に示すように、電気抵抗測定
装置100の第1〜第4通電手段10,20,30、4
0はナイフエッジ状の接触子の役目をする金属製通電部
材81を備えており、同通電部材81はガイド付きエヤ
ーシリンダー17を有している。この通電部材81の先
端形状はナイフエッジ状ではなく、実質的に導電性繊維
1に対して線に近い接触が可能な形状であれば、半円形
等をなす先端形状であっても良い。第1〜第4通電手段
10,20,30及び40は、それぞれ略L字状の通電
部架台88に固着支持されており、同通電部架台88は
導電性繊維1に対して平行に往復動可能な直線移動装置
80に取り付けられている。
【0062】繊維供給部2が導電性繊維1の製造装置で
ある場合には、導電性繊維1は一定速度で供給される。
導電性繊維1の電気抵抗測定時には、前記通電部材81
を絶縁材料からなる受け台82に対して導電性繊維1を
押し付けて接触させると共に、各通電手段10,20,
30及び40を前記通電部架台88に不動の状態とし
て、前記直線移動装置80を導電性繊維1と同一速度で
導電性繊維1と共に、その走行方向に直線的に移動させ
る。
【0063】この場合には、第1〜第4通電手段10,
20,30及び40を導電性繊維1と同一速度で前記直
線移動装置80を介して移動させて、導電性繊維1の電
気抵抗を一点測定している。導電性繊維1の所定の測定
域を測定後、4つの前記通電部材81を導電性繊維1上
から離間させたのち、各通電手段10,20,30及び
40は前記直線移動装置80を介して元の待機位置に復
帰し、再び、4つの前記通電部材81を測定すべき次位
の測定域である導電性繊維1に一時的に押し付け、その
状態で各通電手段10,20,30及び40を導電性繊
維1と同一速度で導電性繊維1の走行方向に一緒に移動
させる。この動作を順次繰り返すことにより非破壊的に
且つ連続的に導電性繊維1の長手方向の電気抵抗値を測
定することができる。
【0064】また、導電性繊維1の電気抵抗測定時に、
導電性繊維1を間欠的に所定の距離又は時間で移動させ
て導電性繊維1の走行と停止とを順次繰り返す不等速走
行を行わせる。この場合には、導電性繊維1の電気抵抗
測定時に図示せぬ製造装置の稼働を停止し、導電性繊維
1を所定の位置に停止させたのち、4つの絶縁体である
受け台82に対して導電性繊維1の4つの位置N1〜N
4を4つの前記通電部材81により一時的に押し付けて
通電する。
【0065】この場合にも、導電性繊維の電気抵抗を測
定しないときは、前記シリンダー87を作動させること
により4つの前記通電部材81を導電性繊維1上から非
接触状態に離間させておく。続いて、図示せぬ製造装置
の稼働を再開し、測定すべき導電性繊維1が所定の測定
位置に達する時点で、同導電性繊維1を停止させたの
ち、4つの前記通電部材81を導電性繊維1に一時的に
押し付ける。これにより、導電性繊維1の所望の測定域
の電気抵抗が得られる。この動作を順次繰り返すことに
より非破壊的に間欠的に一定長さの繊維の電気抵抗値を
測定することができる。
【0066】また、図示せぬ製造設備を停止させること
なく電気抵抗測定時に被測定物1を把持した状態で測定
する他の方法としては、例えば前記供給部2と前記第1
通電手段10の間に、導電性繊維1を一時的に滞留する
図示せぬ糸溜め装置を設けることができる。この場合に
は、電気抵抗測定時に、前記糸溜め装置に導電性繊維1
を一時的に溜めておき、導電性繊維1の電気抵抗測定時
に導電性繊維1の前記引取り部3による引き取りを停止
させ、その停止の間に4つの前記通電部材81を作動さ
せることにより導電性繊維1に接触させて第2及び第3
通電手段20,30の間の導電性繊維1bの電気抵抗を
測定する。その測定終了後、前記糸溜め装置に溜められ
た導電性繊維1を導電性繊維1の製造速度より速い速度
で送りだす。導電性繊維1の送山しを繰り返すことによ
り導電性繊維1の一定速度の供給に対応することができ
る。前記糸溜め装置に溜められた導電性繊維1がなくな
ると、製造速度と同等の速度に戻される。
【0067】本発明の電気抵抗測定装置100は、導電
性繊維1の一定速度の供給に対応することができると共
に、導電性繊維1を製造し、ボビンなどに巻き取った後
にその1部又は全部の導電性繊維1の電気抵抗値を測定
することもできる。また、導電性繊維1の測定時期や測
定範囲を適宜に設定して測定することができ、繊維の測
定データを適切に且つ効率よく整理し、また管理するこ
とができる。このため、導電性繊維1の品質の均一性の
評価が正確になされ、しかも簡便に検査することができ
ると共に、その繊維の測定データを効率よく確実に管理
することができる。また、一定速度で連続走行する導電
性繊維1の供給に対応させることができるばかりではな
く、導電性繊維1を間欠的に所定の距離又は時間で移動
させることもできる。
【0068】図9に示したグラフは12,000本の束
状の導電性繊維1である炭素繊維について本発明の電気
抵抗測定を行った測定データの一例を示している。この
測定データは上記第1実施形態の通電手段に第2実施形
態を適用した電気抵抗測定装置によって測定した電気抵
抗値である。その測定条件としては、導電性繊維1の走
行速度を6m/分として、定電流源の電流を10mAと
した。図10に示したグラフは同じ焼成炉内に並べて焼
成して製造した他の炭素繊維の測定データの一例を示し
ている。
【0069】図9及び図10において、約1,300m
付近で製造条件を変更したことに対する影響が電気抵抗
の変化として検出されていることが分かる。次に、図1
1に示したグラフは炭素繊維の焼成条件を50m付近で
変更した測定データの一例を示している。10mから2
0m付近では特に明瞭であるが、約3m程度の周期で電
気抵抗の変動があり、しかも再現性のあるものであり、
その測定の際のノイズではない。
【0070】以上の説明からも明らかなように、本発明
に係る導電性繊維の電気抵抗測定方法によれば、被測定
部分の電導性繊維1bに電流を供給するための第1通電
手段および第4通電手段を設けて、前記電導性繊維に電
流源から電流を供給し、その値を電流計で測定すると共
に、第1通電手段および第4通電手段の間に第2通電手
段及び第3通電手段を設けて、前記第2及び第3通電手
段の間の被測定部分の電導性繊維1bに生じる電圧降下
を内部抵抗の非常に大きい電圧計で測定することによ
り、第1〜第4通電手段の間に生じた接触抵抗の影響を
殆ど受けることなく、前記電流値と電圧値の比から電導
性繊維1bの電気抵抗を高精度で且つ非破壊的に求める
ことが可能になる。
【0071】以上説明したように、接触子と電導性繊維
との接触抵抗の影響を殆ど受けないので、格別に接触抵
抗を減少させるためローラー径を大きくし、或いは誤差
を少なくするため繊維上の測定距離長く設定したり、繊
維に対する接触子として溶融金属槽を配した溶融金属中
を潜らせて、繊維の電気抵抗を測定する必要がないた
め、電気抵抗測定装置の簡略化や小型化を達成すること
ができる。なお、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、それらの実施例から当業者が容易に変更可能
な技術的な範囲をも当然に包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な第1実施形態である電気抵抗
測定装置を概略的に示す機構図である。
【図2】同電気抵抗測定装置の通電手段を概略的に示す
側面図である。
【図3】同電気抵抗測定装置の等価回路である。
【図4】同電気抵抗測定装置の通電手段の変形例を示す
側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態である電気抵抗測定装置
の等価回路である。
【図6】本発明の第4実施形態である電気抵抗測定装置
を概略的に示す機構図である。
【図7】本発明の第5実施形態である電気抵抗測定装置
を概略的に示す機構図である。
【図8】同電気抵抗測定装置の通電手段を示す側面図で
ある。
【図9】束状の炭素繊維について本発明の電気抵抗測定
を行った測定データの一例を示すグラフである。
【図10】図9と同じ焼成炉内に並べて焼成して製造し
た他の炭素繊維の測定データの一例を示すグラフであ
る。
【図11】炭素繊維の焼成条件を50m付近で変更開始
した測定データの一例を示すグラフである。
【図12】従来の電気抵抗測定装置の等価回路である。
【図13】従来の他の電気抵抗測定装置の等価回路であ
る。
【符号の説明】
1 導電性繊維 1a〜1c 導電性繊維の一部分 2 導電性繊維供給手段 2a,3a ,19 絶縁部材 3 導電性繊維引き取り手段 4 電流源 5,5a 電流計 5b 電流プローブ 6 電圧計 10,20,30,40 第1〜第4通電手段 11,21,31,41 接触子の役目をする金属ローラー 11a,21a,31a,41a 軸 12,22,32,42 ゴム張りローラー 12a,22a,32a,42a 軸 13 導電性板バネ 14,104 接続端子 15,16 軸受け 17,87 直線ガイド付きエヤーシリンダー 17a 可動部 17b シリンダー固定部 18,88 通電部架台 70,75 ガイドローラー 71〜74 接触子の役目をする金属ローラー 80 直線移動装置 81 接触子の役目をする通電部材 82 受け台 100 電気抵抗測定装置 103 ロータリーコネクター 106 サ−ボモーター 106a 回転軸 109 絶縁部材 I,I1 ,I2 電流 E 電圧 N1〜N4 導電性繊維の接触位置 R1a〜R1f 導電性繊維の抵抗値 R10〜R40 第1〜第4通電手段の接触抵抗 Rv 電圧計の内部抵抗
フロントページの続き Fターム(参考) 2G011 AA14 AB07 AC01 AC14 2G028 AA02 AA03 BF10 CG02 JP02 MS04 3B154 AA13 AA14 AB02 AB09 AB20 BA53 BB47 BB76 BC42 CA13 CA22 CA29 CA39 DA11 DA30

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維、繊維束状或いは繊維シート状の
    炭素繊維や金属繊維などからなる導電性繊維の長手方向
    の電気抵抗を非破壊的に連続して測定する電気抵抗測定
    方法であって、 所定の間隔を直列的に配された4つの第1〜第4通電手
    段に前記繊維を順次接触させて走行させること、 前記第1及び第4通電手段を介して前記繊維に電流を供
    給すること、 前記繊維に供給された前記電流を測定すること、 前記第1及び第4通電手段の間に配された第2及び第3
    通電手段を介して前記繊維に生じた電圧降下を測定する
    こと、 前記第2及び第3通電手段の間の前記繊維の電気抵抗値
    を、前記電圧降下に対応する電圧値と前記電流値との比
    から求めること、を含んでなることを特徴とする導電性
    繊維の電気抵抗測定方法。
  2. 【請求項2】 単繊維、繊維束状或いは繊維シート状等
    の炭素繊維や金属繊維などからなる導電性繊維の長手方
    向の電気抵抗を非破壊的に連続して測定する電気抵抗測
    定装置であって、 連続走行する前記繊維の走行路に所定の間隔をおいて順
    次配された4つの第1〜第4通電手段と、 前記第1及び第4通電手段を介して前記繊維に電流を供
    給する電流源と、 同電流源から前記第1〜第4通電手段に供給される電流
    を測定する電流計と、 前記第1及び第4通電手段の間に配された2つの前記第
    2及び第3通電手段を介して前記繊維に生じた電圧降下
    を測定する電圧計と、 前記電圧計により測定された電圧と前記電流計により測
    定された電流により、前記第2及び第3通電手段の前記
    繊維の電気抵抗値を演算する演算部と、を備えてなるこ
    とを特徴とする導電性繊維の電気抵抗測定装置。
  3. 【請求項3】 前記電流源は定電流源である請求項2記
    載の導電性繊維の電気抵抗測定装置。
  4. 【請求項4】 前記電流計は、回路中に接続端子を介し
    て直列的に接続することなく電流の測定が可能である電
    流プローブを備えた電流計である請求項2記載の導電性
    繊維の電気抵抗測定装置。
  5. 【請求項5】 前記通電手段は1個以上の接触子の役目
    をする金属ローラーを備えてなる請求項2記載の導電性
    繊維の電気抵抗測定装置。
  6. 【請求項6】 前記通電手段は走行する前記繊維の電気
    抵抗測定時に、同繊維に押付け接触させる機構と、繊維
    の走行速度と同一速度で繊維と共に移動する機構とを備
    えてなる請求項2記載の導電性繊維の電気抵抗測定装
    置。
  7. 【請求項7】 前記通電手段は走行する前記繊維の電気
    抵抗測定時に、同繊維の走行を停止させ、前記繊維に押
    付け接触させる機構を備えてなる請求項2記載の導電性
    繊維の電気抵抗測定装置。
  8. 【請求項8】 前記請求項2記載の電気抵抗測定装置が
    組み込まれてなることを特徴とする炭素繊維製造装置。
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