JP2001221004A - 膨張タービン - Google Patents

膨張タービン

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JP2001221004A
JP2001221004A JP2000031311A JP2000031311A JP2001221004A JP 2001221004 A JP2001221004 A JP 2001221004A JP 2000031311 A JP2000031311 A JP 2000031311A JP 2000031311 A JP2000031311 A JP 2000031311A JP 2001221004 A JP2001221004 A JP 2001221004A
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expansion turbine
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air
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Toshinori Okada
俊範 岡田
Makoto Ijiri
良 井尻
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多湿空気を作動流体とする膨張タービンにお
いて、羽根車内で凝縮を促進することにより凝縮潜熱を
発生させ、このエネルギ直接回転エネルギとして回収す
る。 【解決手段】 羽根車2の羽根を流れ方向に2分割し
て、流路の途中にスリット7を設ける。前段羽根5から
流出した空気は、スリット7を通過するときに凝縮し、
さらに後段羽根6に流入するとき後段羽根6の前縁部8
に衝突して、凝縮が発生する。凝縮潜熱が空気に与えら
れ、後段羽根6によってこのエネルギを羽根車2の動力
として回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却器、空気調和
機、ヒートポンプ等に使用されるターボチャージャー、
ガスタービン、エキスパンジョンタービン等の膨張ター
ビンにおける羽根車の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の半径流型膨張タービンを図13、
14に示す。膨張タービンは、周囲にノズルを有するケ
ーシング1内に羽根車2が収納されて構成され、その回
転軸3が軸受を介してケーシング1に回転自在に支持さ
れる。羽根車2には、流れ方向に沿って複数の羽根4が
円周方向に等間隔に形成され、羽根4の下流側では後ろ
向き羽根となっている。
【0003】そして、回転している膨張タービンに入っ
た空気等の気体は、まず外周側より回転中心に向かって
羽根4に沿って流れ、ついで90度方向を転換して、軸
方向に流出する。その間に、羽根車2を流れる空気は膨
張を続けるとともに羽根車2に回転エネルギを与えるこ
とにより、空気自身のエネルギが失われて温度が低下す
る。
【0004】羽根車2では、そのエネルギ変換効率を高
くするために、空気が剥離しないよう滑らかな形状に設
計されるとともに、ケーシング1との隙間を小さくし
て、空気の漏れを低減している。
【0005】このような従来の膨張タービンに多湿の空
気が流入した場合における空気中の水蒸気の状態変化お
よびP−v線図を図15に示す。図中の点aは膨張ター
ビン入口での状態、点bは膨張タービン出口での状態、
点cは膨張タービン流出後の状態、(a)の破線は飽和
蒸気圧線を示す。多湿の空気は、膨張タービン内で点a
〜bにおいて急激に断熱膨張し冷却される。膨張過程に
おいて飽和蒸気圧線を通過後は過飽和状態となり、膨張
タービンを流出した過飽和状態の空気は、点b〜cにお
いて点cの飽和状態へ移行する。その際に水蒸気の凝縮
が発生し、凝縮潜熱によって膨張タービン流出後の空気
の温度が上昇する。例えば膨張タービン入口での状態を
135kPa、50℃として、出口での状態を大気圧、
30℃まで膨張させるとき、水蒸気凝縮潜熱は、相対湿
度0%rhと100%rhを比較すると、相対湿度0%
rhの場合に空気が失うエネルギ量は、空気1kgあた
り20.1kJ/sに対して、相対湿度100%rhの
場合は、102.8kJ/sとなり、凝縮潜熱は非常に
大きいものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
膨張タービンでは、空気が膨張タービンを通過する間で
しか空気からエネルギを回収することができない。この
エネルギは、図15(b)のabdeで囲まれた領域の
面積で表される。すなわち、空気の膨張によるエネルギ
のみであり、凝縮は膨張タービンを流出した後に発生す
るので、この凝縮潜熱を直接回転エネルギとして回収す
ることはできなかった。
【0007】本発明は、上記に鑑み、羽根車内で空気の
疑縮を促進することにより凝縮潜熱を発生させ、この凝
縮潜熱のエネルギを直接回転エネルギとして回収するこ
とができる膨張タービンを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、湿った空気等を作動流体とする膨張タービンにお
いて、空気の断熱膨張によって発生するエネルギだけで
なく凝縮による潜熱のエネルギも回収して、エネルギ変
換効率を高くするために、従来羽根車内で回収できなか
った凝縮潜熱のエネルギを回収できるように、空気が流
れる流路の途中に空気を凝縮するための空間を設けたも
のである。
【0009】すなわち、羽根を分断するようにスリット
を複数設けることによって、流れ方向に複数の羽根が存
在することになり、流路の途中に羽根のない空間が形成
される。空気が羽根に沿って流れ、このスリットを通過
するとき、流れが乱れて空気中の水蒸気が衝突、集合し
て水滴が生じ、凝縮が発生する。そして、スリットを通
過した空気は、下流側の羽根の前縁に衝突して、さらに
凝縮が発生し、これらの凝縮潜熱が空気に与えられるの
で、空気のエンタルピが増加して、このエネルギが直接
回転エネルギとして羽根車に回収される。
【0010】ここで、さらにエネルギの変換効率を高め
るために、スリットを挟んで流れ方向上流側にある前段
羽根に対して流れ方向下流側にある後段羽根を回転方向
側にずらして配置する、後段羽根の枚数を前段羽根の枚
数より多くする、隣り合う後段羽根の間に後段羽根より
長さの短い短羽根を設けるといった対応が考えられる。
これらによって、前段羽根から流出した空気が後段羽根
に流入するときに、後段羽根の前縁あるいは短羽根に衝
突する機会が増え、これに伴って凝縮量が増加して、凝
縮潜熱のエネルギも増加し、回収できるエネルギの増大
を図れる。
【0011】また、後段羽根の子午面長さを前段羽根の
子午面長さよりも大とし、さらに前段羽根の子午面長さ
をスリットの子午面長さよりも大としておく。凝縮潜熱
のエネルギを効率よく回収するためには、後段羽根の子
午面長さを大きくする必要があり、スリットの子午面長
さが大きいと、この間でのエネルギロスが増えるので、
上記のように設定することにより、発生する凝縮潜熱の
エネルギを無駄なく回収することができる。
【0012】そして、シュラウド側ケーシングに、羽根
車内で気体の凝縮によって発生した水滴を排出するため
のドレン補集部を設けておくと、回転する羽根車の遠心
力によって外周方向に向かって流れる水滴がドレン補集
部によって集められ、外部へと排出される。したがっ
て、羽根車内から水滴を分離除去することができ、羽根
車の回転を水滴が邪魔することを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)第1実施形態の
膨張タービンを図1、2に示す。この膨張タービンの羽
根車2では、気体の流れ方向に沿って上流側に前段羽根
5、下流側に後段羽根6がそれぞれ同数形成され、両羽
根5、6の間にスリット7が形成されている。すなわ
ち、1つの羽根がその途中をスリット7によって分断さ
れた構造となっている。なお、気体の流れをスムーズに
するために、前段羽根5の断面形状は翼状とされ、後段
羽根6の上流部分である前縁部8は曲面状とされる。そ
の他の構成は従来のものと同じである。
【0014】このような構造の羽根車2に対して、空気
は外周方向より流入し、軸方向へ曲げられ、流出する。
このときの羽根車2に流入した多湿の空気が膨張タービ
ン内で膨張する際の圧力変化と水蒸気の状態変化を図3
に示す。ここで、L1、L2、L3はそれぞれ前段羽根
5、スリット7、後段羽根6の子午面長さ、点aは膨張
タービン入口での状態、点bは前段羽根5の出口での状
態、点cは後段羽根6の入口での状態、点dは膨張ター
ビン出口での状態、破線は飽和蒸気圧線を示す。
【0015】前段羽根5に沿って流入した多湿空気は、
点a〜bにおいて膨張することにより羽根車2に回転エ
ネルギを与える。その際、空気はエネルギを失って温度
が低下し、空気中の水蒸気分圧がその圧力、温度での飽
和水蒸気圧より低下し、飽和蒸気圧線を横切って理論的
な湿り域に入っても、凝縮水滴が発生せず乾き空気の性
質を有した非平衡状態となり、湿り空気温度がその圧力
での飽和温度よりも低い点bの過冷却状態で前段羽根5
より流出する。
【0016】前段羽根5から流出した空気は、スリット
7へ流入し、前段羽根5の拘束が無くなるため流線は回
転方向ヘ曲がる。また、前段羽根5には圧力面9と負圧
面10があり、両者の圧力差が存在するため、前段羽根
5から流出した直後に隣接する流路間の圧力面9側の空
気が負圧面10側へ向かって流れ、隣接する流路間の空
気が混合する。前段羽根5からの流出後に、これらの大
きな流れの乱れが存在することによって、空気中の微少
な水蒸気の水滴が衝突し集合して、この水滴が大きくな
り、非平衡状態が破られ、水蒸気の凝縮が発生する。ス
リット7を通過した空気は、凝縮しながら後段羽根6へ
流入する。その際、後段羽根6の前縁部8に空気が衝突
するため、後段羽根6の前縁部8においても凝縮が発生
する。点b〜c間の状態変化は、上記のように行われ、
図1、2中の1点鎖線Aで示す箇所、つまりスリット7
と後段羽根6の前縁部8との2箇所で発生した凝縮潜熱
が空気に与えられ、空気の圧力、温度、体積が増加し、
点cの状態となる。凝縮潜熱を受け取った空気は、後段
羽根6を通過する間に前段羽根5を通過するときと同様
に、点c〜dにおいて再び膨張し、羽根車2を回転させ
るための動力として回転エネルギを羽根車2に与えて、
膨張タービンから流出する。
【0017】図4は上記の膨張タービンのT−s線図と
P−v線図を示す。P1は膨張タービン入口での圧力、
P2は前段羽根5流出直後の圧力、P3は後段羽根6の
入口での圧力、P4は後段羽根6の出口での圧力を示
す。点eは、従来の膨張タービンの出口での状態であ
る。本発明の膨張タービンで回収されるエネルギは、a
bcdhfで囲まれた領域の面積で表され、従来の膨張
タービンで回収されるエネルギはabegfで囲まれた
領域の面積で表される。このように、従来の膨張タービ
ンに比べ、明らかに本発明の膨張タービンで回収できる
エネルギの方が多い。上記のように羽根車2にスリット
7を設けた結果、後段羽根6で凝縮潜熱のエネルギを回
収することができ、従来よりも回収できるエネルギが増
加する。
【0018】ところで、水蒸気の凝縮は、前段羽根5を
流出直後および後段羽根6の前縁部8の2箇所において
集中的に発生する。そのため、後段羽根6の前縁部8で
は、発生した水滴が衝突し、エロージョンによる損傷が
発生する。このようなエロージョンを防止するために、
図5に示すように前縁部8にエロージョン防止用シール
ド材11を設ける。シールド材11としては、12Cr
系合金鋼、ステライト、チタン合金等を用い、溶射ある
いは肉盛溶接等によって前縁部8を膜状に被覆したり、
シールド材11を羽根の形状に合わせて成形して接合す
る。これによって、後段羽根6の前縁部8に生じるエロ
ージョンによる損傷を防止でき、羽根の寿命を長くする
ことができる。
【0019】また、一般的に半径流型膨張タービンによ
って得られるエネルギは、周速度の差に影響を受ける。
後段羽根6で発生する凝縮潜熱エネルギを回収するため
には、まず羽根車2の回転数と必要な後段羽根6の前縁
の直径D3が定まり、後段羽根6で回収する凝縮潜熱の
エネルギ量は、前段羽根5の前縁の直径D1、前段羽根
5の後縁の直径D2から定まる。図6に示すように、L
1、L2、L3をそれぞれ前段羽根5の子午面長さ、後
段羽根6の子午面長さ、スリット7の子午面長さとする
と、前段羽根5および後段羽根6で回収されるエネルギ
は、凝縮潜熱の発生があるため後者の方が大きくなるの
で、L1<L2とする。これは、L1>L2とした場合
には、前段羽根5から流出後に発生する凝縮潜熱のエネ
ルギを後段羽根6で回収するだけの能力が無くなり、回
収エネルギがL1<L2とした場合よりも減少する。ま
た、L3が大きいと、スリット7で発生する損失が大き
くなるため、L1>L3とするのが望ましい。したがっ
て、L1<L2、L1>L3となるよう構成することに
より、発生する凝縮潜熱のエネルギを無駄なく回収する
ことができる。
【0020】(第2実施形態)本実施形態では、図7に
示すように、前段羽根5と後段羽根6の枚数は等しい
が、各羽根5、6の配置が異なっている。すなわち、前
段羽根5の外周直径D1の円周上における前段羽根5の
ピッチをp1、後段羽根6のピッチをp2とすれば、p
1=p2であり、p2の位相はp1の位相に対して0〜
1/2ピッチだけ回転方向側に後段羽根6がずらして設
置される。その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0021】後段羽根6の位相を前段羽根5の位相と等
しくすると、前段羽根5から流出した空気が後段羽根6
の前縁部8に衝突せずに後段羽根6へ流入する場合があ
るため、後段羽根6の前縁部8での凝縮が発生する確率
が低くなり、後段羽根6を通過するときに羽根車2に与
えられるエネルギが小さくなるおそれがある。しかし、
後段羽根6の位相を前段羽根5の位相と0〜1/2ピッ
チずらすことによって、空気が後段羽根6の前縁部8に
衝突する確率が高くなり、前縁部8での水蒸気の凝縮が
増加して、後段羽根6での回収エネルギを増加させるこ
とができる。
【0022】(第3実施形態)本実施形態では、図8に
示すように、羽根車2の前段羽根5の枚数Z1は、羽根
車2内部の速度分布を考慮し、羽根面上に逆流が発生し
ないよう決定されており、後段羽根6の羽根枚数Z2
は、前段羽根5の羽根枚数より多く設定されている。後
段羽根6の羽根枚数Z2は、多くしすぎると摩擦損失の
増大、流路断面積の減少があるため、羽根の厚さt、後
段羽根6の前縁の直径D3から制限されるが、少なくと
も後段羽根6の羽根枚数は、前段羽根5の羽根枚数と等
しいか、それ以上とされる。その他の構成は第1実施形
態と同じである。
【0023】後段羽根6の羽根枚数Z2を前段羽根5の
羽根枚数Z1より多くすることにより、後段羽根6へ流
入する空気が増加するとともに、後段羽根6の前縁部8
の衝突により発生する水蒸気の凝縮が増加して、凝縮潜
熱のエネルギが増大する。また、一般的に膨張タービン
の羽根枚数は2次流れに対する考慮から理想的には多け
れば多いほど良いことが知られており、後段羽根6を前
段羽根5より多くすることで、後段羽根6の羽根枚数Z
2が前段羽根5の羽根枚数Z1と等しいか、もしくは少
ない場合と比べて、凝縮潜熱を受け取って流入してくる
空気からその膨張による回転エネルギの回収を増大する
ことができる。
【0024】(第4実施形態)本実施形態では、図9に
示すように、後段羽根6が前段羽根5より多く設けら
れ、前段羽根5の後縁と羽根車2中心を結ぶ直線をLi
ne1、後段羽根6の前縁と羽根車2中心を結ぶ直線を
Line2として、両直線の重なる箇所が最少となるよ
うに、前段羽根5と後段羽根6の位相をずらしている。
この位相のずれは、前段羽根5のピッチp1(>p2)
の0〜1/2とする。Line1とLine2が重なる
箇所では、前段羽根5から流出した空気が、後段羽根6
の前縁部8に衝突せずに後段羽根6へ流入する場合があ
るため、前縁部8での凝縮が発生せず、後段羽根6を通
過するときに羽根車2に与えられるエネルギが小さくな
る。そこで、Line1とLine2が重なる箇所が最
少となるように、前段羽根5と後段羽根6の位相をずら
すことによって、凝縮が発生しない箇所を最少にするこ
とができ、後段羽根6の前縁部8での水蒸気の凝縮が効
率よく行われ、後段羽根6での回収エネルギを最大にす
ることができる。
【0025】(第5実施形態)本実施形態では、図10
に示すように、隣り合う後段羽根6の間に後段羽根6よ
り長さの短い短羽根12を設置する。後段羽根6と前段
羽根5の枚数は同じで、それぞれのピッチの位相が1/
2ずれて配置され、短羽根12は前段羽根5と対向する
ように同ピッチで配置されている。その他の構成は第1
実施形態と同じである。なお、後段羽根6の配置は任意
としてもよく、さらに前段羽根5より多くてもよい。
【0026】後段羽根6の間に短羽根12を設置したこ
とによって、スリット7を通過した空気が短羽根12の
前縁に衝突し、空気中の水蒸気の凝縮が発生し、短羽根
12を設置していない場合に比べて水蒸気の凝縮が増加
する。また、スリット7で空気は非常に乱されて、後段
羽根6へ流入するが、短羽根12によってその流れが整
流されると同時に、短羽根12は後段羽根6の羽根長さ
より短いため、後段羽根6下流での有効断面積が減少す
ることが無く、短羽根12の分だけ羽根枚数が増加した
ことにより後段羽根6へ流入した空気から回収できるエ
ネルギが増加する。このように短羽根12を設置したこ
とにより、凝縮量の増加、流れの整流効果、羽根枚数の
増加といった効果は得られ、これらの効果によって回収
するエネルギの増大を図ることができる。
【0027】また、図11に示すように、短羽根12を
後段羽根6の前縁より流れ方向下流側に設置する。この
ように設置することにより、後段羽根6の前縁部8で凝
縮潜熱のエネルギが発生した後に空気は短羽根12へ流
入することになり、空気が膨張して短羽根12に回転エ
ネルギを与えることができる。そのため、後段羽根6と
同一円周上に配置する場合に比べて後段羽根6の前縁部
8で発生した凝縮潜熱のエネルギを効率よく回収するこ
とができる。
【0028】(第6実施形態)羽根車2内には、スリッ
ト7および後段羽根6の前縁部8で発生した水滴、その
他に羽根面、羽根車2の壁面等で発生した水滴、また膨
張タービンの入口から予め流入してくる水滴が存在す
る。羽根車2内の微少な水滴は、通常、空気の流れに沿
って羽根車2外へ排出されるが、微少な水滴が集合した
大きな水滴は空気よりも質量が大きく、水滴に作用する
回転による遠心力も大きくなるため、気流から外れて外
周方向へ流れていく。その水滴は遠心力と空気の流れに
よって羽根車2内を循環するため、このときに水滴に作
用するエネルギが損失となる。ところで、水滴が発生す
る箇所はスリット7および後段羽根6の前縁部8より下
流であり、この下流側では羽根車2内の流れは軸方向へ
曲がっているため、水滴は自然に遠心力によってシュラ
ウド13側へ流れていく。
【0029】そこで、本実施形態では、図12に示すよ
うに、シュラウド13側のケーシング1に水滴を回収す
るドレン補集部14を設ける。ドレン補集部14は、後
段羽根6に対向するケーシング1を貫通する複数の孔と
され、膨張タービンの外部に通じている。あるいは、羽
根車2を取り囲むようにケーシング1に溝を設け、この
溝に排水用の孔を外部に通じるように形成してもよい。
その他の構成は上記の各実施形態と同じである。
【0030】これによって、遠心力で外周へ流される水
滴は、ドレン補集部14に導かれ、膨張タービンの外部
へと排出され、気流から効果的に分離、除去することが
できる。したがって、水滴によるエネルギ損失の低減を
図れ、羽根車2のコロージョン、エロージョンによる損
傷も回避することができる。
【0031】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多く
の修正および変更を加え得ることは勿論である。上記実
施形態では、羽根車の羽根を2つに分断したが、スリッ
トを2つ以上設けて、羽根を3つ以上に分断してもよ
い。また、スリットを同一円周上に沿って形成する代わ
りに、流れ方向に沿ってずらして設けてもよく、さらに
羽根毎にスリットが1つのものと2つのものとを組み合
わせてもよい。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
よると、羽根車の羽根の途中にスリットを設けて、羽根
車内で高湿空気の凝縮を促進することにより、羽根車内
での空気の過冷却を無くし、凝縮潜熱を発生させること
ができ、従来の膨張タービンでは回収できなかった凝縮
潜熱のエネルギを直接回転エネルギとして回収すること
ができ、大幅な回収エネルギの増大が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の膨張タービンの要部断
面図
【図2】羽根車の要部平面図
【図3】(a)は流れ方向における高湿空気の圧力変化
を示す図、(b)は空気中の水蒸気の状態変化を示す図
【図4】(a)は膨張タービンのT−s線図、(b)は
P−v線図
【図5】後段羽根の前縁部の拡大図
【図6】羽根車の各羽根の子午面長さを示す図
【図7】第2実施形態の羽根車の要部平面図
【図8】第3実施形態の羽根車の要部平面図
【図9】第4実施形態の羽根車の要部平面図
【図10】第5実施形態の羽根車の要部平面図
【図11】他の形態の羽根車の要部平面図
【図12】第6実施形態の膨張タービンの要部断面図
【図13】従来の膨張タービンの要部断面図
【図14】従来の羽根車の要部平面図
【図15】(a)は空気中の水蒸気の状態変化を示す
図、(b)は膨張タービンのP−v線図
【符号の説明】
1 ケーシング 2 羽根車 5 前段羽根 6 後段羽根 7 スリット 8 前縁部 11 シールド材 12 短羽根 14 ドレン補集部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 羽根車の回転により流入した気体を断熱
    膨張させ、気体を冷却する膨張タービンにおいて、前記
    羽根車の羽根を気体の流れ方向に沿って分断するスリッ
    トが複数形成されたことを特徴とする膨張タービン。
  2. 【請求項2】 スリットを挟んで流れ方向上流側にある
    前段羽根に対して流れ方向下流側にある後段羽根が回転
    方向側にずらして配置されたことを特徴とする請求項1
    記載の膨張タービン。
  3. 【請求項3】 スリットを挟んで流れ方向下流側にある
    後段羽根の枚数は、流れ方向上流側にある前段羽根の枚
    数より多くされたことを特徴とする請求項1記載の膨張
    タービン。
  4. 【請求項4】 前段羽根の後縁部と対向する後段羽根が
    最小となるように、前段羽根と後段羽根とはずらして配
    置されたことを特徴とする請求項3記載の膨張タービ
    ン。
  5. 【請求項5】 隣り合う後段羽根の間に後段羽根より長
    さの短い短羽根が設けられたことを特徴とする請求項2
    または3記載の膨張タービン。
  6. 【請求項6】 短羽根は、その前縁部が後段羽根の前縁
    部よりも下流側に位置するように配置されたことを特徴
    とする請求項5記載の膨張タービン。
  7. 【請求項7】 後段羽根の子午面長さは前段羽根の子午
    面長さよりも大とされたことを特徴とする請求項2また
    は3記載の膨張タービン。
  8. 【請求項8】 前段羽根の子午面長さはスリットの子午
    面長さよりも大とされたことを特徴とする請求項7記載
    の膨張タービン。
  9. 【請求項9】 後段羽根の前縁部分にエロージョン防止
    用のシールド材が設けられたことを特徴とする請求項2
    または3記載の膨張タービン。
  10. 【請求項10】 シュラウド側ケーシングに、羽根車内
    で気体の凝縮によって発生した水滴を排出するためのド
    レン補集部が設けられたことを特徴とする請求項2また
    は3記載の膨張タービン。
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