JP2001219704A - ディスクホイール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小入力時から大入力時に至るまで、耐久性お
よび安全性を損なうことなく乗り心地性能、防振性能お
よび防音性能の向上を図ったディスクホイールを提供す
る。 【解決手段】 車軸ハブに固着されるディスク１と、タ
イヤを支承するリム２とを備えたディスクホイールにお
いて、ディスク１の、前記車軸ハブが当接される当たり
面領域にゴム弾性体３が装着されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両の車輪に用い
られるディスクホイールに関し、詳しくは安全性を損な
うことなく、乗り心地性能、防振性能および防音性能の
向上を実現したディスクホイールに関する。

【０００２】

【従来の技術】ディスクホイールは、一般に車軸ハブに
固着されるディスクとタイヤを支承するリムとを備えて
おり、かかるディスクとリムとの間に防振体を設け、防
振性能や乗り心地性能を高めたディスクホイールはこれ
まで種々提案されている。例えば、実開昭５９−１８８
７０１号公報には、防振体としてバネを用いて乗り心地
の向上を図ったタイヤ用ホイールが提案されている。

【０００３】また、防振体としてゴムを使用し、これを
リムとディスクとの間に配置したものも知られており、
例えば、実開昭５７−７３２０３号公報に、リムがゴム
様弾性体を介してディスクに連結される構成のディスク
ホイールが提案されている。さらに、特開平５−３３８
４０１号公報には、リムとディスクホイールとの間に隙
間を形成し、そこに防振ゴムを介装させたディスクホイ
ールが開示されている。さらにまた、ＷＯ９８３３６６
６号公報には、リムと同一プロファイルを有する内側リ
ムとリムとの間にゴムの環状ストリップを配置したホイ
ール・バリア組立体が開示されている。

【０００４】さらに、車体ハブとディスクホイールとの
間にゴムなどの緩衝体を介在させることにより振動を吸
収するディスクホイールの取付機構も提案されている
（実開昭５９−８３１０２号公報）

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、防振体
としてゴムを使用し、これをリムとディスクとの間に一
様に配置した従来のディスクホイールにおいては、リム
の内周面とディスクの外周面との間に夫々に加硫接着さ
れたゴム弾性体が配設されているため、このゴム弾性体
によりリムからディスクに伝わる軸方向、径方向および
回転方向の各振動を的確に抑制することができるもの
の、大荷重時のゴム弾性体の変位を抑制することはでき
ないという問題があった。すなわち、ゴムの断面が一様
であり、小入力時から大入力時まで夫々において適切な
振動防止特性を得ることが困難であった。この点につい
て、防振体としてバネを用いても同様の問題があった。

【０００６】また、大入力等によりゴム弾性体等が破壊
した場合には、リムが脱落し、自動車事故につながるお
それがあるという問題があった。

【０００７】さらに、車体ハブとディスクホイールとの
間にゴムなどの緩衝体を介在させるディスクホイールの
取付機構においては、タイヤ軸方向の振動吸収には効果
があるものの、タイヤ半径方向の振動吸収に対しては十
分とはいえなかった。

【０００８】そこで本発明の目的は、小入力時から大入
力時に至るまで、耐久性および安全性を損なうことなく
乗り心地性能、防振性能および防音性能の向上を図った
ディスクホイールを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、防振体と
してのゴム弾性体の特徴を活かしつつ前記課題を解決す
べく鋭意検討した結果、以下の構成とすることにより前
記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明のディスクホイールは下記に示す
通りである。

【００１０】〈１〉車軸ハブに固着されるディスクと、
タイヤを支承するリムとを備えたディスクホイールにお
いて、前記ディスクの、前記車軸ハブが当接される当た
り面領域にゴム弾性体が装着されていることを特徴とす
るディスクホイールである。

【００１１】〈２〉前記〈１〉のディスクホイールにお
いて、前記ゴム弾性体の、前記車軸ハブが当接される当
たり面領域に、該領域と略同径の円板が同心円状に接着
されており、該円板に、前記ディスクに設けられたハブ
のボルト挿入用穴部に対応する穴部が穿設されているデ
ィスクホイールである。

【００１２】〈３〉前記〈２〉のディスクホイールにお
いて、前記ディスクに設けられたハブのボルト挿入用穴
部の径が、前記円板に穿設されたハブのボルト挿入用穴
部の径よりも大きくなっているディスクホイールであ
る。

【００１３】〈４〉前記〈１〉〜〈３〉のいずれかのデ
ィスクホイールにおいて、前記ゴム弾性体が前記ディス
クのボルト挿入用穴部の内周面に延在するディスクホイ
ールである。

【００１４】〈５〉前記〈１〉〜〈４〉のいずれかのデ
ィスクホイールにおいて、前記ゴム弾性体が前記ディス
クに接着されているディスクホイールである。

【００１５】〈６〉前記〈１〉〜〈４〉のいずれかのデ
ィスクホイールにおいて、前記ゴム弾性体が前記ディス
クに、取付板を介して取外し自在に装着されているディ
スクホイールである。

【００１６】前記〈１〉〜〈６〉の発明は以下の作用効
果を奏する。前記〈１〉の発明により、ゴム弾性体の剪
断変形で振動を吸収し、乗り心地性能、防振性能および
防音性能の向上を図ることができ、たとえゴム弾性体が
破壊した場合でも脱輪することはない。また、防音性能
については１００Ｈｚ以上の高周波数領域の防音に極め
て効果的である。

【００１７】前記〈２〉の発明により、円板がタイヤ軸
方向の圧力を均一に分散させ、振動吸収の機能を高める
ことができる。

【００１８】前記〈３〉の発明により、ハブに取付けら
れたボルトとゴム弾性体との間に隙間が形成され、該ゴ
ム弾性体の剪断変形を効果的に生じさせることができ、
前記作用効果をより良好に得ることができる。

【００１９】前記〈４〉の発明により、ディスクのボル
ト挿入用穴部の内周面に延在するゴム弾性体が大入力に
対するストッパとしての役割を果たすことができる。

【００２０】前記〈５〉の発明により、例えば加硫接着
などの手段を用いることにより、ゴム弾性体をディスク
に強固に接着させることができる。

【００２１】前記〈６〉の発明により、ゴム弾性体が損
傷したときにはその部分だけの交換が可能となる。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
説明する。図１に示す本発明の一実施の形態に係るディ
スクホイールは、基本構造として、車軸ハブ（図示せ
ず）に固着されるディスク１とタイヤを支承するリム２
とを備えている。ディスク１とリム２とは溶接等による
結合構造でも、あるいは鋳造や鍛造によって一体的に成
型されたワンピース構造であってもよい。また、リム２
とディスク１とをスポークで結んだ組立て式のスポーク
ホイールも含まれる。さらに、ディスク１の材質は、ス
チール、アルミニウム、マグネシウム、合成樹脂等、い
ずれの材質でもよく、特に制限されるべきものではな
い。

【００２３】ディスク１は、車軸ハブが当接される当た
り面領域にゴム弾性体３が装着されており、このゴム弾
性体３の車軸ハブ当接面領域に、この領域と略同径の円
板４が加硫接着等の接着手段により同心円状に接着さ
れ、ゴム弾性体３への圧力分散を均一化させている。こ
の円板４にはディスク１に設けられたハブのボルト挿入
用穴部５ａに対応する穴部５ｂが穿設されている。円板
４の材質及びタイヤ軸方向の厚さ等は特に制限されるべ
きものではないが、ディスク１の材質と同じ材質とする
ことが強度等の面で好ましい。なお、図１は、図２に示
す円板４のＡ−Ａ線に沿う断面を示すものである。

【００２４】図１に示す好適例では、例えば、加硫接着
等の接着手段により接着されたゴム弾性体３がハブのボ
ルト挿入穴部５ａおよびハブの軸部挿入穴部５を除くデ
ィスク１の当たり面領域に一様に配設されているが、軸
方向の厚さおよび適用領域は用途等に応じ適宜定めるこ
とができ、例えば、ゴム弾性体３をハブのボルト挿入用
穴部５ａの周辺領域のみに配設するこもできる。

【００２５】車軸ハブ当接面領域のゴム弾性体３に接着
された円板４には、ディスク１に設けられたハブのボル
ト挿入用穴部５ａに対応する穴部５ｂが穿設されている
が、ディスク１の穴部５ａの径の方を円板４の穴部５ｂ
の径よりも若干大きくすることが好ましい。このように
することで、図３に示すように、ハブ１０のボルト１１
とゴム弾性体３との間に隙間Ｓが形成され、ゴム弾性体
３の剪断変形を効果的に生じさせることが可能となる。
また、図３に示すように、ゴム弾性体３とボルト１１に
螺着されるナット１２との間にも若干の隙間Ｗを設ける
ことが好ましく、これによってもゴム弾性体３の変形を
より効果的に生じさせることが可能となる。

【００２６】また、図１に示すように、ゴム弾性体３を
ディスク１のボルト挿入用穴部５ａの内周面全体に延在
させることが好ましく、この内周面に延在するゴム弾性
体に大入力に対するストッパとしての役割を持たせるこ
とができる。なお、図１に示すように、ゴム弾性体３は
穴部５ａの内周面を超えてディスク１の軸方向外側面の
穴部５ａの周辺にまで存在するが、このようにすること
により、ディスク１とゴム弾性体３との接着をより強固
なものとすることができる。

【００２７】図４に示す本発明の他の一実施の形態に係
るディスクホイールは、車軸ハブが当接される当たり面
領域に装着されるゴム弾性体３を取付板６を介して取外
し自在にしたものである。即ち、図示する好適例のよう
に、ゴム弾性体３を円板４と取付板６との間に挟持せし
めることにより取外し自在にしたものである。

【００２８】取付板６には、図５に示すように、ハブの
ボルト挿入用穴部５ｃおよび軸部挿入用穴部５の他に同
心円状に複数（図示する例では４個）の取付用穴部７が
穿設されている。ディスク１にも対応する穴部を設け、
例えば、これら穴部を介して図４に示すようにゴム弾性
体３中に埋め込まれたボルト８をナット９でねじ止めす
ることにより取外し自在とすることが可能となる。な
お、図４は、図５に示す取付板６のＢ−Ｂ線に沿う断面
を示すものである。

【００２９】ゴム弾性体３は、図示するように、ハブの
ボルト挿入用穴部５ａの内周面に延在させることによ
り、前記好適例の場合と同様に、大入力に対するストッ
パとしての役割を持たせることができる。但し、取外し
自在とするために、ゴム弾性体３は、穴部５ａの内周面
を超えてディスク１の軸方向外側面の穴部５ａの周辺に
までは存在しないようにする。なお、円板４の構造等に
ついては前記好適例の場合と同様である。

【００３０】本発明において使用し得るゴム弾性体は、
防振ゴムとして既知のものを用いることができ、天然ゴ
ムや合成ゴム、例えば、ブタジエンゴム、スチレンブタ
ジエン共重合体ゴム、ブチルゴム等のジエン系ゴムに適
宜配合剤、例えば、硫黄、加硫促進剤、老化防止剤、カ
ーボンブラック等を適宜配合することにより調製するこ
とができる。

【００３１】上述の本発明の好適実施の形態に係るディ
スクホイールは、いずれも小入力時には振動を吸収し、
かつ大入力時には大変形を抑制することができることが
確かめられた。また、たとえ限界を超えた大入力等によ
りゴム弾性体が破壊した場合でも、脱輪することはな
い。以上の結果、小入力時から大入力時に至るまで、耐
久性および安全性を損なうことなく乗り心地性能、防振
性能および防音性能の向上を図ることができる。

【００３２】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のディ
スクホイールは、小入力時から大入力時に至るまで、耐
久性および安全性を損なうことなく乗り心地性能、防振
性能および防音性能の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態に係るディスクホイール
の断面図である。

【図２】円板の平面図である。

【図３】本発明の一実施の形態に係るディスクホイール
をハブに取り付けた様子を示す拡大部分断面図である。

【図４】本発明の他の実施の形態に係るディスクホイー
ルの断面図である。

【図５】取付板の平面図である。

【符号の説明】

１ ディスク ２ リム ３ ゴム弾性体 ４ 円板 ５，５ａ，５ｂ 穴部 ６ 取付板 ７ 取付用穴部 ８，１１ ボルト ９，１２ ナット １０ ハブ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車軸ハブに固着されるディスクと、タイ
   ヤを支承するリムとを備えたディスクホイールにおい
   て、 前記ディスクの、前記車軸ハブが当接される当たり面領
   域にゴム弾性体が装着されていることを特徴とするディ
   スクホイール。
2. 【請求項２】 前記ゴム弾性体の、前記車軸ハブが当接
   される当たり面領域に、該領域と略同径の円板が同心円
   状に接着されており、該円板に、前記ディスクに設けら
   れたハブのボルト挿入用穴部に対応する穴部が穿設され
   ている請求項１記載のディスクホイール。
3. 【請求項３】 前記ディスクに設けられたハブのボルト
   挿入用穴部の径が、前記円板に穿設されたハブのボルト
   挿入用穴部の径よりも大きくなっている請求項２記載の
   ディスクホイール。
4. 【請求項４】 前記ゴム弾性体が前記ディスクのボルト
   挿入用穴部の内周面に延在する請求項１〜３のうちいず
   れか一項記載のディスクホイール。
5. 【請求項５】 前記ゴム弾性体が前記ディスクに接着さ
   れている請求項１〜４のうちいずれか一項記載のディス
   クホイール。
6. 【請求項６】 前記ゴム弾性体が前記ディスクに、取付
   板を介して取外し自在に装着されている請求項１〜４の
   うちいずれか一項記載のディスクホイール。