JP2001217193A - AlNバッファ層の作成方法、AlNバッファ層、GaN単結晶膜の作成方法およびGaN単結晶膜 - Google Patents

AlNバッファ層の作成方法、AlNバッファ層、GaN単結晶膜の作成方法およびGaN単結晶膜

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JP2001217193A
JP2001217193A JP2000023488A JP2000023488A JP2001217193A JP 2001217193 A JP2001217193 A JP 2001217193A JP 2000023488 A JP2000023488 A JP 2000023488A JP 2000023488 A JP2000023488 A JP 2000023488A JP 2001217193 A JP2001217193 A JP 2001217193A
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Toshiro Furutaki
敏郎 古滝
Yoichi Yaguchi
洋一 矢口
Kazuhiko Sunakawa
和彦 砂川
Hiroaki Toshima
博昭 戸嶋
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Namiki Precision Jewel Co Ltd
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Namiki Precision Jewel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板温度を低温に保ち、安全で、製品品質を
向上させることのできるAlNバッファ層の作成方法お
よびGaN単結晶膜の作成方法を提供すること。 【解決手段】 AlNバッファ層の作成方法は、電気炉
10によりサファイヤ基板9を所定温度に加熱する加熱
工程と、サファイヤ基板9の周囲にボンベ7により所定
濃度のN2−H2ガスを供給するN2−H2ガス供給工程
と、N2−H2ガスを含みサファイヤ基板9の周囲におい
てプラズマを発生させるプラズマ発生工程と、を含む。
また、GaN単結晶膜作成方法は、電気炉10によりAl
Nバッファ層を有するサファイヤ基板9を所定温度に加
熱する加熱工程と、サファイヤ基板9の周囲にボンベ6
により所定濃度のTMGガスを供給するTMGガス供給
工程と、TMGガスを含みサファイヤ基板9の周囲にお
いてプラズマを発生させるプラズマ発生工程と、を含
む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
(以降においてAlNと称することとする)バッファ層
の作成方法、AlNバッファ層、窒化ガリウム(以降に
おいてGaNと称することとする)単結晶膜の作成方法
およびGaN単結晶膜に関し、特に、プラズマCVD法
を用いたAlNバッファ層の作成方法、AlNバッファ
層、GaN単結晶膜の作成方法およびGaN単結晶膜に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、GaNに代表されるIII族窒化
物半導体や窒化ガリウム系化合物半導体等(以降におい
てGaN等と称することとする)は、青色発光素材とし
て特に注目を集めている。従来では、青色発光素材とし
てのGaN等は、熱CVD法によりサファイヤ基板表面
にエピタキシャル成長させることにより得ていた。ま
た、この際、GaN等を良好にエピタキシャル成長させ
るために、サファイヤ基板にバッファ層を設けていた。
【0003】バッファ層は、サファイヤ(Al2O3)と
GaN等の格子定数の相違に由来するエピタキシャル成
長の困難性を緩衝することを目的として設けられるもの
であり、GaN等をサファイヤ基板にエピタキシャル成
長させるためのバッファ層としては、AlNとGaNとの
2種類が知られている。以降において、AlNのバッフ
ァ層をAlNバッファ層と、GaNのバッファ層をGaN
バッファ層と称することとする。
【0004】従来では、これらのバッファ層は熱CVD
法により作成され、このうちAlNバッファ層について
は、サファイヤ基板をTMAl(テトラメチルアルミニ
ウム:(CH3)3Al)ガスにさらし、1500K程度の高
温に加熱して作成していた。また、GaNバッファ層に
ついてはTMG(トリメチルガリウム:Ga(CH3)
3)ガスを用いて、まず800K程度の温度でサファイヤ基
板上にGaNを多結晶に成長させ、その後1500K程度の
高温に加熱して再結晶化させて作成していた。
【0005】従来ではこのように、サファイヤ基板表面
にバッファ層を設けて、GaN等をエピタキシャル成長
させやすくし、これによりGaN等の良質な単結晶膜を
作成していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術では以下の問題点があった。AlNバッファ層を作
成する場合は、必ずTMAlガスを使用する必要がある
が、このTMAlガスはきわめて有毒なガスであり、か
つ、常温大気中で自然に燃焼(発火)するので、取り扱
いが極めて困難であるという問題点があった。
【0007】また、従来では、GaN等の単結晶膜を熱
CVD法により得ているが、熱CVD法では熱ひずみに
よるサファイヤ基板の反り返りが発生する。すなわち、
熱CVD法を採用する結果、基板および基板周囲を1300
K程度に加熱する必要性があるため、GaNの熱膨張係
数が700K程度の転移点で断続的に変化し(転移点以上
で7.75×10-6/K、転移点未満で3.17×10-6/K)、基
板温度が室温まで降下する過程において、薄厚基板に応
力が発生し、基板が反り返ってしまう。
【0008】図10は、サファイヤ基板の反り返りを示
す概念図であり、同図(a)(b)はそれぞれ単結晶膜
成長前後のサファイヤ基板の断面を示している。なお、
図において20はサファイヤ基板を、21はGaN等の
単結晶膜を示す。
【0009】また、バッファ層としてGaNバッファ層
を用いる場合は、AlNバッファ層を用いる場合に比し
て膜厚が大きくなるため、この傾向が更に強まる。この
反り返りは、基板を微少チップに分断する際など、その
後の工程に不具合を生じさせる場合があり、製品品質を
低下させるという問題点があった。
【0010】また、青色発光素子として注目されるGa
N等は、今後の適用範囲の拡大により、複合素子として
用いられることが想定される。例えば、ある素子(ここ
ではベース素子と称することとする)を形成した後に、
GaN等を積層させて複合素子を作成する場合が想定さ
れる。このとき、GaN等を積層させる際に従来と同様
に熱CVD法により1300K程度の高温にしなければなら
ないとすると、ベース素子を損傷させてしまうことが考
えられる。
【0011】また、有機化合物が含まれているようなベ
ース素子であると、もともと1300Kの温度に耐えること
ができない。したがって、基板温度を熱CVD法の様な
高温でなく、より低い温度範囲に保ちながらGaN等を
エピタキシャル成長させたいという要請が存在する。
【0012】本発明は上記に鑑みてなされたものであっ
て、基板温度を低温に保ち、安全で、製品品質を向上さ
せることのできるAlNバッファ層作成方法およびGaN
単結晶膜作成方法を提供することを目的とする。
【0013】また、同時に良質なAlNバッファ層およ
びGaN単結晶膜を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係るAlNバッファ層の作成方法は、
サファイヤ基板を所定温度に加熱する加熱工程と、前記
サファイヤ基板の周囲に所定濃度のN2−H2ガスを供給
するN2−H2ガス供給工程と、前記N2−H2ガス供給工
程で供給したN2−H2ガスを含み、前記加熱工程で加熱
したサファイヤ基板の周囲においてプラズマを発生させ
るプラズマ発生工程と、を含むことを特徴とする。この
発明によれば、有毒ガスであるTMAlを使用しなくて
すみ、また、サファイヤ基板の表面状態をそのまま反映
させて当該表面自体をAlNバッファ層とすることがで
きる。
【0015】また、請求項2に係るAlNバッファ層の
作成方法は、請求項1に記載のAlNバッファ層の作成
方法において、前記加熱工程における前記所定温度を40
0K以上600K以下とすることを特徴とする。
【0016】また、請求項3に係るAlNバッファ層
は、請求項1または2に記載のAlNバッファ層の作成
方法により作成されたことを特徴とする。
【0017】また、請求項4に係るGaN単結晶膜の作
成方法は、AlNバッファ層を有する基板を所定温度に
加熱する加熱工程と、前記基板の周囲に所定濃度のTM
Gガスを供給するTMGガス供給工程と、前記TMGガ
ス供給工程で供給したTMGガスを含み、前記加熱工程
で加熱した基板の周囲においてプラズマを発生させるプ
ラズマ発生工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】また、請求項5に係るGaN単結晶膜の作
成方法は、請求項4に記載のGaN単結晶膜の作成方法
において、前記AlNバッファ層が請求項1または2に
記載のAlNバッファ層の作成方法により作成されたAl
Nバッファ層であることを特徴とする。この発明によれ
ば、AlNバッファ層作成後、外部に取り出すなどの工
程が不要であり、引き続きGaNの単結晶膜を作成する
ことができる。また、同時に良質な結晶成長面を有する
AlNバッファ層を用いることにより良質なGaN単結晶
膜を作成することができる。
【0019】また、請求項6に係るGaN単結晶膜の作
成方法は、請求項4または5に記載のGaN単結晶膜の
作成方法において、前記加熱工程における前記所定温度
を600K以上、800K以下とすることを特徴とする。
【0020】また、請求項7に記載のGaN単結晶膜の
作成方法は、請求項4または5に記載のGaN単結晶膜
の作成方法において、前記加熱工程における前記所定温
度を800K以上、1200K以下とすることを特徴とする。
【0021】また、請求項8に記載のGaN単結晶膜の
作成方法は、請求項5に記載のGaN単結晶膜の作成方
法において、前記加熱工程における前記所定温度を600
K以上、GaNの熱膨張係数の転移点温度以下とするこ
とを特徴とする。
【0022】また、請求項9に記載のGaN単結晶膜
は、請求項4〜8のいずれか一つに記載のGaN単結晶
膜の作成方法により作成されたことを特徴とする。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しな
がら詳細に説明する。 (実施例1)実施例1では、AlNバッファ層の作成方
法について説明する。図1は、実施例1のAlNバッフ
ァ層を作成するAlN析出装置の概略構成図である。な
お、実施例1のAlN析出装置は、プラズマCVD装置
の一つであるので、以降においては、このAlN析出装
置を単にプラズマCVD装置と称することとする。
【0024】図において、プラズマCVD装置1は、図
示しないマイクロ波電源を用いて発生するマイクロ波
(周波数2.45GHz)を伝搬する導波管2およびキャビ
ティ3とから構成されるマイクロ波供給系と、キャビテ
ィ3内に挿入した石英放電管4と、石英放電管4内を所
定の真空度に調整する真空ポンプ5と、石英放電管4内
に供給するTMGガスが詰められているボンベ6と、窒
素水素(N2−H2)混合ガスが詰められているボンベ7
と、ボンベ6から供給されるTMGガスの流量を測定す
る流量計8と、サファイヤ基板9を加熱する電気炉(El
ectric Furnace)10と、マイクロ波のマッチングをと
るプランジャ(Plunger)11と、プラズマの状態を検
知するQMA(Quadrupole Mass Analyzer:四重
極質量分析装置)12と、光ファイバ13を通じて発光
種のエネルギーレベルを測定する発光分光分析装置(O
ES)14と、から構成される。
【0025】本願発明者らは、プラズマCVD装置1を
用いてAlNバッファ層を以下のように作成した。図2
は、AlNバッファ層を作成する際の条件を示した図表
である。まず、c軸配向のサファイヤ基板9をキャビテ
ィ3の外側に載置し、石英放電管4の外部から電気炉1
0を用いて550Kに加熱した。つぎに、石英放電管4内
を1×10-1Pa以下まで排気後、N2−H2(配合比率
1:1)混合ガスをボンベ7から1.2dm3/hの流量で
供給し、石英放電管4内の圧力を650Paに調整した。
【0026】続いて、150Wのバイアスパワーをマイク
ロ波電源から供給し、サファイヤ基板9の周囲にプラズ
マを発生させた。なお、プラズマはエネルギーが高く、
キャビティ3の中心に基板9を載置すると、サファイヤ
基板9を損傷させてしまうおそれがあり、また、温度上
昇をもたらす場合もある。したがって、比較的エネルギ
ーの低いプラズマを使用するため、サファイヤ基板9は
キャビティ3の外側に配置した。
【0027】ここで、実際にプラズマが発生しているか
否かを発光分光分析装置14を用いて調べた。図3(a)
は、石英放電管4内の発光スペクトルを測定した図であ
り、同図(b)は同図(a)の波長336nm近辺を拡大表記し
た図である。同図(b)から明らかなように、波長336nm
近辺にNHの発光スペクトルが観測され、ボンベ7から
供給したN2−H2ガスは、石英放電管4内でプラズマと
なっていることが確認された。
【0028】このプラズマを用いてサファイヤ基板9の
表面を5分間窒化し、サファイヤ基板表面をAlNバッ
ファ層とすることに成功した。なお、ここでは詳述しな
いが、NHはAl2O3との間で吸着脱離を起こし、Al2
O3をAlNに置換することが知られている。
【0029】実施例1のAlNバッファ層の作成方法
は、サファイヤ基板自体のAlを用いて、AlNバッファ
層を作成するものである。換言すれば、サファイヤ基板
の表面状態をそのまま維持してAlNバッファ層を作成
するものである。一方、近年の表面加工技術の向上によ
りc軸配向のサファイヤ基板を、GaN等がエピタキシ
ャル成長しやすい、いわゆるジャスト基板もしくは極微
少角度(2度以下で、かつ精度が±5/100度以下)の傾
斜を設けた基板に加工することが可能となっている。
【0030】したがって、本実施例のAlNバッファ層
の作成方法により、精細に加工されたサファイヤ基板の
表面状態を反映させた、良質なAlNバッファ層を得る
ことが可能となる。また、このAlNバッファ層を用い
れば、きわめて良好にGaN等をエピタキシャル成長さ
せることが可能となる。
【0031】また、本実施例のAlNバッファ層の作成
方法を用いることにより、有毒なTMAlガスを使用し
なくて済み、処理装置等の取り扱いが容易で、安全にA
lNバッファ層を得ることが可能となる。
【0032】(実施例2)つぎに、前記実施例1で作成
されたAlNバッファ層を有するサファイヤ基板を用い
てGaN等をエピタキシャル成長させ、GaN単結晶膜を
作成する方法について説明する。本実施例において使用
する装置は、前記実施例1において使用したプラズマC
VD装置1をそのまま用いるので、ここではその説明を
省略する。
【0033】なお、AlNバッファ層を有する基板を別
途作成しておき、その後プラズマCVD装置1に載置し
てもよいが、本実施例では、前記実施例1のサファイヤ
基板の表面窒化を終えたものをそのまま使用する。これ
により、サファイヤ基板の導入からGaN単結晶膜を作
成するまでを一連の工程とすることができ、プロセスを
単純化することが可能となる。図4は、GaN単結晶膜
を作成する際の条件を示した図表である。
【0034】前記実施例1の窒化工程後、まず、電気炉
10を用いてサファイヤ基板9の温度Tsを770K程度
に上昇させた。続いてボンベ6からTMGガスを、その
流量を0.003dm3/hとして供給し、石英放電管4内の
圧力を650Paに維持した。なお、実施例1と同様に、
ボンベ7からはN2−H2混合ガスを1.2dm3/hの流量
で供給し、石英放電管4内では150Wのバイアスパワー
でサファイヤ基板9の周辺にプラズマを発生させた。
【0035】ここで、実際にGaのプラズマが発生して
いるか否かを発光分光分析装置14を用いて調べた。図
5(a)は、石英放電管4内の発光スペクトルを測定した
図であり、同図(b)は同図(a)の波長336nm近辺を拡大
表記した図である。同図(b)から明らかなように、波長3
36nm近辺にNHの発光スペクトルが観測され、また、
405nm近辺にGaの発光スペクトルが観測された。した
がって、ボンベ6から供給したTMGガスは石英放電管
4内でプラズマとなっていることが確認された。
【0036】本願発明者らは、基板温度Tsを770Kの
ほか、670Kおよび550Kに設定し、GaN単結晶膜の作
成も試みた。なお、基板温度Tsは設定温度±30K程度
の揺らぎがあった。図6は、基板温度TsとX線回折に
よる結晶状態との関係を示す図である。同図(c)に示
すように、基板温度Ts=550K±30Kでは、GaNはA
lNバッファ層の上に結晶成長するが多結晶であった。
また、同図(b)に示すように、基板温度Ts=670K
±30Kでは、GaNは単結晶に成長していることが観測
されたが、一部多結晶であった。
【0037】しかしながら、同図(a)に示すように、
基板温度Ts=770K±30Kでは、単結晶を示す鋭いピ
ークが立ち上がり、AlNバッファ層に単結晶のGaNが
成長したことが確認された。なお、図示は省略するが、
基板温度Ts=900K前後ではさらに良好な単結晶が得
られることが確認された。
【0038】図6に示したGaN単結晶膜の作成実験で
は、基板温度Tsを770Kまで上昇させている。ここ
で、本実施例におけるGaN単結晶膜が熱CVD法でな
くプラズマCVD法により成長したものであることを確
認する実験をおこなった。すなわち、プラズマを発生さ
せないで、基板温度Tsを770Kより高い880Kに設定
し、GaNの単結晶膜が成長するか否かを調べる実験を
おこなった。実験の条件は、上記基板温度を880K、供
給電力量を0(プラズマなし)とした以外は、図4に示
した条件と同一の条件とした。
【0039】結果を図7に示す。図から明らかなよう
に、AlNバッファ層が設けてあっても、基板温度Ts
が880K程度ではGaNが析出しないことが確認された。
すなわち、本実施例のGaN単結晶膜の作成方法によ
り、基板温度Tsが熱CVD法としてはエピタキシャル
成長しない温度であっても、エピタキシャル成長させる
ことが可能であることが確認された。
【0040】つぎに、本願発明者らは、GaN単結晶膜
の作成方法においてバッファ層の有無による膜質の違い
を観察する実験をおこなった。ここでは、基板温度Ts
を670K±30Kとして、AlNバッファ層を設けないサフ
ァイヤ基板を用いて、図4に示した条件でGaNを成長
させてみた。
【0041】結果を図8に示す。図8を図6(b)と比
較してみると明らかなように、プラズマを発生させる場
合であっても、窒化されていない基板(バッファ層のな
い基板)では、GaNが多結晶に成長することが確認さ
れた。したがって、本実施の形態におけるプラズマCV
D法を用いる場合であっても、基板にはバッファ層が形
成されている必要があることがわかった。換言すると、
バッファ層の形成された基板を用いることで、良質なG
aN単結晶膜を得ることが可能であることがわかった。
【0042】なお、本実験により、熱CVD法のような
加熱をおこなわない場合は、プラズマCVD法を用いて
も、サファイヤ基板にGaNバッファ層を形成し難いこ
とが示唆される。
【0043】つぎに、各基板温度(Ts=770K、670
K、540K)においてエピタキシャル成長させたGaNの
偏光解析法による屈折率nおよび膜厚を測定した。図9
は、基板温度とGaNの屈折率nおよび膜厚との関係を
示す図表である。サファイヤ基板9の表面の窒化の有無
(バッファ層の有無)に係わらず、基板温度が低い場合
(Ts=540K)では、GaN膜の屈折率nは、GaN単
結晶の屈折率n=2.3より小さく2.1程度である。これ
は、結晶がアモルファス状もしくは多結晶を含むもので
あることを示している。
【0044】一方、表面を窒化し(バッファ層有)基板
温度が高い場合(Ts=670K、770K)では屈折率n約
2.3であり、結晶が単結晶に成長したことが確認され
た。なお、図において、膜厚はサファイヤ基板9の表面
がAlN(屈折率n=1.9〜2.0)のバッファ層と仮定し
て求めたものである。
【0045】また、窒化後の基板上に析出したGaN膜
の紫外/可視吸収スペクトルを測定した結果、370nm
付近に鋭い吸収端が認められた。直接電子遷移を仮定し
た場合、バンドギャップが3.4eVと計算され、文献値
に相当する値が得られた。また、AlNバッファ層表面
の析出物の膜厚は表面を窒化した場合にはしない場合に
比して小さいが、基板温度Tsの上昇とともに増加する
傾向が認められた。なお、AlNバッファ層は5分間の
プラズマ雰囲気下で、30nmの厚さとなった。
【0046】また、基板温度の関数としてのGaN単結
晶膜の析出速度を測定したところ析出速度は約5nm/
minと大きく、また、見かけの活性エネルギーは約0.
2eVと小さく、プラズマ中でのプレカーサーの分解が
示唆された。
【0047】実施例2のGaN単結晶膜の作成方法は、
実施例1で作成したAlNバッファ層をそのまま用い、
基板温度を所定温度に上昇させてTMGを供給し、プラ
ズマを発生する。これにより、良質なGaN単結晶膜を
作成することが可能となる。また、バッファ層のないサ
ファイヤ基板を導入してからGaN単結晶膜を得るま
で、一連の工程とすることができ、プロセスを単純化す
ることが可能となる。
【0048】また、本実施例では、GaNの熱膨張係数
の転移点以下で、良質のGaN単結晶膜を成長させるこ
とができるので、サファイヤ基板の反り返りが発生しな
い。したがって、スクライビング・分断等の加工性が向
上し、不良品が発生しにくくなり、歩留りが向上する。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明(請求項
1、2、4〜8)により、基板温度を比較的低温域に保
ち、安全で、かつ製品品質を向上させることのできるA
lNバッファ層の作成方法およびGaN単結晶膜の作成方
法を提供することが可能となった。
【0050】また、本発明(請求項3および9)によ
り、良質なAlNバッファ層およびGaN単結晶膜を安定
して提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のAlNバッファ層を作成するAlN析
出装置の概略構成図である。
【図2】実施例1のAlNバッファ層を作成する際の条
件を示した図表である。
【図3】(a)実施例1のAlNバッファ層を作成する際の
石英放電管内の発光スペクトルを測定した図である。 (b)同図(a)の波長336nm近辺を拡大表記した図であ
る。
【図4】実施例2のGaN単結晶膜を作成する際の条件
を示した図表である。
【図5】(a)実施例2のGaN単結晶膜を作成する際の石
英放電管内の発光スペクトルを測定した図である。 (b)同図(a)の波長336nm近辺を拡大表記した図であ
る。
【図6】実施例2のGaN単結晶膜を作成する際の基板
温度TsとX線回折による結晶状態との関係を示す図で
ある。
【図7】基板温度Ts〜880K程度における熱CVD法
によるGaNの結晶成長の有無を調べた実験のX線回折
図である。
【図8】実施例2におけるGaN単結晶膜作成方法にお
いて、バッファ層がない場合のGaNの結晶成長の様子
を示すX線回折図である。
【図9】基板温度とGaNの屈折率nおよび膜厚との関
係を示す図表である。
【図10】従来のサファイヤ基板の反り返りを示す概念
図である。
【符号の説明】
1 プラズマCVD装置 2 導波管 3 キャビティ 4 石英放電管 6、7 ボンベ 8 流量計 9 基板 10 電気炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸嶋 博昭 秋田県湯沢市愛宕町4丁目6番56号 並木 精密宝石株式会社秋田湯沢工場内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BE15 DB08 DB16 EA02 EF03 5F041 AA40 CA34 CA40 CA46 CA67 CA77 5F045 AA09 AB09 AB14 AC08 AC18 AD05 AD06 AD07 AD08 AD09 AD10 AD11 AD12 AD13 AE21 AF09 BB07 BB08 BB11 BB20 DA53 DP04 DQ06 GB08

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サファイヤ基板を所定温度に加熱する加
    熱工程と、前記サファイヤ基板の周囲に所定濃度のN2
    −H2ガスを供給するN2−H2ガス供給工程と、前記N2
    −H2ガス供給工程で供給したN2−H2ガスを含み、前
    記加熱工程で加熱したサファイヤ基板の周囲においてプ
    ラズマを発生させるプラズマ発生工程と、を含むことを
    特徴とするAlNバッファ層の作成方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱工程における前記所定温度を40
    0K以上600K以下とすることを特徴とする請求項1に記
    載のAlNバッファ層の作成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のAlNバッフ
    ァ層の作成方法により作成されたことを特徴とするAl
    Nバッファ層。
  4. 【請求項4】 AlNバッファ層を有する基板を所定温
    度に加熱する加熱工程と、前記基板の周囲に所定濃度の
    TMG(トリメチルガリウム:Ga(CH3)3)ガスを
    供給するTMGガス供給工程と、前記TMGガス供給工
    程で供給したTMGガスを含み、前記加熱工程で加熱し
    た基板の周囲においてプラズマを発生させるプラズマ発
    生工程と、を含んだことを特徴とするGaN単結晶膜の
    作成方法。
  5. 【請求項5】 前記AlNバッファ層は請求項1または
    2に記載のAlNバッファ層作成方法により作成された
    AlNバッファ層であることを特徴とする請求項4に記
    載のGaN単結晶膜の作成方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱工程における前記所定温度を60
    0K以上、800K以下とすることを特徴とする請求項4ま
    たは5に記載のGaN単結晶膜の作成方法。
  7. 【請求項7】 前記加熱工程における前記所定温度を80
    0K以上、1200K以下とすることを特徴とする請求項4
    または5に記載のGaN単結晶膜の作成方法。
  8. 【請求項8】 前記加熱工程における前記所定温度を60
    0K以上、GaNの熱膨張係数の転移点温度以下とするこ
    とを特徴とする請求項5に記載のGaN単結晶膜の作成
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項4〜8のいずれか一つに記載のG
    aN単結晶膜の作成方法により作成されたことを特徴と
    するGaN単結晶膜。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2007018121A1 (ja) * 2005-08-05 2009-02-19 独立行政法人物質・材料研究機構 窒化ガリウム等のiii族窒化物の成膜方法
US7932107B2 (en) 2006-12-15 2011-04-26 Hitachi Cable, Ltd. Method for growing nitride semiconductor
JP2014502246A (ja) * 2010-11-23 2014-01-30 ソイテック 金属窒化物成長テンプレート層上にバルクiii族窒化物材料を形成する方法、及びその方法によって形成される構造体
JP2019145803A (ja) * 2019-03-13 2019-08-29 東芝デバイス&ストレージ株式会社 半導体装置の製造方法

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