JP3743013B2 - エピタキシャルウェハの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、エピタキシャルウェハの製造方法に関するものであり、特に、青色発光素子または紫外部各種デバイス等に用いられるエピタキシャルウェハの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は、現在市販が開始されているサファイア基板を用いたGaN系の青色発光素子(LED)に使用されるエピタキシャルウェハの構造を示す断面図である。
【0003】
図10を参照して、このエピタキシャルウェハは、サファイア基板11と、基板11上に形成された窒化ガリウム(GaN)バッファ層12と、GaNバッファ層12上に形成された六方晶のGaNエピタキシャル層13とから構成されている。このエピタキシャルウェハにおいて、GaNバッファ層12は、サファイア基板11とGaNエピタキシャル層13との格子定数の差による歪を緩和するために設けられている。
【0004】
図11は、図10に示すエピタキシャルウェハを使用したGaN系の青色発光素子の構造を示す断面図である。
【0005】
図11を参照して、この青色発光素子は、図10に示すエピタキシャルウェハ上に、クラッド層14、発光層15、クラッド層16およびGaNエピタキシャル層17が順に形成され、GaNエピタキシャル層13,17上には、オーミック電極18,19がそれぞれ形成されている。
【0006】
図10および図11を参照して、このエピタキシャルウェハは、基板11として絶縁性のサファイアを用いているため、電極を形成して素子を作成する際には、フォトリソグラフィによるパターニングが2回以上必要となり、反応性イオンエッチングによる窒化物層のエッチングを行なう必要もあり、複雑な工程を要する。また、サファイアは硬度が高いため、取扱いにくいという問題もある。さらに、このサファイアは、劈開ができないため、劈開端面を光共振器とするレーザダイオードに適用できないという、発光素子応用面での問題もあった。
【0007】
そこで、このような欠点を有するサファイアに代えて、導電性のGaAsを基板として使用するという試みがなされている。しかしながら、基板をGaAsに変更すると、サファイア基板を用いた場合と同様の条件では、サファイア基板を用いた場合に匹敵するエピタキシャルウェハを得ることができなかった。
【0008】
そのため、GaAsを基板に用いたエピタキシャルウェハの製造に関しては、種々の研究が行なわれてきた。
【0009】
これらの中で、たとえば、日本結晶成長学会誌Vol.21 No.5(1994) Supplement S409〜S414(以下、「文献1」という)には、図12に示すようなエピタキシャルウェハが開示されている。
【0010】
図12を参照して、このエピタキシャルウェハは、GaAs基板21と、この基板21上に形成されたGaAsバッファ層22と、このGaAsバッファ層22の表面を窒化処理することによりヒ素(As)が窒素(N)に置換されて得られたGaN被膜23と、このGaN被膜23上に形成されたGaNエピタキシャル層24とを備えている。
【0011】
また、このエピタキシャルウェハの製造におけるGaNエピタキシャル層24の形成には、OMVPE法(有機金属気相エピタキシ成長法)が用いられている。このOMVPE法は、高周波加熱により反応室内の基板のみを加熱しながら、トリメチルガリウム(TMGa)を含む第1のガスとアンモニア(NH3 )を含む第2のガスとを反応室内に導入して、基板上にGaNエピタキシャル層を気相成長させる方法である。
【0012】
また、たとえば、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.33(1994)pp.1747〜1752(以下、「文献2」という)には、図13に示すようなエピタキシャルウェハが開示されている。
【0013】
図13を参照して、このエピタキシャルウェハは、GS−MBE法(ガスソース分子線エピタキシ成長法)により予めその表面に立方晶のGaNバッファ層32が形成された基板31上に、立方晶のGaNエピタキシャル層33が形成されている。
【0014】
このエピタキシャルウェハの製造におけるGaNエピタキシャル層33の形成には、ハイドライドVPE法(気相エピタキシ成長法)が用いられている。このハイドライドVPE法は、反応室内に、基板と、Ga金属を入れたソースボートとを設置し、抵抗加熱ヒータにより外部から反応室全体を加熱しながら塩化水素(HCl)を含む第1のガスとアンモニア(NH3 )を含む第2のガスとを導入して、基板上にGaNエピタキシャル層を気相成長させる方法である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、文献1に開示されたエピタキシャルウェハは、前述のようにOMVPE法によりGaNエピタキシャル層を成長させている。このOMVPE法により、GaAs基板上にGaNエピタキシャル層を成長させる場合には、サファイア基板上に成長させる場合と比べて、膜成長速度が極端に落ちてしまう。具体的には、サファイア基板上へ成膜する場合には約3μm/時間の成膜速度が得られる場合であっても、同条件でGaAs基板上に成膜する場合には、成膜速度は約0.15μm/時間まで低下してしまう。そのため、たとえば、このエピタキシャルウェハを発光素子に使用するためには、約4μmの厚さのGaNエピタキシャル層を形成する必要があるが、この方法では、製造に1日近くかかってしまうことになる。そのため、この方法によるエピタキシャルウェハの製造は、低コスト化を図ることができず、工業化に適さないという問題があった。
【0016】
また、この方法によれば、GaNエピタキシャル層を成長させる際、処理温度をあまり高温にできない。そのため、得られるGaNエピタキシャル層の特性の向上に限界があった。
【0017】
一方、文献2に開示されたエピタキシャルウェハは、GaNエピタキシャル層の形成のため、予めその表面にGS−MBE法によりGaNバッファ層が形成された基板を準備しておかなくてはならない。このGS−MBE法によるGaAs基板上へのGaNバッファ層の形成は、成長速度が遅く、工業化には適さない。
【0018】
また、ハイドライドVPE法を用いているため、複数のソースを必要とするヘテロ成長や多数枚の成長が困難であり、実用化に適する方法といえるものではない。その上、この方法によりエピタキシャルウェハを作製するためには、バッファ層とエピタキシャル層との成長方法が異なるため、反応チャンバが2つ必要となり、成長中断による表面汚染等も問題となる可能性がある。
【0019】
さらに、文献2においては、高特性のGaNエピタキシャル層を得るための製造条件等については、特に検討されていなかった。
【0020】
この発明の目的は、上述の問題点を解決し、たとえば発光素子等に使用可能な高性能のエピタキシャルウェハ、およびそれを工業的に製造できる方法を、提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この発明によるエピタキシャルウェハの製造方法は、GaAs、GaP、InAsおよびInPからなる群から選ばれる化合物半導体基板上に、外部から反応室全体を加熱しながら塩化水素およびガリウムを含む有機金属原料を含む第1のガスとアンモニアを含む第2のガスとを反応室内に導入して反応室内に設置された基板上に気相成長させる方法により、第1の温度で、GaNからなるバッファ層を100Å〜800Åの範囲内の厚さに形成するステップと、バッファ層上に、外部から反応室全体を加熱しながら塩化水素およびガリウムを含む有機金属原料を含む第1のガスとアンモニアを含む第2のガスとを反応室内に導入して反応室内に設置された基板上に気相成長させる方法により、第1の温度より高い第2の温度で、GaNを含むエピタキシャル層を形成するステップとを備えている。
なお、バッファ層は、200Å〜600Åの範囲内の厚さに形成されることがより好ましい。
【0023】
ガリウムを含む有機金属原料としては、たとえば、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム等が用いられる。
【0024】
好ましくは、第1の温度は300℃〜700℃であり、第2の温度は750℃以上であるとよい。
【0025】
さらに好ましくは、第1の温度は400℃〜600℃であるとよい。
【0026】
【作用】
この発明によって製造されたエピタキシャルウェハは、厚さが100Å〜800ÅのGaNからなるバッファ層を備えている。
【0027】
従来のサファイア基板を用いたエピタキシャルウェハにおいても、GaNからなるバッファ層が形成されていたが、このバッファ層は、主としてサファイア基板とGaNエピタキシャル層との格子定数の差による歪を緩和する作用をしていた。これに対して、本願発明におけるバッファ層は、このような歪緩和の作用の他に、耐熱性コーティングとしての作用も兼ね備えている。
【0028】
すなわち、GaNのエピタキシャル成長は、通常800℃〜1100℃という非常に高温で行なう必要があるが、GaNおよびサファイア基板は、800℃以上の高温でも熱ダメージを受けることがなかった。しかしながら、GaAs、GaP、InAsおよびInP基板は、800℃以上の高温ではAsやPの抜けが起こり、基板としての役目を果たせなくなってしまう。このようなことから、GaAs、GaP、InAsおよびInP基板上にGaNエピタキシャル層を形成するためには、耐熱性コーティングを施す必要がある。本願発明においてGaNエピタキシャル層より低温で形成されるGaNバッファ層は、このような耐熱性コーティングとして作用するものでもある。
【0029】
このGaNバッファ層の厚さは、100Å〜800Åである。100Åより薄いと、エピタキシャル層を形成するための昇温中にバッファ層が部分的に途切れ、この上に形成されたエピタキシャル層が剥れてしまうからである。一方、800Åより厚いと、フラットなバッファ層の低温成長に核成長が混ざり、この核を中心にピラミッド状にエピタキシャル層が成長してしまうからである。
【0030】
また、この発明に従うエピタキシャルウェハの製造方法によれば、GaAs、GaP、InAsおよびInPからなる群から選ばれる化合物半導体基板上に、GaNエピタキシャル層の成長温度よりも低い温度で、GaNバッファ層を形成している。
【0031】
そのため、基板結晶がダメージを受けることなく、高品質な立方晶のGaNエピタキシャル層を成長させることができる。
【0032】
このGaNからなるバッファ層を形成する際の温度は、300℃〜700℃が好ましい。300℃より低いと、GaNからなるバッファ層が成長しないからである。一方、700℃より高いと、基板が熱ダメージを受けて、この上に形成されたエピタキシャル層が剥れてしまうからである。
【0033】
また、この発明によれば、GaNバッファ層およびGaNエピタキシャル層の形成に、外部から反応室全体を加熱しながら塩化水素およびガリウムを含む有機金属原料を含む第1のガスとアンモニアを含む第2のガスとを反応室内に導入して反応室内に設置された基板上に気相成長させる方法(以下「有機金属クロライド気相エピタキシ成長法」という)が用いられている。この有機金属クロライド気相エピタキシ成長法は、成長速度が速い上に、急峻なヘテロ界面を得ることが可能である。
【0034】
さらに、この発明によれば、バッファ層およびエピタキシャル層が同一の有機金属クロライド気相エピタキシ成長法により形成される。そのため、同一チャンバ内で一貫成長させることが可能となる。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
図1は、この発明によるエピタキシャルウェハの一例の構造を示す断面図である。
【0036】
図1を参照して、このエピタキシャルウェハは、GaAs基板1上にGaNバッファ層2が形成され、さらにその上にGaNエピタキシャル層3が形成されている。
【0037】
次に、このように構成されるエピタキシャルウェハの製造方法について、以下に説明する。
【0038】
図2は、この発明による有機金属クロライド気相エピタキシ成長法を用いたエピタキシャルウェハの製造に用いられる気相成長装置の概略構成を示す図である。図2を参照して、この装置は、第1のガス導入口51と第2のガス導入口52と排気口53とを有する反応チャンバ54と、この反応チャンバ54の外部からチャンバ内全体を加熱するための抵抗加熱ヒータ55とから構成される。
【0039】
このように構成される装置を用いて、以下のようにエピタキシャルウェハの作製を行なった。
【0040】
図2を参照して、まず、石英からなる反応チャンバ54内に、H2 SO4 系の通常のエッチング液で前処理された砒化ガリウムGaAs(100)面基板1を設置した。
【0041】
次に、抵抗加熱ヒータ55により外部からチャンバ内全体を加熱して、基板1を500℃に保持した状態で、第1のガス導入口51からIII族原料としてトリメチルガリウム(TMGa)および塩化水素(HCl)をそれぞれ分圧8×10-4atm、8×10-4atmで導入し、一方、第2のガス導入口52からはV族原料としてアンモニアガス(NH3 )を分圧1.6×10-1atmで導入した。このような条件で、15分間エピタキシャル成長させ、厚さ300ÅのGaNバッファ層2を形成した。
【0042】
図3は、このように形成されたGaNバッファ層2の結晶構造を、劈開面からSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した写真である。
【0043】
図3を参照して、白く見えるのがGaNバッファ層2であり、基板上に厚さ約300Åで非常に均一に形成されていることがわかる。
【0044】
次に、このようにGaNバッファ層2が形成された基板1の温度を、抵抗加熱ヒータ55により850℃まで昇温した後、TMGa、HCl、NH3 の分圧をそれぞれ8×10-4atm、8×10-4atm、1.6×10-1atmという条件で、60分間エピタキシャル成長させた。
【0045】
その結果、GaNバッファ層2上に、厚さ2μmの鏡面状のGaNエピタキシャル層3が形成された。このGaNエピタキシャル層3のフォトルミネセンス(PL)スペクトルは、ピーク波長が360nmの強い発光が観測された。また、X線回折の結果、六方晶を含まない立方晶のGaNエピタキシャル層が成長していることが確認された。
【0046】
図4は、このように形成されたGaNエピタキシャル層の結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【0047】
図4を参照して、GaAs基板1上に形成されたGaNバッファ層2上に、非常に平坦なGaNエピタキシャル層3が形成されていることがわかる。
【0048】
(実施例2)
GaNバッファ層2およびGaNエピタキシャル層3の成長条件を以下のように変更し、他の条件は実施例1と同様にして、図1に示す構造を有するエピタキシャルウェハを作製した。
【0049】
GaNバッファ層の成長条件
基板温度:400℃
TMGa分圧:1×10-4atm
HClの分圧:1×10-4atm
NH3 の分圧:5×10-3atm
成長時間:40分間
GaNエピタキシャル層の成長条件
基板温度:900℃
TMGa分圧:3×10-4atm
HClの分圧:3×10-4atm
NH3 の分圧:8×10-2atm
成長時間:60分間
このようにして得られたエピタキシャルウェハにおいては、厚さ400ÅのGaNバッファ層2の上に、厚さ8μmの鏡面状のGaNエピタキシャル層3が形成されていた。
【0050】
このGaNエピタキシャル層3のPLスペクトルは、ピーク波長が360nmの強い発光が観測された。また、X線回折の結果、六方晶を含まない立方晶のGaNエピタキシャル層が成長していることが確認された。
【0051】
(比較例1)
GaNバッファ層の有無によるGaNエピタキシャル層の特性の差異について調べるため、GaAs基板上に、直接GaNエピタキシャル層を成長させた。なお、GaNエピタキシャル層の成長条件は、実施例1と同様とした。
【0052】
図5は、このようにして形成されたGaNエピタキシャル層の結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【0053】
図5を参照して、このようにGaNバッファ層を設けない場合には、GaAs基板表面が高温によりダメージを受けて凹凸ができ、その上に形成されたGaNエピタキシャル層は基板から剥れてしまっている様子が観察できる。
【0054】
また、バッファ層の有無による特性の差異を比較するため、前述の実施例1とこの比較例1で得られたエピタキシャルウェハについて、表面粗さ計によるGaNエピタキシャル表面の凹凸の測定、X線回折およびPL測定の結果を比較した。
【0055】
その結果、GaNエピタキシャル層表面の凹凸については大きな差が見られ、GaNバッファ層を設けることにより著しく表面ホモロジーが改善されることがわかった。また、X線回折、PL測定の結果についても、GaNバッファ層を設けた実施例についてのみ、非常にシャープなピークが観察された。
【0056】
(実施例3)
GaNバッファ層の最適厚さを検討するため、GaAs基板上に種々の厚さのGaNバッファ層を形成し、この上にGaNエピタキシャル層を成長させて、得られたGaNエピタキシャル層の特性を比較した。
【0057】
なお、GaNバッファ層およびGaNエピタキシャル層の成長条件は、実施例1と同様とした。
【0058】
図6は、GaNバッファ層の厚さと、GaNエピタキシャル層のX線ピークの半値幅(FWHM)との関係を示す図である。図6において、横軸はGaNバッファ層の厚さ(nm)を示し、縦軸はX線ピークの半値幅(FWHM)(分)を示している。
【0059】
また、図7は、GaNバッファ層の厚さと、GaNエピタキシャル層の表面凹凸との関係を示す図である。図7において、横軸はGaNバッファ層の厚さ(nm)を示し、縦軸は表面凹凸(μm)を示している。なお、表面凹凸とは、凸部最上点と凹部最下点の差である。
【0060】
図6および図7より明らかなように、バッファ層の厚さが薄すぎても厚すぎても、その上に成長するGaNエピタキシャル層の結晶特性は低下してしまう。そのため、GaNバッファ層の厚さとしては100Å〜800Åが好ましく、さらに好ましくは200Å〜600Åであると良いことがわかる。
【0061】
図8は、厚さ80ÅのGaNバッファ層上にGaNエピタキシャル層を形成した場合のエピタキシャルウェハの結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【0062】
図8を参照して、このようにバッファ層が薄すぎると、GaNエピタキシャル層を形成するために基板を500℃から850℃に昇温する際、GaNバッファ層が部分的に途切れて、その部分の上に形成されたGaNエピタキシャル層が剥れてしまう。その結果、部分的に穴があいた状態になってしまうことが観察できる。
【0063】
また、図9は、厚さ900ÅのGaNバッファ層上にGaNエピタキシャル層を形成した場合のエピタキシャルウェハの結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【0064】
図9を参照して、このようにバッファ層が厚すぎると、GaNバッファ層上に核生成が起こり、GaNエピタキシャル層はこの核を中心にピラミッド状の成長をしてしまうことが観察できる。
【0065】
(実施例4)
GaAs基板の代わりにGaP基板を用いて、実施例1と同様の条件でGaNバッファ層を形成し、さらにその上に実施例1と同様の条件でGaNエピタキシャル層を形成した。
【0066】
このようにして得られたエピタキシャルウェハについて、GaNエピタキシャル層のPL測定およびX線回折測定を行なった。その結果、実施例1と同様に良好なピークが得られた。
【0067】
(実施例5)
GaAs基板の代わりにInP基板を用いて、実施例1と同様の条件でGaNバッファ層を形成し、さらにその上に実施例1と同様の条件でGaNエピタキシャル層を形成した。
【0068】
このようにして得られたエピタキシャルウェハについて、GaNエピタキシャル層のPL測定およびX線回折測定を行なった。その結果、実施例1と同様に良好なピークが得られた。
【0069】
(実施例6)
III族原料としてTMGaの代わりにTEGa(トリエチルガリウム)を用いて、実施例1と同様の条件でGaNバッファ層を形成し、さらにその上にTEGaを用いて実施例1と同様の条件でGaNエピタキシャル層を形成した。
【0070】
このようにして得られたエピタキシャルウェハについて、GaNエピタキシャル層のPL測定およびX線回折測定を行なった。その結果、実施例1と同様に良好なピークが得られた。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、GaAs基板を用いて、高品質の立方晶のGaNエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルウェハが得られる。そのため、この発明によるエピタキシャルウェハは、青色発光素子や紫外部各種デバイス等への適用が可能となる。
【0072】
また、この発明によれば、速い成長速度で、かつ同一チャンバ内でエピタキシャルウェハを製造することができる上に、ヘテロ成長や多数枚成長も可能である。したがって、この発明による方法は、工業的生産に対しても十分に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるエピタキシャルウェハの一例の構造を示す断面図である。
【図2】この発明による有機金属クロライド気相エピタキシ成長法を用いたエピタキシャルウェハの製造に用いられる気相成長装置の概略構成を示す図である。
【図3】この発明に従い基板上に形成されたGaNバッファ層の結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【図4】この発明によるエピタキシャルウェハの一例の結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【図5】比較のためGaNバッファ層を設けずに作製されたエピタキシャルウェハの一例の結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【図6】GaNバッファ層の厚さと、GaNエピタキシャル層のX線ピークの半値幅(FWHM)との関係を示す図である。
【図7】GaNバッファ層の厚さと、GaNエピタキシャル層の表面凹凸との関係を示す図である。
【図8】比較のため、厚さ80ÅのGaNバッファ層を用いて作製されたエピタキシャルウェハの一例の結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【図9】比較のため厚さ900ÅのGaNバッファ層を用いて作製されたエピタキシャルウェハの一例の結晶構造を、劈開面からSEMにより観察した写真である。
【図10】従来のエピタキシャルウェハの一例の構造を示す断面図である。
【図11】図10に示すエピタキシャルウェハを使用した青色発光素子の構造を示す断面図である。
【図12】従来のエピタキシャルウェハの他の例の構造を示す断面図である。
【図13】従来のエピタキシャルウェハのさらに他の例の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 GaAs基板
2 GaNバッファ層
3 GaNエピタキシャル層
51 第1のガス導入口
52 第2のガス導入口
53 排気口
54 反応チャンバ
55 抵抗加熱ヒータ
なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
Claims (4)
- GaAs、GaP、InAsおよびInPからなる群から選ばれる化合物半導体基板上に、外部から反応室全体を加熱しながら塩化水素およびガリウムを含む有機金属原料を含む第1のガスとアンモニアを含む第2のガスとを反応室内に導入して反応室内に設置された基板上に気相成長させる方法により、第1の温度で、GaNからなるバッファ層を100Å〜800Åの範囲内の厚さに形成するステップと、
前記バッファ層上に、外部から反応室全体を加熱しながら塩化水素およびガリウムを含む有機金属原料を含む第1のガスとアンモニアを含む第2のガスとを反応室内に導入して反応室内に設置された基板上に気相成長させる方法により、前記第1の温度より高い第2の温度で、GaNを含むエピタキシャル層を形成するステップとを備える、エピタキシャルウェハの製造方法。 - 前記バッファ層が200Å〜600Åの範囲内の厚さに形成される、請求項1に記載のエピタキシャルウェハの製造方法。
- 前記第1の温度は300℃〜700℃であり、前記第2の温度は750℃以上である、請求項1または2に記載のエピタキシャルウェハの製造方法。
- 前記第1の温度は400℃〜600℃である、請求項3に記載のエピタキシャルウェハの製造方法。
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