JP2001210588A - 露光方法及びその露光方法を用いた回路パターン素子製造方法、並びに露光装置 - Google Patents

露光方法及びその露光方法を用いた回路パターン素子製造方法、並びに露光装置

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JP2001210588A
JP2001210588A JP2000380753A JP2000380753A JP2001210588A JP 2001210588 A JP2001210588 A JP 2001210588A JP 2000380753 A JP2000380753 A JP 2000380753A JP 2000380753 A JP2000380753 A JP 2000380753A JP 2001210588 A JP2001210588 A JP 2001210588A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 レチクルパターンに対する傾斜照明を照明光
学系の改良を行わずに実現する。 【構成】 所定波長の照明光を照明光学系を介してマス
クに照射することによって、マスクに形成された第1ピ
ッチPRの周期的パターン部分を含む微細パターンを、
投影光学系を介して基板上に露光する露光方法におい
て、照明光学系のコヒーレンスファクターσを0.5以
下程度に設定し、微細パターンに対して前記照明光の入
射側に所定間隔Δtだけ離して配置され、且つ周期的パ
ターンのピッチ方向とほぼ一致する方向に前記第1ピッ
チPRのほぼ2倍の長さを持つ第2ピッチPGで周期的
に形成された回折格子パターンを用いて前記照明光を偏
向させることにより、該照明光を前記マスクに対して傾
けて該微細パターンに照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子や液晶表示
素子製造のリソグラフィ工程で使用されるフォトマス
ク、さらにマスクのパターンを感光基板に転写する露光
方法及び投影露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体素子等の回路パターンを形成する
ためのリソグラフィ工程においては、通常マスクまたは
レチクル(以下、レチクルと称す)に形成されたパター
ンを基板(半導体ウエハやガラスプレート等)上に転写
する方法が採用される。基板上には感光性のフォトレジ
ストが塗布されており、照射光像、すなわちレチクルパ
ターンの透明部分のパターン形状に応じて、フォトレジ
ストに回路パターンが転写される。投影露光装置(例え
ばステッパー等)では、レチクルパターンの像が投影光
学系を介してウエハ上に結像投影される。
【0003】この種の装置においては、レチクル上のパ
ターンが存在する面のフーリエ変換面となる照明光学系
の面(以後、照明光学系の瞳面と称す)、もしくはその
近傍の面内において、照明光束を照明光学系の光軸を中
心としたほぼ円形(あるいは矩形)に制限してレチクル
を照明する構成を採っていた。このため、照明光束はレ
チクルに対してほぼ垂直に近い角度で入射していた。ま
た、この装置に使用されるレチクル(石英等のガラス基
板)上には、照明光束に対する透過率がほぼ100%で
ある透過部(レチクル裸面部)と、透過率がほぼ0%で
ある遮光部(クロム等)とで構成された回路パターンが
描かれていた。
【0004】さて、上記のようにレチクルに照射された
照明光束はレチクルパターンにより回折され、パターン
からは0次回折光と±1次回折光とが発生する。これら
の回折光は投影光学系により集光され、ウエハ上に干渉
縞、すなわちレチクルパターンの像が形成される。この
とき、0次回折光と±1次回折光とのなす角θ(レチク
ル側)は、露光光の波長をλ(μm)、投影光学系のレ
チクル側開口数をNAとすると、 sinθ=λ/Pにより
決まる。
【0005】ところで、パターンピッチが微細化すると
sinθが大きくなり、さらに sinθが投影光学系のレチ
クル側開口数(NA)よりも大きくなると、±1次回折
光はレチクルパターンのフーリエ変換面となる投影光学
系の面(以後、投影光学系の瞳面と称す)の有効径で制
限され、投影光学系を透過できなくなる。つまり、ウエ
ハ上には0次回折光のみしか到達せず、干渉縞(パター
ンの像)は生じないことになる。従って、上記の如き従
来の露光方法において、前述の透過部と遮光部のみから
なるレチクル(以後、通常レチクルと称す)を使用する
場合、ウエハ上に解像できるレチクルパターンの微細度
(最小パターンピッチ)Pは、 sinθ=NAより、P≒
λ/NAなる関係式で与えられる。
【0006】これより、最小パターンサイズはピッチP
の半分であるから、最小パターンサイズは0.5×λ/
NA程度となるが、実際のフォトリソグラフィ工程では
ウエハの湾曲、プロセスによるウエハの段差等の影響、
またはフォトレジスト自体の厚さのために、ある程度の
焦点深度が必要となる。このため、実用的な最小解像パ
ターンサイズは、k×λ/NAとして表される。ここ
で、kはプロセス係数と呼ばれ、通常0.6〜0.8程
度である。
【0007】以上のことから、従来の露光方法において
より微細なパターンを露光転写するためには、より短い
波長の露光用光源(エキシマレーザ光源等)を使用する
か、あるいはより開口数の大きな投影光学系を使用する
必要があった。しかしながら、露光光源を現在より短波
長化することは、エキシマレーザ光源等のランニングコ
ストが上昇すること、短波長領域では光の吸収が大きく
なるのでレジストの開発が困難であること等の理由によ
り現時点では難しい。また、投影光学系の開口数は現状
でも既に理論的限界に近く、これ以上の大開口化はほぼ
絶望的である。仮に現状以上の大開口化が可能であると
しても、装置が大型化して高価になる上、±λ/NA2
で定まる焦点深度は開口数の増加に伴って急激に減少す
るため、実使用に必要な焦点深度がより小さくなり、実
用的な露光装置となり得ないといった問題がある。
【0008】そこで、レチクルの回路パターンの透過部
分のうち、特定の部分からの透過光の位相を、他の透過
部からの透過光に対してπ(rad) だけずらす、位相シフ
ター(誘電体薄膜等)を備えた位相シフトレチクルを使
用することも提案されている。位相シフトレチクルにつ
いては、例えば特公昭62−50811号公報に開示さ
れており、この位相シフトレチクルを使用すると、通常
レチクルを使用する場合に比べてより微細なパターンの
転写が可能となる。すなわち、解像力を向上させる効果
がある。
【0009】また、最近では照明条件の最適化、あるい
は露光方法の工夫等によって微細パターンの転写を可能
とする試みがなされており、例えば特定線幅のパターン
に対して最適な照明光学系の開口数(すなわちコヒーレ
ンスファクターσ)と投影光学系の開口数(N.A.)との
組み合わせをパターン線幅毎に選択することによって、
解像度や焦点深度を向上させる方法が提案されている。
さらに、照明光学系の瞳面、もしくはその近傍面内にお
ける照明光束の光量分布を輪帯状に規定し、レチクルパ
ターンに照明光束を照射する輪帯照明法、あるいはレチ
クルパターンの周期性に対応して特定方向から照明光束
を所定角度だけ傾斜させて照射する傾斜照明法等も提案
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の如
き従来の技術において、位相シフトレチクルについては
その製造工程が複雑になる分コストも高く、また検査及
び修正方法も未だ確立されていないなど、多くの問題が
残されている。また、輪帯照明法や傾斜照明法では照明
光学系の構成が複雑になってコストが上昇するといった
問題がある。
【0011】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、位相シフトレチクルや照明光学系の改良を必要とせ
ず、高解像度かつ大焦点深度の投影露光を実現すること
を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる問題点を解決する
ため本発明においては、レチクルパターンに対して照明
光の入射側に所定間隔だけ離して偏向部材(例えば回折
格子パターン等)を設け、この偏向部材で照明光を偏向
させることにより、照明光をレチクルに対して傾けてパ
ターンに照射することとした。なお且つこの傾斜照明を
行うにあたって、レチクルパターンのピッチPRと、回
折格子パターンのピッチPGとの関係を「PG=2P
R」とすると共に、照明光学系のコヒーレンスファクタ
ーσを0.5以下程度に設定した。偏向部材は、例えば
レチクルのパターン面と反対側の面(以下、ガラス面と
称す)に形成される。
【0013】
【作用】本発明によれば、マスクパターンに対して照明
光の入射側に所定間隔だけ離して偏向部材を設けたた
め、露光装置においては照明光学系の改良を行うことな
く従来と全く同様に垂直照明を行うだけで、しかも従来
のレチクルをそのまま利用しながらも、レチクルパター
ンに対しては偏向部材で偏向された照明光による傾斜照
明を行うことができ、高解像力かつ大焦点深度の投影露
光が可能となる。また本発明によれば、レチクルパター
ンのピッチPRと、回折格子パターンのピッチPGとの
関係を「PG=2PR」とするように構成したので、垂
直照明、即ちコヒーレンスファクターσの小さな照明を
採用しても、回折格子パターン(RG1)からは回折角
Φ(sinΦ=λ/PG =λ/2PR)で±1次回折光
(L1、L2) が発生し、これらの回折光L1、L2
は角度Φだけ傾いてレチクルパターン(RP1)に照射
されることになる。これにより、レチクルパターンRP
1から発生する0次回折光Doと1次回折光Dm とが
角度Φ0(sinΦ0=λ/PR=2sinΦ)をもっ
て投影光学系PLの瞳面Epに入射する、換言すれば0
次回折光Doと1次回折光Dmとはその光軸AXに対す
る角度(射出角)がともにΦとなって発生することにな
り、高解像度のパターン転写が可能となる、という効果
を奏することができる。更に本発明によれば、照明光学
系のコヒーレンスファクターσを0.5以下程度とい
う、傾斜照明において最適な値に設定しているので、効
果的な傾斜照明を実現することができる。
【0014】以下、図10を参照して本発明の原理を説
明する。図10では、照明光(主光線)ILが光軸AX
に対してψだけ傾いた角度でレチクルRに入射する様子
を示している。一般に、レチクルパターンRP1 は周期
的なパターンを多く含んでいる。従って、照明光ILが
照射されたレチクルパターンRP1 からは、0次回折光
成分D0 及び±1次回折光成分DP 、Dm 及びより高次
の回折光成分が、パターンの微細度に応じた方向に発生
する。このとき、図10に示すような傾斜照明を行う
と、レチクルパターンから発生した各次数の回折光成分
も、垂直に照明された場合に比べ、ある傾き(角度ず
れ)をもって発生することになる。
【0015】さて、照明光ILはレチクルパターンRP
1 により回折され、光軸AXに対してψだけ傾いた方向
に進む0次回折光D0 、0次回折光に対してθP だけ傾
いて進む+1次回折光DP 、及び0次回折光D0 に対し
てθm だけ傾いて進む−1次回折光Dm を発生する。こ
こで、照明光ILは両側テレセントリックな投影光学系
PLの光軸AXに対して角度ψだけ傾いてレチクルパタ
ーンRP1 に入射するので、0次回折光D0 もまた投影
光学系の光軸AXに対して角度ψだけ傾いた方向に進行
する。従って、+1次回折光DP は光軸AXに対して
(θP +ψ)の方向に進行し、−1次回折光Dm は光軸
AXに対して(θm −ψ)の方向に進行する。このと
き、レチクルパターンのピッチをPR とすると、回折角
θP 、θm は次式で表される。尚、ここでは+1次回折
光DP と−1次回折光Dm の両方が投影光学系PLの瞳
面Epを通過しているものとする。
【0016】
【数1】
【0017】ところで、レチクルパターンRP1 の微細
化に伴って回折角が増大すると、まず角度(θP +ψ)
の方向に進行する+1次回折光DP が投影光学系PLの
瞳面Epを透過できなくなる。すなわち、投影光学系P
Lのレチクル側開口数をNAR とすると、sin(θP +
ψ)>NAR の関係になってくる。しかし、照明光IL
が光軸AXに対して傾いて入射しているため、このとき
の回折角でも−1次回折光Dm は、投影光学系PLに入
射可能となる。すなわち、sin(θm −ψ)<NAR の関
係になる。
【0018】従って、ウエハW上には0次回折光D0 と
−1次回折光Dm との2光束による干渉縞が生じる。こ
の干渉縞はレチクルパターンRP1 の像であり、レチク
ルパターンRP1 が1:1のラインアンドスペースのと
き、約90%のコントラストとなってウエハW上に塗布
されたレジスト層に、レチクルパターンRP1 の像をパ
ターニングすることが可能となる。
【0019】このときの解像限界は、sin(θm −ψ)=
NAR となるときであり、従って、転写可能な最小パタ
ーンのレチクル側でのピッチは次式で表される。
【0020】
【数2】
【0021】一例として、 sinψを0.5×NAR 程度
に定めるとすれば、転写可能なレチクル上のパターンの
最小ピッチは次式で表される。
【0022】
【数3】
【0023】一方、上述した如く照明光の瞳面Ep上で
の光量分布が光軸AXを中心とする円形領域内である従
来の垂直照明の場合、解像限界はPR ≒λ/NAR であ
った。従って、傾斜照明法では従来の垂直照明より高い
解像度が実現できることがわかる。以上のことから本発
明では、レチクルパターンに対して照明光の入射側(光
源側)に所定間隔だけ離して偏向部材を設ける。例えば
偏向部材として回折格子パターンを用いることとし、当
該パターンの周期(ピッチ)方向とレチクルパターンの
ピッチ方向とがほぼ一致するように、回折格子パターン
をレチクルのガラス面に形成することとした(図1参
照)。このとき、照明光ILが光軸AXに対して角度ψ
(上記数式2から明らかなようにレチクルパターンのピ
ッチPR から一義的に定められる角度)だけ傾いてレチ
クルパターンRP1 に入射するように、回折格子パター
ンRG1 は照明光ILを角度ψだけ偏向(回折)させる
必要があるため、そのピッチPG をPG =2×PR なる
関係に定めておく。
【0024】この結果、従来通りの垂直照明を採用して
も、回折格子パターンRG1 からは回折角ψ(sinψ=λ
/PG =λ/2PR )で±1次回折光L1 、L2 が発生
し、これらの回折光L1 、L2 は角度ψだけ傾いてレチ
クルパターンRP1 に照射されることになる。これによ
り、レチクルパターンRP1 から発生する0次回折光D
0 と1次回折光Dm とが角度ψ0 (sinψ0 =λ/PR =
2 sinψ)をもって投影光学系PLの瞳面Epに入射す
る、換言すれば0次回折光D0 と1次回折光Dm とはそ
の光軸AXに対する角度(射出角)がともにψとなって
発生することになり、高解像度のパターン転写が可能と
なる。尚、回折格子パターンRG1 からの±1次回折光
L1 、L2 は光軸AXに対して対称的に傾いてレチクル
パターンRP1 に照射されるので、例えばレチクルパタ
ーンRP1 が1次元のラインアンドスペースパターンの
場合、投影光学系PLの瞳面Epにおける照度分布、す
わなちレチクルパターンRP1 からの回折光が通過する
2つの部分領域の各照度をほぼ等しくすることができ
る。特に回折格子パターンRG1 を位相型回折格子と
し、露光波長λ、ピッチPG のもとで最適化されている
とき、回折格子パターンRG1 からの0次光の発生を防
止して±1次回折光L1 、L2 のみを発生させることが
可能となり、原理的には傾斜照明法と全く等しくなる。
一方、0次光の発生を残した場合には、0次光を含めた
全回折光がレチクルパターンを照明することになり、見
掛け上照明光学系のコヒーレンスファクター(σ値)を
増大させる効果が得られる。
【0025】ところで、次にレチクルパターンに対して
特定の入射角で照明光を照射することで、0次回折光成
分と1次回折光成分とを用いてウエハ上に結像パターン
を形成する方法によって、焦点深度も大きくなる理由に
ついて簡単に説明する。図10に示したように、ウエハ
Wが投影光学系PLの焦点位置(最良結像面)に一致し
ている場合には、レチクルパターンRP1 中の1点を出
てウエハW上の一点に達する各回折光成分は、投影光学
系PLのどの部分を通るものであっても全て等しい光路
長を有する。このため、従来のように0次回折光成分が
投影光学系PLの瞳面Epのほぼ中心(光軸近傍)を通
過する場合でも、0次回折光成分とその他の回折光成分
とで光路長は相等しく、相互の波面収差も零である。
【0026】しかし、ウエハWが投影光学系PLの焦点
位置に一致していないデフォーカス状態の場合、斜めに
入射する高次の回折光成分の光路長は光軸近傍を通る0
次回折光成分に対して焦点前方(投影光学系PLから遠
ざかる方)では短く、焦点後方(投影光学系PLに近づ
く方)では長くなり、その差は入射角の差に応じたもの
となる。従って、0次、±1次、・・・・の各回折光成分は
相互に波面収差を形成して、焦点位置の前後におけるボ
ケを生じることとなる。
【0027】前述のデフォーカスによる波面収差は、ウ
エハWの焦点位置からのずれ量をΔF、各回折光成分が
−(負)側に入射するときの入射角θw の正弦をr(=
sinθw ) とすると、ΔFr2 /2で与えられる量であ
る。このとき、rは各回折光成分の瞳面Epでの光軸A
Xからの距離を表わす。従来の投影型露光装置(ステッ
パー)では、0次回折光D0 は光軸AXの近傍を通るの
でr(0次)=0となる。一方、±1次回折光DP 、D
m は、r(1次)=M・λ/PR となる(Mは投影光学
系の結像倍率)。従って、0次回折光D0 と±1次回折
光DP 、Dm とのデフォーカスによる波面収差は、ΔF
・M2(λ/PR )2/2となる。
【0028】一方、本発明における投影型露光装置で
は、図12に示すように0次回折光成分D0 は光軸AX
から角度ψだけ傾いた方向に発生するから、瞳面Epに
おける0次回折光成分の光軸AXからの距離は、r(0
次)=M・ sinψである。さらに、−1次回折光成分D
m の瞳面における光軸からの距離はr(−1次)=M・
sin(θm −ψ)となる。そしてこのとき、 sinψ=sin
(θm −ψ)となれば、0次回折光成分D0 と−1次回
折光成分Dm のデフォーカスによる相対的な波面収差は
零となり、ウエハWが焦点位置より光軸方向に若干ずれ
てもパターンRP1 の像ボケは従来程大きく生じないこ
とになる。すなわち、焦点深度が増大することになる。
また、上記数式2のようにsin(θm −ψ)+ sinψ=λ
/PRであることから、照明光束ILのレチクルRへの
入射角ψを、ピッチPR のパターンに対して sinψ=λ
/2PR (=λ/PG )なる関係に定めれば、焦点深度
を極めて増大させることが可能である。本発明では、上
記の如く偏向部材によって sinψ=λ/2PR なる関係
が達成されているので、大焦点深度も得られることにな
る。
【0029】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例によるフォトマ
スク(レチクル)の構成を示す模式図である。本実施例
では、このレチクルを投影露光装置を適用するのを前提
として説明する。図1において、レチクルRは互いにほ
ぼ平行な2つの面を有する透明基板(露光波長λに対し
てほぼ透明な基板であって、例えば石英等のガラス基
板)の一方の面に、遮光材(クロム等)で1次元のライ
ンアンドスペースパターンRP1 が形成されるととも
に、他方の面(ガラス面)には偏向部材としての1次元
の回折格子パターン(ここでは位相型回折格子とする)
RG1(デューティ比は1:1)が形成されている。従っ
て、レチクルパターンRP1 と回折格子パターンRG1
とは、互いにほぼ平行に対向して配置される。回折格子
パターンRG1 は、その周期(ピッチ)方向がレチクル
パターンRP1 のピッチ方向(図ではX方向)とほぼ一
致するように形成されるとともに、そのピッチPG がP
G =2PR なる関係に定められている。また、本実施例
では位相型回折格子を用いることとしたので、レチクル
1の屈折率をnとしたとき、回折格子の溝の深さdは次
式のように定められる。
【0030】
【数4】
【0031】これにより、露光光(i線、KrFエキシ
マレーザ等)ILがほぼ垂直に回折格子パターンRG1
に照射されると、パターンRG1 からは±1次回折光L
1 、L2 のみが発生し、±1次回折光L1 、L2 はレチ
クル1と垂直な方向(投影光学系の光軸方向)に対して
互いに角度ψ(sinψ=λ/PG )だけ傾いて対称的にレ
チクルパターンRP1 に入射することになる。この結
果、レチクルパターンRP1 から発生する±1次回折光
のいずれか一方と0次回折光とが、投影光学系中のレチ
クルパターンに対するフーリエ変換面(以下、投影光学
系の瞳面と称す)Ep、もしくはその近傍の面内で、投
影光学系の光軸AXからほぼ等距離だけ離れた2つの部
分領域SP1 、SP2 を通過し(図3参照)、高解像度
と大焦点深度とが得られることになる。
【0032】このとき、図1においてレチクルパターン
RP1 の一点に着目すると、パターンRP1 からは回折
光L1 による0次回折光L1(0)と回折光L2 による−1
次回折光L2(-1) とが同一方向に発生するとともに、回
折光L1 による+1次回折光L1(+1) と回折光L2 によ
る0次回折光L2(0)とが同一方向に発生することにな
る。これは、レチクルパターンRP1 に対して±1次回
折光L1 、L2 の各々が対称的に傾斜して照射されるた
めである。従って、投影光学系の瞳面Epでの照度分
布、すなわち回折光L1(0)とL2(-1) とが通過する部分
領域(例えばSP1)と、回折光L1(+1) とL2(0)とが通
過する部分領域(例えばSP2)との各照度がほぼ等しく
なり、これによってレジスト像にだれ等が生じることが
なくなる。
【0033】ここで、回折格子パターンRG1 のデュー
ティ比は任意で構わないが、高次回折光の発生を防止す
る上で1:1に定めておくことが望ましい。また、回折
格子パターンRG1 を2次元の周期パターンとしても良
く、この場合にはいずれか一方の方向に関するピッチ及
びその方向が上記条件を満足するように形成すれば良
い。さらに回折格子パターンRG1 は、上記の如くレチ
クルパターンRP1 に対してそのピッチPG 及びピッチ
方向のみを正確に設定しておくだけで良く、回折格子パ
ターンRG1 がレチクルパターンRP1 に対してXY平
面内で相対的にシフト(位置ずれ)していても構わな
い。但し、互いのピッチ方向を一致させるため、当然な
がら相対回転誤差はほぼ零にしておく必要がある。この
ことは、レチクル製造時に回折格子パターンRG1 を厳
密な位置合わせを行うことなく形成でき、上記構成のレ
チクルの製造が容易であることを意味している。
【0034】一例として、ピッチPR =3.5μmのレ
チクルパターンRP1 に対して、上記数式4を満足する
ピッチPG =7μmの回折格子パターンRG1 を形成し
たレチクルを、i線ステッパー(投影光学系の開口数N
A=0.5、照明光学系のコヒーレンスファクターσ=
0.3、投影光学系の投影倍率M=1/5)を使用し
て、1.2μm厚のポジレジストを塗布したシリコン基
板へ露光を行い、0.7μmピッチのラインアンドスペ
ースパターン(最小線幅0.35μm)を形成したとこ
ろ、約2.5μmの焦点深度を得ることができた。これ
に対して、回折格子パターンRG1 のないレチクルを同
様の条件で露光したときには、約1.0μmの焦点深度
しか得られなかった。
【0035】次に、図2を参照して本実施例によるレチ
クルの形成条件について説明する。図2は図1に示した
レチクルを側面及び上面から見た全体構成を示す図であ
り、パターン面には一定幅ΔSの遮光帯(クロム等)L
SBが形成され、この遮光帯LSBに囲まれたパターン
領域PA内にレチクルパターンRP1 (不図示)が形成
されている。
【0036】さて、上述した如く本実施例ではレチクル
1のガラス面に回折格子パターンRG1 (図2ではその
形成領域GAを図示)を形成しているが、レチクル1と
垂直な方向(投影光学系の光軸方向)に関するレチクル
パターンRP1 と回折格子パターンRG1 との間隔(本
実施例ではレチクル1の厚さに相当)Δtは狭い方が良
い。これはパターンRG1 の半影ぼけの影響等を除去す
るためである。そこで、レチクルパターンに対する傾斜
照明を実現するための間隔Δt(最小値)について説明
する。
【0037】レチクルパターンRP1 に対する照明光
(±1次回折光)の入射角NA0(= sinψ)、照明光学
系の開口数NAILのもとで、パターンRP1 への照明光
の最大、最小入射角(正弦)NA1 、NA2 は次式で表
される。
【0038】
【数5】
【0039】ところで、間隔(デフォーカス量に相当)
Δtのもとでの光軸近傍を通る光に対する入射角NA1
、NA2 の光の各光路差k1 、k2 は次式で表され
る。
【0040】
【数6】
【0041】従って、光路差k1 とk2 との差が露光波
長λ程度より長ければ、回折格子パターンRG1 の像コ
ントラストはほぼ零となる。すなわち、次式を満足すれ
ば良い。
【0042】
【数7】
【0043】ここで、上記数式5から次式が得られる。
【0044】
【数8】
【0045】また、PG ・NA0 =λが成り立つことか
ら、上記数式7は次式のように表される。
【0046】
【数9】
【0047】従って、レチクル1のパターン面と回折格
子パターンRG1 の形成面(ここではガラス面)との間
隔Δtは、次式を満足すれば良いことなる。
【0048】
【数10】
【0049】尚、間隔(レチクル厚)Δtを決定する際
には、上記数式10とともにレチクルの自重による撓み
までも考慮すると良い。これはレチクルが撓むと、レチ
クルパターンの投影像に特にディストーションが生じる
ためである。また、図2では回折格子パターンRG1 の
形成領域GAを、X、Y方向の各々でパターン領域PA
(但し、領域PAの全面にレチクルパターンRP1 が形
成されているものとする)よりΔWだけ大きくなるよう
に定めている。これは図1から明らかなように、レチク
ルパターンRP1 の形成領域全てにわたって±1次回折
光L1 、L2 が対称的に照射されるようにするためであ
る。従って、上記ΔWがΔW>Δt× tanψなる関係式
を満足するように、回折格子パターンRG1 の大きさ
(形成領域GA)を定めておくことが望ましい。さらに
遮光帯LSBを、その幅ΔSがΔS≧2×ΔWなる関係
式を満足するように形成しておくことが望ましい。これ
は、回折格子パターンRG1 で回折された光が遮光帯L
SBの外側を通過するのを防止するためである。
【0050】次に、図4を参照して本実施例の変形例に
ついて簡単に説明する。図4(A)は、図1に示したレ
チクル1のガラス面(回折格子パターンRG1)側に、別
の透明基板(石英等のガラス基板)GP1 を一体に固定
したもので、回折格子パターンRG1 の形成面(レチク
ル1のガラス面)に異物等が直接付着するのを防止でき
るといった効果が得られる。また、例えばレチクル1と
透明基板GP1 とが全体で撓まない程度に透明基板GP
1 を厚くしておけば、レチクル1の厚さ、すなわち間隔
ΔtをΔt=PPG/2NAILなる値(最小値)に定める
ことができるといった利点もある。
【0051】図4(B)、(C)は、レチクル1とは別
の透明基板GP2 、GP3 に回折格子パターンRG1 を
形成し、レチクル1と透明基板GP2 、GP3 の各々と
を所定間隔あけて一体に固定したものである。尚、いず
れにおいても間隔Δtは上記数式10を満足するように
定めておけば良い。また、ここではレチクル1と透明基
板GP2 、GP3 とを所定量だけ離しているが、両者を
密着させて固定しても構わない。図4(B)では、さら
に図4(A)と同様の異物付着防止用の透明基板GP1
(点線)を設けるようにしても良い。図4(C)では、
回折格子パターンRG1 が透明基板GP3 の下面(レチ
クル1側の面)に形成されているので、透明基板GP3
自体が異物の付着を防止することになる。
【0052】次に、図5を参照して本発明の第2の実施
例について説明する。本実施例では、レチクルパターン
として2次元の周期性パターンを用いる場合について述
べる。図5(A)においてレチクルパターンRP2 は、
レチクル(透明基板)の一方の面に、遮光材(クロム
等)で形成された矩形パターン(格子要素)DPが、
X、Y方向にピッチPRX、PRYで繰り返し配列されたも
のである。また、レチクルのガラス面には偏向部材とし
ての2次元の回折格子パターンRG2(デューティ比は
1:1)が形成されている。回折格子パターンRG2
は、透過光の位相をその膜厚に応じて所定量だけずらす
位相シフト材(例えばSOG等)で形成された矩形パタ
ーンPSが、X、Y方向にピッチPGX、PGYで繰り返し
配列されたもの、換言すれば矩形パターン(位相シフト
部)PSと光透過部(ガラス裸面部)とが市松格子状に
配列されたものである。さらに回折格子パターンRG2
は、その周期方向がレチクルパターンRP2 の周期方向
(図ではX、Y方向)とほぼ一致するように形成される
とともに、矩形パターンPSのX、Y方向の各辺の長さ
がPRX、PRYとなる、ここでは特にピッチPGX、PGYが
PGX=2PRx、PGY=2PRYなる関係に定められてい
る。また、本実施例では位相シフト材を用いているの
で、矩形パターンPSの膜厚(第1の実施例での溝の深
さdに相当)は上記数式4を満足するように定めておく
ことが望ましい。上記数式4を満足すれば、位相シフト
部を透過する光の位相が光透過部を通過する光の位相に
対してπだけシフトし、回折格子パターンRG2 からは
±1次回折光のみが発生することになる。
【0053】これにより、露光光ILがほぼ垂直に回折
格子パターンRG2 に照射されると、パターンRG2 か
らはX、Y方向の各々に関して2組の±1次回折光L3
、L3'、L4 、L4'のみが発生し、2組の±1次回折
光の各々はレチクル1と垂直な方向(投影光学系の光軸
方向)に対して互いに角度ψ(sinψ=λ/PG )だけ傾
いて対称的にレチクルパターンRP2 に入射することに
なる。ここで、露光波長λは本来、透明基板の屈折率n
によりλ’=λ/nとなるが、ここでは空気中換算で示
した。この結果、レチクルパターンRP2 から発生する
±1次回折光のいずれか一方と0次回折光とは、投影光
学系の瞳面Ep内で、投影光学系の光軸AXからほぼ等
距離だけ離れた4つの部分領域SP3 〜SP6 を通過し
(図5(C)参照)、高解像度と大焦点深度とが得られ
ることになる。このとき、4つの部分領域SP3 〜SP
6 の各照度はほぼ等しくなっている。
【0054】ここで、回折格子パターンRG2 のデュー
ティ比は任意で構わないが、高次回折光の発生を防止す
る上で1:1に定めておくことが望ましい。また、回折
格子パターンRG2 の他の形成条件、例えばレチクルパ
ターンRP2 との間隔、その形成領域の大きさ、及びパ
ターン面に設けられる遮光帯の幅等の条件については、
上記第1の実施例と全く同様であるため、ここでは説明
を省略する。
【0055】一例として、ピッチPRX=3μm、PRY=
4μmのレチクルパターンRP2 に対して、上記数式4
を満足するピッチPGX=6μm、PGY=8μmの回折格
子パターンRG2 を形成したレチクルを、第1の実施例
と全く同様のi線ステッパーを使用して、1.2μm厚
のポジレジストを塗布したシリコン基板へ露光を行い、
0.6μm×0.8μmピッチの繰り返しパターン(最
小線幅0.3μm×0.4μm)を形成したところ、約
1.5μmの焦点深度を得ることができた。これに対し
て、回折格子パターンRG2 のないレチクルを同様の条
件で露光したときには、約0.6μmの焦点深度しか得
られなかった。
【0056】次に、図6を参照して本発明の第3の実施
例について説明する。本実施例では、互いにピッチの異
なる複数個(図6では2個)の1次元のラインアンドス
ペースパターン群から成るレチクルパターンRP3 を用
いる場合について述べる。図6に示すようにレチクルパ
ターンRP3 として、レチクル(透明基板)2の一方の
面に遮光材(クロム等)によって、X方向のピッチがP
R2、PR3で配列された2組の1次元のラインアンドスペ
ースパターン群RP3a、RP3bが形成されている。ま
た、レチクル2のガラス面には偏向部材としての1次元
の回折格子パターンRG3(デューティ比は1:1)がX
方向にピッチPG3で形成されている。回折格子パターン
RG3 は、その周期方向がレチクルパターンRP3 の周
期方向(図ではX方向)とほぼ一致するように形成され
るとともに、そのピッチPG3がPG3=2PR3なる関係に
定められている。尚、回折格子パターンRG3 は位相型
回折格子であっても、位相シフト材で形成しても良く、
ここでは位相型回折格子とし、上記数式4を満足してい
るものとする。これより、回折格子パターンRG3 から
は±1次回折光のみが発生することになる。
【0057】この結果、第1の実施例と同様に回折格子
パターンRG3 から発生する±1次回折光が、レチクル
2と垂直な方向(投影光学系の光軸方向)に対して互い
に角度ψ(sinψ=λ/PG3)だけ傾いて対称的にレチク
ルパターンRP3 に入射することになり、高解像度と大
焦点深度とが得られることになる。本実施例ではピッチ
PG3をPG3=2PR3なる関係に定めているため、ライン
アンドスペースパターン群RP3bに対しては照明光の傾
斜照明条件(入射角ψ)の最適化が行われないが、パタ
ーン群RP3bにおいても十分な高解像度と大焦点深度と
が得られる。
【0058】例えばレチクル上で2.5μmから5μm
までの互いにピッチが異なる複数個の1次元のラインア
ンドスペースパターン群を、回折格子パターンRG3 を
3μmピッチのラインアンドスペースパターン群に対し
て最適化する、すわなちそのピッチPG3を6μmに定
め、第1の実施例と全く同様のi線ステッパーで露光を
行ったところ、ウエハ上で0.56μmピッチのライン
アンドスペースパターン群まで形成することができた。
すなわち限界解像が0.28μm(線幅)にまで向上し
たことになる。これに対して、回折格子パターンRG3
のないレチクルを同様の条件で露光したときの限界解像
は0.35μmでしかなかった。
【0059】ここで、本実施例では複数個のラインアン
ドスペースパターン群に対して、回折格子パターンRG
3 のピッチPG3を特定のパターン群についてのみ最適化
する、すなわちピッチPG3をただ1つの値に定めること
としたが、複数個のラインアンドスペースパターン群の
各々に対応して、ピッチ(及びピッチ方向)が最適化さ
れた複数の回折格子パターン(偏向部材)を、例えばレ
チクルのガラス面に形成するようにしても良い。また、
上記実施例では1次元のラインアンドスペースパターン
について述べたが、2次元の周期性パターンに対しても
全く同様に適用できる。
【0060】次に、図7を参照して本発明の第4の実施
例について説明する。本実施例では、互いに周期性の異
なる複数個(図6では3個)の周期パターンから成るレ
チクルパターンRP4 を用いる場合について述べる。図
7(A)に示すようにレチクルパターンRP4 として、
レチクル(透明基板)の一方の面に遮光材(クロム等)
によって、X、Y方向の各々に所定のピッチで配列され
た2組の1次元のラインアンドスペースパターン群RP
4a、RP4bと、2次元の周期性パターン群RP4cとが形
成されている。また、図7(B)に示すようにレチクル
のガラス面には、3組の周期性パターン群RP4a、RP
4b、RP4cの各々に対応して、偏向部材としての2組の
1次元の回折格子パターンRG4a、RG4bと、2次元の
回折格子パターン(市松格子状)RG4cとから成る回折
格子パターンRG4(デューティ比はいずれも1:1)が
形成されている。
【0061】また、周期性パターン群RP4a、RP4b、
RP4cの各々と回折格子パターンRG4a、RG4b、RG
4cの各々とはほぼ平行に、かつレチクル(透明基板)を
挟んで対向して設けられている。さらに回折格子パター
ンRG4a、RG4b、RG4cの各々は、その周期方向が周
期性パターンRP4a、RP4b、RP4cの各周期方向とほ
ぼ一致するように形成されるとともに、そのピッチがい
ずれも周期性パターンの各ピッチの2倍に定められてい
る。尚、回折格子パターンRG4a、RG4b、RG4cは位
相型回折格子であっても、位相シフト材で形成しても良
く、ここでは位相型回折格子とし、上記数式4を満足し
ているものとする。本実施例においても、以上の各実施
例と全く同様に、周期性パターンRP4a、RP4b、RP
4cの各々に対して最適化された傾斜照明を行うことがで
き、高解像度と大焦点深度とが得られることになる。
【0062】次に、図8を参照して本発明の第5の実施
例について説明する。本実施例では、図8(A)に示す
ようにレチクルパターンRP5 として、X方向に微細な
ピッチ(例えば3μm程度)で配列された1次元のライ
ンアンドスペースパターン群RP5aと、比較的粗い2次
元のパターンRP5bとが形成されている。一方、図8
(B)に示すようにレチクルのガラス面には、周期性パ
ターン群RP5aに対して最適化された1次元の位相型回
折格子パターンRG5a(デューティ比は1:1)と、傾
斜照明による効果が小さい2次元パターンRP5bに対応
して2次元の位相型回折格子パターンRG5b(デューテ
ィ比は例えば1:3)とが、回折格子パターン(偏向部
材)RG5 として形成されている。
【0063】また、パターンRP5a、RP5bの各々と回
折格子パターンRG5a、RG5bの各々とはほぼ平行に、
かつレチクル(透明基板)を挟んで対向して設けられて
いる。さらに回折格子パターンRG5aは、その周期方向
が周期性パターンRP5aの周期方向とほぼ一致するよう
に形成されるとともに、そのピッチが周期性パターンR
G5aのピッチの2倍に定められ、かつ上記数式4を満足
しているものとする。また、2次元パターンRP5bは傾
斜照明による効果が小さいので、特に回折格子パターン
RG5bを設けなくとも良いが、ここでは見掛け上2次元
パターンRP5bに対する照明光学系のσ値を大きくする
といった効果を得るため、回折格子パターンRG5bから
0次回折光も発生するように、回折格子パターンRG5b
のデューティ比を1:3程度に定めておく。従って、回
折格子パターンRG5bに対して照明光がほぼ垂直に照射
されると、当該パターンRG5bからは±1次回折光とと
もに0次回折光も発生し、これらの回折光は2次元パタ
ーンRP5bを照射する。このときの投影光学系の瞳面E
pでの照度分布を図9に示す。図9に示すように、2次
元パターンRP5bからは種々の次数の回折光が発生して
おり、これによって照明光学系中に空間フィルターを配
置してその開口径を変化させることを行うことなく、2
次元パターンRP5bに対して照明光学系のσ値を増大さ
せる効果が得られる。
【0064】ここで、回折格子パターンRG5bの溝の深
さは、回折格子パターンRG5aの溝の深さとほぼ等しく
設定しても良く、このように溝の深さを設定することに
より回折格子パターンRG5aとRG5bとを同時(同一工
程)で加工することができる。また、上述した如くデュ
ーティ比を面積比にして1:3程度に設定しておけば、
±1次回折光のいずれか一方と0次回折光との強度比を
ほぼ1:1にすることが可能である。さらに、実際の照
明光学系の開口数NAIL(σ値で表すと、σ≦0.5程
度)に対して、粗いレチクルパターンRP5bの露光に際
して必要とされる照明光学系の開口数をNARPとし、回
折格子パターンRG5bのX、Y方向の各ピッチが等しい
ものとしてそのピッチをPR5とすると、回折格子パター
ンRG5bから発生する1次回折光の回折角ψ5 は、次式
を満足する。
【0065】
【数11】
【0066】このとき、 sinψ5 とNAIL、NARPとの
間には、次式が成り立っている。
【0067】
【数12】
【0068】従って、回折格子パターンRG5bのピッチ
PR5は、次式を満足するように定めれば良い。
【0069】
【数13】
【0070】以上の構成により本実施例では、以上の各
実施例と全く同様に周期性パターンRP5aに対して最適
化された傾斜照明を行うことができ、高解像度と大焦点
深度とが得られるとともに、2次元パターンRP5bに対
しては大きなσ値で照明することができ、大焦点深度が
得られることになる。本実施例では、比較的粗いパター
ンRP5bに対しても回折格子パターンRG5bを設けるこ
ととしたが、例えば微細な周期性パターンRP5aに対し
てのみ回折格子パターンRG5aを設けて傾斜照明を行
い、パターンRP5bに対しては従来通りの垂直照明を行
うだけでも良い。この場合には、ウエハ上でのパターン
RP5a、RP5bの各像の照度が大きく異なり得るため、
減光フィルターを用いてパターンRP5bに照射される照
明光の照度を予め低く設定する、あるいは薄膜の蒸着に
よりパターンRP5bの形成領域の光透過率を低くしてお
くことが望ましく、これによってパターンRP5a、RP
5bのいずれに対しても最適露光量で露光することが可能
となる。また、パターンRP5bに対してはオーバー露光
となることから、予めパターンRP5bの線幅を、パター
ンRP5aに対する最適露光量に対応して設計値より太く
形成しておくだけでも良い。
【0071】尚、以上の第3〜第5の実施例では偏向部
材としての回折格子パターンのピッチ以外の他の形成条
件、例えばレチクルパターンとの間隔(Δt)、その形
成領域の大きさ、及びパターン面に設けられる遮光帯の
幅等の条件について特に述べていなかったが、いずれの
条件も第1の実施例と全く同様に定めれば良い。以上の
通り第1〜第5の実施例では、レチクルのガラス面に回
折格子を設けることで、レチクルパターンに対する傾斜
照明を実現するため、照明光学系の改良を行うことな
く、しかも従来のレチクルをそのまま利用して高解像
度、大焦点深度を達成することが可能となる。また、回
折格子パターン(偏向部材)に微小な欠陥(傷等)があ
ったとしても、レチクルの厚さ、すなわち間隔Δt分だ
けの進むうちにその影響が緩和されていき、レチクルの
パターン面では回折格子の欠陥による影響は極めて小さ
くなるため、位相シフトレチクルのようにシフター欠陥
の影響は問題とならず、さらに位相シフトレチクルでは
遮光パターンとシフターパターンとを高精度に重ね合わ
せて形成する必要があるが、本発明によるフォトマスク
ではレチクルパターンと回折格子パターン(偏向部材)
との位置合わせに高い精度が要求されず、レチクル製造
が容易であるといった利点がある。
【0072】また、特に第5の実施例のように回折格子
パターン(偏向部材)から0次回折光を発生させる場合
には、0次回折光を含めた全ての回折光がレチクルパタ
ーンを照明することになり(図9)、照明光学系のσ値
を増大させる効果が得られる。このとき、第5の実施例
のようにレチクルパターンのうち、比較的粗いパターン
に対してのみσ値を増大させるように回折格子パターン
を形成し、照明視野内で部分的にσ値を変化させるよう
にしても良い。また、特に微細なパターン転写を行う必
要のないレチクルにおいては、そのレチクルパターンの
全面にわたってσ値を増大させるための回折格子パター
ンを形成しておくようにしても良い。このように回折格
子パターンによってσ値を設定するようにしておけば、
予め照明光学系のσ値を、本発明のフォトマスク、すな
わち傾斜照明において最適な値(0.5以下程度)に設
定しておけば、露光装置において照明光学系のσ値を可
変とする機構が不要となる。さらに孤立パターン、例え
ば1本のラインパターンまたはスペースパターン等に対
しては、回折格子パターン(偏向部材)から0次回折光
を発生させることが有効である。また、回折格子パター
ン(偏向部材)から0次回折光を発生させることは、例
えば5本のラインアンドスペースパターンを露光すると
き、その両端のレジスト像で生じる膜べりを低減できる
といった効果も得られる。
【0073】ところで、以上の各実施例では偏向部材と
して位相型回折格子(ガラス基板にエッチングにより凹
凸にて形成したもの、または位相シフト材にて形成した
もの等)を用いていたが、例えば振幅型回折格子を設け
ても良く、この場合にも±1次回折光が発生するので、
解像力・焦点深度の向上が見込める。また、偏向部材と
して断面形状が正弦波状の凹凸を、その1周期をレチク
ルパターンのピッチの約2倍に定めてガラス基板に形成
するようにしても構わない。レチクルパターンが2次元
パターンのときは、上記正弦波状の凹凸を有する2組の
格子板を、互いに正弦波の進行方向が2次元パターンの
周期性に応じて交差するように重ねて配置すれば良い。
または、1枚のガラス基板の表面と裏面とに2組の正弦
波状の回折格子を形成するようにしても構わない。さら
に偏向部材として、断面形状が三角波状の凹凸を、上記
と同様にガラス基板に形成しても良い。また、偏向部材
として微細なフレネルゾーンプレートを多数敷き詰めた
ものを用いても構わない。
【0074】尚、各実施例のレチクルに対しては従来通
りの照明光学系を用いて、レチクルパターンに対して垂
直照明を行えば良いが、照明光学系のσ値は0.5以下
に定めておくことが望ましい。また、各実施例のレチク
ルの露光に際して使用するレジストはポジ型であって
も、ネガ型であっても良い。さらに上述したいずれの実
施例においても、回折格子パターン(偏向部材)をレチ
クルのガラス面に設けておく必要はなく、図4(B)、
(C)に示したように別の透明基板に形成しておいても
構わない。このとき、例えばペリクル枠等を利用して、
回折格子パターンが形成された基板をレチクルに近接し
て載置(固定)するようにしても良い。あるいは上記基
板をレチクルに固定せず、照明光学系の内部に固定して
も構わない。このとき、照明光学系にリレーレンズ系を
配置し、このリレーレンズ系によって、例えばレチクル
のガラス面とほぼ共役な面内に回折格子パターン(偏向
部材)を設けるようにしても良い。また、図4(A)に
示したように異物付着防止用の透明基板を回折格子パタ
ーンに密着して固定するようにしても良い。
【0075】また、いずれの実施例においても、回折格
子パターン(偏向部材)によって照明光束を傾斜させて
レチクルパターンに照射する傾斜照明法について述べて
いたが、例えば回折格子パターンを複数の方向に配列す
ることによって、レチクルパターンに対して輪帯照明を
行うことも可能である。尚、本発明によるフォトマスク
を適用可能な露光装置は、投影光学系を有するものであ
れば良く、さらに投影光学系は屈折型、反射型、あるい
はこれらを組み合わせた型のいすれであっても良い。ま
た、投影光学系の開口数を変化させる、特に小さくする
ときは、レチクルパターンからの回折光がその瞳面を通
過できなくなり得る。そこで、投影光学系の開口数の変
化に応じて回折格子パターン(偏向部材)を交換可能に
構成し、ピッチが異なる回折格子パターンを用いること
でレチクルパターンへの照明光の入射角を変化させるこ
とが望ましい。
【0076】次に、図11を参照して本発明の第6の実
施例について説明する。本実施例では、第1〜第5の実
施例のレチクルが適用可能な投影露光装置について述べ
る。図11において、照明光学系(フライアイレンズ1
0のみ図示)からの照明光ILは、コンデンサーレンズ
12を通過してミラー13でほぼ垂直に下方に反射され
た後、裏面(レチクル側の面)に1次元の位相型回折格
子パターン(本発明の偏向部材)RGが形成されたガラ
ス基板14を介して、レチクルステージ15に載置され
たレチクルRに照射される。フライアイレンズ10の射
出面(レチクル側焦点面)近傍には、照明光学系の開口
数NAIL、すなわちσ値を規定するための開口絞り(空
間フィルター)11が配置されており、本実施例ではσ
値が0.3となるようにその開口径が定められている。
【0077】さて、ガラス基板14にほぼ垂直に入射し
た照明光は回折格子パターンRGを照射し、このパター
ンRGからは±1次回折光のみが発生することになる。
ここで回折された±1次回折光は、投影光学系PLの光
軸AXに対して所定角度だけ傾いて、遮光帯LSBで囲
まれたパターン領域PA内に形成されたレチクルパター
ン(1次元のラインアンドスペースパターン)に入射す
る。尚、回折格子パターンRGの構成や傾斜照明等につ
いては先に述べているので、ここでは説明を省略する。
また、本実施例では駆動系21によって、ガラス基板1
4がレチクルRに対して相対回転可能に構成されてお
り、レチクルパターンの周期性に応じて基板14を相対
回転させることで、レチクルパターンと回折格子パター
ンの周期方向をほぼ一致させることが可能となってい
る。さらに、ガラス基板14を含み、互いにピッチが異
なる1次元または2次元の位相型回折格子パターンを有
する複数のガラス基板が保持部材(例えば回転ターレッ
ト板、スライダー等)25に設けられており、不図示の
駆動系によって任意のガラス基板が交換可能に照明光路
中に配置されるように構成されている。従って、レチク
ルパターンのピッチに応じてガラス基板を交換すること
により、レチクルパターンに対して最適、すなわちレチ
クルパターンのピッチの2倍のピッチを有する回折格子
パターンを照明光路中に配置することが可能となってい
る。
【0078】さらにパターン領域PAを通過した照明光
ILは、両側テレセントリックな投影光学系PLに入射
し、投影光学系PLはレチクルRの回路パターンの投影
像を、表面にレジスト層が形成され、その表面が最良結
像面とほぼ一致するように保持されたウエハW上に投影
(結像)する。尚、本実施例では投影光学系PLの瞳面
Ep、もしくはその近傍面内には可変開口絞り24が設
けられており、これによって投影光学系PLの開口数N
Aを変更できるように構成されている。ウエハWはウエ
ハステージ16上に保持され、ウエハステージ16はモ
ータ17により光軸方向(Z方向)に微動可能であると
ともに、ステップ・アンド・リピート方式で2次元移動
可能に構成されており、ウエハW上の1つのショット領
域に対するレチクルRの転写露光が終了すると、次のシ
ョット位置までステッピングされる。尚、ウエハステー
ジWSの2次元的な位置は不図示の干渉計によって、例
えば0.01μm程度の分解能で常時検出される。
【0079】ところで、図11には装置全体を統括制御
する主制御装置20と、レチクルRが投影光学系PLの
直上に搬送される途中でレチクルパターンの脇に形成さ
れた名称を表すバーコードBCを読み取るバーコードリ
ーダ18と、複数枚のガラス基板が固定された保持部材
(回転ターレット板)25を駆動するとともに、各ガラ
ス基板を回転するための駆動系(モータ、ギャトレン
等)21とが設けられている。主制御装置20内には、
この投影露光装置(例えばステッパー)で扱うべき複数
枚のレチクルの名称と、各名称に対応したステッパーの
動作パラメータとが予め登録されている。そして、主制
御装置20はバーコードリーダ18がレチクルバーコー
ドBCを読み取ると、その名称に対応した動作パラメー
タの1つとして、予め登録されているパターン情報(パ
ターンピッチやピッチ方向等)に最も見合ったガラス基
板を保持部材25の中から1つ選択する。コントローラ
19は、主制御装置20で選択されたガラス基板がレチ
クルR上に設定されるように、所定の駆動指令を駆動系
21に出力して保持部材25を駆動するとともに、レチ
クルパターンと回折格子パターンの周期方向がほぼ一致
するようにガラス基板を回転させる。尚、ガラス基板を
回転させる際、コントローラ19は駆動系21に設けら
れたロータリーエンコーダ(不図示)の出力情報、ある
いはガラス基板とレチクルの各々に設けられたパターン
を観察するためのパターン検出系22の出力情報に基づ
いて駆動系21の駆動を制御する。さらに、上記名称に
対応した動作パラメータとして、先に選択されたガラス
基板(すなわちレチクルパターン)のもとでの可変開口
絞り24の最適な設定条件等も登録されており、この条
件設定もガラス基板の設定と同時に行われる。これによ
って、レチクルステージRS上に載置されたレチクルR
に対して最適なガラス基板(回折格子パターン)が正確
に設定されることになる。
【0080】以上述べたように、レチクルRと回折格子
パターンRGを有するガラス基板14とを独立して配置
するととにも、複数枚のガラス基板を交換可能に構成す
ることによって、常に転写すべきレチクルパターンに対
して最適な回折格子パターンを設定して傾斜照明(輪帯
照明でも良い)を行うことができ、高解像度及び大焦点
深度のパターン転写が可能となる。尚、予め保持部材2
5に載置された複数枚のガラス基板の各々において回折
格子パターンを十分広い面積で形成するとともに、ガラ
ス基板14(表面、裏面のいずれでも良い)に極近接し
て可変絞りを配置しておき、転写すべきレチクルパター
ンの大きさ(面積)に応じて可変絞りを駆動することに
より、先に述べたΔWの条件(ΔW>Δt× tanψなる
関係式)を満足するように、回折格子パターンの大きさ
(照明光の透過領域)を設定することが望ましい。これ
によって、レチクル毎にそのパターンの大きさに応じて
回折格子パターンの大きさも最適化することができ、し
かも仮に遮光帯LSBの幅ΔSがΔS≧2×ΔWなる関
係式を満足していなくても、回折格子パターンで回折さ
れた光が遮光帯LSBの外側を通過して投影光学系PL
に入射するのを防止できるといった利点がある。また、
本実施例では投影光学系PLの開口数NAを変化させる
場合には、その開口数NAのもとでのレチクルパターン
に対する最適な照明条件(レチクルへの照明光の入射
角)、すなわち最適なガラス基板を再度選択し、必要が
あれば交換を行うようにすることが望ましい。
【0081】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、マスクパ
ターンに対して照明光の入射側に所定間隔だけ離して、
照明光を偏向させるための偏向部材を配置したので、従
来の露光装置、マスクをそのまま利用して高解像度・大
焦点深度での投影露光が可能となる。また本発明によれ
ば、レチクルパターンのピッチPRと、回折格子パター
ンのピッチPGとの関係を「PG=2PR」とするよう
に構成したので、垂直照明、即ちコヒーレンスファクタ
ーσの小さな照明を採用しても、回折格子パターン(R
G1)からは回折角Φ(sinΦ=λ/PG =λ/2P
R)で±1次回折光(L1、L2) が発生し、これら
の回折光L1、L2 は角度Φだけ傾いてレチクルパタ
ーン(RP1)に照射されることになる。これにより、
レチクルパターンRP1から発生する0次回折光Doと
1次回折光Dm とが角度Φ0(sinΦ0=λ/PR
=2sinΦ)をもって投影光学系PLの瞳面Epに入
射する、換言すれば0次回折光Doと1次回折光Dmと
はその光軸AXに対する角度(射出角)がともにΦとな
って発生することになり、高解像度のパターン転写が可
能となる、という効果を奏することができる。更に本発
明によれば、照明光学系のコヒーレンスファクターσを
0.5以下程度という、傾斜照明において最適な値に設
定しているので、効果的な傾斜照明を実現することがで
きる。また、マスクパターンがピッチの異なる複数の周
期性パターンを有していたり、その周期方向が互いに異
なる場合には、各パターンに最適な偏向部材(回折格子
パターン)をマスクパターンに近接して(例えばマスク
のガラス面に)設けることによって、パターン毎にその
照明条件(すなわちマスクに対する照明光の入射角)を
最適化することも可能となる。さらに位相シフトレチク
ルと異なり、その製造が容易であるとともに、偏向部材
(回折格子パターン)の欠陥の影響も極めて小さく、よ
り高解像度の投影露光が可能となるといった利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるフォトマスクの構
成を概略的に説明する図。
【図2】本発明によるフォトマスクの形成条件の説明に
供する図。
【図3】図1に示したフォトマスクの露光時の投影光学
系の瞳面での照度分布を表す図。
【図4】第1の実施例によるフォトマスクの変形例を説
明する図。
【図5】本発明の第2の実施例によるフォトマスクの構
成を概略的に説明する図。
【図6】本発明の第3の実施例によるフォトマスクの構
成を概略的に説明する図。
【図7】本発明の第4の実施例によるフォトマスクの構
成を概略的に説明する図。
【図8】本発明の第5の実施例によるフォトマスクの構
成を概略的に説明する図。
【図9】図8に示したフォトマスクの露光時の投影光学
系の瞳面での照度分布を表す図。
【図10】本発明の原理説明に供する図。
【図11】本発明によるフォトマスクを適用可能な投影
露光装置の概略的な構成を示す図。
【符号の説明】
1、2 レチクル(透明基板) RP1 〜RP5 レチクルパターン RG1 〜RG5 回折格子パターン(偏向部材) PA パターン領域 LSB 遮光帯 PL 投影光学系 AX 投影光学系の光軸 Ep 投影光学系の瞳面 R レチクル W ウエハ 10 フライアイレンズ 11 開口絞り(空間フィルター) 14 ガラス基板 18 バーコードリーダ 19 コントローラ 20 主制御装置 21 駆動系 24 可変開口絞り 25 保持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/22 H01L 21/30 515D 515F 528

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定波長の照明光を照明光学系を介して
    マスクに照射することによって、該マスクに形成された
    第1ピッチPRの周期的パターン部分を含む微細パター
    ンを、投影光学系を介して基板上に露光する露光方法に
    おいて、 前記照明光学系のコヒーレンスファクターσを0.5以
    下程度に設定し、 前記微細パターンに対して前記照明光の入射側に所定間
    隔Δtだけ離して配置され、且つ前記周期的パターンの
    ピッチ方向とほぼ一致する方向に前記第1ピッチPRの
    ほぼ2倍の長さを持つ第2ピッチPGで周期的に形成さ
    れた回折格子パターンを用いて前記照明光を偏向させる
    ことにより、該照明光を前記マスクに対して傾けて該微
    細パターンに照射することを特徴とする露光方法。
  2. 【請求項2】 前記コヒーレンスファクターσは、0.
    3に設定されることを特徴とする請求項1に記載の露光
    方法。
  3. 【請求項3】 前記照明光学系の開口数をNAとする
    と、前記所定間隔Δtは、「Δt≧PG/2NA」なる
    関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の露光方法。
  4. 【請求項4】 前記照明光が照射されることにより、前
    記微細パターンから発生する回折光のうち±1次回折光
    のいずれか一方と0次回折光とが、前記投影光学系中の
    該微細パターンに対するフーリエ変換面、もしくはその
    近傍の面内で、該投影光学系の光軸からほぼ等距離だけ
    離れて通過するように該照明光を偏向させることを特徴
    とする請求項11乃至請求項3のうちのいずれか一項に
    記載の露光方法。
  5. 【請求項5】 前記回折格子パターンの形成領域の各辺
    は、前記微細パターンの形成領域の各辺よりも少なくと
    もΔWだけ大きく、前記回折格子パターンによる前記照
    明光の回折角を角度Φとすると、 ΔW>Δt×tanΦ なる関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至請求項
    4のうちのいずれか一項に記載の露光方法。
  6. 【請求項6】 前記回折格子パターンは、前記マスク
    の、前記微細パターンが形成された面とは反対側の面に
    設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5
    のうちのいずれか一項に記載の露光方法。
  7. 【請求項7】 前記回折格子パターンは、前記マスクと
    は別の透明基板上に形成されていることを特徴とする請
    求項1乃至請求項5のうちのいずれか一項に記載の露光
    方法。
  8. 【請求項8】 前記微細パターンは二次元の周期性パタ
    ーンを含み、前記回折格子パターンは二次元の回折格子
    パターンを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6
    のうちのいずれか一項に記載の露光方法。
  9. 【請求項9】 前記回折格子パターンは位相型回折格子
    を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちの
    いずれか一項に記載の露光方法。
  10. 【請求項10】 前記微細パターンに対する前記コヒー
    レンスファクタσは、前記回折格子パターンによって変
    化させられることを特徴とする請求項1乃至請求項9の
    うちのいずれか一項に記載の露光方法。
  11. 【請求項11】 前記コヒーレンスファクタσは、前記
    回折格子パターンによって、前記照明光学系の照明視野
    内において部分的に変化させられることを特徴とする請
    求項10に記載の露光方法。
  12. 【請求項12】 所定の回路パターンを、請求項1乃至
    請求項11のうちのいずれか一項に記載の露光方法を用
    いて、前記基板上に露光する工程を含むことを特徴とす
    る回路パターン素子製造方法。
  13. 【請求項13】 所定波長の照明光をほぼ均一な強度分
    布に形成するとともに、該均一な照明光をマスクに照射
    するための照明光学系と、 前記マスクに形成された第1ピッチPRの周期的パター
    ン部分を含む微細パターンの像を、基板上に投影する投
    影光学系と、 前記微細パターンに対して前記照明光の入射側に所定間
    隔Δtだけ離して配置され、且つ前記周期的パターンの
    ピッチ方向とほぼ一致する方向に前記第1ピッチPRの
    ほぼ2倍の長さを持つ第2ピッチPGで周期的に形成さ
    れた回折格子パターンを備えた偏向部材と、 前記照明光学系のコヒーレンスファクターσを規定する
    開口絞りとを有し、 前記開口絞りにより前記コヒーレンスファクターσを
    0.5以下程度に設定すると共に、前記偏向部材により
    前記照明光を前記マスクに対して傾けて前記微細パター
    ンに照射することを特徴とする露光装置。
  14. 【請求項14】 前記開口絞りは、前記コヒーレンスフ
    ァクターσを、0.3に設定することを特徴とする請求
    項13に記載の露光装置。
  15. 【請求項15】 前記照明光学系の開口数をNAとする
    と、前記所定間隔Δtは、「Δt≧PG/2NA」なる
    関係を満たすことを特徴とする請求項13または請求項
    14に記載の露光装置。
  16. 【請求項16】 前記偏向部材を、前記マスクと前記照
    明光学系との間に、前記マスクとは独立に配置して保持
    する保持部材を更に有することを特徴とする請求項13
    乃至請求項15のうちのいずれか一項に記載の露光装
    置。
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