JP3341767B2 - 投影露光装置及び方法、並びに回路素子形成方法 - Google Patents

投影露光装置及び方法、並びに回路素子形成方法

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    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70058Mask illumination systems

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体集積回路や液晶
デバイス製造用の高精度な結像性能が要求される投影露
光装置に関し、特に投影光学系の結像性能の維持に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】半導体素子等の回路パターンを形成する
ためのフォトリソグラフィ工程においては、通常レチク
ル(マスク)に形成されたパターンを基板(半導体ウエ
ハやガラスプレート等)上に転写する方法が採用され
る。基板上には感光性のフォトレジストが塗布されてお
り、照射光像、すなわちレチクルパターンの透明部分の
パターン形状に応じて、フォトレジストに回路パターン
が転写される。投影露光装置(例えばステッパー等)で
は、レチクルパターンの像が投影光学系を介してウエハ
上に結像投影される。
【0003】この種の装置においては、レチクル上のパ
ターンが存在する面のフーリエ変換面となる照明光学系
の面(以後、照明光学系の瞳面と称す)、もしくはその
近傍の面内において、照明光束を照明光学系の光軸を中
心としたほぼ円形(あるいは矩形)に制限してレチクル
を照明する構成を採っていた。このため、照明光束はレ
チクルに対してほぼ垂直に近い角度で入射していた。ま
た、この装置に使用されるレチクル(石英等のガラス基
板)上には、照明光束に対する透過率がほぼ100%で
ある透過部(レチクル裸面部)と、透過率がほぼ0%で
ある遮光部(クロム等)とで構成された回路パターンが
描かれていた。
【0004】さて、上記のようにレチクルに照射された
照明光束はレチクルパターンにより回折され、パターン
からは0次回折光と±1次回折光とが発生する。これら
の回折光は投影光学系により集光され、ウエハ上に干渉
縞、すなわちレチクルパターンの像が形成される。この
とき、0次回折光と±1次回折光とのなす角θ(レチク
ル側)は、露光光の波長をλ(μm)、投影光学系のレ
チクル側開口数をNAとすると、 sinθ=λ/Pにより
決まる。
【0005】ところで、パターンピッチが微細化すると
sinθが大きくなり、さらに sinθが投影光学系のレチ
クル側開口数(NA)よりも大きくなると、±1次回折
光はレチクルパターンのフーリエ変換面となる投影光学
系の面(以後、投影光学系の瞳面と称す)の有効径で制
限され、投影光学系を透過できなくなる。つまり、ウエ
ハ上には0次回折光のみしか到達せず、干渉縞(パター
ンの像)は生じないことになる。従って、上記の如き従
来の露光方法において、前述の透過部と遮光部のみから
なるレチクル(以後、通常レチクルと称す)を使用する
場合、ウエハ上に解像できるレチクルパターンの微細度
(最小パターンピッチ)Pは、 sinθ=NAより、P≒
λ/NAなる関係式で与えられる。
【0006】これより、最小パターンサイズはピッチP
の半分であるから、最小パターンサイズは0.5×λ/
NA程度となるが、実際のフォトリソグラフィ工程では
ウエハの湾曲、プロセスによるウエハの段差等の影響、
またはフォトレジスト自体の厚さのために、ある程度の
焦点深度が必要となる。このため、実用的な最小解像パ
ターンサイズは、k×λ/NAとして表される。ここ
で、kはプロセス係数と呼ばれ、通常0.6〜0.8程
度である。
【0007】以上のことから、従来の露光方法において
より微細なパターンを露光転写するためには、より短い
波長の露光光源を使用するか、あるいはより開口数の大
きな投影光学系を使用する必要があった。しかしなが
ら、露光光源を現在より短波長化(例えば200nm以
下)することは、透過光学部材として使用可能な適当な
光学材料が存在しないこと、大光量の得られる安定した
光源がないこと等の理由により現時点では困難である。
また、投影光学系の開口数は現状でも既に理論的限界に
近く、これ以上の大開口化はほぼ絶望的である。仮に現
状以上の大開口化が可能であるとしても、±λ/NA2
で定まる焦点深度は開口数の増加に伴って急激に減少す
るため、実使用に必要な焦点深度がより小さくなり、実
用的な露光装置となり得ないといった問題がある。
【0008】そこで、レチクルの回路パターンの透過部
分のうち、特定の部分からの透過光の位相を、他の透過
部からの透過光に対してπ(rad) だけずらす、位相シフ
ター(誘電体薄膜等)を備えた位相シフトレチクルを使
用することも提案されている。位相シフトレチクルにつ
いては、例えば特公昭62−50811号公報に開示さ
れており、この位相シフトレチクルを使用すると、通常
レチクルを使用する場合に比べてより微細なパターンの
転写が可能となる。すなわち、解像力を向上させる効果
がある。この位相シフトレチクルを使用する場合には、
照明光学系の開口数(コヒーレンスファクターσ)の最
適化が必要となる。尚、位相シフトレチクルについては
これまでに種々の方式が提案されているが、代表的なも
のは空間周波数変調型、シフター遮光型、エッジ強調型
である。
【0009】また、最近では照明条件の最適化、あるい
は露光方法の工夫等によって微細パターンの転写を可能
とする試みがなされており、例えば特定線幅のパターン
に対して最適な照明光学系の開口数(σ値)と投影光学
系の開口数(N.A.)との組み合わせをパターン線幅毎に
選択することによって、解像度や焦点深度を向上させる
方法が提案されている。さらに、照明光学系の瞳面、も
しくはその近傍面内における照明光束の光量分布を輪帯
状に規定し、レチクルパターンに照明光束を照射する輪
帯照明法、あるいはレチクルパターンの周期性に対応し
て特定方向から照明光束を所定角度だけ傾斜させて照射
する傾斜照明法等も提案されている。しかしながら、以
上のいずれの方法においても、全てのレチクルパター
ン、すなわちその線幅や形状に対して有効であるのでは
なく、レチクルまたはそのパターン毎に最適な照明方法
や条件を選択する必要があり、投影露光装置としては照
明光学系における照明条件(σ値等)を可変とする構造
が必要となる。
【0010】ところで投影露光装置においては、近年ま
すます投影光学系の結像特性(投影倍率、フォーカス位
置等)を高精度に一定値に維持することが要求されるよ
うになってきており、このため様々な結像特性の補正方
法が提案され実用化されている。この中でも特に投影光
学系の露光光吸収による結像特性の変動を補正する方法
については、例えば特開昭60−78454号公報に開
示されている。この開示された方法では、投影光学系へ
の露光光(i線、KrFエキシマレーザ等)の入射に伴
って投影光学系に蓄積されるエネルギー量(熱量)を逐
次計算し、この蓄積エネルギー量による結像特性の変化
量を求め、所定の補正機構により結像特性を微調整する
ものが提案されている。この補正機構としては、例えば
投影光学系を構成する複数のレンズエレメントのうち2
つのレンズエレメントに挟まれた空間を密封し、この密
封空間の圧力を調整する方式等がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き従来技術において、前述の如く照明光学系の照明条
件を変更する場合、あるいは位相シフトレチクルを使用
する場合、投影光学系の瞳面近傍のレンズエレメントで
はその透過光量の分布が変化し得る。瞳面近傍ではもと
もと照明光が集中して通過するため、ここでの光量分布
が変化すると、投影光学系の照明光吸収による結像特性
の変動に大きな影響を及ぼすことになる。そこで、例え
ば特開昭62−229838号公報に開示されているよ
うに、照明光吸収による投影光学系の結像特性の変化量
を計算するのに用いられる演算パラメータを照明条件毎
に修正し、この修正パラメータを用いて照明条件の変更
に伴う結像特性の変化を正確に求めて補正を行うことが
考えられる。
【0012】上記の如く結像特性の補正を行う場合、長
期的な立場で見れば何ら問題はない。ところが、投影光
学系の熱蓄積という現象は過去の履歴を持っている。こ
のため、レチクルやそのパターンに対応して照明条件を
変更したとき、直ちに新たな照明条件のもとで修正され
た演算パラメータで結像特性の変化量の算出、補正を行
うと、前の照明条件に応じた履歴が投影光学系に残って
いるため、この履歴が残っている間は結像特性を補正す
る上で不都合が生じる。つまり、照明条件の変更直後
は、投影光学系の瞳面近傍のレンズエレメントにおい
て、前の照明条件のもとでの熱分布状態と新たな照明条
件のもとでの熱分布状態とが重なり合ってどちらの熱分
布でもない状態となっており、いずれの照明条件のもと
での演算パラメータで結像特性の変化量の計算を行って
も、その計算結果は実際の結像特性の変化量と一致しな
い。このような過渡的状態での結像特性(すなわち投影
光学系の熱分布状態)は、単純に両者の和として表すこ
とができず、この過渡的状態における結像特性の変化量
を正確に計算、補正することは非常に困難である。従っ
て、上記の如き過渡的状態のもとでウエハへのパターン
露光を実行しても、所期の特性を満足する回路パターン
を得ることはできない。
【0013】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
であり、レチクルやレチクルパターン(の種類、周期
性、微細度等)に対応して照明条件(照明光学系の開口
数(σ値)、投影光学系の開口数、輪帯照明、傾斜照明
等)を変更しても、常に高精度の結像特性のもとで感光
基板に対するパターン露光を行うことができる投影露光
装置を得ることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる問題点を解決する
ため本発明においては、光源1からの照明光ILをほぼ
均一な強度分布に成形するとともに、該均一な照明光I
Lを微細パターンを有するレチクルRに照射する照明光
学系(1〜12)と、レチクルRのパターンの像をウエ
ハWに結像投影する投影光学系PLと、投影光学系PL
の結像特性を制御する手段(駆動素子25、27、2
9、駆動素子制御部53)とを備えた投影露光装置にお
いて、レチクルの種類(通常レチクル、位相シフトレチ
クル)またはそのパターンの微細度(周期性、ピッチ、
方向等)に対応してレチクルRに対する照明条件を変更
する照明条件変更手段(可変開口絞り8、32、可変ブ
ラインド10、あるいはターレット板7及び駆動系5
4)と;照明条件を変更したときに、所定時間(すなわ
ち結像特性の変化量ΔMが所定のレベルMS1になるまで
の時間)だけウエハWに対する露光動作を停止する露光
制御手段(主制御装置50)とを設けることとした。請
求項1に記載の発明では、マスクRに照明光ILを照射
する照明光学系(1〜12)と、照明光を基板上に投射
する投影光学系PLとを備えた投影露光装置において、
照明光による基板の露光条件を変更するとともに、露光
条件の変更後に所定時間だけ基板に対する露光動作を停
止する露光制御手段(主制御装置50)を有し、露光制
御手段は、基板に対する露光動作を停止している間、変
更後の露光条件のもとで投影光学系に前記照明光を入射
させることとした。
【0015】また請求項2に記載の発明では、マスクR
に照明光ILを照射する照明光学系(1〜12)と、照
明光を基板上に投射する投影光学系PLとを備えた投影
露光装置に、照明光による基板の露光条件を変更すると
ともに、露光条件の変更後に所定時間だけ前記基板に対
する露光動作を停止する露光制御手段(主制御装置5
0)と、基板に対する露光動作を停止している間、変更
後の露光条件のもとで投影光学系の結像特性を計測する
計測手段(15)と、を構成した。
【0016】また請求項23に記載の発明では、マスク
Rに照明光ILを照射する照明光学系(1〜12)と、
照明光を基板上に投射する投影光学系PLとを備えた投
影露光装置において、照明光による基板の露光条件の変
更後、投影光学系の結像特性に対して変更前の露光条件
の影響が残る過渡的状態では、基板上でのマスクパター
ンの像特性を制御するために、変更前の露光条件で用い
る第1パラメータと、変更後の露光条件で用いる第2パ
ラメータとに基づいて投影光学系の結像特性又はその変
化量を算出する演算手段50を構成した。
【0017】また請求項25に記載の発明では、マスク
Rに照明光を照射する照明光学系(1〜12)と、照明
光を基板上に投射する投影光学系PLと、投影光学系の
結像特性又はその変化量を計測する計測手段(15)と
を備えた投影露光装置において、照明光による基板の露
光条件の変更後であって、変更前の露光条件の影響が残
る過渡的状態で、結像特性又はその変化量の計測と、基
板に対する露光動作とを交互に行う露光制御手段50を
構成した。
【0018】また請求項29に記載の発明では、照明光
学系(1〜12)を通してマスクRに照明光ILを照射
するとともに、投影光学系PLを介して照明光で基板を
露光する方法において、基板上に転写すべきパターンに
応じて、照明光によるマスクの照明条件を変更し、変更
前の照明条件に起因して生じる投影光学系の結像特性又
はその変化量が所定値以下となるまで、変更後の照明条
件のもとでの前記基板に対する露光動作を停止し、基板
に対する露光動作を停止している間、変更後の露光条件
のもとで投影光学系に照明光を入射させることとした。
【0019】また請求項30に記載の発明では、照明光
学系(1〜12)を通してマスクRに照明光ILを照射
するとともに、投影光学系PLを介して照明光で基板を
露光する方法において、基板上に転写すべきパターンに
応じて、照明光によるマスクの照明条件を変更し、変更
前の照明条件に起因して生じる投影光学系の結像特性又
はその変化量が所定値以下となるまで、変更後の照明条
件のもとでの基板に対する露光動作を停止し、基板に対
する露光動作を停止している間、変更後の露光条件のも
とで投影光学系の結像特性を計測することとした。
【0020】また請求項31に記載の発明では、照明光
学系(1〜12)を通してマスクRに照明光ILを照射
するとともに、投影光学系PLを介して照明光で基板を
露光する方法において、基板上に転写すべきパターンに
応じて、照明光によるマスクの照明条件を変更し、照明
条件の変更後であって、投影光学系の結像特性に対して
変更前の照明条件の影響が残る過渡的状態では、結像特
性又はその変化量の計測と基板に対する露光動作とを交
互に行うこととした。
【0021】また請求項32に記載の発明では、照明光
学系(1〜12)を通してマスクRに照明光ILを照射
するとともに、投影光学系PLを介して照明光で基板を
露光する方法において、基板上に転写すべきパターンに
応じて、照明光によるマスクの照明条件を変更し、照明
条件の変更後であって、投影光学系の結像特性に対して
変更前の照明条件の影響が残る過渡的状態では、基板上
でのマスクパターンの像特性を制御するために、変更前
の照明条件で用いる第1パラメータ、及び変更後の照明
条件で用いる第2パラメータの両方に基づいて、投影光
学系の結像特性又はその変化量を算出することとした。
【0022】
【作用】請求項1,2,29,30に記載の発明におい
ては、マスクまたはそのパターンに対応して照明条件を
変更したときに、変更前の照明条件のもとでの投影光学
系の照明光吸収による結像特性の変化量が所定の許容値
以内となるまで感光基板に対する露光動作を停止した
後、新たな照明条件のもとで投影光学系の結像特性を制
御しながら露光動作を行うこととした。従って、照明条
件変更時の過渡的状態のもとでは露光動作が行われない
ため、投影光学系の結像特性を照明条件毎に厳密に制御
することが可能となる。
【0023】更に請求項1,29に記載の発明では、基
板に対する露光動作を停止している間に、変更後の露光
条件のもとで投影光学系に照明光を入射させるようにし
ているので、投影光学系を新たな照明条件に積極的に馴
染ませることができる。更に請求項2,30に記載の発
明では、基板に対する露光動作を停止している間に、変
更後の露光条件のもとで投影光学系の結像特性を計測す
るようにしているので、その計測結果を用いて最適な制
御を行うことが可能となる。
【0024】また請求項23,31に記載の発明では、
投影光学系の結像特性に対して変更前の照明条件の影響
が残る過渡的状態では、結像特性又はその変化量の計測
と基板に対する露光動作とを交互に行うようにしたの
で、露光動作停止に伴うスループットの低下は低減で
き、全体としてのスループットの低下を低減できる。
【0025】また請求項25,32に記載の発明では、
変更前の照明条件で用いる第1パラメータ、及び変更後
の照明条件で用いる第2パラメータの両方に基づいて、
投影光学系の結像特性又はその変化量を算出するように
したので、厳密に結像特性を制御する必要が無く、スル
ープットを重視する場合には有効となる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態による投
影露光装置の概略的な構成を示す平面図である。図1に
おいて、超高圧水銀ランプ1はレジスト層を感光するよ
うな波長域の照明光(i線等)ILを発生する。露光用
照明光源1としては、水銀ランプ等の輝線の他、Kr
F、ArFエキシマレーザ等のレーザ光源、あるいは金
属蒸気レーザやYAGレーザ等の高調波等を用いても構
わない。照明光ILは楕円鏡2で反射してその第2焦点
f0 に集光した後、コールドミラー5、及びコリメータ
レンズ等を含む集光光学系6を介してオプチカルインテ
グレータ(フライアイレンズ群)7Aに入射する。フラ
イアイレンズ群7Aの射出面(レチクル側焦点面)近傍
には、照明光学系の開口数NAILを可変とするための可
変開口絞り8が配置されている。ここで、フライアイレ
ンズ群7Aは、そのレチクル側焦点面がレチクルパター
ンのフーリエ変換面(瞳共役面)とほぼ一致するよう
に、光軸AXと垂直な面内方向に配置されている。ま
た、第2焦点f0 の近傍には、モータ4によって照明光
ILの光路の閉鎖、開放を行うシャッター(例えば4枚
羽根のロータリーシャッター)3が配置される。
【0027】尚、本実施形態においてはフライアイレン
ズ群7Aを含む複数のフライアイレンズ群(図2)が保
持部材(回転ターレット板)7に設けられており、駆動
系54によって任意のフライアイレンズ群が交換可能に
照明光路中に配置されるように構成されている。従っ
て、可変開口絞り8とともに、複数のフライアイレンズ
群を交換可能に構成することによって、レチクルの種類
やパターンの周期性等に応じて照明条件を変更すること
が可能となっている(詳細後述)。
【0028】フライアイレンズ群7Aを射出した照明光
ILは、リレーレンズ9、11、可変ブラインド10、
及びメインコンデンサーレンズ12を通過してミラー1
3に至り、ここでほぼ垂直に下方に反射された後、レチ
クルRのパターン領域PAをほぼ均一な照度で照明す
る。可変ブラインド10の面はレチクルRと共役関係に
あるので、モータ(不図示)により可変ブラインド10
を構成する複数の可動ブレードを開閉させて開口部の大
きさ、形状を変えることによって、レチクルRの照明視
野を任意に設定することができる。レチクルRはレチク
ルホルダ14に保持され、ホルダ14は伸縮可能な複数
(図1では2つのみ図示)の駆動素子29によって、水
平面内で2次元移動可能なレチクルステージRS上に載
置されている。従って、駆動素子制御部53によって駆
動素子29の各伸縮量を制御することによって、レチク
ルRを光軸方向に平行移動させるとともに、光軸と垂直
な面に対して任意方向に傾斜させることが可能となって
いる。詳しくは後で述べるが、上記構成によって投影光
学系の結像特性、特に糸巻型や樽型のディストーション
を補正することができる。尚、レチクルRはパターン領
域PAの中心点が光軸AXと一致するように位置決めさ
れる。
【0029】さて、パターン領域PAを通過した照明光
ILは、両側テレセントリックな投影光学系PLに入射
し、投影光学系PLはレチクルRの回路パターンの投影
像を、表面にレジスト層が形成され、その表面が最良結
像面とほぼ一致するように保持されたウエハW上の1つ
のショット領域に重ね合わせて投影(結像)する。尚、
本実施形態では投影光学系PLを構成する一部のレンズ
エレメント(図中では20と21、22)の各々を独立
に駆動することが可能となっており、投影光学系PLの
結像特性、例えば投影倍率、ディストーション、像面湾
曲、非点収差等を補正することができる(詳細後述)。
また、投影光学系PLの瞳面Ep、もしくはその近傍面
内には可変開口絞り32が設けられており、これによっ
て投影光学系PLの開口数NAを変更できるように構成
されている。
【0030】ウエハWはウエハホルダ(θテーブル)1
6に真空吸着され、このホルダ16を介してウエハステ
ージWS上に保持されている。ウエハステージWSは、
モータ17により投影光学系PLの最良結像面に対して
任意方向に傾斜可能で、かつ光軸方向(Z方向)に微動
可能であるとともに、ステップ・アンド・リピート方式
で2次元移動可能に構成されており、ウエハW上の1つ
のショット領域に対するレチクルRの転写露光が終了す
ると、次のショット位置までステッピングされる。尚、
ウエハステージWSの構成等については、例えば特開昭
62−274201号公報に開示されている。ウエハス
テージWSの端部には干渉計18からのレーザビームを
反射する移動鏡19が固定されており、ウエハステージ
WSの2次元的な位置は干渉計18によって、例えば
0.01μm程度の分解能で常時検出される。
【0031】また、ウエハステージWS上には基準部材
15と照射量モニタ(光電センサ)33とがともにウエ
ハWの表面位置とほぼ一致するように設けられている。
基準部材15の表面には、投影光学系PLのイメージフ
ィールド内の任意の位置での焦点位置を検出するために
用いられる格子パターンが形成されている。この格子パ
ターンの構成、検出動作等については後で詳しく述べ
る。光電センサ33は、例えば投影光学系PLのイメー
ジフィールド、またはレチクルパターンの投影領域とほ
ぼ同じ面積の受光面を備えた光検出器で構成され、この
照射量に関する光情報を主制御装置50に出力する。こ
の光情報は、投影光学系PLの結像特性の変化量を求め
るための基礎データとなる。
【0032】さらに、図1中には投影光学系PLの最良
結像面に向けてピンホール、あるいはスリットの像を形
成するための結像光束を、光軸AXに対して斜め方向よ
り供給する照射光学系30と、その結像光束のウエハW
の表面での反射光束をビームを介して受光する受光光学
系31から成る斜入射方式の焦点検出系が設けられてい
る。この焦点検出系の構成等については、例えば特開昭
60−168112号公報に開示されており、ウエハ表
面の結像面に対する上下方向(Z方向)の位置を検出
し、ウエハWと投影光学系PLとの合焦状態を検出する
ものである。尚、本実施形態では結像面が零点基準とな
るように、予め受光光学系31の内部に設けられた不図
示の平行平板ガラス(プレーンパラレル)の角度が調整
され、焦点検出系のキャリブレーションが行われるもの
とする。また、例えば特開昭58−113706号公報
に開示されているような水平位置検出系を用いる、ある
いは投影光学系PLのイメージフィールド内の任意の複
数の位置での焦点位置を検出可能できるように焦点検出
系を構成する(例えば複数のスリット像をイメージフィ
ールド内に形成する)ことによって、ウエハW上の所定
領域の結像面に対する傾きを検出可能に構成しているも
のとする。
【0033】ところで、図1には装置全体を統括制御す
る主制御装置50と、レチクルRが投影光学系PLの直
上に搬送される途中でレチクルパターンの脇に形成され
た名称を表すバーコードBCを読み取るバーコードリー
ダ52と、オペレータからのコマンドやデータを入力す
るキーボード51と、フライアイレンズ群7Aを含む複
数のフライアイレンズ群が固定された保持部材(回転タ
ーレット板)7を駆動するための駆動系(モータ、ギャ
トレン等)54とが設けられている。主制御装置50内
には、この投影露光装置(例えばステッパー)で扱うべ
き複数枚のレチクルの名称と、各名称に対応したステッ
パーの動作パラメータとが予め登録されている。そし
て、主制御装置50はバーコードリーダ52がレチクル
バーコードBCを読み取ると、その名称に対応した動作
パラメータの1つとして、予め登録されている照明条件
(レチクルの種類やレチクルパターンの周期性等に対
応)に最も見合ったフライアイレンズ群を保持部材7の
中から1つ選択して、所定の駆動指令を駆動系54に出
力する。さらに、上記名称に対応した動作パラメータと
して、先に選択されたフライアイレンズ群のもとでの可
変開口絞り8、32及び可変ブラインド10の最適な設
定条件、及び投影光学系PLの結像特性を後述の補正機
構によって補正するために用いられる演算パラメータ
(詳細後述)も登録されており、これらの条件設定もフ
ライアイレンズ群の設定と同時に行われる。これによっ
て、レチクルステージRS上に載置されたレチクルRに
対して最適な照明条件が設定されることになる。以上の
動作は、キーボード51からオペレータがコマンドとデ
ータを主制御装置50へ直接入力することによっても実
行できる。
【0034】次に、投影光学系PLの結像特性の補正機
構について説明する。図1に示すように、本実施形態で
は駆動素子制御部53によってレチクルRとレンズエレ
メント20、(21、22)の各々を独立に駆動するこ
とにより、投影光学系PLの結像特性を補正することが
可能となっている。投影光学系PLの結像特性として
は、焦点位置、投影倍率、ディストーション、像面湾
曲、球面収差、非点収差等があり、これらの値を個々に
補正することは可能であるが、本実施形態では説明を簡
単にするため、特に両側テレセントリックな投影光学系
における焦点位置、投影倍率、ディストーション、及び
像面湾曲の補正を行う場合について説明する。尚、本実
施形態ではレチクルRの移動により樽型または糸巻型の
ディストーションを補正する。
【0035】さて、レチクルRに最も近い第1群のレン
ズエレメント20は支持部材24に固定され、第2群の
レンズエレメント(21、22)は支持部材26に固定
されている。レンズエレメント23より下部のレンズエ
レメントは、投影光学系PLの鏡筒部28に固定されて
いる。尚、本実施形態において投影光学系PLの光軸A
Xとは、鏡筒部28に固定されているレンズエレメント
の光軸を指すものとする。
【0036】支持部材24は伸縮可能な複数(例えば3
つで、図中では2つの図示)の駆動素子25によって支
持部材26に連結され、支持部材26は伸縮可能な複数
の駆動素子27によって鏡筒部28に連結されている。
駆動素子25、27、29としては、例えば電歪素子、
磁歪素子が用いられ、駆動素子に与える電圧または磁界
に応じた駆動素子の変位量を予め求めておく。ここでは
図示していないが、駆動素子のヒステリシス性を考慮
し、容量型変位センサ、差動トランス等の位置検出器を
駆動素子に設け、駆動素子に与える電圧または磁界に対
応した駆動素子の位置をモニタして高精度な駆動を可能
としている。
【0037】ここで、レンズエレメント20、(21、
22)の各々を光軸方向に平行移動した場合、その移動
量に対応した変化率で投影倍率M、像面湾曲C、及び焦
点位置Fの各々が変化する。レンズエレメント20の駆
動量をx1 、レンズエレメント(21、22)の駆動量
をx2 とすると、投影倍率M、像面湾曲C、及び焦点位
置Fの変化量ΔM、ΔC、ΔFの各々は、次式で表され
る。
【0038】ΔM=CM1×x1 +CM2×x2 (1) ΔC=CC1×x1 +CC2×x2 (2) ΔF=CF1×x1 +CF2×x2 (3) 尚、CM1、CM2、CC1、CC2、CF1、CF2は各変化量の
レンズエレメントの駆動量に対する変化率を表す定数で
ある。
【0039】ところで、上述した如く焦点検出系30、
31は投影光学系の最適焦点位置を零点基準として、最
適焦点位置に対するウエハ表面のずれ量を検出するもの
である。従って、焦点検出系30、31に対して電気
的、または光学的に適当なオフセット量x3 を与える
と、この焦点検出系30、31を用いてウエハ表面の位
置決めを行うことによって、レンズエレメント20、
(21、22)の駆動に伴う焦点位置ずれを補正するこ
とが可能となる。このとき、上記数式3は次式のように
表される。
【0040】 ΔF=CF1×x1 +CF2×x2 +x3 (4) 同様に、レチクルRを光軸方向に平行移動した場合、そ
の移動量に対応した変化率でディストーションD、及び
焦点位置Fの各々が変化する。レチクルRの駆動量をx
4 とすると、ディストーションD、及び焦点位置Fの変
化量ΔD、ΔFの各々は、次式で表される。
【0041】 ΔD=CD4×x4 (5) ΔF=CF1×x1 +CF2×x2 +x3 +CF4×x4 (6) 尚、CD4、CF4は各変化量のレチクルRの駆動量に対す
る変化率を表す定数である。
【0042】以上のことから、数式1、2、5、6にお
いて駆動量x1 〜x4 を設定することによって、変化量
ΔM、ΔC、ΔD、ΔFを任意に補正することができ
る。尚、ここでは4種類の結像特性を同時に補正する場
合について述べたが、投影光学系の結像特性のうち照明
光吸収による結像特性の変化量が無視し得る程度のもの
であれば、上記補正を行う必要がなく、また本実施形態
で述べた4種類以外の結像特性が大きく変化する場合に
は、その結像特性についての補正を行う必要がある。ま
た、本実施形態では結像特性補正機構としてレチクルR
及びレンズエレメントの移動により補正する例を示した
が、本実施形態で好適な補正機構は他のいかなる方式で
あっても良く、例えば2つのレンズエレメントに挟まれ
た空間を密封し、この密封空間の圧力を調整する方式を
採用しても構わない。
【0043】ここで、本実施形態では駆動素子制御部5
3によって、レチクルR、及びレンズエレメント20、
(21、22)を移動可能としているが、特にレンズエ
レメント20、(21、22)は投影倍率、ディストー
ション、像面湾曲及び非点収差等の各特性に与える影響
が他のレンズエレメントに比べて大きく制御し易くなっ
ている。また、本実施形態では移動可能なレンズエレメ
ントを2群構成としたが、3群以上としても良く、この
場合には他の諸収差の変動を抑えつつレンズエレメント
の移動範囲を大きくでき、しかも種々の形状歪み(台
形、菱形等のディストーション)、像面湾曲、及び非点
収差に対応可能となる。上記構成の補正機構を採用する
ことによって、露光光吸収による投影光学系PLの結像
特性の変動に対しても十分対応できる。
【0044】以上の構成によって、駆動素子制御部53
は主制御装置50から与えられる駆動指令に対応した量
だけ2群のレンズエレメント20、(21、22)及び
レチクルRの周縁3点乃至4点を独立して光軸方向に移
動できる。この結果、2群のレンズエレメント20、
(21、22)及びレチクルRの各々を光軸方向に平行
移動させるとともに、光軸AXと垂直な面に対して任意
方向に傾斜させることが可能となっている。
【0045】次に、図7を参照して投影光学系PLの結
像特性の測定機構について説明する。図7(B)に示す
ように、基準部材15の表面には2組のスリットパター
ンGx、Gyからなる格子パターン15mが形成されて
おり、この格子パターン15mはミラー60、レンズ6
1、光ファイバー62、レンズ63及びミラー64によ
って伝送された照明光によりその下方から照明される。
この照明光は露光用照明光ILとほぼ同一波長域の光で
あることが望ましく、例えばビームスプリッターにより
光源1からの照明光ILの一部を分岐して導くように構
成しても良い。基準部材15を透過した照明光は投影光
学系PLを介してレチクルRに達し、その裏面(パター
ン面)によって反射され、再び投影光学系PLを介して
基準部材15に戻る。さらに格子パターン15mを透過
した反射光は再び光ファイバー62等を通った後、フォ
トマル、もしくはSPD等からなる光検出器65に入射
し、ここで光電変換されてその光強度に応じた光電信号
を出力する。主制御装置50は光検出器65からの光電
信号とともに、例えば焦点検出系(受光光学系31)か
らの検出信号を入力する。そして、ウエハステージWS
をZ方向に移動させ、そのときの光検出器65の光電信
号のレベル変化を求める。この結果を図7(C)に示
す。同図において信号レベルがピークとなっている位置
fが、イメージフィールド内の任意の1点での最適焦点
位置(ベストフォーカス位置)であり、例えば基準部材
15をイメージフィールド内で移動させながら上記計測
を繰り返し行うことによって、投影光学系PLの結像特
性として焦点位置、像面湾曲、非点収差等を求めること
ができる。尚、上記構成では投影倍率やディストーショ
ンを計測することができないので、例えばレチクルRの
複数の位置に形成されたマークを、ウエハステージ上に
設けられた基準マークを介して光電検出するように構成
しておくことが望ましい。
【0046】ここで、図7(A)には示していないが、
本実施形態では光ファイバー62の射出面(基準部材
側)近傍に、複数の空間フィルターを交換可能に配置で
きるように構成しているものとする。これによって、照
明光学系の照明条件の変更に対応して、基準部材15に
対する照明条件(例えば光ファイバー62の開口数(σ
値)、輪帯照明、後述の複数傾斜照明等)も任意に変更
することができる。この際、基準部材15の表面にはレ
チクルパターンに対応して、複数のピッチのスリットパ
ターンを設けておくことが望ましい。
【0047】次に、図2〜図4を参照して本実施形態に
よる投影露光装置に採用される照明方法について説明す
る。本実施形態で採用する照明方法の一例としては、照
明光学系の瞳面、またはその共役面、もしくはその近傍
の面内を通る照明光束を、照明光学系の光軸AXから所
定量だけ偏心した位置に中心を有する少なくとも2つの
局所領域に規定することによって、レチクルRに照射さ
れる照明光束を所定の方向にレチクルパターンの微細度
に応じた角度だけ傾けたものである(以下、簡単に複数
傾斜照明法と呼ぶ)。
【0048】図2は、複数傾斜照明法を用いてレチクル
の照明を行ったときの回路パターンからの回折光の発
生、及び結像の様子を示す図である。レチクルRの下面
(投影光学系PL側)には、回路パターンとして透過部
Raと遮光部Rbから成る1次元のラインアンドスペー
スパターンが描画されている。
【0049】本実施形態で使用する投影露光装置(図
1)では、後述するように照明光束の通過する局所領域
は、照明光学系の瞳面内において光軸から偏心した位置
に中心を有する構成となっている。従って、レチクルR
を照明する照明光束L0は、レチクルRの回路パターン
が描画されている方向(周期方向)に対してほぼ垂直な
方向(X方向)から、レチクルRに対して所定の入射角
ψを以て入射する。尚、入射角ψ、及び入射方向は、レ
チクル上のパターンで生じる回折光の投影光学系の瞳面
内での位置によって一義的に決まるものである。
【0050】レチクル上のパターンからはパターンの微
細度(幅、ピッチ)に応じた回折角の方向に0次回折光
Do 、+1次回折光Dp 、−1次回折光Dm が発生す
る。図2では、投影光学系PLを透過してウエハWに到
達するものは、上記3光束のうち0次回折光Do と+1
次回折光Dp の2光束として示しており、これら2光束
はウエハW上で干渉縞、すなわち回路パターンの像を形
成する。この場合の投影光学系PLの瞳面Epにおける
0次回折光Do と+1次回折光Dp の位置を図4(B)
に示す(詳細後述)。尚、従来の照明方法によるパター
ンの解像限界は、±1次回折光が投影光学系を透過する
ことが可能か否かで決定される。すなわち、従来ではパ
ターンピッチをPとしたときにP>λ/NA程度で与え
られるパターンサイズが解像限界となっていた。これに
対して、本実施形態における複数傾斜照明法では、ほぼ
P>λ/2NAが解像限界となる。
【0051】また、図2中において0次回折光Do と+
1次回折光Dp は光軸AXに対してほぼ対称な光路を通
るものとした。これは、照明光束Loの入射角ψを sin
ψ=sinθ/2=λ/2Pとすることにより実現でき
る。このとき、ウエハWのデフォーカス時において、0
次回折光Do と+1次回折光Dp とはほぼ同量の波面収
差(デフォーカスによる)を生じる。これはデフォーカ
ス量ΔFに対する波面収差は1/2×ΔF sin2 t(但
し、tは各回折光のウエハへの入射角)であり、ここで
は0次回折光と+1次回折光とでウエハへの入射角tが
ほぼ等しいためである。ところで、ウエハ上でのパター
ン像を崩す(ボケさせる)原因は、各光束間の波面収差
の差である。しかしながら、本実施形態で使用する装置
(例えば図5)では、ウエハ上に照射される0次回折光
Do と+1次回折光Dp の波面収差がほぼ等しくなるた
め、同等のデフォーカス量ΔFであっても、従来の露光
装置に比べてボケの程度が少ない。すなわち焦点深度が
深いことになる。
【0052】また、図2においては0次回折光Do と+
1次回折光Dp とが光軸AXに対してほぼ対称となるも
のとしたが、焦点深度を増大させるためには、瞳面Ep
内でこの2つの回折光が光軸AXに関して対称となって
いる必要はなく、光軸AXからほぼ等距離となる位置を
通過すればよい。
【0053】ここで、露光装置で使用するレチクルのパ
ターンの微細度(線幅、ピッチ)や方向性は一種類に特
定されるものではないため、本実施形態で使用する投影
露光装置の照明光学系の瞳面において照明光束が通過す
る局所領域の中心位置、例えば図5に示す2つのフライ
アイレンズ群7B1 、7B2 の照明光学系の瞳面内での
位置は、パターンの種類に応じて可変であることが望ま
しい。つまり、これはレチクルへの照明光束の入射方向
や入射角の各々がパターンの描かれた方向や幅、ピッチ
によって決定されるからである。例えば、図2に示すよ
うなX方向に配列された1次元のラインアンドスペース
パターンの場合、照明光束L0はパターンに対して、図
に示すような方向から入射すればよい。すなわち照明光
束L0は、紙面に平行にレチクルRに入射するものであ
る。また、パターンから発生する0次回折光D0 と+1
次回折光Dp とが、瞳面Epにおいて光軸AXからほぼ
等距離となる位置を通るように照明光束L0の入射角を
決定すると、ウエハW上での像の焦点深度を大きくする
ことができる。
【0054】このようにして決定された入射方向に応じ
て照明光学系の瞳内での照明光束の通過する局所領域の
中心位置の光軸AXからの偏心方向を決定し、またパタ
ーンの線幅や周期性で決定される入射角に応じて光軸A
Xからの偏心量を決定することになる。照明光学系の瞳
面内での照明光束の通過する局所領域の中心位置は、以
上のように決定される。
【0055】2次元方向に描かれたパターンを照明する
場合、照明光束の方向も各パターンの方向に合わせて2
方向から照明するとよい。また、照明光束は2方向、す
なわち2本であるよりも、その2光束に対して夫々、投
影光学系の光軸について対称となる2光束を加えた計4
光束を用いると良い。その場合、これらの光束の光量重
心方向は投影光学系の光軸と一致するため、ウエハが微
小にデフォーカスした際に生じる像の横方向の位置ずれ
(テレセンずれ)を防止することができる。また、図2
に示すような1次元のラインアンドスペースパターンを
有するレチクルを照明する場合も、同様に投影光学系の
光軸についてほぼ対称な2光束で複数傾斜照明を行うと
良い。尚、1次元のパターンを照明する場合、パターン
から発生する0次回折光と1次回折光との強度比が正確
に1:1になるのであれば、光軸に対称な方向から2光
束で照明する必要はない。但し、これはパターンのピッ
チが1通りの場合に限定される。以上のことについて、
次に図3及び図4を用いて詳述する。
【0056】図3は、本実施形態で使用する装置(図
1)の一部を模式的に示した図であり、ここでは図1中
のフライアイレンズ群から投影光学系PLまでを示す。
尚、図3中ではリレーレンズ9、11及び可変ブライン
ド10を省略してある。さて、フライアイレンズ群(こ
こでは図5中に示す2つのフライアイレンズ群7B1 、
7B2 が照明光路中に配置されているものとする)の射
出端は、レチクルパターンのフーリエ変換面(照明光学
系の瞳面)70にほぼ一致している。ここで、照明光学
系の瞳面70とレチクルRのパターン面とをフーリエ変
換の関係とならしめるコンデンサーレンズ12の焦点距
離を図3の如くfとする。
【0057】図4(B)、(D)は、図4(A)、
(C)に示すレチクルパターンRP1 、RP2 の各々に
対して焦点深度を最大とするための照明光束(局所領
域)の照明光学系の瞳面70内での位置(以下、簡単に
2次光源群(面光源)の位置と称す)を表す。また、前
述の如く照明光学系の瞳面70とレチクルパターンRP
1 とはフーリエ変換の関係であるので、照明光学系の瞳
面70内での2次光源群(フライアイレンズ群の射出端
面に相当)の位置は、レチクルRへの照明光L0の入射
角ψ(図2)の sinψと対応する。このとき、図3に示
す如くコンデンサーレンズ12の焦点距離がfであるの
で、照明光学系の瞳面70におけるフライアイレンズ群
7B1 、7B2 の各中心位置の光軸AXからの距離はf
×sin ψとなる。
【0058】図4(A)は、いわゆる1次元ラインアン
ドスペースパターンであって、透過部Ra及び遮光部R
bがY方向に伸び、かつX方向にピッチPで規則的に並
んでいる。このとき、個々のフライアイレンズ群7B1
、7B2 (すなわち2次光源群の位置)の最適位置
は、図4(B)に示すように照明光学系の瞳面70内に
仮定したY方向の線分Lα上、及び線分Lβ上の任意の
位置となる。図4(B)はレチクルパターンRP1 に対
応する照明光学系の瞳面70を光軸AX方向から見た図
であって、瞳面70内の規定した座標系XYは、同一方
向からレチクルパターンRP1 を見た図4(A)と同一
にしてある。
【0059】さて、図4(B)に示すように瞳面70に
おいて、光軸AX(瞳中心)から各線分Lα、Lβまで
の距離α、βはα=βであり、λを露光波長としたと
き、α=β=f・(1/2)・(λ/P)に等しい。前
述の如くこの距離α、βをf×sinψと表せれば、 sin
ψ=λ/2Pであり、これは前述の数値と一致してい
る。従って、フライアイレンズ群7B1 、7B2 の各中
心(すなわち2次光源群の光量分布の各重心)位置が線
分Lα、Lβ上にあれば、図4(A)に示す如きライン
アンドスペースパターンに対して、フライアイレンズ群
7B1 、7B2 の各々からの照明光により発生する0次
回折光と±1次回折光のうちのいずれか一方との2つの
回折光は、投影光学系PLの瞳面Epにおいて光軸AX
からほぼ等距離となる位置を通ることになる。従って、
前述の如くラインアンドスペースパターン(図4
(A))に対する焦点深度を最大とすることができ、か
つ高解像度を得ることができる。
【0060】一方、図4(C)はレチクルパターンがい
わゆる孤立スペースパターンである場合であり、かつパ
ターンRP2 のX方向(横方向)ピッチがPx、Y方向
(縦方向)ピッチがPyとなっているものとする。図4
(D)は、この場合の各フライアイレンズ群7B1 、7
B2 の最適位置を表す図であり、図4(C)との位置、
回転関係は図4(A)、(B)の関係と同じである。
尚、2次元パターンRP2 の場合には照明光学系の瞳面
70において4つの局所領域(照明光束)を形成してお
くことが望ましく、従って上記構成の装置(図1)では
フライアイレンズ群を4つ設けておけば良い(例えば図
5中の7D1 〜7D4 )。
【0061】さて、図4(C)の如き2次元パターンR
P2 に照明光が入射すると、パターンRP2 の2次元方
向の周期性(X:Px、Y:Py)に応じた2次元方向
に回折光が発生する。図4(C)の如き2次元パターン
RP2 においても、回折光中の0次回折光と±1次回折
光のうちのいずれか一方とが投影光学系PLの瞳面Ep
において光軸AXからほぼ等距離となる位置を通るよう
にすれば、焦点深度を最大とすることができる。図4
(C)のパターンRP2 ではX方向のピッチはPxであ
るから、図4(D)に示す如くα=β=f・(1/2)
・(λ/Px)となる線分Lα、Lβ上に2つのフライ
アイレンズ群(2次光源群)の各中心があれば、2次元
パターンRP2 のX方向成分について焦点深度を最大と
することができる。同様に、γ=ε=f・(1/2)・
(λ/Py)となる線分Lγ、Lε上に2つのフライア
イレンズ群(2次光源群)の各中心があれば、2次元パ
ターンRP2 のY方向成分について焦点深度を最大とす
ることができる。
【0062】以上、図4(B)または(D)に示した瞳
面70内の各位置に配置したフライアイレンズ群(2次
光源群)からの照明光束がレチクルパターンRP1 また
はRP2 に入射すると、レチクルパターンからの+1次
回折光成分Dp または−1次回折成分Dm のいずれか一
方と0次光回折光成分Do とが、投影光学系PLの瞳面
Epにおいて光軸AXからほぼ等距離となる位置を通過
することになる。従って、前述の通り高解像及び大焦点
深度の投影型露光装置が実現できる。
【0063】ここでは、レチクルパターンとして図4
(A)または(C)に示した2例のみについて考えた
が、他のパターンであってもその周期性(微細度)に着
目し、そのパターンからの+1次回折光成分または−1
次回折光成分のいずれか一方と0次回折光成分との2光
束が、投影光学系PLの瞳面Epにおいて光軸AXから
ほぼ等距離となる位置を通過するように、照明光学系の
瞳面70における各フライアイレンズ群(2次光源群)
の中心位置を設定すればよい。尚、他の回折光、例えば
±2次回折光のうちのいずれか一方と0次回折光との位
置関係が、投影光学系の瞳面において光源AXからほぼ
等距離となるようにしてもよい。
【0064】また、レチクルパターンが図4(D)の如
く2次元の周期性パターンを含む場合、特定の1つの0
次回折光成分に着目したとき、投影光学系PLの瞳面E
p上ではその1つの0次回折光成分を中心としてX方向
(第1方向)に分布する1次以上の高次回折光成分と、
Y方向(第2方向)に分布する1次以上の高次回折光成
分とが存在し得る。そこで、特定の1つの0次回折光成
分に対して2次元のパターンの結像を良好に行うものと
すると、第1方向に分布する高次回折光成分の1つと、
第2方向に分布する高次回折光成分の1つと、特定の0
次回折光成分との3つが、瞳面Ep上で光軸AXからほ
ぼ等距離に分布するように、特定の0次回折光成分(1
つの2次光源群としてのフライアイレンズ群)の位置を
調節すれば良い。例えば、図4(D)中でフライアイレ
ンズ群(2次光源群)の各中心位置を点Pζ、Pη、P
κ、Pμのいずれかと一致させると良い。点Pζ、P
η、Pκ、Pμはいずれも線分LαまたはLβ(X方向
の周期性について最適な位置、すなわち0次回折光とX
方向の±1次回折光の一方とが投影光学系の瞳面Ep上
で光軸からほぼ等距離となる位置)、及び線分Lγまた
はLε(Y方向の周期性について最適な位置)の交点で
あるため、X方向、Y方向のいずれかのパターン方向に
ついても最適な光源位置である。
【0065】尚、以上において2次元パターンとしてレ
チクル上の同一箇所に2次元の方向性を有するパターン
を仮定したが、同一レチクルパターン中の異なる位置に
異なる方向性を有する複数のパターンが存在する場合に
は上記の方法を適用することができる。また、レチクル
上のパターンが複数の方向性、または微細度を有してい
る場合、各フライアイレンズ群の最適位置は、上述のよ
うにパターンの各方向性及び微細度に対応したものとな
るが、あるいは各最適位置の平均位置に各フライアイレ
ンズ群を配置するようにしても良い。また、この平均位
置は、パターンの微細度や重要度に応じた重みを加味し
た荷重平均としてもよい。
【0066】さらに、各フライアイレンズ群を射出した
光束は、それぞれレチクルに対して傾いて入射する。こ
のとき、これらの傾いた入射光束(複数)の光量重心の
方向がレチクルに対して垂直でないと、ウエハWの微小
デフォーカス時に、転写像の位置がウエハ面内方向にシ
フトするという問題が発生する。これを防止するため
に、各フライアイレンズ群からの照明光束(複数)の光
量重心の方向は、レチクルパターンと垂直、すなわち光
軸AXと平行であるようにする。つまり、各フライアイ
レンズ群に光軸(中心線)を仮定したとき、投影光学系
PLの光軸AXを基準としたその光軸(中心線)のフー
リエ変換面内での位置ベクトルと、各フライアイレンズ
群から射出される光量との積のベクトル和がほぼ零にな
るようにすれば良い。また、より簡単な方法としては、
2次光源を2m個(mは自然数)とし、そのうちのm個
の位置を前述の最適化方法(図4)により決定し、残る
m個は前記m個と光軸AXについてほぼ対称となる位置
に配置すれば良い。
【0067】次に、図5を参照して照明条件の変更、特
に通常照明と複数傾斜照明とを切り替えるために用いら
れるフライアイレンズ群の交換機構について説明する。
図5に示すように、本実施形態ではレチクルパターンの
周期性の違いに応じて光軸AXに対する偏心状態を互い
に異ならせて固定された4種類のフライアイレンズ群7
A〜7Dが保持部材7に一体に設けられており、駆動系
54により保持部材7を駆動(回転)させることによっ
て、複数のフライアイレンズ群7A〜7Dの各々を交換
可能に照明光学系の光路中に配置できるようになってい
る。ここではフライアイレンズ群7B〜7Dの各々が照
明光路中に配置されたときに、各フライアイレンズ群が
光軸AXに関してほぼ対称に配置されている。尚、図1
では通常照明時に用いられるフライアイレンズ群7Aが
照明光路中に配置されている様子を示している。図5に
おいて、例えばフライアイレンズ群7B1 、7B2 を照
明光路中に配置したとき、その各中心(換言すれば、フ
ライアイレンズ群7B1 、7B2 の各々における2次光
源像が作る各光量分布の重心)がレチクルパターンの周
期性に応じて決まる量だけ、光軸AXに対して偏心した
離散的な位置に設定されるように、フライアイレンズ群
7B1 、7B2 は一体に保持部材(回転ターレット板)
7に保持されている。尚、フライアイレンズ群7B〜7
Dの各々において、各フライアイレンズ群はその位置が
レチクルパターンの周期性に対応して移動できるように
なっていることが望ましい。
【0068】ここで、例えばフライアイレンズ群7B1
、7B2 の各々は、同一の形状、同一の材質(屈折
率)のものであることが望ましい。さらに、図1に示し
た個々のフライアイレンズ群7Aの各レンズエレメント
は、両凸レンズとし、かつ光源側焦点面と入射面、レチ
クル側焦点面と射出面がそれぞれ一致する場合の例であ
ったが、フライアイレンズ群のレンズエレメントはこの
関係を厳密に満たさなくても良く、またレンズエレメン
トは平凸レンズ、凸平レンズ、あるいは平凹レンズであ
っても良い。
【0069】さて、図5は保持部材の具体的な構成を示
す図であって、ここでは4種類のフライアイレンズ群7
A〜7Dが約90°間隔で、回転軸7aを中心として回
転可能な保持部材(ターレット板)7上に配置されてい
る。4種類のフライアイレンズ群7A〜7Dの各々は、
レチクルパターンの周期性の違いに応じて各フライアイ
レンズ群が、光軸AX(保持部材の中心)に対する偏心
状態(すなわち光軸AXとほぼ垂直な面内での位置)を
互いに異ならせて保持されている。フライアイレンズ群
7B、7Cはともに、2つのフライアイレンズ群(7B
1 、7B2 )、(7C1 、7C2 )を有しており、これ
らフライアイレンズ群は照明光学系中に配置されたとき
に、その配列方向が互いにほぼ直交するように固定され
ている。フライアイレンズ群7Dは、4つのフライアイ
レンズ群7D1 〜7D4 をその中心7d(光軸AX)か
らほぼ等距離に配置、固定する。フライアイレンズ群7
Aは照明光学系中に配置されたときにその中心が光軸A
Xとほぼ一致するように固定され、従来方式の露光を行
う場合に用いられる。
【0070】図5から明らかなように、前述の如くレチ
クルバーコードBCの情報に従って、モータ及びギア等
から成る駆動素子55によりターレット板7を回転させ
ることによって、4種類のフライアイレンズ群7A〜7
Dの各々を交換でき、レチクルパターンの周期性(ピッ
チ、配列方向等)に応じた所望の保持部材を照明光学系
中に配置することが可能となる。このとき、駆動素子5
5は位置決め用としても使用されるので、例えばロータ
リーエンコーダ等の回転角度計測部材を設けておくこと
が望ましい。尚、複数のフライアイレンズ群の各々は、
図5に示したように16個(フライアイレンズ群7Aの
み36個)のレンズエレメントで構成されるが、これに
限定されるものではなく、極端な場合1個のレンズエレ
メントで構成されたフライアイレンズ群としても良い。
【0071】また、4種類のフライアイレンズ群7A〜
7Dの各々において、図5中に実線にて示した円(照明
光束の照射領域に相当)内でフライアイレンズ群以外を
遮光部とする、あるいはターレット板7の後方(レチク
ル側)に遮光部材を配置することが望ましい。また、レ
チクルパターンへの照明光束の入射角度等を厳密に設定
する必要がある場合には、保持部材において複数のフラ
イアイレンズ群の各々を、光軸AXを中心としてその半
径方向(放射方向)に微動可能に、さらに光軸AXを中
心として複数のフライアイレンズ群の各々を回転可能に
構成しても良い。
【0072】また、図1から明らかなように、本実施形
態では4種類のフライアイレンズ群7A〜7Bの各々に
対して、照明光束をフラッドに入射させるだけの大きな
径のレンズ系(集光光学系6)を用いていたが、このよ
うな構成ではレチクルRを照射する照明光量の損失が大
きくなる。そこで、光量損失を防止するために、図6に
示すようにフライアイレンズ群の光源側焦点面での光量
分布を、個々のフライアイレンズ位置近傍のみに集中さ
せる光学部材(インプット光学系)を設けることが望ま
しい。
【0073】図6は保持部材の変形例を示す図であっ
て、インプット光学系(光ファイバー束71、72)と
保持部材(82、84)とが一体に可動部材(支持棒8
6)に固定されている。ここでは光ファイバー束を用い
る場合について説明するが、インプット光学系は他の部
材、例えば回折格子や多面プリズム等であっても構わな
い。
【0074】図6において、2つのフライアイレンズ群
80A、80Bは保持部材82により一体に保持され、
光ファイバー束71はその入射部71aと射出部71b
とが共に固定具83により保持されるとともに、保持部
材82は固定具83に一体に固定されている。また、保
持部材82の内部はフライアイレンズ群80A、80B
を除いて遮光部(図中の斜線部)となっている。一方、
交換用のフライアイレンズ群81A、81Bは保持部材
84により一体に保持され、光ファイバー束72はその
入射部72aと射出部72bとが共に固定具85により
保持されるとともに、保持部材84は固定具85に一体
に固定されており、上記と同様にその内部は遮光部とな
っている。さらに、固定具83、85は連結部材87に
より接続、固定されている。従って、保持部材の交換に
際しては固定具ごと交換を行えば良い。尚、図6では固
定具83が照明光学系中に存在し、交換用の固定具85
は照明光学系から外れた位置に設定されている。また、
集光光学系6より光源側、及びリレーレンズ9よりレチ
クル側は、例えば図1と同じ構成であるとする。
【0075】ところで、保持部材の交換は、駆動素子8
8により支持棒86を押し引きすることによって行われ
る。従って、図6の如くフライアイレンズ群の交換に際
してフライアイレンズ群と光ファイバー束とを一体に交
換可能に構成しておけば、上記一体となった部材群(固
定具)と照明光学系全体とを位置合わせするだけで良
く、交換毎の各部材(フライアイレンズ群、光ファイバ
ー束等)間の位置調整が不要となるといった利点があ
る。このとき、駆動素子88は位置決め用としても使用
されるので、例えばリニアリーエンコーダ、ポテンショ
メータ等の位置計測部材を設けておくことが望ましい。
【0076】尚、図5、図6中に示した保持部材毎のフ
ライアイレンズ群、及びフライアイレンズ群を成すレン
ズエレメントの数は任意で良く、さらにフライアイレン
ズ群及びレンズエレメントの入射面または射出面の形状
は長方形に限定されるものではない。また、図5、図6
に示した複数のフライアイレンズ群の各位置(光軸と垂
直な面内での位置)、換言すれば選択すべき保持部材
は、転写すべきレチクルパターンに応じて決定(変更)
するのが良い。この場合の決定(選択)方法は先に述べ
た通り、各フライアイレンズ群からの照明光束が転写す
べきパターンの微細度(ピッチ)に対して最適な解像
度、及び焦点深度の向上効果を得られるようにレチクル
パターンに入射する位置(入射角ψ)、もしくはその近
傍にフライアイレンズ群を有する保持部材とすれば良
い。
【0077】また、複数のフライアイレンズ群の各々の
近傍に照明光束を集中するための光学部材(インプット
光学系)として、特に光ファイバー束(図6)を用いる
場合には、フライアイレンズ群の移動に伴ってその複数
の射出端の各々も移動するように構成しておく、例えば
射出端とフライアイレンズ群とを一体に固定しておけば
良い。また、保持部材の回転に伴って矩形状のフライア
イレンズ群も相対的に傾くが、保持部材を回転させる際
には上記傾きを生じさせずに、フライアイレンズ群の位
置のみが移動するように構成することが望ましい。ま
た、フライアイレンズ群を交換する際には上記インプッ
ト光学系やその射出面近傍に配置される可変開口絞り8
も交換する必要があるので、これらの光学部材をフライ
アイレンズ群毎に保持部材7に一体に固定しておくこと
が望ましい。
【0078】また、図5に示した複数のフライアイレン
ズ群7A〜7Dの各々において、各フライアイレンズ群
の射出端面積は、そのフライアイレンズ群を透過する照
明光束のレチクルRに対する開口数と投影光学系PLの
レチクル側開口数(NAR )との比、いわゆるσ値が
0.1〜0.3程度になるように設定することが望まし
い。σ値が0.1より小さいと、転写像のパターン忠実
度が劣化し、0.3より大きいと、解像度向上や焦点深
度増大の効果が弱くなってしまう。また、フライアイレ
ンズ群の1つによって決まるσ値の条件(0.1≦σ≦
0.3程度)を満たすために、個々のフライアイレンズ
群の射出端面積の大きさ(光軸と垂直な面内方向の大き
さ)を、照明光束(射出光束)にあわせて決定しても良
い。
【0079】尚、各フライアイレンズ群のレチクル側焦
点面近傍に、それぞれ可変開口絞りを設けて、各フライ
アイレンズ群からの光束の開口数を可変として、σ値を
変えても良い。それとあわせて、投影光学系PLの瞳面
近傍に配置された可変開口絞り(NA制限絞り)32と
共働して、投影系としてのNAも、σ値をより最適化す
ることもできる。
【0080】また、各フライアイレンズ群に入射する光
束は、各フライアイレンズ群の入射端面よりもある程度
外側まで広く照明されており、かつ、各フライアイレン
ズ群に入射する光量分布が均一であると、レチクルパタ
ーン面での照度均一性を一層高められるので好ましい。
例えば図6において、インプット光学系71、72より
も光源側、すなわち入射部71a、72aの入射面近傍
に、さらに別のフライアレイレンズを追加して、2段の
インテグレータ構造としてもよい。このとき、1段目
(光源側)のフライアイレンズは単独のもの、すなわち
照明光学系の瞳面の全面に広がる1つの大きなフライア
イレンズである。尚、1段目(光源側)のフライアイレ
ンズのレチクル側焦点面(射出側焦点面)は、照明光学
系の瞳面の近傍面内に配置されることになる。さらに、
1段目のフライアイレンズの射出面は、2段目のフライ
アイレンズ群の入射面に対するフーリエ変換面になって
いる。但し、厳密にフーリエ変換の関係に維持される必
要はなく、要は1段目のフライアイレンズの各エレメン
トから射出した光束が、2段目のフライアイレンズの入
射面上で重畳されるような関係が維持されていれば良
い。また、本実施形態ではオプチカルインテグレータと
してフライアイ型インテグレータを用いていたが、例え
ば角柱状のロッド型インテグレータを用いても構わな
い。さらに、角柱状のロッド型インテグレータとフライ
アイ型インテグレータとを組み合わせて、上記の如き2
段のインテグレータ構造としても良い。このような構成
については特開平1−271718号公報等に開示され
ている。
【0081】また、本実施形態ではレチクルパターンに
対応して照明条件を変更する際、ターレット板7を回転
させて所望のフライアイレンズ群を照明光路中に配置す
ることとしたが、例えば照明光学系の瞳面近傍に配置す
るフライアイレンズ群を、その瞳面全面に広がる1つの
大きなフライアイレンズのみとし、レチクルパターンの
微細度に対応して、照明光学系の瞳面またはその共役面
内を通る照明光束を、照明光学系の光軸から偏心した位
置に中心を有する少なくとも1つの局所領域に制限する
ように、複数の開口部(例えばフライアイレンズ群7B
1 、7B2 に相当)を備えた空間フィルターの複数を交
換可能に、フライアイレンズ群の射出面(レチクル側焦
点面)近傍に配置するように構成するだけでも良い。こ
のとき、レチクル面上での照度均一性を考慮して、フラ
イアイレンズ群の各エレメントを細かくする(断面積を
小さくする)ことが望ましい。
【0082】次に、図8を参照して照明条件変更の一例
と各照明条件のもとでの投影光学系の瞳面近傍における
光量分布について説明する。尚、図8では図1と同じ作
用、機能の部材には同一の符号を付してある。さて、照
明光学系のコヒーレンスファクター、いわゆるσ値は、
照明光学系の開口数NAILと投影光学系の開口数NAR
(レチクル側)との比、すなわちσ=NAIL/NAR =
sinθ1 / sinθ2 で表される。ここで、図8(A)に
示すようにθ1 はレチクルRを照射する照明光の角度、
θ2 は投影光学系PLの開口絞り32を通過できる照明
光の角度である。図8では投影光学系の開口数NAR を
一定として照明光学系の開口数NAILを変えた場合を示
しており、図8(A)はσ値が大きいとき、図8(B)
はσ値が小さいときを示している。図8から明らかなよ
うに、本実施形態ではフライアイレンズ群7Aの射出面
(すなわち照明光学系の瞳面)近傍に配置された可変開
口絞り8によってσ値を任意に設定することができる。
尚、本実施形態(図1、図8)ではσ値を変更する手段
として可変開口絞りを用いた例を示したが、例えば集光
光学系6(図1)をズームレンズ系としても、あるいは
照明光学系(フライアイレンズ群等)を交換可能に構成
しても、上記と同様にσ値を可変とすることができる。
【0083】さて、図8(A)、(B)に示すようにレ
チクルRを通過した照明光束のうち0次回折光は、照明
光の入射角と同じ角度θ1 で投影光学系PLに入射し、
図中に実線で示すように進んでウエハW上に達する。図
示していないが、1次以上の回折光は0次回折光の外側
を進んでウエハW上に到達する。投影光学系PLの瞳面
Epには可変開口絞り32が設けられており、投影光学
系PLの開口数NAW(ウエハ側)はNAW = sinθ3
で表される。ここで、投影光学系PLの瞳面での光量分
布をみてみると、開口絞り32で規定された面内で0次
回折光は瞳面のほぼ中央(斜線部)を通過し、1次以上
の回折光はその外側を通過することになる。一般に、1
次以上の回折光に比べて0次回折光の強度は強いため、
特に瞳面近傍のレンズエレメントは、σ値が小さい(図
8(B))ときより大きい(図8(A))ときの方が照
明光束が瞳中心に集中して温度が上昇するものと考えら
れる。実際にパターン露光を行うときは、レチクルの種
類(例えば通常レチクルや位相シフトレチクル)やパタ
ーン線幅、形状、及び周期性等に対応して、これらに見
合った最適な照明条件、すなわちσ値や開口数NAW
(さらにはフライアイレンズ群)を、可変開口絞り8、
32(ターレット板7)を駆動することにより設定する
ことになる。
【0084】次に、本実施形態による投影露光装置の動
作について説明する。まず、投影光学系PLの結像特性
の変化量の計算方法について簡単に説明する。尚、本実
施形態では4種類の結像特性、すわなち投影倍率、像面
湾曲、ディストーション、及び焦点位置を扱うものとし
たが、これらの結像特性は発生メカニズムが異なり、そ
の変動特性が互いに異なる可能性があるため、個々の結
像特性を独立に計算する必要がある。しかしながら、こ
れらの結像特性の計算方法は同一であるため、ここでは
投影倍率を例に挙げて説明を行うものとする。また、本
実施形態では照明条件として照明光学系のσ値を変更す
る場合について説明するものとする。
【0085】一般に、物体に熱が吸収されるときの物体
温度は、物体に吸収される熱量と物体から放出される熱
量とのつりあいで求められる。これは、一般に1次遅れ
系と呼ばれるもので、投影倍率の変化特性も同様の振る
舞いをすると考えられる。1次遅れ系の変動特性を図9
に示す。図9は一定時間に一定量の照明光が投影光学系
PLに照射されるときの投影倍率の変化特性を表してい
る。図9に示す変化特性は、照射エネルギーに対する最
終的な投影倍率の変化量ΔMの割合ΔM/E、及び時間
的な変化を表す時定数Tの2つの値で決定できる。図9
において、時定数Tは最終的な変化量ΔMに対してΔM
×(1−e-1)だけ変化する時間で表せる。つまり、時
定数Tが小さい程、速い変化となる。割合ΔM/E及び
時定数Tは、実際に投影光学系PLに照明光を照射しつ
つ投影倍率を測定することによって、図9のような変化
特性を求めれば良い。実際には、投影光学系PLの構造
が複雑であるため、図9に示すような単純な変化特性を
示すことはなく、いくつかの1次遅れの和として表され
る場合もあるが、本実施形態では説明を簡単にするた
め、単純な変化特性を示す場合について説明する。
【0086】さて、図1においてレチクルRの交換時に
ウエハステージWSを駆動して光電センサ33を投影光
学系PLの光軸位置まで移動し、投影光学系PLに入射
する照明光の光量を測定する。次に、主制御装置50は
予め求めておいた割合ΔM/E、時定数T、光電センサ
33にて検出される照射エネルギー、及びシャッター3
の開閉時間に基づいて、逐次投影倍率の変化量を演算に
て算出する。
【0087】ここで、上述した如く照明光学系のσ値が
変化すると、投影光学系PLの瞳面Epの近傍のレンズ
エレメントにおける光量分布、すなわち温度分布が変化
する。例えばσ値が小さいとき、照射エネルギーが瞳中
心に集中して中央部の温度が高くなり(図8(B))、
レンズエレメントは中央部付近で大きく熱変形すると考
えられる。一方、σ値が大きいとき(図8(A))は、
全体的にレンズエレメントの温度が上がり、特に大きな
熱変形は生じ得ないと考えられる。このため、総照射エ
ネルギー量が同じであっても、σ値が大きいときと比較
してσ値が小さいときの方が投影倍率の変化が大きい、
すなわち割合ΔM/Eが大きいと考えられる。
【0088】一方、σ値が小さいときは周辺部の温度が
あまり上昇していないため、照明光の照射が中断する
と、レンズ温度は急に下がると考えられる。これに対し
てσ値が大きいときは、全体的にレンズ温度が上昇して
いるため、温度はゆっくり下がる。従って、σ値が小さ
いときは、σ値が大きいときに比べて時間的変化も大き
い、すなわち時定数Tが小さいと考えられる。以上のこ
とから、σ値を変化させることによりΔM/E、Tがと
もに変化することがわかる。
【0089】そこで、次にσ値を変更して連続的に露光
を行う場合について考えてみる。尚、このとき得られる
投影倍率の変化量ΔMの様子を図10に示す。まず、可
変開口絞り8を駆動して照明光学系のσ値を小さく設定
した後、時刻t1 から露光を開始する。このとき、投影
倍率の変化量ΔMは、図10中に実線で示す曲線K1 に
沿って変化していく。実際には、ウエハステージの移動
中(ステッピング中)及びウエハ交換中は照明光が投影
光学系PLに入射せずに変化量ΔMが減少し、曲線K1
はギザギザな曲線となるが、平均的に見ると図10のよ
うになる。従って、露光を続けていくと、変化量ΔMは
飽和レベルM1 まで達する。ここで、時刻t2 で露光動
作を停止すれば、変化量ΔMは点線で示す曲線K2 に沿
って減少していく。
【0090】次に、時刻t3 (≒t2 )で可変開口絞り
8を駆動してσ値を大きくし、σ値が小さいときと同じ
照射エネルギーが投影光学系PLに入射する条件で、露
光を再開する場合について考えてみる。ここで、時刻t
3 のときΔM=0であれば、変化量ΔMは図10中に点
線で示す曲線K3 に沿って変化していく。しかしなが
ら、投影光学系PLには照明条件変更前の条件(σ値が
小さいとき)のもとでの履歴が残っているため、実際の
変化は例えば曲線K1 (実線)のようになると考えら
れ、曲線K2 とK3 の和として表すことができない。こ
れは、時刻t3 〜t5 の間で、投影光学系の瞳面近傍の
レンズエレメントの温度分布(光量分布)が、図8
(A)、(B)のいずれの状態でもなく、しかもレンズ
温度は単純な和で表せないためである。従って、曲線K
1 を正確に求めるためには、照明条件変更時の過渡的状
態における温度分布を計算し、それに対応する変化量Δ
Mを知らなければならないが、上記計算を行うことは理
論的には可能であるが、実際には非常に複雑で実用的で
はない。
【0091】そこで、上記問題を解決するための本発明
の実施形態における露光動作を図11を参照して説明す
る。図11においても、図10と同様に可変開口絞り8
によりσ値を小さく設定した後(図8(B))、時刻t
1 でシャッター3を開いて露光を開始する。図11に示
すように投影倍率の変化量ΔMは、図10中の曲線K1
(実線)と同様に、実線にて示す曲線に沿って変化して
いき、やがて飽和レベルM1 に達する。
【0092】さて、時刻t2 で照明条件変更のためにシ
ャッター3を閉じて露光動作を停止した後、可変開口絞
り8を駆動してσ値を大きく設定する(図8(A))。
このとき、主制御装置50は時刻t2 で露光動作を停止
した後、所定時間、例えば変化量ΔMが一定のレベルM
S1に減少するまで露光動作を停止し続ける。このまま露
光動作を停止し続けると、変化量ΔMは曲線L1 (点
線)に沿って減少していき、時刻t4 で零となる。ここ
で、露光動作開始の判断基準(閾値)となるレベルMS1
の決定方法については後述する。
【0093】尚、時刻t1 から変化量ΔMがレベルMS1
に達する時刻t3 までの間、変化量ΔMはσ値が小さい
場合のもとでの演算パラメータ(先に述べたΔM/E、
T)を用いて演算にて算出される。さらにパターン露光
中(時刻t1 〜t2 )は、この演算値に基づいて結像特
性補正機構を駆動することによって、常に結像特性が所
定値に設定されることになる。
【0094】ところで、変化量ΔMが時刻t3 で一定レ
ベルMS1に達したとすると、主制御装置50は演算パラ
メータΔM/E、Tを、σ値が大きい場合のもとでの演
算パラメータに切り替えた(修正した)後、シャッター
3を開いて露光動作を再開する。この際、先に修正され
た演算パラメータを用いて投影倍率の変化量ΔMを演算
にて算出し、結像特性補正機構によって投影倍率を補正
しながら、ウエハWへのパターン露光を実行していく。
このとき既に、σ値を小さく設定した場合での露光動作
が終了してから時間が(t3 −t2)だけ経過している、
換言すれば変化量ΔMがレベルMS1まで減少しているた
め、変化量ΔMに対するσ値が小さいときの履歴の影響
が十分に小さくなっている。このため、実際には変化量
ΔMが、例えば図11中に点線にて示す曲線L2 のよう
に変化していたとしても、演算誤差は微小であり、投影
露光装置に要求される結像特性の制御精度に対して無視
し得る程度のものである。
【0095】尚、σ値を大きく設定したまま露光を続け
ていくと、時刻t5 で変化量ΔMは飽和レベルM2 に達
し、図11では時刻t5 で露光動作を停止している。ま
た、先に述べたようにσ値が大きいと、全体的にレンズ
エレメントの温度が上がるため、時刻t5 以降における
変化量ΔMは、時刻t2 〜t3 の変化量ΔMと比較して
緩やかに減少していくことになる。
【0096】ここで、上記説明ではσ値を小さく設定
し、変化量ΔMが飽和レベルMS1まで達した時点で照明
条件(σ値)を変更する場合を一例として挙げたが、当
然ながら変化量ΔMが飽和レベルM1 に達する前の段階
でσ値を変更しても構わない。例えば、図11において
時刻t2'で露光動作を停止してσ値を大きく設定する場
合、上記と全く同様に変化量ΔMがレベルMS1に減少す
る時刻t3'まで露光動作を停止し続ける。この様子を、
図11中に曲線L4 (点線)として示している。この場
合、停止時間(t3'−t2')は上記の停止時間(t3 −
t2 )に比べて短くて済む。
【0097】次に、露光開始の判断に用いられる一定レ
ベルMS1の決定方法について説明する。基本的にレベル
MS1は、照明条件の変更に伴って演算パラメータΔM/
E、Tを切り替えても、その演算パラメータのもとで算
出される結像特性(変化量ΔM)と実際の結像特性(図
11中の曲線L2 に相当)との差(演算誤差)が所定の
許容値(結像特性の制御精度に応じて一義的に定められ
る)以内となるように決定すれば良い。このとき、装置
のスループットを低下させないように、すなわち時間
(t3 −t2 )を短縮するように、レベルMS1はできる
限り大きな値に設定することが望ましい。
【0098】例えば、σ値の変更が微小である場合、あ
るいは転写すべきパターンが投影倍率に関して厳密な制
御精度を要求されないものである場合は、レベルMS1を
比較的大きな値に設定し、逆の場合にはレベルMS1を小
さく設定し、変更前の照明条件のもとでの履歴の結像特
性に対する影響が十分に小さくなるまで露光動作を停止
しておく必要がある。実際には、上記関係を予め実験、
またはシミュレーション等によって求めて、主制御装置
50の内部にテーブルまたは近似式の形で記憶してお
き、レベルMS1の値を決定することが望ましい。尚、図
11において時刻t2 以降での変化量ΔMの減衰計算
は、従来より変化量ΔMを逐次計算にて求めているた
め、特別な計算を行う必要はない。
【0099】次に、主制御装置50内部での処理の一例
を図12に示すフローチャートを参照して説明する。
尚、図1中には示していないが、主制御装置50は可変
開口絞り8、32を始めとして装置全体を統括制御する
コントロール部と、上記の如き結像特性の変化量等を計
算する演算部とで構成されているものとする。
【0100】図12において、通常の動作としてσ値の
変更がない場合、ステップ102において演算部は現在
の投影光学系の投影倍率の変化量ΔMを計算し、ステッ
プ103でコントロール部はこの計算結果に基づいて結
像特性補正機構に所定の駆動指令を出力し、変化量ΔM
の補正を実行する。そして、ステップ101でσ値が変
更されたという信号を、キーボード51、バーコードリ
ーダ52、または予め入力されているプログラム(露光
シーケンス)から演算部が受け取らない限り、コントロ
ール部は上記動作を繰り返し実行する。つまり、演算部
は上記ループ内、すなわち図12中で点線にて囲まれた
ステップ101〜103の間のみ、コントロール部に対
して露光が可能であるという信号を出力し続ける。この
とき、コントロール部は結像特性補正機構によって投影
倍率を補正しながらウエハに対する露光動作を実行し続
ける。
【0101】一方、ステップ101でσ値が変更された
と判断した場合、演算部は露光可能であるという信号を
コントロール部に出力するのを停止し、ステップ104
に進む。ステップ104において、演算部はσ値の変更
幅と投影倍率の許容制御精度(許容倍率誤差)とに基づ
いて、露光動作再開の判定基準となるレベルMS1を決定
し、このレベルMS1をコントロール部に設定する。次の
ステップ105で、演算部は現在の投影光学系の投影倍
率の変化量ΔM(但し、照明条件変更前の演算パラメー
タのもとで算出される値)を計算し、この計算値とレベ
ルMS1との大小比較を行う。ここで計算値ΔMがレベル
MS1より大きいと判断された場合、ステップ107で演
算部は露光動作を停止する必要があることをオペレータ
に知らせるため、例えば表示装置(CRT等)の画面上
に警告を表示する。しかる後、ステップ108で演算部
はコントロール部に対して、さらに所定時間Δt(但
し、Δtは例えば図11中に示した時間(t3 −t2 )
より短く設定される)だけ、露光動作を再開する指令を
出力するのを停止する。そして、再びステップ105に
戻って投影倍率の変化量ΔM(計算値)を求め、ステッ
プ106で計算値ΔMとレベルMS1との大小判定を行
う。以下、計算値ΔMがレベルMS1より小さくなるまで
ステップ105〜108を繰り返し実行し、計算値ΔM
がレベルMS1より小さくなった時点でステップ109に
進み、表示装置上の警告を消去(解除)する。さらにス
テップ110で、演算部は新たな照明条件(σ値)に対
応した演算パラメータ(ΔM/E、T)を設定した後、
ステップ101に戻り、新たな演算パラメータのもとで
通常の露光動作(ステップ101〜103)を繰り返し
実行していくことになる。この結果、常に高精度の結像
特性のもとでウエハに対するパターン露光を実行するこ
とが可能となる。
【0102】以上のように本実施形態においては、投影
光学系の結像特性として投影倍率のみについて説明した
が、他の収差に関しても全く同様に計算、補正すること
ができ、投影光学系の結像特性を常に高精度に維持する
ことが可能である。また、複数の収差について上記と同
様に計算、補正を行う場合、露光動作の停止時間を決定
するに際しては、補正対象とする全ての収差についてそ
の変化量が基準値(レベルMS1に相当)以下となった時
点で露光動作を再開すれば良い。
【0103】また、上記実施形態では照明条件として照
明光学系のσ値を変更する場合について説明したが、他
の照明条件を変更する場合にも本発明を適用して同様の
効果を得ることができる。例えば通常照明から複数傾斜
照明(または輪帯照明)に切り替える(または逆)、す
なわちフライアイレンズ群7Aをフライアイレンズ群7
B〜7Dのいずれかと交換する場合(図5)、複数傾斜
照明においてもレチクルパターンの周期性に応じてフラ
イアイレンズ群7B〜7Dを相互に交換する場合、可変
ブラインド10を駆動して照明視野を変更する場合、通
常照明から輪帯照明に切り替える(または逆)場合、あ
るいは投影光学系PLの開口数を変更する場合等に対し
ても本発明は有効である。尚、複数傾斜照明を行う場合
にはフライアイレンズ群の交換とともに、σ値も0.1
〜0.3程度に設定することが望ましい。図13
(A)、(B)はそれぞれ輪帯照明、複数傾斜照明を行
ったときの投影光学系の瞳面近傍での光量分布を示し、
図13(C)は投影光学系の開口数を変更したときの投
影光学系の瞳面近傍での光量分布を示している。図13
(C)では、図13(A)、(B)と比較して可変開口
絞り32の開口部が大きくなっている。
【0104】ところで、可変開口絞り32により投影光
学系の開口数を変更したとき、図13(C)に示すよう
な光量分布となり、0次回折光の分布は変化しない。こ
のため、上記変更の結像特性に対する影響は小さいと考
えられるが、1次以上の回折光の分布は変化して結像特
性の制御精度に影響を及ぼし得るので、投影光学系の開
口数を変更する場合にも本発明を適用することが望まし
い。この場合、照明光学系の照明条件は変更されない
が、本発明における照明条件変更とは投影光学系の開口
数の変更も含むものとする。
【0105】さらに、通常レチクルから位相シフトレチ
クルに交換する(または逆)場合でも、本発明を適用し
て同様の効果を得ることができる。例えば空間周波数変
調型の位相シフトレチクル(特公昭62−50811号
公報等に開示)を用いる場合には、複数傾斜照明と同様
に図13(B)に示したような光量分布が生じることに
なる。尚、位相シフトレチクルを用いる場合は、照明条
件としてσ値を0.1〜0.3程度に設定することが望
ましい。
【0106】また、図1ではレチクルRをレチクルステ
ージRSにローディングする際に、バーコードリーダ5
2にて読み取ったレチクル情報(名称)に基づいて、レ
チクルの種類(通常レチクルか位相シフトレチクル)、
またはそのパターンの微細度(周期性、ピッチ、方向
等)に最も見合った照明条件をレチクル毎に設定する例
を示したが、同一のレチクルに対して照明条件を変更す
るようにしても良い。
【0107】ところで、上記実施形態の図10の説明に
おいて、曲線K1 は曲線K2 と曲線K3 との和として表
すことができないものとしていたが、あまり厳密に結像
特性を制御する必要がなく、スループットを重視する場
合には、近似的にK1 =K2 +K3 として結像特性の変
化量を計算する方法を採用して構わない。この場合、予
めどのような照明条件、レチクルまたはそのパターン
で、結像特性の演算誤差がどの程度発生するかを求めて
おき、この誤差許容値と比較した上で、当該誤差を許容
できる場合のみ行うようにする必要がある。
【0108】また、図7に示したように基準部材15を
用いて投影光学系の結像特性(焦点位置、像面湾曲等)
を測定するのは、通常頻繁に測定を行うとスループット
が低下するため、例えば1日1回程度であるが、上記実
施形態のように照明条件変更後、一定時間露光動作を停
止している間は頻繁に上記測定を行いながら露光動作を
続けていく方法を採用しても良い。この場合は上記測定
によるスループットの低下はあるが、露光動作停止に伴
うスループットの低下は低減でき、全体としてのスルー
プットの低下を低減できる。
【0109】さらに、上記実施形態において露光動作を
停止するだけでなく、積極的に新たな照明条件に投影光
学系を馴染ませるため、実際に露光は行わずに、投影光
学系を新たな照明条件のもとで照射する方法を適用して
も良い。この場合は、例えば投影光学系PLとウエハW
との間にシャッターを配置して、照明光がウエハに到達
するのを防止する、あるいは上記照射を行っている間は
ウエハWが感光しないようにウエハステージWSを退避
させておく必要がある。また、露光動作を停止している
間に基準部材15を用いて結像特性を測定する際には、
新たな照明条件と同じ条件となるような空間フィルター
を光ファイバー62の射出面近傍に配置して上記測定を
行うことが望ましい。
【0110】
【発明の効果】請求項1,2,29,30に記載の発明
においては、マスクまたはそのパターンに対応して照明
条件を変更したときに、変更前の照明条件のもとでの投
影光学系の照明光吸収による結像特性の変化量が所定の
許容値以内となるまで感光基板に対する露光動作を停止
した後、新たな照明条件のもとで投影光学系の結像特性
を制御しながら露光動作を行うこととした。従って、照
明条件変更時の過渡的状態のもとでは露光動作が行われ
ないため、投影光学系の結像特性を照明条件毎に厳密に
制御することが可能となる。
【0111】更に請求項1,29に記載の発明では、基
板に対する露光動作を停止している間に、変更後の露光
条件のもとで投影光学系に照明光を入射させるようにし
ているので、投影光学系を新たな照明条件に積極的に馴
染ませることができる。更に請求項2,30に記載の発
明では、基板に対する露光動作を停止している間に、変
更後の露光条件のもとで投影光学系の結像特性を計測す
るようにしているので、その計測結果を用いて最適な制
御を行うことが可能となる。
【0112】また請求項23,31に記載の発明では、
投影光学系の結像特性に対して変更前の照明条件の影響
が残る過渡的状態では、結像特性又はその変化量の計測
と基板に対する露光動作とを交互に行うようにしたの
で、露光動作停止に伴うスループットの低下は低減で
き、全体としてのスループットの低下を低減できる。
【0113】また請求項25,32に記載の発明では、
変更前の照明条件で用いる第1パラメータ、及び変更後
の照明条件で用いる第2パラメータの両方に基づいて、
投影光学系の結像特性又はその変化量を算出するように
したので、厳密に結像特性を制御する必要が無く、スル
ープットを重視する場合には有効となる。
【0114】また本実施形態によれば、照明条件の変更
に伴って投影光学系の照明光吸収による結像特性の変化
特性が変化する場合においても、結像特性に対する変更
前の照明条件のもとでの履歴の影響が小さくなるまで露
光動作を停止した後に、新たな照明条件のもとで結像特
性を制御しながら露光動作を開始することとした。この
ため、照明条件変更前後の2つの照明条件のもとでの結
像特性の変化特性が混じり合って照明光吸収による結像
特性の変化量の計算が困難になるということはなく、感
光基板に対するパターン露光に際して厳密に結像特性の
変化量を求めることができ、高精度に結像特性を補正す
ることが可能となる。
【0115】また、マスクパターンの微細度に対応した
結像特性の制御精度等に応じて露光動作の停止時間を決
定するため、停止時間による生産性(スループット)の
低下を最小限に抑えることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による投影露光装置の概略的
な構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態で採用する照明方法の一例
(複数傾斜照明)の原理を説明する図。
【図3】フライアイレンズ群から投影光学系までの光路
を模式的に表した図。
【図4】複数傾斜照明におけるフライアイレンズ群の配
置を説明する図。
【図5】複数のフライアイレンズ群を照明光束の光路中
に交換可能に配置する交換機構の具体的な構成を示す
図。
【図6】複数のフライアイレンズ群の各々に照明光束を
集中するインプット光学系の一例を示す図。
【図7】基準部材を用いた投影光学系の結像特性の測定
動作を説明する図。
【図8】照明条件(σ値)の変更前後でのフライアイレ
ンズ群からウエハまでの光路と投影光学系の瞳面近傍で
の光量分布とを示す図。
【図9】照明光吸収による投影光学系の結像特性(投影
倍率)の変化特性を説明する図。
【図10】σ値を変更しながら連続的に露光を行うとき
に得られる投影倍率の変化量の様子を示す図。
【図11】本発明の実施形態による投影露光装置の露光
動作の説明に供する図。
【図12】投影光学系の結像特性の制御動作の一例を示
すフローチャート図。
【図13】輪帯照明、複数傾斜照明、及び投影光学系の
開口数の変更時の投影光学系の瞳面近傍における光量分
布を示す図。
【符号の説明】
3 シャッター 7A〜7D フライアイレンズ群 8、32 可変開口絞り 10 可変ブラインド 15 基準部材 20〜23 レンズエレメント 25、27、29 駆動素子 30、31 焦点検出系 33 照射量モニタ(光電センサ) 50 主制御装置 51 キーボード 52 バーコードリーダ 53 駆動素子制御部 54 駆動系 R レチクル RS レチクルステージ PL 投影光学系 Ep 瞳面 W ウエハ WS ウエハステージ BC バーコード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 G03F 7/20

Claims (33)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスクに照明光を照射する照明光学系
    と、前記照明光を基板上に投射する投影光学系とを備え
    た投影露光装置において、 前記照明光による前記基板の露光条件を変更するととも
    に、前記露光条件の変更後に所定時間だけ前記基板に対
    する露光動作を停止する露光制御手段を有し、 前記露光制御手段は、前記基板に対する露光動作を停止
    している間、前記変更後の露光条件のもとで前記投影光
    学系に前記照明光を入射させることを特徴とする投影露
    光装置。
  2. 【請求項2】 マスクに照明光を照射する照明光学系
    と、前記照明光を基板上に投射する投影光学系とを備え
    た投影露光装置において、 前記照明光による前記基板の露光条件を変更するととも
    に、前記露光条件の変更後に所定時間だけ前記基板に対
    する露光動作を停止する露光制御手段と、 前記基板に対する露光動作を停止している間、前記変更
    後の露光条件のもとで前記投影光学系の結像特性を計測
    する計測手段と、を有することを特徴とする投影露光装
    置。
  3. 【請求項3】 前記計測手段は、前記基板を保持する基
    板ステージ上に設けられた光電検出手段を含むことを特
    徴とする請求項2に記載の投影露光装置。
  4. 【請求項4】 前記露光制御手段は、前記投影光学系内
    での前記照明光の光量分布、又は温度分布に応じて、前
    記基板に対する露光動作を制御することを特徴とする請
    求項1〜3の何れか一項に記載の投影露光装置。
  5. 【請求項5】 前記露光制御手段は、前記変更前の露光
    条件に応じて前記基板に対する露光動作を制御すること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の投影露
    光装置。
  6. 【請求項6】 前記露光制御手段は、前記投影光学系の
    結像特性又はその変化量に応じて、前記基板に対する露
    光動作を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れ
    か一項に記載の投影露光装置。
  7. 【請求項7】 前記露光制御手段は、前記結像特性又は
    その変化量を計算する演算手段を有し、前記計算値が所
    定値以下となるまで前記基板に対する露光動作を停止す
    ることを特徴とする請求項6に記載の投影露光装置。
  8. 【請求項8】 前記演算手段は、前記変更前の露光条件
    で用いるパラメータに基づいて、前記結像特性又はその
    変化量を計算することを特徴とする請求項7に記載の投
    影露光装置。
  9. 【請求項9】 前記所定値は、前記計算値と前記結像特
    性又はその変化量に関する計測値との差が所定の許容値
    以内となるように決定されることを特徴とする請求項7
    に記載の投影露光装置。
  10. 【請求項10】 前記所定値は、前記変更前後の露光条
    件と前記投影光学系の結像特性の制御精度とに応じて決
    定されることを特徴とする請求項7に記載の投影露光装
    置。
  11. 【請求項11】 前記露光制御手段は、前記投影光学系
    の結像特性又はその変化量を計算する演算手段を有し、
    前記計算値と前記結像特性又はその変化量に関する計測
    値との差に応じて、前記基板に対する露光動作を制御す
    ることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の
    投影露光装置。
  12. 【請求項12】 前記露光制御手段は、前記投影光学系
    の結像特性の制御精度に基づいて、前記基板に対する露
    光動作を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れ
    か一項に記載の投影露光装置。
  13. 【請求項13】 前記露光制御手段は、前記マスク又は
    そのパターンに応じて、前記マスクのパターン面と実質
    的にフーリエ変換の関係となる前記照明光学系内の所定
    面上での前記照明光の分布状態を調整する光学部材を有
    することを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記
    載の投影露光装置。
  14. 【請求項14】 前記光学部材は、前記所定面上で前記
    照明光学系の光軸を含む中心部の外側に前記照明光を分
    布させることを特徴とする請求項13に記載の投影露光
    装置。
  15. 【請求項15】 前記照明光が分布する外側領域は、前
    記照明光学系の光軸から偏心した位置に光量重心が設定
    される局所領域を含むことを特徴とする請求項14に記
    載の投影露光装置。
  16. 【請求項16】 前記局所領域から射出する光束の照射
    によって前記パターンから発生する互いに次数が異なる
    2つの回折光が、前記投影光学系内の前記マスクのパタ
    ーン面に対するフーリエ変換面上でその光軸からほぼ等
    距離に分布するように、前記局所領域の位置が調整され
    ることを特徴とする請求項15に記載の投影露光装置。
  17. 【請求項17】 前記外側領域は、前記照明光学系の光
    軸との間隔が互いにほぼ等しい複数の局所領域を含むこ
    とを特徴とする請求項15又は16に記載の投影露光装
    置。
  18. 【請求項18】 前記複数の局所領域は、前記パターン
    の周期方向に沿って配置される一対の局所領域、もしく
    は前記所定面上で前記照明光学系の光軸と交差し、かつ
    前記パターンの長手方向に延びる軸によって区画される
    一対の局所領域を含むことを特徴とする請求項17に記
    載の投影露光装置。
  19. 【請求項19】 前記複数の局所領域は、前記所定面上
    の前記照明光学系の光軸で直交する第1及び第2軸によ
    って区画されることを特徴とする請求項17に記載の投
    影露光装置。
  20. 【請求項20】 前記パターンは、互いに直交する第1
    及び第2方向にそれぞれ延びるパターン要素を含み、前
    記第1及び第2軸はそれぞれ前記第1及び第2方向に沿
    って規定されることを特徴とする請求項19に記載の投
    影露光装置。
  21. 【請求項21】 前記外側領域はその光量重心が前記照
    明光学系の光軸とほぼ一致することを特徴とする請求項
    17〜20の何れか一項に記載の投影露光装置。
  22. 【請求項22】 前記局所領域から射出する光束の開口
    数と前記投影光学系の開口数との比が0.1〜0.3程
    度となるように、前記局所領域の大きさを定めることを
    特徴とする請求項15〜21の何れか一項に記載の投影
    露光装置。
  23. 【請求項23】 マスクに照明光を照射する照明光学系
    と、前記照明光を基板上に投射する投影光学系とを備え
    た投影露光装置において、 前記照明光による前記基板の露光条件の変更後、前記投
    影光学系の結像特性に対して前記変更前の露光条件の影
    響が残る過渡的状態では、前記基板上での前記マスクパ
    ターンの像特性を制御するために、前記変更前の露光条
    件で用いる第1パラメータと、前記変更後の露光条件で
    用いる第2パラメータとに基づいて前記投影光学系の結
    像特性又はその変化量を算出する演算手段を備えたこと
    を特徴とする投影露光装置。
  24. 【請求項24】 前記演算手段は、前記第1パラメータ
    から算出される結像特性又はその変化量と、前記第2パ
    ラメータから算出される結像特性又はその変化量とを加
    算して、前記投影光学系の結像特性又はその変化量を求
    めることを特徴とする請求項23に記載の投影露光装
    置。
  25. 【請求項25】 マスクに照明光を照射する照明光学系
    と、前記照明光を基板上に投射する投影光学系と、前記
    投影光学系の結像特性又はその変化量を計測する計測手
    段とを備えた投影露光装置において、 前記照明光による前記基板の露光条件の変更後であっ
    て、前記変更前の露光条件の影響が残る過渡的状態で、
    前記結像特性又はその変化量の計測と、前記基板に対す
    る露光動作とを交互に行う露光制御手段を備えたことを
    特徴とする投影露光装置。
  26. 【請求項26】 前記露光条件は、前記投影光学系内の
    前記マスクのパターン面に対するフーリエ変換面上での
    前記照明光の分布状態を含むことを特徴とする請求項1
    〜25の何れか一項に記載の投影露光装置。
  27. 【請求項27】 前記露光条件は、前記基板上に転写す
    べきパターン、前記投影光学系の開口数、前記マスク上
    での前記照明光の照射領域、及び前記マスクのパターン
    面と実質的にフーリエ変換の関係となる前記照明光学系
    内の所定面上での前記照明光の分布状態の少なくとも1
    つを含むことを特徴とする請求項1〜26の何れか一項
    に記載の投影露光装置。
  28. 【請求項28】 請求項1〜27の何れか一項に記載の
    投影露光装置を用いて、マスクに形成される回路パター
    ンを基板上に転写するリソグラフィ工程を含むことを特
    徴とする回路素子形成方法。
  29. 【請求項29】 照明光学系を通してマスクに照明光を
    照射するとともに、投影光学系を介して前記照明光で基
    板を露光する方法において、 前記基板上に転写すべきパターンに応じて、前記照明光
    による前記マスクの照明条件を変更し、前記変更前の照
    明条件に起因して生じる前記投影光学系の結像特性又は
    その変化量が所定値以下となるまで、前記変更後の照明
    条件のもとでの前記基板に対する露光動作を停止し、 前記基板に対する露光動作を停止している間、前記変更
    後の露光条件のもとで前記投影光学系に前記照明光を入
    射させることを特徴とする投影露光方法。
  30. 【請求項30】 照明光学系を通してマスクに照明光を
    照射するとともに、投影光学系を介して前記照明光で基
    板を露光する方法において、 前記基板上に転写すべきパターンに応じて、前記照明光
    による前記マスクの照明条件を変更し、前記変更前の照
    明条件に起因して生じる前記投影光学系の結像特性又は
    その変化量が所定値以下となるまで、前記変更後の照明
    条件のもとでの前記基板に対する露光動作を停止し、 前記基板に対する露光動作を停止している間、前記変更
    後の露光条件のもとで前記投影光学系の結像特性を計測
    することを特徴とする投影露光方法。
  31. 【請求項31】 照明光学系を通してマスクに照明光を
    照射するとともに、投影光学系を介して前記照明光で基
    板を露光する方法において、 前記基板上に転写すべきパターンに応じて、前記照明光
    による前記マスクの照明条件を変更し、前記照明条件の
    変更後であって、前記投影光学系の結像特性に対して前
    記変更前の照明条件の影響が残る過渡的状態では、前記
    結像特性又はその変化量の計測と前記基板に対する露光
    動作とを交互に行うことを特徴とする投影露光方法。
  32. 【請求項32】 照明光学系を通してマスクに照明光を
    照射するとともに、投影光学系を介して前記照明光で基
    板を露光する方法において、 前記基板上に転写すべきパターンに応じて、前記照明光
    による前記マスクの照明条件を変更し、前記照明条件の
    変更後であって、前記投影光学系の結像特性に対して前
    記変更前の照明条件の影響が残る過渡的状態では、前記
    基板上での前記マスクパターンの像特性を制御するため
    に、前記変更前の照明条件で用いる第1パラメータ、及
    び前記変更後の照明条件で用いる第2パラメータの両方
    に基づいて、前記投影光学系の結像特性又はその変化量
    を算出することを特徴とする投影露光方法。
  33. 【請求項33】 請求項29〜32の何れか一項に記載
    の投影露光方法を用いて、マスクに形成される回路パタ
    ーンを基板上に転写するリソグラフィ工程を含むことを
    特徴とする回路素子形成方法。
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