JP2001208722A - 限界電流式ガスセンサ - Google Patents
限界電流式ガスセンサInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 乾燥状態で使用あるいは保存した場合であっ
ても安定した出力を維持できる限界電流式ガスセンサを
提供すること。また、酵素と一体化して使用することが
でき、しかも、酵素を失活させることなく長期間の保存
が可能な限界電流式ガスセンサを提供すること。 【解決手段】 基板12上に、作用極14及び対極16
を形成する。この上に、窓部18aをくり抜いたスペー
サ18を貼り付け、窓部18aから作用極14の感応部
14a及び対極16の感応部16aを露出させる。次
に、塩化四級アンモニウム、グリセリン、水、アクリル
アミド及びビスアクリルアミドゲル化剤の混合溶液を窓
部18aに塗布する。さらに、その表面にポリテトラフ
ルオロエチレン薄膜からなるガス透過膜22を貼り付け
た後、混合溶液を光硬化させて、限界電流式ガスセンサ
10を得る。
ても安定した出力を維持できる限界電流式ガスセンサを
提供すること。また、酵素と一体化して使用することが
でき、しかも、酵素を失活させることなく長期間の保存
が可能な限界電流式ガスセンサを提供すること。 【解決手段】 基板12上に、作用極14及び対極16
を形成する。この上に、窓部18aをくり抜いたスペー
サ18を貼り付け、窓部18aから作用極14の感応部
14a及び対極16の感応部16aを露出させる。次
に、塩化四級アンモニウム、グリセリン、水、アクリル
アミド及びビスアクリルアミドゲル化剤の混合溶液を窓
部18aに塗布する。さらに、その表面にポリテトラフ
ルオロエチレン薄膜からなるガス透過膜22を貼り付け
た後、混合溶液を光硬化させて、限界電流式ガスセンサ
10を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、限界電流式ガスセ
ンサに関し、さらに詳しくは、大気中の酸素濃度を計測
する酸素センサ、液体中に溶存している酸素濃度を計測
する溶存酸素センサ、あるいは、酵素センサ、微生物セ
ンサ、免疫センサなど、臨床検査や環境計測に用いられ
るバイオセンサ用のトランスデューサとして好適な限界
電流式ガスセンサに関する。
ンサに関し、さらに詳しくは、大気中の酸素濃度を計測
する酸素センサ、液体中に溶存している酸素濃度を計測
する溶存酸素センサ、あるいは、酵素センサ、微生物セ
ンサ、免疫センサなど、臨床検査や環境計測に用いられ
るバイオセンサ用のトランスデューサとして好適な限界
電流式ガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】クラーク型溶存酸素計に代表される限界
電流式ガスセンサは、一般に、基板上に作用極及び対極
を形成し、その両者が電解液でつながるように電解液の
液だめ又はゲル状電解質を形成し、その上にガス透過の
律速層となるガス透過膜を形成した構造からなる。
電流式ガスセンサは、一般に、基板上に作用極及び対極
を形成し、その両者が電解液でつながるように電解液の
液だめ又はゲル状電解質を形成し、その上にガス透過の
律速層となるガス透過膜を形成した構造からなる。
【0003】限界電流式ガスセンサの動作原理は、両極
間に一定電圧を印加し、測定対象となるガス(以下、こ
れを「測定ガス」という。)の電気分解に伴う電流値か
らガス濃度を求めるものである。すなわち、限界電流式
ガスセンサを測定ガスが溶解した液体又は測定ガスが一
定分圧存在するガス中にさらすと、測定ガスがガス透過
膜を透過し、作用極上に達する。この時、両極間に一定
電圧を印加して測定ガスを電気分解させると、測定ガス
の電気分解反応は拡散律速で起きるために、電解電流の
大きさは電極電位に無関係にほぼ一定の値、すなわち、
限界電流を示す。この限界電流の大きさは測定ガスの濃
度に比例するので、これを測定すれば、測定ガスの濃度
を求めることができる。
間に一定電圧を印加し、測定対象となるガス(以下、こ
れを「測定ガス」という。)の電気分解に伴う電流値か
らガス濃度を求めるものである。すなわち、限界電流式
ガスセンサを測定ガスが溶解した液体又は測定ガスが一
定分圧存在するガス中にさらすと、測定ガスがガス透過
膜を透過し、作用極上に達する。この時、両極間に一定
電圧を印加して測定ガスを電気分解させると、測定ガス
の電気分解反応は拡散律速で起きるために、電解電流の
大きさは電極電位に無関係にほぼ一定の値、すなわち、
限界電流を示す。この限界電流の大きさは測定ガスの濃
度に比例するので、これを測定すれば、測定ガスの濃度
を求めることができる。
【0004】このような限界電流式ガスセンサは、従来
から、水中の溶存酸素濃度の測定や、ごく短期間の空気
中の酸素濃度測定に用いられている。また、限界電流式
ガスセンサ上に、特定の基質と特異的に反応し、かつ、
反応の際にガスセンサで検出可能な特定のガスを消費又
は放出する酵素、微生物、抗体又は抗原を固定すれば、
試料中の基質濃度を測定するバイオセンサを構成するこ
とができる。
から、水中の溶存酸素濃度の測定や、ごく短期間の空気
中の酸素濃度測定に用いられている。また、限界電流式
ガスセンサ上に、特定の基質と特異的に反応し、かつ、
反応の際にガスセンサで検出可能な特定のガスを消費又
は放出する酵素、微生物、抗体又は抗原を固定すれば、
試料中の基質濃度を測定するバイオセンサを構成するこ
とができる。
【0005】例えば、グルコースオキシダーゼは、グル
コースを酸化させる作用があるので、クラーク型酸素セ
ンサのガス透過膜上にグルコースオキシダーゼを固定
し、これを試料中に浸漬して酸素濃度を測定すれば、酸
素濃度の変化から試料中のグルコース濃度を求めること
ができる。このようなバイオセンサは、グルコースセン
サとして知られており、糖尿病患者の血糖値の測定に利
用されている。
コースを酸化させる作用があるので、クラーク型酸素セ
ンサのガス透過膜上にグルコースオキシダーゼを固定
し、これを試料中に浸漬して酸素濃度を測定すれば、酸
素濃度の変化から試料中のグルコース濃度を求めること
ができる。このようなバイオセンサは、グルコースセン
サとして知られており、糖尿病患者の血糖値の測定に利
用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガス透
過膜のガス透過を律速とする限界電流式ガスセンサにお
いて、電解液は、通常、塩化カリウムを代表とする無機
塩の水溶液かそのゲルによって構成されている。従っ
て、長期間、気相中で使用したり保存すると、電解液中
の水分の蒸発や吸収が起きるために、その電解質濃度が
大きく変化し、出力が大きく変化するという問題があっ
た。また、最悪の場合、乾燥によって電解質が導電性を
失い、センサが動作しなくなるという問題があった。そ
のため、長時間の使用は水溶液中に限られ、また、長期
保存時には、乾燥を防ぐために湿潤状態(水中又は高湿
度下)での保存が必要であった。
過膜のガス透過を律速とする限界電流式ガスセンサにお
いて、電解液は、通常、塩化カリウムを代表とする無機
塩の水溶液かそのゲルによって構成されている。従っ
て、長期間、気相中で使用したり保存すると、電解液中
の水分の蒸発や吸収が起きるために、その電解質濃度が
大きく変化し、出力が大きく変化するという問題があっ
た。また、最悪の場合、乾燥によって電解質が導電性を
失い、センサが動作しなくなるという問題があった。そ
のため、長時間の使用は水溶液中に限られ、また、長期
保存時には、乾燥を防ぐために湿潤状態(水中又は高湿
度下)での保存が必要であった。
【0007】さらに、酵素は、湿潤状態で保存すると失
活の問題が大きいので、乾燥状態での保存が必要とな
る。そのため、従来の限界電流式ガスセンサと酵素とを
組み合わせた酵素センサは、保存の面で実用化が困難で
あった。一方、溶液を用いた限界電流式のガスセンサ以
外には、無機高温固体電解質を用いた電流式センサ及び
起電力式センサや、抵抗変化型のセンサ等も知られてい
る。しかしながら、これらは、いずれも乾燥には強いが
作動温度が高いので、酵素、微生物、抗体又は抗原と一
体化しての使用は不可能である。
活の問題が大きいので、乾燥状態での保存が必要とな
る。そのため、従来の限界電流式ガスセンサと酵素とを
組み合わせた酵素センサは、保存の面で実用化が困難で
あった。一方、溶液を用いた限界電流式のガスセンサ以
外には、無機高温固体電解質を用いた電流式センサ及び
起電力式センサや、抵抗変化型のセンサ等も知られてい
る。しかしながら、これらは、いずれも乾燥には強いが
作動温度が高いので、酵素、微生物、抗体又は抗原と一
体化しての使用は不可能である。
【0008】本発明が解決しようとする課題は、乾燥状
態で使用あるいは保存した場合であっても、安定した出
力を維持できる限界電流式ガスセンサを提供することに
ある。
態で使用あるいは保存した場合であっても、安定した出
力を維持できる限界電流式ガスセンサを提供することに
ある。
【009】また、本発明が解決しようとする他の課題
は、酵素と一体化して使用することができ、しかも、酵
素を失活させることなく長期間の保存が可能な限界電流
式ガスセンサを提供することにある。
は、酵素と一体化して使用することができ、しかも、酵
素を失活させることなく長期間の保存が可能な限界電流
式ガスセンサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、少なくとも1組の電極と、前記1組の電極
を電気的につなげる電解質含有体と、前記電解質含有体
を覆うガス透過膜とを備えた限界電流式ガスセンサにお
いて、前記電解質含有体は、少なくとも揮発性の低い有
機溶媒と、該有機溶媒中においても電離する有機電解質
とを含むものであることを要旨とするものである。
に本発明は、少なくとも1組の電極と、前記1組の電極
を電気的につなげる電解質含有体と、前記電解質含有体
を覆うガス透過膜とを備えた限界電流式ガスセンサにお
いて、前記電解質含有体は、少なくとも揮発性の低い有
機溶媒と、該有機溶媒中においても電離する有機電解質
とを含むものであることを要旨とするものである。
【0011】本発明に係る限界電流式ガスセンサは、揮
発性の低い有機溶媒及び水分がなくても導電性を示す有
機電解質を備えた電解質含有体を用いているので、乾燥
状態で使用あるいは保存した場合であっても、安定した
出力を維持できる。また、作動温度が常温近傍であり、
かつ、乾燥保存も可能となるので、酵素と一体化して使
用することができ、しかも、保存時に酵素を失活させる
おそれも少ない。
発性の低い有機溶媒及び水分がなくても導電性を示す有
機電解質を備えた電解質含有体を用いているので、乾燥
状態で使用あるいは保存した場合であっても、安定した
出力を維持できる。また、作動温度が常温近傍であり、
かつ、乾燥保存も可能となるので、酵素と一体化して使
用することができ、しかも、保存時に酵素を失活させる
おそれも少ない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳細に説明する。図1に、本発明
の一実施の形態に係る限界電流式ガスセンサ(以下、単
に「センサ」という。)の概略構成図を示す。図1にお
いて、本実施の形態に係るセンサ10は、基板12と、
一組の電極(作用極14、対極16)と、スペーサ18
と、電解質含有体20と、ガス透過膜22とを備えてい
る。
て図面を参照しながら詳細に説明する。図1に、本発明
の一実施の形態に係る限界電流式ガスセンサ(以下、単
に「センサ」という。)の概略構成図を示す。図1にお
いて、本実施の形態に係るセンサ10は、基板12と、
一組の電極(作用極14、対極16)と、スペーサ18
と、電解質含有体20と、ガス透過膜22とを備えてい
る。
【0013】基板12は、作用極14及び対極16並び
にこれらを電気的につなぐ電解質含有体20を保持する
ためのものであり、平板状を呈している。また、本実施
の形態では、基板12の材質は、少なくとも絶縁性に優
れたものであれば良く、特に限定されるものではない。
具体的には、ガラス、石英、セラミックス、樹脂、プラ
スチック、表面に絶縁膜を形成した半導体基板などが好
適な一例として挙げられる。
にこれらを電気的につなぐ電解質含有体20を保持する
ためのものであり、平板状を呈している。また、本実施
の形態では、基板12の材質は、少なくとも絶縁性に優
れたものであれば良く、特に限定されるものではない。
具体的には、ガラス、石英、セラミックス、樹脂、プラ
スチック、表面に絶縁膜を形成した半導体基板などが好
適な一例として挙げられる。
【0014】作用極14は、四角形の感応部14a、パ
ッド部14c及びこれらをつなぐリード線部14bから
なり、基板12上に形成されている。また、対極16
は、作用極14の感応部14aを取り囲むように形成さ
れた感応部16a、パッド部16c及びこれらをつなぐ
リード線部16bからなり、同じく基板12上に形成さ
れている。測定ガスの電気分解は、作用極14の感応部
14a上で行われ、作用極14−対極16間を流れる電
流は、パッド部14c、16cから取り出されるように
なっている。
ッド部14c及びこれらをつなぐリード線部14bから
なり、基板12上に形成されている。また、対極16
は、作用極14の感応部14aを取り囲むように形成さ
れた感応部16a、パッド部16c及びこれらをつなぐ
リード線部16bからなり、同じく基板12上に形成さ
れている。測定ガスの電気分解は、作用極14の感応部
14a上で行われ、作用極14−対極16間を流れる電
流は、パッド部14c、16cから取り出されるように
なっている。
【0015】ここで、センサ10で計測する測定ガス
は、電極活物質であれば良く、特に限定されるものでは
ない。具体的には、酸素、アンモニア、二酸化炭素、水
素などが好適な一例として挙げられる。特に、酸素は、
種々の基質と酵素等とが反応する際に生成又は消費され
るガスであるので、酸素を計測可能なセンサ10は、基
質濃度を計測するためのバイオセンサ用のトランスデュ
ーサとして好適である。
は、電極活物質であれば良く、特に限定されるものでは
ない。具体的には、酸素、アンモニア、二酸化炭素、水
素などが好適な一例として挙げられる。特に、酸素は、
種々の基質と酵素等とが反応する際に生成又は消費され
るガスであるので、酸素を計測可能なセンサ10は、基
質濃度を計測するためのバイオセンサ用のトランスデュ
ーサとして好適である。
【0016】一方、作用極14及び対極16の材質は、
これらの電極活物質に応答するものでなければならない
ので、測定ガスの種類によって最適な特性を示すものが
選ばれる。例えば、測定ガスが酸素である場合、作用極
14には、Pt電極、Ag電極、Au電極等を用いると
良い。また、対極16には、Agの表面をAgCl化し
たAg/AgCl電極、Ag電極、Au電極等を用いる
と良い。
これらの電極活物質に応答するものでなければならない
ので、測定ガスの種類によって最適な特性を示すものが
選ばれる。例えば、測定ガスが酸素である場合、作用極
14には、Pt電極、Ag電極、Au電極等を用いると
良い。また、対極16には、Agの表面をAgCl化し
たAg/AgCl電極、Ag電極、Au電極等を用いる
と良い。
【0017】また、基板12上に形成される電極の数
は、上述したように、作用極14と対極16の2個に限
定されるものではない。例えば、作用極14と対極16
だけでは電解反応が不安定となる場合には、作用極14
及び対極16の他に参照電極を備えた3個一組の電極を
基板12上に形成しても良い。あるいは、2個一組又は
3個一組の電極を基板12上に複数個設け、同一基板1
2を用いて複数の測定ガスを同時に計測できるようにし
ても良い。
は、上述したように、作用極14と対極16の2個に限
定されるものではない。例えば、作用極14と対極16
だけでは電解反応が不安定となる場合には、作用極14
及び対極16の他に参照電極を備えた3個一組の電極を
基板12上に形成しても良い。あるいは、2個一組又は
3個一組の電極を基板12上に複数個設け、同一基板1
2を用いて複数の測定ガスを同時に計測できるようにし
ても良い。
【0018】スペーサ18は、電解質含有体20を保持
するためのものであり、作用極14及び対極16が形成
された基板12上に設けられる。スペーサ18の中央に
は、四角形状の窓部18aがくりぬかれ、窓部18aか
ら、作用極14及び対極16の感応部14a、16aを
露出させるようになっている。スペーサ18の材質は、
作用極14及び対極16間の絶縁を確保でき、かつ、電
解質含有体20を保持できるものであれば良く、特に限
定されるものではない。
するためのものであり、作用極14及び対極16が形成
された基板12上に設けられる。スペーサ18の中央に
は、四角形状の窓部18aがくりぬかれ、窓部18aか
ら、作用極14及び対極16の感応部14a、16aを
露出させるようになっている。スペーサ18の材質は、
作用極14及び対極16間の絶縁を確保でき、かつ、電
解質含有体20を保持できるものであれば良く、特に限
定されるものではない。
【0019】電解質含有体20は、作用極14と対極1
6とを電気的につなぐためのものであり、基板12上に
設けられたスペーサ18の窓部18a内に充填されてい
る。また、本発明においては、電解質含有体20は、有
機溶媒と、有機電解質とを備えている。
6とを電気的につなぐためのものであり、基板12上に
設けられたスペーサ18の窓部18a内に充填されてい
る。また、本発明においては、電解質含有体20は、有
機溶媒と、有機電解質とを備えている。
【0020】ここで、電解質含有体20を構成する有機
溶媒は、揮発性の低いものが好ましい。揮発性の高い有
機溶媒を用いると、保存中に有機溶媒が電解質含有体2
0から容易に揮発し、電解質含有体20の導電性を失わ
せるので好ましくない。また、有機電解質は、前述した
有機溶媒中においても電離するものでなければならな
い。
溶媒は、揮発性の低いものが好ましい。揮発性の高い有
機溶媒を用いると、保存中に有機溶媒が電解質含有体2
0から容易に揮発し、電解質含有体20の導電性を失わ
せるので好ましくない。また、有機電解質は、前述した
有機溶媒中においても電離するものでなければならな
い。
【0021】また、作用極14上において特定の測定ガ
スを選択的に電解反応させるためには、電解質含有体2
0の材質も重要な要素となる。従って、電解質含有体2
0に用いられる有機溶媒及び有機電解質の材質は、測定
ガスの種類によって最適な特性を示すものを選ぶことが
望ましい。
スを選択的に電解反応させるためには、電解質含有体2
0の材質も重要な要素となる。従って、電解質含有体2
0に用いられる有機溶媒及び有機電解質の材質は、測定
ガスの種類によって最適な特性を示すものを選ぶことが
望ましい。
【0022】例えば、測定ガスが酸素である場合、有機
溶媒には、グリセリン、ポリエチレングリコール、炭酸
プロピレン等を用いると良い。また、有機電解質には、
塩化テトラメチルアンモニウムに代表されるハロゲン化
四級アンモニウム、KCl、KBr、NaCl等とクラ
ウンエーテルの錯体、有機アミン塩酸塩等を用いると良
い。
溶媒には、グリセリン、ポリエチレングリコール、炭酸
プロピレン等を用いると良い。また、有機電解質には、
塩化テトラメチルアンモニウムに代表されるハロゲン化
四級アンモニウム、KCl、KBr、NaCl等とクラ
ウンエーテルの錯体、有機アミン塩酸塩等を用いると良
い。
【0023】なお、電解質含有体20は、液体状であっ
ても良いが、ゲル状である方が望ましい。電解質含有体
20が、上述した有機溶媒及び有機電解質を含むゲルで
あると、電解質の漏洩が抑制されるので、製造工程や取
り扱いが容易化されるという利点がある。ゲルの材質と
しては、具体的には、アクリルアミドゲル、寒天、アル
ギン酸ゲル等が好適な一例として挙げられる。
ても良いが、ゲル状である方が望ましい。電解質含有体
20が、上述した有機溶媒及び有機電解質を含むゲルで
あると、電解質の漏洩が抑制されるので、製造工程や取
り扱いが容易化されるという利点がある。ゲルの材質と
しては、具体的には、アクリルアミドゲル、寒天、アル
ギン酸ゲル等が好適な一例として挙げられる。
【0024】また、電解質含有体20には、上述した有
機溶媒、有機電解質及びゲルを構成する化合物以外の他
の成分が含まれていても良い。例えば、電解質含有体2
0をある種の化合物を用いてゲル化させる場合におい
て、その化合物が特定の溶媒にのみ可溶である時には、
電解質含有体20には、その特定の溶媒が含まれていて
も良い。例えば、アクリルアミドは、水に可溶であるの
で、有機溶媒、有機電解質並びにアクリルアミド及びそ
のゲル化剤からなる混合物をゲル化させて電解質含有体
20とする場合には、混合物に対して、さらに水を加え
ると良い。これにより、アクリルアミドが均一に溶解し
たゾルを容易に得ることができる。
機溶媒、有機電解質及びゲルを構成する化合物以外の他
の成分が含まれていても良い。例えば、電解質含有体2
0をある種の化合物を用いてゲル化させる場合におい
て、その化合物が特定の溶媒にのみ可溶である時には、
電解質含有体20には、その特定の溶媒が含まれていて
も良い。例えば、アクリルアミドは、水に可溶であるの
で、有機溶媒、有機電解質並びにアクリルアミド及びそ
のゲル化剤からなる混合物をゲル化させて電解質含有体
20とする場合には、混合物に対して、さらに水を加え
ると良い。これにより、アクリルアミドが均一に溶解し
たゾルを容易に得ることができる。
【0025】ガス透過膜22は、電解質含有体20の外
部への漏洩を防止する機能と、外部から電解質含有体2
0への液体の侵入を防ぎ、測定ガスを選択的に作用極1
4に供給する機能とを有するものであり、電解質含有体
20の表面を覆うように設けられる。ガス透過膜22の
材質は、測定ガスの種類やセンサ10の使用環境に応じ
て最適なものが選ばれる。例えば、測定ガスが酸素であ
る場合には、ガス透過膜22には、ポリテトラフロオロ
エチレン薄膜、シリコーン樹脂膜、ネガ型フォトレジス
ト膜、エチルセルロース、酢酸セルロース等を用いると
良い。
部への漏洩を防止する機能と、外部から電解質含有体2
0への液体の侵入を防ぎ、測定ガスを選択的に作用極1
4に供給する機能とを有するものであり、電解質含有体
20の表面を覆うように設けられる。ガス透過膜22の
材質は、測定ガスの種類やセンサ10の使用環境に応じ
て最適なものが選ばれる。例えば、測定ガスが酸素であ
る場合には、ガス透過膜22には、ポリテトラフロオロ
エチレン薄膜、シリコーン樹脂膜、ネガ型フォトレジス
ト膜、エチルセルロース、酢酸セルロース等を用いると
良い。
【0026】なお、ガス透過膜22の上に、さらに、酵
素、微生物、抗体又は抗原などのタンパク質が固定され
た部材(以下、これを「生体素子」という。)を一体化
させても良い。センサ10上に生体素子を一体化させる
と、試料中に存在する特定の基質の濃度を計測するバイ
オセンサを構成することができる。この場合、センサ1
0は、試料中に含まれる特定の基質に関する識別情報を
電気情報に変換するトランスデューサとして機能する。
素、微生物、抗体又は抗原などのタンパク質が固定され
た部材(以下、これを「生体素子」という。)を一体化
させても良い。センサ10上に生体素子を一体化させる
と、試料中に存在する特定の基質の濃度を計測するバイ
オセンサを構成することができる。この場合、センサ1
0は、試料中に含まれる特定の基質に関する識別情報を
電気情報に変換するトランスデューサとして機能する。
【0027】例えば、酸素を測定するためのセンサ10
の上に、グルコースオキシダーゼを固定した生体素子を
一体化させると、グルコースセンサを構成することがで
きる。また、例えば、同じく酸素を測定するためのセン
サ10の上に、アルコール資化菌を固定した生体素子を
一体化させると、BODセンサを構成することができ
る。
の上に、グルコースオキシダーゼを固定した生体素子を
一体化させると、グルコースセンサを構成することがで
きる。また、例えば、同じく酸素を測定するためのセン
サ10の上に、アルコール資化菌を固定した生体素子を
一体化させると、BODセンサを構成することができ
る。
【0028】次に、図1に示すセンサ10の作用につい
て説明する。限界電流式ガスセンサは、一般に、作用極
に到達した測定ガスを電気化学反応させ、その際に流れ
る限界電流を測定し、限界電流の大きさからガス濃度を
求めるものである。限界電流式ガスセンサは、ガス透過
膜での透過が律速となるので、電極表面に到達するガス
量は、外部の測定ガスの濃度と比例する。そのため、そ
の出力は、比較的広い範囲の動作電圧に対して不感で一
定となり、安定した濃度測定ができるという利点があ
る。
て説明する。限界電流式ガスセンサは、一般に、作用極
に到達した測定ガスを電気化学反応させ、その際に流れ
る限界電流を測定し、限界電流の大きさからガス濃度を
求めるものである。限界電流式ガスセンサは、ガス透過
膜での透過が律速となるので、電極表面に到達するガス
量は、外部の測定ガスの濃度と比例する。そのため、そ
の出力は、比較的広い範囲の動作電圧に対して不感で一
定となり、安定した濃度測定ができるという利点があ
る。
【0029】しかしながら、不感域を超える電圧変動が
あれば、当然、出力変動は大きくなり、濃度測定はでき
なくなる。例えば、無機塩の水溶液かそのゲルで構成さ
れた電解液を用いた従来の限界電流式ガスセンサでは、
湿度の低い雰囲気下で長期間使用あるいは保存すると、
電解液から水分が蒸発し、電解液中のイオン伝導度が著
しく低下する場合がある。そのような場合には、電解液
での電圧降下が大きくなり、大幅な出力低下を招く。ま
た、出力が濃度に比例しなくなるので、センサとして機
能しなくなる。
あれば、当然、出力変動は大きくなり、濃度測定はでき
なくなる。例えば、無機塩の水溶液かそのゲルで構成さ
れた電解液を用いた従来の限界電流式ガスセンサでは、
湿度の低い雰囲気下で長期間使用あるいは保存すると、
電解液から水分が蒸発し、電解液中のイオン伝導度が著
しく低下する場合がある。そのような場合には、電解液
での電圧降下が大きくなり、大幅な出力低下を招く。ま
た、出力が濃度に比例しなくなるので、センサとして機
能しなくなる。
【0030】これに対し、本発明に係るセンサ10は、
電解質含有体20として、少なくとも揮発性の低い有機
溶媒と、その有機溶媒中でも電離する有機電解質とを含
むものが用いられているので、水分が電解液中から除か
れても、導電性の低下はわずかであり、出力変動は少な
い。また、出力と濃度の比例関係も維持される。そのた
め、長期間の乾燥保存や、大気中での使用にも耐えう
る。また、作動温度が常温近傍であるので、酵素等を含
む生体素子と一体化させて使用することができ、しか
も、生体素子を失活させることなく長期間保存すること
も可能となる。
電解質含有体20として、少なくとも揮発性の低い有機
溶媒と、その有機溶媒中でも電離する有機電解質とを含
むものが用いられているので、水分が電解液中から除か
れても、導電性の低下はわずかであり、出力変動は少な
い。また、出力と濃度の比例関係も維持される。そのた
め、長期間の乾燥保存や、大気中での使用にも耐えう
る。また、作動温度が常温近傍であるので、酵素等を含
む生体素子と一体化させて使用することができ、しか
も、生体素子を失活させることなく長期間保存すること
も可能となる。
【0031】次に、図1に示すセンサ10の製造方法の
一例について説明する。初めに、基板12上に、作用極
14及び対極16を形成する。電極パターンの形成方法
としては、種々の方法があり、特に限定されるものでは
ない。例えば、メッキ法、真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いて、基板12上に
電極パターンを形成しても良い。また、導電性ペースト
を基板12上に塗布・焼き付けして電極パターンとして
もよい。
一例について説明する。初めに、基板12上に、作用極
14及び対極16を形成する。電極パターンの形成方法
としては、種々の方法があり、特に限定されるものでは
ない。例えば、メッキ法、真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いて、基板12上に
電極パターンを形成しても良い。また、導電性ペースト
を基板12上に塗布・焼き付けして電極パターンとして
もよい。
【0032】次に、電極パターンが形成された基板12
上に、スペーサ18を形成する。スペーサ18の形成方
法としては、種々の方法を用いることができ、特に限定
されるものではない。例えば、リソグラフィ技術を用い
て、フォトレジストからなるスペーサ18を基板12上
に形成しても良い。また、簡便な方法としては、両面テ
ープの中央を四角形状にくり抜いてスペーサ18とし、
これを基板12上に貼り付けても良い。
上に、スペーサ18を形成する。スペーサ18の形成方
法としては、種々の方法を用いることができ、特に限定
されるものではない。例えば、リソグラフィ技術を用い
て、フォトレジストからなるスペーサ18を基板12上
に形成しても良い。また、簡便な方法としては、両面テ
ープの中央を四角形状にくり抜いてスペーサ18とし、
これを基板12上に貼り付けても良い。
【0033】次に、スペーサ18の窓部18aに、電解
質含有体20を充填し、その上にガス透過膜22を形成
すれば、センサ10が得られる。なお、電解質含有体2
0がゲルである場合、ゾル状の電解質含有体20を窓部
18aに充填し、ガス透過膜22を形成した後、電解質
含有体20をゲル化させればよい。あるいは、ゾル状の
電解質含有体20を窓部18aに充填した後、電解質含
有体20をゲル化させ、その後でガス透過膜22を形成
してもよい。
質含有体20を充填し、その上にガス透過膜22を形成
すれば、センサ10が得られる。なお、電解質含有体2
0がゲルである場合、ゾル状の電解質含有体20を窓部
18aに充填し、ガス透過膜22を形成した後、電解質
含有体20をゲル化させればよい。あるいは、ゾル状の
電解質含有体20を窓部18aに充填した後、電解質含
有体20をゲル化させ、その後でガス透過膜22を形成
してもよい。
【0034】
【実施例】(実施例1)以下の手順に従い、図1に示す
構造を有するセンサ10を作製した。すなわち、まず、
基板12上に、Ptからなる作用極14及びAg/Ag
Clからなる対極16を形成した。次いで、両面粘着性
のテープの中央部に四角形状の窓部18aをくり抜いて
スペーサ18とし、作用極14の感応部14a及び対極
16の感応部16aが窓部18aにくるように、これを
基板12上に貼り付けた。
構造を有するセンサ10を作製した。すなわち、まず、
基板12上に、Ptからなる作用極14及びAg/Ag
Clからなる対極16を形成した。次いで、両面粘着性
のテープの中央部に四角形状の窓部18aをくり抜いて
スペーサ18とし、作用極14の感応部14a及び対極
16の感応部16aが窓部18aにくるように、これを
基板12上に貼り付けた。
【0035】次に、有機電解質として塩化テトラメチル
アンモニウムを用い、これに、グリセリン及び水の混合
溶媒、並びにアクリルアミドとビスアクリルアミドゲル
化剤を加えたもの(以下、これを「電解質ゾル」とい
う。)を、窓部18a内に塗布した。次いで、ガス透過
膜22となるポリテトラフルオロエチレン薄膜を電解質
ゾルに気泡が入らないようにかぶせ、基板12上に貼り
付けてある両面テープで固定した。その後、電解質ゾル
を光硬化させ、センサ10を得た。
アンモニウムを用い、これに、グリセリン及び水の混合
溶媒、並びにアクリルアミドとビスアクリルアミドゲル
化剤を加えたもの(以下、これを「電解質ゾル」とい
う。)を、窓部18a内に塗布した。次いで、ガス透過
膜22となるポリテトラフルオロエチレン薄膜を電解質
ゾルに気泡が入らないようにかぶせ、基板12上に貼り
付けてある両面テープで固定した。その後、電解質ゾル
を光硬化させ、センサ10を得た。
【0036】得られたセンサ10の両電極14、16間
に0.8Vの電圧を印加し、相対湿度0%の条件下にお
いて、窒素中、20%酸素/窒素中、及び窒素中の順に
出力を測定し、20%酸素濃度に対応する出力と応答性
とを求めた。また、デシケータ内に一定期間保存したも
の、及びシリカゲルを入れた密閉容器内に入れ、冷蔵庫
内に一定期間保存したものについても同様に出力を測定
し、その経時変化を調べた。
に0.8Vの電圧を印加し、相対湿度0%の条件下にお
いて、窒素中、20%酸素/窒素中、及び窒素中の順に
出力を測定し、20%酸素濃度に対応する出力と応答性
とを求めた。また、デシケータ内に一定期間保存したも
の、及びシリカゲルを入れた密閉容器内に入れ、冷蔵庫
内に一定期間保存したものについても同様に出力を測定
し、その経時変化を調べた。
【0037】図2に、センサ10の初期特性を示す。ま
た、図3に、センサ10の80日間保存後の特性を示
す。センサ10は、初期状態において、20%酸素濃度
に対して、約360nAの高い出力を示した。これは、
電解質含有体20に含まれる水分によって、電解質含有
体20が高い導電率を示すためである。また、本発明に
係るセンサ10は、1分程度の応答時間で動作すること
が確認された。一方、80日間の乾燥保存を行うと、図
3に示すように、センサ10の出力は低下した。しかし
ながら、応答性が劣化することはなく、酸素濃度に対応
した出力が得られており、センサとして十分機能するこ
とがわかった。
た、図3に、センサ10の80日間保存後の特性を示
す。センサ10は、初期状態において、20%酸素濃度
に対して、約360nAの高い出力を示した。これは、
電解質含有体20に含まれる水分によって、電解質含有
体20が高い導電率を示すためである。また、本発明に
係るセンサ10は、1分程度の応答時間で動作すること
が確認された。一方、80日間の乾燥保存を行うと、図
3に示すように、センサ10の出力は低下した。しかし
ながら、応答性が劣化することはなく、酸素濃度に対応
した出力が得られており、センサとして十分機能するこ
とがわかった。
【0038】図4に、デシケータ内でセンサ10を乾燥
保存した場合の相対値の経時変化を示す。また、図5
に、冷蔵庫内でセンサ10を乾燥保存した場合の相対値
の経時変化を示す。なお、「相対値」とは、初期状態の
電流値に対する一定期間保存後の電流値の割合を示す。
また、測定時相対湿度は、いずれも0%とした。さら
に、図5においては、20%酸素中における出力の相対
値の他に、0%酸素中(すなわち、窒素中)における出
力の相対値の経時変化も併せて示した。
保存した場合の相対値の経時変化を示す。また、図5
に、冷蔵庫内でセンサ10を乾燥保存した場合の相対値
の経時変化を示す。なお、「相対値」とは、初期状態の
電流値に対する一定期間保存後の電流値の割合を示す。
また、測定時相対湿度は、いずれも0%とした。さら
に、図5においては、20%酸素中における出力の相対
値の他に、0%酸素中(すなわち、窒素中)における出
力の相対値の経時変化も併せて示した。
【0039】デシケータ内で乾燥保存した場合、図4に
示すように、最初の約10日間で相対値が約30%まで
低下した。また、冷蔵庫内で乾燥保存した場合、図5に
示すように、最初の約40日間で相対値が約30%まで
低下した。この相対値の低下は、保存中に、電解質含有
体20から水分が揮発したことに起因する。しかしなが
ら、いずれの場合も、それ以降は相対値に変化がなく、
酸素濃度に対応した出力が安定して得られており、乾燥
状態での使用、及び乾燥状態での長期間の保存が可能で
あることがわかった。
示すように、最初の約10日間で相対値が約30%まで
低下した。また、冷蔵庫内で乾燥保存した場合、図5に
示すように、最初の約40日間で相対値が約30%まで
低下した。この相対値の低下は、保存中に、電解質含有
体20から水分が揮発したことに起因する。しかしなが
ら、いずれの場合も、それ以降は相対値に変化がなく、
酸素濃度に対応した出力が安定して得られており、乾燥
状態での使用、及び乾燥状態での長期間の保存が可能で
あることがわかった。
【0040】(比較例1)電解質含有体としてKCl水
溶液を用いた以外は、実施例1と同様にセンサを作製
し、出力に及ぼす保存状態の影響を見た。図6に、20
%酸素に対する出力特性を示す。また、図7に、デシケ
ータ内で乾燥保存した場合の相対値の経時変化を示す。
図6及び図7に示すように、KCl水溶液を電解質含有
体に用いたセンサの場合、その出力及び応答特性は、保
存開始から短期間で大幅に低下し、わずか7日後には、
全く出力が出なくなってしまうことがわかった。
溶液を用いた以外は、実施例1と同様にセンサを作製
し、出力に及ぼす保存状態の影響を見た。図6に、20
%酸素に対する出力特性を示す。また、図7に、デシケ
ータ内で乾燥保存した場合の相対値の経時変化を示す。
図6及び図7に示すように、KCl水溶液を電解質含有
体に用いたセンサの場合、その出力及び応答特性は、保
存開始から短期間で大幅に低下し、わずか7日後には、
全く出力が出なくなってしまうことがわかった。
【0041】以上、本発明の実施の形態について詳細に
説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々
の改変が可能である。
説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々
の改変が可能である。
【0042】例えば、上記実施例では、作用極14及び
対極16として、それぞれ、Pt電極及びAg/AgC
l電極を用いた酸素センサについて説明したが、電極及
び電解質含有体の材質並びに電解電圧を最適化すれば、
酸素以外のガスを選択的に検出するガスセンサを構成す
ることができる。また、基板12の形状は、平板状に限
られるものではなく、管状、あるいは、針状であっても
良い。さらに、基板12を用いることなく、電解質含有
体20内部に作用極14及び対極16が保持された構造
であっても良い。
対極16として、それぞれ、Pt電極及びAg/AgC
l電極を用いた酸素センサについて説明したが、電極及
び電解質含有体の材質並びに電解電圧を最適化すれば、
酸素以外のガスを選択的に検出するガスセンサを構成す
ることができる。また、基板12の形状は、平板状に限
られるものではなく、管状、あるいは、針状であっても
良い。さらに、基板12を用いることなく、電解質含有
体20内部に作用極14及び対極16が保持された構造
であっても良い。
【0043】また、上記実施例では、ガス透過膜を用い
て電解質含有体20と試料とを隔離する、いわゆるクラ
ーク型の酸素センサについて説明したが、他の形式のガ
スセンサ、例えば、ガス透過膜の代わりに、小孔を有す
る膜を用いて電解質含有体20を覆い、小孔を介してガ
スの拡散を制限するガスセンサに対しても本発明を同様
に適用することができ、これにより上記実施の形態と同
様の効果を得ることができる。
て電解質含有体20と試料とを隔離する、いわゆるクラ
ーク型の酸素センサについて説明したが、他の形式のガ
スセンサ、例えば、ガス透過膜の代わりに、小孔を有す
る膜を用いて電解質含有体20を覆い、小孔を介してガ
スの拡散を制限するガスセンサに対しても本発明を同様
に適用することができ、これにより上記実施の形態と同
様の効果を得ることができる。
【0044】
【発明の効果】本発明は、少なくとも1組の電極と、前
記1組の電極を電気的につなぐ電解質含有体と、前記電
解質含有体を覆うガス透過膜とを備えた限界電流式ガス
センサにおいて、前記電解質含有体として、少なくとも
揮発性の低い有機溶媒と、該有機溶媒中においても電離
する有機電解質とを含むものを用いているので、乾燥状
態で使用あるいは保存した場合であっても、安定した出
力を維持できるという効果がある。また、作動温度が常
温近傍であるので、酵素と一体化させることができ、酵
素を失活させることなく長期間の保存も可能になるとい
う効果がある。
記1組の電極を電気的につなぐ電解質含有体と、前記電
解質含有体を覆うガス透過膜とを備えた限界電流式ガス
センサにおいて、前記電解質含有体として、少なくとも
揮発性の低い有機溶媒と、該有機溶媒中においても電離
する有機電解質とを含むものを用いているので、乾燥状
態で使用あるいは保存した場合であっても、安定した出
力を維持できるという効果がある。また、作動温度が常
温近傍であるので、酵素と一体化させることができ、酵
素を失活させることなく長期間の保存も可能になるとい
う効果がある。
【0045】また、前記有機電解質として塩化四級アン
モニウムを用いた場合には、乾燥状態での使用及び乾燥
状態での長期保存に耐える限界電流式ガスセンサが得ら
れるという効果がある。さらに、前記電解質含有体が前
記有機溶媒及び前記有機電解質を含むゲルである場合に
は、電解質の漏洩が抑制されるという効果がある。
モニウムを用いた場合には、乾燥状態での使用及び乾燥
状態での長期保存に耐える限界電流式ガスセンサが得ら
れるという効果がある。さらに、前記電解質含有体が前
記有機溶媒及び前記有機電解質を含むゲルである場合に
は、電解質の漏洩が抑制されるという効果がある。
【0046】以上のように本発明によれば、常温で作動
し、かつ、乾燥に耐えるガスセンサが得られるので、こ
れを例えば生体素子と一体化すれば、長期保存が可能な
各種のバイオセンサが容易に得られ、バイオセンサの高
性能化、高信頼性化、低価格化等に寄与するものであ
り、産業上、その効果の極めて大きな発明である。
し、かつ、乾燥に耐えるガスセンサが得られるので、こ
れを例えば生体素子と一体化すれば、長期保存が可能な
各種のバイオセンサが容易に得られ、バイオセンサの高
性能化、高信頼性化、低価格化等に寄与するものであ
り、産業上、その効果の極めて大きな発明である。
【図1】 図1(a)は、本発明に係る限界電流式ガス
センサの分解斜視図であり、図1(b)は、図1(a)
に示す限界電流式ガスセンサの感応部の横断面図であ
る。
センサの分解斜視図であり、図1(b)は、図1(a)
に示す限界電流式ガスセンサの感応部の横断面図であ
る。
【図2】 本発明に係る限界電流式ガスセンサの初期特
性を示す図である。
性を示す図である。
【図3】 本発明に係る限界電流式ガスセンサの80日
間保存後の特性を示す図である。
間保存後の特性を示す図である。
【図4】 本発明に係る限界電流式ガスセンサの出力に
及ぼすデシケータ保存期間の影響を示す図である。
及ぼすデシケータ保存期間の影響を示す図である。
【図5】 本発明に係る限界電流式ガスセンサの出力に
及ぼす冷蔵庫乾燥保存期間の影響を示す図である。
及ぼす冷蔵庫乾燥保存期間の影響を示す図である。
【図6】 電解質含有体としてKCl水溶液を用いた限
界電流式ガスセンサの出力特性を示す図である。
界電流式ガスセンサの出力特性を示す図である。
【図7】 電解質含有体としてKCl水溶液を用いた限
界電流式ガスセンサの出力に及ぼすデシケータ保存期間
の影響を示す図である。
界電流式ガスセンサの出力に及ぼすデシケータ保存期間
の影響を示す図である。
10 限界電流式ガスセンサ(センサ) 14 作用極(電極) 16 対極(電極) 20 電解質含有体 22 ガス透過膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/46 301N 325L 325D 338 (72)発明者 細川 秀記 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山田 靖 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 少なくとも1組の電極と、前記1組の電
極を電気的につなげる電解質含有体と、前記電解質含有
体を覆うガス透過膜とを備えた限界電流式ガスセンサに
おいて、 前記電解質含有体は、少なくとも揮発性の低い有機溶媒
と、該有機溶媒中においても電離する有機電解質とを含
むものである限界電流式ガスセンサ。 - 【請求項2】 前記有機電解質は、塩化四級アンモニウ
ムである請求項1に記載の限界電流式ガスセンサ。 - 【請求項3】 前記電解質含有体は、前記有機溶媒及び
前記有機電解質を含むゲルである請求項1に記載の限界
電流式ガスセンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000014590A JP2001208722A (ja) | 2000-01-24 | 2000-01-24 | 限界電流式ガスセンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000014590A JP2001208722A (ja) | 2000-01-24 | 2000-01-24 | 限界電流式ガスセンサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001208722A true JP2001208722A (ja) | 2001-08-03 |
Family
ID=18542031
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000014590A Pending JP2001208722A (ja) | 2000-01-24 | 2000-01-24 | 限界電流式ガスセンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001208722A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010014422A (ja) * | 2008-07-01 | 2010-01-21 | Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku | プレーナー型電極 |
CN105388194A (zh) * | 2015-11-04 | 2016-03-09 | 国家电网公司 | 适用于电化学传感器的信号处理分析方法 |
-
2000
- 2000-01-24 JP JP2000014590A patent/JP2001208722A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010014422A (ja) * | 2008-07-01 | 2010-01-21 | Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku | プレーナー型電極 |
CN105388194A (zh) * | 2015-11-04 | 2016-03-09 | 国家电网公司 | 适用于电化学传感器的信号处理分析方法 |
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