JP2001206857A - 多塩素化芳香族化合物含有絶縁油の処理方法及び装置 - Google Patents

多塩素化芳香族化合物含有絶縁油の処理方法及び装置

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JP2001206857A
JP2001206857A JP2000017276A JP2000017276A JP2001206857A JP 2001206857 A JP2001206857 A JP 2001206857A JP 2000017276 A JP2000017276 A JP 2000017276A JP 2000017276 A JP2000017276 A JP 2000017276A JP 2001206857 A JP2001206857 A JP 2001206857A
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insulating oil
oil
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polychlorinated
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JP2000017276A
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Masayuki Ono
正之 大野
Naoshi Kaneda
尚士 金田
Norimasa Ogawa
昇正 小川
Toshiyuki Nishimura
俊之 西村
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Kansai Tech Corp
Original Assignee
Kansai Tech Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ金属・ターシャリー・ブトキシドを
用いたPCB等の多塩素化芳香族化合物の無害化処理に
おいて、洗浄水を使用することなく反応済油から反応生
成物等の不純物を分離回収することで、外部環境に影響
を与えることなく、また装置構成も小型化、簡略化す
る。 【解決手段】 分解反応器1にて多塩素化芳香族化合物
を含む絶縁油にアルカリ金属・ターシャリー・ブトキシ
ドを反応剤として添加し加熱撹拌して絶縁油中の多塩素
化芳香族化合物を分解して多塩素化芳香族化合物の塩素
を無機塩素として取り除いた後の反応済油を、分離冷却
手段4にて冷却して反応済油から遠心分離により反応生
成物等の不純物を分離回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境汚染物質であ
る多塩素化芳香族化合物の脱塩素化技術に関し、例えば
多塩素化ビフェニル(以下、PCBと記す)で汚染され
た絶縁油、特に変圧器等に使用されPCBで汚染された
絶縁油の処理に関するものである。更に詳しくは、前記
PCB等の多塩素化芳香族化合物を含有する絶縁油を処
理するに際し、外部環境へ廃水を排出することがなく、
従来の方法に比べて、より環境への影響の少ない処理方
法とするとともに、処理油を有効に利用可能とするもの
である。
【0002】
【従来の技術】現在、PCB及びPCBを含む廃油の処
理方法として法律上認められている方法としては、燃焼
による焼却方法、脱塩素化分解方法及び超臨界水酸化分
解方法がある。しかしながら、燃焼法では大気中への排
ガスの放出が行われることから、未燃焼のPCBあるい
は燃焼副産物としてのダイオキシン等が放出される恐れ
が指摘されている。このために、処理場を設置するにあ
たって、地元住民の同意が得られず実施困難な状況にあ
る。
【0003】このような状況の下、実用的なPCBの処
理を行なうためには、処理の際に排ガスの発生が無く、
また処理に伴い発生する廃水及び廃棄物等の安全性が十
分確認された処理方法及び装置とする必要がある。
【0004】前記のような課題を解決するためのPCB
等の多塩素化芳香族化合物の処理方法として、PCB等
の多塩素化芳香族化合物を化学的に分解する方法、即ち
アルカリ金属・ターシャリー・ブトキシド、なかでもカ
リウム・ターシャリー・ブトキシド(t−BuOK)を
用いたPCB等の多塩素化芳香族化合物の分解処理方法
が提案されている(特開平8−10352号)。この分
解処理方法の特徴は、(1)溶剤が不要であること、
(2)200〜250℃の比較的低温での反応であるこ
と、(3)PCB等の多塩素化芳香族化合物の塩素は反
応後に金属塩化物、例えば塩化カリウム等の無機塩素と
なること、(4)反応には酸素等のガスは不要であるこ
と、(5)PCB等の多塩素化芳香族化合物の分解効率
が非常に高いこと、(6)連続的な処理が可能なため大
量処理ができること、といった多くの利点が挙げられる
等、PCB等の多塩素化芳香族化合物を含有する絶縁油
の処理方法として、極めて有望な方法である。
【0005】更に、前記PCB分解処理方法を実用化す
るための装置として、多塩素化芳香族化合物含有絶縁油
の処理装置も提案されている(特開平10−15617
4号)。この処理装置の特徴は、(1)流通式の処理設
備であり、連続的な大量処理が可能であること、(2)
処理工程からの排気ガスの放出が無く、外部環境への影
響が少ないこと、(3)処理に伴い発生する油洗浄水は
廃水処理設備により、適切に浄化処理され、放流が可能
となること、が挙げられる等、極めて有望な処理装置で
ある。
【0006】上記特開平10−156174号に開示さ
れた多塩素化芳香族化合物含有絶縁油の処理装置による
処理方法は、多塩素化芳香族化合物が分解した反応済油
に洗浄水を注入し、無機塩素とアルカリ金属との化合物
であるアルカリ金属塩化物及び未反応のアルカリ金属・
ターシャリー・ブトキシドを洗浄水側に移行した後、油
水分離し、分離した処理済油を回収の上、絶縁油として
有効利用するものである。このように、反応済油に洗浄
水を注入する従来方法の処理施設は、大容量の多塩素化
芳香族化合物の分解を連続的に処理可能であり、かつ据
付け環境条件の軽減(公的な排水規制や公的給水量等)
出来る特徴を有する。
【0007】このように、特開平8−10352号に開
示されたPCB等の多塩素化芳香族化合物の処理方法及
びこの方法を実用化するための特開平10−15617
4号に開示された多塩素化芳香族化合物含有絶縁油の処
理装置によれば、PCB等の多塩素化芳香族化合物含有
絶縁油の処理に伴い発生する油洗浄水は適切に浄化処理
されており、外部環境への放出が可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の処理方
法及び装置においても、PCB等の多塩素化芳香族化合
物含有絶縁油の処理に伴い発生する油洗浄水は適切に浄
化処理されており、外部環境への放出が可能ではある
が、油洗浄水は外部環境へ放出しないことがより好まし
く、洗浄水を用いることなく反応済油から反応性生物を
分離除去することが更に好ましい。
【0009】また、本発明者らは、産業廃棄物の他府県
移動の禁止、保管の分散化及び装置の簡素化、合理化な
らびに運転保守の信頼性向上に着目した。つまり、例え
ば、上記した従来の処理装置では、油洗浄水中には反応
生成物であるアルカリ金属塩、未反応のアルカリ金属・
ターシャリー・ブトキシドが加水分解されたターシャリ
ー・ブタノール等の副生成物が含まれ、この洗浄水を放
流したり、あるいは再利用するには、油洗浄水に酸を加
えて中和処理する装置及び有機物を吸着除去する装置の
他に、中和処理により生成するアルカリ金属塩等の無機
塩類を除去回収する装置が必要である。更に、反応済油
中の未反応のアルカリ金属・ターシャリー・ブトキシド
は洗浄水により加水分解されてタシャリー・ブタノール
(以下、t−ブタノールと記す)が生成されるため、こ
れを除去する蒸留装置が必要となる。従って、このよう
な点からも、反応済油から反応生成物を除去する際に水
を使用しないことの利点は大きい。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、前
記特開平8−10352号に開示された、アルカリ金属
・ターシャリー・ブトキシドを用いたPCB等の多塩素
化芳香族化合物の分解処理方法、及びそのための装置に
ついて鋭意検討した結果、絶縁油中に含まれるPCB等
の多塩素化芳香族化合物を効率的に分解し、かつ非開放
系での反応のため外部にガスの放出がなく、しかも、洗
浄水を使用することなく反応済油から反応生成物等の不
純物を分離回収することにより、処理油を有効利用でき
る多塩素化芳香族化合物含有絶縁油の処理方法及び処理
装置を完成するに至った。
【0011】即ち、本発明に係る多塩素化芳香族化合物
含有絶縁油の処理方法は、多塩素化芳香族化合物を含む
絶縁油に、アルカリ金属・ターシャリー・ブトキシドを
反応剤として添加して加熱撹拌することにより、絶縁油
中の多塩素化芳香族化合物を分解して多塩素化芳香族化
合物の塩素を無機塩素として取り除き、この多塩素化芳
香族化合物が分解した反応済油を冷却し、遠心分離によ
り反応生成物等の不純物を反応済油から分離回収するこ
とを特徴とするものである。
【0012】また、上記のような多塩素化芳香族化合物
含有絶縁油の処理方法を実用化するための処理装置は、
加熱手段を有する分解反応器と、多塩素化芳香族化合物
含有絶縁油を予熱して分解反応器へ連続的に供給する絶
縁油供給手段と、分解反応器へ供給される絶縁油にアル
カリを定量的に供給するアルカリ供給手段と、分解反応
器で多塩素化芳香族化合物を含む絶縁油にアルカリ金属
・ターシャリー・ブトキシドを反応剤として添加して加
熱撹拌することにより絶縁油中の多塩素化芳香族化合物
を分解して多塩素化芳香族化合物の塩素が無機塩素とし
て取り除かれた後の反応済油を冷却し、この反応済油か
ら遠心分離により反応生成物等の有機性不純物を分離回
収する分離冷却手段とを備えることを特徴とする。
【0013】本発明に係る処理方法及び処理装置により
反応生成物等の不純物が分離された処理済油中では、有
害物である多塩素化芳香族化合物は基準値よりも極めて
低いレベルであり、これを回収し、例えば絶縁油として
再利用することができる。
【0014】また、従来の方法では、未反応のアルカリ
金属・ターシャリー・ブトキシドが加水分解されて生成
するアルカリ金属水酸化物をアルカリ金属の無機塩に変
化させるとともに、洗浄水を酸性側にする必要がある。
この場合、通常はPH6程度の弱酸性に調整するが、循
環水のPH値の変動により、配管その他の装置の腐食が
懸念され、特殊な材料が必要とされ、製作納期の長期化
の他、製作費用及び保守費用が高額となる。これに対
し、本発明方法では、反応済油からの反応生成物等の不
純物の除去に際して水を使用しないことから、アルカリ
金属・ターシャリー・ブトキシドの加水分解がなく、従
来の処理方法及び処理装置のような洗浄水の中和装置、
有機物吸着装置、無機塩類除去回収装置及び蒸留装置が
不要となり、汎用性の高い共通的な材料で、配管その他
の装置の化学的耐久性を確保することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の態様】本発明に適用される多塩素化芳香
族化合物の分解処理反応は、例えば特開平8−1035
2号に開示されたものである。これは、絶縁油中の多塩
素化芳香族化合物を処理するに際して、アルカリ金属・
ターシャリー・ブトキシドを反応剤として用い加熱攪拌
することにより、多塩素化芳香族化合物の塩素をアルカ
リ金属塩化物、即ち無機塩素として取り除き、反応後の
系に有機塩素分を残存させないという方法である。
【0016】前記多塩素化芳香族化合物の分解処理反応
は、無溶媒下に行うことができ、これにより、反応系全
体がシンプルとなる。また、溶媒を用いた場合のよう
に、溶媒中に残存する多塩素化芳香族化合物について詳
細に検査したり、使用した溶媒の処理、再使用について
の方策を考慮する必要も全くない。しかも、溶媒を用い
なくとも本処理方法の脱塩素化反応は完全に遂行され
る。
【0017】多塩素化芳香族化合物の分解反応温度は、
通常は100℃以上で行われ、熱劣化物の発生等の理由
から300℃以下が望ましい。また、反応温度を上昇さ
せることにより、多塩素化芳香族化合物の完全な脱塩素
化を行うために必要とする反応時間を短縮することがで
きる。又、絶縁油中の多塩素化芳香族化合物の濃度によ
っても必要な反応時間は異なるが、250ppm程度の
濃度であれば、通常180℃以上の反応温度においては
60分までの反応時間でよい。
【0018】本発明における多塩素化芳香族化合物の分
解反応においては、空気中の酸素は何ら影響をおよぼす
ものではないが、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気で行
うことは、酸素による絶縁油の劣化防止や安全上の点か
ら望ましいことである。
【0019】反応における操作方法としては特に制限は
ないが、アルカリ金属・ターシャリー・ブトキシドを直
接、多塩素化芳香族化合物含有絶縁油へ混合することが
できる。
【0020】反応は所定温度で撹拌下で所定時間反応を
行なう回分式で行うことも、アルカリ金属・ターシャリ
ー・ブトキシドあるいはアルカリ金属・ターシャリー・
ブトキシドを溶解させた多塩素化芳香族化合物含有絶縁
油をあらかじめ所定反応温度に加温しておき、両者を連
続的に混合する連続反応を行うことも可能である。
【0021】本発明で多塩素化芳香族化合物の分解処理
に用いる反応剤としてのアルカリ金属・ターシャリー・
ブトキシドとしては、リチウム・ターシャリー・ブトキ
シド、ナトリウム・ターシャリー・ブトキシド、カリウ
ム・ターシャリー・ブトキシドが好ましく、特にカリウ
ム・ターシャリー・ブトキシド(t−BuOK)が好ま
しい。アルカリ金属・ターシャリー・ブトキシドの使用
量については、多塩素化芳香族化合物に対し10倍モル
以上が望ましい。
【0022】本発明による処理の対象となる多塩素化芳
香族化合物とは、PCB、ダイオキシン、多塩素化ベン
ゼン、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)
等であるが、この中でもPCBが好適に処理され、本発
明はPCBを含む絶縁油に好適に適用される。絶縁油中
のPCB濃度は、特に限定されるものではなく極微量が
含まれたものから多量に含まれたものまで適用できる。
【0023】また、本発明において、反応済油中から遠
心分離により分離除去される反応生成物等の不純物は、
反応により生成される重質化した有機性不純物、無機塩
素とアルカリ金属との化合物であるアルカリ金属塩化
物、未反応のアルカリ金属・ターシャリー・ブトキシ
ド、有機酸及びスラッジ等である。
【0024】次に、本発明に係る多塩素化芳香族化合物
含有絶縁油の処理方法及び処理装置を、図1に示す処理
装置の概念図に基づき詳細に説明する。
【0025】この処理装置は、PCB等の多塩素化芳香
族化合物を外気に触れさせることなく絶縁油のタンクか
ら分解反応器1まで、連続的に一定量を供給するため
に、タンクに直接配管を取り付け、定量ポンプ等の絶縁
油流量制御手段7による送油を行う。絶縁油は、分解反
応器1に入る前に予め反応温度付近にまで加熱器等の予
熱手段6による加熱を行う。加熱方式は配管の外部から
の熱媒による外部加熱方式とすることで、PCB等の多
塩素化芳香族化合物は外気に触れることはない。一方、
多塩素化芳香族化合物の分解反応剤であるt−BuOK
等のアルカリ金属・ターシャリー・ブトキシドは、アル
カリ供給手段3から、反応に必要な一定量が定量ポンプ
により、連続的に分解反応器1に送り込まれる。この際
にも、PCB等の多塩素化芳香族化合物は外気に触れる
ことはない。分解反応器1の内部には攪拌機を装填して
おり、絶縁油とアルカリとの混合攪拌が行われ、多塩素
化芳香族化合物の分解反応が促進される。
【0026】分解反応器1内にて、PCB等の多塩素化
芳香族化合物が確実に分解された反応済油中の重質化し
た反応生成物等の不純物は、分離冷却手段4で遠心分離
により処理油と分離される。尚、日本工業規格に定める
絶縁油の引火点130℃以下を確保すべく、冷却手段8
により、反応済油は概ね100℃以下に冷却し、安全性
を確保する。
【0027】(材料の選定評価)無害化する多塩素化芳
香族化合物含有絶縁油中に含まれる水分は、最大200
ppm程度としているが、アルカリ性水溶液と絶縁油の
液相及び気相条件下で336時間の浸漬のうえ、下記要
領で実施した。
【0028】(1)試験装置 アルカリ性水溶液は、容量1リットルのニッケル製オー
トクレーブを用いて試験液量500mlで実施した。絶
縁油の試験も容量1リットルのニッケル製オートクレー
ブを用いて、軽減液量500mlで実施した。
【0029】(2)試験液 ・アルカリ性水溶液:PH=12.8(90℃) (KOH;0.25%、K2SO4;8.6%、KCl;
2.4%、水) ・絶縁油:(180℃) (KCl;20ppm、K2SO4;50ppm、純水;
500ppm)
【0030】(3)試験材料 試験材料には、実機の溶接による耐食性低下(鋭敏化現
象)を想定して、鋭敏化熱処理を施した。 (650℃〜750℃で2時間の鋭敏化熱処理) 材料(SUS304、SUS316、SUS316L)
【0031】(4)試験片形状と表面処理 75mm×15mm×2mm(t)の試験片をU型に曲
げ、応力を付与したUベント型試験片を用いた。試験片
の最終仕上げは♯500メトリー紙で表面研磨し、アセ
トンで脱脂して、試験に供した。
【0032】(5)評価項目 (a)重量変化測定(腐食速度の算出) (b)外観観察(目視及び10倍ルーペによる観察) (c)断面ミクロ組織観察(応力腐食割れ等の局部腐食発
生有無の確認)
【0033】以上の結果、アルカリ性水溶液中では、S
US304、SUS316、SUS316Lいずれに
も、腐食問題の発生は認められなかった。同様に、絶縁
油中でも腐食問題の発生は認められなかった。
【0034】更に、反応後の絶縁油を洗浄水による従来
の方法における酸性水溶液中で、材料の化学的耐久性の
試験を実施した。前記アルカリ性水溶液と絶縁油につい
ての評価の場合と同様に、液相及び気相条件下で336
時間の浸漬のうえ、下記要領で実施した。
【0035】(1)試験装置 容量500mlの静置浸漬試験用ガラスフラスコを用い
て実施した。
【0036】(2)酸性水溶液:PH=2.2 (K2SO4;9.0%、KCl;2.4%、水)
【0037】(3)試験材料 試験材料には、実機の溶接による耐久性低下(鋭敏化現
象)を想定して、鋭敏化熱処理を施した。 (a)Fe-Cr-Ni合金(カーペンター20):750
℃で2時間の鋭敏化熱処理した(特殊オーステナイト
鋼)。 (b)高耐食2相ステンレス鋼(DP−3):同材で溶接
ビートを置いた。 (c)Ni-Mo-Fe−Cr合金:750℃で2時間の鋭
敏化熱処理した(ハステロイC−276)。
【0038】(4)試験片形状と表面処理 75mm×15mm×2mm(t)の試験片をU型に曲
げ、応力を付与したUベント型試験片を用いた。試験片
の最終仕上げは、♯500エメリー紙で表面研磨し、ア
セトンで脱脂して、試験に供した。
【0039】(5)評価項目 (a)重量変化測定(腐食速度の算出) (b)外観観察(目視及び10倍ルーペによる観察) (c)断面ミクロ組織観察(応力腐食割れ等の局部腐食発
生有無の確認)
【0040】以上の結果より、酸性水溶液中では、カー
ペンター20には孔食と隙間腐食の発生が認められた。
DP−3の気相部にも隙間腐食の発生が認められた。従
って、酸性水溶液中で完全耐食性を有していたのは、ハ
ステロイC−276であった。このように、酸性水溶液
となると、使用できるのは限定された材料となり、材料
の納期(注文生産となる)が長く加工手間もかかり金額
的にも割高となる。即ち、洗浄水の中和処理等酸性液を
使用する従来方法及び装置では、配管その他の装置の化
学的耐久性を確保するには、汎用性の高い材質及び材料
でなく、特殊仕様を要求される。
【0041】以上のような材料の選定評価の結果より、
反応済油からの反応生成物等の不純物の除去に水を使用
しないことによる、装置材料の孔食や隙間腐食の問題が
ないという、本発明の処理法及び処理装置の優位性が確
認できた。
【0042】(多塩素化芳香族化合物含有絶縁油処理の
生成物の検証)撹拌装置、還流冷却管、窒素導入管、温
度計を備えた1リットルステンレス製セパラブル4つ口
フラスコに、PCB10ppmを含む絶縁油を200m
l注入した。絶縁油を加熱し、絶縁油の温度が220℃
で一定になったところで、絶縁油にt−BuOKを添加
してから10分後に反応を終了させた。この反応済みの
絶縁油を分析した結果、絶縁油中のPCB濃度は0.5
ppm以下であった。また、絶縁油中の生成物(有機性
不純物)は重質化し、反応後のフラスコ低部に沈澱して
おり、遠心分離機にて絶縁油と沈殿物を分離した結果、
沈殿物の重量は2.4gであった。尚、沈殿物中のPC
B濃度は0.5ppm以下であった。また、分離された
絶縁油は、引火点130℃以上を満足し、PH値は中性
であった。
【0043】
【実施例】次に、本発明に係る処理装置の実施例を説明
する。図2は処理装置の一例を示すものであり、PCB
含有絶縁油をPCB分解反応剤としてt−BuOKを用
いて処理する場合の処理装置を示すフロー図である。
【0044】分解反応器1は、加熱用の熱媒が流通する
外筒部と反応液が流通する内筒部より構成され、内筒部
には攪拌器を備えた一塔(単独)の反応器よりなる。
【0045】絶縁油供給設備2は、PCB含有絶縁油を
貯蔵するタンク12、絶縁油を分解反応器1に供給する
ポンプ13、分解反応器1の加熱に用いると同じ熱媒に
より絶縁油を予熱する熱交換器14より構成される。
【0046】加熱設備5は、熱媒を加熱するための電気
ヒーター15、熱媒を分解反応器1及び熱交換器14に
供給するためのポンプ16、分解反応器1及び熱交換器
19の温度を制御するための熱媒流量制御弁17より構
成される。
【0047】t−BuOK供給設備3は、t−BuOK
を保有するタンク18、t−BuOKを分解反応器1へ
連続的に供給するための定量ポンプ19より構成され
る。
【0048】分解反応器1及び熱交換器14内の絶縁油
の温度は、温度検出器により検出され、それらの出力信
号は図示しない操作盤に送られ、指示計及び記録計に表
示されるとともに、熱媒流量制御弁17の開度を調整
し、分解反応器1及び熱交換器14内の絶縁油を所定温
度に保持する。供給される絶縁油流量は、ポンプ13と
熱交換器14の間に設けられた流量検出器により検出さ
れ、それらの出力信号は前記操作盤に送られ、指示計及
び記録計に表示されるとともに、ポンプ13の出力を調
整し、所定の流量に保持する。
【0049】分離冷却手段4では、分解反応器1の絶縁
油が冷却槽20で概ね100℃以下に冷却される。冷却
するための熱源は、冷凍機21から冷却水を供給され、
温度検出器により冷却槽20の温度を検出し、この出力
信号は図示しない操作盤に送られ、指示計及び記録計に
表示されるとともに、冷凍機21から供給される冷却水
の温度を調整し、所定温度に保持する。尚、冷却水は、
定量ポンプ22により連続的に供給される。
【0050】冷却槽20の液位検出器の出力信号は、図
示しない操作盤に送られ、指示計及び記録計に表示され
るとともに、冷却槽20の液位を一定に保つため、ポン
プ23と分離機24の間に設けられた流量検出器の出力
信号が前記操作盤に送られ、指示計及び記録計に表示さ
れるとともに、ポンプ23の出力を調整し、所定の流量
に保持する。また、冷却槽20は、熱交換率の向上と重
質化した有機性不純物による管路の閉塞防止のために、
撹拌する装置を有する。
【0051】冷却された反応後の絶縁油は、分離機24
で連続的に処理油と重質化した有機性不純物に分離さ
れ、処理油は、ポンプ25を経由しタンク26に回収さ
れ、重質化した有機性不純物は生成物充填装置27に充
填される。
【0052】
【発明の効果】上記の通り、本発明によれは、PCB等
の多塩素化芳香族化合物含有絶縁油を処理するに際し、
油洗浄水を使用しないので排水の発生がなく、外部環境
へ影響を与えず、連続的な処理が可能であり、従来の方
法に比べて施設の構成が簡素化され、小型化、移動型へ
の応用もでき、より実用的な処理方法及び処理装置が提
供される。更に、構成が簡素化され、使用する材料、材
質も汎用的なものが使用できること等により、経済的に
も有利である。しかも、配管その他装置の構成が簡素化
されることで運転保守も容易となる。従って、特に分散
化処理に伴う装置の小型化、可搬型等の優位性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る処理装置の概念図。
【図2】 本発明に係る処理装置の一実施例のフロー
図。
【符号の説明】
1:分解反応器、2:絶縁油供給手段、3:アルカリ供
給手段、4:分離冷却手段、5:加熱手段、6:予熱手
段、7:絶縁油流量制御手段、8:冷却手段、9:分離
手段、10:処理油回収手段、11:生成物回収手段、
12:タンク、13:ポンプ、14:熱交換器、15:
電気ヒータ、16:ポンプ、17:熱媒流量制御弁、1
8:タンク、19:定量ポンプ、20:冷却槽、21:
冷凍機、22:定量ポンプ、23:ポンプ、24:分離
機、25:ポンプ、26:タンク、27:生成物充填装
置。
フロントページの続き (72)発明者 小川 昇正 大阪府大阪市港区福崎3丁目1番176号 株式会社関西テック総合技術センタ内 (72)発明者 西村 俊之 大阪府大阪市港区福崎3丁目1番176号 株式会社関西テック総合技術センタ内 Fターム(参考) 2E191 BA13 BC05 BD11 4H006 AC10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多塩素化芳香族化合物を含む絶縁油に、
    アルカリ金属・ターシャリー・ブトキシドを反応剤とし
    て添加して加熱撹拌することにより、絶縁油中の多塩素
    化芳香族化合物を分解して多塩素化芳香族化合物の塩素
    を無機塩素として取り除き、この多塩素化芳香族化合物
    が分解した反応済油を冷却し、反応済油から遠心分離に
    より反応生成物等の不純物を分離回収することを特徴と
    する多塩素化芳香族化合物含有絶縁油の処理方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属・ターシャリー・ブトキシ
    ドが、カリウム・ターシャリー・ブトキシドである請求
    項1記載の処理方法。
  3. 【請求項3】 加熱手段を有する分解反応器と、多塩素
    化芳香族化合物含有絶縁油を予熱して分解反応器へ連続
    的に供給する絶縁油供給手段と、分解反応器へ供給され
    る絶縁油にアルカリを定量的に供給するアルカリ供給手
    段と、分解反応器で多塩素化芳香族化合物を含む絶縁油
    にアルカリ金属・ターシャリー・ブトキシドを反応剤と
    して添加して加熱撹拌することにより絶縁油中の多塩素
    化芳香族化合物を分解して多塩素化芳香族化合物の塩素
    が無機塩素として取り除かれた後の反応済油を冷却し、
    この反応済油から遠心分離により反応生成物等の有機性
    不純物を分離回収する分離冷却手段とを備えることを特
    徴とする多塩素化芳香族化合物含有絶縁油の処理装置。
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