JP2001205675A - ディスク基板成形用金型およびその製造方法 - Google Patents
ディスク基板成形用金型およびその製造方法Info
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Abstract
ラー部材の鏡面の表面硬度を向上させ、耐摩耗性や耐損
傷性などの耐久性を向上させて、長寿命化を達成する。 【解決手段】 射出成形法によりディスク基板を作製す
る際に用いられる、金型コア1と金型コア2とを有する
ディスク基板成形用金型において、クロム含有合金鋼か
らなる金型コア2の部分を構成するミラー部材4のミラ
ー面4aに、4〜6時間の窒化処理を施して、窒化クロ
ム拡散層11を形成する。窒化処理を行う前に、窒化処
理前にミラー面4aをその表面粗度がRa:0.05〜0.13μ
m(Rz:0.2〜0.5μm)になるように研磨する。この窒
化処理によって、ミラー面4aの表面硬度をビッカース
硬度において1400以上とする。窒化処理後に研磨を行
い、ミラー面4aの表面粗度をRa:7.5×10−3〜2.5×
10−2μm(Rz:0.03〜0.1μm)とする。
Description
形用金型およびその製造方法に関し、特に、光ディスク
や光磁気ディスクなどのディスク基板を射出成形する際
に用いられる金型に適用して好適なものである。
の記録メディアが広く普及してきている。この記録メデ
ィアは、合成樹脂材料からなる円盤状のディスク基板の
主面に信号記録層が成膜されて構成されている。
ディスク基板を製造する際には、一般に、ディスク基板
成形用金型が用いられる。このディスク基板成形用金型
を用いた射出成形装置の従来例を図3に示す。
形用金型を用いた射出成形装置は、開閉可能に構成され
た金型コア101および金型コア102と、これらの金
型コア101、102の互いに対向する面に設けられた
ミラー部材103およびミラー部材104と、このミラ
ー部材103のミラー面103aに装着されるととも
に、その外周縁がスタンパ固定部材105によりミラー
面103aに固定されるスタンパ106と、他方のミラ
ー部材104に形成された凹陥部104aとスタンパ1
06とにより形成されるキャビティ107と、このキャ
ビティ107に溶融した樹脂材料を注入するための、金
型コア101の中心付近を貫通する樹脂注入孔108a
が設けられたスプール108と、金型コア102の中心
付近に設けられたパンチ部109とを有して構成されて
いる。
成型装置の加圧装置(図示せず)によって相対的に移動
可能に構成されている。そして、これらの金型コア10
1、102を相対的に移動させることによって、所定圧
力によって互いに接近して閉じられ、あるいは互いに離
反して開かれるように構成されている。
に設けられており、他方のミラー部材104に対向する
部分が、鏡面仕上げの施されたミラー面103aとなっ
ている。また、他方のミラー部材104は、金型コア1
02に設けられており、キャビティ107を形成する凹
陥部104aの底面が、鏡面仕上げの施されたミラー面
104bとなっている。
形成されており、スタンパ106の外周縁を外側から包
囲するとともに、ミラー部材103のミラー面103a
に対して接するように構成されている。
ク基板の主面部に形成される所定の形状のグルーブやピ
ットなどの凹凸に対して鏡像関係にある凹凸が形成され
ている。また、キャビティ107は、目的とするディス
ク基板の形状を有するように、ミラー部材104の凹陥
部104aおよびスタンパ106により形成される密閉
領域である。
108aを介して、ポリカーボネートなどの溶融した樹
脂材料をキャビティ107の内部に射出可能に構成され
ている。
に支持され、この金型コア102に対して相対的に移動
可能に構成されている。また、このパンチ部109は、
駆動機構(図示せず)によりキャビティ107内に射出
された樹脂材料が硬化した後、キャビティ107内の樹
脂成形品に向けて突出して、樹脂成形品であるディスク
基板のセンターホールを形成するためのものである。
いてディスク基板を製造する場合、まず、キャビティ1
07の内部に溶融した樹脂材料が射出され、その樹脂材
料が硬化して、キャビティ107内のスタンパ106の
表面に形成された凹凸が転写された状態で成型される。
01または金型コア102において、ミラー部材10
3、104は、耐食性の点を考慮して、主としてステン
レス鋼(SUS)などのクロム(Cr)が含有された合
金鋼から構成される。また、このSUSなどのCr含有
合金鋼には焼き入れが施されており、その母材のビッカ
ース硬度は550程度である。
部材103、104をSUSなどから構成した場合に
は、作業者の取り扱いなどにより、特に、ミラー部材1
04のミラー面104bに傷が入りやすく、耐久性を考
慮すると、その表面硬度は充分とは言えなかった。
として、表面硬度を向上させるために、ミラー部材10
4のミラー面104b上に、スパッタリング法などの物
理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法な
どの被膜方法により、窒化チタン(TiN)層や炭化チ
タン(TiC)層などをコーティングする方法が提案さ
れた。
らのPVD法やCVD法などにより被覆した層には、そ
の表面に微細な表面欠陥が多く存在している。そのた
め、このような被覆した膜は、ディスク基板を射出成形
法により形成する際に処理面(鏡面)として用いられる
ミラー面104aとして構成するにはあまり適していな
い。また、これらの被膜方法では、その処理自体にコス
トがかかってしまう。
基板成形用金型の部分を構成するミラー部材における鏡
面の表面硬度を向上させることにより、ミラー部材の耐
久性を向上させ、その長寿命化を達成することができる
ディスク基板成形用金型およびその製造方法を提供する
ことにある。
に、この発明の第1の発明は、射出成形法によりディス
ク基板を作製する際に用いられる、第1の金型と第2の
金型とを有するディスク基板成形用金型の製造方法にお
いて、第1の金型が、第1の鏡面の設けられたクロム含
有合金鋼からなる第1のミラー部材を有し、第2の金型
が、第2の鏡面の設けられたクロム含有合金鋼からなる
第2のミラー部材を有し、第1の鏡面と第2の鏡面との
少なくとも一方の鏡面に対して窒化処理を行うことによ
り、第1の鏡面と第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面
に、窒化クロム拡散層を形成するようにしたことを特徴
とするものである。
鏡面の表面硬度を効率よく向上させるために、好適に
は、窒化処理の処理時間を、4時間以上6時間以下とす
る。
処理を行う前に、第1の鏡面と第2の鏡面とのうちの窒
化処理が行われる鏡面を、その表面粗度が算術平均粗さ
Raにおいて0.05μm以上0.125μm以下(十
点平均粗さRz:0.2〜0.5μm、0.2〜0.5
S)になるように研磨する。
処理を行った後、第1の鏡面と第2の鏡面とのうちの窒
化処理が行われた鏡面を、その表面粗度が算術平均粗さ
Raにおいて7.5×10−3μm以上〜2.5×10
−2μm(十点平均粗さRz:0.03〜0.1μm、
0.03〜0.1S)になるように研磨する。
前の研磨および窒化処理を行った後の研磨は、典型的に
は、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polish、CM
P)法またはラップ研磨法により行う。
りディスク基板を作製する際に用いられる、第1の金型
と第2の金型とを有するディスク基板成形用金型におい
て、第1の金型が、第1の鏡面の設けられたクロム含有
合金鋼からなる第1のミラー部材を有し、第2の金型
が、第2の鏡面の設けられたクロム含有合金鋼からなる
第2のミラー部材を有し、第1の鏡面と第2の鏡面との
少なくとも一方の鏡面に窒化クロム拡散層が設けられて
いることを特徴とするものである。
化クロム拡散層が形成された鏡面の表面のビッカース硬
度は、1400以上である。
化クロム拡散層が形成された鏡面の表面粗度は、算術平
均粗さRaにおいて、7.5×10−3μm以上2.5
×10−2μm以下(十点平均粗さRz:0.03μm
以上0.1μm以下、0.03〜0.1S)である。
含有率が低いと、窒化処理に寄与するクロムの量が少な
すぎてしまい、十分な硬度を得ることができないため、
十分な硬度を得るために、この発明において、好適に
は、クロム含有合金鋼中のクロムの含有率は、3重量パ
ーセント以上である。また、本発明者の知見によれば、
クロムの含有率が多すぎても、ミラー部材の鏡面におい
て十分な硬化を得ることができないため、好適には、ク
ロム含有合金鋼中のクロムの含有率は、14重量パーセ
ント以下とするのが好ましい。
ラー部材や第2のミラー部材を構成するクロム含有合金
鋼は、ステンレス鋼(SUS)であり、好適には、ミラ
ー部材は、マルテンサイト系のステンレス鋼(SUS)
から構成される。また、マルテンサイト系のステンレス
鋼としては、好適にはクロム(Cr)を12〜13重量
パーセント程度含有したSUS420J2が用いられる
が、SUS420J1、SUS420F、SUS420
F2、またはクロムを11〜12重量パーセント含有し
たSUS410などを用いることも可能である。また、
必要に応じて、ミラー部材として、オーステナイト系の
ステンレス鋼を用いることも可能である。
ィスク基板成形用金型およびその製造方法によれば、デ
ィスク基板成形用金型におけるミラー部材の鏡面を窒化
処理することによって、その表面に窒化クロム拡散層を
形成していることにより、高コストの被膜技術を用いる
ことなく、鏡面の表面硬度を向上させることができる。
いて図面を参照しながら説明する。なお、以下の一実施
形態の全図においては、同一または対応する部分には同
一の符号を付す。
ク基板成形用金型を用いた射出成形装置について説明す
る。図1はこの一実施形態による射出成形装置を示す。
この射出成形装置は、光透過性を有するポリカーボネー
ト(Polycarbonate)やポリメチルメタクリレート(Poly-m
ethyl-methacrylate)などの合成樹脂材料を用いて、射
出成型法によりディスク基板を成型するためのものであ
る。また、このディスク基板は、例えば主面に信号記録
層が形成された光ディスクや光磁気ディスクなどの記録
メディアを構成する際に用いられるものである。
射出成形装置は、互いに開閉可能に構成された金型コア
1および金型コア2と、これらの金型コア1および金型
コア2の部分にそれぞれ設けられた第1のミラー部材3
および第2のミラー部材4と、第2のミラー部材4の部
分に形成された凹陥部5と、その外周縁がスタンパ固定
部材(図示せず)により固定されるとともに第1のミラ
ー部材3のミラー面3aに接するスタンパ6と、凹陥部
5とスタンパ6とにより形成されるキャビティ7内に溶
融した樹脂材料を注入するための、金型コア1の中心付
近を貫通して設けられた樹脂注入孔8aを有するスプー
ル8と、金型コア2の中心付近に設けられたパンチ部9
とを有して構成されている。
して設けられており、加圧装置(図示せず)により相対
的に移動可能に構成されている。そして、これらの金型
コア1、2を互いに相対的に移動して、所定圧力で突き
合わせることにより、成型するディスク基板に対応する
例えば円盤形状のキャビティ7を形成可能に構成されて
いる。
ロム(Cr)を12〜13重量%含有したステンレス鋼
(SUS420J2など)からなる。また、この第1の
ミラー部材3は金型コア1に取り付けられており、この
第1のミラー部材3のうち、第2のミラー部材4に対向
した部分は、鏡面仕上げが施されたミラー面3aとなっ
ている。
1のミラー部材3におけると同様のステンレス鋼からな
る。また、この第2のミラー部材4は金型コア2に取り
付けられており、後述するキャビティ7を形成する凹陥
部5を有している。そして、この凹陥部5の底面で、か
つ、少なくとも第1のミラー部材3のミラー面3aに対
向した部分は、鏡面仕上げが施されたミラー面4aとな
っている。
4aの表面には、窒化クロム拡散層11が形成されてい
る。この窒化クロム拡散層11は後述する窒化処理方法
により形成され、その表面硬度は、ビッカース硬度にお
いて、例えば1400以上に選ばれる。
ク基板の表面に形成される信号となるべきピットやグル
ーブなどの凹部に対して鏡像関係となる凸部が設けられ
ている。このスタンパ6の一例を挙げると、射出成形に
より形成されるものがコンパクトディスク(Compact Di
sc、CD)である場合には、厚さが0.3mmの平坦で
円盤状のニッケル(Ni)原盤である。また、このスタ
ンパ6を固定するスタンパ固定部材(図示せず)は、例
えば環状に形成されており、スタンパ6の外周縁を外側
から包囲するとともに、第1のミラー部材3のミラー面
に対して当接可能に構成されている。また、キャビティ
7は、成形すべきディスク基板の形状を有するように構
成されている。
ら供給される溶融したポリカーボネートなど樹脂材料
を、その樹脂注入孔8aを介して、第2のミラー部材4
と第1のミラー部材3に設置されたスタンパ6とから構
成されるキャビティ7内に射出するためのものである。
移動可能に支持されている。このパンチ部9は、スプー
ル8によりキャビティ7内に溶融した樹脂材料が注入さ
れ、さらにこの樹脂材料が硬化した後、駆動手段(図示
せず)によって移動され、キャビティ7内の樹脂成形品
に向けて突出させることにより、樹脂成形品であるディ
スク基板にセンターホールを形成するためのものであ
る。
形態による射出成形装置を用いたディスク基板の製造方
法について説明する。
ことにより、第2のミラー部材4とスタンパ6とから形
成されるキャビティ7を密閉する。そして、パンチ部9
を移動させた後、スプール8の樹脂注入孔8aを介し
て、所定の圧力下においてキャビティ7内に溶融した樹
脂材料を注入する。これにより、キャビティ7内に溶融
した樹脂材料が満たされ、この樹脂材料はキャビティ7
の形状に倣って成形されるとともに、スタンパ6に接し
た部分においては、スタンパ6表面の凹凸形状が転写さ
れる。
して樹脂成形品(図示せず)が形成された後、パンチ部
9を移動させることにより、キャビティ7内の樹脂成形
品にセンターホールを形成する。次に、金型コア1、2
を相対的に互いに移動させて、これらを開けた後、樹脂
成形品をエジェクタ(図示せず)などを用いてキャビテ
ィ7から突き出すことにより、第2のミラー部材4から
離型させる。
製造される。
に用いられる第2のミラー部材4のミラー面4aに対す
る窒化処理方法について説明する。
に対して前研磨処理を行う。この前研磨処理において
は、例えばCMP法やラップ研磨法などによりミラー面
4aの研磨を行う。ここで、この前研磨処理による研磨
によってミラー面4aの表面粗度を、Raにおいて0.
05μm(0.2S)未満にしようとすると、その研磨
に非常に時間がかかって効率が悪くなってしまい、他
方、表面粗度を0.125μm(0.5S)より大きく
してしまうと、後述する窒化処理において窒素(N)の
拡散が不十分になり、窒素(N)と母材(第2のミラー
部材4)中のCrとの結合が弱くなってしまう。その結
果、所望の表面硬度が得られない。したがって、この前
研磨処理においては、ミラー面4aの研磨を、その表面
粗度が算術平均粗さRaにおいて0.05〜0.125
μm(0.2〜0.5S)の範囲内になるようにする。
いて説明する。この一実施形態による窒化処理は、減圧
炉を用いた窒素原子(N)の拡散原理を利用した、いわ
ゆる減圧ガス窒化処理方法である。
のクロム含有合金鋼からなる第2のミラー部材4を、窒
化処理炉内に装填した後、この窒化処理炉内を減圧す
る。次に、窒化処理炉内に、アンモニア(NH3)ガス
および窒化促進ガス(例えば、Rxガス)を導入する。
これとともに、窒化処理炉内を480〜550℃に加熱
し、この状態を2〜6時間、好適には4〜6時間、より
好適には5〜6時間維持する。この窒化処理時間は、ビ
ッカース硬度において1400以上の所望の表面硬度を
得るために必要な時間確保される。この窒化処理時間に
関して、以下に具体的に説明する。
硬度の窒化処理時間依存性を示す。ここで、この表面硬
度の窒化処理時間依存性の測定における窒化処理条件を
挙げると、 窒化処理装置:減圧窒化処理炉 圧力 :1.33×10−1Pa(10−3mmHg) 処理ガス:NH3ガス(10体積%) H2ガス (10体積%) O2ガス ( 5体積%) 残部、N2ガスおよびRxガス 鋼種 :SUS420J2 処理温度:500℃ 処理時間:0〜10時間 とする。
ッカース硬度を1400以上に制御するためには、窒化
処理時間を2時間以上とするのが望ましく、ミラー面4
aの表面硬度を、ビッカース硬度において1400以上
の安定した硬度とするためには、窒化処理時間を4時間
以上とするのが望ましいことがわかる。また、図2か
ら、窒化処理時間が6時間を超えてもミラー面4aにお
けるビッカース硬度の増加は見られないが、窒化処理時
間が6時間を超えると、ミラー面4a表面の粒子が粗大
化してしまい、所望とする表面粗度を得ることが困難に
なってしまう。そのため、窒化処理時間は好適には6時
間以下が望ましい。
ー面4aから第2のミラー部材4中に向けて拡散され、
第2のミラー部材4における合金鋼中のCrとNとから
化合物が生成される。これによって、ミラー面4aの表
面に膜厚が例えば0.02mmの窒化クロム拡散層11
が形成される。このように、Cr含有合金鋼の表面、す
なわち第2のミラー部材4のミラー面4aに、硬化層と
して窒化クロム拡散層11を形成していることにより、
ミラー面4aを高硬度化することができる。
処理炉内において、NH3ガスなどの窒化ガスをミラー
面4aに接触させることによって、そのミラー面4aを
窒化するようにしているので、ミラー面4aの表面から
内部への硬度の低下は滑らかである。これにより、ミラ
ー面4aの表面層の剥離や欠陥の発生を抑制することが
できる。さらに、上述したように、この一実施形態によ
る窒化処理は、窒素が母材であるCr含有合金鋼の表面
から内部に向かって浸透し、拡散しながら母材中のCr
と結合することによって窒化クロム拡散層11を形成す
るものであるため、母材自体に反りや膨張などの寸法変
化の発生が抑制されるとともに、窒化クロム拡散層11
の拡散深さを、処理時間および/または処理温度の制御
を行うことにより制御することが可能となる。
の含有率が3重量%未満であると、窒化処理に寄与する
Crの量が少なすぎてしまい、十分な表面硬度を得るこ
とができない。そのため、窒化処理に供される合金鋼
は、Crの含有率が3重量%以上のものが望ましい。
理によって高硬度化された場合の鋼種によるビッカース
硬度の増加量の違いに関して測定した結果を、以下の表
1に示す。ここで、この測定における表面窒化処理条件
を挙げると、 窒化処理装置:減圧窒化処理炉 圧力 :1.33×10−1Pa(10−3mmHg) 処理ガス:NH3ガス(10体積%) H2ガス (10体積%) O2ガス ( 5体積%) 残部、N2ガスおよびRxガス 処理温度:500℃ 処理時間:5時間 とする。
その表面硬度が、ビッカース硬度において1200程度
まで増加することがわかる。また、上述の一実施形態に
おいて用いられたSUS420J2の表面硬度が、ビッ
カース硬度において1500程度にまで増加することが
わかる。また、SUS410の場合に、その表面硬度
が、1400程度にまで増加することがわかる。以上の
ことから、そのミラー面4aが窒化処理される第2のミ
ラー部材4の材料としてSUS420J2を用いること
が望ましいことがわかる。また、表面硬度を1400以
上とする観点からは、第2のミラー部材4の材料とし
て、SUS410を用いることも可能であることがわか
る。
4a表面に窒化クロム拡散層11を形成した後には、ミ
ラー面4aの表面に0.002mm(2μm)程度の酸
化被膜(図示せず)が形成される。このような酸化被膜
が形成されると、その表面粗度は悪くなり、ミラー面4
aを第2のミラー部材4の鏡面部として使用することが
困難になる。そこで、この酸化被膜の除去を目的とし
て、例えばCMP法やラップ研磨法によりミラー面4a
の後研磨処理を行う。ここで、この後研磨処理におい
て、ミラー面4aの表面粗度が算術平均粗さRaにおい
て0.025μm(十点平均粗さRzにおいて0.1μ
m、0.1S)を超えてしまうと、ディスク基板の射出
成形における離型性が悪化し、安定した射出成形が困難
となってしまう。他方、ミラー面4aの表面粗度を、算
術平均粗さRaにおいて7.5×10 −3μm(十点平
均粗さRzにおいて0.03μm、0.03S)未満と
すると、やはり研磨処理に時間がかかってしまう。した
がって、この後研磨処理において、ミラー面4aの表面
粗度を、Raにおいて0.0075〜0.025μm
(Rzにおいて0.03〜0.1μm、0.03〜0.
1S)となるように制御する。
第2のミラー部材4のミラー面4aに対する窒化処理が
行われ、そのミラー面4a表面が硬化されたミラー部材
4が得られる。
後研磨処理後に、ミラー面4aにおける欠損検査を行っ
たところ、窒化処理による欠損も、研磨処理による欠損
も生じないことが確認された。さらに、表面硬度も変化
はなく、所望とするビッカース硬度(1400以上)を
保持することができることが確認された。そして、この
表面硬度の向上に伴った耐久性の向上により、第2のミ
ラー部材4の寿命が3倍に向上したことが確認された。
れば、Crを含有したステンレス鋼(SUS420J2
など)からなる第2のミラー部材4のミラー面4aに、
減圧炉内における4〜6時間の窒化処理を行うことによ
って窒化クロム拡散層11を形成するようにしているこ
とにより、ミラー面4aの表面におけるビッカース硬度
を1400以上にまで向上させることができるので、メ
ンテナンス時やディスク基板の成形中に発生する損傷な
どを大幅に低減することができる。したがって、その耐
摩耗性や耐損傷性などの耐久性を向上させることがで
き、その長寿命化を図ることができる。
的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態に限定
されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各
種の変形が可能である。
数値、鋼種、窒化処理条件、研磨方法はあくまでも例に
過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、鋼種、窒化処
理条件、研磨方法を用いてもよい。
ば、ディスク基板成形用金型の部分を構成する、クロム
含有合金鋼からなるミラー部材における鏡面を窒化する
ことにより、この表面に窒化クロム拡散層を形成するよ
うにしていることにより、ミラー部材の鏡面の表面硬度
を向上させることができるので、ミラー部材における耐
摩耗性や耐損傷性などの耐久性を向上させることがで
き、その長寿命化を図ることができる。
す断面図である。
度の窒化処理時間依存性を示すグラフである。
る。
a・・・ミラー面、4・・・第2のミラー部材、4a・
・・ミラー面、5・・・凹陥部、6・・・スタンパ、7
・・・キャビティ、8・・・スプール、8a・・・樹脂
注入孔、9・・・パンチ部、11・・・窒化クロム拡散
層
Claims (11)
- 【請求項1】 射出成形法によりディスク基板を作製す
る際に用いられる、第1の金型と第2の金型とを有する
ディスク基板成形用金型の製造方法において、 上記第1の金型が、第1の鏡面の設けられたクロム含有
合金鋼からなる第1のミラー部材を有し、 上記第2の金型が、第2の鏡面の設けられたクロム含有
合金鋼からなる第2のミラー部材を有し、 上記第1の鏡面と上記第2の鏡面との少なくとも一方の
鏡面に対して窒化処理を行うことにより、上記第1の鏡
面と上記第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面に、窒化
クロム拡散層を形成するようにしたことを特徴とするデ
ィスク基板成形用金型の製造方法。 - 【請求項2】 上記クロム含有合金鋼中のクロムの含有
率が、3重量パーセント以上14重量パーセント以下で
あることを特徴とする請求項1記載のディスク基板成形
用金型の製造方法。 - 【請求項3】 上記クロム含有合金鋼がステンレス鋼で
あることを特徴とする請求項1記載のディスク基板成形
用金型の製造方法。 - 【請求項4】 上記窒化処理の処理時間が4時間以上6
時間以下であることを特徴とする請求項1記載のディス
ク基板成形用金型の製造方法。 - 【請求項5】 上記窒化処理を行う前に、上記窒化処理
が行われる上記第1の鏡面と上記第2の鏡面との少なく
とも一方の鏡面を研磨することにより、上記窒化処理が
行われる鏡面の表面粗度を、算術平均粗さRaにおいて
0.05μm以上0.125μm以下にするようにした
ことを特徴とする請求項1記載のディスク基板成形用金
型の製造方法。 - 【請求項6】 上記窒化処理を行った後、上記窒化処理
が行われた鏡面を研磨することにより、上記窒化処理が
行われた鏡面の表面粗度を、算術平均粗さRaにおいて
7.5×10−3μm以上2.5×10−2μm以下に
するようにしたことを特徴とする請求項1記載のディス
ク基板成形用金型の製造方法。 - 【請求項7】 射出成形法によりディスク基板を作製す
る際に用いられる、第1の金型と第2の金型とを有する
ディスク基板成形用金型において、 上記第1の金型が、第1の鏡面の設けられたクロム含有
合金鋼からなる第1のミラー部材を有し、 上記第2の金型が、第2の鏡面の設けられたクロム含有
合金鋼からなる第2のミラー部材を有し、 上記第1の鏡面と上記第2の鏡面との少なくとも一方の
鏡面に窒化クロム拡散層が設けられていることを特徴と
するディスク基板成形用金型。 - 【請求項8】 上記クロム含有合金鋼中のクロムの含有
率が、3重量パーセント以上14重量パーセント以下で
あることを特徴とする請求項7記載のディスク基板成形
用金型。 - 【請求項9】 上記クロム含有合金鋼がステンレス鋼で
あることを特徴とする請求項7記載のディスク基板成形
用金型。 - 【請求項10】 上記窒化クロム拡散層が設けられた鏡
面のビッカース硬度が1400以上であることを特徴と
する請求項7記載のディスク基板成形用金型。 - 【請求項11】 上記窒化クロム拡散層が設けられた鏡
面の表面粗度が、算術平均粗さRaにおいて7.5×1
0−3μm以上2.5×10−2μm以下であることを
特徴とする請求項7記載のディスク基板成形用金型。
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CN110167738A (zh) * | 2016-12-28 | 2019-08-23 | 坂东化学株式会社 | 食品用容器的制造方法 |
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