JP4288815B2 - ディスク基板成形用金型の製造方法 - Google Patents

ディスク基板成形用金型の製造方法 Download PDF

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    • B29C45/37Mould cavity walls, i.e. the inner surface forming the mould cavity, e.g. linings

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディスク基板成形用金型の製造方法に関し、特に、光ディスクや光磁気ディスクなどのディスク基板を射出成形する際に用いられる金型に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスクや光磁気ディスクなどの記録メディアが広く普及してきている。この記録メディアは、合成樹脂材料からなる円盤状のディスク基板の主面に信号記録層が成膜されて構成されている。
【0003】
そして、このような合成樹脂材料からなるディスク基板を製造する際には、一般に、ディスク基板成形用金型が用いられる。このディスク基板成形用金型を用いた射出成形装置の従来例を図3に示す。
【0004】
図3に示すように、従来のディスク基板成形用金型を用いた射出成形装置は、開閉可能に構成された金型コア101および金型コア102と、これらの金型コア101、102の互いに対向する面に設けられたミラー部材103およびミラー部材104と、このミラー部材103のミラー面103aに装着されるとともに、その外周縁がスタンパ固定部材105によりミラー面103aに固定されるスタンパ106と、他方のミラー部材104に形成された凹陥部104aとスタンパ106とにより形成されるキャビティ107と、このキャビティ107に溶融した樹脂材料を注入するための、金型コア101の中心付近を貫通する樹脂注入孔108aが設けられたスプール108と、金型コア102の中心付近に設けられたパンチ部109とを有して構成されている。
【0005】
金型コア101および金型コア102は、成型装置の加圧装置(図示せず)によって相対的に移動可能に構成されている。そして、これらの金型コア101、102を相対的に移動させることによって、所定圧力によって互いに接近して閉じられ、あるいは互いに離反して開かれるように構成されている。
【0006】
また、ミラー部材103は金型コア101に設けられており、他方のミラー部材104に対向する部分が、鏡面仕上げの施されたミラー面103aとなっている。また、他方のミラー部材104は、金型コア102に設けられており、キャビティ107を形成する凹陥部104aの底面が、鏡面仕上げの施されたミラー面104bとなっている。
【0007】
また、スタンパ固定部材105は、環状に形成されており、スタンパ106の外周縁を外側から包囲するとともに、ミラー部材103のミラー面103aに対して接するように構成されている。
【0008】
また、スタンパ106の表面には、ディスク基板の主面部に形成される所定の形状のグルーブやピットなどの凹凸に対して鏡像関係にある凹凸が形成されている。また、キャビティ107は、目的とするディスク基板の形状を有するように、ミラー部材104の凹陥部104aおよびスタンパ106により形成される密閉領域である。
【0009】
また、スプール108は、その樹脂注入孔108aを介して、ポリカーボネートなどの溶融した樹脂材料をキャビティ107の内部に射出可能に構成されている。
【0010】
また、パンチ部109は、金型コア102に支持され、この金型コア102に対して相対的に移動可能に構成されている。また、このパンチ部109は、駆動機構(図示せず)によりキャビティ107内に射出された樹脂材料が硬化した後、キャビティ107内の樹脂成形品に向けて突出して、樹脂成形品であるディスク基板のセンターホールを形成するためのものである。
【0011】
上述のように構成された射出成形装置を用いてディスク基板を製造する場合、まず、キャビティ107の内部に溶融した樹脂材料が射出され、その樹脂材料が硬化して、キャビティ107内のスタンパ106の表面に形成された凹凸が転写された状態で成型される。
【0012】
このディスク基板成形用金型の金型コア101または金型コア102において、ミラー部材103、104は、耐食性の点を考慮して、主としてステンレス鋼(SUS)などのクロム(Cr)が含有された合金鋼から構成される。また、このSUSなどのCr含有合金鋼には焼き入れが施されており、その母材のビッカース硬度は550程度である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ミラー部材103、104をSUSなどから構成した場合には、作業者の取り扱いなどにより、特に、ミラー部材104のミラー面104bに傷が入りやすく、耐久性を考慮すると、その表面硬度は充分とは言えなかった。
【0014】
そこで、ミラー部材の耐久性の向上を目的として、表面硬度を向上させるために、ミラー部材104のミラー面104b上に、スパッタリング法などの物理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法などの被膜方法により、窒化チタン(TiN)層や炭化チタン(TiC)層などをコーティングする方法が提案された。
【0015】
ところが、本発明者の知見によれば、これらのPVD法やCVD法などにより被覆した層には、その表面に微細な表面欠陥が多く存在している。そのため、このような被覆した膜は、ディスク基板を射出成形法により形成する際に処理面(鏡面)として用いられるミラー面104aとして構成するにはあまり適していない。また、これらの被膜方法では、その処理自体にコストがかかってしまう。
【0016】
したがって、この発明の目的は、ディスク基板成形用金型の部分を構成するミラー部材における鏡面の表面硬度を向上させることにより、ミラー部材の耐久性を向上させ、その長寿命化を達成することができるディスク基板成形用金型の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の第1の発明は、
射出成形法によりディスク基板を作製する際に用いられる、第1の金型と第2の金型とを有し、
第1の金型が、ロム含有合金鋼からなる第1のミラー部材を有し、
第2の金型が、ロム含有合金鋼からなる第2のミラー部材を有し、
第1のミラー部材の第1の鏡面と、第2のミラー部材の第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面に窒化クロム拡散層が形成されたディスク基板成形用金型の製造方法において、
第1の鏡面と第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面を研磨することにより、表面粗度を算術平均粗さRaにおいて0.05μm以上0.125μm以下にする第1の研磨工程と、
第1の研磨工程の後、第1の研磨工程が行われた第1の鏡面と第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面に対して、減圧ガス雰囲気下におけるアンモニアおよび窒化促進ガスによるガス窒化処理を、4時間以上6時間以下の処理時間で行うことによって、窒化クロム拡散層を形成する窒化処理工程と、
窒化処理工程の後、窒化処理が行われた第1の鏡面と第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面を研磨することにより、表面粗度を算術平均粗さRaにおいて7.5×10 -3 μm以上2.5×10 -2 μm以下にする第2の研磨工程と
を有するようにした
ことを特徴とするものである。
【0018】
この第1の発明において、窒化処理を行う鏡面の表面硬度を効率よく向上させるために、好適には、窒化処理の処理時間を、4時間以上6時間以下とする。
【0019】
この第1の発明において、好適には、窒化処理を行う前に、第1の鏡面と第2の鏡面とのうちの窒化処理が行われる鏡面を、その表面粗度が算術平均粗さRaにおいて0.05μm以上0.125μm以下(十点平均粗さRz:0.2〜0.5μm、0.2〜0.5S)になるように研磨する。
【0020】
この第1の発明において、好適には、窒化処理を行った後、第1の鏡面と第2の鏡面とのうちの窒化処理が行われた鏡面を、その表面粗度が算術平均粗さRaにおいて7.5×10−3μm以上〜2.5×10−2μm(十点平均粗さRz:0.03〜0.1μm、0.03〜0.1S)になるように研磨する。
【0021】
この第1の発明において、窒化処理を行う前の研磨および窒化処理を行った後の研磨は、典型的には、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polish、CMP)法またはラップ研磨法により行う。
【0025】
また、本発明者の知見によれば、クロムの含有率が低いと、窒化処理に寄与するクロムの量が少なすぎてしまい、十分な硬度を得ることができないため、十分な硬度を得るために、この発明において、好適には、クロム含有合金鋼中のクロムの含有率は、3重量パーセント以上である。また、本発明者の知見によれば、クロムの含有率が多すぎても、ミラー部材の鏡面において十分な硬化を得ることができないため、好適には、クロム含有合金鋼中のクロムの含有率は、14重量パーセント以下とするのが好ましい。
【0026】
この発明において、典型的には、第1のミラー部材や第2のミラー部材を構成するクロム含有合金鋼は、ステンレス鋼(SUS)であり、好適には、ミラー部材は、マルテンサイト系のステンレス鋼(SUS)から構成される。また、マルテンサイト系のステンレス鋼としては、好適にはクロム(Cr)を12〜13重量パーセント程度含有したSUS420J2が用いられるが、SUS420J1、SUS420F、SUS420F2、またはクロムを11〜12重量パーセント含有したSUS410などを用いることも可能である。また、必要に応じて、ミラー部材として、オーステナイト系のステンレス鋼を用いることも可能である。
【0027】
上述のように構成されたこの発明によるディスク基板成形用金型の製造方法によれば、ディスク基板成形用金型におけるミラー部材の鏡面を窒化処理することによって、その表面に窒化クロム拡散層を形成していることにより、高コストの被膜技術を用いることなく、鏡面の表面硬度を向上させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
【0029】
まず、この発明の一実施形態によるディスク基板成形用金型を用いた射出成形装置について説明する。図1はこの一実施形態による射出成形装置を示す。この射出成形装置は、光透過性を有するポリカーボネート(Polycarbonate)やポリメチルメタクリレート(Poly-methyl-methacrylate)などの合成樹脂材料を用いて、射出成型法によりディスク基板を成型するためのものである。また、このディスク基板は、例えば主面に信号記録層が形成された光ディスクや光磁気ディスクなどの記録メディアを構成する際に用いられるものである。
【0030】
図1に示すように、この一実施形態による射出成形装置は、互いに開閉可能に構成された金型コア1および金型コア2と、これらの金型コア1および金型コア2の部分にそれぞれ設けられた第1のミラー部材3および第2のミラー部材4と、第2のミラー部材4の部分に形成された凹陥部5と、その外周縁がスタンパ固定部材(図示せず)により固定されるとともに第1のミラー部材3のミラー面3aに接するスタンパ6と、凹陥部5とスタンパ6とにより形成されるキャビティ7内に溶融した樹脂材料を注入するための、金型コア1の中心付近を貫通して設けられた樹脂注入孔8aを有するスプール8と、金型コア2の中心付近に設けられたパンチ部9とを有して構成されている。
【0031】
金型コア1と金型コア2とは互いに相対向して設けられており、加圧装置(図示せず)により相対的に移動可能に構成されている。そして、これらの金型コア1、2を互いに相対的に移動して、所定圧力で突き合わせることにより、成型するディスク基板に対応する例えば円盤形状のキャビティ7を形成可能に構成されている。
【0032】
また、第1のミラー部材3は、例えば、クロム(Cr)を12〜13重量%含有したステンレス鋼(SUS420J2など)からなる。また、この第1のミラー部材3は金型コア1に取り付けられており、この第1のミラー部材3のうち、第2のミラー部材4に対向した部分は、鏡面仕上げが施されたミラー面3aとなっている。
【0033】
また、第2のミラー部材4は、例えば、第1のミラー部材3におけると同様のステンレス鋼からなる。また、この第2のミラー部材4は金型コア2に取り付けられており、後述するキャビティ7を形成する凹陥部5を有している。そして、この凹陥部5の底面で、かつ、少なくとも第1のミラー部材3のミラー面3aに対向した部分は、鏡面仕上げが施されたミラー面4aとなっている。
【0034】
この第2のミラー部材4におけるミラー面4aの表面には、窒化クロム拡散層11が形成されている。この窒化クロム拡散層11は後述する窒化処理方法により形成され、その表面硬度は、ビッカース硬度において、例えば1400以上に選ばれる。
【0035】
また、スタンパ6は、射出成形するディスク基板の表面に形成される信号となるべきピットやグルーブなどの凹部に対して鏡像関係となる凸部が設けられている。このスタンパ6の一例を挙げると、射出成形により形成されるものがコンパクトディスク(Compact Disc、CD)である場合には、厚さが0.3mmの平坦で円盤状のニッケル(Ni)原盤である。また、このスタンパ6を固定するスタンパ固定部材(図示せず)は、例えば環状に形成されており、スタンパ6の外周縁を外側から包囲するとともに、第1のミラー部材3のミラー面に対して当接可能に構成されている。また、キャビティ7は、成形すべきディスク基板の形状を有するように構成されている。
【0036】
また、スプール8は、成形機ノズル10から供給される溶融したポリカーボネートなど樹脂材料を、その樹脂注入孔8aを介して、第2のミラー部材4と第1のミラー部材3に設置されたスタンパ6とから構成されるキャビティ7内に射出するためのものである。
【0037】
また、パンチ部9は、金型コア2に対して移動可能に支持されている。このパンチ部9は、スプール8によりキャビティ7内に溶融した樹脂材料が注入され、さらにこの樹脂材料が硬化した後、駆動手段(図示せず)によって移動され、キャビティ7内の樹脂成形品に向けて突出させることにより、樹脂成形品であるディスク基板にセンターホールを形成するためのものである。
【0038】
次に、以上のように構成されたこの一実施形態による射出成形装置を用いたディスク基板の製造方法について説明する。
【0039】
すなわち、まず、金型コア1、2を閉じることにより、第2のミラー部材4とスタンパ6とから形成されるキャビティ7を密閉する。そして、パンチ部9を移動させた後、スプール8の樹脂注入孔8aを介して、所定の圧力下においてキャビティ7内に溶融した樹脂材料を注入する。これにより、キャビティ7内に溶融した樹脂材料が満たされ、この樹脂材料はキャビティ7の形状に倣って成形されるとともに、スタンパ6に接した部分においては、スタンパ6表面の凹凸形状が転写される。
【0040】
続いて、キャビティ7内の樹脂材料が硬化して樹脂成形品(図示せず)が形成された後、パンチ部9を移動させることにより、キャビティ7内の樹脂成形品にセンターホールを形成する。次に、金型コア1、2を相対的に互いに移動させて、これらを開けた後、樹脂成形品をエジェクタ(図示せず)などを用いてキャビティ7から突き出すことにより、第2のミラー部材4から離型させる。
【0041】
以上のようにして、所望のディスク基板が製造される。
【0042】
次に、この一実施形態による射出成形装置に用いられる第2のミラー部材4のミラー面4aに対する窒化処理方法について説明する。
【0043】
まず、第2のミラー部材4のミラー面4aに対して前研磨処理を行う。この前研磨処理においては、例えばCMP法やラップ研磨法などによりミラー面4aの研磨を行う。ここで、この前研磨処理による研磨によってミラー面4aの表面粗度を、Raにおいて0.05μm(0.2S)未満にしようとすると、その研磨に非常に時間がかかって効率が悪くなってしまい、他方、表面粗度を0.125μm(0.5S)より大きくしてしまうと、後述する窒化処理において窒素(N)の拡散が不十分になり、窒素(N)と母材(第2のミラー部材4)中のCrとの結合が弱くなってしまう。その結果、所望の表面硬度が得られない。したがって、この前研磨処理においては、ミラー面4aの研磨を、その表面粗度が算術平均粗さRaにおいて0.05〜0.125μm(0.2〜0.5S)の範囲内になるようにする。
【0044】
次に、ミラー面4aに対する窒化処理について説明する。この一実施形態による窒化処理は、減圧炉を用いた窒素原子(N)の拡散原理を利用した、いわゆる減圧ガス窒化処理方法である。
【0045】
すなわち、まず、例えばステンレス鋼などのクロム含有合金鋼からなる第2のミラー部材4を、窒化処理炉内に装填した後、この窒化処理炉内を減圧する。次に、窒化処理炉内に、アンモニア(NH)ガスおよび窒化促進ガス(例えば、Rxガス)を導入する。これとともに、窒化処理炉内を480〜550℃に加熱し、この状態を2〜6時間、好適には4〜6時間、より好適には5〜6時間維持する。この窒化処理時間は、ビッカース硬度において1400以上の所望の表面硬度を得るために必要な時間確保される。この窒化処理時間に関して、以下に具体的に説明する。
【0046】
まず、図2に、ミラー面4aにおける表面硬度の窒化処理時間依存性を示す。ここで、この表面硬度の窒化処理時間依存性の測定における窒化処理条件を挙げると、
Figure 0004288815
とする。
【0047】
図2から、ミラー面4aの表面におけるビッカース硬度を1400以上に制御するためには、窒化処理時間を2時間以上とするのが望ましく、ミラー面4aの表面硬度を、ビッカース硬度において1400以上の安定した硬度とするためには、窒化処理時間を4時間以上とするのが望ましいことがわかる。また、図2から、窒化処理時間が6時間を超えてもミラー面4aにおけるビッカース硬度の増加は見られないが、窒化処理時間が6時間を超えると、ミラー面4a表面の粒子が粗大化してしまい、所望とする表面粗度を得ることが困難になってしまう。そのため、窒化処理時間は好適には6時間以下が望ましい。
【0048】
そして、この窒化処理により、窒素がミラー面4aから第2のミラー部材4中に向けて拡散され、第2のミラー部材4における合金鋼中のCrとNとから化合物が生成される。これによって、ミラー面4aの表面に膜厚が例えば0.02mmの窒化クロム拡散層11が形成される。このように、Cr含有合金鋼の表面、すなわち第2のミラー部材4のミラー面4aに、硬化層として窒化クロム拡散層11を形成していることにより、ミラー面4aを高硬度化することができる。
【0049】
また、上述した窒化処理においては、窒化処理炉内において、NHガスなどの窒化ガスをミラー面4aに接触させることによって、そのミラー面4aを窒化するようにしているので、ミラー面4aの表面から内部への硬度の低下は滑らかである。これにより、ミラー面4aの表面層の剥離や欠陥の発生を抑制することができる。さらに、上述したように、この一実施形態による窒化処理は、窒素が母材であるCr含有合金鋼の表面から内部に向かって浸透し、拡散しながら母材中のCrと結合することによって窒化クロム拡散層11を形成するものであるため、母材自体に反りや膨張などの寸法変化の発生が抑制されるとともに、窒化クロム拡散層11の拡散深さを、処理時間および/または処理温度の制御を行うことにより制御することが可能となる。
【0050】
また、上述の窒化処理を用いる場合、Crの含有率が3重量%未満であると、窒化処理に寄与するCrの量が少なすぎてしまい、十分な表面硬度を得ることができない。そのため、窒化処理に供される合金鋼は、Crの含有率が3重量%以上のものが望ましい。
【0051】
ここで、この一実施形態による表面窒化処理によって高硬度化された場合の鋼種によるビッカース硬度の増加量の違いに関して測定した結果を、以下の表1に示す。ここで、この測定における表面窒化処理条件を挙げると、
Figure 0004288815
とする。
【0052】
【表1】
Figure 0004288815
【0053】
表1から、鋼種がSUS304の場合に、その表面硬度が、ビッカース硬度において1200程度まで増加することがわかる。また、上述の一実施形態において用いられたSUS420J2の表面硬度が、ビッカース硬度において1500程度にまで増加することがわかる。また、SUS410の場合に、その表面硬度が、1400程度にまで増加することがわかる。以上のことから、そのミラー面4aが窒化処理される第2のミラー部材4の材料としてSUS420J2を用いることが望ましいことがわかる。また、表面硬度を1400以上とする観点からは、第2のミラー部材4の材料として、SUS410を用いることも可能であることがわかる。
【0054】
さて、上述した窒化処理により、ミラー面4a表面に窒化クロム拡散層11を形成した後には、ミラー面4aの表面に0.002mm(2μm)程度の酸化被膜(図示せず)が形成される。このような酸化被膜が形成されると、その表面粗度は悪くなり、ミラー面4aを第2のミラー部材4の鏡面部として使用することが困難になる。そこで、この酸化被膜の除去を目的として、例えばCMP法やラップ研磨法によりミラー面4aの後研磨処理を行う。ここで、この後研磨処理において、ミラー面4aの表面粗度が算術平均粗さRaにおいて0.025μm(十点平均粗さRzにおいて0.1μm、0.1S)を超えてしまうと、ディスク基板の射出成形における離型性が悪化し、安定した射出成形が困難となってしまう。他方、ミラー面4aの表面粗度を、算術平均粗さRaにおいて7.5×10−3μm(十点平均粗さRzにおいて0.03μm、0.03S)未満とすると、やはり研磨処理に時間がかかってしまう。したがって、この後研磨処理において、ミラー面4aの表面粗度を、Raにおいて0.0075〜0.025μm(Rzにおいて0.03〜0.1μm、0.03〜0.1S)となるように制御する。
【0055】
以上のようにして、この一実施形態による第2のミラー部材4のミラー面4aに対する窒化処理が行われ、そのミラー面4a表面が硬化されたミラー部材4が得られる。
【0056】
また、本発明者が、上述の窒化処理および後研磨処理後に、ミラー面4aにおける欠損検査を行ったところ、窒化処理による欠損も、研磨処理による欠損も生じないことが確認された。さらに、表面硬度も変化はなく、所望とするビッカース硬度(1400以上)を保持することができることが確認された。そして、この表面硬度の向上に伴った耐久性の向上により、第2のミラー部材4の寿命が3倍に向上したことが確認された。
【0057】
以上説明したように、この一実施形態によれば、Crを含有したステンレス鋼(SUS420J2など)からなる第2のミラー部材4のミラー面4aに、減圧炉内における4〜6時間の窒化処理を行うことによって窒化クロム拡散層11を形成するようにしていることにより、ミラー面4aの表面におけるビッカース硬度を1400以上にまで向上させることができるので、メンテナンス時やディスク基板の成形中に発生する損傷などを大幅に低減することができる。したがって、その耐摩耗性や耐損傷性などの耐久性を向上させることができ、その長寿命化を図ることができる。
【0058】
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0059】
例えば、上述の一実施形態において挙げた数値、鋼種、窒化処理条件、研磨方法はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、鋼種、窒化処理条件、研磨方法を用いてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ディスク基板成形用金型の部分を構成する、クロム含有合金鋼からなるミラー部材における鏡面を窒化することにより、この表面に窒化クロム拡散層を形成するようにしていることにより、ミラー部材の鏡面の表面硬度を向上させることができるので、ミラー部材における耐摩耗性や耐損傷性などの耐久性を向上させることができ、その長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による射出成形装置を示す断面図である。
【図2】この発明の一実施形態によるミラー面の表面硬度の窒化処理時間依存性を示すグラフである。
【図3】従来技術による射出成形装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2・・・金型コア、3・・・第1のミラー部材、3a・・・ミラー面、4・・・第2のミラー部材、4a・・・ミラー面、5・・・凹陥部、6・・・スタンパ、7・・・キャビティ、8・・・スプール、8a・・・樹脂注入孔、9・・・パンチ部、11・・・窒化クロム拡散層

Claims (3)

  1. 射出成形法によりディスク基板を作製する際に用いられる、第1の金型と第2の金型とを有し、
    上記第1の金型が、ロム含有合金鋼からなる第1のミラー部材を有し、
    上記第2の金型が、ロム含有合金鋼からなる第2のミラー部材を有し、
    上記第1のミラー部材の第1の鏡面と、上記第2のミラー部材の第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面に窒化クロム拡散層が形成されたディスク基板成形用金型の製造方法において、
    上記第1の鏡面と上記第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面を研磨することにより、表面粗度を算術平均粗さRaにおいて0.05μm以上0.125μm以下にする第1の研磨工程と、
    上記第1の研磨工程の後、上記第1の研磨工程が行われた上記第1の鏡面と上記第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面に対して、減圧ガス雰囲気下におけるアンモニアおよび窒化促進ガスによるガス窒化処理を、4時間以上6時間以下の処理時間で行うことによって、上記窒化クロム拡散層を形成する窒化処理工程と、
    上記窒化処理工程の後、上記窒化処理が行われた上記第1の鏡面と上記第2の鏡面との少なくとも一方の鏡面を研磨することにより、表面粗度を算術平均粗さRaにおいて7.5×10 -3 μm以上2.5×10 -2 μm以下にする第2の研磨工程と
    を有するディスク基板成形用金型の製造方法。
  2. 上記クロム含有合金鋼中のクロムの含有率が、3重量パーセント以上14重量パーセント以下であることを特徴とする請求項1記載のディスク基板成形用金型の製造方法。
  3. 上記クロム含有合金鋼がステンレス鋼であることを特徴とする請求項1記載のディスク基板成形用金型の製造方法。
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