JP2001205241A - 焼却灰の固化方法 - Google Patents

焼却灰の固化方法

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JP2001205241A
JP2001205241A JP2000017514A JP2000017514A JP2001205241A JP 2001205241 A JP2001205241 A JP 2001205241A JP 2000017514 A JP2000017514 A JP 2000017514A JP 2000017514 A JP2000017514 A JP 2000017514A JP 2001205241 A JP2001205241 A JP 2001205241A
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ash
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JP2000017514A
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English (en)
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Hironori Noguchi
博徳 野口
Hisao Abe
久雄 阿部
Miyuki Rikitake
幸 力武
Akio Fukunaga
昭夫 福永
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Nagasaki Prefectural Government
Nagasaki Ryoden Technica Co Ltd
Original Assignee
Nagasaki Prefectural Government
Nagasaki Ryoden Technica Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セメント、砂利などと混合して固化体を生成
する方法では、固化体に強度をもたせるための副原料を
多く添加しなければならず、結果的に焼却灰の使用比率
が低下してしまい、焼却灰を十分に再利用することがで
きないという課題があった。 【解決手段】 酸化カルシウム、二酸化ケイ素、及び酸
化アルミニウムを、それぞれ10〜40重量部、10〜
30重量部、及び5〜30重量部含む焼却灰に水を添加
し、混錬する加水混錬工程と、この加水混錬工程で加水
混錬を施した焼却灰を、所定の形状の成形体に成形する
成形工程と、成形体に温度200℃以下の飽和水蒸気圧
にて水熱処理を施し、水熱反応により固化体を生成する
水熱処理工程とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はゴミ焼却施設より
排出した焼却灰の固化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、一般都市ゴミなどの処理はその大
半が焼却施設において行われている。この焼却施設にお
いて、上記一般都市ゴミは焼却処理されて焼却灰として
減容化された後、埋め立て処分されている。しかしなが
ら、焼却灰の埋め立て処分に要する埋め立て地の確保も
困難になってきている。
【0003】上記問題に対して、焼却灰をスラグ化し
て、このスラグ中に上記有害成分を封じ込めて環境中へ
溶出することを防止するとともに減容化して、このスラ
グを建築物の骨材やブロックとして再活用する試みがな
されている。このようなスラグ化技術には灰溶融方式や
ガス化溶融方式などがあり、これらはどれもスラグを生
成するために焼却灰を、一般的に1400〜1500℃
程度の高温で処理しなければならない。このため、処理
に要する消費エネルギーも非常に大きく、処理施設の消
耗も非常に早いことから普及はあまり進んでいない。
【0004】そこで、焼却灰をセメント補助剤や固化さ
せて建築材とする試みがなされている。焼却灰を固化す
るには、粘土やガラス粉末と混合して成形、焼成するこ
とにより固化する方法、セメント、砂利などと混合して
固化体を生成する方法、及び250〜350℃程度の温
度条件で行う水熱反応を利用して焼却灰を固化する方法
が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の焼却灰の固化方
法は以上のように構成されているので、セメント、砂利
などと混合して固化体を生成する方法では、固化体に強
度をもたせるための副原料を多く添加しなければなら
ず、結果的に焼却灰の配合比率が低下してしまい、焼却
灰を十分に再利用することができないという課題があっ
た。
【0006】また、粘土やガラス粉末と混合して成形、
焼成することにより固化する方法では、上記方法と同様
に固化体に強度をもたせるために多くの副原料を添加し
なければならないことによる焼却灰の配合比率の低下に
加え、高温で焼き固めるためにエネルギー消費量が大き
くなるという課題があった。
【0007】さらに、従来の水熱反応を利用した焼却灰
の固化方法では、250〜350℃程度の高温条件であ
るために用いる圧力容器に対する負荷が大きく、より強
固なものが必要であり、加えてエネルギー消費量が大き
いという課題があった。
【0008】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、低温の水熱処理を施すことで、エ
ネルギー消費量を低減し、安価で焼却灰の処理効率が高
く、十分な強度を有する焼却灰の固化体を作成すること
ができる焼却灰の固化方法を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る焼却灰の
固化方法は、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、及び酸化
アルミニウムを、それぞれ10〜40重量部、10〜3
0重量部、及び5〜30重量部含む焼却灰に水を添加
し、混錬する加水混錬工程と、この加水混錬工程で加水
混錬を施した焼却灰を、所定の形状の成形体に成形する
成形工程と、成形体に温度200℃以下の飽和水蒸気圧
にて水熱処理を施し、水熱反応により固化体を生成する
水熱処理工程とを備えるものである。
【0010】この発明に係る焼却灰の固化方法は、加水
混錬前の焼却灰に成形助剤として粘土鉱物、カルボキシ
メチルセルロース(CMC)、及びデンプンのうち少な
くとも一つを添加するものである。
【0011】この発明に係る焼却灰の固化方法は、加水
混錬前の焼却灰に水熱反応の反応促進剤として粘土鉱
物、ケイ酸ナトリウム、コロイドケイ酸、二酸化ケイ素
粉末、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、石膏、及び
炭酸カルシウムのうち少なくとも一つを添加するもので
ある。
【0012】この発明に係る焼却灰の固化方法は、加水
混錬工程にて焼却灰に5〜15重量部の水を添加し、成
形工程にて加水混錬工程で加水混錬を施した焼却灰を、
15〜50MPaの圧力でプレス成形するものである。
【0013】この発明に係る焼却灰の固化方法は、加水
混錬工程にて焼却灰に10〜30重量部の水を添加し、
成形工程にて加水混錬工程で加水混錬を施した焼却灰
を、均一な大きさに造粒、若しくは均一な大きさに造粒
した後に、球状に整粒するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.先ず、本願発明に用いる焼却灰について
説明する。表1はこのような本願発明で用いる焼却灰の
化学組成を示しており、上記焼却灰に未燃有機物を除去
する処理を施している。表1において、化学組成欄は焼
却灰中に含まれる化合物を示しており、others※
は強熱減量、金属塩等の微量成分である。具体的にはN
aClなどの塩素化合物がある。また、焼却灰を得た地
域をA地区及びB地区とし、A地区では各季節における
各成分の重量比とそれらの平均値とを示している。B地
区においては各成分の重量比の平均値のみを示してい
る。
【表1】
【0015】表1に示すように、焼却灰は酸化カルシウ
ム、二酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムを主成分とす
る組成となっており、その重量比は季節や焼却処理を行
った地域により若干の違いがあることがわかる。本願発
明の発明者はエネルギー消費量をできる限り抑えること
ができる焼却灰の固化方法として水熱反応を利用する方
法に着目し、従来と比較してエネルギー消費量を抑える
ために焼却灰の化学組成について研究解析を行った。そ
の結果、焼却灰の主成分である酸化カルシウム、二酸化
ケイ素、及び酸化アルミニウムを、それぞれ10〜40
重量部、10〜30重量部、及び5〜30重量部含んで
いると、200℃以下の低温条件で水熱処理を行っても
十分な強度を有する固化体を得ることができることを見
出すに至った。以下、本願発明で用いる焼却灰は酸化カ
ルシウム、二酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムを上記
重量比の範囲内で含むものとする。次に上記焼却灰の固
化方法及びその装置について説明する。
【0016】図1はこの発明の実施の形態1による焼却
灰の固化方法に用いる装置を示す構成図である。図にお
いて、1は本願発明で用いる焼却灰に含まれる未燃有機
物を除去する未燃有機物除去手段で、これまでに開示さ
れている未燃有機物の除去方法を適用することが可能と
考えられる。2は本願発明で用いる焼却灰に成形助剤や
反応促進剤を添加する添加剤混合手段であり、加水混錬
前の焼却灰に成形助剤及び/若しくは反応促進剤を混合
し均一に分散させる。また、この添加剤混合手段2によ
る焼却灰に添加剤を混合する工程は、後述する焼却灰の
成形条件や焼却灰の組成によっては省略することができ
る。3は焼却灰単体又は添加剤混合手段2によって成形
助剤及び/若しくは反応促進剤が添加された焼却灰を、
水と混錬する加水混錬手段である。添加剤混合手段2及
び加水混錬手段3に用いる混合機としては、せん断力に
よって焼却灰などの粉体と添加剤や水などの添加物とを
均一に分散できるものであればよい。4は加水混錬され
た焼却灰を所望の形状の成形体に成形する成形手段であ
る。成形手段4としては焼却灰をプレス成形する場合に
は通常のプレス成型器を使用してもよく、プレス成形し
ない場合には押し出し造粒器、パン型造粒器、オムニミ
キサなどの焼却灰を均一な大きさに造粒する造粒器や、
均一な大きさに造粒した後に球状に整粒する球形整粒器
を使用してもよい。5は成形手段4によって成形した焼
却灰の成形体に水熱処理を行う水熱処理手段で、後述す
る200℃以下の飽和水蒸気圧下で処理が行えるような
耐圧容器、例えばオートクレーブを使用する。
【0017】次に動作について説明する。図2はこの発
明の実施の形態1による焼却灰の固化方法を示すフロー
図である。図2に示すように、先ず、未燃有機物除去手
段1にて本願発明に用いる焼却灰から未燃有機物の除去
を行う(ステップST1)。具体的には、焼却灰をスラ
グ化する灰溶融法やガス化溶融法などが挙げられるが、
これらは上述したようにエネルギー消費が激しいので本
願発明の目的に適さない。そこで、特願平10−109
987号公報に開示される処理方法が検討されている。
これは比較的低温の連続処理にて未燃有機物の除去を行
うものである。但し、本願発明においては焼却灰から未
燃有機物を除去する必要がない場合には上記ステップS
T1の工程を省略してもかまわない。
【0018】次に、添加剤混合手段2にて成形助剤や反
応促進剤を水溶液とせずに焼却灰と混合(乾式混合)
し、これらを均一に分散させる(ステップST2、ステ
ップST3)。本願発明に用いられる焼却灰はシルト質
であるため単体では可塑性が低い。このため、成形する
条件によっては成形体が形状を維持できない場合があ
る。そこで、成形助剤を添加して可塑性を付与すること
で成形体に強度を与え十分に形状を維持することができ
る。このような成形助剤としては、ベントナイトやカオ
リナイトなどの粘土鉱物、カルボキシメチルセルロース
(CMC)、及びデンプンなどを用いる。これらの具体
的な添加量としては、ベントナイトやカオリナイトなど
の粘土鉱物、カルボキシメチルセルロース(CMC)、
及びデンプンを、それぞれ1〜20重量部、1〜10重
量部、1〜10重量部の範囲で添加することが好まし
く、これらを混合して添加してもよい。
【0019】また、上述した表1に示すように本願発明
に用いる焼却灰は、季節や焼却処理を行った地域によっ
て各組成物の重量比が異なる。このため、焼却灰の主成
分である酸化カルシウム、二酸化ケイ素、及び酸化アル
ミニウムが、それぞれ10〜40重量部、10〜30重
量部、5〜30重量部の範囲から外れた焼却灰が生成す
る可能性も考えられる。そこで、反応促進剤を添加して
酸化カルシウム、二酸化ケイ素、及び酸化アルミニウム
を補うことにより、後述する水熱処理によって十分な強
度を有する固化体を得ることができる。
【0020】上記のような反応促進剤としては、ベント
ナイトやカオリナイトなどの粘土鉱物、ケイ酸ナトリウ
ム(水ガラス)、コロイドケイ酸(コロイダルシリ
カ)、二酸化ケイ素粉末(マイクロシリカ)、水酸化カ
ルシウム(消石灰)、酸化カルシウム(生石灰)、石膏
(無水/半水石膏)、及び炭酸カルシウムなどを用い
る。これらの具体的な添加量としては、ベントナイトや
カオリナイトなどの粘土鉱物、ケイ酸ナトリウム、コロ
イドケイ酸、二酸化ケイ素粉末、水酸化カルシウム、酸
化カルシウム、石膏、及び炭酸カルシウムを、それぞれ
1〜20重量部、1〜10重量部、1〜10重量部、
0.5〜10重量部、1〜20重量部、1〜20重量
部、1〜20重量部、1〜20重量部の範囲で添加する
ことが好ましい。
【0021】また、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、及
び酸化アルミニウムの重量比を上記範囲内におさめるた
めに、上記反応促進剤のうち複数種類を混合して添加し
てもよいが、添加後が100重量部となるように調節す
る。具体的には焼却灰60重量部に対して添加できる反
応促進剤の量は、例えば石膏及び炭酸カルシウムをそれ
ぞれ20重量部ずつ添加する場合などがある。
【0022】このように成形助剤や反応促進剤を添加す
ることによって焼却灰の配合比率が低下するので、成形
助剤は成形可能な最小限の添加量、反応促進剤は十分な
強度が得られる最小限の添加量に抑えることが望まし
い。
【0023】加水混錬手段3によってステップST2及
びステップST3で成形助剤及び/若しくは反応促進剤
を添加し乾式混合された焼却灰、若しくは、焼却灰単体
に水を添加し混錬する(ステップST4、ステップST
5、加水混錬工程)。
【0024】成形手段4によって加水混錬された焼却灰
を所定の形状の成形体に成形する(ステップST6、成
形工程)。ここで、成形手段4としては焼却灰をプレス
成形する一般的なプレス成型器を用いてもよく、押し出
し造粒器、パン型造粒器、オムニミキサなどを用いて均
一な大きさに造粒してもよい。また、均一な大きさに造
粒した造粒物を球状に整粒する球形整粒器を使用しても
よい。
【0025】なお、ステップST4〜ステップST6ま
での処理において、5〜15重量部の範囲で水を添加し
て加水混錬し、この混錬物をプレス成型器にて15〜5
0MPaの圧力でプレスして成形体を形成するという条
件では、本願発明に用いる焼却灰に成形助剤を添加する
ことなく形状を維持するのに十分な強度の成形体を得る
ことができる。
【0026】また、ステップST4〜ステップST6ま
での処理において、10〜30重量部の範囲で水を添加
して加水混錬し、この混錬物を押し出し造粒器、パン型
造粒器、オムニミキサなどを用いて均一な大きさに造粒
したり、均一な大きさに造粒した後に球形整粒器により
球状に整粒しても、上記と同様に成形助剤を添加するこ
となく形状を維持するのに十分な強度の成形体を得るこ
とができる。
【0027】ステップST6にて作成した成形体を、水
熱処理手段5としてオートクレーブなどの耐圧容器に収
納し、200℃以下の飽和水蒸気圧下で、好ましくは2
〜20時間水熱処理を行う(ステップST7、水熱処理
工程)。この水熱処理を行う前の常温、常圧下では、本
願発明に用いる焼却灰の主成分である酸化カルシウム、
二酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムは、炭酸カルシウ
ムや塩化カルシウムなどの炭酸塩や塩化物として存在
し、セメントなどの固結材なしには十分な強度を有する
固化体を得ることができない。このため、常温、常圧下
の処理では、セメントなどの固結材の分だけ焼却灰の配
合比率が減り、処理効率の向上に限界がある。
【0028】一方、上記水熱処理を行って得られた固化
体にX線回折法による含有鉱物の同定を行うと、以下に
示すような結果が得られた。図3はこの発明の実施の形
態1による焼却灰の固化方法にて得られた固化体に対し
てX線回折法による含有鉱物の同定を行った結果を示す
グラフ図である。図において、(a)は水熱処理を施し
ていない未処理焼却灰、(b)は水熱処理を施した焼却
灰(成形助剤や反応促進剤が無添加)、(c)は水熱処
理を施した焼却灰(反応促進剤として消石灰(水酸化カ
ルシウム)を3重量部添加)、(d)は水熱処理を施し
た焼却灰(反応促進剤として消石灰(水酸化カルシウ
ム)を5重量部添加)、(e)は水熱処理を施した焼却
灰(反応促進剤として消石灰(水酸化カルシウム)を7
重量部添加)、(f)は水熱処理を施した焼却灰(反応
促進剤として消石灰(水酸化カルシウム)を10重量部
添加)のX線回折スペクトルを示す。また、焼却灰は表
1に示すB地区から得られたものを使用し、水熱処理は
上述した工程に沿って行った。
【0029】図3の記号●に示すように、未処理の焼却
灰(a)では現れない2θ=7.5度におけるピーク
が、水熱処理を施すことで発現(b)し、消石灰を添加
((c)〜(f))するにつれて、その強度が大きくな
っていくことがわかる。この2θ=7.5度のピーク
は、CaO−SiO2 −H2 O系鉱物(トバモライト)
に帰属するものであることがわかっており、本願発明に
用いる焼却灰に対して、上述した水熱処理を施すことに
よってCaO−SiO2 −H2 O系(以下、C−S−H
と略す)の鉱物(或いはCaO−Al23 −H2 O系
(以下、C−A−Hと略す)の鉱物)が生成することが
確認された。
【0030】また、C−S−H系鉱物若しくはC−A−
H系鉱物を生成することで、本願発明により生成した固
化体は後述する具体例に示すように路盤用ブロックなど
の建築材を上回る強度を有するようになる。
【0031】このように本願発明に用いる焼却灰におい
ては、セメントなどの固結材が添加されなくともC−S
−H系鉱物若しくはC−A−H系鉱物を生成することに
よって固化体の強度が発現されるので、焼却灰の配合比
率の低下を抑えることができ、処理効率を向上させるこ
とができる。
【0032】具体例1.実施の形態1による焼却灰の固
化方法の具体例1を以下に説明する。表2は具体例1に
おける焼却灰、成形助剤、及び反応促進剤の配合比率を
示しており、表1におけるB地区から得られた焼却灰を
用いている。表2において、材料欄はB地区から得られ
た本願発明に用いる焼却灰に、成形助剤及び/若しくは
反応促進剤として粘土鉱物のベントナイト、反応促進剤
としてケイ酸ナトリウムを主成分とする水ガラス、マイ
クロシリカ(二酸化ケイ素粉末)、及び消石灰(水酸化
カルシウム)を添加物として加えた例を示している。ま
た、各添加物の配合比率は添加物を加えた焼却灰が全体
として100重量部となるようにしている。一方、材料
欄に示す水の配合比率は上記焼却灰単体(HT1)、若
しくは添加物を加えた焼却灰(HT2〜HT5)の全重
量を100重量部とした場合に、その重量に対してさら
に添加する外掛け操作を施した水を指している。表2の
例では焼却灰単体(HT1)、若しくは添加物を加えた
焼却灰(HT2〜HT5)の全重量を100重量部とし
た場合に10重量部の水を外掛けした場合を示している
(これにより、水の添加後は110重量部となる)。
【表2】
【0033】表2に示したHT1〜HT5の試料に、ス
テップST4及びステップST5にて加水混錬を行った
後、ステップST6にて30MPaの圧力でプレス成形
して成形体を作成し、ステップST7にて成形体をオー
トクレーブ中に収納して200℃の飽和水蒸気圧条件下
において12時間水熱処理を施して固化体を得た。
【0034】表3は上記各試料(HT1〜HT5)の固
化体の気孔率及び曲げ強度を測定した結果を示してい
る。具体的には、気孔率測定はJIS−R2205に基
づくアルキメデス法により行い、曲げ強度試験は2つの
支点間(支点間距離l)に幅b,厚みdの試料(固化
体)を配置し上記2支点の中央に破断加重Lをかけてゆ
き、試料が破断した荷重を曲げ強度S’として、関係式
S’=(3/2)・(L・l/b・d2 )を用いて算出
する。また、表3中の比較※は曲げ強度を比較するため
に路盤用ブロックのJIS規格における値を示してい
る。
【表3】
【0035】表3に示すように、本願発明の固化方法で
作成された固化体の曲げ強度は、いずれの試料(HT1
〜HT5)から得られたものであっても、6.0MPa
以上の強度を有し、路盤用ブロックのJIS規格におけ
る曲げ強度4.9MPaを上回る値を示している。ここ
で、上述したようなX線回折法による含有鉱物の同定を
行ったところ、水熱処理以前には認められなかった2θ
=7.5度付近のC−S−H系鉱物のピークが、上記試
料(HT1〜HT5)のいずれの固化体からも検出さ
れ、このC−S−H系鉱物の生成が固化体の強度発現に
寄与していることがわかる。
【0036】また、上記試料(HT1〜HT5)のいず
れの固化体も、その気孔率が表面積の30%を超える値
を示す多孔体であることから、吸音材、吸湿材、吸着材
としての利用が考えられる。
【0037】具体例2.実施の形態1による焼却灰の固
化方法の具体例2を以下に説明する。表4は具体例2に
おける焼却灰、成形助剤、及び反応促進剤の配合比率を
示しており、表1におけるB地区から得られた焼却灰を
用いている。表4において、材料欄はB地区から得られ
た本願発明に用いる焼却灰に、成形助剤及び/若しくは
反応促進剤として粘土鉱物のベントナイト、反応促進剤
としてケイ酸ナトリウムを主成分とする水ガラスを添加
物として加えた例を示している。また、表2と同様に、
各添加物の配合比率は添加物を加えた焼却灰が全体とし
て100重量部となるようにしている。さらに、材料欄
に示す水の配合比率も表2と同様に添加物を加えた焼却
灰(HT1B若しくはHT2B)の全重量を100重量
部とした場合に、その重量に対してさらに添加する外掛
け操作を施した水を指している。表4の例では、添加物
を加えた焼却灰(HT1B若しくはHT2B)の全重量
を100重量部とした場合に、HT1Bで22重量部、
HT2Bで20重量部の水を外掛けした場合を示してい
る(これにより、水の添加後はHT1Bが122重量
部、HT2Bが120重量部となる)。
【表4】
【0038】表4に示したHT1B及びHT2Bの試料
にステップST4及びステップST5にて加水混錬を行
った後、ステップST6で具体例1とは異なり押し出し
造粒器にて5mm程度の均一な大きさに造粒した。さら
に、これら造粒物を球形整粒器にかけて球状に整粒し、
ステップST7にてこれら球状の成形体をオートクレー
ブ中に収納して200℃の飽和水蒸気圧条件下において
12時間水熱処理を施して固化体を得た。
【0039】表5は上記各試料(HT1B及びHT2
B)の固化体の気孔率及び圧壊強度を測定した結果を示
している。具体的には、気孔率測定はJIS−R220
5に基づいて行い、圧壊強度試験は試料に負荷をかけて
ゆき、試料が破壊した荷重を圧壊強度としている。ま
た、表5中の比較※は気孔率及び圧壊強度を比較するた
めにセメント固化させた造粒物における値を示してい
る。
【表5】
【0040】表5に示すように、本願発明の固化方法で
作成された固化体の圧壊強度は、いずれの試料(HT1
B及びHT2B)から得られたものであっても、セメン
ト固化させた造粒物の圧壊強度4.0MPaを上回る値
を示している。また、上記試料(HT1B及びHT2
B)のいずれの固化体も、その気孔率が表面積の30%
を超える値を示す多孔体であることから、吸音材、吸湿
材、吸着材としての再利用が考えられる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、酸化
カルシウム、二酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムを、
それぞれ10〜40重量部、10〜30重量部、及び5
〜30重量部含む焼却灰に水を添加して加水混錬し、こ
の加水混錬を施した焼却灰を所定の形状の成形体に成形
し、成形体に温度200℃以下の飽和水蒸気圧にて水熱
処理を施し、水熱反応により固化体を生成するので、比
較的低温(200℃以下)で焼却灰を固化することがで
きることから、エネルギー消費量が低減され、低コスト
で固化体を得ることができる効果がある。
【0042】また、水熱処理によって焼却灰の主成分で
ある酸化カルシウム、二酸化ケイ素、及び酸化アルミニ
ウムがC−S−H系鉱物、或いはC−A−H系鉱物を生
成して固化体の強度が発現するので、セメントなどの固
結材を添加することなく焼却灰の配合比率の高い固化体
を得ることができる。これにより、焼却灰の処理効率を
向上させることができる効果がある。
【0043】さらに、得られた固化体は高強度、多孔質
などの特性を有することから、様々な分野に再利用する
ことができ、従来の埋め立てによる最終処分場の枯渇問
題を解決することができる効果がある。
【0044】この発明によれば、加水混錬前の焼却灰に
成形助剤として粘土鉱物、カルボキシメチルセルロース
(CMC)、及びデンプンのうち少なくとも一つを添加
するので、焼却灰に可塑性を付与することで、十分に形
状を維持することができる成形体を得ることができる効
果がある。
【0045】この発明によれば、加水混錬前の焼却灰に
水熱反応の反応促進剤として粘土鉱物、ケイ酸ナトリウ
ム、コロイドケイ酸、二酸化ケイ素粉末、水酸化カルシ
ウム、酸化カルシウム、石膏、及び炭酸カルシウムのう
ち少なくとも一つを添加するので、固化体の強度発現に
寄与する酸化カルシウム、二酸化ケイ素、及び酸化アル
ミニウムを補うことができ、十分な強度を有する固化体
を得ることができる効果がある。
【0046】この発明によれば、焼却灰に5〜15重量
部の水を添加して加水混錬し、この加水混錬を施した焼
却灰を、15〜50MPaの圧力でプレス成形するの
で、成形助剤を添加することなく形状を維持するのに十
分な強度の成形体を得ることができる効果がある。
【0047】この発明によれば、焼却灰に10〜30重
量部の水を添加して加水混錬し、この加水混錬を施した
焼却灰を、均一な大きさに造粒、若しくは均一な大きさ
に造粒した後に、球形に整粒するので、上記段落004
6と同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による焼却灰の固化方
法に用いる装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による焼却灰の固化方
法を示すフロー図である。
【図3】この発明の実施の形態1による焼却灰の固化方
法にて得られた固化体に対してX線回折法による含有鉱
物の同定を行った結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 未燃有機物除去手段 2 添加剤混合手段 3 加水混錬手段 4 成形手段 5 水熱処理手段
フロントページの続き (72)発明者 力武 幸 長崎県長崎市丸尾町4番4号 長崎菱電テ クニカ株式会社内 (72)発明者 福永 昭夫 長崎県佐世保市有福町536−188 Fターム(参考) 4D004 AA36 BA02 CA14 CA15 CA22 CA45 CA50 CB15 CC03 CC11 CC13 CC15 DA02 DA03 DA09 DA10 4G012 PA06 PA11 PA22 PA26 PB03 PB08 PB11 PB39 PE01 PE05 PE08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化カルシウム、二酸化ケイ素、及び酸
    化アルミニウムを、それぞれ10〜40重量部、10〜
    30重量部、及び5〜30重量部含む焼却灰に水を添加
    し、混錬する加水混錬工程と、 この加水混錬工程で加水混錬を施した焼却灰を、所定の
    形状の成形体に成形する成形工程と、 上記成形体に温度200℃以下の飽和水蒸気圧にて水熱
    処理を施し、水熱反応により固化体を生成する水熱処理
    工程とを備えた焼却灰の固化方法。
  2. 【請求項2】 加水混錬工程前の焼却灰に成形助剤とし
    て粘土鉱物、カルボキシメチルセルロース(CMC)、
    及びデンプンのうち少なくとも一つを添加することを特
    徴とする請求項1記載の焼却灰の固化方法。
  3. 【請求項3】 加水混錬工程前の焼却灰に水熱反応の反
    応促進剤として粘土鉱物、ケイ酸ナトリウム、コロイド
    ケイ酸、二酸化ケイ素粉末、水酸化カルシウム、酸化カ
    ルシウム、石膏、及び炭酸カルシウムのうち少なくとも
    一つを添加することを特徴とする請求項1又は請求項2
    記載の焼却灰の固化方法。
  4. 【請求項4】 加水混錬工程にて焼却灰に5〜15重量
    部の水を添加し、成形工程にて上記加水混錬工程で加水
    混錬を施した焼却灰を、15〜50MPaの圧力でプレ
    ス成形することを特徴とする請求項1から請求項3のう
    ちのいずれか1項記載の焼却灰の固化方法。
  5. 【請求項5】 加水混錬工程にて焼却灰に10〜30重
    量部の水を添加し、成形工程にて上記加水混錬工程で加
    水混錬を施した焼却灰を、均一な大きさに造粒、若しく
    は均一な大きさに造粒した後に、球状に整粒することを
    特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項
    記載の焼却灰の固化方法。
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