JP2001205219A - アルカリ性飛灰処理方法 - Google Patents

アルカリ性飛灰処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬剤の添加量を低減でき、有害な重金属の無
害化を簡単かつ確実に、そして安定性よく安価に行うこ
とのできるアルカリ性飛灰処理方法を提供する。 【解決手段】 ごみ焼却場などから排出されるアルカリ
性飛灰を、空気雰囲気または高酸素雰囲気にて550〜
800℃の温度域で加熱し、アルカリ性飛灰中に含まれ
る重金属を水に不溶な形態に変化させた後、重金属を固
定化する薬剤を添加して混練する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物溶融炉ある
いは廃棄物焼却炉から排出されるごみ焼却飛灰のアルカ
リ性飛灰の処理方法に係り、さらに詳しくは、処理後の
飛灰を処分した場合に、アルカリ性飛灰中に含まれる例
えば鉛またはカドミウムなどの有害重金属が飛灰から溶
出するのを抑制する処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、廃棄物溶融炉あるいは廃棄物焼却
炉の集塵設備で捕集された煤塵(ごみ焼却飛灰)は、飛
灰中に有害重金属が含まれるアルカリ性飛灰であり、こ
のアルカリ性飛灰は廃棄物処理方法により特別管理一般
廃棄物に指定されているため、そのままの状態で埋立地
に廃棄することが禁じられ、中間処理を行った後に埋立
地に処分することが義務づけられている。その中間処理
は、アルカリ性飛灰中に高濃度で含まれる例えば鉛また
はカドミウム等の有害重金属の溶出を防ぐ、つまりアル
カリ性飛灰の安定化、無害化および飛散防止のために行
われる処理であり、その方法としては、(1)溶融固
化、(2)セメント固化、(3)薬剤処理および(4)
酸その他溶媒への抽出の4つがある。このうち、上記
(3)の薬剤処理は、薬剤によって有害重金属を固定化
するものであり、設備が小規模で済むために安価である
とともに、運転および保守が容易であるといった利点が
ある。
【0003】薬剤処理に使用される薬剤としては、例え
ばジエチルジチオカルバミン酸系の有機系液体キレート
剤、リン酸系の無機系液体キレート剤、あるいはこれら
の固体である有機系または無機系固体があり、薬剤処理
方法としては、これらのうちのいずれか1つの薬剤を水
とともにアルカリ性飛灰と混練し、飛灰中の有害重金属
を無害化するものである。
【0004】有害重金属が無害化される機構について
は、次の説明の通りである。まず、ジエチルジチオカル
バミン酸が鉛を固定化する機構を以下に示す。
【0005】
【化1】
【0006】化学式(A)中、□で囲んだ部分はキレー
トと呼ばれる構造で、非常に結合力が強いために鉛がこ
の構造から外れることはほとんどない。したがって、有
機系液体キレート剤であるジエチルジチオカルバミン酸
を水とともにアルカリ性飛灰と混練すると、アルカリ性
飛灰中の鉛が上記化学式(A)のようにジエチルジチオ
カルバミン酸と結合して固定化され、鉛の溶出を防止、
つまり無害化される。また、リン酸系の無機系液体キレ
ート剤を用いた場合は、ジエチルジチオカルバミン酸系
の有機系液体キレート剤を用いた場合とは反応形態が異
なり、鉛がリン酸と化合してリン酸鉛を形成する。この
リン酸鉛は水に対する溶解度が非常に低いため、水に溶
け出さないとされており、有害重金属の無害化がなされ
る。
【0007】そして、中間処理(薬剤処理)後の飛灰
は、例えば環境庁告示13号法の溶出試験を行い、溶出
液中の有害重金属が基準値以下であるかを確認し、その
後埋立地に処分される。なお、環境庁告示13号法の溶
出試験は、粒径0.5〜5mmの試料50gと水(pH
5.8〜6.3)500mlをフラスコに入れ、6時間
振とうし、1μmの孔径の濾紙で濾過した濾過液(溶出
液)中の成分について分析する試験である。
【0008】しかしながら、上記(3)の薬剤処理で使
用される薬剤は、いずれも高価であるため、アルカリ性
飛灰中の有害重金属の濃度が高い場合、処理コストが高
くなってしまうという問題があった。そこで、薬剤の添
加量を低減したり、薬剤を用いずに有害重金属の溶出量
を基準値以下にする飛灰処理法方が各種提案されてい
る。
【0009】例えば特開平11−192471号公報
(以下、従来技術1という)には、予め処理対象飛灰の
pHを測定し、測定値が11.0以上の場合、処理対象
飛灰を580〜800℃で加熱処理し、処理対象飛灰の
pHを8.5以上11.0未満にし、処理対象飛灰中の
重金属の溶出を防止する処理方法、および、予め処理対
象飛灰のpHを測定し、測定値が8.5未満の中性また
は酸性の場合、予めアルカリ源を加え、処理対象飛灰の
pHを一旦11.0以上にした後、処理対象飛灰を58
0〜800℃で加熱処理し、処理対象飛灰のpHを8.
5以上11.0未満にし、処理対象飛灰中の重金属の溶
出を防止する処理方法などが開示されている。
【0010】また、特開平8−303741号公報(以
下、従来技術2という)には、焼却灰を400〜550
℃で加熱処理した後、重金属固定剤と水を加えて混練
し、成形固化する処理方法が開示されている。
【0011】さらに、特開平10−151429号公報
(以下、従来技術3という)には、高アルカリ性集塵灰
に水を添加し、混合攪拌した後、空気または炭酸ガス雰
囲気中で200〜600℃で加熱処理する高アルカリ性
集塵灰中の有害重金属の無害化処理方法が開示されてい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来技術
1の処理方法は、重金属を固定化する薬剤を使用しない
ため、処理コストの低減が図れる。しかしながら、この
処理方法では重金属、例えば鉛などが水酸化鉛などに変
化しているに過ぎず、鉛等を固定化(無害化)していな
いため、最終処分場(埋立地)において侵出水のpHが
8.5未満あるいは11以上に変化した場合は、鉛が溶
出するおそれがある。また、加熱処理した飛灰のpHが
8.5以上11未満に入らなかった場合は、その飛灰の
重金属の溶出を防止することができず、埋立地に処分す
ることができないという問題もある。この場合、処分で
きるpHになるように飛灰を繰り返し加熱処理して再調
整したり、あるいは酸性薬剤等を加えてpH調整を行う
など、処理工程が多くかつ複雑になって処理コストが高
くなってしまうという問題が生じるおそれがある。
【0013】また、従来技術2の処理方法は、加熱温度
が400〜550℃であるため、この処理温度では焼却
灰中の重金属を水に溶解し難い形態、例えば鉛の場合は
四酸化鉛二カルシウム、Ca2 PbO4 などの複合酸化
物に変化させることは難しい。ちなみに、本発明者等に
よる実験によれば、400℃で加熱した場合、鉛の溶出
濃度は未処理(非加熱)の飛灰に比べて1/2程度あっ
たが、600℃で加熱した場合は、溶出濃度が1/35
まで低減することが分かっている。
【0014】さらに、従来技術3の処理方法は、空気ま
たは炭酸ガス雰囲気中で200〜600℃の比較的低温
で加熱処理し、集塵灰中の有害重金属を溶解度の小さい
炭酸化物に化合形態を変化させているが、集塵灰中に多
量の有害重金属が含まれている場合は、固定化できない
重金属がそのまま残ってしまい、その重金属が処分場で
溶出してしまう可能性があるとともに、それを防ぐため
に同様の処理を繰り返し行うと、処理コストが高くなっ
てしまうという問題が生じるおそれがある。
【0015】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、薬剤の添加量を低減でき、有害な
重金属の無害化を簡単かつ確実に、そして安定性よく安
価に行うことのできるアルカリ性飛灰処理方法を提供す
ることを目的としたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルカリ性
飛灰処理方法は、ごみ焼却場などから排出されるアルカ
リ性飛灰を、空気雰囲気または高酸素雰囲気にて550
〜800℃の温度域で加熱し、アルカリ性飛灰中に含ま
れる重金属を水に不溶な形態に変化させた後、重金属を
固定化する薬剤を添加して混練する方法である。
【0017】また、本発明に係るアルカリ性飛灰処理方
法は、アルカリ性飛灰中の重金属を空気雰囲気にて加熱
により水に不溶な形態に変化させる際に、アルカリ性飛
灰のpHを11.0〜13.0の範囲内に制御する方法
である。
【0018】さらに、本発明に係るアルカリ性飛灰処理
方法は、重金属を固定化する薬剤として、有機系液体キ
レート剤、無機系液体キレート剤、有機系固体または無
機系固体を使用する方法である。
【0019】以下、本発明をさらに詳細に説明する。な
お、以下の説明は本発明の理解を容易にするためのもの
であり、本発明を限定するものではない。
【0020】本発明に係るアルカリ性飛灰処理方法にお
いては、まず、アルカリ性飛灰を空気雰囲気または高酸
素雰囲気にて550〜800℃の温度域で加熱し、アル
カリ性飛灰中に含まれる重金属を水に不溶な形態に変化
させる。なお、アルカリ性飛灰を空気雰囲気にて上記温
度域で加熱する際、アルカリ性飛灰のpHを11.0〜
13.0の範囲内に制御する。
【0021】アルカリ性飛灰中に含まれる重金属、例え
ば鉛は、飛灰中の未反応消石灰、あるいは消石灰と塩酸
の中和生成物である塩化カルシウム・水酸化カルシウム
の複塩、CaClOH(あるいは塩化カルシウム・水酸
化カルシウム・一水和物、CaCl2 ・Ca(OH)2
・H2 O)と、上記温度域(550〜800℃)とにお
いて、例えば四酸化鉛二カルシウム、Ca2 PbO4
どの複合酸化物を生成することがこれまでの研究で明ら
かになっており、この複合酸化物は水に不溶であるた
め、重金属である鉛が溶出するおそれはない。よって、
アルカリ性飛灰を上記温度域で加熱することにより、重
金属を水に不溶な形態に変化させることができる。
【0022】そして、上記温度域においては、図3に示
すように、アルカリ性飛灰を各温度で加熱した後、前述
した環境庁告示13号法による溶出試験を行った結果
と、加熱温度における飛灰中の鉛の含有量(飛灰からの
鉛揮散率)との関係から説明することができる。つま
り、図3から明らかなように、アルカリ性飛灰を空気雰
囲気で加熱することにより、鉛の溶出濃度が低下してい
ることがわかる。そして、この溶出濃度は550℃を越
えたあたりで最小となり、これより高温においては溶出
濃度がほとんど変化していない。また、鉛揮散率は80
0℃を越えた当たりから除々に増加していることがわか
る。よって、800℃を越えた高温では鉛が揮散してし
まうため、これを処理するには新たな設備が必要とな
る。また、飛灰の加熱温度は可能な限り低くするほうが
エネルギー利用の観点からも望ましい。したがって、ア
ルカリ性飛灰の加熱温度は、550〜800℃の範囲内
である。
【0023】また、空気雰囲気で加熱する場合、十分な
酸素が存在すればpHの制御を特に行う必要はないが、
酸素が十分存在しない場合は、加熱によりアルカリ性飛
灰から水が放出し(後述の式)、酸化カルシウム(C
aO)になる。そこに炭酸ガスがあるとき、酸化カルシ
ウムは冷却過程で炭酸カルシウム(Ca2 CO3 )に変
化する(後述の式)。つまり、 Ca(OH)2 → CaO + H2 O ・・・ CaO + CO2 → Ca2 CO3 ・・・ となる。この炭酸カルシウムは、水にあまり溶けず液の
pHは10.0くらになる。これに対して水と十分な酸
素が存在する空気雰囲気または高酸素雰囲気で加熱を行
った場合は、上記式の逆の反応が生じ、酸化カルシウ
ム(CaO)は再び水酸化カルシウム(Ca(O
H)2 )となり、pHは11.0〜13.0の範囲内に
なる。ここで、飛灰に含まれる重金属、特に鉛は、酸側
でもアルカリ側でも溶解する金属で、pH10程度で溶
出量が最小になる。よって、本方式ではpHを11.0
〜13.0の範囲に制御し、鉛の溶出量を低減するもの
であるため、単なるpH調整による重金属の固定化法で
はない。
【0024】次の、本発明に係るアルカリ性飛灰処理方
法においては、アルカリ性飛灰を加熱して重金属を水に
不溶な形態に変化させた後、重金属を固定化する薬剤を
添加して混練する。
【0025】重金属を固定化する薬剤としては、ジエチ
ルジチオカルバミン酸系の有機系液体キレート剤、リン
酸系の無機系液体キレート剤、あるいはこれらの固体で
ある有機系または無機系固体であり、これらのうちのい
ずれか1つの薬剤を水とともにアルカリ性飛灰と混練
し、前述した固定化する機構(化学式(A)参照)によ
り飛灰中の有害重金属を無害化するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るアルカリ性飛
灰の処理方法を実施するための飛灰処理系の構成図、図
2はその飛灰処理系を組み込んだごみ焼却システムを概
略的に示す構成図で、これらの図面とともに本発明の実
施の形態について説明する。
【0027】ゴミ焼却システムは、図1および図2に示
すように、焼却炉1内に送り込まれたごみが燃焼空気と
攪拌されて燃焼しダストとなる。ついで、このダスト
は、二次焼却炉2内で二次燃焼空気と攪拌されて燃焼
し、未燃成分が燃焼して飛灰となってボイラ3で熱交換
される。次に、排ガスは冷却器4にて冷却され、煙道内
に吹き込まれた消石灰5により排ガス中の塩酸ガスが脱
塩素処理されて、飛灰処理装置6の集塵機7に送られ
る。そして、そこで飛灰とガスに分離され、分離されて
クリーンとなったガスは煙突8から大気へ放出される。
【0028】また、消石灰5の吹き込みによりアルカリ
性となって飛灰処理装置6の集塵機7で分離された飛灰
は、加熱機9において空気雰囲気または高酸素雰囲気に
て550〜800℃の範囲内で加熱され、飛灰中の重金
属が水に不溶な形態、例えば鉛の場合はCa2 PbO4
などの複合酸化物に変化(生成)される。このとき、加
熱を空気雰囲気にて行う場合は、飛灰のpHを11.0
〜13.0に制御し、高酸素雰囲気にて加熱を行う場合
は、水に不溶な形態(複合酸化物等)に変化するに十分
な酸素を供給できるので、pHは規定しない。そして、
水に不溶な形態(複合酸化物等)は、処理後に水に溶出
することはなく、pHに依存することもない。なお、加
熱機9を例えば工場内ボイラ部などに設けることで、新
たに加熱に必要なエネルギーを必要とすることもない。
【0029】次に、550〜800℃の範囲内で加熱さ
れた飛灰は、混練機10にて薬剤タンク11から重金属
を固定化する薬剤、ジエチルジチオカルバミン酸系の有
機系液体キレート剤、リン酸系の無機系液体キレート
剤、あるいはこれらの固体である有機系または無機系固
体のうちの1つと、工水(または上水)タンク12から
の水とともに混練し、前述の加熱処理において水に不溶
な形態(複合酸化物等)に変化しなかった重金属を前記
化学式(A)で示したように固定化する。このとき、使
用する薬剤の添加量は、混練の前工程の加熱処理にて水
に不溶な形態(複合酸化物等)に変化しなかった重金属
を固定化するのに必要な量だけよく、従来の薬剤処理と
比較して薬剤の添加量を大幅に低減することが可能とな
る。また、処理後のpHに依存することもなくなる。そ
して、固定化後、埋立地等の処分場13に処分する。
【0030】このように、アルカリ性飛灰を、空気雰囲
気または高酸素雰囲気にて550〜800℃の温度域で
加熱し、アルカリ性飛灰中に含まれる重金属を水に不溶
な形態(複合酸性物等)に変化させた後、重金属を固定
化する薬剤を加熱処理により水に不溶な形態(複合酸性
物等)に変化しなかった重金属を固定化するのに必要な
量だけ添加して混練する処理方法であるので、薬剤の添
加量を低減させることができるとともに、pHの面倒な
調整等を行うことなく有害重金属の無害化を簡単かつ確
実に、そして安定性よく行うことができる。また、薬剤
の添加量も低減され、従来からの設備を使用するこがで
きるので、安価に処理が行える方法である。この方法の
効果について、以下の実施例を用いて具体的に説明す
る。
【0031】
【実施例】まず、表1に廃棄物ガス化溶融炉から排出さ
れたアルカリ性飛灰に含まれる重金属組成を示す。
【0032】
【表1】
【0033】次に、表1の重金属組成のアルカリ性飛灰
を、空気雰囲気にて600℃で30分間加熱し、有機系
液体キレート剤(ここではジエチルジチオカルバミン酸
系のもの、NKK製:A−200)を添加して水ととも
に混練する。この処理後の飛灰を実施例1とする。ま
た、表1の重金属組成のアルカリ性飛灰を加熱せず、実
施例1と同じ薬剤を添加して水とともに混練する。この
処理後の飛灰を比較例1とする。そして、実施例1およ
び比較例1に対して環境庁告示13号法の溶出試験を行
う。各重金属の溶出濃度の結果を表2、表3に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】表2と表3から明らかなように、各重金属
の溶出濃度を基準値以下にするためには、比較例1では
有機系液体キレート剤の添加量が10%(重量比)必要
であり、これに対して実施例1では有機系液体キレート
剤の添加量が5%(重量比)で十分であった。これによ
り、実施例1のように飛灰を加熱することにより有機系
液体キレート剤の添加必要量を1/2に低減できること
がわかる。よって、実施例1のような処理方法を行え
ば、重金属を固定化する薬剤を必要量程度に抑えること
ができるとともに、加熱処理を行うだけで有害な重金属
の無害化を簡単かつ確実に、そして安定性よく安価に行
うことができる。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明に係るアルカリ性飛
灰の処理方法は、ごみ焼却場などから排出されるアルカ
リ性飛灰を、空気雰囲気または高酸素雰囲気にて550
〜800℃の温度域で加熱し、アルカリ性飛灰中に含ま
れる重金属を水に不溶な形態に変化させた後、重金属を
固定化する薬剤を添加して混練する方法である。また、
本発明に係るアルカリ性飛灰の処理方法は、アルカリ性
飛灰中の重金属を空気雰囲気にて加熱により水に不溶な
形態に変化させる際に、アルカリ性飛灰のpHを11.
0〜13.0の範囲内に制御する方法である。さらに、
本発明に係るアルカリ性飛灰の処理方法は、重金属を固
定化する薬剤として、有機系液体キレート剤、無機系液
体キレート剤、有機系固体または無機系固体を使用する
方法である。
【0038】これにより、有害重金属を固定化する薬剤
の添加量を、加熱処理により水に不溶な形態に変化しな
かった有害な重金属を固定化するの必要な量だけ添加す
ればよく、使用する薬剤の量を大幅に低減することがで
きる。また、アルカリ性飛灰を加熱する場合、その雰囲
気を制御すればpHの面倒な調整等を行わずに有害な重
金属を溶解する範囲にありながら溶出量を低減できるた
め、有害な重金属の無害化を簡単かつ確実に、そして安
定性よく行うことができる。そして、従来からの設備を
使用するこができるので、安価に処理を行えるアルカリ
性飛灰の処理方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルカリ性飛灰の処理方法を実施
するための飛灰処理系の構成図である。
【図2】図1の飛灰処理系を組み込んだごみ焼却システ
ムを概略的に示す構成図である。
【図3】飛灰の加熱温度と鉛溶出濃度および鉛揮散率と
の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 焼却炉 6 飛灰処理装置 7 集塵機 9 加熱機 10 混練機 11 薬剤タンク 12 工水(または上水)タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 直 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 松平 恒夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4D004 AA37 AB03 AB06 BB03 CA15 CA30 CA35 CA45 CC01 CC02 CC03 CC06 CC11 CC12 CC15 DA02 DA03 DA06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ごみ焼却場などから排出されるアルカリ
    性飛灰を、空気雰囲気または高酸素雰囲気にて550〜
    800℃の温度域で加熱し、前記アルカリ性飛灰中に含
    まれる重金属を水に不溶な形態に変化させた後、前記重
    金属を固定化する薬剤を添加して混練することを特徴と
    するアルカリ性飛灰処理方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ性飛灰中の重金属を空気雰囲気
    にて加熱により水に不溶な形態に変化させる際に、前記
    アルカリ性飛灰のpHを11.0〜13.0の範囲内に
    制御する請求項1記載のアルカリ性飛灰処理方法。
  3. 【請求項3】 重金属を固定化する薬剤として、有機系
    液体キレート剤、無機系液体キレート剤、有機系固体ま
    たは無機系固体を使用することを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のアルカリ性飛灰処理方法。
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CN114610086A (zh) * 2022-04-08 2022-06-10 深圳能源环保股份有限公司 基于ph值的垃圾焚烧飞灰处理方法、装置及存储介质

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