JP2001203182A - 物品表面の清浄化方法およびそのための清浄化装置 - Google Patents
物品表面の清浄化方法およびそのための清浄化装置Info
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Abstract
状態や機能にダメージを与える恐れのある物理的作用を
利用しないで、特に除去の難しい有機質付着物が短時間
に除去出来る清浄化技術を提供する。 【解決手段】表面が付着物で汚染された物品の表面に第
1ノズル5及び第2ノズル7からそれぞれ塩基水溶液と
オゾン水溶液を同時に供給し、その際に前記表面が継続
して新鮮な塩基水溶液とオゾン水溶液に接触するように
することによりオゾンを該表面で分解させ、前記付着物
を除去する物品表面の清浄化方法。
Description
品、例えば半導体シリコンウェーハ、液晶用ガラス基板
等の表面に付着した有機汚染物や微粒子等を除く表面清
浄化方法およびそのための装置に関するものである。
するデバイス特に超LSIが高度化するにつれてウェー
ハ上の汚染物を除去する洗浄法も常にその能力の向上が
要望されてきた。他の電子デバイス用の基板例えば液晶
用ガラス基板もその高度化とともに洗浄能力の向上が必
要となっているが、これらはシリコンウェーハの為に開
発された洗浄液を応用することで十分間に合っている。
電子部品或いは精密機器部品等で板状のもの或いはその
材料でも、より精密な脱脂洗浄等が要求されている。こ
れらの為の装置や方法の開発も半導体分野からの波及と
みられる場合が多い。
重要である。この分野では多くの開発がなされてきた
が、微粒子除去に関しては湿式洗浄を超える方式がまだ
ない。シリコンウェーハが洗浄液に接した時ウェーハ面
は負に帯電するが、液中の微粒子のゼータ電位は液がア
ルカリ性の場合負になるものが多い。アンモニア水と過
酸化水素と水よりなるAPM洗浄液は(標準的組成は1
容:1容:5容で通常は70〜80℃の処理)はエッチ
ング作用と発泡作用がありさらにこの静電気による反撥
効果が加わるので、微粒子除去の目的には従来から広く
使われている。組成比や洗浄槽の機構等で改良が行われ
てはいるが、APMによる浸漬洗浄は長い間ウェーハ洗
浄の主流であって現在も変わっていない。同様のメカニ
ズムによるコリン−過酸化水素による浸漬洗浄が使われ
る場合もある。
酸化水素の混合液で120〜140℃の処理を行うSP
M洗浄が最も強力で従来から現在に至るまで広く使われ
ている。半導体製造工程における有機物の除去で、最も
機会が多くかつ重要なのは目的を終えたフォトレジスト
の除去である。通常このレジストは酸素プラズマでアッ
シングして除去しているが、この場合レジストを完全に
剥離してしまうと、金属不純物を含む灰分の微粒子が剥
離後の面に固着してその完全な除去が難しくなる。そこ
で、フォトレジスト膜を僅か残してアッシングを止め、
その後にこのSPM処理をバッチ方式で10〜15分実
施して残存有機物を除くことが一般に常法となってい
る。
を多数回使用するので、次第に過酸化水素が分解して生
じた水で希釈されていく。超LSI用のフォトレジスト
としては一般にノボラック型のポジレジストが使われ、
この場合はシリコン酸化膜面との密着性をよくする為の
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)の薄層がレジスト
−酸化膜界面に設けられているが、SPM液が薄まると
HMDSは急速に除去し難くなる。HMDS膜が残存す
ると後の工程で異常を生じることがある。HMDS膜を
完全に除くにはAPM処理を10分以上行うことが有効
である。APMは過酸化水素の酸化力が加わったアルカ
リ性処理である為有機物を除く作用も優れている。従っ
て一般に、SPM処理にこのようなAPM処理を後続さ
せることが多い。
高くかつ高温の処理である為、廃液処理並びに排気処理
ともに費用がかかりしかも環境汚染の点で問題がある。
また操作自体の安全性の点でも特別の考慮が必要であ
る。そこで20ppm以上のオゾンを含む水でフォトレ
ジストを除去する方法が登場してきた。処理温度も40
℃以下でよく、環境汚染に関しても対策が比較的容易な
のでSPMの諸問題点は解決されている。それはオゾン
が有機物に対して強い酸化作用を示すからである。しか
し発明者が行った実験によれば、オゾン水溶液ではHM
DS膜はほとんど除去出来ないことが分かった。
は、従来のバッチ方式の浸漬洗浄に換えてウェーハをス
ピンさせながら洗浄液を供給する枚葉方式の実用化を求
めている。この場合は生産性上の要求から、枚葉洗浄の
時間が望ましくは1分長くとも2分で仕上げることが必
要である。従って従来の浸漬洗浄の場合より洗浄作用が
遥かに加速する方法が必要である。本発明はシリコンウ
ェーハ上の有機物特にシリコン表面では最も除去の難し
いHMDS膜を1分以内に除去出来る枚葉処理を提供し
ようとしている。
洗浄に供給する洗浄液用のノズルをMHz帯の超音波を
照射するノズルとすると、洗浄液の組成によっては例え
ばオゾン水溶液や電解イオン水等の場合、ウェーハ面に
大量のOHラジカルが発生して有機物や微粒子の除去が
著しく向上する。しかし強いMHz超音波洗浄は、デバ
イス製造工程にあるウェーハ上では微細パターンにダメ
ージを与える危険性を伴う。
部品や材料を初めとする、物品の表面に対してダメージ
を与える恐れのある特別な物理的作用、即ちMHz超音
波照射や高圧ジェット噴射等を使用することなく、特に
除去の難しい有機物の付着に対して優れた洗浄効果が得
られる物品の清浄化法と清浄化装置を提供することを目
的としている。
るために、表面が付着物で汚染された物品の表面に塩基
水溶液とオゾン水溶液を同時に供給し、その際に前記表
面が継続して新鮮な塩基水溶液とオゾン水溶液に接触す
るようにすることによりオゾンを該表面で分解させ、前
記付着物を除去する物品表面の清浄化方法を提供するも
のである。前記表面が継続して新鮮な塩基水溶液とオゾ
ン水溶液に接触するようにするには、物品を回転させて
もよいし、及び/又は各水溶液の供給方法を変えてもよ
い。
て、物品が板状であり、その表面に沿って、塩基水溶液
の薄い層を移動させ、同時にオゾン水溶液を該液層に噴
射し、オゾンを該表面で分解させることにより該表面の
付着物を除去する方法を提供するものである。
めに、本発明の清浄化方法は上記の処理を実施する際、
塩基水溶液中に過酸化水素を添加して行うことが好まし
い。
板状物品の表面に沿う塩基水溶液の移動を該板状体の回
転と該水溶液のノズルによる供給で行い、上記オゾン水
溶液を該表面に噴射してオゾンを分解させる板状の物品
表面の清浄化方法を提供するものである。
として、板状物品の表面がその面に対し垂直な回転軸に
よって回転する機構と、該表面全体に塩基水溶液の薄い
層の流れを生ぜしめる塩基水溶液供給用第1ノズルと、
該表面上にオゾン水溶液を噴射する1または複数の第2
ノズルとを有し、該表面の全面でオゾンを分解させるよ
うにし、さらに第1ノズルの供給液の為の加熱機構が付
属された板状物品表面の清浄化装置を提供するものであ
る。
物品が板状である場合、特に板状の材料部品について行
うが、これに限定されるものではない。
機物の種類によってはかなりの除去能力がある。本発明
はオゾンの分解に伴うラジカルの発生によりその能力を
飛躍させようとするものである。上述したように、シリ
コンウェ−ハの洗浄では塩基−過酸化水素洗浄が有機物
除去と微粒子除去効果を兼ねた最も強力なものであっ
た。本発明はこれについても、オゾンの分解に伴うラジ
カルの発生を利用して桁違いに洗浄効果を強化しようと
するものである。従って、最適の実施の形態はラジカル
の発生条件を最適にしたものとして提示される。
場合、塩基水溶液のOH- イオン濃度が高い程また液温
が高い程急速にオゾン水を分解する。例えば、pHが1
3の場合、室温でも数秒で実質的にオゾンが消失する。
このオゾンの分解の反応のメカニズムは、古くからラジ
カル反応と考えられてきた。J.Weiss (Trans.FaradaySo
c.Vol.31,668(1935))によれば次のようにまずHO2 ラ
ジカルが出来て、連鎖反応でO3 が分解する。この連鎖
には発生するOHラジカルも関与する。
は反応系が放出する高いエネルギーを基板が吸収するか
らである。従ってオゾン水溶液のオゾン分子が基板面に
近いところでOH- イオンと会合するようにオゾン水を
噴射すればラジカルが発生してオゾンが分解しやすく、
その為には特に高圧の噴射を行う必要はない。HO2 ラ
ジカルやOHラジカルは有機物を分解する作用が極めて
強いので、加熱した塩基水溶液の効果と相俟って塩基単
独では分解し難い有機物も容易に除去が可能となるので
ある。
ラジカルの発生量も増えることが分かる。しかし単に塩
基の濃度を高くするとシリコン面に対して有害なエッチ
ング作用を生じる。過酸化水素を添加しておけばこの作
用が抑制され、半導体分野で塩基−過酸化水素洗浄が使
われる理由の一つでもある。しかし、本発明で過酸化水
素を添加した塩基水溶液を使用することは有機物除去に
関してさらに積極的な効果を期待するものである。
として作用することも古くから知られている。上記連鎖
反応による塩基のオゾン分解に関し、H2 O2 の共存は
OH並びにHO2 ラジカルの発生を増加させ、この分解
を加速する。考えられる連鎖反応メカニズムは、 ・OH+H2 O2 →H2 O+ ・HO2 ・HO2 +H2 O2 →O2 +H2 O+ ・OH である。これら増加したラジカルにより基板面上の有機
付着物の分解はさらに加速され、効果的に除去される。
去作用は微粒子除去に効果があり、よく知られたゼータ
電位に基く微粒子除去作用に加算される。クリーンルー
ムに暴露された基板面上の微粒子は通常DOP等の有機
汚染膜の液架橋で基板面に固着している。短時間の枚葉
スピン洗浄では、塩基−過酸化水素処理の僅かなエッチ
ング作用がこの固着微粒子をリフトオフすることは難し
い。しかし本発明のラジカル作用によれば、液架橋有機
膜は除去出来、該固着微粒子を離脱させ得る。
るとなると本発明の対象としては弱塩基のアンモニアよ
り強塩基を使う方が単純には望ましい。しかし、APM
自体では後述のものより有機汚染除去能力が遥かに強い
ので、目的に応じて利用し、組成はAPMに準じててよ
い。NaOHやKOHのような金属元素を含む無機強塩
基は半導体分野では嫌われるが、被洗浄体が金属の場合
は有用である。使用濃度は以下の有機のものに準じる。
基としては有機強塩基の水酸化テトラメチルアンモニウ
ム(TMAH)と水酸化トリメチルヒドロキシエチルア
ンモニウム(コリン)が好ましい。後者には、それが有
するヒドロキシエチル基が、式−(CH2CH2O)mH
〔ただし、mは2又は3〕で置換された強塩基類も含ま
れていることが好ましい。これらは0.1〜0.01モ
ル程度の希薄水溶液で十分に洗浄効果を上げることが出
来る。洗浄対象によっては10ppm程度の非常に希薄
な液でも有効である。半導体分野では過酸化水素と共に
使用することが望ましくその濃度は重量%で有機強塩基
の50倍から等濃度程度が有効である。20倍から5倍
程度が好ましい。これらは殆ど無臭で環境を汚染するこ
とが少ないし、廃棄上薬品での分解を必要とする組成分
のモル濃度が僅かなので廃棄処理が容易である。従って
本発明を実施する上で最も適する。
るだけ高いことが望ましい。オゾンの飽和濃度は導入す
るガス中のオゾン濃度に比例する。放電方式の高純度オ
ゾン発生装置は通常200mg/l程度のオゾン濃度な
ので、これを室温の水に飽和させた場合30ppm前後と
なる。本発明の場合、10ppm程度のオゾン水溶液でも
一応の効果が認められる。本発明では基板面へオゾンの
噴射に際して、表面における状態や機能にダメージを与
える恐れのあるMHz超音波照射や高圧ジェット噴射を
必要としない。しかしこれらの物理作用はラジカル発生
には極めて有効なので、このようなダメージ発生の恐れ
のない場合は、本発明においてこれらの物理作用との併
用が好ましい場合もある。
要する場合は上記のような理由から過酸化水素を添加す
ることが望ましい。これは従来から利用されてきた塩基
−過酸化水素洗浄の有機物並びに微粒子除去効果が基板
表面でラジカルを強く発生させることで強化されるから
である。加温は一般にラジカル発生を加速する。従って
本発明の処理では塩基水溶液の温度は40〜80℃であ
ることが効果の点で好ましく、さらに50〜70℃が望
ましい。温度が高いと液が発泡して好ましいノズルへの
供給が出来ない。そこで第1ノズルを2連にし、1個で
は加熱した塩基水溶液を1個では加熱した過酸化水素水
溶液を射出し、板表面で添加が行われてもよい。
いはコリンの0.05〜0.2重量%,H2 O2 の0.
5〜5重量%の水溶液を使うと、処理液自体はAPMに
比し有機物を除去する能力が弱く、単なる70℃の浸漬
処理に適用してもHMDS膜をほとんど除去出来ない。
しかし同じ組成の液で本発明を実施すると、1分以内に
HMDS膜の除去が可能となる。この処理液はOH- イ
オン濃度が高くラジカルによる洗浄加速が強力に行われ
る為である。
の薄い液層を移動させるには2つの方式が実用的であ
る。1つは基板面に対して垂直な回転軸によって基板を
回転し、基板面に対し斜方向から該液をノズルによって
放出する機構を利用するものである。回転軸が基板の中
心になる場合はスピン洗浄と同様の機構である。回転は
700〜1500rpmでよい。回転軸のまわりに複数
個の基板を配置することも可能である。前者の場合ノズ
ルの向きは基板中央であり、後者の場合はノズルは基板
毎に設け、放出は回転軸側から行う。他の一つは角形の
基板に対して効果的なもので、基板面を垂直に配置し、
上方から該液を流下させる。
るHO2 ラジカルやOHラジカルの寿命が極めて短く
(ミリ秒以下)、オゾン水溶液を基板面に噴射した場
合、基板面上での該液の流れにおいて面上の到達位置に
近い面積しかラジカルの作用が及ばないことである。例
えば1000rpmのスピン洗浄装置で斜方向のノズル
から0.1重量%の希コリン水を放出してHMDSを塗
布したシリコン面に液膜を作り、試みにウェーハの中心
部に10ppmのオゾン水溶液を垂直に300ml/分
で導入すると、HMDSが除かれる領域はウェーハ中央
の半径約3cmの円内だけである。従って実用に際して
は第2ノズルの先端に複数の孔をあけ、噴射オゾン水溶
液の群によりウェーハ全面でラジカル反応が進むよう孔
の位置と大きさ・形状を調整する必要がある。ウェーハ
全面でラジカル反応を進行させる為には、複数個のオゾ
ン水溶液供給用第2ノズルを設けるとラジカル反応領域
を全面化しやすくなる。
フッ素樹脂(PTFEとPFA等)並び石英ガラスが必
要である。しかしオゾンはアルカリ性液で直ちに分解す
るので、装置の筐体や排水器具等については通常のプラ
スチックで十分である。以下に実施例で本発明を説明す
るが、本発明はこれらの実施例で何等限定されるもので
はない。
は、小型の放電方式のオゾン発生装置に1%のチッ素を
含む酸素を1l/分程度流してオゾン濃度約200mg
/lとしたものを、加圧空気による圧送が可能な石英ガ
ラス容器中の10〜15℃の純水にバブリングさせて作
成した。オゾン濃度が10〜30ppmに達した段階で
バブリングを停止し、所定の流速で第2ノズルに圧送し
た。
・乾燥を終えた直後のウェ−ハから2cm×2cmのチ
ップを切り出し、Anal.Chem.Vol71.p3551(1999)に示さ
れている12C(d,n)13Nの核反応を利用した荷電粒
子放射化分析法で表面残存炭素量を求めて行った。米国
半導体工業会が1997年に発表したロードマップでは
2009年にDRAM256Gビットで有機炭素量は
1.8×1013原子/cm 2とされている。そこで分析結
果がこの値以下であれば十分に有機汚染除去がなされた
ことにした。
ターを装備した環境からの有機汚染防止が確実になされ
たクラス10のクリーンルーム内で実施された。この環
境は、熱酸化直後のシリコンチップを24時間暴露して
もその間の汚染有機炭素汚染量が上記荷電粒子放射化分
析法で2×1013原子/cm2以下の規格で管理されてい
る。
0rpmまで回転が可能な枚葉スピンリンサードライヤ
ーを改造し、ウェーハに液を供給するノズルを追加した
のが図1に垂直断面図を概念的に示した本発明の為の試
験装置である。回転軸1で回転するPTFE製円板2上
に4箇所のPTFE製支持柱3で被洗浄体のシリコンウ
ェーハ4が保持されている。
の水溶液を射出出来るPTFE製第1ノズル5(点線は
液の射出方向を示す−以下も同じ)と、複数個の細い噴
流を得る為の細孔を設けた球状部6で終端するオゾン水
溶液用石英ガラス製第2ノズル7とを装備した。細孔の
位置と大きさは噴射部がほぼ等間隙の同心円を描くよう
に作成した。第1ノズルへの導入管(PFA製)8には
途中に石英ガラス蛇管を用いた温水器9が挿入されてい
る。図には示されていないが既設の超純水リンス用ノズ
ルが別にある。図の温水器部を除いた部分は密閉出来か
つ底に排水口のあるポリエチレン製容器(図示せず)に
格納されている。
布によった。塗布後真空引を含めて100℃で1分の処
理を行ったものを使用した。塩基の水溶液はAPMを使
用した。但し組成はアンモニア水:過酸化水素:水=1
容:1容:12容である。APMでは加熱すると温度が
高い程発泡が激しくなる。微量の特殊キレート剤が添加
されている商品名HIRINPER過酸化水素を使用す
ると加熱しても発泡が少ないので、これを使用し加熱温
度も50℃とした。ウェーハの回転を1000rpmと
し、第1ノズルのAPMは300ml/分で、第2ノズ
ルは濃度20ppmのオゾン水溶液を300ml/分
で、同時に1分間の噴射を行った。
秒の超純水リンスを行い、一旦回転を停止して表面を観
察したところ、全面が濡れており親水性化していてHM
DSは一応除去出来ていることが分かった。この後40
00rpmでスピン乾燥を行い、直ちにウェーハの中央
部と周辺部で2cm×2cmの試料を切り出して残存炭
素量の荷電粒子放射化分析を行った。分析結果は中央部
が7×1012原子/cm 2周辺部が1.0×1013原子/c
m2で、この洗浄処理により十分にHMDS膜が除去出来
ている。
噴射を行わない他は全く実施例1に同様に行った。即ち
APMによる1分間のスピン洗浄を行った。純水リンス
後一旦回転を停止したところ表面はまだかなり疎水性で
あった。同様の荷電粒子放射化分析では残存炭素量が1
014〜1015原子/cm2で、HMDSはかなり残存して
おり、洗浄効果があったとはいえない。
機物を除去する作用が強い利点はあるが、排水にアンモ
ニア臭が強く環境汚染対策にかなりの考慮が必要であ
る。またAPM自体NH3 が約1モルもあり、排水処理
の点でも負荷が大きい。そこで有機物分解能力は劣る
が、塩基が0.01モル程度で、臭もほとんど無くしか
もかなりの微粒子洗浄効果のあるコリン−H2 O2 で実
施例1と同様に実験した。第1ノズル液への供給液はコ
リン0.1重量%、高純度H2 O2 2重量%とした。A
PMに比し発泡が少ないので加熱温度も70℃とした。
この他は全く実施例1と同様に行った。超純水リンス直
後で全面が親水性になり、乾燥直後の荷電粒子放射化分
析の結果は残存炭素量が1×1013原子/cm2以下で、
HMDS膜は十分に除去出来ている。
噴射を行わない他はまったく実施例2と同様に実施し
た。洗浄・乾燥直後の荷電粒子放射化分析結果は1×1
015原子/cm2以上になり、HMDS膜はほとんど除去
出来ていない。
端のノズル孔の加工に関して微妙な調整が必要で、特性
の揃ったものを作るのが難しい。そこでこの実施例では
複数の単純な筒状ノズルでオゾン水溶液を噴射させる方
式とした。実施例1の装置で第2ノズル7の代わりに内
径が第1ノズルの約1/2の3本の第2ノズルを設け
る。図2にその配置を俯瞰図で示す。ウェーハ4の上方
に塩基水溶液用ノズル5の位置を外して、3個の第2ノ
ズル10、11、12が、それぞれの方向が約120°
の角度となるように、また中心部及び中心からウェーハ
半径のほぼ1/3の距離の位置並びにほぼ2/3の距離
の位置のウェーハ面上に向けて斜方向から射出するよう
に配置されている。オゾン水溶液をそれぞれの第2ノズ
ルから100ml/分で噴出させる他は実施例2とまっ
たく同様に実施した。洗浄・乾燥直後の荷電粒子放射化
分析の結果は残存炭素が1×1013原子/cm2以下で、
前実施例と同様にHMDSが除去出来ることが分かっ
た。
のコリンをTMAHに換えてその他は全く実施例3と同
様に実施した。即ち、塩基水溶液はTMAH0.1重量
%、H2 O2 2重量%の組成が使われた。洗浄・乾燥直
後の荷電粒子放射化分析の結果は残存炭素が1×1013
原子/cm2以下で、前実施例と同様にHMDSが除去出
来ることが分かった。
べる為に、放射性同位元素をトレーサとして洗浄による
放射能強度の減少で評価するRIトレーサ法を用いた。
即ち半減期6時間の 99mTcで標識した炭素微粒子を医
学診断用のテクネガス装置を利用して作り(Appl.Radia
t.Isot.Vol46,p157(1995))、HMDS塗布したシリコン
ウェーハ表面にこの微粒子を付着させ、有機物で液架橋
して除去を難しくした故意汚染試料を作った。炭素微粒
子のサイズは大部分が0.05〜0.2μmである。微
粒子の故意汚染がほぼウェーハ全面に均一になされたか
どうかは、イメージングプレートでこのウェーハを露光
してラジオルミノグラフィ解析を行うことにより、画像
の濃淡で判断出来る。この場合ほぼ均一に黒化してお
り、微粒子が発する放射線強度は平均で6300PSL
/mm2 (ラジオルミノグラフィ単位)であった。この試
料に対し、実施例3とまったく同様にコリン−過酸化水
素/オゾン水処理を行った。洗浄・乾燥後にウェーハを
イメージングプレートで露光し、解析を行ったところ、
画像はまったくバックグランドだけとなった。即ち放射
能は平均で2PSL/mm2 であった。従って本発明によ
り有機物膜に液架橋機構で固着された微粒子すら十分に
除けることが分かる。
機物に対する洗浄効果を評価する為に、故意汚染した石
英ガラス板を洗浄対象としてシュミレーションすること
とした。手法は前実施例と同じ放射性トレーサ法であ
る。石英ガラス板は20cm×20cm×4mmの板を
準備し、クリーンルーム雰囲気からの有機汚染量が最も
多いとされているDOPを故意汚染の対象とした。まず
14Cで標識したDOPを合成し、石英ガラス板の片面の
15箇所にランダムに塗布した。実施例5と同様に故意
汚染の状態をイメージングプレートの露光とその解析に
よって画像化しておき、最も濃い領域が14C濃度で2×
1016原子/cm2であることを確認した。この後、図3
に装置の概念を垂直断面図で示したような洗浄試験装置
で洗浄を行った。石英ガラス板13はPTFE製ガイド
枠14にセットして被洗浄体板とした。これを、下方か
ら上方へ15cm/分の速さで、回転する2つのロール
状のフッ素樹脂繊維ブラシ15の間を通して移動させ
た。被洗浄体板の表裏両側に設けられた複数個のノズル
16から、80℃の0.1重量%TMAH水溶液をロー
ルと板の接触面に滴下すると被洗浄体板面に沿って液が
流下する。供給液量は片面あたり300ml/分とし
た。被洗浄体板の表裏に紙面に垂直な向きに上下2段に
設けられた石英ガラス管17、18には、2cm毎に細
孔(ノズル孔)があって管内に供給する30ppmのオ
ゾン水がこの細孔から被洗浄体板の表裏面に噴射され
る。該ガラス管は長さ方向に2cm振幅の往復運動する
機構を付属させており、この動作で板面の流下液は板全
面に拡がると共にオゾンが分解し洗浄が行われる。板全
面の洗浄が終わった後、TMAH液の供給を止め、両ロ
ール15を離し、石英管17、18からの液供給を超純
水に切り換え、被洗浄体板を下降させてリンスを行う。
下降後高圧高純度チッ素を吹付けて乾燥した後、イメー
ジングプレートで露光を行った。その解析によれば洗浄
前に最も濃度の高かった領域の14C濃度は8×1012原
子/cm2まで減少していた。従ってDOPは塩基に対し
過酸化水素の添加がなくても十分除去出来た。
機物を極めて吸着しやすいので、有機物汚染を受けやす
い板状の試料を有機物分析の為分析室に移送するような
場合は有機物を十分に除いたアルミニウム板で囲めば移
動環境からの試料の有機汚染を阻止出来る。そこでアル
ミニウム板の洗浄を実施例6の装置を用いて行った。洗
浄前の試料の表面は有機汚染しているので水滴接触角が
32°であった。TMAH10ppmとH2 O2 200
ppmを含む希薄塩基水溶液と10ppmオゾン水の組
み合わせの他は実施例6とまったく同様に処理した。洗
浄後の水滴接触角は4°以下となった。有機汚染は実質
的に除去出来ている。
洗浄をはじめとして金属表面処理等に使われるアルカリ
洗浄等すべてにおいて、オゾン分解で生じるラジカルに
より特に有機物除去と微粒子除去の能力を格段に強化出
来る。塩基とオゾンの会合により特にH2 O2 は触媒と
してラジカルが発生するが、この反応は特に固体表面で
起こりやすいことから汚染のある表面で起こる。しかも
ラジカルの寿命が極めて短い。そこでこの会合を板状の
部品材料表面で効率よく行わせる為に枚葉処理と液噴射
で組み合わせた本発明が、枚葉処理の本質的課題であっ
たスループットの向上を可能ならしめた。即ち強力な洗
浄に要する洗浄時間が、表面における状態や機能にダメ
ージを与える恐れのある物理的作用を利用しないでも、
1分程度で済むことになったのである。通常のフォトリ
ソグラフィ工程で使われ、使用後の完全な除去を必要と
するHMDS膜は、従来からの微粒子除去に有効な湿式
洗浄では短時間では十分な除去が出来なかったが、これ
すら可能とした。
ルカリ性液中では短時間に完全に消失するので、本装置
を格納する容器や排水排気のためのユーティリティに関
し特別の対策を要しない利点がある。本発明の実施に関
し、最終的に環境に対して影響するのは塩基だけであ
る。この場合コリンを使用するとこの塩基は本来重要な
生理物質であって容易に生分解する。従って通常の浄化
槽で完全に処理出来る利点がある。
ンルーム雰囲気を汚染する有害ガスの発生はほとんどな
く、本発明の装置は簡単な気密と排気設備が満足されれ
ばでクリーンルーム一般環境に設置出来る。即ちドラフ
ト設備を必ずしも必要としない。従ってインラインで洗
浄を行える利点がある。
1個のノズルの噴射により行う場合の装置の概念を示す
縦断面図
ズルの噴射により行う場合の該ノズルの配置を示すふ瞰
図
施する場合の装置の概念を示す縦断面図
板に平行するノズル管
Claims (6)
- 【請求項1】 表面が付着物で汚染された物品の表面に
塩基水溶液とオゾン水溶液を同時に供給し、その際に前
記表面が継続して新鮮な塩基水溶液とオゾン水溶液に接
触するようにすることによりオゾンを該表面で分解さ
せ、前記付着物を除去する物品表面の清浄化方法。 - 【請求項2】 前記物品が板状であり、その表面に沿っ
て塩基水溶液の薄い層を移動させ、同時にオゾン水溶液
を該液層に供給する、請求項1の物品表面の清浄化方
法。 - 【請求項3】 塩基水溶液に過酸化水素を添加した請求
項1または2の清浄化方法。 - 【請求項4】 板状の物品の表面に沿う塩基水溶液の移
動が該板状物品の回転と該水溶液のノズルによる供給で
なされる請求項2または3の清浄化方法。 - 【請求項5】 塩基水溶液に含まれる塩基が水酸化テト
ラメチルアンモニウムおよび水酸化トリメチルヒドロキ
シエチルアンモニウムから選ばれる請求項1〜4のいず
れか1項の清浄化方法。 - 【請求項6】 板状物品の表面がその面に対し垂直な回
転軸によって回転する機構と、該表面全体に塩基水溶液
の薄い層の流れを生ぜしめる塩基水溶液供給用第1ノズ
ルと、該表面上にオゾン水溶液を供給する1または複数
の第2ノズルとを有し、該表面の全面でオゾンを分解さ
せるようにし、さらに第1ノズルの供給液の為の加熱機
構が付属された板状物品表面の清浄化装置。
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