JP2001202871A - 電界放出型冷陰極 - Google Patents

電界放出型冷陰極

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JP2001202871A
JP2001202871A JP2000012017A JP2000012017A JP2001202871A JP 2001202871 A JP2001202871 A JP 2001202871A JP 2000012017 A JP2000012017 A JP 2000012017A JP 2000012017 A JP2000012017 A JP 2000012017A JP 2001202871 A JP2001202871 A JP 2001202871A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低電界において高電子放出が可能であり、か
つ長時間安定動作する、ダイヤモンド膜を用いた電界放
出冷陰極を提供する。 【解決手段】 電界放出型冷陰極において電子放出部と
なる部分を、CVD法にて結晶ダイヤモンドと微結晶ダ
イヤモンドで構成する。ここで結晶ダイヤモンドは電子
放出サイト、微結晶ダイヤモンドは下部電極から表面ま
での電子輸送経路として機能するため、高電子放出が可
能となる。また、電子放出部全てがダイヤモンドで構成
されるので、化学的に安定であり、表面状態が変化しに
くいため、長時間安定動作が可能となる。さらに、CV
D法で電子放出部を作製するので、下部電極と電子放出
部の間にはカーバイトが形成される。その結果、電気的
接触が得られ、低電界で動作が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電界放出型冷陰極に
関し、特に電子を放出するエミッタを有する電界放出型
冷陰極に関する。さらには、CVDダイヤモンド結晶を
有する電界放出型冷陰極に関する。
【0002】
【従来の技術】電界放出型冷陰極は、エミッタに電界を
印加することにより、真空中に電子を放出することがで
きる熱カソードに替わる電子銃として、近年ディスプレ
イ応用などで注目されている。特に、微小な形状を有す
るコーン形状のエミッタや、電子親和力の低いダイヤモ
ンドを用いる方法が注目されている。微小なコーン形状
を有するエミッタは、半導体素子の加工技術応用により
ミクロンオーダーの加工が可能になったことにより実現
可能となった。また、ダイヤモンドは電子親和力が低い
ほかに、硬度が高く、化学的に安定であり、これらの特
徴を用いた電子放出素子が報告されている。
【0003】例えば特開平7−282715号公報に
は、導電性の膜上にダイヤモンド結晶を点在させ、その
上にLaB6、YB6、YB4などのホウ化物薄膜を形成
し、電子放出特性を向上させる試みが示されている。こ
れらホウ化物は低仕事関数、かつ比較的良好な導電体で
あるため、この材料に対し負のバイアスを印加すれば電
子放出が期待できる。さらに、ホウ化物薄膜の厚みを3
0nm以下とすることにより、しきい値電圧を低下させ
ることに成功している。
【0004】また、特開平10−40805号公報に
は、導電層上あるいは導電層表層に、平均粒径0.2μ
m以下の粒子状ダイヤモンドを分布、あるいは埋め込ま
せて、冷陰極を作製する方法が紹介されている。この方
法では溶液中にダイヤモンド粒子を分散させ、導電層に
この溶液を晒すことによりダイヤモンド粒子を配置さ
せ、電子放出サイトを形成しエミッション電流の向上を
行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術に
は以下のような問題が存在していた。第1の問題点は、
エミッション電流の長時間安定性に問題があることであ
る。その理由は、LaB 6、YB6、YB4のような低仕
事関数物質は表面が安定でなく、エッチング等の反応が
考えられるからである。そのため、電子放出が進むに従
い表面が変化していき、常にエミッション状態は変化し
ていく。その結果、長時間安定したエミッション電流が
得られないばかりか、LaB6、YB6、YB4の反応が
進むことにより、エミッション電流が低下することが考
えられる。
【0006】第2の問題点は低電界動作が困難であるこ
とである。その理由は、溶液中にダイヤモンド粒子を分
散させ、導電層にこの溶液を晒すことによりダイヤモン
ド粒子を配置させる方法では、ダイヤモンドと導電層間
に完全な電気的接触を取ることが不可能だからである。
その結果、電子放出サイトとなるダイヤモンドと導電層
の間には抵抗成分が存在し、ここで印加したバイアスの
電圧降下が生じてしまい、動作電圧が高くなるという欠
点がある。
【0007】本発明は、前述した事情に鑑みてなされた
もので、その目的は、低電界において高電子放出が可能
であり、かつ長時間安定動作する、ダイヤモンド膜を用
いた電界放出冷陰極を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、CVDダイ
ヤモンドを成膜する際、メタン濃度と成膜温度を制御す
ることにより、結晶ダイヤモンドが微結晶ダイヤモンド
粒子中に埋まり、微結晶ダイヤモンド中に結晶ダイヤモ
ンドが点在する構造が得られることを見出した。そし
て、上記構造により膜中には粒界が多く存在し、この粒
界を表面までの電子の輸送経路として使うことができる
こと、また、結晶ダイヤモンド部分は電子放出サイトと
して作用するため、低電界で高電子放出が可能となるこ
とを知見した。
【0009】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、下記(1)〜(9)に示す電界放出型冷陰極を提
供する。 (1)電子放出部が結晶ダイヤモンドと微結晶ダイヤモ
ンドからなることを特徴とする電界放出型冷陰極。 (2)電子放出部が結晶ダイヤモンドと微結晶ダイヤモ
ンドからなり、かつ、結晶ダイヤモンドが下部電極から
成長しているとともに、結晶ダイヤモンドの上部が微結
晶ダイヤモンドからなる層より突出していることを特徴
とする電界放出型冷陰極。 (3)電子放出部の結晶ダイヤモンドの体積比[(結晶
ダイヤモンド/(微結晶ダイヤモンド+結晶ダイヤモン
ド))×100]が5%以上95%以下であることを特
徴とする請求項1又は2に記載の電界放出型冷陰極。 (4)He−Neレーザー(λ=632.8nm)を使
い、電子放出部のラマン分光測定を行った際、ダイヤモ
ンドである1335cm-1のピークのほかに、1150
〜1200cm-1と1420〜1500cm-1にピーク
があることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
記載の電界放出型冷陰極。 (5)He−Neレーザー(λ=632.8nm)を使
い、電子放出部のラマン分光測定を行った際、ダイヤモ
ンドである1335cm-1のピークのほかに、1150
〜1200cm-1にピークがあることを特徴とする請求
項1〜3のいずれか1項に記載の電界放出型冷陰極。 (6)He−Neレーザー(λ=632.8nm)を使
い、電子放出部のラマン分光測定を行った際、ダイヤモ
ンドである1335cm-1のピークのほかに、1420
〜1500cm-1にピークがあることを特徴とする請求
項1〜3のいずれか1項に記載の電界放出型冷陰極。 (7)電子放出部が結晶ダイヤモンドと微結晶ダイヤモ
ンドからなり、結晶ダイヤモンドが微結晶ダイヤモンド
膜上に点在することを特徴とする電界放出型冷陰極。 (8)電子放出部が結晶ダイヤモンドと、グラファイ
ト、無定形炭素、アモルファスカーボンあるいはダイヤ
モンドライクカーボンからなることを特徴とする電界放
出型冷陰極。 (9)電子放出部が結晶ダイヤモンドと、グラファイ
ト、無定形炭素、アモルファスカーボンあるいはダイヤ
モンドライクカーボンからなり、結晶ダイヤモンドの上
部がグラファイト、無定形炭素、アモルファスカーボン
あるいはダイヤモンドライクカーボンからなる層より突
出していることを特徴とする電界放出型冷陰極。
【0010】水素終端されたダイヤモンド表面は、負の
電子親和力を持つことが知られている。CVDダイヤモ
ンドは原料ガスに水素を用いるため、成膜後の表面は水
素終端されているのが一般的である。また、ダイヤモン
ド表面は化学的に安定であることが知られており、化学
反応、エッチング等に高い耐性を持つ。そこで、冷陰極
材料としてCVDダイヤモンドを用いるのは有効な手段
である。しかしながら、ダイヤモンドは元来高抵抗であ
り、電子放出させるためには、表面まで電子を輸送する
方法を確保しなくてはならない。かつ、電子放出サイト
を十分に確保するためには、冷陰極材料電子放出部とな
る電子親和力の低いダイヤモンド結晶を配置する構造が
望ましい。
【0011】ダイヤモンド結晶を微結晶ダイヤモンド粒
子で埋める構造を取ることにより、表面までの電子輸送
経路と表面からの電子放出機能の両方を持たすことがで
きる。ダイヤモンド自体高抵抗物質であるため、電子放
出を行うためには表面まで電子を輸送する経路が必要で
ある。微結晶ダイヤモンド粒子で構成された部分は粒界
が多数存在する。これら結晶粒界は電流パスとして作用
することが知られて折り、これにより膜の抵抗が低下
し、表面までの電子輸送がスムーズに行われる。また、
点在するダイヤモンド結晶は上方に向かい突出している
ため、電界集中を受けやすい。この結果、表面からの電
子放出は容易に行われ、個々のダイヤモンド結晶は電子
放出サイトとして機能する。さらに、全てがダイヤモン
ドで構成されているため化学的に安定であり、表面状態
の変化が少ないため長時間安定した電子放出が可能とな
る。
【0012】また、これらダイヤモンド結晶はCVD法
で作製されるため、成膜時に基板はラジカル、イオン等
に晒されることになる。この結果、ダイヤモンドと成長
基板間にはカーバイトが形成され、電気的コンタクトも
容易に取ることが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)次に、本発
明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明す
る。図1は、本発明の第1の実施の形態の電界放出型冷
陰極を示した模式的断面図である。ダイヤモンド結晶1
aは電子放出サイトとなる、CVD法によって作製され
たダイヤモンドであり、その平均粒径は0.5μm以下
である。微結晶ダイヤモンド2aは電子輸送経路とな
る、CVD法によって作製されたダイヤモンドである。
また、この微結晶ダイヤモンド2aはダイヤモンド結晶
1aと同様に、エミッションをするため電子放出サイト
としても機能する。
【0014】絶縁板3aは素子の基板となる部材であっ
て、ガラス、セラミックス、プラスチックなど絶縁性の
基板からなる。本実施の形態では、絶縁板3aとしてセ
ラミックスを用いた。
【0015】下部電極4aは電子を供給する電極であ
り、スパッタ、蒸着等により形成され、Mo、W、N
i、Fe、Ptなど導電性の膜であれば何を用いてもか
まわない。また、下部電極4aを膜でなく導電性の基板
としてもよく、この場合下部電極4aが基体となるので
絶縁板3aを省略してもよい。本実施の形態では、下部
電極4aはスパッタ法でMoを2000Å形成した。
【0016】絶縁膜5aは上部電極と下部電極を電気的
に絶縁する膜であり、3〜5μmの酸化膜で形成されて
いる。上部電極6aはダイヤモンド結晶1aあるいは微
結晶ダイヤモンド2aから電子を引き出す役割をし、下
部電極4aに対して正のバイアスが印加される。この上
部電極6aもスパッタ、蒸着等により形成され、Mo、
W、Ni、Fe、Ptなど導電性の膜であれば何を用い
てもかまわない。本実施の形態では、上部電極6aはス
パッタ法でWを2000Å形成した。蛍光板7aは、ダ
イヤモンド結晶1aあるいは微結晶ダイヤモンド2aか
ら放出された電子が衝突することによって蛍光を発する
部材である。
【0017】図2は、電子放出部となるダイヤモンド結
晶1aと微結晶ダイヤモンド2aのラマン分光測定の結
果である。1335cm-1に見られるピークはダイヤモ
ンドに起因するものであり、主にダイヤモンド結晶1a
によるものである。1180〜1200cm-1と142
0〜1500cm-1付近に見られるピークは微結晶ダイ
ヤモンド2aに起因するピークである。このようなラマ
ン分光ピークは、励起光としてHe−Neレーザー(λ
=632.8nm)を用いた場合に特に明瞭に観測する
ことができる。
【0018】次に、図1の電界放出型冷陰極の動作につ
いて、図を参照して説明する。下部電極4aには上部電
極6aに対し負のバイアスが印加されており、電子は下
部電極からダイヤモンド結晶1aあるいは微結晶ダイヤ
モンド2aに供給される。このとき微結晶ダイヤモンド
2a内に存在する、無数の粒界は電子の輸送経路とな
る。これにより、下部電極から供給された電子はダイヤ
モンド結晶1aあるいは微結晶ダイヤモンド2aの表面
にまで達する。ダイヤモンド結晶1aは上方に突出した
形状をしているため、その先端には電界集中が起こりや
すく、その結果、下部電極4aと上部電極6aとの間に
印加されるバイアスを低くしても、実質上高い電界強度
を得ることができる。かつ、CVD法で作製されたダイ
ヤモンド表面は水素終端されており、負あるいは低い電
子親和力を持つため、電子放出を低電界で起こす。よっ
て、ダイヤモンド結晶1aからは低電界で高電子放出を
起こす。また、微結晶ダイヤモンド2aの表面にも微小
な突起が存在するため、この部分にも電界集中が起こ
り、電子放出が起こる。放出された電子は、上部電極6
aに印加されている正のバイアスによって引き出され、
加速されて、蛍光板7aに衝突し蛍光を発する。
【0019】このとき電子放出量は、ダイヤモンド結晶
1aと微結晶ダイヤモンド2aの体積比に対し依存す
る。このダイヤモンド結晶1aと微結晶ダイヤモンド2
aの体積比は成膜時のメタン濃度に依存し、メタン濃度
が上がるほど微結晶ダイヤモンド2aの割合が増加する
ことを発明者らは見出した。そこで、このダイヤモンド
結晶1と微結晶ダイヤモンド2aの体積比と、電子放出
密度とを比較した結果を図3に示す。冷陰極を用いたデ
ィスプレイでは10mA/cm2以上の電子放出密度が
必要であるが、ダイヤモンド結晶1aの体積比{ダイヤ
モンド結晶1a/(微結晶ダイヤモンド2a+ダイヤモ
ンド結晶1a)×100}が5〜95%以上でこの条件
を満たすことが判明した。ダイヤモンド結晶1aの体積
比が5%未満であると電子放出の主となる部分が減少す
るため、また95%を超えた部分では電子が表面まで輸
送される経路が減少し電子供給不足となるため、十分な
電子放出が得られない。
【0020】図4にはダイヤモンド結晶1aの体積比が
5%と95%のラマン分光測定を行い波形分離を行った
結果を示す。図2と同様にプローブ光にHe−Neレー
ザーを用いた。ダイヤモンド結晶1aの存在が少なくな
ると同時に1335cm-1付近のピークが小さくなる。
図4に示すRaman測定の結果を波形分離し各々のピーク
位置がどこになるかを調べ、そのピーク位置を示したの
が表1である。
【0021】
【表1】
【0022】ピーク2、3、5はそれぞれ、不定形炭
素、ダイヤモンド、グラファイトのピークを示してい
る。ピーク1と4は電子放出密度が高い電子放出部に見
られる特有のピークである。高い電子放出が得られるダ
イヤモンド結晶体積比が5%以上95%以下の電子放出
部に対して、このピーク1とピーク4の位置を詳細に調
べたところ、1180〜1200cm-1と1420〜1
500cm-1にあることが判明した。また、1180〜
1200cm-1あるいは1420〜1500cm-1のど
ちらか一方にしかピークを持たなくても、10mA/c
2以上の電子放出が可能であることを確認した。つま
り、He−Neレーザーを用いRaman分光測定を行った
際、1180〜1200cm-1と1420〜1500c
-1の両方、あるいはどちらか一方にピークが観測され
れば、10mA/cm2以上の高い電子放出密度を得ら
れるという見地に至った。図5にはダイヤモンド結晶1
aの体積比が5%未満と95%を越える場合のラマン分
光測定結果を示す。図5より、電子放出量が十分でない
サンプルには1180〜1200cm-1と1420〜1
500cm-1付近どちらにもピークがないことが判明し
た。
【0023】また、ダイヤモンド結晶1aと微結晶ダイ
ヤモンド2aはCVD法により作製されるため、ダイヤ
モンド結晶1aと微結晶ダイヤモンド2aが成膜される
下部電極は成長ガスのラジカル、イオンに晒される。そ
の結果、下部電極とダイヤモンド結晶1aあるいは微結
晶ダイヤモンド2aとの間にはカーバイトが形成される
(図示せず)。このカーバイト層はnmオーダーの極薄
いものであり、上方に向かうにつれて漸移的にダイヤモ
ンドに変化する。これにより、下部電極とダイヤモンド
結晶1aあるいは微結晶ダイヤモンド2aとの間に電気
的接触が得られ、低電界動作が可能となる。
【0024】また、本実施例の電子放出部は全てダイヤ
モンドで構成されているため、化学的に安定であり、表
面状態の変化も少ないため、長時間安定動作が可能であ
る。具体的には、3000時間以上の連続動作を確認
し、また電流変動量も3%未満であった。
【0025】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図6は、本発明の第2の実施の形態の電界放出型冷陰極
を示した模式的断面図である。ダイヤモンド結晶1bは
電子放出サイトとなる、CVD法によって作製されたダ
イヤモンドであり、その平均粒径は0.5μm以下であ
る。また、ダイヤモンド結晶は、下部電極4bまで到達
しておらず、微結晶ダイヤモンド2bから成長してい
る。微結晶ダイヤモンド2bは電子輸送経路となる、C
VD法によって作製された薄膜である。また、この微結
晶ダイヤモンド2bはダイヤモンド結晶1bと同様、エ
ミッションをするため電子放出サイトとしても機能す
る。
【0026】下部電極4bは電子を供給する電極であ
り、Mo、W、Ni、Fe、Ptなど導電性の基板であ
れば何を用いてもかまわない。また、第1の実施の形態
に示したように、下部電極の下に絶縁板を設けてもよ
い。本実施の形態では、500μm厚のMo基板を下部
電極4bとして用いた。絶縁膜5bは上部電極と下部電
極を電気的に絶縁する膜であり、酸化膜で形成されてい
る。上部電極6bはダイヤモンド結晶1bあるいは微結
晶ダイヤモンド2bから電子を引き出す役割をし、下部
電極に対して正のバイアスが印加される。上部電極6b
には1500ÅのPtを用いた。蛍光板7bは、ダイヤ
モンド結晶1bあるいは微結晶ダイヤモンド2bから放
出された電子が衝突することによって蛍光を発する部材
である。
【0027】ダイヤモンド結晶1bと微結晶ダイヤモン
ド2bの体積比は成膜時のメタン濃度に依存し、メタン
濃度が上がるほど微結晶ダイヤモンド2bの割合が増加
する。そこで、ダイヤモンド結晶1bと微結晶ダイヤモ
ンド2bを成膜する際、まずメタン濃度を高くし、下部
電極4b上に微結晶ダイヤモンド2bを成膜する。次に
メタン濃度比を下げ、ダイヤモンド結晶1bと微結晶ダ
イヤモンド2bが共に成長する条件を使うことにより、
図6に示す第2の実施の形態の電界放出型冷陰極の電子
放出部を作製することができる。
【0028】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図7は、本発明の第3の実施の形態の電界放出型冷陰極
を示した模式的断面図である。ダイヤモンド結晶1cは
電子放出サイトとなる、CVD法によって作製されたダ
イヤモンドであり、その平均粒径は0.5μm以下であ
る。カーボン膜8cは電子輸送経路となる、CVD法に
よって作製された薄膜であり、グラファイト、無定形炭
素、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボ
ン、あるいは炭素化合物からなる。カーボン膜8cとし
てはダイヤモンドライクカーボンを5000Å堆積させ
た。
【0029】絶縁板3cは素子の基板となる部材であっ
て、ガラス、セラミックス、プラスチックなどからな
る。本実施の形態では、絶縁板3cにはガラスを用い
た。下部電極4cは電子を供給する電極であり、スパッ
タ、蒸着等により形成され、Mo、W、Ni、Fe、P
tなど導電性の膜であれば何を用いてもかまわない。本
実施の形態では2000ÅのFeを用いた。絶縁膜5c
は上部電極と下部電極を電気的に絶縁する膜であり、酸
化膜で形成されている。上部電極6cはダイヤモンド結
晶1cあるいはカーボン膜8cから電子を引き出す役割
をし、下部電極4cに対して正のバイアスが印加され
る。本実施の形態では、上部電極6cとしてMoを20
00Å堆積させた。蛍光板7cは、ダイヤモンド結晶1
cあるいはカーボン膜8cから放出された電子が衝突す
ることによって蛍光を発する部材である。
【0030】
【発明の効果】以上のように、本発明の第1の効果は、
高電子放出密度が得られることである。その理由は、電
子放出部となる冷陰極部を、電子放出部として機能する
ダイヤモンド結晶と、電子輸送経路となる微結晶ダイヤ
モンド、グラファイト、無定形炭素、アモルファスカー
ボンあるいはダイヤモンドライクカーボンとから構成し
ているからである。
【0031】本発明の第2の効果は、低電界で電子放出
可能なことである。その理由は、電子放出部となる冷陰
極部をCVD法で作製することにより、下部電極がラジ
カル、イオンに晒されて反応し、界面に極薄いカーバイ
トが形成され、これにより電気的接触を得ることができ
るからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電界放出型冷
陰極を示した模式的断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態で用いた電子放出部
のラマン分光測定結果である。
【図3】ダイヤモンド結晶の体積比と電子放出密度との
関係を示したグラフである。
【図4】高電子放出が得られる冷陰極部のラマン分光測
定と波形分離を行った結果である。
【図5】十分な電子放出が得られない冷陰極部のラマン
分光測定結果である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る電界放出型冷
陰極を示した模式的断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る電界放出型冷
陰極を示した模式的断面図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c・・・・ダイヤモンド結晶 2a,2b・・・・微結晶ダイヤモンド 3a,3c・・・・絶縁板 4a,4b,4c・・・・下部電極 5a,5b,5c・・・・絶縁膜 6a,6b,6c・・・・上部電極 7a,7b,7c・・・・蛍光板 8c・・・・カーボン膜

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出部が結晶ダイヤモンドと微結晶
    ダイヤモンドからなることを特徴とする電界放出型冷陰
    極。
  2. 【請求項2】 電子放出部が結晶ダイヤモンドと微結晶
    ダイヤモンドからなり、かつ、結晶ダイヤモンドが下部
    電極から成長しているとともに、結晶ダイヤモンドの上
    部が微結晶ダイヤモンドからなる層より突出しているこ
    とを特徴とする電界放出型冷陰極。
  3. 【請求項3】 電子放出部の結晶ダイヤモンドの体積比
    [(結晶ダイヤモンド/(微結晶ダイヤモンド+結晶ダ
    イヤモンド))×100]が5%以上95%以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電界放出型冷
    陰極。
  4. 【請求項4】 He−Neレーザー(λ=632.8n
    m)を使い、電子放出部のラマン分光測定を行った際、
    ダイヤモンドである1335cm-1のピークのほかに、
    1150〜1200cm-1と1420〜1500cm-1
    にピークがあることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の電界放出型冷陰極。
  5. 【請求項5】 He−Neレーザー(λ=632.8n
    m)を使い、電子放出部のラマン分光測定を行った際、
    ダイヤモンドである1335cm-1のピークのほかに、
    1150〜1200cm-1にピークがあることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電界放出型冷
    陰極。
  6. 【請求項6】 He−Neレーザー(λ=632.8n
    m)を使い、電子放出部のラマン分光測定を行った際、
    ダイヤモンドである1335cm-1のピークのほかに、
    1420〜1500cm-1にピークがあることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電界放出型冷
    陰極。
  7. 【請求項7】 電子放出部が結晶ダイヤモンドと微結晶
    ダイヤモンドからなり、結晶ダイヤモンドが微結晶ダイ
    ヤモンド膜上に点在することを特徴とする電界放出型冷
    陰極。
  8. 【請求項8】 電子放出部が結晶ダイヤモンドと、グラ
    ファイト、無定形炭素、アモルファスカーボンあるいは
    ダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする
    電界放出型冷陰極。
  9. 【請求項9】 電子放出部が結晶ダイヤモンドと、グラ
    ファイト、無定形炭素、アモルファスカーボンあるいは
    ダイヤモンドライクカーボンからなり、結晶ダイヤモン
    ドの上部がグラファイト、無定形炭素、アモルファスカ
    ーボンあるいはダイヤモンドライクカーボンからなる層
    より突出していることを特徴とする電界放出型冷陰極。
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