JP2001202665A - 高密度磁気記録媒体 - Google Patents

高密度磁気記録媒体

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JP2001202665A
JP2001202665A JP2000010872A JP2000010872A JP2001202665A JP 2001202665 A JP2001202665 A JP 2001202665A JP 2000010872 A JP2000010872 A JP 2000010872A JP 2000010872 A JP2000010872 A JP 2000010872A JP 2001202665 A JP2001202665 A JP 2001202665A
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Tadao Katsuragawa
忠雄 桂川
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基本的にはレーザー光は1種でよく、また、
磁性層は1層で、多値の数値は従来に比較して大幅に大
きな数値が容易に得られ、さらに、磁性層を複数層と
し、レーザー光も磁性層の数と同数とすることが可能な
多値化高密度記録記録媒体を提供する。また、400n
m以下の短波長レーザーを用いた記録再生が可能であ
り、かつ磁気光学効果の波長依存性が少ないために安定
した記録再生が可能であり、更に光の回折が発生しない
ために、光を有効に利用できる多値化高密度磁気記録媒
体を提供する。 【解決手段】 基板上に記録層を設けてなり、該記録層
の1スポットに、ファラデー効果による光の偏光面回転
角を、多値情報として記録・再生する高密度磁気記録媒
体であって、該記録層は、誘電体(G)と透明磁性体
(M)が下記(I)又は(II)のように積層された構造
を有することを特徴とする高密度磁気記録媒体。 {(GM)n(MG)n}m ・・・(I) {(MG)n(2M)(GM)n}m ・・・(II) (但し、m、nは自然数を表し、各G、各Mの膜厚は等
しいものとする)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度磁気記録媒
体に関し、詳しくは単一記録部位(スポット)に多値の
磁気記録をし、その記録部位の透過光の偏光面回転角
を、多段階磁化に対応した多値強度磁気情報として読み
出す高密度磁気記録媒体に関する。
【0002】従来の磁気記録方式としては、代表的なも
のが3種類ある。1つは面内磁気記録方式で、現在のオ
ーディオ、ビデオ、フロッピー、ハードディスクなどに
用いられている。この方式に使用される磁気記録媒体は
面内に磁気異方性を有しており、あまり短い間隔で磁化
すると反磁界が大きくなり、漏れ磁束が媒体外部に出て
こないために、高密度記録には適していない。また、記
録単位は幅が2μm以上と広くないと、出力が弱く、S
/N比が不足するという高密度記録にとって重大な欠点
を有する。
【0003】2つ目は垂直磁気記録方式で、磁気記録媒
体は膜面の垂直方向に磁気異方性を有しており、1記録
単位(ビット)は50nmφ程度としても磁化可能で、
高密度記録に適している。しかし磁気ヘッドと媒体間に
スペースがあると、書き込み時にはそれほど問題となら
ないが(ヘッド磁界が大きいため)、読み出し時には、
媒体からの弱い磁界の検知が必要で、極端にS/Nが低
下するために、媒体表面に強く接触させて再生すると媒
体やヘッドの磨耗が問題となる。
【0004】3つ目は光磁気記録方式で、光磁気ディス
クに用いられている。レーザー光を磁気記録媒体に吸収
させて加熱し、弱い磁界を印加して磁化し、レーザーの
媒体からの反射光の偏光面回転角を2値のデジタル信号
として再生する方法である。
【0005】上記したように、面内磁気記録方式は基本
的に高密度記録に適していないし、垂直磁気記録方式は
高密度磁気記録方式に適しているが、再生時の磨耗の点
で、実用化はまだ先の技術である。光磁気記録方式では
熱磁気記録(ヒートモード)のため、2値(記録の有り
無し、または磁化の方向が+方向か−方向か)以上は困
難である。すなわち記録部位を加熱する場合、加熱温度
や磁界強度を変化させても、何十という多段階の強度変
調記録は困難である。また反射光のカー回転角を用いて
いるが、その角度はせいぜい0.4度程度が現状であ
り、多値化にはあまりにも小さすぎる。それ故高速度に
信号が変化する場合に、現状では検出器の分解能では、
多値に分解して検知することは不可能である。
【0006】そこで最近では1記録層上に記録するので
はなく、多層膜の光磁気記録方式を用いた、多値記録方
法が研究されている。すなわち上の層は光が透過するこ
とを利用している。例えば、第21回日本応用磁気学会
学術講演概要集(1997)第499頁には、将来の大
容量画像メモリーとして、ファラデー効果の波長特性が
異なる、複数の磁性ガーネットを積層して、波長選択性
を持たせ、各層の信号を選択的に読み出す波長多重再生
(磁性層数に応じた波長のレーザーを用いる)が記載さ
れている(NHK)。また、同講演概要集(1997)
第501頁には、同様に大容量メモリーとして、前者が
2層とも磁性ガーネットを用いるのに対して、1層は磁
性ガーネット(透過光のファラデー回転を利用する)を
用い、もう1層は反射用磁性膜(反射光のカー回転を利
用する)を用い、レーザー波長は各層の波長特性から2
波長が選択される多値光磁気記録法が記載されている
(日本大学)。また、本発明者は特開平4−33861
1号公報において、粒子径の異なる強磁性粒子を同一層
内に分散し、粒子径の光吸収特性に応じた複数の波長の
レーザー光で加熱し、ファラデー回転角を個別に読み取
り再生する方法を提案した。
【0007】上記従来技術のうち、NHKおよび日本大
学のものは、いずれも多層構造である。しかも少なくと
も1層は、ファラデー回転(光は透過)を利用するの
で、この層での光吸収により、実用的には3層以上にす
ると光強度が不足するので、3層以上に構成することは
困難である。すなわち、多層構造の光吸収による光強度
不足となる問題がある。またレーザー光は、各層の波長
特性によって選択された複数の波長を用いているが、記
録及び再生ごとに、複数のレーザー光を使い分けること
は実用的ではない。最も重大な欠点は2層で↓↓、↓
↑、↑↓、↑↑の4値、3層は困難であるが、できたと
して、8値と少数に限定されることである。すなわち、
最大でも8値と限定される。基本的に、多値の数値が多
くなればなるほど、光強度不足とレーザー数は増えて実
用上使いづらくなる。また、上記特開平4−33861
1号公報においての提案も同様の課題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記背景に
鑑みてなされたもので、基本的にはレーザー光は1種で
よく、また、磁性層は1層で、多値の数値は従来に比較
して大幅に大きな数値が容易に得られ、さらに、磁性層
を複数層とし、レーザー光も磁性層の数と同数とするこ
とが可能な多値化高密度記録記録媒体を提供することを
その課題とする。また、本発明は、400nm以下の短
波長レーザーを用いた記録再生が可能であり、かつ磁気
光学効果の波長依存性が少ないために安定した記録再生
が可能であり、更に光の回折が発生しないために、光を
有効に利用できる多値化高密度磁気記録媒体を提供する
ことを別の課題とする
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記課
題を解決するため、基板上に記録層を設けてなり、該記
録層の1スポットに、ファラデー効果による光の偏光面
回転角を、多値情報として記録・再生する高密度磁気記
録媒体であって、該記録層は、誘電体(G)と透明磁性
体(M)が下記(I)又は(II)のように積層された構
造を有することを特徴とする高密度磁気記録媒体が提供
される。 {(GM)n(MG)n}m ・・・(I) {(MG)n(2M)(GM)n}m ・・・(II) (但し、m、nは自然数を表し、各G、各Mの膜厚は等
しいものとする)
【0010】また、本発明によれば、上記構成におい
て、該記録層の片面に反射膜が設けられていることを特
徴とする高密度磁気記録媒体が提供される。
【0011】また、本発明によれば、上記構成におい
て、該記録層は、基板面に垂直な磁気異方性を有するこ
とを特徴とする高密度磁気記録媒体が提供される。
【0012】また、本発明によれば、上記構成におい
て、該透明磁性体は、一般式(1)で表されるイットリ
ウム鉄ガーネット又は希土類鉄ガーネットであることを
特徴とする高密度磁気記録媒体が提供される。
【化2】 R3-XXFe5-y12 ・・・(1) (但し、Rはイットリウム又は希土類金属で、該希土類
金属はY、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb及びLuのうちの少なくとも一種以上で
あり、AはBi、Ce、Pb、Ca又はPtであり、B
はAl、Ga、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、
Co、Fe(II)、Cu、Ni、Zn、Li、Si、G
e、Zr及びTiのうちの少なくとも一種以上であり、
0.2<x<2、0≦y<5である)
【0013】また、本発明によれば、上記構成におい
て、最表面に保護膜が設けられていることを特徴とする
高密度磁気記録媒体が提供される。
【0014】さらに、本発明によれば、上記構成におい
て、該基板は、プラスチックフィルムであることを特徴
とする高密度磁気記録媒体が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の高密度磁気記録媒体
について詳述する。本発明の高密度磁気記録媒体は、記
録層の1スポットに、印加磁界の強度に比例した、多段
階強度の内の1種の磁化を記録し、ついで該記録部位に
直線偏光を照射して、透過光の偏光面回転角を、多段階
磁化強度に対応した多値情報として読み出すものであ
り、特に短波長レーザーでの記録再生が可能であり、か
つ磁気光学効果の波長依存性が少なく、また光の利用効
率が高いために、安定した記録再生を可能としたもので
ある。
【0016】従って1つの記録面積には、従来より多値
に応じた倍数の記録が可能となり、同一記録媒体、例え
ば5インチ径のディスクを用いた場合は、同一ディスク
内に数倍の記録が可能になる。8値であれば3倍、16
値であれば4倍、32値であれば5倍である。以下にさ
らに説明を加える。
【0017】本発明の磁気記録媒体は基本的に光、特に
可視域あるいはそれ以上の短波長レーザー光を透過する
か、または反射する。これは磁気記録媒体を透過した、
または反射して2度磁気記録媒体(記録層)を通過し
た、ファラデー回転角による大きな偏光面回転角を用い
るためである。従って磁気記録媒体は、透過または反射
後の偏光面回転角が、従来と大幅に異なり、10度(通
常20度以上)以上あることが重要である。いずれにし
ても従来の磁性材料は、そのままでは10度の回転角を
得た場合、光透過率が大幅に低下してS/N比が不足し
て本発明に利用できない。本発明においては、10度以
上のファラデー回転角を得る記録媒体として、記録層
が、誘電体と磁性体の多層膜によって構成される。
【0018】本発明の磁気記録媒体に対しては、記録は
強度変調した磁界で行い、再現性良く多段階磁気記録
し、再生は該記録部位に照射した直線偏光の、多段階磁
気記録強度に対応した、偏光面回転角を多値情報として
読み取って行うという、記録再生方式を用いる。基本的
には記録再生ヘッドは、記録媒体の一方の側、好ましく
は記録層側に、固定して設けられるのがよい。記録媒体
の記録層側と基板側に、記録と再生のためのヘッドを別
々に配置すると、高密度になるほど位置を合わせること
が困難になるからである。従って本発明では、記録媒体
通過後のフアラデー回転角を読む場合も、反射層を設け
て、光を入射させた側から記録を読み取る構成とする。
【0019】なお、記録時の印加磁界の強度変調は、記
録用ヘッドに用いられるコイルの電流量を変調した方法
等を用いて行う。用いられる強磁性体材料に対して、あ
る一定の磁界強度で一斉に磁気スピンが回転するような
磁界強度およびそれ以上の強度では、いつも一定強度に
記録されるので、多段階磁化を記録することはできな
い。ある磁界強度範囲(利用範囲)では、印加磁界強度
に比例して磁化されることが必要である。この磁界強度
範囲も1Kガウス以下が(用いる材料に因るが)磁気ヘ
ッドがコンパクトに作製できて好ましい。
【0020】本発明では、再生に直線偏光を、膜面に垂
直に入射して用いるために、磁気記録媒体は膜面に垂直
に磁気異方性を有するいわゆる垂直磁気記録媒体が好ま
しい。スピンと光の進行方向が平行であることが、磁気
光学特性上必要の為である。この場合、磁気スピンは膜
面に垂直に上向きと下向きがあるので、偏光面の回転角
は逆となり、2倍の多値が得られると言う本発明特有の
メリットが生ずる。従来技術のところで説明した、従来
の磁束の変化を検知する磁気記録方法では、得られない
効果である。なお、従来のように強磁性体膜を加熱し
て、消磁した状態で磁化する方法では、多段階に再現性
良く磁化できないことは言うまでもない。
【0021】垂直磁気記録媒体の微小面積に、この多段
階の磁化を行うには、垂直磁気ヘッドが好ましい。いわ
ゆる磁気ヘッドからの発生磁界は、膜面に垂直になるこ
とが好ましいからである。最も作製が容易で、高密度に
記録できる垂直磁気ヘッドは、棒状軟磁性体に銅線を巻
いた形状のものである。磁界強度はコイルに流される電
流値によって制御されるが、強磁性体表面と該垂直磁気
ヘッド先端とは、間隔が一定でないと多段階に再現性良
く磁化をすることができない。
【0022】従来このような垂直磁気ヘッドを用いる垂
直磁気記録方式が、実用化を困難にしている理由は、記
録後の再生を垂直磁気ヘッドで行うことが容易で無いこ
とに因る。即ち垂直磁気記録は数十nm径(記録部位の
大きさ)程度まで微小に記録できるが、再生時に記録し
た強磁性体表面と垂直磁気ヘッド先端との間隔の為に、
50nm径程度までしか再生できないし、更に長期に安
定しては、もっと大きな面積しか再生できないという致
命的な欠点によるものである。
【0023】本発明は高密度に記録できる垂直磁気記録
を用い、再生時には磁気記録媒体と接触しない、直線偏
光の偏光面回転角を用いた方法で読み出して、この課題
を解決している。記録と再生方法が異なるのはこの理由
に因るもので、それぞれの方法の良い点を用いているこ
とになる。
【0024】また、本発明では、記録層に、誘電体と磁
性体の多層膜を用いることによって、ファラデー効果を
従来に比べ大幅に増大させている。即ち、本発明の磁気
記録媒体では、記録層は、誘電体(G)と透明磁性体
(M)が下記(I)又は(II)のように積層された構造
となっている。 {(GM)n(MG)n}m ・・・(I) {(MG)n(2M)(GM)n}m ・・・(II) (但し、m、nは自然数を表し、各G、各Mの膜厚は等
しいものとする)
【0025】(I)の構造のものは、誘電体(G)と透
明磁性体(M)を1ペアーとしたものをn個積層すると
ともに、透明磁性体(M)と誘電体(G)を1ペアーと
したものをn個積層し、この組合せをm組重ね合わせて
構成される。nは任意の自然数とすることができるが、
通常1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜
3である。この場合、誘電体(G)の一層の膜厚は5〜
200nm、より好ましくは5〜30nm程度であり、
透明磁性体(M)の一層の膜厚は100〜400nm程
度である。記録層全体の膜厚は100〜10000n
m、より好ましくは100〜1000nmである。ここ
で誘電体(G)と透明磁性体(M)の積層は、GMの次
はMGのように順番が逆になること、即ち磁性体(M)
に対して積層が対称になることが好ましい。このような
構造とするによって、強磁性体特有の波長依存性に応じ
た最大のファラデー効果を有する波長で(ピークを与え
る波長)、直線偏光の偏光面回転角が増大するように設
計できる。図1は(I)のタイプのものでn=1、m=
1の場合で、GMMGとなっている。
【0026】(II)の構造のものは、透明磁性体(M)
と誘電体(G)を1ペアーとしたものをn個積層すると
ともに、その上に透明磁性体(M)を2層分積層し、さ
らにその上に、誘電体(G)と透明磁性体(M)を1ペ
アーとしたものをn個積層し、この組合せをm組重ね合
わせて構成される。nは任意の自然数とすることができ
るが、通常1〜10、好ましくは1〜6、より好ましく
は1〜3である。この場合、誘電体(G)の一層の膜厚
は5〜200nm、より好ましくは5〜30nm程度で
あり、透明磁性体(M)の一層の膜厚は100〜400
nm程度である。記録層全体の膜厚は100〜1000
0nm、より好ましくは100〜1000nmである。
ここで誘電体(G)と透明磁性体(M)の積層は、MG
の次は2Mを介してGMのように順番が逆になること、
即ち磁性体(M)に対して積層が対称になることが好ま
しい。このような構造とするによって、強磁性体特有の
波長依存性に応じた最大のファラデー効果を有する波長
で(ピークを与える波長)、直線偏光の偏光面回転角が
増大するように設計できる。
【0027】本発明において、記録層を構成する透明磁
性層としては、従来一般的に用いられている磁気光学効
果を示す透明磁性材料でよいが、ファラデー回転角が大
きくて、透明性の大きいいわゆる性能指数の大きい磁性
材料が好ましい。例えば50nm以下の粒子径を有す
る、鉄、コバルト、Niなど強磁性金属の超微粒子膜が
用いられる。この場合の金属超微粒子以外の膜組成とし
ては酸素、炭素などである。鉄、コバルト、Niなど強
磁性金属は大きな磁気光学効果を示すが、光の吸収も大
きいためにそのままの薄膜では用いられなかったが、超
微粒子膜とすると大きな性能指数を有するようになる。
また粒子径の制御によって、適当な保磁力を得ることが
できる。他にコバルトフェライト、Baフェライトなど
の酸化物、FeBO3、FeF3、YFeO3、NdFe
3などの複屈折が大きな材料、MnBi、MnCuB
i、PtCoなどがある。
【0028】また、本発明では、できる限り可視光全体
にわたって均一な、かつ大きな性能指数を有する透明磁
性層として、一般式(1)で表されるイットリウム又は
希土類鉄ガーネットを好ましく用いることができる。
【化3】 R3-XXFe5-y12 ・・・(1) (但し、Rはイットリウム又は希土類金属で、該希土類
金属はY、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb及びLuのうちの少なくとも一種以上で
あり、AはBi、Ce、Pb、Ca又はPtであり、B
はAl、Ga、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、
Co、Fe(II)、Cu、Ni、Zn、Li、Si、G
e、Zr及びTiのうちの少なくとも一種以上であり、
0.2<x<2、0≦y<5である) 具体例としては、Bi2.2Dy0.8Fe3.8Al1.212
Ce0.72.3Fe4Co112、Bi1.3Gd0.7Lu1.0
Fe512、Bi1.4Dy1.0Ga0.6Fe412等が挙げ
られる。
【0029】磁気光学効果は、光の進行方向とスピンの
方向とが平行の場合に最も大きな効果が得られるので、
これらの材料は膜面に垂直に磁気異方性を有する膜が好
ましい。これらの透明磁性材料は一般的なスパッタ、真
空蒸着、MBEなどのPVD法やCVD法、メッキ法等
が用いられる。
【0030】本発明において、記録層を構成する誘電体
としては、透明でかつ熱的に安定な物質が適し、例えば
金属や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッ
化物、炭化物、およびこれらの混合物であり、具体的に
はSiO2、SiO、Al2 3、GeO2、In23、T
25、TeO2、TiO2、MoO3、WO3、Zr
2、Si34、AlN、BN、TiN、ZnS、Cd
S、CdSe、ZnSe、ZnTe、AgF、Pb
2、MnF2、NiF2、SiCなどの単体あるいはこ
れらの混合物である。これらの材料の中から透明磁性体
と屈折率を異にする種類を選択すればよい。膜は各種の
PVD、CVD法を用いて作製される。
【0031】ファラデー効果を利用する場合、偏光面回
転角はそのままでは多値信号として用いることは困難で
ある。2個の偏光機能素子を、軸(例えば吸収タイプで
あれば吸収軸)を基準として、相互にθ度回転させる
と、cos(θ)に比例して光強度が低下する。従って
デジタル信号として用いるためには、まず回転角変化
を、偏光素子を通して電気的な強度信号に変換する。さ
らにAD変換器を用いてデジタル信号に変換する方法が
用いられる。
【0032】本発明による効果の一例を示す。磁気記録
媒体を記録前に−磁界印加しておく。記録部位への磁界
の+印加に因って、回転角が+10度の場合(ファラデ
ー効果を反射させて用いた場合は、光の媒体内往復によ
って+20度となる)、未記録部位との差異は±20度
となる。回転角の検出分解能は少なくても2度以下であ
るので、40値以上が可能となる。但し回転角が0度と
90度に近い場合は、線形応答性が低いので若干上記よ
り低い値となる。
【0033】本発明の磁気記録媒体において、基板(支
持体)には、石英ガラス、サフアイア、結晶化透明ガラ
ス、パイレックスガラス、Al23、MgO、BeO、
ZrO2、Y23、ThO2・CaO、GGG(ガドリニ
ウム、ガリウム、ガーネット)などの無機透明材料やM
MA、PMMA、ポリカーボネート、ポリプロピレン、
アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリア
リレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、
エポキシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素
化ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレ
フィン系樹脂、ナイロン樹脂などの透明プラスチックフ
ィルムが用いられる。ポリイミドフィルムのように透明
性は劣るが耐熱性が高いようなプラスチックフィルムも
利用できる。プラスチックフィルムを用いると、軽い、
曲げやすい等の利点が有るので利用しやすい。反射膜を
用いる場合は、基板は透明でなくても良く、任意の有機
材料、無機材料が用いられる。但し表面は平滑でなけれ
ば、磁化を多段階に再現性良く記録することができな
い。
【0034】反射層としては、PVD法で設けられたA
l、Cu、Ag、Au、Pt、Rh、Al23、SiO
2、TeC、SeAs、TiN、TaN、CrNなどの
薄膜が用いられる。反射層の膜厚は50〜2000n
m、より好ましくは100〜1000nm程度である。
【0035】偏光子層としては、各種の市販の偏光フィ
ルムやビームスプリッターを用いた高透過率偏光子等が
用いることができる。偏光フィルムには大別して多ハロ
ゲン偏光フィルム、染料偏光フィルム、金属偏光フィル
ムなどがある。より好ましくはニコルプリズム、グラン
・トムソンプリズム、グラン・フーコープリズム、グラ
ン・テーラープリズムロションプリズム、ウォーラスト
ンプリズムおよびこれらを適宜併用して用いることがで
きる。また最近では人為的に波長オーダーの周期的微細
構造を設けた、構造性複屈折偏光子や、また薄膜を積層
して作製した、反射型薄膜偏光子等が適用可能である
が、これらに限定されるものではない。
【0036】誘電体膜と磁性体の多層膜の最表面層に
は、傷や剥離などの損傷を防止するために保護膜を設け
ることが、デバイスの耐久性の点から好ましく、Sn
S、SiO、SiO2、ITO、ZrC、TiC、Mg
2、MgO、BeO、ZrO2、Y23、Al23、A
23/Ta25、SiAlON、AlN、Si34
SiCN:Hなどが用いられる。有機樹脂保護膜として
は、重合性モノマーおよびオリゴマーを主成分とする光
硬化性樹脂組成物や、熱光硬化性樹脂組成物を用いるこ
とができる。膜厚は50〜1000nmが望ましい。
【0037】本発明の記録再生に用いるヘッドにおける
高透磁率コアに用いる軟磁性材料としては、従来より多
用される、純鉄、珪素鋼、鉄やニッケルおよびコバルト
との各種合金(Fe−Si−B系、Co−Fe−Si−
B系)などが用いられる。特に本発明の目的には、これ
ら鉄とニッケルで構成されるパーマロイと言われる物
が、好適に用いられる。透磁率は1000以上もしくは
10000以上が良い。
【0038】
【実施例】以下に実施例によって詳しく説明する。
【0039】実施例1 (請求項1〜6に対する実施例:式(I)においてn=
1、m=3の場合)オクタミス・ヒドリドシルセスキオ
キサンとビス・フェニルエチレン・ベンゼンの共重合体
を白金触媒を使って常温常圧で作製した。この共重合体
は溶媒に溶かして石英ガラス基板に塗布した後、これを
乾燥して100μm厚とし剥離して透明な支持体に加工
した。この支持体は容易に手で曲げることができる。こ
の支持体上に、真空蒸着法を用いて200nm厚のアル
ミニウムの反射膜を設けた。次にスパッタ法を用いて、
SiO2膜(屈折率n=1.47)を88nm、ついで
Bi置換希土類鉄ガーネット膜(n=2.05)を12
6nm、更にその上にSiO2膜を88nmの各厚みに
作製した。以上の透明磁性層と誘電体層の構成を1ペア
ーとして、3ペアー合計9層積層した。基板温度は30
0℃、投入電力200W、ガス圧力は共に7.0Pa
(Ar:O2=9:1)であった。製膜レイトはSiO
2 の場合、2nm/秒、Bi置換希土類鉄ガーネット
膜の場合0.5nm/秒であった。更にスパッタ法を用
いて、以上で作製した多層膜の上に、保護膜としてSi
34を1μm厚に作製した。各膜の膜厚分布は、最も厚
いところと薄いところの差異が、全膜厚の3%であっ
た。ついでこの基板上の膜を、650℃(空気中)で3
時間加熱してBi置換希土類鉄ガーネット膜を結晶化し
た。支持体には特別な変化はなかった。膜の組成はBi
2.2Dy0.8Fe3.8Al1.212であった。磁気光学効果
測定装置(日本分光株製K250、ビーム径2mm角)
で測定したファラデー回転角の波長依存性から、ピーク
(波長520nm)の半値幅を求めると19nmであっ
た。ピークのファラデー回転角は22度であった。VS
Mで磁界を膜面に垂直に印加して測定した保磁力は56
0 Oeであった。以上の膜構成物の記録層側から図2
に示すように記録再生ヘッドの記録部を用いて、記録層
に記録した。記録部の軟磁性コアによる磁界強度が、記
録層に置いて0.5、0.75、1.0Kガウスとなる
ように3段階に変化させて記録した。この場合の図2の
L(記録再生ヘッドと保護層の距離)は約50nmであ
った。記録したスポットの大きさは0.5×0.5μm
であった。同様にして作製した別の記録層に、±0.
5、±0.75、±1.0Kガウスとなるように6段階
に変化させて記録した場合、磁気光学効果測定装置で測
定したファラデー回転角(ゼロ磁界)は直線的に増大し
た。520nmのレーザー光を、上記磁気記録スポット
に照射して、ファラデー回転角を測定したところ、±
0.5、±0.75、±1.0Kガウスに対応して、比
例関係にあった。このように、磁気記録媒体の1スポッ
トに、印加磁界の強度に比例した、多段階強度の内の1
種の磁化を記録し、該記録部位に直線偏光を照射して、
光の偏光面回転角を多値情報として読み出すことができ
た。
【0040】実施例2 (請求項1〜6に対する実施例:式(II)においてn=
2、m=1の場合)実施例1と同様にして作製した支持
体の上に、真空蒸着法を用いて200nm厚のアルミニ
ウムの反射膜を設けた。次にスパッタ法を用いて、まず
Bi置換希土類鉄ガーネット膜(n=2.05)を63
nm、ついでSiO2膜(屈折率n=1.47)を88
nmの厚みにして作製した。以上の透明磁性層と誘電体
膜の構成を1ペアーとして、2ペアー合計4層積層し
た。更にその上にBi置換希土類鉄ガーネット膜(n=
2.05)を126nmの厚みにして作製した。この透
明磁性層の上に、上記透明磁性層と誘電体膜の構成のペ
アーを、2ペアー合計4層積層した。但し積層順は逆で
SiO2膜を先とした。従って最上層はBi置換希土類
鉄ガーネット膜である。更にスパッタ法を用いて、以上
で作製した多層膜の上に、保護膜としてSi34を1μ
m厚に作製した。基板温度、投入電力、ガス圧力などの
製膜条件は実施例1とまったく同じとした。ついでこの
基板上の膜を、650℃(空気中)で3時間加熱してB
i置換希土類鉄ガーネット膜を結晶化した。支持体には
特別な変化はなかった。ファラデー回転角の波長依存性
から、ピーク(波長520nm)の半値幅を求めると3
4nmであった。ピークのファラデー回転角は22度で
あった。VSMで磁界を膜面に垂直に印加して測定した
保磁力は590 Oeであった。以上の膜構成物の磁性
側から、実施例1と同様にして、記録再生ヘッドの記録
部を用いて磁性層に記録した。記録部の軟磁性コアによ
る磁界強度が、磁性層において±0.5、±0.75、
±1.0Kガウスとなるように6段階に変化させて記録
した。再生ヘッドのレーザー光波長を520nmとし
て、上記磁性層(Bi2.2Dy0.8Fe3.8Al1.212
のスポットに照射して、ファラデー回転角を測定した。
±0.5、±0.75、±1.0Kガウスに対応して、
比例関係にあった。ついで実施例1と同様にして、記録
再生ヘッドの電流値を増加させて、磁性層に記録した。
記録部の軟磁性コアによる磁界強度が、磁性層に置いて
±2.5、±3.0、±3.5Kガウスとなるように
6段階に変化させて記録した。再生ヘッドのレーザー光
波長を633nmとして、上記磁性層(Bi2.2Dy0 .8
Fe3.8Al1.212)のスポットに照射して、ファラデ
ー回転角を測定したところ、±2.5、±3.0、±
3.5Kガウスに対応して、比例関係にあった。この結
果から、ファラデー効果の波長依存性が異なる複数層に
おいて、磁気記録媒体の1スポット(媒体上面からみ
て)に、印加磁界の強度に比例した、多段階強度の内の
1種の磁化を記録し、該記録部位に直線偏光を照射し
て、光の偏光面回転角を多値情報として読み出すと、単
層の場合よりも大きな記録密度が得られることがわかっ
た。
【0041】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、磁気記録媒体
の1スポットに、ファラデー効果による光の偏光面回転
角を、多値情報として記録・再生する磁気記録媒体にお
いて、誘電体と透明磁性体の多層膜によって構成したの
で、同一スポットに多値記録が可能となり、高密度、大
容量のメモリーが製作可能となった。請求項2の発明に
よれば、高密度磁気記録媒体の片面に反射膜を設け、反
射光で再生できるようにしたので、回転角が増大してS
/N比の高い多値記録が可能となった。また記録再生ヘ
ッドを一方の側に配置する事ができて、装置としてコン
パクトになり、トラッキングなど記録再生手段が簡便に
することができた。請求項3の発明によれば、基板面に
垂直な磁気異方性を有する磁気記録媒体を用いたので、
光再生時に光との相互作用が強まり、回転角が増大して
S/N比の高い多値記録が可能となった。請求項4の発
明によれば、透明磁性体はイットリウム鉄ガーネット又
は希土類鉄ガーネットの薄膜を用いるようにしたので、
可視光域全体にわたって均一な、かつ大きな性能指数を
有するようになり、より明るいかつS/N比の高い多値
記録が可能となった。請求項5の発明によれば、磁気記
録媒体多層膜の最表面には保護膜を設けたので、繰り返
し使用に対する耐久性が向上した。請求項6の発明によ
れば、基板にはプラスチックフィルムを用いたので、軽
い、曲げやすい等大幅に利便性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気記録媒体の構成例を示す図で
ある。
【図2】記録再生の説明図である。
【符号の説明】
a 基板(支持体) b 誘電体層 c 磁性体層 d 保護層 1 基板 2 反射膜 3 記録層 4 保護層 10 記録・再生ヘッド 11 対物レン
ズ 12 コイル 13 磁性体コ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 531 G11B 11/105 531P

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に記録層を設けてなり、該記録層
    の1スポットに、ファラデー効果による光の偏光面回転
    角を、多値情報として記録・再生する高密度磁気記録媒
    体であって、該記録層は、誘電体(G)と透明磁性体
    (M)が下記(I)又は(II)のように積層された構造
    を有することを特徴とする高密度磁気記録媒体。 {(GM)n(MG)n}m ・・・(I) {(MG)n(2M)(GM)n}m ・・・(II) (但し、m、nは自然数を表し、各G、各Mの膜厚は等
    しいものとする)
  2. 【請求項2】 該記録層の片面に反射膜が設けられてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の高密度磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 該記録層は、基板面に垂直な磁気異方性
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高密
    度磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 該透明磁性体は、一般式(1)で表され
    るイットリウム鉄ガーネット又は希土類鉄ガーネットで
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記
    載の高密度磁気記録媒体。 【化1】 R3-XXFe5-y12 ・・・(1) (但し、Rはイットリウム又は希土類金属で、該希土類
    金属はY、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
    r、Tm、Yb及びLuのうちの少なくとも一種以上で
    あり、AはBi、Ce、Pb、Ca又はPtであり、B
    はAl、Ga、Cr、Mn、Sc、In、Ru、Rh、
    Co、Fe(II)、Cu、Ni、Zn、Li、Si、G
    e、Zr及びTiのうちの少なくとも一種以上であり、
    0.2<x<2、0≦y<5である)
  5. 【請求項5】 最表面に保護膜が設けられていることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高密度
    磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 該基板は、プラスチックフィルムである
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の
    高密度磁気記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006517297A (ja) * 2003-01-24 2006-07-20 ベックマン コールター,インコーポレイティド 粒子のキャラクテリゼーションを行なうための偏光散乱強度差の取り出し
JP2009099192A (ja) * 2007-10-16 2009-05-07 Tohoku Univ 情報記録媒体、情報再生方法、情報記録方法、情報記録及び/又は再生装置

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