JP2001200037A - 全芳香族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

全芳香族ポリエステルの製造方法

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JP2001200037A
JP2001200037A JP2000010405A JP2000010405A JP2001200037A JP 2001200037 A JP2001200037 A JP 2001200037A JP 2000010405 A JP2000010405 A JP 2000010405A JP 2000010405 A JP2000010405 A JP 2000010405A JP 2001200037 A JP2001200037 A JP 2001200037A
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dicarboxylic acid
carbon atoms
aromatic polyester
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Hiroshi Sakurai
博志 櫻井
Takanori Miyoshi
孝則 三好
Shunichi Matsumura
俊一 松村
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ジカルボン酸を酸性分としビスフェノ
ール類を芳香族ジオール成分とする高品質の非晶性の全
芳香族ポリエステルを、溶融重合により生産性よく製造
する方法を提供する。 【解決手段】 芳香族ジカルボン酸とビスフェノール類
とをジアリールカーボネートの共存下に加熱溶融反応さ
せて、非晶性芳香族ポリエステルを製造するに当り、触
媒として、下記式で示されるチタン化合物 Ti(OR6n(OR7m ……… (IV) [上記式(IV)中、R6は、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6
〜12のアラルキル基から選ばれる。R7は炭素数6〜
12のアリール基から選ばれる。なお、n、mは0また
は1〜4の整数であって、n+m=4となる数であ
る。]を使用して反応を行い、固有粘度[フェノール/
1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比
60/40)中、35℃で測定]が0.3以上の非晶性
芳香族ポリエステルを生産性よく製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全芳香族ポリエス
テルの製造方法に関する。さらに詳しくは、耐熱性、靭
性、機械的特性に優れた非晶性全芳香族ポリエステルを
効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、耐熱性が高く機械的強度の優れた
エンジニアリングプラスチックスに対する要求性能が高
まっている。耐熱性の非晶性エンジニアリングプラスチ
ックスの1つとして、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオ
ール(芳香族ジヒドロキシ化合物)とに由来するポリエ
ステルである非晶性全芳香族ポリエステル(以下「ポリ
アリレート」と称することがある)がよく知られてい
る。
【0003】例えば、芳香族ジオールとして2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノ
ール類を用い芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸と
イソフタル酸を用いて合成された非晶性ポリアリレート
は、比較的バランスのとれた特性を有しており、各種の
用途に用いられている。
【0004】これら非晶性ポリアリレートの製造方法に
ついては、従来種々の研究が行なわれ、その中で芳香族
ジカルボンの酸ハロゲン化物と芳香族ジオールとの界面
重縮合法が工業化されている。しかしながら、この界面
重縮合法で反応溶媒として通常用いられている塩化メチ
レンは、環境、衛生上の問題がある化学物質であり、そ
の取り扱いに十分な注意が必要である。しかし、その沸
点が40℃と非常に低いため、ポリアリレートの製造時
に使用した塩化メチレンを完全にリサイクルできる閉鎖
系にするには多大の費用がかかる。
【0005】そこで、これらのポリアリレートを溶融重
合法によって製造する方法が検討されている。しかしな
がら、芳香族ジカルボン酸とビスフェノール等の芳香族
ジオールとから直接溶融重合法でポリマーを得ようとす
ると、芳香族ジカルボン酸の溶解性が低いため、反応を
高温で行なわなければならず、しかも反応に長時間を必
要とする。また、重合反応中、昇華物を生じ、それらの
除去に多大の費用を必要とする。
【0006】それゆえ、実際にポリアリレートを製造す
るには、あらかじめ芳香族ジカルボン酸成分のジアリー
ルエステルと芳香族ジオールとを反応させる方法(1)
や、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級脂肪族
ジカルボン酸エステルとを反応させる方法(2)、さら
には、方法(2)の別方法として、芳香族ジカルボン酸
と芳香族ジオールとを反応させる際に低級脂肪族カルボ
ン酸無水物を加える方法(3)等が採用されている。し
かし、上記の方法(1)、(2)では原料をあらかじめ
エステル化せねばならず、コスト高の原因となってい
る。また、方法(2)、(3)では反応中に低級脂肪族
カルボン酸が生じるため装置の腐食が生じやすく、また
得られるポリマーの末端COOH濃度が高い等の問題が
ある。
【0007】この問題を解決する手段として、芳香族ジ
カルボン酸と芳香族ジオールにジアリールカーボネート
を加えて反応させる方法が提案されている。この方法
は、従来ジアリールカーボネートが高価であったことか
ら、工業的には殆ど検討されていなかったが、近年ジア
リールカーボネートが比較的安価に供給されるようにな
り、工業的に有効な製造方法の一つになろうとしてい
る。
【0008】その製造方法として、特開平7−1333
45号公報には、特定のピリジン系触媒を用いること
で、比較的低温で反応させ、さらに昇華物を生じること
なく、また、上記(1)、(2)、(3)の全芳香族ポリ
エステル製造法の問題点をも解決し得る方法が開示され
ている。しかし、この方法にしても、ピリジン系触媒の
活性が十分満足できる程に高度ではなく、効率的に非晶
性ポリアリレートを得る上での重合速度が十分でない。
このため、さらなる改良が期待されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、芳香
族ジカルボン酸と芳香族ジオール成分とをジアリールカ
ーボネートの存在下で反応させる方法により非晶性ポリ
アリレートを製造する方法における上述の問題点を解決
した新規な製造方法を提供することにある。さらに具体
的には、芳香族ジカルボン酸や芳香族ジオール成分をあ
らかじめエステル化することなく、ジアリールカーボネ
ートが存在する反応系で、極微量の単一触媒存在下、直
接加熱溶融反応させることにより、耐熱性、靱性、機械
的特性に優れた非晶性ポリアリレート(すなわち非晶性
全芳香族ポリエステル)を、工業的に安価にさらに高反
応速度で生産性良く製造し得る方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記のごとき本発明の目
的は、
【0011】
【化5】 HOOC−Ar1−COOH ……… (I) [上記式(I)中のAr1は、置換されていてもよい2
価の芳香族基である。]で示される芳香族ジカルボン酸
成分(a)と下記式(II)
【0012】
【化6】 HO−Ar2−X−Ar3−OH ……… (II) [上記式(II)中のAr2、Ar3は、それぞれ独立に、
置換されていてもよいフェニレン基であり、Xは、
【0013】
【化7】
【0014】(ここで、R1、R2、R3およびR4は、そ
れぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6
のアルキル基、炭素数5または6のシクロアルキル基、
炭素数6〜12のアリール基および炭素数6〜12のア
ラルキル基から選ばれる。qは4〜10の整数を示
す。)である。]で示される芳香族ジオール成分(b)
とジアリールカーボネート(c)とを、加熱溶融反応せ
しめて、固有粘度[フェノール/1,1,2,2−テトラ
クロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、35℃
で測定]が0.3以上の非晶性芳香族ポリエステルを製
造方法において、上記加熱溶融反応を、下記式(IV)
【0015】
【化8】Ti(OR6n(OR7m ……… (IV) [上記式(IV)中、R6は、炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6
〜12のアラルキル基から選ばれる。R7は、炭素数6
〜12のアリール基から選ばれる。n,mは、それぞれ
0または1〜4の整数であって、n+m=4となる数で
ある。]で示される少なくとも1種のチタン化合物の存
在下で反応を行うことを特徴とする、全芳香族ポリエス
テルの製造方法によって達成される。
【0016】このような本発明の方法では、芳香族ジカ
ルボン酸成分(a)、芳香族ジオール成分(b)および
ジアリールカーボネート(c)を、下記式(1)、
(2)
【0017】
【数3】 0.1≦A/B≦1.1 ……… (1) 0.8≦(A+B)/C≦1.2 ……… (2) [上記数式(1)(2)中、Aは芳香族ジカルボン酸成
分(a)、Bは芳香族ジオール成分(b)、Cはジアリ
ールカーボネート(c)の各モル数である。]を同時に
満足するモル割合で使用する方法が好適に採用され、さ
らには、下記式(3)、(4)
【0018】
【数4】 0.95≦A/B≦1.05 ……… (3) 1.8≦C/A≦2.2 ……… (4) [上記数式(3)(4)中、Aはジカルボン酸成分
(a)、Bは芳香族ジオール成分(b)、Cはジアリー
ルカーボネート(c)の各モル数である。]を同時に満
足するモル割合で使用する方法が、好ましく実施され
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る非晶性全芳香
族ポリエステルの製造方法について詳細に説明する。本
発明の方法において用いられる芳香族ジカルボン酸
(a)は、下記式(I)で表わされるものである。
【0020】
【化9】 HOOC−Ar1−COOH ……… (I) [上記式(I)中のAr1は、芳香核の水素の一部また
は全部が塩素、臭素等のハロゲン原子あるは炭素数1〜
3の低級アルキル基等で置換されていてもよい、2価の
芳香族基である。] 上記の芳香族基としては、フェニレン基またはナフチレ
ン基が好ましいが、2個の芳香核が−O−や−SO2
を介して結合したものでもよい。
【0021】このような芳香族ジカルボン酸成分として
は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、メチルテレ
フタル酸、メチルイソフタル酸、ナフタレン−2,6−
ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジ
フェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等を挙げることが
できる。これらの芳香族ジカルボン酸は単独で用いて
も、複数を同時に用いてもよい。良好な非結晶性ポリマ
ーを得る上で、特に、テレフタル酸とイソフタル酸を同
時に用いることが望ましい。
【0022】一方、本発明の方法で用いられるジオール
成分(b)は、下記式(II)で表わされるものである。
【0023】
【化10】 HO−Ar2−X−Ar3−OH ……… (II) 上記式(II)中のAr2、Ar3は、それぞれ独立に、ベ
ンゼン核の水素の一部または全部が塩素、臭素等のハロ
ゲン原子あるいは炭素数1〜3の低級アルキル基等で置
換されていてもよい、フェニレン基である。また、X
は、次の2つの式で表わされるアルキレン基またはシク
ロアルキレン基のいずれかである。
【0024】
【化11】
【0025】(上記式中、R1およびR2は、それぞれ独
立に、水素原子、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル
基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5
または6のシクロアルキル基、あるいはフェニル基、ナ
フチル基、トシル基等の炭素数6〜12のアリール基も
しくはベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基から
選ばれる。)
【0026】
【化12】
【0027】(上記式中、R3,R4は、それぞれ独立
に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プ
ロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等の炭素数5または6のシクロ
アルキル基、フェニル基、ナフチル基、トシル基等の炭
素数6〜12のアリール基およびベンジル基、フェネチ
ル基等の炭素数6〜12のアラルキル基から選ばれる。
qは4〜10の整数を示す。)
【0028】このような芳香族ジオール成分(b)とし
ては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−2−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン等が例示され、これらのうち、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが好まし
い。これらの芳香族ジオール成分も、1種のみで使用し
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】本発明の方法では、生成するポリマーの性
質を損なわない範囲(例えば、15モル%以下)で、上
記の芳香族ジオール成分の一部を、ハイドロキノン、
4,4−ジヒドロキシビフェニル等の他の芳香族ジオー
ル成分と置き換えてもよい。
【0030】また、本発明の方法で用いられるジアリー
ルカーボネート(c)は、例えば、下記式(III)で表
される化合物である。
【0031】
【化13】
【0032】[上記式中(III)の2個のR5は、それぞ
れ、互いに同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原
子、水酸基、カルボキシル基、エステル基、炭素数1〜
6のアルコキシル基、あるいは炭素数1〜6のアルキル
基から選ばれる。]
【0033】このようなジアリールカーボネート(c)
としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジ−p−
トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネ
ート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジナフチル
カーボネート等が挙げられるが、これらのうちでもジフ
ェニルカーボネートが特に好ましい。これらのジアリー
ルカーボネートは芳香核を構成する水素原子の一部また
は全部が塩素、臭素等のハロゲン原子あるいは炭素数1
〜3の低級アルキル基等で置換されていてもよい。
【0034】また、これらのジアリールカーボネートは
単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】本発明の方法において、上記の化合物
(a)、(b)および(c)は、下記2つの関係式
【0036】
【数5】 0.1≦A/B≦1.1 ……… (1) 0.8≦(A+B)/C≦1.2 ………(2) [式中、Aは芳香族ジカルボン酸成分(a)、Bは芳香
族ジオール成分(b)、Cはジアリールカーボネート
(c)の各モル数である。]が同時に成立するようなモ
ル割合で使用することが好ましい。
【0037】ここで、上記式(1)は芳香族ジカルボン
酸成分(a)と芳香族ジオール成分(b)との仕込みモ
ル比を表わしている。この比(A/B)が1に近いと
き、具体的には、0.95≦A/B≦1.1のとき、好
ましくは0.95≦A/B≦1.05のとき、得られる
ポリマーは実質的に下式(V)
【0038】
【化14】
【0039】[式(V)中、Ar1は式(I)中のAr1
に同じ。Ar2,Ar3,Xは、それぞれ、式(II)中の
Ar2,Ar3,Xに同じ。]で表わされる繰り返し単位
からなる全芳香族ポリエステルとなる。
【0040】一方、芳香族ジカルボン酸成分(a)が芳
香族ジオール成分(b)より少ないとき、具体的には、
0.1≦A/B<0.95のとき、とりわけ好ましくは
0.2≦A/B<0.95のとき、得られるポリマーは
上記式(V)で表わされる繰り返し単位と下記式(VI)
【0041】
【化15】
【0042】[式(VI)中、Ar2,Ar3,Xはそれぞ
れ式(II)中のAr2,Ar3,Xに同じ。]で表わされ
る繰り返し単位とからなる全芳香族ポリエステル、実質
的には全芳香族ポリエステルカーボネート、となる。し
たがって、本発明で言う「全芳香族ポリエステル」とは
一部に(例えば50モル%以下の割合で)ポリカーボネ
ート繰り返し単位を含むものも包含する。
【0043】上記モル比(A/B)が0.1より小さい
と、得られるポリマーの耐熱性が低下することがある。
また、モル比(A/B)が1.1より大きいと、ポリマ
ーの重合度が上がり難くなるので、好ましくない。本発
明者らの研究では、上記式(1)において、0.2≦A
/B≦1.05の範囲が特に好適であることが判明して
いる。
【0044】一方、上記式(2)は、ジアリールカーボ
ネート(c)に対する芳香族ジカルボン酸成分(a)と
芳香族ジオール成分(b)との和のモル比を表わしてい
る。この比(A+B)/Cが0.8より小さいと生成す
るポリマーの重合が遅くなり易く、また、1.2より大
きいと得られるポリマーの着色が激しくなるので、何れ
も好ましくない。上記式(2)において、0.9≦(A
+B)/C≦1.15の範囲が特に好適である。
【0045】本発明の方法では、さらに、上記の化合物
(a)、(b)および(c)を、下記2つの関係式
【0046】
【数6】 0.95≦A/B≦1.05 ……… (3) 1.8≦C/A≦2.2 ……… (4) [式中、Aは芳香族ジカルボン酸成分(a)、Bは芳香
族ジオール成分(b)、Cはジアリールカーボネート
(c)の各モル数である。]が同時に成立するようなモ
ル割合で使用することにより、上記式(V)の繰返し単
位を有する全芳香族ポリエステルを好適に製造すること
ができる。
【0047】上記式(3)は最終的に得られるポリエス
テル中の芳香族ジカルボン酸成分(a)と芳香族ジオー
ル成分(b)との比が実質的に1となるために必要であ
る。また、上記式(4)におけるジカルボン酸成分
(a)とジアリールカーボネート(c)とのモル比(C
/A)は、重合速度およびポリマー着色の観点から好ま
しい範囲である。このモル比が1.8より小さいと重合
が遅くなり好ましくない。また、2.2より大きいと得
られるポリマーの着色が激しくなるので好ましくない。
特に好ましいモル比は、1.85≦C/A≦2.15の
範囲である。
【0048】本発明の方法は、上記化合物(a)、
(b)および(c)を、下記式(IV)で表わされる特定
のチタン化合物の存在下で加熱溶融反応させることを最
大の特徴とする。
【0049】
【化16】 Ti(OR6n(OR7m ……… (IV)
【0050】上記(IV)式中のR6は、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数
1〜6のアルキル基、または、例えばシクロペンチル
基、シクロへキシル基等の炭素数5〜10のシクロアル
キル基、または、例えばベンジル基、フェネチル基等の
炭素数6〜12のアラルキル基等から選ばれる1価の有
機基である。また、R7は、例えばフェニル基、ナフチ
ル基、トシル基等の炭素数6〜12のアリール基から選
ばれる1価の有機基である。そして、n、mは、それぞ
れ0または1〜4の整数であって、n+m=4となる数
である。なお、R7 のアリール基の芳香核の水素原子の
一部又は全部が水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カル
ボキシル基、エステル基、炭素数1〜6のアルコキシル
基、あるいは炭素数1〜6のアルキル基で置換されてい
てもよい。]
【0051】上記式(IV)で示されるチタン化合物の具
体例としては、例えば、テトラフェノキシチタン、ブト
キシトリフェノキシチタン、ジブトキシジフェノキシチ
タン、テトラブトキシチタン、テトラクレゾキシチタ
ン、エトキシトリクレゾキシチタン、ジエトキシジクレ
ゾキシチタン等を例示できるが、これらのうち、テトラ
フェノキシチタン、テトラブトキシチタンが特に好まし
い。
【0052】これらのチタン化合物は優れた触媒活性を
有し、単独で使用しても十分に効果を発揮するが、必要
に応じ2種以上併用しても差し支えない。
【0053】この反応においては、初めは主としてジア
リールカーボネート(c)が芳香族ジカルボン酸成分
(a)および芳香族ジオール成分(b)と反応してフェ
ノール類を生じる。一般に、芳香族ジカルボン酸は溶解
性が低いため、この初期の反応が開始されるには高温を
要し、また初期反応が終結する迄には長時間を必要とす
る。しかし、上記のような特定のチタン化合物を用いる
と、予想外にも、この初期のフェノール類の発生が非常
に低温で、しかも短時間で終了する。さらに、上記チタ
ン化合物は、芳香族ジカルボン酸成分および芳香族ジオ
ール成分とジアリールカーボネートの反応において良好
な触媒として働くだけではなく、反応後期ではエステル
交換触媒としても作用し、従来公知のエステル交換触媒
を用いることなく、目的とする全芳香族ポリエステルを
製造することができる。
【0054】しかも、触媒として上記チタン化合物(I
V)を用いると、反応中に生じる昇華物の量が著しく減
少して品質の向上したポリマーを製造することが可能と
なる。上記チタン化合物(IV)の使用量は、いわゆる触
媒量でよいが、上記成分(a)に対して、0.0000
01モルから0.02モルが好ましく、0.00000
5モルから0.0005モルがさらに好ましい。この化
合物は触媒活性が優れているため、従来公知のピリジン
系化合物触媒に比べて少量の使用ですむという利点を有
する。
【0055】本発明の方法において、上記触媒の存在下
で加熱重合する際の重合温度は、280〜400℃とす
るのが適当である。ここで重合温度とは、重合後期ある
いはその終了時における反応系の温度を意味する。重合
温度が280℃より低いとポリマーの溶融粘度が高くな
るため高重合度のポリマーを得ることができず、また4
00℃よりも高いとポリマー劣化等が生じやすくなるの
で、好ましくない。
【0056】本発明の方法では、重合反応温度の初期は
比較的低温とし、これを徐々に昇温して最終的に上記重
合温度にすることが好ましい。この際の初期重合反応の
重合温度は、好ましくは180〜320℃である。この
重合反応は常圧下もしくは減圧下で実施されるが、初期
重合反応時は常圧下とし、徐々に減圧とすることが好ま
しい。また、常圧時には、反応系は、窒素、アルゴン等
の不活性ガス雰囲気下とすることが好ましい。重縮合反
応時間は特に制限はないが、およそ0.3〜10時間程
度である。
【0057】上述の方法では、得られる全芳香族ポリエ
ステルの重合度が、フェノール/1,1,2,2−テトラ
クロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、35℃
にて測定した固有粘度にして0.3以上となるまで反応
させることが必要である。固有粘度が0.3より低いと
得られるポリマーの耐熱性、靱性が不十分であり、好ま
しくない。一方、実用上、ポリマーの固有粘度の上限は
2.0程度が好ましい。
【0058】なお、本発明の方法では、上記各成分
(a)(b)(c)を反応の当初から同時に反応容器に
仕込むのが好ましいが、モル当量分のジアリールカーボ
ネートを反応開始から数回に分けて反応容器に導入する
ことも可能である。
【0059】上述のごとき本発明の方法により得られる
全芳香族ポリエステルは、非晶性ポリマーであり、これ
を用いて例えば射出成形等の溶融成形法により透明な成
形品を得ることができる。そして、本発明の方法により
得られるポリマーが非晶性であることは、例えばDSC
によりその融点が得られない等から確認することができ
る。
【0060】上記の全芳香族ポリエステルは、その製造
時あるいは製造後、必要に応じて安定剤、着色剤、顔
料、滑剤等の各種添加剤を添加しても差し支えない。
【0061】
【発明の効果】以上のような本発明の方法によれば、耐
熱性、靱性、機械的特性に優れた非晶性全芳香族ポリエ
ステルを、あらかじめジカルボン酸成分やジオール成分
をエステル化することなく、直接ジカルボン酸とジオー
ルから、安価な溶融重合プロセスにより、高反応速度で
かつ昇華物がほとんど生じることなく得ることができ
る。そして、従来のピリジン系化合物触媒を使用する方
法に比べ重合速度を上げることが可能となり、かつ触媒
の使用量も少量ですむため、良好な生産性で所望の非晶
性全芳香族ポリエステルを製造することが可能となる。
【0062】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
詳述するが、本発明はこれらによって何ら限定されるも
のではない。なお、例中の「部」は特に断らない限り
「重量部」を意味する。また、固有粘度は、フェノール
/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比
60/40)中、温度35℃で測定した値であり、ポリ
マーの熱特性はDSCを用い、10℃/分の昇温速度に
て測定した値である。
【0063】[実施例1]テレフタル酸33.2部、イ
ソフタル酸33.2部、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)91.
2部、ジフェニルカーボネート171.2部およびテト
ラフェノキシチタン0.017部を、撹拌装置および窒
素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、
200℃で反応を開始した。30分後、220℃に昇温
し、同温度にてフェノールの留出を確認した後、系内を
徐々に減圧した。反応開始から2時間後、原料が均一に
溶解していることを確認した。その後さらに、昇温、減
圧し、反応開始から3時間後、系内を320℃、約0.
5mmHg(66.7Pa)とした。同条件下にて1時
間重合を行い、非晶性のポリアリレートを得た。このと
き昇華物はほとんど生じなかった。得られたポリマーは
淡褐色透明であった。このポリマーの固有粘度は、0.
64、ガラス転移温度は186℃であった。
【0064】[実施例2]テトラフェノキシチタンの代
わりにテトラブトキシチタンを0.041部を用いた以
外は、実施例1と同様に反応を行い、非晶性ポリアリレ
ートを得た。このとき昇華物はほとんど生じなかった。
得られたポリマーは淡褐色透明であった。このポリマー
の固有粘度は、0.64、ガラス転移温度は186℃で
あった。
【0065】[実施例3]テレフタル酸66.4部、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン18
2.4部、ジフェニルカーボネート256.8部、テト
ラフェノキシチタン0.017部を撹拌装置および窒素
導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、1
70℃で反応を開始した。その後、徐々に昇温、減圧
し、5時間かけて250℃、0.5mmHg(66.7
Pa)とした。その後さらに昇温、減圧し、系内を32
0℃、0.5mmHgとした。同条件下にて60分重合
を行ない、非晶性のポリアリレートを得た。このとき昇
華物はほとんど生じなかった。得られたポリマーは淡黄
色透明であった。ポリマーの固有粘度は、0.63、ガ
ラス転移温度は184℃であった。
【0066】[比較例1]実施例1において、触媒とし
てテトラフェノキシチタンに代わりに4−ジメチルアミ
ノピリジンを用いて同様の実験を行った結果、220℃
に昇温後2時間を経過しても原料が均一にならず、完全
溶解するのに約3.5時間を要した。また、完全溶解
後、320℃、約0.5mmHg(66.7Pa)に昇
温度、減圧し、同条件下で60分間重合を行ったが、得
られた非晶性ポリアリレートーの固有粘度は0.28ま
でしか上がらなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松村 俊一 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J029 AA04 AA08 AB04 AD01 BB13A BB13C BD09A CB05B CB06A CB06B CB10A CC05A CC06A CF08 CH02 DB13 HC05A HC05B JB131 JF251

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)下記式(I)で示される芳香族ジ
    カルボン酸成分、 【化1】 HOOC−Ar1−COOH ……… (I) [上記式(I)中のAr1は、置換されていてもよい2
    価の芳香族基である。] (b)下記式(II)で示される芳香族ジオール成分、 【化2】 HO−Ar2−X−Ar3−OH ……… (II) [上記式(II)中のAr2、Ar3は、それぞれ独立に、
    置換されていてもよいフェニレン基であり、Xは、 【化3】 (ここで、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル
    基、炭素数5または6のシクロアルキル基、炭素数6〜
    12のアリール基および炭素数6〜12のアラルキル基
    から選ばれる。qは4〜10の整数を示す。)であ
    る。]および、(c)ジアリールカーボネート、を加熱
    溶融反応せしめて、固有粘度[フェノール/1,1,2,
    2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)
    中、35℃で測定]が0.3以上の非晶性全芳香族ポリ
    エステルを製造する方法において、上記加熱溶融反応
    を、下記式(IV)で示されるチタン化合物 【化4】 Ti(OR6n(OR7m ……… (IV) [上記式(IV)中、R6は、炭素数1〜6のアルキル
    基、炭素数5〜10のシクロアルキル基または炭素数6
    〜12のアラルキル基であり、R7は、炭素数6〜12
    のアリール基である。n,mは、それぞれ、0または1
    〜4の整数であって、n+m=4となる数である。]の
    存在下で行うことを特徴とする、全芳香族ポリエステル
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記式(IV)で示されるチタン化合物
    が、テトラフェノキシチタン、ブトキシトリフェノキシ
    チタン、ジブトキシジフェノキシチタン、テトラブトキ
    シチタン、テトラクレゾキシチタン、エトキシトリクレ
    ゾキシチタン、ジエトキシジクレゾキシチタンから選ば
    れた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする、
    請求項1記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 芳香族ジカルボン酸成分(a)、芳香族
    ジオール成分(b)およびジアリールカーボネート
    (c)を、下記式(1)、(2) 【数1】 0.1≦A/B≦1.1 ……… (1) 0.8≦(A+B)/C≦1.2 ……… (2) [上記数式(1)(2)中、Aは芳香族ジカルボン酸成
    分(a)、Bは芳香族ジオール成分(b)、Cはジアリ
    ールカーボネート(c)の各モル数である。]を同時に
    満足するモル割合で使用することを特徴とする、請求項
    1または請求項2記載の全芳香族ポリエステルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 芳香族ジカルボン酸成分(a)、芳香族
    ジオール成分(b)およびジアリールカーボネート
    (c)を、下記式(3)、(4) 【数2】 0.95≦A/B≦1.05 ……… (3) 1.8≦C/A≦2.2 ……… (4) [上記数式(3)(4)中、Aは芳香族ジカルボン酸成
    分(a)、Bは芳香族ジオール成分(b)、Cはジアリ
    ールカーボネート(c)の各モル数である。]を同時に
    満足するモル割合で使用することを特徴とする請求項
    1、請求項2または請求項3記載の全芳香族ポリエステ
    ルの製造方法。
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JP2005522545A (ja) * 2002-04-10 2005-07-28 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ポリエステルカーボネートの製造方法

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