JP2001198947A - ポリカーボネート樹脂積層成形体およびその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂積層成形体およびその製造方法

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JP2001198947A JP2000012646A JP2000012646A JP2001198947A JP 2001198947 A JP2001198947 A JP 2001198947A JP 2000012646 A JP2000012646 A JP 2000012646A JP 2000012646 A JP2000012646 A JP 2000012646A JP 2001198947 A JP2001198947 A JP 2001198947A
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polycarbonate
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Satoshi Omori
智 大森
Michinao Iwai
理直 岩井
Tatsuichiro Kin
辰一郎 金
Hiromasa Minematsu
宏昌 峯松
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリカーボネート成形体の耐テーバー摩耗性
と鉛筆硬度とを向上し、かつ両立させる。 【解決手段】 特定の鉛筆硬度を有する層と特定の耐熱
性を有する層とを含む複合フィルムと、特定の硬化組成
物層とを含むフィルム積層体(d)を、ポリカーボネー
トに積層してなるポリカーボネート樹脂積層成形体を造
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、表面の耐摩耗
性、耐侯性に加え、耐擦傷性・鉛筆硬度に優れたポリカ
ーボネート樹脂成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネート樹脂は透明性に
優れ、軽量で耐衝撃性が高いことから、ガラス代替の窓
材・構造材として、広く応用展開されてきた。しかしな
がら、硬度・耐摩耗性・耐侯性・耐薬品性の観点でガラ
スに大幅に劣るという欠点がある。
【0003】そのため、ポリカーボネート表面にハード
コートを施す(特開昭48−81928号公報、特開昭
52−138565号公報、特開昭53−138476
号公報)ことが提案されている。これらは耐摩耗性・耐
侯性・耐薬品性の観点でポリカーボネート成形体の表面
特性をかなり改善してきた。
【0004】しかしこれらの方法では、樹脂成形体の加
工が必要で、生産効率が悪く、均質なコーティングを施
すことが困難である上に、鉛筆硬度に関しては、ポリカ
ーボネートの鉛筆硬度がBあるいは2Bと低いため例え
30μmの膜厚のハードコートを施してもその鉛筆硬度
が2Hを超えることが無かった。
【0005】一方、最近ハードコートを施したポリカー
ボネートフィルムまたはシートをインモールド/インサ
ート成形する(特開平1−69319号公報)ことが提
案されている。しかしながら、この場合も下地のポリカ
ーボネートフィルムの鉛筆硬度が低く、成形体の鉛筆硬
度も2Hを超えることはなかった。
【0006】また、インモールド/インサート成形にお
いて異種材料フィルムも含めて、ハードコート膜を施
し、ポリカーボネートと一体成形する基本的手法が提案
され(特開昭57−87320号公報、特開平3−11
4718号公報、特開平3−114719号公報)、実
施例として、ポリカーボネートフィルムあるいはポリメ
チルメタクリレートをフィルムとして使用することが述
べられている。
【0007】しかし、ポリカーボネートフィルムでは、
上記の観点から不適切である。
【0008】また、ポリメチルメタクリレートに関して
は、射出成形時、ゲート近傍のポリメチルメタクリレー
トフィルムが、ガラス転移温度以上の温度となり変形し
適当でなかった。
【0009】そして、特に大きな成形体でポリカーボネ
ート射出量が多くなる場合変形が顕著となる欠点があっ
た。
【0010】また、特開平8−25589号公報におい
てはアクリル樹脂の厚さをポリカーボネートの1/10
以下にした共押出しシートの上に硬化膜を形成し、イン
サート/インモールド成形することが述べられている。
【0011】この方法の特徴は、プライマー層が不要な
こと、ポリカーボネート共押し出しシートによる耐衝撃
性向上が目的である。
【0012】それゆえインサートフィルムとして適当な
膜厚である60〜400μmの厚みのフィルムの場合、
アクリルの厚みが6〜40μmと薄く、十分な鉛筆硬度
が達成できない場合がある。
【0013】またアクリル樹脂が明細書においてアルキ
ルアクリレートおよびアルキルメタクリレートからなる
ホモポリマーおよびコポリマーと定義されており、アル
コキシシリル基やヒドロキシ基などアルキル基以外の基
を持つ成分をもつコポリマーとしない限り、シリコーン
系コート剤との密着性が取れずテーバー摩耗性が十分で
なかった。以上から該特許においても鉛筆硬度とテーバ
ー摩耗性の両立を実現するものではなかった。
【0014】なお、ガラス代替品としての表面の硬度は
鉛筆硬度によって、耐摩耗性はテーバー摩耗性評価法に
よって把握されるのが一般的である。
【0015】ところが、この両方の因子が重要であるこ
とは知られていたが、この両者はどちらか一方を選択す
ると他方が自動的に決まってしまう場合がほとんどであ
り、両者が独立に選びうる因子でありうるのかは不分明
であった。したがって当然ながら、両者を自由に選択で
きる技術もこれまで知られておらず、また、この両者を
このような範囲に選べば優れた表面硬化の効果が得られ
ることも知られていなかった。
【0016】たとえば、耐テーバー摩耗性は通常表面を
構成する皮膜に剛性を付与することによって達成される
一方、剛性を付与することがはしばしば当該材料の脆さ
を助長する結果となるため、鉛筆硬度が2B程度である
ポリカーボネート上に形成した表面皮膜は、鉛筆などに
よる押し込み力に対しクラックを生じ易く鉛筆硬度が最
大でも2Hまでにとどまり、それゆえこれまで、この両
者をともに充足される産業に適した方法は見出されてい
なかった。
【0017】本願発明により両者の範囲を満足すれば表
面が柔らかすぎて傷つくことや、逆に表面が硬すぎて脆
くなり、ひび割れするように傷がつくといった現象が最
小限に抑えられ、この結果従来より格段に優れた表面硬
度の高い成形体が得られることが判明した。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、特開昭5
7−87320号公報、特開平3−114718号公
報、特開平3−114719号公報などで提案された、
インモールド/インサート成形において、ポリカーボネ
ートと一体成形するハードコート膜付きフィルムのハー
ドコート硬化時および射出成形時の熱変形を押さえ、鉛
筆硬度を向上させる手法および、その成形体を提供する
ことを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、生産効
率・テーバー摩耗性を犠牲にすることなく、2H以上の
鉛筆硬度を持ちかつ表面変形の無いポリカーボネート成
形体を得るべく、鋭意検討した結果、特定の複合フィル
ムと特定の組成物層(b)とを含むフィルム積層体
(d)を含むポリカーボネート樹脂積層成形体がすぐれ
た結果を与えることを見出し本願発明に到達した。
【0020】すなわち、本願発明は次の通りである。 1. 鉛筆硬度がHB以上のポリマー層(A)とガラス
転移温度とビカット軟化点との少なくとも一方が120
℃以上のポリマー層(B)とを含み、かつポリマー層
(A)とポリマー層(B)との厚さの比が3/7〜8/
2である複合フィルム(a)と、ケイ素および/または
金属のアルコキシドと、粒径が200nm以下のケイ素
および/または金属の酸化物微粒子とを含有する組成物
層(b)と、必要に応じて、その間に挟まれるプライマ
ー(c)とを含むフィルム積層体(d)を、成形金型に
組成物層(b)が金型面に対峙するように装着し、その
後溶融したポリカーボネートを該金型内に注入して成形
する工程と、鉛筆硬度が3H以上でかつテーバー摩耗性
(500g500サイクル)試験における摩耗前後のヘ
ーズの差(ΔH)が2%以下になるように組成物層
(b)を硬化させる工程とを含むポリカーボネート樹脂
積層成形体の製造方法。
【0021】2. 組成物層(b)を硬化させる工程
が、フィルム積層体(d)を成形金型に装着する前に、
組成物層(b)が金型表面に付着しない程度まで組成物
層(b)の硬化を行なうことと、金型内で成形した後に
該組成物層(b)を追加硬化することとを含む、上記1
に記載の製造方法。
【0022】3. ポリマー層(A)がポリメチルメタ
クリレートであり、ポリマー層(B)がポリカーボネー
トである上記1または上記2に記載の成形体。
【0023】4. ポリマー層(A)がポリエステルで
あり、ポリマー層(B)がポリカーボネートである上記
1または上記2に記載の成形体。
【0024】5. 鉛筆硬度がHB以上のポリマー層
(A)とガラス転移温度とビカット軟化点との少なくと
も一方が120℃以上のポリマー層(B)とを含み、か
つポリマー層(A)とポリマー層(B)との厚さの比が
3/7〜8/2である複合フィルム(a)と、ケイ素お
よび/または金属のアルコキシドと、粒径が200nm
以下のケイ素および/または金属の酸化物微粒子とを含
有する組成物層(b)と、必要に応じて、その間に挟ま
れるプライマー(c)とを含むフィルム積層体(d)
と、組成物層(b)が外表面となるようにフィルム積層
体(d)を積層されたポリカーボネート樹脂層とを含む
ポリカーボネート樹脂積層成形体であって、組成物層
(b)のある面の鉛筆硬度が3H以上でテーバー摩耗性
(500g500サイクル)が摩耗前後のヘーズの差
(ΔH)で2%以下であるポリカーボネート樹脂積層成
形体。
【0025】以下、本願発明を更に詳細に説明する。な
お、本願発明においてフィルムとは面状体を意味し、シ
ート状のものも含まれる。このフィルムは無延伸のもの
で十分であるが、目的に応じて延伸したものも使用する
ことができる。
【0026】 少なくとも1表面の鉛筆硬度が3H以
上、テーバー摩耗性(500g500サイクル)が摩耗
前後のヘーズの差(ΔH)で2%以下であるポリカーボ
ネート成形体は、高表面硬度を必要とする用途に有用で
あることが判明した。これまでポリカーボネート成形体
ではこのような表面特性を有するものは知られておら
ず、したがってどのような有用性があるかも明らかでな
かった。そして、戸外に面する窓ガラスや自動車窓用ガ
ラスのように、高表面硬度を必要とする用途には所詮向
かない材料であると考えられてきた。
【0027】しかしながら、今回、このような特性を有
する場合には、従来に較べて遥かに優れた高表面硬度が
実現でき、戸外に面する窓ガラスや自動車窓用ガラスの
ような用途にも適用可能性が生じてきたのである。
【0028】ここで、高表面硬度を必要とする用途とは
戸外に面する窓ガラスや自動車窓用ガラスに代表される
ような、砂や埃の多い気体流が直接接触し、また、雑巾
やワイパー等で直接表面上の汚れを拭き取られることの
ある用途を意味する。
【0029】このような用途に鉛筆硬度とテーバー摩耗
性とが所定の条件のポリカーボネート成形体が有用であ
るのは、自動車用前面ガラスを例に取ると、次のような
理由によるのではないかと推察されている。
【0030】すなわち、砂や金属がぶつかってできる傷
に対してはテーバー摩耗性が所定の条件にあることが有
効であり、表面についた汚れをワイパーが拭き取るとき
にできる傷に対しては鉛筆硬度が所定の条件にあること
が有効であることである。
【0031】なお、これらの組合わせの効果が成形体の
基体としてポリカーボネート樹脂を使用することによっ
て発現するのは、ポリカーボネート樹脂の有する弾性、
軟らかさまたは硬さ等種々の要因があるものと思われる
が明らかではない。
【0032】本願発明においてポリカーボネートまたは
ポリカーボネート樹脂とは、芳香族ジヒドロキシ化合物
と炭酸結合形成性化合物との重縮合物を表わす。
【0033】かかる芳香族ジヒドロキシ化合物として
は、具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジク
ロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、4,4−ジヒド
ロキシフェニル−1,1’−m−ジイソプロピルベンゼ
ン、4,4’−ジヒドロキシフェニル−9,9−フルオ
レンなどのビス(4−ヒドロキシアリール)アルカン
類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペ
ンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−4−(ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチ
ル−シクロヘキサン、4−[1−〔3−(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルシクロヘキシル〕−1−メチ
ルエチル]−フェノール、4,4’−〔1−メチル−4
−(1−メチルエチル)−1,3−シクロヘキサンジイ
ル〕ビスフェノール、2,2,2’,2’−テトラヒド
ロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−ス
ピロビス−〔1H−インデン〕−6,6’−ジオールな
どのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル、4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエー
テルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒ
ドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドな
どのジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒ
ドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド
などのジヒドロキシジアリールスルスルホキシド類、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’
−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホ
ン、などのジヒドロキシジアリールスルホン類、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル−3,3’−イサチンな
どのジヒドロキシジアリールイサチン類、3,6−ジヒ
ドロキシ−9,9−ジメチルキサンテンなどのジヒドロ
キシジアリールキサンテン類、レゾルシン、3−メチル
レゾルシン、3−エチルレゾルシン、3−ブチルレゾル
シン、3−t−ブチルレゾルシン、3−フェニルレゾル
シン、3−クミルレゾルシン、ヒドロキノン、2−メチ
ルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−ブチル
ヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェ
ニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノンなどのジヒ
ドロキシベンゼン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニ
ル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニル等ジヒドロキシジフェニル類が挙げられる。
【0034】中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンが好ましい。
【0035】炭酸結合形成性化合物としては、具体的に
はホスゲンやトリクロロメチルクロロフォーメート、ビ
ス(トリクロロメチル)カーボネートなどのホスゲン
類、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネートな
どのジアリールカーボネート類、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネー
ト類、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカ
ーボネートなどのアルキルアリールカーボネート類など
を挙げることができる。
【0036】ホスゲン類を用いる場合はポリカーボネー
トは溶液法で製造され、カーボネート結合を有する炭酸
エステル類を用いる場合は溶融法で製造される。
【0037】炭酸エステル類の中ではジフェニルカーボ
ネートが好ましく用いられる。
【0038】これらの化合物は単独または組み合わせて
用いることができる。
【0039】なお、他の成分を共重合またはブレンド成
分として含むものも本願発明のポリカーボネートまたは
ポリカーボネート樹脂の範疇に含まれる。
【0040】本願発明にもっとも適するものは芳香族ジ
ヒドロキシ化合物として、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンを使用し、炭酸結合形成性化合物
として、ホスゲン類やカーボネート結合を有する炭酸エ
ステル類を使用するポリカーボネートである。
【0041】それ以外の成分の共重合率またはブレンド
率が高いとポリカーボネートの特徴が薄れるため、共重
合率またはブレンド率は20重量%以下が望ましく、1
0重量%以下が更に望ましい。
【0042】 特定の構造を有するポリカーボネート
樹脂積層成形体で、上記のような鉛筆硬度、テーバー摩
耗性等が所定の条件のポリカーボネート成形体を実現で
きることが判明した。
【0043】本願発明に用いられる、複合フィルム
(a)は、上記1の要件を満たせば特に制限はない。
【0044】具体的には例えば、ポリメチルメタクリレ
ートとポリカーボネートの共押し出しフィルム、ラミネ
ートフィルムなど、120℃においてポリメチルメタク
リレートが軟化してもその形状を保つことのできるもの
であれば問題ない。
【0045】またポリマー層(A)の鉛筆硬度に関して
は、HB以上であればよく、好ましくはF以上である。
鉛筆硬度がHB未満であるとその上に形成した硬化皮膜
が押し込み力によりひびが生じ易く、成形体表面での3
H以上の鉛筆硬度達成が保障されない。
【0046】なお、この鉛筆硬度はポリマー層(A)が
単独のフィルム状態にあるときに測定した場合のもので
あるが、積層状態で測定した場合にも同様の値を与える
場合がほとんどである。
【0047】このようなポリマー層としては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、アートン(JSR株式会社製)、
ゼオネックス(日本ゼオン株式会社製)などが挙げられ
る。
【0048】なお、ここで硬化皮膜とは組成物層(b)
を硬化させることによって形成される皮膜を意味する。
したがって組成物層(b)には、硬化前の状態のもの
も、硬化がある程度進んだものも、硬化後の状態のもの
も含まれる。
【0049】本願発明に用いられるポリマー層(B)
は、ガラス転移温度とビカット軟化点との少なくとも一
方が120℃以上のポリマー層であることが望ましい。
【0050】ガラス転移温度とビカット軟化点との少な
くとも一方を120℃以上にすることにより、複合フィ
ルムの変形や、その結果としての成形体自体の変形が抑
えられ、成形時における溶融ポリカーボネート樹脂の熱
の影響を受けた後も複合フィルムの表面硬度を高く保て
ることが判明した。実際にはこのような条件下では複合
フィルムの表面硬度をHB以上のままに保つことができ
ることが多いことが判明した。
【0051】この温度は130℃以上であることがより
望ましい。
【0052】このようなポリマー層としては、元々のT
gが高いか、あるいは結晶化や架橋により高いビカット
軟化点を有することとなったポリマーやこれらの性質を
併せ持つポリマーよりなる層である、ポリエステル、ポ
リアリレート、ポリカーボネート共重合体(イソホロン
基導入共重合体など)の層、架橋構造をもつメチルメタ
クリレート層などが挙げられる。
【0053】複合フィルム(a)の厚みは、通常0.0
6〜1.0mmの範囲で、好ましくは0.20mm〜
0.5mm、さらに好ましくは0.20mm〜0.4m
mの範囲が好ましい。
【0054】この厚みが、0.06mm未満であるとフ
ィルム積層体を金型に装着する際自立性が無く適当でな
い。また、1.0mmを越えると硬化皮膜のコーティン
グの際巻き取りなどの取り扱い性が低下し、好ましくな
い。
【0055】なお、ポリマー層(A)とポリマー層
(B)との比率は3/7〜8/2が望ましいが、4/6
〜6/4であることがより望ましい。
【0056】この比率が3/7より小さいとポリカーボ
ネート樹脂積層成形体の鉛筆硬度を3H以上にするのが
非常に困難となり、8/2より大きいと耐熱性が不足し
て、組成層(b)の硬化中に複合フィルムが変形し、ま
た成形中にポリカーボネート樹脂積層成形体が変形する
場合がある。
【0057】本願発明に使用される複合フィルムのヘー
ズは30%以下であることが望まれる。これは、外部と
直接接触する窓等では太陽光の室内への入射が必要であ
るからである。なお、ヘーズ値は20%以下がより望ま
しく、10%以下がさらに望ましく、2%以下がより一
層望ましい。
【0058】なお、フィルム積層体(d)は、典型的に
は複合フィルム(a)とプライマー(c)と組成物層
(b)とよりなるが、プライマー(c)を欠いて複合フ
ィルム(a)と組成物層(b)とよりなる場合のほか、
その複合フィルム(a)の組成物層(b)のある側とは
反対側に、さらにプライマー(c)と組成物層(b)と
を持つ場合や組成物層(b)を持つ場合も含まれる。
【0059】 硬化皮膜層は、複合フィルム(a)の
表面に、必要に応じてプライマー(c)を介して、ケイ
素および/または金属のアルコキシドと、粒径が200
nm以下のケイ素および/または金属の酸化物微粒子と
を含有する組成物を塗布して組成物層(b)となし、こ
れを硬化させることにより作製することができる。
【0060】プライマー(c)は、組成物層(b)と複
合フィルム(a)との密着性を向上させる目的に加え、
紫外線吸収剤を自己の組成中に添加し耐侯性を向上させ
るためにも設けることが好ましい。
【0061】プライマー(c)を塗布する場合その膜厚
は、15μm以下が好ましく、1μm〜10μmがより
好ましい。15μmを越えると塗膜の表面性や透明性の
悪化が起こり、好ましくない。
【0062】ケイ素および/または金属のアルコキシド
と、粒径が200nm以下のケイ素および/または金属
の酸化物微粒子とを含有する組成物は、特に制限はない
が、ガラス基板上に塗布し、硬化させた場合の鉛筆硬度
が、5H以上であることが好ましい。
【0063】また、本願発明において「テーバー摩耗性
(500g500サイクル)が摩耗前後のヘーズの差
(ΔH)で2%以下である」とは、ポリカーボネート樹
脂積層成形体の形状で実施されたときの値を意味する
が、フィルム積層体で測定してもこのヘーズ値は実質的
に同等の値が得られることが分かっており、フィルム積
層体で測定した場合に摩耗前後のヘーズの差(ΔH)で
2%以下である場合も好ましい態様である。
【0064】例えば、オルガノトリアルコキシシランと
コロイダルシリカから作成されるコロイダルシリカ含有
オルガノポリシロキサンの組成物がこの目的に使用でき
る。
【0065】粒径が200nm以下のケイ素および/ま
たは金属の酸化物微粒子としては、上記のコロイダルシ
リカのほかに、硬度を向上させたり防曇・熱線反射・紫
外線反射の機能付与のために、コロイダルチタニア、コ
ロイダルアルミナ、コロイダルジルコニアなどがあげら
れ、これらの混合物でも良い。
【0066】ケイ素および/または金属のアルコキシド
としては、主成分としてモノアルキルトリアルコキシシ
ラン、テトラアルコキシシランを用いることが望まし
い。
【0067】なお、本願発明に言うケイ素および/また
は金属のアルコキシドは硬化が進むにしたがって脱水縮
合反応により次第にアルコール基を失いついにはケイ素
および/または金属のと酸素との架橋結合を主体とする
構造に変化するが、このような構造のものも本願発明に
係るケイ素および/または金属のアルコキシドの範疇に
含まれる。
【0068】具体的には、モノアルキルトリアルコキシ
シランおよび/またはテトラアルコキシシランの換算量
がケイ素および/または金属のアルコキシドの換算量中
に30重量%以上存在することが望ましく、50重量%
以上存在することとがさらに望ましい。ケイ素および/
または金属のアルコキシドの換算量と粒径が200nm
以下のケイ素および/または金属の酸化物微粒子の量と
は硬化後の組成について組成物(b)中に70重量%以
上存在することが望ましい。ケイ素および/または金属
のアルコキシドの換算量と粒径が200nm以下のケイ
素および/または金属の酸化物微粒子の量との相互割合
いは重量比で100:0〜40:60の間が望ましい。
なお、上記の「換算量」とは、ケイ素および/または金
属のアルコキシドの使用量について、その実際の構造中
のアルキル基(アルコキシ基中のものも含めたもの)を
すべて水素で置き換えた場合の換算量を意味する。
【0069】なお、複合フィルム(a)と金型内に注入
されるポリカーボネートとの接着力を向上する目的で、
必要に応じて複合フィルム(a)の該ポリカーボネート
と接する面に予めラミネーション、コーティング、表面
化学酸化、プラズマ処理、コロナ放電処理、スパッタな
どの物理的/化学表面改質を行うことができる。
【0070】ケイ素および/または金属のアルコキシド
と、粒径が200nm以下のケイ素および/または金属
の酸化物微粒子とを含有する組成物の塗布の方法につい
ては特に制限はないが、スプレー、浸漬、フロー、ロー
ルコーティングなどといった通常の方法を採用すること
ができる。
【0071】これらケイ素および/または金属のアルコ
キシドと、粒径が200nm以下のケイ素および/また
は金属の酸化物微粒子とを含有する組成物の硬化は、公
知のどのような方法によっても良いが、加熱硬化もしく
はマイクロ波照射により実施するのが一般的である。
【0072】加熱硬化の場合、100℃〜180℃で硬
化を実施し、好ましくは、120℃以上で実施する。マ
イクロ波照射硬化の場合、1x106〜1x108Jのエ
ネルギーを0.5秒〜30分間の時間で照射することで
実現できる。
【0073】組成物層(b)が外表面となるようにフィ
ルム積層体(d)を積層されたポリカーボネート樹脂積
層成形体は、成形金型に組成物層(b)が金型面に対峙
するように装着し、その後溶融したポリカーボネートを
該金型内に注入して成形し、ついで金型より成形体を取
り出すことによって得ることができる。
【0074】この成形方法としてはインモールドあるい
はインサート射出成形が適切であるが、押出し成形や、
反応射出成形等金型を使用する成形技術ならば、ポリカ
ーボネート樹脂積層成形体を作製できる限り、どのよう
なものでも良い。
【0075】なお、本願発明は、例えば、連続重合法で
得られたポリカーボネート樹脂を溶融状態のまま板状に
押出し、平行して走行する複合フィルム(a)と組成物
層(b)とを含むフィルム積層体(d)と接触させ、両
者を押し付け合い、連続的に板状成形体を製造する等、
金型の概念を適用できない場合にも、ポリカーボネート
樹脂積層成形体を作製できる限り、各種の既存の技術に
適用することも可能である。
【0076】 組成物層(b)は塗布後成形前に少な
くともタックフリーまでは硬化することが望ましい。塗
布後成形前の硬化の温度は、タックフリーが実現できれ
ば室温でも良い。ただし、金型に装着して成形する際、
表面に傷が発生しない程度の硬化が必要で、これは成形
の際の金型形状・型締め圧・金型温度・樹脂温度に応じ
て決定される。
【0077】組成物層(b)の表面が所定の硬度を有す
るまで硬化させる本硬化は、塗布後あるいは、ポリカー
ボネート樹脂積層成形体の成形後の何れでも良い。ただ
し、本硬化後は複合フィルム(a)と組成物層(b)と
を含むフィルム積層体(d)が柔軟性を失い勝ちにな
り、金型への装着が容易ではなくなる場合があるので、
塗布後に実施するよりは、成形後ポリカーボネート樹脂
積層成形体の成形後に行なう方が良い場合が多い。
【0078】なお、「タックフリー」とは硬化皮膜層が
金型表面に付着しない程度であることを意味する。すな
わち、成形後ポリカーボネート樹脂積層成形体を金型か
らはずす際に、通常のエジェクト力を大きく上回る異常
な力を要したり、当該ポリカーボネート樹脂積層成形体
の一部が金型面に残ったり、当該ポリカーボネート樹脂
積層成形体が変形を起こしたりすることがないことを意
味する。
【0079】
【実施例】以下に発明の好適な実施例について説明す
る。ただし、本願発明は以下の実施例によって制限を受
けるものではない。なお、実施例には下記の各種の評価
手段を用いた。また、以下の例において、「部」とは特
に断らない限り「重量部」を意味する。
【0080】(評価時期)成形体作成後、室温で保存
し、テーバー摩耗性評価、鉛筆硬度評価結果が、室温保
存で経時的に変化する場合は、これらの変化が認められ
なくなった時点を皮膜の硬化完了時点とし、その時点で
各種性能を評価した。
【0081】(複合フィルム(a)と組成物層(b)と
の間の接着性評価)JIS K5400の碁盤目テープ
法に準拠した。すなわち、所定の試験片について、ナイ
フで傷を付け、JIS K5400の碁盤目テープ法で
評価し、表面に皮膜が残った目の数で接着性を評価し
た。従って、100/100は完全接着、0/100は
完全剥離を意味する。
【0082】(鉛筆硬度評価)JIS5400の鉛筆引
っかき値に準拠した。
【0083】(テーバー摩耗性評価)ASTMD104
4に準拠した。すなわち、テーバー摩耗試験機(東洋精
機(株)製)を用いて、摩耗輪CS−10F、荷重50
0g,500サイクルの条件で試験片表面を摩耗し、次
式から求められるヘーズの摩耗前後の差(ΔH)で評価
した。 ヘーズ(%)=(拡散透過率/全光線透過率)x100
【0084】[実施例1] (プライマー(c)用ポリマー溶液の調製)還流冷却器
および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中に、メ
チルメタクリレート95.1部、3−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン12.4部アゾイソブチロニ
トリル0.16部、および1,2−ジメトキシエタン2
00部を添加し、溶解させ、70℃6時間、窒素気流下
にて攪拌して重合させた。得られた反応混合物をn−ヘ
キサン中に投入して析出させ、95部のコポリマーCを
得た。該ポリマーの重量平均分子量はGPCの測定から
150000であった。該ポリマー10部をメチルイソ
ブチルケトン63部、2−ブタノール27部からなる混
合溶媒に溶解し1μmのフィルターでろ過しプライマー
溶液Pを得た。
【0085】(ケイ素および/または金属のアルコキシ
ドと、粒径が200nm以下のケイ素および/または金
属の酸化物微粒子とを含有する組成物の作成方法)予め
30重量%の、粒径が10〜20nmのコロイダルシリ
カ水性分散液(触媒化成工業(株)製:商品名はカタロ
イドSI−30)20部に酢酸3.5部を混合した酸性
分散液を、メチルトリメトキシシラン30部中に、外部
冷却下で温度を0〜4℃に保ちつつ、激しく撹拌しなが
ら添加した。次いで室温下3時間撹拌した後、イソプロ
ピルアルコール35部、酢酸ナトリウム0.2部を加え
た。該系のpH値は5.3であった。室温で3日間放置
した後、1μmのフィルターで濾過して組成物Sを得
た。この組成物中には上記シリカのほかに、メチルトリ
メトキシシランの加水分解反応で生じた、その部分縮合
物及びメタノールが含まれる。
【0086】(複合フィルム(a)と組成物層(b)と
のフィルム積層体の形成)まず、100μmの膜厚のポ
リメチルメタクリレートと150μmの膜厚のポリカー
ボネートとの無延伸ラミネートフィルムにプライマー溶
液Pを乾燥塗膜が2μmになるように塗布した。なお、
ポリメチルメタクリレートは単独のフィルム状態での鉛
筆硬度が4Hであり、ポリカーボネートはガラス転移点
が150℃であった。風乾後、120℃60分乾燥硬化
した。次いで、組成物Sを、乾燥塗膜が6〜10μmに
なるように塗布した。130℃で1時間硬化し、さらに
室温で1週間エージングを行い硬化皮膜層を形成したフ
ィルム積層体Iを得た。
【0087】次にフィルム積層体Iを、10cmx10
cmで深さ3mmの、一方の面の開放された箱型の形状
を有する金型に、硬化皮膜を金型に接するようにして装
着し、ついで、80℃に保った金型内にポリカーボネー
ト樹脂を295℃、圧力158MPaにて射出し、射出
成形体を得た。成形体は金型から取り出す際タックフリ
ーであった。得られた成形体の積層部の外観はクラック
の発生は無く良好であり、スチールウール(#000
0)にて擦ったが全く傷がつかなかった。
【0088】また、組成物Sよりなる硬化皮膜を形成し
たフィルム積層体Iの鉛筆硬度は5Hで、テーバー摩
耗、500g,500サイクル後のヘーズの増加は、Δ
H=1.6%(ASTM1044)であった。接着性
は、碁盤目試験で100/100であった。更に、成形
体の積層部の鉛筆硬度は5Hでテーバー摩耗、500
g,500サイクル後のヘーズの増加は、ΔH=1.7
%(ASTM1044)であった。接着性は、碁盤目試
験で100/100であった。なお、測定はテーバー摩
耗性評価、鉛筆硬度評価の変化が認められなくなった1
4日目に行なった。
【0089】[実施例2]プライマー用コポリマーCを
プライマーとしては使用せず、これをエチレンクロライ
ド溶液からキャストした110μmの膜厚のフィルム
と、150μmの膜厚のポリカーボネートとをラミネー
トしたものを100μmの膜厚のポリメチルメタクリレ
ートと150μmの膜厚のポリカーボネートとのラミネ
ートフィルムの代わりに使用し、プライマーを塗布しな
かった以外は、実施例1と同様の方法で作成した。プラ
イマー用コポリマーCからなる層の鉛筆硬度は2Hであ
った。成形体は金型から取り出す際タックフリーであっ
た。得られた成形体の積層部の外観はクラックの発生は
無く良好であり、スチールウール(#0000)にて擦
ったが全く傷がつかなかった。また、組成物Sよりなる
硬化皮膜を形成したフィルム積層体Iの鉛筆硬度は4H
で、テーバー摩耗、500g,500サイクル後のヘー
ズの増加は、ΔH=1.7%(ASTM1044)であ
った。接着性は、碁盤目試験で100/100であっ
た。更に、成形体の積層部の鉛筆硬度は3Hでテーバー
摩耗、500g,500サイクル後のヘーズの増加は、
ΔH=1.8%(ASTM1044)であった。接着性
は、碁盤目試験で100/100であった。
【0090】[比較例1]100μmの膜厚のポリメチ
ルメタクリレートと150μmの膜厚のポリカーボネー
トとのラミネートフィルムの代わりに、メチレンクロラ
イド溶液からキャストし作成した400μmの膜厚のポ
リメチルメタクリレートのフィルムを使用した以外は、
実施例1と同様の方法で作成を試みた。このフィルムは
ポリメチルメタクリレートゆえ110℃において軟化変
形する。このため熱硬化による硬化皮膜の形成の際にア
クリルフィルムが変形し、鉛筆硬度試験もテーバー摩耗
試験も実施することができなかった。また、この変形し
たフィルム積層体を使用して実施例1と同様に射出成形
を実施した所、ゲート近くのフィルムが一部溶融した。
【0091】[比較例2]100μmの膜厚のポリメチ
ルメタクリレートと150μmの膜厚のポリカーボネー
トとのラミネートフィルムの代わりに、鉛筆硬度がBで
ある400μmの膜厚のポリカーボネートフィルム(帝
人化成(株)製:商品名パンライトシート)を使用した
以外は、実施例1と同様の方法で作成した。得られた成
形体の積層部の外観はクラックの発生は無く良好であっ
たが、スチールウール(#0000)にて擦ったとこ
ろ、うっすらと傷が認められた。なお、成形体の積層部
の鉛筆硬度はFで、テーバー摩耗、500g,500サ
イクル後のヘーズの増加は、ΔH=1.9%(ASTM
1044)であった。接着性は、碁盤目試験で100/
100であった。
【0092】[比較例3]フィルム積層体を使用せず、
紫外線硬化型樹脂(新中村化学(株)、商品名U15−
HA)100部、1−メトキシ−2−プロパノール15
0部、光開始剤(チバ(株)、商品名ズイルガキュア1
84)5部より成る組成物を直接ポリカーボネート成形
体にコートし、高圧水銀灯160W/cm2、積算光量
600mJ/cm2にて硬化し、6〜10μm厚の硬化
皮膜とした。得られた成形体の積層部の外観はクラック
の発生は無く良好であったが、スチールウール(#00
00)にて擦ったところ、うっすらと傷が認められ、表
面の曇りが目視で確認された。なお、成形体の積層部の
鉛筆硬度はHBで、テーバー摩耗、500g,500サ
イクル後のヘーズの増加は、ΔH=4.1%((AST
M1044)であった。接着性は、碁盤目試験で100
/100であった。
【0093】
【発明の効果】本願発明の製造方法で得られたポリカー
ボネート成形体は耐摩耗性、耐薬品性に加え、鉛筆硬度
に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金 辰一郎 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 峯松 宏昌 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4D075 CA02 CA32 DB48 EC02 EC08 4F100 AA17C AA20C AH08C AK01A AK01B AK25A AK41A AK45B AK45D BA04 BA07 BA10C BA10D BA13 BA25 DE01C EH112 EH362 EH461 EJ65 GB07 JA04B JA05B JB01 JK12 JK12A JK12C JK16 JL09 JN08C YY00A YY00B YY00C 4F206 AA28 AD08 AD20 AE08 AG03 JA07 JB13 JF05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛筆硬度がHB以上のポリマー層(A)
    とガラス転移温度とビカット軟化点との少なくとも一方
    が120℃以上のポリマー層(B)とを含み、かつポリ
    マー層(A)とポリマー層(B)との厚さの比が3/7
    〜8/2である複合フィルム(a)と、ケイ素および/
    または金属のアルコキシドと、粒径が200nm以下の
    ケイ素および/または金属の酸化物微粒子とを含有する
    組成物層(b)と、必要に応じて、その間に挟まれるプ
    ライマー(c)とを含むフィルム積層体(d)を、成形
    金型に組成物層(b)が金型面に対峙するように装着
    し、その後溶融したポリカーボネートを該金型内に注入
    して成形する工程と、鉛筆硬度が3H以上でかつテーバ
    ー摩耗性(500g500サイクル)試験における摩耗
    前後のヘーズの差(ΔH)が2%以下になるように組成
    物層(b)を硬化させる工程とを含むポリカーボネート
    樹脂積層成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 組成物層(b)を硬化させる工程が、フ
    ィルム積層体(d)を成形金型に装着する前に、組成物
    層(b)が金型表面に付着しない程度まで組成物層
    (b)の硬化を行なうことと、金型内で成形した後に該
    組成物層(b)を追加硬化することとを含む、請求項1
    に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリマー層(A)がポリメチルメタクリ
    レートであり、ポリマー層(B)がポリカーボネートで
    ある請求項1または請求項2に記載の成形体。
  4. 【請求項4】 ポリマー層(A)がポリエステルであ
    り、ポリマー層(B)がポリカーボネートである請求項
    1または請求項2に記載の成形体。
  5. 【請求項5】 鉛筆硬度がHB以上のポリマー層(A)
    とガラス転移温度とビカット軟化点との少なくとも一方
    が120℃以上のポリマー層(B)とを含み、かつポリ
    マー層(A)とポリマー層(B)との厚さの比が3/7
    〜8/2である複合フィルム(a)と、ケイ素および/
    または金属のアルコキシドと、粒径が200nm以下の
    ケイ素および/または金属の酸化物微粒子とを含有する
    組成物層(b)と、必要に応じて、その間に挟まれるプ
    ライマー(c)とを含むフィルム積層体(d)と、組成
    物層(b)が外表面となるようにフィルム積層体(d)
    を積層されたポリカーボネート樹脂層とを含むポリカー
    ボネート樹脂積層成形体であって、組成物層(b)のあ
    る面の鉛筆硬度が3H以上でテーバー摩耗性(500g
    500サイクル)が摩耗前後のヘーズの差(ΔH)で2
    %以下であるポリカーボネート樹脂積層成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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