JP2001196172A - 有機el表示装置 - Google Patents

有機el表示装置

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JP2001196172A
JP2001196172A JP2000001366A JP2000001366A JP2001196172A JP 2001196172 A JP2001196172 A JP 2001196172A JP 2000001366 A JP2000001366 A JP 2000001366A JP 2000001366 A JP2000001366 A JP 2000001366A JP 2001196172 A JP2001196172 A JP 2001196172A
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JP2000001366A
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Michio Arai
三千男 荒井
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜発光体である有機EL素子の特徴を十分
に発揮でき、低コストかつ高品位で歩留まりのよい有機
EL表示装置を実現する。 【解決手段】 可撓性を有する基板1上にカラーフィル
ター層2と、バリア層3と、ホール注入電極4と陰電極
8とを順次有し、これらの電極間に発光機能に関与する
有機層6を有し、前記有機層6とホール注入電極4との
間には、ホールを搬送するための導通パスを有するとと
もに電子をブロックする高抵抗の無機ホール注入輸送層
5を有し、前記有機層と電子注入電極との間には、電子
を搬送するための導通パスを有するとともにホールをブ
ロックする高抵抗の無機電子注入輸送層7を有し、前記
カラーフィルター層は、蒸着法により形成されている構
成の有機EL表示装置とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL(エレク
トロルミネッセンス)素子に関し、詳しくは、有機化合
物の薄膜に電界を印加して光を放出する素子に用いられ
る有機EL表示装置のフィルター構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機EL素子が盛んに研究されて
いる。これは、錫ドープ酸化インジウム(ITO)など
のホール注入電極上に、トリフェニルジアミンなどのホ
ール輸送材料を成膜し、さらにアルミキノリノール錯体
(Alq3)などの蛍光物質を発光層として積層し、さ
らにMgなどの仕事関数の小さな金属電極(電子注入電
極)を形成した基本構成を有する素子で、10V前後の
電圧で数100から数10,000cd/m2と極めて高い
輝度が得られることで注目されている。
【0003】ところで、このような有機EL素子を用い
たディスプレイとして、種々の応用例が考えられるが、
中でもカラーディスプレイへの応用は重要な課題であ
る。発光体をカラーディスプレイとして応用する場合、
例えば、 (1)赤、緑、青の各色の発光層を各画素毎に形成す
る。 (2)発光層を白色発光とし、カラーフィルター層を用
いて青、緑、赤の3元色を得る。 (3)発光層は青色などの単色発光とし、蛍光材料で構
成された蛍光変換層、あるいはこれとカラーフィルタ層
とを組み合わせてその他の表示色を得る。といった手法
が一般的である。
【0004】しかし、発光体自体で複数の発光色を用意
する場合、赤色発光の発光層に用いる蛍光材料として適
当なものが少なく、色純度の高い赤色が得られ難いとい
う問題がある。しかも、青色発光層の寿命が他の発光層
に比べて極端に短いため、発光装置全体の寿命が青色発
光層の寿命に支配されてしまう。
【0005】一方、単一の発光層と、蛍光材料で構成さ
れた蛍光変換層および/またはカラーフィルター層とを
組み合わせてカラーディスプレイとする方法は、単独の
有機EL素子のみで構成できるため、構成が単純で安価
であるばかりか、蛍光変換層および/またはカラーフィ
ルター層をパターン形成することによりフルカラー化で
きる点で優れた方式といえる。しかし、有機EL構造体
上にフォトレジスト技術により所定のパターンで蛍光変
換層および/またはカラーフィルター層を設けること
は、パターニング技術や有機EL構造体へのダメージ等
の点から極めて困難である。また、基板上に蛍光変換層
および/またはカラーフィルター層をパターン形成し、
その上に有機EL構造体を積層すると、段差ができてい
るので、断切れ(膜の不連続部分)が生じ、配線がつな
げられなくて電流が流れないために、有機EL素子とし
て機能しなくなってしまうという問題があった。
【0006】しかも、カラーフィルター層を形成する際
に用いられるカラーレジスト材はかなり高価な材料であ
り、このような材料を用いることなくカラーフィルター
層を形成することができれば有機EL素子を応用した製
品を極めて安価に提供することができる。
【0007】また、従来のカラーフィルター層は、樹脂
バインダー中に顔料、染料を分散させた構造であるた
め、通常塗布等により形成される。このため、塗り分け
による画素毎のカラーフィルターの形成は極めて困難で
あった。
【0008】さらに、通常用いられている基板は、ガラ
ス、Si基板等の硬質部材である。このため、薄膜素子
である有機EL素子の特質を生かして表示面に曲率を持
たせたり、より薄型の画面を得ようとする場合に大きな
障害となっていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、薄膜
発光体である有機EL素子の特徴を十分に発揮でき、低
コストかつ高品位で歩留まりのよい有機EL表示装置を
実現することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的は、
以下の構成により達成される。 (1) 可撓性を有する基板上にカラーフィルター層
と、バリア層と、ホール注入電極と陰電極とを順次有
し、これらの電極間に発光機能に関与する有機層を有
し、少なくとも前記有機層とホール注入電極との間、あ
るいは有機層と陰電極との間のいずれかには、ホールを
搬送するための導通パスを有するとともに電子をブロッ
クする高抵抗の無機ホール注入輸送層か、あるいは電子
を搬送するための導通パスを有するとともにホールをブ
ロックする高抵抗の無機電子注入輸送層のいずれかを有
し、前記カラーフィルター層は、蒸着法により形成され
ている有機EL表示装置。 (2) 可撓性を有する基板上に、陰電極とホール注入
電極とカラーフィルター層とを順次有し、これらの電極
間に発光機能に関与する有機層を有し、少なくとも前記
有機層とホール注入電極との間、あるいは有機層と陰電
極との間のいずれかには、ホールを搬送するための導通
パスを有するとともに電子をブロックする高抵抗の無機
ホール注入輸送層か、あるいは電子を搬送するための導
通パスを有するとともにホールをブロックする高抵抗の
無機電子注入輸送層のいずれかを有し、前記カラーフィ
ルター層は、蒸着法により形成されている有機EL表示
装置。 (3) 前記からフィルター層は、顔料にて形成されて
いる上記(1)または(2)の有機EL表示装置。 (4) 前記カラーフィルター層の膜厚は、2000nm
以下である上記(1)〜(3)のいずれかの有機EL表
示装置。 (5) 前記蒸着法は、マスク蒸着法である上記(1)
〜(4)のいずれかの有機EL表示装置。 (6) 前記基板は、樹脂材料により形成されている上
記(1)〜(5)のいずれかの有機得EL表示装置。 (7) 前記基板の厚みは、50〜1000μm である
上記(1)〜(6)のいずれかの有機EL表示装置。 (8) 発光層から得られる発光光は、少なくとも波長
450〜650nmの連続した発光スペクトルを有する白
色発光である上記(1)〜(7)のいずれかの有機EL
表示装置。 (9) 樹脂封止構造体を有する上記(1)〜(8)の
いずれかの有機EL表示装置。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の有機EL表示装置は、可
撓性を有する基板上にカラーフィルター層と、バリア層
と、ホール注入電極と電子注入電極とを順次有し、これ
らの電極間に発光機能に関与する有機層を有し、少なく
とも前記有機層とホール注入電極との間、あるいは有機
層と陰電極との間のいずれかには、ホールを搬送するた
めの導通パスを有するとともに電子をブロックする高抵
抗の無機ホール注入輸送層か、あるいは電子を搬送する
ための導通パスを有するとともにホールをブロックする
高抵抗の無機電子注入輸送層のいずれかを有し、前記カ
ラーフィルター層は、蒸着法により形成されている。あ
るいは、基板側に電子注入電極を積層したいわゆる逆積
層であってもよい。
【0012】このように、カラーフィルター層を蒸着法
で形成することにより、カラーフィルター層の厚みを極
めて薄くすることができ、薄膜発光素子としての有機E
L素子の機能を十分に発揮させることができる。また、
高価なレジスト材を用いることなくフィルター層を形成
できるので、有機EL表示装置のコストを引き下げるこ
とができ、しかも顔料以外の成分を含有していないの
で、色純度の高いフィルターを形成することができる。
また、カラーフィルター層は平坦な薄膜で形成されるの
で、オーバーコート層が不要となり、製造工程が少なく
なり、製造工数を短縮でき、さらにコストを低減するこ
とができる。また、マスク蒸着法を用いることで、極め
て容易に3原色の塗り分けを行うことが出来、小さな画
素面積内にもフルカラー表示用のフィルターを配置する
ことが出来る。
【0013】カラーフィルター層の膜厚は、好ましくは
2000nm以下、特に300〜600nm程度である。カ
ラーフィルター層の膜厚が薄すぎるとカラーフィルター
層としての機能が低下してくる。逆に膜厚が厚すぎる
と、成膜工程に時間がかかりすぎるとともに、素子全体
の厚みが厚くなり、段切れなどの問題も生じやすくなっ
てくる。
【0014】カラーフィルター層には、蒸着法で形成可
能な材料のなかから好適なものを適宜選択して用いれば
よく、有機EL素子の発光する光に合わせてカラーフィ
ルターの特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化
すればよい。具体的には、有機顔料が好ましく、なかで
も多環式顔料またはアゾ顔料が好ましい。
【0015】多環式顔料としては、フタロシアニン系、
アントラキノン系、ペリレンおよびペリノン系、チオイ
ンジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソイン
ドリノン系、キノフタロン系等が挙げられ、これらのな
かでも、赤色系のフィルターとしてキナクリドン系、青
色系のフィルターとしてフタロシアニン系、緑色系のフ
ィルターとして前記キナクリドン系とフタロシアニン系
の混合物が好ましい。
【0016】アゾ顔料としては、不溶性アゾ顔料が好ま
しく、β−ナフトール系、ナフトールAS系、アセト酢
酸アリールアミド系等のモノアゾ顔料、アセト酢酸アリ
ールアミド系、ピラゾロン系等のジスアゾ顔料が好まし
い。
【0017】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできる材料を併用すれ
ば、素子の耐光性・表示のコントラストも向上する。
【0018】カラーフィルター層の形成には蒸着法を用
いるが、特にマスク蒸着法が好ましい。蒸着法を用いる
場合、上記カラーフィルター材料を直接気化し、成膜さ
せる。
【0019】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4 Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm
/sec 程度とすることが好ましい。
【0020】カラーフィルター層の形成に真空蒸着法を
用いる場合において、複数の化合物を含有させる場合、
化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着す
ることが好ましい。
【0021】基板材料としては、可撓性を有するもので
あれば特に限定するものではなく、積層する有機EL構
造体の電極の材質等により適宜決めることができる。例
えば、ステンレス(SUS)、Al等の金属材料や、石
英や樹脂等の透明ないし半透明材料、あるいは不透明で
あってもよく、この場合はアルミナ等のセラミックス、
ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を
施したものを用いることができる。また、好ましい樹脂
としては、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリカー
ボネートや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレン
ナフタレート(PBN)等の熱可塑性ポリエステル樹
脂、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアリールエー
テルニトリル(PEN)等の樹脂材料を用いることがで
きる。
【0022】これらのなかでも特に、樹脂材料や金属材
料が好ましい。基板の厚みとしては材料によっても異な
るが、好ましくは50〜1000μm 、特に200〜5
00μm である。
【0023】カラーフィルター層が下地層となる場合、
つまり基板と有機EL構造体との間に形成される場合に
は、カラーフィルター層と電極との間にバリア層を形成
することが好ましい。バリア層を形成することにより、
カラーフィルター層を電極のパターニングの際のエッチ
ング、洗浄液等から保護することができる。また、いわ
ゆる逆積層構成の場合には、ホール注入電極上に形成さ
れたカラーフィルター層を覆うようにバリア層を形成す
ることが好ましい。この場合バリア層は、水分、ガスを
防ぎ、有機EL構造体が腐食・汚染されるのを防止す
る。また、必要によりカラーフィルター層と電極との間
に形成してもよいし、省略してもよい。
【0024】バリア層は、好ましくは酸化ケイ素により
形成され、好ましくは632nmにおける屈折率が1.4
0〜1.55、より好ましくは1.44〜1.48であ
る。屈折率がこれより高いと、有機層中の成分に対する
バリア性がなくなってくる。低いと、水分等に対するバ
リア性がなくなってくる。
【0025】バリア層は、SiOx以外に、SiNyとし
てもよく、さらに不可避不純物として、C、Ar等を
0.5wt%以下含有していてもよい。また、膜内の応力
を緩和させるためにHを30at%以下含有していてもよ
い。
【0026】SiOxのxは1.8〜2.2、特に1.
90〜2.05であることが好ましい。SiNyのyは
0.1〜0.5であることが好ましい。x、yがバリア
層全体の平均値としてこのような値であれば、x、yの
値は厚さ方向に勾配をもっていてもよい。
【0027】バリア層表面の平均表面粗さ(Ra )は、
2〜50nmが好ましい。また、最大表面粗さ(Rmax )
は、10〜50nmが好ましい。バリア層表面で膜の平坦
性が悪くなると、電流リークやダークスポットが発生す
る要因となる。そのため、適当な成膜条件を選び、異常
粒成長を抑え、ホール注入電極に接する界面の平均表面
粗さ(Ra )、最大表面粗さ(Rmax )を上記範囲内に
することが好ましい。
【0028】また、バリア層の発光光の透過率は80%
以上であることが好ましい。透過率が低くなると、発光
層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝
度が得られなくなる傾向がある。
【0029】また、バリア層の膜厚は、前記の範囲内で
あれば特に制限されないが、5〜50nm、特に10〜3
0nmであることが好ましい。
【0030】このSiOxを含有する膜は、プラズマC
VD法等によっても成膜できるが、スパッタ法で成膜す
ることが好ましい。上述のような膜を形成するために
は、特にRF電源を用いた高周波スパッタ法が好まし
い。プラズマCVD法では、反応ガスによって水素が膜
中に混入する可能性が高く、それによって水分に対する
バリア性が劣化してしまうことがある。
【0031】スパッタ法を用いて成膜する場合、スパッ
タガスには、通常のスパッタ装置に使用される不活性ガ
スが使用できる。中でも、Ar、Kr、Xeのいずれ
か、あるいは、これらの少なくとも1種以上のガスを含
む混合ガスを用いることが好ましい。
【0032】スパッタガスにAr、Kr、Xeのいずれ
かを主スパッタガスとして用いる場合、基板ターゲット
間距離の積は20〜60Pa・cm、特に30〜50Pa・cm
の範囲が好ましい。この条件であればいずれのスパッタ
ガスを用いても好ましい結果を得ることができるが、特
にArを用いることが好ましい。
【0033】スパッタ法としては、RFスパッタ法を用
いることが好ましい。RFスパッタ装置の電力は10〜
100W/cm2 の範囲が好ましい。周波数は13.56
MHzが好ましい。成膜レートは5〜50nm/分の範囲が
好ましい。成膜中の圧力は0.1〜1Paの範囲が好ま
しい。
【0034】本発明の有機EL素子は、下記発光層と、
一方の電極である陰電極との間に、高抵抗の無機電子注
入輸送層を有することが好ましい。
【0035】このように、電子の導通パスを有し、ホー
ルをブロックできる高抵抗の無機電子注入輸送層を有機
層と電子注入電極(陰極)の間に配置することで、発光
層へ電子を効率よく注入することができ、発光効率が向
上するとともに駆動電圧が低下する。このような高抵抗
の無機電子注入輸送層を用いることで、有機EL素子全
体の膜厚を薄くすることができ、カラーフィルター層の
薄膜化と相俟って、極めて膜厚の薄い薄膜素子を得るこ
とができる。
【0036】また、好ましくは高抵抗の無機電子注入輸
送層の第2成分を、全成分に対して0.2〜40 mol%
含有させて導電パスを形成することにより、電子注入電
極から発光層側の有機層へ効率よく電子を注入すること
ができる。しかも、有機層から電子注入電極へのホール
の移動を抑制することができ、発光層でのホールと電子
との再結合を効率よく行わせることができる。また、無
機材料の有するメリットと、有機材料の有するメリット
とを併せもった有機EL素子とすることができる。本発
明の有機EL素子は、従来の有機電子注入層を有する素
子と同等かそれ以上の輝度が得られ、しかも、耐熱性、
耐候性が高いので従来のものよりも寿命が長く、リーク
やダークスポットの発生も少ない。また、比較的高価な
有機物質ばかりではなく、安価で入手しやすく製造が容
易な無機材料も用いることで、製造コストを低減するこ
ともできる。
【0037】高抵抗の無機電子注入輸送層は、その抵抗
率が好ましくは1〜1×1011Ω・cm、特に1×103
〜1×108 Ω・cmである。高抵抗の無機電子注入輸送
層の抵抗率を上記範囲とすることにより、高い電子ブロ
ック性を維持したまま電子注入効率を飛躍的に向上させ
ることができる。高抵抗の無機電子注入輸送層の抵抗率
は、シート抵抗と膜厚からも求めることができる。
【0038】高抵抗の無機電子注入輸送層は、好ましく
は第1成分として仕事関数4eV以下、より好ましくは1
〜4eVであって、好ましくはLi,Na,K,Rb,C
sおよびFrから選択される1種以上のアルカリ金属元
素、または、好ましくはMg,CaおよびSrから選択
される1種以上のアルカリ土類金属元素、または、好ま
しくはLaおよびCeから選択される1種以上のランタ
ノイド系元素のいずれかの酸化物を含有する。これらの
なかでも、特に酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化
カルシウム、酸化セリウムが好ましい。これらを混合し
て用いる場合の混合比は任意である。また、これらの混
合物中には酸化リチウムがLi2O換算で、50 mol%
以上含有されていることが好ましい。
【0039】高抵抗の無機電子注入輸送層は、さらに第
2成分としてZn,Sn,V,Ru,SmおよびInか
ら選択される1種以上の元素を含有する。この場合の第
2成分の含有量は、好ましくは0.2〜40 mol%、よ
り好ましくは1〜20 mol%である。含有量がこれより
少ないと電子注入機能が低下し、含有量がこれを超える
とホールブロック機能が低下してくる。2種以上を併用
する場合、合計の含有量は上記の範囲にすることが好ま
しい。第2成分は金属元素の状態でも、酸化物の状態で
あってもよい。
【0040】高抵抗である第1成分中に導電性(低抵
抗)の第2成分を含有させることにより、絶縁性物質中
に導電物質が島状に存在するようになり、電子注入のた
めのホッピングパスが形成されるものと考えられる。
【0041】上記第1成分の酸化物は通常化学量論組成
(stoichiometric composition)であるが、これから多
少偏倚して非化学量論的組成(non-stoichiometry)と
なっていてもよい。また、第2成分も、通常、酸化物と
して存在するが、この酸化物も同様である。
【0042】高抵抗の無機電子注入輸送層には、他に、
不純物として、Hやスパッタガスに用いるNe、Ar、
Kr、Xe等を合計5at%以下含有していてもよい。
【0043】なお、高抵抗の無機電子注入輸送層全体の
平均値としてこのような組成であれば、均一でなくても
よく、膜厚方向に濃度勾配を有する構造としてもよい。
【0044】高抵抗の無機電子注入輸送層は、通常、非
晶質状態である。
【0045】高抵抗の無機電子注入輸送層の膜厚として
は、好ましくは0.2〜30nm、特に0.2〜20nm程
度が好ましい。電子注入層がこれより薄くても厚くて
も、電子注入層としての機能を十分に発揮できなくなく
なってくる。
【0046】上記の高抵抗の無機電子注入輸送層の製造
方法としては、スパッタ法、蒸着法などの各種の物理的
または化学的な薄膜形成方法などが考えられるが、スパ
ッタ法が好ましい。なかでも、上記第1成分と第2成分
のターゲットを別個にスパッタする多元スパッタが好ま
しい。多元スパッタにすることで、それぞれのターゲッ
トに好適なスパッタ法を用いることができる。また、1
元スパッタとする場合には、第1成分と第2成分の混合
ターゲットを用いてもよい。
【0047】高抵抗の無機電子注入輸送層をスパッタ法
で形成する場合、スパッタ時のスパッタガスの圧力は、
0.1〜1Paの範囲が好ましい。スパッタガスは、通常
のスパッタ装置に使用される不活性ガス、例えばAr,
Ne,Xe,Kr等が使用できる。また、必要によりN
2 を用いてもよい。スパッタ時の雰囲気としては、上記
スパッタガスに加えO2 を1〜99%程度混合して反応
性スパッタを行ってもよい。
【0048】スパッタ法としてはRF電源を用いた高周
波スパッタ法や、DCスパッタ法等が使用できる。スパ
ッタ装置の電力としては、好ましくはRFスパッタで
0.1〜10W/cm2 の範囲が好ましく、成膜レートは
0.5〜10nm/min 、特に1〜5nm/min の範囲が好
ましい。
【0049】成膜時の基板温度としては、室温(25
℃)〜150℃程度である。
【0050】さらに、本発明の有機EL素子は、上記発
光層と、他方の電極であるホール注入電極との間に、高
抵抗の無機ホール注入輸送層を有することが好ましい。
【0051】このように、ホールの導通パスを有し、電
子をブロックできる高抵抗の無機ホール注入輸送層を有
機層とホール注入電極の間に配置することで、発光層へ
ホールを効率よく注入することができ、さらに発光効率
が向上するとともに駆動電圧も低下する。このような高
抵抗の無機ホール注入輸送層を用いることで、有機EL
素子全体の膜厚を薄くすることができ、カラーフィルタ
ー層の薄膜化と相俟って、極めて膜厚の薄い薄膜素子を
得ることができる。
【0052】また、好ましくは高抵抗の無機ホール注入
輸送層の主成分としてシリコンや、ゲルマニウム等の金
属または半金属の酸化物を用い、これに仕事関数4.5
eV以上、好ましくは4.5〜6eVの金属や、半金属およ
び/またはこれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化
物、硼化物のいずれか1種以上を含有させて導電パスを
形成することにより、ホール注入電極から発光層側の有
機層へ効率よくホールを注入することができる。しか
も、有機層からホール注入電極への電子の移動を抑制す
ることができ、発光層でのホールと電子との再結合を効
率よく行わせることができる。また、無機材料の有する
メリットと、有機材料の有するメリットとを併せもった
有機EL素子とすることができる。本発明の有機EL素
子は、従来の有機ホール注入層を有する素子と同等かそ
れ以上の輝度が得られ、しかも、耐熱性、耐候性が高い
ので従来のものよりも寿命が長く、リークやダークスポ
ットの発生も少ない。また、比較的高価な有機物質ばか
りではなく、安価で入手しやすく製造が容易な無機材料
も用いることで、製造コストを低減することもできる。
【0053】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、その抵
抗率が好ましくは1〜1×1011Ω・cm、特に1×10
3〜1×108Ω・cmである。高抵抗の無機ホール注入輸
送層の抵抗率を上記範囲とすることにより、高い電子ブ
ロック性を維持したままホール注入効率を飛躍的に向上
させることができる。高抵抗の無機ホール注入輸送層の
抵抗率は、シート抵抗と膜厚からも求めることができ
る。この場合、シート抵抗は4端子法等により測定する
ことができる。
【0054】主成分の材料は、シリコン、ゲルマニウム
の酸化物であり、好ましくは (Si1-xGex)Oyにおいて 0≦x≦1、 1.7≦y≦2.2、好ましくは1.7≦y≦1.99 である。高抵抗の無機ホール注入輸送層の主成分は、酸
化ケイ素でも酸化ゲルマニウムでもよく、それらの混合
薄膜でもよい。yがこれより大きくても小さくてもホー
ル注入機能は低下してくる傾向がある。組成は、例えば
ラザフォード後方散乱、化学分析等で調べればよい。
【0055】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、さらに
主成分に加え、仕事関数4.5eV以上の金属(半金属を
含む)の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物および硼化
物を含有することが好ましい。仕事関数4.5eV以上、
好ましくは4.5〜6eVの金属は、好ましくはAu,C
u、Fe、Ni、Ru、Sn,Cr,Ir,Nb,P
t,W,Mo,Ta,PdおよびCoのいずれか1種ま
た2種以上である。これらは一般に金属としてあるいは
酸化物の形で存在する。また、これらの炭化物、窒化
物、ケイ化物、硼化物であってもよい。これらを混合し
て用いる場合の混合比は任意である。これらの含有量は
好ましくは0.2〜40 mol%、より好ましくは1〜2
0 mol%である。含有量がこれより少ないとホール注入
機能が低下し、含有量がこれを超えると電子ブロック機
能が低下してくる。2種以上を併用する場合、合計の含
有量は上記の範囲にすることが好ましい。
【0056】上記金属または金属(半金属を含む)の酸
化物、炭化物、窒化物、ケイ化物および硼化物は、通
常、高抵抗の無機ホール注入輸送層中に分散している。
分散粒子の粒径としては、通常、1〜5nm程度である。
この導体である分散粒子同士との間で高抵抗の主成分を
介してホールを搬送するためのホッピングパスが形成さ
れるものと考えられる。
【0057】高抵抗の無機ホール注入輸送層には、他
に、不純物として、Hやスパッタガスに用いるNe、A
r、Kr、Xe等を合計5at%以下含有していてもよ
い。
【0058】なお、高抵抗の無機ホール注入輸送層全体
の平均値としてこのような組成であれば、均一でなくて
もよく、膜厚方向に濃度勾配を有する構造としてもよ
い。
【0059】高抵抗の無機ホール注入輸送層は、通常、
非晶質状態である。
【0060】高抵抗の無機ホール注入輸送層の膜厚とし
ては、好ましくは0.3〜100nm、より好ましくは1
〜100nm、特に5〜30nm程度が好ましい。高抵抗の
無機ホール注入輸送層がこれより薄くても厚くても、ホ
ール注入層としての機能を十分に発揮できなくなくなっ
てくる。
【0061】上記の高抵抗の無機ホール注入輸送層の製
造方法としては、スパッタ法、蒸着法などの各種の物理
的または化学的な薄膜形成方法などが考えられるが、ス
パッタ法が好ましい。なかでも、上記主成分と金属また
は金属酸化物等のターゲットを別個にスパッタする多元
スパッタが好ましい。多元スパッタにすることで、それ
ぞれのターゲットに好適なスパッタ法を用いることがで
きる。また、1元スパッタとする場合には、主成分のタ
ーゲット上に上記金属または金属酸化物等の小片を配置
し、両者の面積比を適当に調整することにより、組成を
調整してもよい。
【0062】高抵抗の無機ホール注入輸送層をスパッタ
法で形成する場合、スパッタ時のスパッタガスの圧力
は、0.1〜1Paの範囲が好ましい。スパッタガスは、
通常のスパッタ装置に使用される不活性ガス、例えばA
r,Ne,Xe,Kr等が使用できる。また、必要によ
りN2を用いてもよい。スパッタ時の雰囲気としては、
上記スパッタガスに加えO2を1〜99%程度混合して
反応性スパッタを行ってもよい。
【0063】スパッタ法としてはRF電源を用いた高周
波スパッタ法や、DCスパッタ法等が使用できる。スパ
ッタ装置の電力としては、好ましくはRFスパッタで
0.1〜10W/cm2の範囲が好ましく、成膜レートは
0.5〜10nm/min 、特に1〜5nm/min の範囲が好
ましい。
【0064】成膜時の基板温度としては、室温(25
℃)〜150℃程度である。
【0065】本発明の有機EL素子は、高抵抗の無機ホ
ール注入輸送層を有することにより、耐熱性、耐候性が
向上し、素子の長寿命化を図れる。また、比較的高価な
有機物質ではなく、安価で入手しやすい無機材料を用い
ているので、製造が容易となり、製造コストを低減する
ことができる。さらには、従来問題のあった無機材料で
ある電極との接続性も良好になる。このため、リーク電
流の発生やダークスポットの発生を抑えることができ
る。
【0066】また、本発明の有機EL素子は、有機層と
して下記発光層以外に高抵抗の無機電子注入輸送層に加
え、有機の電子輸送層、また、高抵抗の無機ホール注入
輸送層に加えて有機のホール輸送層を有してもよい。こ
れら高抵抗の無機電子注入輸送層と高抵抗の無機ホール
注入輸送層は少なくともいずれかを有していればよく、
好ましくは双方を有するとよい。
【0067】有機材料からなる電子輸送層、およびホー
ル輸送層には、下記の電子注入輸送性材料、ホール注入
輸送性材料を用いることが好ましい。
【0068】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(Alq3 )を用いることが好まし
い。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラ
アリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。
【0069】電子注入輸送性化合物は、トリス(8−キ
ノリノラト)アルミニウム(Alq3 )等の8−キノリ
ノールまたはその誘導体を配位子とする有機金属錯体な
どのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレ
ン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキ
サリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フ
ルオレン誘導体等を用いることができる。
【0070】ホール注入輸送性の化合物としては、強い
蛍光を持ったアミン誘導体、例えば上記のホール輸送性
化合物であるトリフェニルジアミン誘導体、さらにはス
チリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体
を用いるのが好ましい。
【0071】ホール注入輸送性化合物は、例えば、特開
昭63−295695号公報、特開平2−191694
号公報、特開平3−792号公報、特開平5−2346
81号公報、特開平5−239455号公報、特開平5
−299174号公報、特開平7−126225号公
報、特開平7−126226号公報、特開平8−100
172号公報、EP0650955A1等に記載されて
いる各種有機化合物を用いることができる。例えば、テ
トラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミン
ないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級ア
ミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有する
オキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。こ
れらの化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用
してもよい。2種以上を併用するときは、別層にして積
層したり、混合したりすればよい。
【0072】有機のホール輸送層の厚さおよび電子注入
輸送層の厚さは、特に制限されるものではなく、形成方
法によっても異なるが、通常5〜500nm程度、特に1
0〜300nmとすることが好ましい。ホールの注入層と
輸送層とを設ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は
1nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送
層の厚さの上限は、通常、注入層で500nm程度、輸送
層で500nm程度である。
【0073】発光層は、少なくとも発光機能に関与する
1種類、または2種類以上の有機化合物薄膜、またはそ
の積層膜からなる。本発明における発光層は、好ましく
は白色発光が得られる発光層である。白色発光とは、代
表的な有機EL素子では、少なくとも波長450〜65
0nm、特に400〜700nmの連続した発光スペクトル
が得られることをいう。この場合、発光波長帯域中にお
いて発光強度の強弱が有る程度見られるが、本発明にお
いては上記波長帯域に発光光が得られるもので有れば白
色発光とする。白色発光は単一の発光層から得られるも
のでも、複数の発光層の発光光を合成して得られるもの
であってもよい。
【0074】本発明では好ましくは発光層は2層とし、
それぞれホスト物質に蛍光物質であるドーパントがドー
プされた構造を有するものとする。発光層はホール(正
孔)および電子の注入機能、それらの輸送機能、ホール
と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有す
る。発光層には比較的電子的にニュートラルな化合物を
用いることが好ましい。また、発光層を2層とし、好ま
しくはそれぞれ異なった発光波長を有する蛍光物質をド
ーピングさせることで、広い発光波長帯域を確保した
り、発光色の色彩の自由度を広くすることができる。発
光帯域を広くすることで、これと蛍光物質などを用いた
色変換膜や、カラーフィルター等と組み合わせ、容易に
フルカラーのディスプレイや、白色発光を得ることがで
きる。また、発光層の発光色の組み合わせによっても種
々の発光色や、白色発光を得ることができる。なお、発
光層が2層より多くなると、各発光層への電子/ホール
の注入効率が低下し、発光効率が著しく低下してくる。
【0075】本発明の有機EL素子の発光層には、発光
作用を有する化合物である蛍光性物質をドーパントとし
て含有させる。このような蛍光性物質としては、例え
ば、特開昭63−264692号公報に開示されている
ような化合物、例えばルブレン系、クマリン系、キナク
リドン系、ジシアノメチルピラン系等の化合物から選択
される少なくとも1種以上が挙げられる。
【0076】このような化合物の好ましい例として以下
に示すものがある。
【0077】
【化1】
【0078】
【化2】
【0079】
【化3】
【0080】
【化4】
【0081】
【化5】
【0082】また、これとは別に、あるいはこれに加え
て、本出願人による、特願平10−137505号、特
願平11−124971号、同125044号に記載さ
れているようなナフタセン系化合物も好ましい。特に前
記化合物と併用することにより、素子の寿命を飛躍的に
向上させることができる。
【0083】ナフタセン系化合物は、好ましくは下記式
(III)で表される基本骨格を有する。
【0084】
【化6】
【0085】式(III)中、R1 〜R4 はそれぞれ非置
換、または置換基を有するアルキル基、アリール基、ア
ミノ基、複素環基およびアルケニル基のいずれかを表
す。また、好ましくはアリール基、アミノ基、複素環基
およびアルケニル基のいずれかである。
【0086】R1 〜R4 で表されるアリール基として
は、単環もしくは多環のものであって良く、縮合環や環
集合も含まれる。総炭素数は、6〜30のものが好まし
く、置換基を有していても良い。
【0087】R1 〜R4 で表されるアリール基として
は、好ましくはフェニル基、(o−,m−,p−)トリ
ル基、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基、(1
−、および2−)ナフチル基、アントリル基、(o−,
m−,p−)ビフェニリル基、ターフェニル基、フェナ
ントリル基等である。
【0088】R1 〜R4 で表されるアミノ基としては、
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミ
ノ基等いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂
肪族、および/または1〜4環の芳香族炭素環を有する
ことが好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエ
チルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ
基、ジトリルアミノ基、ビスジフェニリルアミノ基、ビ
スナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0089】R1 〜R4 で表される複素環基としては、
ヘテロ原子としてO,N,Sを含有する5員または6員
環の芳香族複素環基、および炭素数2〜20の縮合多環
芳香複素環基等が挙げられる。
【0090】R1 〜R4 で表されるアルケニル基として
は、少なくとも置換基の1つにフェニル基を有する(1
−、および2−)フェニルアルケニル基、(1,2−、
および2,2−)ジフェニルアルケニル基、(1,2,
2−)トリフェニルアルケニル基等が好ましいが、非置
換のものであっても良い。
【0091】芳香族複素環基および縮合多環芳香複素環
基としては、例えばチエニル基、フリル基、ピロリル
基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基等が挙げ
られる。
【0092】R1 〜R4 が置換基を有する場合、これら
の置換基のうちの少なくとも2つがアリール基、アミノ
基、複素環基、アルケニル基およびアリーロキシ基のい
ずれかであることが好ましい。アリール基、アミノ基、
複素環基およびアルケニル基については上記R1 〜R4
と同様である。
【0093】R1 〜R4 の置換基となるアリーロキシ基
としては、総炭素数6〜18のアリール基を有するもの
が好ましく、具体的には(o−,m−,p−)フェノキ
シ基等である。
【0094】これら置換基の2種以上が縮合環を形成し
ていてもよい。また、さらに置換されていても良く、そ
の場合の好ましい置換基としては上記と同様である。
【0095】R1 〜R4 が置換基を有する場合、少なく
ともその2種以上が上記置換基を有することが好まし
い。その置換位置としては特に限定されるものではな
く、メタ、パラ、オルト位のいずれでも良い。また、R
1 とR4 、R2 とR3 はそれぞれ同じものであることが
好ましいが異なっていてもよい。
【0096】また、R1 〜R8 のうちの少なくとも5種
以上、より好ましくは6種以上が非置換または置換基を
有するアルキル基、アリール基、アミノ基、アルケニル
基または複素環基である。
【0097】R5 ,R6 ,R7 およびR8 は、それぞれ
水素または置換基を有していても良いアルキル基、アリ
ール基、アミノ基およびアルケニル基のいずれかを表
す。
【0098】R5 ,R6 ,R7 およびR8 で表されるア
ルキル基としては、炭素数が1〜6のものが好ましく、
直鎖状であっても分岐を有していても良い。アルキル基
の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、
(n,i)プロピル基、(n,i,sec,tert)
−ブチル基、(n,i,neo,tert)−ペンチル
基等が挙げられる。
【0099】R5 ,R6 ,R7 およびR8 で表されるア
リール基、アミノ基、アルケニル基としては、上記R1
〜R4 の場合と同様である。また、R5 とR6 、R7
8は、それぞれ同じものであることが好ましいが、異
なっていても良い。
【0100】また、ナフタセン系化合物は、さらに下記
の式(IV)で表される基本骨格を有するものが好まし
い。
【0101】
【化7】
【0102】上記式(IV)中、R11〜R13、R21
23、R31〜R33およびR41〜R43は水素、アリール
基、アミノ基、複素環基、アリーロキシ基およびアルケ
ニル基のいずれかである。また、これらのうちの少なく
とも1群中にはアリール基、アミノ基、複素環基および
アリーロキシ基のいずれかを置換基として有することが
好ましい。これらの2種以上が縮合環を形成していても
よい。あるいは、これらの全てが水素である場合にはR
5 ,R6 ,R7 およびR8 のいずれかにはアルキル基、
またはアリール基を有することが好ましい。
【0103】アリール基、アミノ基、複素環基およびア
リーロキシ基の好ましい態様としては上記R1 〜R4
同様である。また。R11〜R13とR41〜R43、R21〜R
23とR31〜R33は、それぞれ同じであることが好ましい
が異なっていてもよい。
【0104】R11〜R13、R21〜R23、R31〜R33およ
びR41〜R43の置換基となるアミノ基としては、アルキ
ルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基等
いずれでも良い。これらは、総炭素数1〜6の脂肪族、
および/または1〜4環の芳香族炭素環を有することが
好ましい。具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルア
ミノ基、ジブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジト
リルアミノ基、ビスビフェニリルアミノ基等が挙げられ
る。
【0105】形成される縮合環としては、例えばインデ
ン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノ
リン、isoキノリン、キノクサリン、フェナジン、ア
クリジン、インドール、カルバゾール、フェノキサジ
ン、フェノチアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフ
ェン、ベンゾフラン、アクリドン、ベンズイミダゾー
ル、クマリン、フラボン等を挙げることができる。
【0106】このような化合物の好ましい例として以下
に示すものがある。
【0107】
【化8】
【0108】
【化9】
【0109】これらの蛍光物質は、各発光層において少
なくとも1種以上が、それぞれ異なった発光波長を有す
るものが含有されていることが好ましい。
【0110】また、それ自体で発光が可能なホスト物質
と組み合わせて使用することが好ましい。このような場
合の発光層におけるドーパントの含有量は、0.01〜
20wt%、さらには0.1〜15wt%とすることが好ま
しい。また、発光層中の前記テトラセン骨格を有する化
合物の含有量は、0.01〜10wt% 、さらには0.1
〜5wt% であることが好ましい。
【0111】発光層は、ホスト物質して、ホール輸送性
化合物、電子注入輸送性化合物のいずれかを有するか、
またはこれらの混合層とする。
【0112】混合層では、キャリアのホッピング伝導パ
スができるため、各キャリアは極性的に優勢な物質中を
移動し、逆の極性のキャリア注入は起こり難くなり、有
機化合物がダメージを受け難くなり、素子寿命がのびる
という利点がある。前述のドーパントをこのような混合
層に含有させることにより、混合層自体のもつ発光波長
特性を変化させることができ、発光波長を長波長に移行
させることができるとともに、発光強度を高め、かつ素
子の安定性を向上させることができる。
【0113】発光層のホスト物質に用いられるホール輸
送性化合物および電子輸送性化合物は、各々、後述のホ
ール注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化
合物の中から選択すればよい。なかでも、ホール輸送層
用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、
例えばホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導
体を用いるのが好ましい。
【0114】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特に下記構造のトリス(8−
キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )を用いること
が好ましい。また、フェニルアントラセン誘導体、テト
ラアリールエテン誘導体を用いることもできる。
【0115】
【化10】
【0116】ホール輸送性化合物としては、強い蛍光を
持ったアミン誘導体、例えばホール輸送材料であるテト
ラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミンな
いしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミ
ン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾ
ール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオ
キサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等を挙げること
ができる。特にテトラアリールベンジシン化合物(トリ
アリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TP
D)、特願平8−358416号に示されているような
トリアリールアミン多量体(ATP)が好ましい。
【0117】トリフェニルジアミン誘導体の好ましい例
として以下に示すものがある。
【0118】
【化11】
【0119】
【化12】
【0120】
【化13】
【0121】トリアリールアミン多量体の好ましい例と
して以下に示すものがある。
【0122】
【化14】
【0123】
【化15】
【0124】
【化16】
【0125】この場合の混合比は、それぞれのキャリア
移動度とキャリア濃度を考慮する事で決定するが、一般
的には、ホール注入輸送性化合物/電子注入輸送性化合
物の重量比が、好ましくは1/99〜99/1、より好
ましくは10/90〜90/10、特に20/80〜8
0/20、さらには40/60〜60/40程度となる
ようにすることが好ましい。
【0126】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質
を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散させて
コーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形
成する。
【0127】発光層一層分の厚さは、分子層一層に相当
する厚みから、発光層の膜厚未満とすることが好まし
く、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、さら
には5〜60nm、特には5〜50nmとすることが好まし
い。
【0128】発光層全体の厚さは特に限定されず、形成
方法によっても異なるが、通常、5〜500nm程度、特
に10〜300nmとすることが好ましい。
【0129】有機のホール輸送層、および電子輸送層の
厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光層の厚
さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすればよ
い。ホール注入層とホール輸送層は、それぞれ1nm以上
とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さ
の上限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で50
0nm程度である。
【0130】発光層、ホール輸送層、電子輸送層の形成
には、均質な薄膜が形成できることから、真空蒸着法を
用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場合、アモ
ルファス状態または結晶粒径が0.2μm 以下の均質な
薄膜が得られる。結晶粒径が0.2μm を超えている
と、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなけ
ればならなくなり、電子、ホールの注入効率も著しく低
下する。
【0131】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形
成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの発生・成長を抑制したりする
ことができる。
【0132】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0133】ホール注入電極材料は、ホール注入層等へ
ホールを効率よく注入することのできるものが好まし
く、仕事関数4.5eV〜5.5eVの物質が好ましい。具
体的には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ド
ープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In
23 )、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(Zn
O)のいずれかを主組成としたものが好ましい。これら
の酸化物はその化学量論組成から多少偏倚していてもよ
い。In2 3 に対するSnO2 の混合比は、1〜20
wt%、さらには5〜12wt%が好ましい。また、IZO
でのIn2 3 に対するZnOの混合比は、通常、12
〜32wt%程度である。
【0134】ホール注入電極は、仕事関数を調整するた
め、酸化シリコン(SiO2 )を含有していてもよい。
酸化シリコン(SiO2 )の含有量は、ITOに対する
SiO2 の mol比で0.5〜10%程度が好ましい。S
iO2 を含有することにより、ITOの仕事関数が増大
する。
【0135】光を取り出す側の電極は、発光波長帯域、
通常400〜700nm、特に各発光光に対する光透過率
が50%以上、さらには80%以上、特に90%以上で
あることが好ましい。透過率が低くなりすぎると、発光
層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝
度を得難くなってくる。
【0136】電極の厚さは、50〜500nm、特に50
〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制
限はないが、あまり厚いと透過率の低下や剥離などの心
配が生じる。厚さが薄すぎると、十分な効果が得られ
ず、製造時の膜強度等の点でも問題がある。
【0137】陰電極(電子注入電極)は、無機電子注入
輸送層との組み合わせでは、低仕事関数で電子注入性を
有している必要がないため、特に限定される必要はな
く、通常の金属を用いることができる。なかでも、導電
率や扱い易さの点で、Al,Ag,In,Ti,Cu,
Au,Mo,W,Pt,PdおよびNi、特にAl,A
gから選択される1種または2種等の金属元素が好まし
い。
【0138】これら陰電極薄膜の厚さは、電子を無機電
子注入輸送層に与えることのできる一定以上の厚さとす
れば良く、50nm以上、好ましくは100nm以上とすれ
ばよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常
膜厚は50〜500nm程度とすればよい。
【0139】陰電極と保護層とを併せた全体の厚さとし
ては、特に制限はないが、通常50〜500nm程度とす
ればよい。
【0140】陰電極は、電子注入性を有する電極として
必要に応じて下記のものを用いることができる。例え
ば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、
Ba、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、または安定
性を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合
金系、例えばAg・Mg(Ag:0.1〜50at%)、
Al・Li(Li:0.01〜14at%)、In・Mg
(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:0.0
1〜20at%)等が挙げられる。
【0141】上記電子注入性薄膜の厚さは、電子注入を
十分行える一定以上の厚さとすれば良く、0.1nm以
上、好ましくは0.5nm以上、特に1nm以上とすればよ
い。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜厚
は1〜500nm程度とすればよい。
【0142】さらに、素子の有機層や電極の劣化を防ぐ
ために、素子を封止板等により封止することが好まし
い。封止板は、湿気の浸入を防ぐために、接着性樹脂層
を用いて、封止板を接着し密封する。封止ガスは、A
r、He、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、こ
の封止ガスの水分含有量は、100ppm 以下、より好ま
しくは10ppm 以下、特には1ppm 以下であることが好
ましい。この水分含有量に下限値は特にないが、通常
0.1ppm 程度である。
【0143】封止板の材料としては、好ましくは平板状
であって、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材
料が挙げられるが、特にガラス、樹脂材が好ましい。こ
のようなガラス材として、コストの面からアルカリガラ
スが好ましいが、特に、ソーダガラスで、表面処理の無
いガラス材が安価に使用でき、好ましい。樹脂材として
は、上記基板で例示したものが好ましい。
【0144】封止板は、スペーサーを用いて高さを調整
し、所望の高さに保持してもよい。スペーサーの材料と
しては、樹脂ビーズ、シリカビーズ、ガラスビーズ、ガ
ラスファイバー等が挙げられ、特にガラスビーズ等が好
ましい。
【0145】なお、封止板に凹部を形成した場合には、
スペーサーは使用しても、使用しなくてもよい。使用す
る場合の好ましい大きさとしては、前記範囲でよいが、
特に2〜8μm の範囲が好ましい。
【0146】接着剤としては、安定した接着強度が保
て、気密性が良好なものであれば特に限定されるもので
はないが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ
樹脂接着剤を用いることが好ましい。
【0147】本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動
型、パルス駆動型のEL素子として用いられるが、交流
駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、2〜30
V 程度とされる。
【0148】本発明の有機EL素子は、例えば図1に示
すように、基板1/カラーフィルター層2/バリア層3
/ホール注入電極4/高抵抗の無機ホール注入輸送層5
/発光層6/高抵抗の無機電子注入輸送層7/陰電極
(電子注入電極)8とが順次積層された構成とすること
ができる。また、図2に示すように、基板1/陰電極
(電子注入電極)8/高抵抗の無機電子注入輸送層7/
発光層6/高抵抗の無機ホール注入輸送層5/ホール注
入電極4/カラーフィルター層2/バリア層3とが順次
積層された逆積層構成とすることもできる。図2の構成
では、光取り出し側は基板と反対側のホール注入電極側
となる。この場合、バリア層3は省略してもよいし、ホ
ール注入電極4とカラーフィルター層2との間に形成し
てもよい。図1,2において、ホール注入電極4と陰電
極8の間には、駆動電源9が接続されている。
【0149】また、上記発明の素子は、膜厚方向に多段
に重ねてもよい。このような素子構造により、発光色の
色調調整や多色化を行うこともできる。
【0150】本発明の有機EL素子は、ディスプレイと
しての応用の他、例えばメモり読み出し/書き込み等に
利用される光ピックアップ、光通信の伝送路中における
中継装置、フォトカプラ等、種々の光応用デバイスに用
いることができる。
【0151】
【実施例】<実施例1>PET(ポリエチレンテレフタ
レート)基板(膜厚:500μm )上に、青色フィルタ
ー層と、赤色フィルター層と、緑色フィルター層とし
て、フタロシアニンブルー(青色)、キナクリドンレッ
ド(赤色)、フタロシアニンブルーおよびキナクリドン
レッド(緑色)をそれぞれマスク蒸着法により形成し
た。
【0152】蒸着時の圧力は1×10-4Pa以下とし、各
フィルター層の膜厚は、400nmとした。
【0153】次に、ターゲットにSiO2を用い、RF
スパッタ法で、バリア層を、成膜速度10nm/minで、
30nmの厚さに成膜した。このときのスパッタガスはA
r100sccmで、成膜中の圧力は0.5Paとした。ま
た、温度は室温で、投入電力は周波数13.56MHzで
500W、基板・ターゲット間は5cmであった。成膜し
たバリア層の組成はSiO1.9であった。
【0154】次に、ITO透明電極(ホール注入電極)
を膜厚85nmで64ドット×7ラインの画素(一画素当
たり100×100μm )を構成するよう成膜、パター
ニングした。そして、パターニングされたホール注入電
極が形成された基板を、中性洗剤、アセトン、エタノー
ルを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上
げて乾燥した。その後、UV/O3 洗浄を行った。
【0155】次いで、スパッタ装置の基板ホルダーに固
定して、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した。
【0156】ターゲットにSiO2と、この上に所定の
大きさのAuのペレットを配置して用い、高抵抗の無機
ホール注入層を20nmの膜厚に成膜した。このときのス
パッタガスはAr:30sccm、O2:5sccmで、室温
(25℃)下、成膜レート1nm/min 、動作圧力0.2
〜2Pa、投入電力500Wとした。成膜した高抵抗の無
機ホール注入輸送層の組成は、SiO1.9にAuを4 mo
l%含有するものであった。
【0157】減圧状態を保ったまま、下記構造のN,
N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−(4−メチル
フェニル)−N−フェニル−(4−アミノフェニル)]
−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(ATP
34)を蒸着速度0.2nm/sec で40nmの膜厚に蒸着
し、ホール注入層とした。
【0158】
【化17】
【0159】次いで、下記構造のN,N´−ビス(m−
メチルフェニル)−N,N´−ジフェニル−1,1´−
ビフェニル−4,4´−ジアミン(TPD27)を蒸着
速度0.2nm/secで20nmの厚さに蒸着し、ホール輸送
層とした。
【0160】
【化18】
【0161】次いで、減圧を保ったまま、TPD27
と、Alq3 とを1:1で混合したものに、下記構造の
ルブレンを、1体積%ドープしたものを、全体の蒸着速
度0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、第1の発
光層とした。
【0162】
【化19】
【0163】さらに、減圧を保ったまま、TPD27
と、Alq3 とを1:1で混合したものに、下記構造の
DSMAを、2.5体積%ドープしたものを、全体の蒸
着速度0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、第2
の発光層とした。
【0164】
【化20】
【0165】次いで、基板をスパッタ装置に移し、Li
2OにRuO2 を4 mol%混合したターゲットを用い、
高抵抗の無機電子注入輸送層を2nmの膜厚に成膜した。
このときのスパッタガスはAr:30sccm、O2:5scc
mで、室温(25℃)下、成膜レート1nm/min 、動作
圧力:0.2〜2Pa、投入電力:500Wとした。成膜
した無機電子注入層の組成は、ターゲットとほぼ同様で
あった。
【0166】さらに、減圧を保ったまま、Alを200
nmの厚さに蒸着して陰電極とし、最後にガラス封止して
有機EL素子を得た。
【0167】このようにして得られた有機EL素子は、
マスク蒸着法により形成されているため、200μm 角
の画素内に3原色のフィルター層を形成することができ
た。また、発光層から得られる発光光は400〜700
nmの波長帯域の白色光であった。
【0168】得られたサンプルを10サンプル用意し、
各画素を10mA/cm2 の定電流密度で所定のパターンに
駆動し、表示面を目視により観察したところ、従来のカ
ラーフィルターを用いたものに比べ色味、彩度の表現に
優れた表示画面が得られることが確認できた。また、カ
ラーレジスト材とオーバーコートの形成が不要になった
ため、約30%以上のコスト低減が可能となった。
【0169】<実施例2>コーニング社製7059ガラ
ス基板上に、真空蒸着法によりAlを200nmの厚さに
蒸着して陰電極とした。
【0170】次いで、基板をスパッタ装置に移し、Li
2OにRuO2 を4 mol%混合したターゲットを用い、
高抵抗の無機電子注入輸送層を2nmの膜厚に成膜した。
このときのスパッタガスはAr:30sccm、O2:5scc
mで、室温(25℃)下、成膜レート1nm/min 、動作
圧力:0.2〜2Pa、投入電力:500Wとした。成膜
した無機電子注入層の組成は、ターゲットとほぼ同様で
あった。
【0171】次いで、減圧を保ったまま、TPD27
と、Alq3 とを1:1で混合したものに、下記構造の
DSMAを、2.5体積%ドープしたものを、全体の蒸
着速度0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、第2
の発光層とした。
【0172】さらに、減圧を保ったまま、TPD27
と、Alq3 とを1:1で混合したものに、下記構造の
ルブレンを、1体積%ドープしたものを、全体の蒸着速
度0.2nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、第1の発
光層とした。
【0173】ターゲットにSiO2と、この上に所定の
大きさのAuのペレットを配置して用い、高抵抗の無機
ホール注入層を20nmの膜厚に成膜した。このときのス
パッタガスはAr:30sccm、O2:5sccmで、室温
(25℃)下、成膜レート1nm/min 、動作圧力0.2
〜2Pa、投入電力500Wとした。成膜した高抵抗の無
機ホール注入輸送層の組成は、SiO1.9にAuを4 mo
l%含有するものであった。
【0174】次に、スパッタ装置に移し、ITO透明電
極(ホール注入電極)を膜厚85nmで64ドット×7ラ
インの画素(一画素当たり200×200μm )を構成
するよう成膜、パターニングした。
【0175】次いで、青色フィルター層と、赤色フィル
ター層と、緑色フィルター層として、フタロシアニンブ
ルー(青色)、キナクリドンレッド(赤色)、フタロシ
アニンブルーおよびキナクリドンレッド(緑色)をそれ
ぞれマスク蒸着法により形成した。
【0176】次に、ターゲットにSiO2を用い、RF
スパッタ法で、バリア層を、成膜速度10nm/minで、
30nmの厚さに成膜した。このときのスパッタガスはA
r100sccmで、成膜中の圧力は0.5Paとした。ま
た、温度は室温で、投入電力は周波数13.56MHzで
500W、基板・ターゲット間は5cmであった。成膜し
たバリア層の組成はSiO1.9であった。
【0177】最後にガラス封止して有機EL素子を得
た。
【0178】得られた有機EL表示装置を実施例1と同
様にして評価したところ、実施例1とほぼ同様の結果が
得られた。また、カラーフィルター層の形成に伴う有機
EL素子へのダメージはほとんど見られなかった。
【0179】<実施例3>実施例1、2において、高抵
抗の無機電子注入輸送層の組成を、Li2OからNa,
K,Rb,CsおよびFrのアルカリ金属元素、または
Be,Mg,Ca,Sr,BaおよびRaのアルカリ土
類金属元素、またはLa,Ce,Pr,Nd,Pm,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb
およびLuのランタノイド系元素から選択される1種以
上の元素の酸化物に代えても同様の結果が得られた。
【0180】また、RuからV,Zn,SmおよびIn
から選択される1種以上の元素に代えても同様であっ
た。
【0181】<実施例4>実施例1、2において、高抵
抗の無機ホール注入層を成膜する際、ターゲットにGe
2と、このターゲット上に所定の大きさのAuのペレ
ットを配置し、高抵抗の無機ホール注入層を20nmの膜
厚に成膜した。このときのスパッタガスはAr:30sc
cm、O2:5sccmで、室温(25℃)下、成膜レート1n
m/min 、動作圧力0.2〜2Pa、投入電力500Wと
した。成膜した無機ホール注入層の組成は、GeO2
Auを2 mol%含有するものであった。
【0182】その他は実施例1と同様にして有機EL素
子を得た。得られた有機EL素子を空気中で、10mA/
cm2 の定電流密度で駆動したところ、初期輝度は880
cd/m2 、駆動電圧6,9V であった。
【0183】また、4端子法により高抵抗の無機ホール
注入層のシート抵抗を測定したところ、膜厚100nmで
のシート抵抗は100Ω/cm2であり、抵抗率に換算す
ると1×107Ω・cmであった。
【0184】<実施例5>実施例1、2において、高抵
抗の無機ホール注入輸送層を成膜する際にスパッタガス
のO2流量、および膜組成によりターゲットを変えてそ
の主成分の組成をSiO1.7、SiO1.95、Ge
1.96、Si0.5Ge0.51.92とした他は実施例1と同
様にして有機EL素子を作製し、発光輝度を評価したと
ころほぼ同等の結果が得られた。
【0185】<実施例6>実施例1、2において、高抵
抗の無機ホール注入層の金属を、AuからCu、Fe、
Ni、Ru、Sn,Cr,Ir,Nb,Pt,W,M
o,Ta,PdおよびCoのいずれか1種以上、または
これらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硼化物に
代えても同等の結果が得られた。
【0186】<実施例7>実施例2において、封止板を
ガラス板からPET(ポリエチレンテレフタレート)フ
ィルムにSiO2 コートを施したものに代えた以外は実
施例2と同様にして作製した有機EL表示装置につい
て、実施例2の表示装置とともに輝度半減時間を評価し
たところ、ほぼ同様の結果となり、PET製の封止板を
用いても十分実用性を有することがわかった。
【0187】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、薄膜発光
体である有機EL素子の特徴を十分に発揮でき、低コス
トかつ高品位で歩留まりのよい有機EL表示装置を実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の基本構成を示す概略断
面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の他の基本構成(逆積
層)を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 カラーフィルター層 3 バリア層 4 ホール注入電極 5 高抵抗の無機ホール注入輸送層 6 発光層(有機層) 7 高抵抗の無機電子注入輸送層 8 陰電極(電子注入電極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/22 H05B 33/22 A Fターム(参考) 3K007 AB00 AB04 AB05 AB13 AB14 AB18 BA07 BB00 BB01 BB02 BB04 BB06 CA02 CA04 CA05 CB01 DA00 DB03 EB00 FA01 FA02 4K029 AA11 BA62 BB03 BC07 BD00 CA01 DB06 EA01 GA03 HA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性を有する基板上にカラーフィルタ
    ー層と、バリア層と、ホール注入電極と陰電極とを順次
    有し、 これらの電極間に発光機能に関与する有機層を有し、 少なくとも前記有機層とホール注入電極との間、あるい
    は有機層と陰電極との間のいずれかには、 ホールを搬送するための導通パスを有するとともに電子
    をブロックする高抵抗の無機ホール注入輸送層か、 あるいは電子を搬送するための導通パスを有するととも
    にホールをブロックする高抵抗の無機電子注入輸送層の
    いずれかを有し、 前記カラーフィルター層は、蒸着法により形成されてい
    る有機EL表示装置。
  2. 【請求項2】 可撓性を有する基板上に、陰電極とホー
    ル注入電極とカラーフィルター層とを順次有し、 これらの電極間に発光機能に関与する有機層を有し、 少なくとも前記有機層とホール注入電極との間、あるい
    は有機層と陰電極との間のいずれかには、 ホールを搬送するための導通パスを有するとともに電子
    をブロックする高抵抗の無機ホール注入輸送層か、 あるいは電子を搬送するための導通パスを有するととも
    にホールをブロックする高抵抗の無機電子注入輸送層の
    いずれかを有し、 前記カラーフィルター層は、蒸着法により形成されてい
    る有機EL表示装置。
  3. 【請求項3】 前記からフィルター層は、顔料にて形成
    されている請求項1または2の有機EL表示装置。
  4. 【請求項4】 前記カラーフィルター層の膜厚は、20
    00nm以下である請求項1〜3のいずれかの有機EL表
    示装置。
  5. 【請求項5】 前記蒸着法は、マスク蒸着法である請求
    項1〜4のいずれかの有機EL表示装置。
  6. 【請求項6】 前記基板は、樹脂材料により形成されて
    いる請求項1〜5のいずれかの有機得EL表示装置。
  7. 【請求項7】 前記基板の厚みは、50〜1000μm
    である請求項1〜6のいずれかの有機EL表示装置。
  8. 【請求項8】 発光層から得られる発光光は、少なくと
    も波長450〜650nmの連続した発光スペクトルを有
    する白色発光である請求項1〜7のいずれかの有機EL
    表示装置。
  9. 【請求項9】 樹脂封止構造体を有する請求項1〜8の
    いずれかの有機EL表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003059643A (ja) * 2001-08-22 2003-02-28 Dainippon Printing Co Ltd エレクトロルミネッセント素子
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