JP2001193918A - 排ガス処理用燃焼器 - Google Patents

排ガス処理用燃焼器

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JP2001193918A JP2000334694A JP2000334694A JP2001193918A JP 2001193918 A JP2001193918 A JP 2001193918A JP 2000334694 A JP2000334694 A JP 2000334694A JP 2000334694 A JP2000334694 A JP 2000334694A JP 2001193918 A JP2001193918 A JP 2001193918A
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與四郎 竹村
Tetsuo Komai
哲夫 駒井
Kotaro Kawamura
興太郎 川村
Takeshi Tsuji
健 辻
Kazutaka Okuda
和孝 奥田
Hiroyuki Yamada
宏幸 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体製造装置等からの排ガス、特にSiH
を含んだデポジット系のガス及びハロゲン系のガスを
同時に高い分解率で分解できて、SiO粉が付着・堆
積し難く、しかも低NOx燃焼を実現でき、且つ安全性
を確保できる燃焼式排ガス処理装置用の燃焼器を提供す
る。 【解決手段】 燃焼室11に向けて開口し、周壁12で
囲まれて燃焼室の反対側を板体14で閉塞させた保炎室
15を設け、保炎室15に、排ガスと、助燃剤と、空気
とを導入して混合すると共に、混合したガスが板体14
に対して垂直方向に燃焼室11に向けて噴出するように
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体製造
装置から排出されるSiHを含んだデポジット系のガ
ス及びハロゲン系のガス(CHF、C、CF
等)を含む有害排ガスを、燃焼処理するための燃焼式排
ガス処理設備に用いられる排ガス処理用燃焼器(バー
ナ)に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、半導体製造装置からはSiH
を含んだデポジット系のガス及びハロゲン系のガス(C
HF、C、CF等)等の有害ガスを含むガス
が排出されるが、このような排ガスは、そのままでは大
気に放出することはできない。そこで、これらの排ガス
を除害装置に導いて、燃焼による酸化無害化処理を行う
ことが一般に行われている。この処理方法としては、助
燃ガスを用いて炉内に火炎を形成し、この火炎により排
ガスを燃焼させるようにしたものが広く採用されてい
る。
【0003】このような燃焼式排ガス処理装置において
は、助燃ガスとして、水素、都市ガス、LPG等を燃料
ガスとし、酸素もしくは空気を酸化剤としたものが通常
使用されており、この装置の運転費用は、これらの燃料
ガスや酸化剤の消費に伴うコストが大半を占めている。
そこで、少ない助燃ガスによって如何に多くの有害な排
ガスを高効率のもとで分解するかが、この種の装置の性
能を評価する尺度の一つになっている。また、デポジッ
ト系のガスであるSiHを酸化分解すると粉末状のS
iOが生成し、このSiO粉が燃焼室内に付着堆積
して種々の障害を起こすことが知られている。そこで、
SiO粉が燃焼室内に付着堆積し難い構成であること
も装置を評価する重要な要素になっている。
【0004】従来の前記燃焼式排ガス処理装置に使用さ
れる燃焼器の一般的な構成を図23及び図24に示す。
これは、円筒型燃焼室1の天井中心部に処理すべき排ガ
スAを燃焼室1内に導入する排ガス用ノズル2と、この
排ガス用ノズル2の外周部に酸化剤を混合した助燃ガス
Bを燃焼室1内に導入する複数の助燃ガス用ノズル3と
をそれぞれ設けると共に、燃焼室1の下端に燃焼ガス出
口4を一体に連接している。これによって、前記助燃ガ
ス用ノズル3から噴出される助燃ガスBで円状に並んで
形成される火炎の中心部に排ガスAを通過させ、この通
過の際に排ガスAを火炎と混合させて燃焼させて、この
燃焼後の燃焼排ガスを燃焼ガス出口から外部に排出する
ようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例にあっては、助燃ガスの火炎は助燃ガス用ノズルの
先方に形成されて、その内側に設けた排ガス用ノズルか
ら前方に吹き出す排ガスは助燃ガスの火炎と必ずしも充
分に混合せず、排ガスの分解率が充分ではなかった。こ
の分解率を向上させるためには、助燃ガス量を増加させ
て大きな火炎を形成することで排ガスを燃焼分解し易く
する必要があるが、このようにすると、排ガスの分解に
寄与しない助燃ガス量も増大して、装置の運転コストが
増大してしまう。
【0006】また、SiHガスを酸化分解すると、生
成する粉状態のSiOが排ガス流れの緩慢な壁面に付
着して堆積する。排ガス中のSiH濃度が高い場合に
はSiO粉の生成量も多くなって壁面への堆積が激し
くなり、最悪の場合、燃焼の継続が困難となり粉除去の
ために運転を停止する場合もあった。
【0007】本発明は上記事情に鑑みて為されたもの
で、半導体製造装置等からの排ガス、特にSiHを含
んだデポジット系のガス及びハロゲン系のガスを同時に
高い分解率で分解できて、SiO粉が付着・堆積し難
く、しかも低NOx燃焼を実現でき、且つ安全性を確保
できる燃焼式排ガス処理装置用の燃焼器を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の排ガス処理用燃
焼器は、燃焼室に向けて開口し、周壁で囲まれて前記燃
焼室の反対側を板体で閉塞させた保炎室を設け、前記保
炎室に、排ガスと、助燃剤と、空気とを導入して混合す
ると共に、該混合したガスが前記板体に対して垂直方向
に前記燃焼室に向けて噴出するようにしたことを特徴と
する。ここで、前記板体に前記保炎室に向けて排ガスを
噴出する排ガス用炎孔と助燃ガスを噴出する助燃ガス用
炎孔を設け、前記保炎室周壁に旋回流を作り出すように
略周方向に噴出する空気噴出ノズルを設けることが好ま
しい。
【0009】上記本発明によれば、燃焼室に向けて開口
した保炎室に、デポジット系のガス及びハロゲン系のガ
ス等の排ガスと、助燃剤と、空気とが導入されて十分に
混合される。そして、これらが混合したガスが分散する
ことなく十分な混合状態を保ちつつ、板体に対して垂直
方向に燃焼室に向けて噴出される。従って、燃焼室にお
ける燃焼炎が長炎を形成して、高温領域を下流側に拡大
して排ガスの高温領域の滞留時間を長くとることができ
る。それ故、排ガスの分解効率の高い良好な燃焼が行わ
れると共に、形成されるSiO粉等も燃焼ガスの流れ
により効率的に排出することができる。
【0010】周壁から略周方向に空気を噴出すること
で、空気は強い旋回流を形成するが、その中心部は旋回
する空気流の渦の目を形成し、その周辺部に自由渦域が
形成される。そして、排ガス及び助燃ガスの各炎孔を板
体に設けることにより、各炎孔から噴出する排ガス及び
助燃ガスは、この自由渦域に噴出されて旋回流に取り込
まれる。各炎孔から噴出する排ガス及び助燃ガスは、旋
回空気流の自由渦域により、流速変化によるせん断作用
を受けて、充分に空気と混合して、排ガス、助燃ガス、
及び空気の混合ガスが旋回状の火炎を形成する。従っ
て、助燃ガスと空気とは、旋回空気流中で混合後に燃焼
するため、予混合火炎を形成して低NOx燃焼が実現す
る。また、助燃剤と空気は保炎室内で混合する方式を採
用しているため、保炎室の周壁が火炎により加熱されて
も、助燃剤がガス室で発火することがなく、極めて安全
性が高い。
【0011】また、前記保炎室の軸方向に沿って前記空
気噴出ノズルよりも下流側の保炎室周壁に助燃ガスを噴
出する第2の助燃ガス用炎孔を設けることが好ましい。
この助燃ガスにより形成される火炎は、この第2の助燃
ガス用炎孔の下流に形成されて、1次燃焼と合わせて長
炎となる。そして、高温領域を下流側に拡大して、排ガ
スの高温滞留時間を延長することができる。このよう
に、火炎による高温領域を下流側に延ばすことによって
特にハロゲン系排ガスを完全に分解することができる。
【0012】また、前記空気噴出ノズルを、前記保炎室
の軸方向に沿って複数群に分けて配置することが好まし
い。これにより、空気を複数群に分けて、保炎室に供給
すると、各群から噴出される空気量は少なくなる。即
ち、保炎室の入り口側では、助燃ガスの燃焼に必要な空
気量が不足し、過濃燃料による火炎を形成し、これによ
りNOxの生成を抑制する。そして保炎室の出口側では
充分な空気量が供給され、希薄炎を形成して同様に低N
Ox燃焼する。更に、この様に複数群の空気噴出ノズル
から噴出される空気により形成される火炎は、長炎とな
り、高温領域を下流側に拡大して、排ガスの高温滞留時
間を延長することができ、これにより特にハロゲン系排
ガスを完全に分解することができる。
【0013】また、前記保炎室は円筒状であることが好
ましい。これにより、略周方向に噴出する空気噴出ノズ
ルを備えることで保炎室内に空気の旋回流を容易に形成
することができる。
【0014】本発明の第2の態様の排ガス処理用燃焼器
は、前記保炎室の軸方向に沿って下流側に第2の保炎室
を設け、前記第2の保炎室周壁に助燃ガスを噴出する第
2の助燃ガス用炎孔を設け、前記第2の保炎室の軸方向
に沿って前記第2の助燃ガス用炎孔よりも下流側に燃焼
室を設けたことを特徴とする。これにより、保炎室の下
流で1次予混合希薄火炎を形成し、次に第2の保炎室よ
り助燃ガスを噴出してその下流に2次高温低酸素火炎を
形成する。従って、SiHを含んだデポジット系のガ
ス及びハロゲン系のガスを高効率のもとに同時に分解で
き、生成されるSiO粉も燃焼ガスの流れにより効率
的に排出することができる。従って、SiO粉の燃焼
室内への付着堆積が防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の態様を図1
乃至6を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の
第1の実施の形態を示すもので、炉壁10に囲まれた燃
焼室11に臨んで、円筒体12の内周面で構成された周
壁13で囲まれて板体14で閉塞させた保炎室15が設
けられている。ここに、前記円筒体12は、前記板体1
4と一体に形成されている。
【0016】そして、前記板体14の内部には、例えば
半導体製造装置から排出されたハロゲン系のガス等を含
んだ窒素を主成分とする排ガス等の処理すべき排ガスA
を保持し導く複数(図示では4個)の排ガス室20、お
よび水素、都市ガスやLPG等の燃料ガスである助燃ガ
スBを保持し導く複数(図示では4個)の助燃ガス室2
1が、また、該板体14から延出する円筒体12の内部
には空気Cを保持し導く空気室22がそれぞれ設けられ
ている。
【0017】前記板体14の下面には、前記排ガス室2
0から延びて前記保炎室15に向けて開口する複数の排
ガス用炎孔23及び前記助燃用ガス室21と保炎室15
とを連通する複数の助燃ガス用炎孔24がドーナツ状に
設けられている。ここでドーナツ状とは保炎室板体の略
中央部を円心とする略円周上に、各助燃ガス用炎孔24
が排ガス用炎孔23の隣になるように配置されていると
いう意味であり、この実施例においては排ガス用炎孔2
3と助燃ガス用炎孔24が交互に配置されていて、この
円周は後述する空気の旋回流の流速の速い自由渦域部と
一致する。また、前記円筒体12の内周壁面13には、
前記空気室と保炎室15とを連通する複数の空気噴出ノ
ズル25が設けられている。そして、空気噴出ノズル2
5は保炎室15の円周の略接線方向に延びて保炎室15
に向けて略周方向に空気Cを旋回流を形成して噴出する
ように構成されている(図2参照)。
【0018】更に、前記円筒体12の周壁13から円錐
状に延びて燃焼室11の側面と連接して燃焼室11の一
部を構成する円錐面12aを備えている。また、燃焼室
11の下端には、燃焼ガス出口30が一体に連接されて
いる。
【0019】次に、この実施の形態の作用について説明
する。先ず、空気Cは空気室22内に導かれて保持さ
れ、円筒体12の内周面に設けられた空気噴出ノズル2
5から保炎室15に向けて強い旋回流を作り出すよう
に、略周方向に噴出する。排ガスAはガス室20内に導
かれて保持され、板体14の下面に設けられた排ガス用
炎孔23から保炎室15に向けて噴出する。また、助燃
ガスBは助燃ガス室21に導かれて保持され、板体14
の下面に設けられた助燃ガス用炎孔24から保炎室15
に向けて噴出する。ここで、助燃ガスBは、円孔から噴
出した後、その隣から噴出する排ガスAと直ちに合流
し、旋回空気流と混合する。そして、図示しない着火元
により点火されると、円筒体12の内周面に旋回炎を形
成する。
【0020】この際、周壁から略周方向に噴出した空気
は強い旋回流を形成するが、旋回流はその中心部には一
体になって旋回する渦の目を形成し、その周辺部には外
周程流速が低下するドーナツ状の自由渦域を形成する。
そして、排ガスA及び助燃ガスBの各炎孔は板体の下面
に自由渦域と一致した円周状に設けられているため、排
ガスA及び助燃ガスBはこの自由渦域に噴出されて旋回
流に取り込まれる。すると、これらのガスは空気旋回流
の気流の流速変化によるせん断作用を受けて、充分に空
気Cと混合する。そして、この排ガスA、助燃ガスBお
よび空気Cの混合ガスが旋回状の火炎を形成する。この
ように、空気の旋回流により排ガスAの全てが助燃ガス
Bおよび空気Cと充分に混合した後に火炎を形成するた
め、排ガスAは火炎に充分に曝されて排ガスの燃焼分解
が進み、分解効率は高くなる。
【0021】さらに助燃ガスBと空気Cは保炎室に別々
に吹き出されているにも拘わらず、混合後に燃焼するた
め、予混合火炎を形成して低NOx燃焼を実現する。こ
の予混合火炎は、燃料ガスが燃焼前に空気と充分に混合
して始めて実現できるものであり、本発明のように板体
のドーナツ状の位置から旋回空気流の流速の速い自由渦
域部に燃料ガスを噴出することによって可能になるもの
である。また、燃料ガスである助燃ガスBと空気は保炎
室内で混合する方式を採用しているため、円筒体が火炎
により加熱されても、助燃ガスBが助燃用ガス室21内
で発火することがなく極めて安全である。
【0022】また、前記空気噴出ノズル25から燃焼室
11内に噴出された空気は次のように円筒体12を冷却
する。即ち、旋回炎は円筒体12を加熱するが、燃焼を
継続するためには円筒体12の構成材料の耐熱温度を超
えないように冷却する必要がある。ここで、空気噴出ノ
ズル25から燃焼室11内に噴出された空気は、排ガス
Aおよび助燃ガスBと混合しつつ保炎室15内を旋回し
て周壁13の表面を冷却する作用を有している。
【0023】図3及び図4は、本発明の第1の実施の形
態の変形例を示すものである。これは、第1の実施の形
態において、円筒体12の内径と燃焼室11の内径を略
同一として構成している。円筒体の周壁13と燃焼室1
0の側面を接続する円錐面12aを円筒面12bとした
ものである。この様に構成することにより、旋回流の旋
回径が出口まで略同一となって、保炎室から出口まで良
好な旋回流を維持でき、流れの停滞域をなくして、排ガ
スと旋回炎との混合を旺盛にして排ガスの分解率を向上
することができる。尚、この実施の形態においては、助
燃ガス室21及び助燃ガス用炎孔24は各2個として、
2個の助燃ガス用炎孔24を4個の排ガス用炎孔23の
隣になるように、つまり、4個の排ガス用炎孔23のそ
れぞれの間に配置して構成している。このようにして
も、1次助燃ガスBは、隣接して噴出する排ガスAと十
分に混合する。
【0024】図5及び図6は、本発明の実施の形態の他
の変形例を示すものである。前記円筒体12の内部に設
けた空気室22を円筒体12の周壁13の軸方向の略全
長にわたって設けてある。そして、前記空気室22と保
炎室15を連通する空気噴出ノズル25を同一円周上に
4個設けたグループを1群として、板体に近い周壁に第
1群25a、周壁長手方向のほぼ中央に第2群25b、
そして燃焼室に臨む位置の周壁に第3群25cと3分割
して設けてある。また、燃焼室11の下端には、燃焼ガ
ス出口30が一体に連接されている。
【0025】次にこの実施の形態の作用について説明す
る。空気室22から保炎室15に向けて噴出される空気
は周壁13の軸方向に沿い3群に分割される。通常、供
給される全空気量は、助燃ガス量の数倍から10数倍多
い。そこで、空気を軸方向に沿って3段階に分けて保炎
室に供給すると、各群から噴出される空気量は少なくな
り、空気と排ガスおよび助燃ガスとの混合が促進されて
これにより分解率が向上する。また、第1群と第2群の
空気噴出ノズル25a、25bから噴出される空気だけ
では、全燃料ガスの燃焼に必要な空気量が不足して、保
炎室内に燃料過濃状態の火炎を形成し、NOxの生成を
抑制する。そして第3群の空気噴出ノズル25cから空
気が供給された段階で燃料ガスに対して充分な空気量が
供給されて、希薄炎を形成して、同様に低NOx燃焼す
る。
【0026】また、この第3群の空気噴出ノズル25c
から噴出される空気により形成される火炎は、この空気
噴出ノズル25cの下流に形成される。このため、火炎
は長炎となり、高温領域を下流側に拡大して、排ガスの
高温滞留時間を延長することができる。このように、火
炎による高温領域を下流側に延ばすことによって、ハロ
ゲン系排ガスを完全に分解することができる。ここで各
群の空気噴出ノズルは、必ずしもそれらの全てを保炎室
に向けて旋回流を形成するように噴出しなくても良い。
例えば、第3群の空気噴出ノズルは接線方向ではなく単
に下流側に空気を噴出しても良い。また、保炎室の中心
方向に向けて空気を噴出して、排ガスとの間に乱れを起
こして混合するようにしても良い。
【0027】図7、図8及び図9は、本発明の第2の実
施の形態を示すもので、炉壁10に囲まれた燃焼室11
に臨んで、円筒体12の内周面で構成された周壁13で
囲まれて板体14で閉塞させた保炎室15が設けられて
いる。ここに、前記円筒体12は、前記板体14と一体
に形成されている。そして、前記板体14の内部には、
例えば半導体製造装置から排出されたハロゲン系のガス
等を含んだ窒素を主成分とする排ガス等の処理すべき排
ガスAを保持し導く複数(図示では4個)の排ガス室2
0及び水素、都市ガスやLPG等の燃料ガスである1次
助燃ガスB1を保持し導く複数(図示では4個)の第1
の助燃ガス室21aが設けられている。また、該板体1
4から延出する円筒体12の内部には空気Cを保持し導
く空気室22及び前記保炎室の軸方向に沿って前記空気
室よりも燃焼室に近い位置に(下流側に)燃料ガスであ
る2次助燃ガスB2を保持し導く第2の助燃ガス室21
bがそれぞれ設けられている。
【0028】前記板体14の下面には、前記排ガス室2
0から延びて前記保炎室15に向けて開口する前記保炎
室15より小径の複数の排ガス用炎孔23及び前記第1
の助燃用ガス室21aと保炎室15とを連通する複数の
第1の助燃ガス用炎孔24aがドーナツ状に設けられて
いる。ここでドーナツ状とは保炎室板体の略中央部を円
心とする略円周上に、各第1の助燃ガス用炎孔24aが
排ガス用炎孔23の隣になるように配置されているとい
う意味であり、この実施例においては排ガス用炎孔23
と第1の助燃ガス用炎孔24aが交互に配置されてい
て、この円周は後述する空気の旋回流の流速の速い自由
渦域部と一致する。
【0029】また、前記円筒体12の内周面13には、
前記空気室と保炎室15とを連通する複数の空気噴出ノ
ズル25及び前記保炎室の軸方向に沿って前記空気噴出
ノズル25よりも下流側の燃焼室に近い円周面13に第
2の助燃ガス用炎孔24bがそれぞれ設けられている。
そして、空気噴出ノズル25は、保炎室15の円周の略
接線方向に延びて保炎室15に向けて略周方向に空気C
を旋回流を形成して噴出するように構成されている。ま
た、第2の助燃ガス用炎孔24bは保炎室15の中心方
向に2次助燃ガスB2を噴出するように構成されてい
る。
【0030】次に、この実施の形態の作用について説明
する。先ず、空気Cは、空気室22内に導かれて保持さ
れ、円筒体12の内周面に設けられた空気噴出ノズル2
5から保炎室15に向けて強い旋回流を作り出すように
略周方向に噴出する。排ガスAはガス室20内に導かれ
て保持され、板体14の下面に設けられた排ガス用炎孔
23から保炎室15に向けて噴出する。また、1次助燃
ガスB1は第1の助燃ガス室21a内に導かれて保持さ
れ、板体14の下面に設けられた第1の助燃ガス用炎孔
24aから保炎室15に向けて噴出する。排ガスA及び
1次助燃ガスB1は旋回空気流と混合する。そして、図
示しない着火元により点火されると、円筒体12の内周
面に1次火炎である旋回炎を形成する。ここで、1次助
燃ガスB1の流量は空気Cの流量に対する理論的当量よ
りも少なく与えられ、形成される1次火炎は燃料が希薄
な希薄燃焼火炎となる。
【0031】この際、周壁から略周方向に噴出した空気
は強い旋回流を形成するが、旋回流はその中心部には一
体になって旋回する渦の目を形成し、その周辺部には外
周程流速が低下するドーナツ状の自由渦域を形成する。
そして、排ガスA及び1次助燃ガスB1の各炎孔は板体
の下面に自由渦域と一致した円周状に設けられているた
め、排ガスA及び1次助燃ガスB1はこの自由渦域に噴
出されて旋回流に取り込まれる。すると、これらのガス
は空気旋回流の気流の流速変化によるせん断作用を受け
て、充分に空気Cと混合する。そして、この排ガスA、
1次助燃ガスB1及び空気Cの混合ガスが旋回状の希薄
火炎を形成して1次燃焼する。ここで、1次助燃ガスB
1と空気Cは保炎室に別々に吹き出されているにもかか
わらず混合後に燃焼するため、予混合火炎を形成する。
この火炎は、燃料ガスが燃焼前に空気と充分に混合して
始めて実現できるものであり、本発明のように板体のド
ーナツ状の位置から旋回空気流の流速の速い自由渦域部
に燃料ガスを噴出することによって可能になるものであ
る。更に、予混合火炎の場合には希薄燃焼であれば低N
Ox燃焼になるが、ここで形成された予混合火炎は燃料
が希薄な火炎であるため、低NOx燃焼を実現する。
【0032】次に、この1次火炎である旋回炎に第2の
助燃ガス用炎孔24bから2次助燃ガスB2が保炎室の
中心に向けて噴出される。すると、この2次助燃ガスB
2は、旋回している1次火炎流のせん断作用により1次
火炎とよく混合し、1次火炎中に残存する酸素と酸化反
応して2次燃焼する。ここで、1次火炎に残存している
酸素は空気中に含まれる酸素よりもその濃度がはるかに
低いため、2次燃焼では低酸素濃度燃焼を行う。低酸素
濃度燃焼では発生するNOxはわずかとなって、低NO
x燃焼を実現することができる。また、2次燃焼により
形成される火炎は、この第2の助燃ガス用炎孔24bの
下流に形成され、合わせて長炎となる。そして、高温領
域を下流側に拡大して、排ガスの高温滞留時間を延長す
ることができる。このように、火炎による高温領域を下
流側に延ばすことによってハロゲン系排ガスを完全に分
解することができる。
【0033】このように、低NOx燃焼を実現しつつ空
気の旋回流により排ガスAの全てが1次助燃ガスB1、
2次助燃ガスB2及び空気Cと充分に混合した後に下流
に長い火炎を形成して、排ガスAは火炎に充分に曝され
て排ガスの燃焼分解が進み、分解効率は高くなる。
【0034】また、燃料ガスである1次、2次助燃ガス
B1、B2と空気Cは保炎室内で混合する方式を採用し
ているため、円筒体が火炎により加熱されても助燃ガス
が第1、第2の助燃用ガス室21a、21b内で発火す
ることがなく、極めて安全である。しかも、この実施の
形態のように空気室22に対してその円周方向に空気C
を供給すると空気室22内において空気Cが旋回して、
空気室を均等に冷却して円筒体の加熱を防ぐ作用をす
る。同様に、第2の助燃ガス室21bに対してその円周
方向に2次助燃ガスB2を供給すると第2の助燃ガス室
21b内において2次助燃ガスB2が旋回して、第2の
助燃ガス室21bを均等に冷却する作用をする。
【0035】図10、図11及び図12は、本発明の第
2の実施の形態の変形例を示すものである。これは、第
2の実施の形態において、円筒体12の内径と燃焼室1
1の内径を略同一として構成している。円筒体の周壁1
3と燃焼室11の側面を接続する円錐面12aを円筒面
12bとしたものである。このように構成することによ
り、旋回流の旋回径が出口まで略同一となって、保炎室
から出口まで良好な旋回流を維持でき、流れの停滞域を
なくして、排ガスと旋回炎との混合を旺盛にして排ガス
の分解率を向上することができる。尚、この実施の形態
においては、1次の助燃ガス室21a及び1次の助燃ガ
ス用炎孔24aは各2個として、2個の1次の助燃ガス
用炎孔24aを4個の排ガス炎孔23の隣になるよう
に、つまり、4個の排ガス用炎孔23のそれぞれの間に
配置して構成している。このようにしても、1次助燃ガ
スB1は、隣接して噴出する排ガスAと十分に混合す
る。
【0036】図13、図14及び図15は、本発明の第
2の実施の形態の他の変形例を示すものである。前記円
筒体12の内部に設けた空気室22を円筒体12の周壁
13の軸方向に延長して設けてある。そして、前記空気
室22と保炎室15を連通する空気噴出ノズル25を同
一円周状に4個設けたグループを1群として、板体に近
い周壁に第1群25a、周壁長手方向のほぼ中央に第2
群25bそして燃焼室に近い位置の周壁に第3群25c
と3分割して設けてある。また、燃焼室11の下端に
は、燃焼ガス出口30が一体に連接されている。また、
この例においては第2の助燃ガス用炎孔24bはやや下
流側に噴出するように設けてある。
【0037】この実施の形態では、空気室22から保炎
室15に向けて噴出される空気は周壁13の軸方向に沿
い3群に分割される。この作用は、図5及び図6に示す
実施の形態と同様である。
【0038】前記各実施の形態において、助燃ガス用炎
孔24もしくは第1の助燃ガス用炎孔24aを各1個と
して、これを排ガス用炎孔23のいずれかの間に配置し
ても良い。また、排ガス用炎孔23及び助燃ガス用炎孔
24もしくは第1の助燃ガス用炎孔24aを各1個とし
て、保炎室の略中央部を円心とする略円周上に各1個ず
つ配置しても良い。あるいは、排ガス用炎孔23を1個
とし助燃ガス用炎孔24もしくは第1の助燃ガス用炎孔
24aを各2個とし、保炎室の略中央部を円心とする略
円周上にこれら各3個を配置しても良い。また、第2の
助燃ガス用炎孔24bは保炎室内径の略接線方向に向け
て旋回流を加速するように設けても良い。あるいは、図
13、図14、図15の例と組み合わせて、保炎室内径
の略接線方向であって、やや下流側に向けて噴出するよ
うに設けても良い。
【0039】次に、本発明の第2の態様を図16乃至図
22を参照して説明する。図16、図17及び図18
は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、第1の炉
壁10aに囲まれた第1の燃焼室11aに臨んで、第1
の円筒体12aの内周面で構成された第1の周壁13a
で囲まれて板体14で閉塞させた第1の保炎室15aが
設けられている。ここで、前記第1の円筒体12aは、
前記板体14と一体に形成されている。そして、前記板
体14の内部には、例えば半導体製造装置から排出され
たSiHを含んだデポジット系のガスやハロゲン系の
ガスを含んだ窒素を主成分とする排ガス等の処理すべき
排ガスAを保持し導く複数(図示では4個)の排ガス室
20及び水素、都市ガスやLPG等の燃焼ガスである1
次助燃ガスB1を保持し導く複数(図示では4個)の第
1の助燃ガス室21aが設けられている。また、該板体
14から延出する第1の円筒体12aの内部には空気C
を保持し導く空気室22が設けられ、更に前記第1の円
筒体12aの周壁13aはその内径が第1の燃焼室11
aの周壁10aの内径と略同一であって、この周壁10
aと連接している。そして、前記第1の燃焼室11aの
軸方向に沿って下流側に第2の円筒体12bの内周面で
構成された第2の周壁13bで囲まれた第2の保炎室1
5bが設けられている。
【0040】そして、第2の円筒体12bの内部には燃
焼ガスである2次助燃ガスB2を保持し導く第2の助燃
ガス室21bが設けられている。第2の円筒体12bの
周壁13bの内径は第1の燃焼室11aの周壁10aの
内径と略同一である。更に前記第2の助燃ガス室21b
の周壁は軸方向に沿って下流側に略同一内径の第2の燃
焼室11bの周壁10bと連接している。燃焼室11b
の下端には、燃焼ガス出口30が一体に連接されてい
る。
【0041】前記板体14の下面には、前記排ガス室2
0から延びて前記第1の保炎室15aに向けて開口す
る、前記第1の保炎室15aより小径の複数(図示では
4個)の排ガス用炎孔23及び前記第1の助燃用ガス室
21aと第1の保炎室15aとを連通する複数(図示で
は4個)の第1の助燃ガス用炎孔24がドーナツ状に設
けられている。ここで、ドーナツ状とは保炎室板体の略
中央部を円心とする略円周上に、各第1の助燃ガス用炎
孔24が排ガス用炎孔23の隣になるように配置されて
いるという意味であり、この実施例においては排ガス用
炎孔23と第1の助燃ガス用炎孔24が交互に配置され
ていて、この円周は後述する空気の旋回流の流速の速い
自由渦域部と一致する。
【0042】また、前記第1の円筒体12aの内周面1
3aであって板体から離れて第1の燃焼室11aに近い
ところには、前記空気室22と第1の保炎室15aとを
連通する複数(図示では4個)の空気噴出ノズル25が
設けられ、第2の助燃ガス室21bの周壁13bには、
第2の保炎室15bと第2の助燃ガス室21bとを連通
する複数(図示では4個)の第2の助燃ガス用炎孔26
がそれぞれ設けられている。そして、空気噴出ノズル2
5は、第1の保炎室15aの円周の略接線方向に延びて
第1の保炎室15aに向けて略周方向に空気Cが旋回流
を形成して噴出するように構成されている。また、第2
の助燃ガス用炎孔26は第2の保炎室15bの中心方向
に2次助燃ガスB2を噴出するように構成されている。
【0043】次に、この実施の形態の作用について説明
する。先ず、空気Cは、空気室22内に導かれて保持さ
れ、円筒体12aの内周面に設けられた空気噴出ノズル
25から第1の保炎室15aに向けて強い旋回流を作り
出すように略周方向に噴出する。排ガスAはガス室20
内に導かれて保持され、板体14の下面に設けられた排
ガス用炎孔23から第1の保炎室15aに向けて噴出す
る。また、1次助燃ガスB1は第1の助燃ガス21a内
に導かれて保持され、板体14の下面に設けられた第1
の助燃ガス用炎孔24から第1の保炎室15aに向けて
噴出する。噴出された排ガスA及び1次助燃ガスB1は
旋回空気流と混合する。そして、図示しない着火元によ
り点火されると、第1の円筒体12aの内周面に1次火
炎である旋回炎を形成する。ここで、空気Cの流量は1
次助燃ガスB1の流量に対する理論的当量よりも多く与
えられ、形成される1次火炎は燃料が希薄な希薄火炎と
なる。
【0044】この際、周壁から略周方向に噴出した空気
は強い旋回流を形成するが、旋回流はその中心部には一
体になって旋回する渦の目を形成し、その周辺部には外
周程速度が低下するドーナツ状の自由渦域を形成する。
そして、排ガスA及び1次助燃ガスB1の各炎孔は板体
の下面に自由渦域と一致した円周状に設けられているた
め、排ガスA及び一次助燃ガスB1はこの自由渦域に噴
出されて旋回流に取り込まれる。すると、これらのガス
は空気旋回流の気流の流速変化による剪断作用を受け
て、空気Cと混合する。そして、この排ガスA、1次助
燃ガスB1及び空気Cの混合ガスが旋回流状の希薄火炎
を形成して1次燃焼する。第1の保炎室15a内で形成
された火炎は下流の第1の燃焼室11a内で燃焼を完了
する。ここで、1次助燃ガスB1と空気Cは保炎室に別
々に吹き出されているにも拘わらず混合後に燃焼するた
め予混合火炎を形成する。
【0045】この予混合火炎は本発明のように板体のド
ーナツ状の位置から旋回空気流の流速が早くて流速変化
の大きい自由渦域部に排ガスAと1次助燃ガスB1を噴
出することによって空気Cと混合して実現できるもので
ある。この際、旋回流は火炎を保持する作用をなして、
燃料が希薄な火炎であっても吹き消えることなく燃焼を
維持することができる。そして、一般に予混合希薄火炎
は燃焼温度が低くNOxの生成が少ない燃焼となるが、
ここで形成された予混合火炎も希薄火炎であるため燃焼
温度が低く、低NOx化が図れる。形成された希薄火炎
によって排ガスA中に含まれるSiHガスは酸化分解
されて粉末状のSiOを生成する。そして、1次の希
薄火炎は板体から離れた位置から形成し始めて第1の燃
焼室11a内で燃焼が完了するので、排ガス中に含まれ
ているSiHも板体から離れた位置から酸化分解し始
め、その全量が第1の燃焼室11a内でSiO粉とな
る。粉末状のSiOは高温にさらされるとガラス状に
なって周壁10aに一層固着しやすくなるが、希薄火炎
は温度が低いために、SiO粉は粉状のままである。
【0046】加えて、第1の保炎室15a及び第1の燃
焼室11aは略同一内径であって、火炎及び燃焼ガス流
れに停滞域を生じない構成になっている。そして、燃焼
排ガスの軸方向に沿って下流向き流速をSiO粉を吹
き飛ばすのに適した流速となるように設定してあるの
で、生成したSiO粉はこの燃焼排ガスの流れによっ
て、壁に付着することなく下流向きに吹き飛ばされる。
また、SiHの酸化分解反応を板体14から離れた領
域で起こすことができて、生じるSiO粉が排ガス用
炎孔23及び第1の助燃ガス用炎孔24の周囲に付着堆
積するのを防止することができる。
【0047】次に、第1の燃焼室11a内で1次火炎に
よる燃焼が完了した後の1次燃焼排ガスは、第2の保炎
室15bに入る。そして、第2の助燃ガス用炎孔26か
ら2次助燃ガスB2が第2の保炎室15bの中心に向け
て噴出される。すると、この2次助燃ガスB2は1次燃
焼排ガスと混合し、1次燃焼排ガス中に残存する酸素と
2次燃焼する。第2の保炎室15b内で形成された火炎
は下流の第2の燃焼室11b内で燃焼を完了する。ここ
で、1次燃焼排ガス中に残存している酸素は空気中に含
まれる酸素よりもその濃度がはるかに低いため、2次燃
焼では低酸素濃度のもとで燃焼を行う。低酸素濃度燃焼
では発生するNOxは僅かとなって低NOx燃焼を実現
することができる。そして、この燃焼によって、1次燃
焼排ガスを更に高温にできる。ハロゲン系のガスを熱分
解するには高温を要するが、形成された高温火炎により
ハロゲン系のガスを熱分解することができる。
【0048】このように、第1の保炎室15aにおいて
空気の旋回流により排ガスAの全てが1次助燃ガスB1
及び空気Cと充分に混合して1次希薄火炎を形成し、第
1の燃焼室に及ぶ希薄旋回火炎によってNOxの生成を
抑制しつつデポジット系のSiHガスを酸化分解す
る。そして、同時に生成したSiO粉を下流側に吹き
飛ばす。そして、第2の燃焼室において低酸素のもとで
高温燃焼を行いハロゲン系のガスを低NOx燃焼のもと
に熱分解する。
【0049】また、燃料ガスである1次、2次助燃ガス
B1,B2と空気Cは第1及び第2の保炎室内で混合す
る方式を採用しているため、第1及び第2の円筒体が火
炎により加熱されても第1及び第2の助燃ガスが第1、
第2の各助燃用ガス室21a、21b内で発火すること
がなく安全である。しかも、この実施の形態のように空
気室22に対してその円周方向に空気Cを供給すると空
気室22内において空気Cが旋回して、空気室を均等に
冷却して円筒体の加熱を防ぐ作用をする。同様に、第2
の助燃ガス室21bに対してもその円周方向に2次助燃
ガスB2を供給すると第2の助燃ガス室21b内におい
て2次助燃ガスB2が旋回して、第2の助燃ガス室21
bを均等に冷却する作用をする。
【0050】また、第3の実施の形態において、第1の
円筒体12aと第2の円筒体12b、即ち、第1の燃焼
室11aと第2の燃焼室11bの各内径は略同一として
構成している。このように構成することにより、旋回流
の旋回径が出口まで略同一となって、保炎室から出口ま
で流れの停滞域をなくして、デポジット系のSiH
スを分解して生成する粉末状のSiOが壁面に付着す
るのを防止する。また、この実施の形態においては、空
気噴出ノズル25は円周上に4個設けてあるが、これに
限らず、4個より多くとも少なくともよい。同様に、第
2の助燃ガス用炎孔26も円周上に4個設けてあるが、
これに限らず多くても少なくてもよい。
【0051】図19、図20及び図21は、本発明の第
4の実施の形態を示すものである。前記第1の円筒体1
2aの内部に設けた空気室22を第1の円筒体12aの
周壁13aの軸方向に延長して設けてある。そして、前
記空気室22と第1の保炎室15aを連通する空気噴出
ノズル25を同一円周上に4個設けたグループを1群と
して、周壁に板体の方から第1群25a、第2群25b
そして燃焼室に近い位置の周壁に第3群25cと3分割
して設けてある。ここで、第1群の空気噴出ノズル25
aは第3の実施の形態と同様に、前記第1の円筒体12
aの板体14から離れて設けてある。
【0052】次に、この実施の形態の作用について説明
する。空気室22から第1の保炎室15aに向けて噴出
される空気は周壁13aの軸方向に沿い3群に分割され
る。通常、供給される全空気量は助燃ガス量の数倍から
十数倍多い。そこで、空気を軸方向に沿って3段階に分
けて第1の保炎室15aに供給すると、各群から噴出さ
れる空気量は少なくなり、第1群の空気噴出ノズル25
aから噴出される空気だけでは全燃料ガスの燃焼に必要
な空気量が不足して、保炎室内に先ず燃料過濃状態の火
炎を形成する。次に、第2群、第3群の空気噴出ノズル
25b、25cから空気が供給された段階で、燃料ガス
に対して充分な空気量が供給されて希薄火炎を形成す
る。このように空気が段階的に供給されると、燃焼が緩
慢に行われ、局部的高温域の発生を防止して火炎温度を
低温にして広範囲に均等化する作用をなし、形成される
1次の希薄旋回炎は下流側に長炎となる。これにより、
低NOx燃焼を実現すると共に、SiHの酸化分解を
広い領域で緩慢に起こすことができる。同時にSiO
粉の生成も緩慢になるので、火炎及び燃焼ガスの流れに
よるSiO粉の壁面からの除去作用を一層高める作用
をする。
【0053】この実施の形態においては、空気噴出ノズ
ル25は保炎室の軸方向に沿って3群に分けてあるが、
これに限らず、2群に分けても4群以上に分けてもよ
い。また、ここで各群の空気噴出ノズルは全て保炎室に
向けて旋回流を形成するように噴出しなくともよい。例
えば、第3群の空気噴出ノズルは接線方向ではなく単に
下流側に空気を噴出してもよい。また、保炎室の中心方
向に向けて噴出し、排ガスとの間に乱れを起こして混合
するようにしてもよい。なお、この実施の形態において
は、第1の助燃ガス室22a及び第1の助燃ガス用炎孔
24は各2個として、2個の第1の助燃ガス用炎孔24
を排ガス用炎孔23が挟むように構成している。このよ
うにしても、第1の助燃ガスB1は、排ガスAと隣接し
て噴出して排ガスAとの混合が促進する。
【0054】図22は本発明の第5の実施の形態を示す
ものである。第2の助燃ガス室21bを第2の円筒体1
2bの軸方向に延長して設けてある。そして、前記第2
の助燃ガス室21bと第2の保炎室15bを連通する第
2の助燃ガス用炎孔26を同一円周上に4個設けたグル
ープを1群として、上流側から周壁に第1群26a、周
壁長手方向のほぼ中央に第2群26b、そして燃焼室に
近い位置の周壁に第3群26cと3分割して設けてあ
る。
【0055】次に、この実施の形態の作用について説明
する。第2の助燃ガス室21bから第2の保炎室15b
に向けて噴出される2次助燃ガスB2は周壁13bの軸
方向に沿い3群に分割される。2次助燃ガスB2を軸方
向に沿って3段階に分けて第2の保炎室15bに供給す
ると、各炎孔から噴出される2次助燃ガスB2は少量と
なり、各炎孔先に形成される2次火炎は小さくなる。そ
して、第2群、第3群の第2の助燃ガス用炎孔26b、
26cから2次助燃ガスが段階的に供給されて、下流側
に段階的に小さな低酸素火炎が形成される。これにより
高温の火炎帯を第2の保炎室15b及び第2の燃焼室1
1bにわたり広範囲に形成することができる。こうし
て、ハロゲン系ガスの分解に要する高温域をより広い領
域に形成して、ハロゲン系のガスの分解に要する高温域
滞留時間を延長して、これらのガスを高効率のもとに分
解できる。
【0056】この実施の形態において、第2の助燃ガス
用炎孔26は保炎室の軸方向に沿って3群に分けてある
が、これに限らず、2群に分けても4群以上に分けても
よい。また、第2の助燃ガス用炎孔26,26a,26
b,26cは保炎室の中心方向に向けて噴出しなくとも
よい。例えば、やや下流側に噴出するように設けてもよ
く、あるいは、空気噴出ノズル25のように保炎室の略
接線方向に向けて旋回流を加速するように噴出してもよ
い。あるいは、これらを組み合わせたように噴出しても
よい。また、前記各実施の形態において、第1の助燃ガ
ス用炎孔24を1個として、これを複数の排ガス炎孔2
3のいずれかの間に配置してもよい。また、この際、排
ガス炎孔23は前記各実施の形態のように4個でなくと
も、2個でも3個でもよいのは当然のことである。ま
た、排ガス用炎孔23及び第1の助燃ガス用炎孔24を
各1個として、第1の保炎室の略中央部を円心とする略
円周上に各1個ずつ配置してもよい。あるいは、排ガス
用炎孔23を1個とし第1の助燃ガス用炎孔24を複数
個として、これらを第1の保炎室の略中央部を円心とす
る略円周上に配置してもよい。
【0057】図23は本発明の第6の実施の形態を示す
ものである。第1の保炎室15aと第1の燃焼室11a
を上方から下方に向けて順次配置し、第1の燃焼室11
aの下部をU字型に曲げて延長し、延長した先に下方か
ら上方に向けて第2の保炎室15b、第2の燃焼室11
bおよび燃焼排ガス出口30aを順次設けてある。U字
型の第1の燃焼室の底部にSiO粉を燃焼室外に排出
する排出管30bを設けてある。この様に構成すること
により、第1の燃焼室で生成したSiO粉をU字型に
曲げた形状部で排ガスから分離し、SiO粉を第2の
保炎室15bと第2の燃焼室11bを経由せずに排出管
30bから燃焼室外に排出できる。よって、SiO
をより一層燃焼室内に堆積し難くして、SiHの処理
効率を更に向上させることができる。
【0058】図24は本発明の第7の実施の形態を示す
ものである。第1の燃焼室11aの下部をL字型に曲げ
て延長し、延長した先に水平方向に第2の保炎室15
b、第2の燃焼室11bおよび燃焼排ガス出口30aを
順次設けてある。そして、L字型の第1の燃焼室11a
の底部にSiO粉を燃焼室外に排出する排出管30b
を設けてある。この様に構成しても、第1の燃焼室で生
成したSiO粉をL字型に曲げた形状部で排ガスから
分離し、第6の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0059】なお、前記各実施の形態において、燃焼器
を形成する材料としてはセラミックスや耐熱金属材が好
適である。また、助燃剤としては、水素、都市ガス及び
LPG等のガス燃料に限定されることなく、爆発下限濃
度以下の酸素を含んだガス燃料、或いは液体燃料でも良
いことは勿論である。また、保炎室は必ずしも円筒状で
なくてもよく、例えば四角形等の多角形状のものに適用
しても良いことも勿論である。また、空気噴出ノズルか
ら噴出される空気は酸素濃度が21%より濃い高酸素濃
度の空気であっても良いことも勿論である。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の態
様によれば、次の効果を生じる。即ち、排ガスと助燃剤
と空気とが充分に混合してから燃焼室において長炎を形
成して燃焼することにより、排ガスを高効率で燃焼分解
することができる。また、予混合火炎を形成して低NO
x燃焼を実現できる。更に、空気噴出ノズルを保炎室軸
方向に複数群に分けて配置することにより燃焼火炎を更
に長くすることができる。従って、低NOx化を更に進
め、またハロゲン系の排ガスの分解効率を向上できる。
【0061】また、本発明の第2の態様によれば次の効
果を生じる。即ち、空気と助燃ガスと処理対象である排
ガスを充分に混合してから1次予混合希薄火炎を形成
し、次に、第2の保炎室から助燃ガスを噴出して2次高
温低酸素火炎を形成することにより、低NOx燃焼を実
現しつつ、SiHを含んだデポジット系のガス及びハ
ロゲン系のガスを高効率のもとに同時に分解できる。更
に、空気噴出ノズルを保炎室軸方向に複数群に分けて配
置することにより、SiHを含んだデポジット系のガ
スの分解作用を広い領域で緩慢に起こすことができる。
これにより、SiO粉も緩慢に生成するので、燃焼ガ
スの流れによる除去作用を一層高める作用をする。更
に、第2の保炎室の助燃ガス用炎孔を保炎室軸方向に複
数群に分けて配置することにより、ハロゲン系のガスの
分解に要する高温域を広い領域に形成できる。これによ
り、ハロゲン系のガスを高効率に分解できる。
【0062】そして、本発明の排ガス処理用燃焼器によ
れば、助燃ガスと空気は保炎室内で混合する方式を採用
しているため、円筒体が火炎により加熱されても助燃ガ
スが助燃用ガス室内で発火することが無く、極めて安全
である。また、空気噴出ノズルから噴出される空気が保
炎室内部で旋回流を形成することにより、円筒体の周壁
表面を冷却して耐熱寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す縦断面図。
【図2】図1のI−I線断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の変形例を示す縦断
面図。
【図4】図3のII−II線断面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の他の変形例を示す
縦断面図。
【図6】図5のIII−III線断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す縦断面図。
【図8】図7のI−I線断面図。
【図9】図7のII−II線断面図。
【図10】本発明の第2の実施の形態の変形例を示す縦
断面図。
【図11】図10のIII−III線断面図。
【図12】図10のIV−IV線断面図。
【図13】本発明の第2の実施の形態の他の変形例を示
す縦断面図。
【図14】図13のV−V線断面図。
【図15】図13のVI−VI線断面図。
【図16】本発明の第3の実施の形態を示す縦断面図。
【図17】図16のI−I線断面図。
【図18】図16のII−II線断面図。
【図19】本発明の第4の実施の形態を示す縦断面図。
【図20】図19のIII−III線断面図。
【図21】図19のIV−IV線断面図。
【図22】本発明の第5の実施の形態を示す縦断面図。
【図23】本発明の第6の実施の形態を示す縦断面図。
【図24】本発明の第7の実施の形態を示す縦断面図。
【図25】従来例を示す縦断面図。
【図26】図25のVII−VII線断面図。
【符号の説明】
11,11a,11b 燃焼室 12,12a,12b 円筒体 13 周壁 14 板体 15,15a,15b 保炎室 20 排ガス室 21,21a,21b 助燃ガス室 22 空気室 23 排ガス用炎孔 24,24a,24b 助燃ガス用炎孔 25 空気噴出ノズル 25a 第1群空気噴出ノズル 25b 第2群空気噴出ノズル 25c 第3群空気噴出ノズル 26,26a,26b,26c 助燃ガス用炎孔 30 燃焼ガス出口 A 排ガス B,B1,B2 助燃ガス C 空気
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川村 興太郎 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 辻 健 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 奥田 和孝 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 山田 宏幸 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 Fターム(参考) 3K078 AA05 BA20 BA26 BA28 CA02 CA12 CA18

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室に向けて開口し、周壁で囲まれて
    前記燃焼室の反対側を板体で閉塞させた保炎室を設け、
    前記保炎室に、排ガスと、助燃剤と、空気とを導入して
    混合すると共に、該混合したガスが前記板体に対して垂
    直方向に前記燃焼室に向けて噴出するようにしたことを
    特徴とする排ガス処理用燃焼器。
  2. 【請求項2】 前記板体に前記保炎室に向けて排ガスを
    噴出する排ガス用炎孔と助燃ガスを噴出する助燃ガス用
    炎孔を設け、前記保炎室周壁に旋回流を作り出すように
    略周方向に噴出する空気噴出ノズルを設けたことを特徴
    とする請求項1記載の排ガス処理用燃焼器。
  3. 【請求項3】 前記排ガス用炎孔は、前記保炎室内径よ
    りも小径であることを特徴とする請求項2記載の排ガス
    処理用燃焼器。
  4. 【請求項4】 前記排ガス用炎孔と助燃ガス用炎孔と
    は、前記保炎室の略中央部を円心とする略円周上に、前
    記助燃ガス用炎孔が前記排ガス用炎孔の隣になるように
    配置したことを特徴とする請求項2記載の排ガス処理用
    燃焼器。
  5. 【請求項5】 前記保炎室の軸方向に沿って前記空気噴
    出ノズルよりも下流側の保炎室周壁に助燃ガスを噴出す
    る第2の助燃ガス用炎孔を設けたことを特徴とする請求
    項2記載の排ガス処理用燃焼器。
  6. 【請求項6】 前記空気噴出ノズルを、前記保炎室の軸
    方向に沿って複数群に分けて配置したことを特徴とする
    請求項1乃至5のいずれかに記載の排ガス処理用燃焼
    器。
  7. 【請求項7】 前記保炎室は円筒状であることを特徴と
    する請求項1乃至6のいずれかに記載の排ガス処理用燃
    焼器。
  8. 【請求項8】 前記保炎室および燃焼室は円筒状で略同
    一径であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    に記載の排ガス処理用燃焼器。
  9. 【請求項9】 前記保炎室の軸方向に沿って下流側に第
    2の保炎室を設け、前記第2の保炎室周壁に助燃ガスを
    噴出する第2の助燃ガス用炎孔を設け、前記第2の保炎
    室の軸方向に沿って前記第2の助燃ガス用炎孔よりも下
    流側に燃焼室を設けたことを特徴とする請求項1乃至8
    のいずれかに記載の排ガス処理用燃焼器。
  10. 【請求項10】 空気噴出ノズルを、前記第1の保炎室
    の軸方向に沿って複数群に分けて配置したことを特徴と
    する請求項9記載の排ガス処理用燃焼器。
  11. 【請求項11】 前記第2の助燃ガス用炎孔を、前記第
    2の保炎室の軸方向に沿って複数群に分けて配置したこ
    とを特徴とする請求項9または10に記載の排ガス処理
    用燃焼器。
  12. 【請求項12】 前記第1および第2の保炎室と、前記
    燃焼室とはそれぞれ円筒状で略同一径であることを特徴
    とする請求項9乃至11のいずれかに記載の排ガス処理
    用燃焼器。
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