JP2001192217A - 板硝子の迅速連続製法 - Google Patents

板硝子の迅速連続製法

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JP2001192217A
JP2001192217A JP2000001086A JP2000001086A JP2001192217A JP 2001192217 A JP2001192217 A JP 2001192217A JP 2000001086 A JP2000001086 A JP 2000001086A JP 2000001086 A JP2000001086 A JP 2000001086A JP 2001192217 A JP2001192217 A JP 2001192217A
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Gen Kojima
弦 小島
Kenji Oda
健嗣 織田
Isamu Kaneko
勇 金子
Tsutomu Koyama
勉 小山
Shigekuni Inoue
滋邦 井上
Takeshi Kubo
岳 久保
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Asahi Glass Co Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B17/00Forming molten glass by flowing-out, pushing-out, extruding or drawing downwardly or laterally from forming slits or by overflowing over lips
    • C03B17/06Forming glass sheets
    • C03B17/061Forming glass sheets by lateral drawing or extrusion
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B35/00Transporting of glass products during their manufacture, e.g. hot glass lenses, prisms
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    • C03B35/22Transporting hot glass sheets or ribbons, e.g. by heat-resistant conveyor belts or bands on a fluid support bed, e.g. on molten metal
    • C03B35/24Transporting hot glass sheets or ribbons, e.g. by heat-resistant conveyor belts or bands on a fluid support bed, e.g. on molten metal on a gas support bed
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Abstract

(57)【要約】 【課題】均質性、均厚性及び表面平滑性に優れた高品質
な硝子を迅速に成形する。 【解決手段】硝子リボンGLの支持体12面側を蒸気膜
の薄層18上に接触させる一方、支持体12反対側面を
空気に接触させることにより、空気と蒸気膜の薄層18
とで硝子リボンGL対して断熱的な環境を形成し、この
状態で硝子リボンGLを1.6°C/秒〜42°C/秒
の冷却速度で冷却すると共に、硝子リボンGLに平行な
面に引っ張り張力を付与して硝子リボンGLを板硝子に
成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は板硝子の迅速連続製
法に係り、溶融硝子を連続的に板状に成形するための板
硝子の迅速連続製法に関する。
【0002】
【従来の技術】板硝子の製法としては、引き上げ法、ダ
ウンドロー法、ロールアウト法、フュージョン法、スズ
フロート法等が知られているが、現在最も普及している
板硝子の成形方法はスズフロート法である。この方法
は、溶解窯の中で所定原料を溶解した溶融硝子を、還元
性雰囲気下に溶融した金属スズ浴上に導入し、機械的な
外力を用いて縦横方向に延展、移動せしめ、ガラス転移
点温度付近まで徐々に冷却して平滑な表面を有する平面
状の硝子板を成形するもので、それまでの引き上げ法等
に比べ、製品の平滑度が格段に向上するため、磨き工程
を不要とした。
【0003】しかし、スズフロート法は、スズ資源の枯
渇が懸念されること、金属スズを酸化させないために水
素ガスを用いて還元性の雰囲気に保つ必要があること、
スズと接触した面から硝子内部にスズが浸透し製品の品
質に悪影響を及ぼすこと、地震等の揺れに弱くまた地震
後の生産回復に時間がかかること、硝子の加熱保温に大
量のエネルギーを費やすこと等の問題がある。
【0004】また、ロールアウト法やスズフロート法に
よる板硝子の成形は、高温の溶融硝子が熱伝導性の高い
基材(金属ロール)や媒体(スズ)と接触するため、溶
融硝子との間の熱流束が大きく、溶融硝子は基材や媒体
の温度の影響を大きく受ける。従って、基材や媒体の温
度制御が非常に重要であり、また困難を伴うという問題
を有している。
【0005】更に、ロールアウト法では金属ロールとの
接触により硝子面が急激に冷却されるために、成形され
た板硝子面にロールとの接触跡、皺や凸凹状態が残るこ
とが避けがたく、製品の品質が悪くなる。一方、スズフ
ロート法では、冷却中における硝子表面や内部の温度分
布が発生しないようにスズ浴の温度を硝子の温度に近づ
けて徐々に冷却する緩慢冷却を行なわざるを得ず、成形
時間が長くかかるので、生産効率の点で問題がある。
【0006】また、引き上げ法、ダウンドロー法、フュ
ージョン法は、溶融硝子の両面が硝子よりも熱伝導性の
小さな媒体である空気に接触されるが、垂直方向の成形
のために重力に起因する溶融硝子への張力の制御が困難
で、何れの方法の場合にも最上部に最も大きな応力が働
き、板硝子の肉厚の制御が困難となり、それを軽減する
ための媒体の温度制御が煩雑になるという問題がある。
【0007】また、別の製法として、支持体表面の細孔
から空気等の気体を供給し、その上に溶融硝子を延展し
て硝子板の成形を行なう提案(特公昭50─36445
号公報)があるが、このように気体を直接連続的に供給
し、溶融又は流動性のある高温の硝子を安定に保持する
のは至難の技である。
【0008】このように、従来の板硝子の製法は、それ
らの各製法によって、使用する基材や媒体の問題、板硝
子の均質性、均厚性、表面平滑性等の品質的な問題、成
形時の温度制御、成形時間等の生産的な問題等を有して
おり、いずれの製法も満足できるものではなかった。
【0009】このような背景から、本出願人は、溶融硝
子を蒸気膜形成剤を気化した蒸気膜の薄層を用いて板状
に成形する板硝子の成形方法に関する基本技術を提案し
た(特開平9─295819号公報)。この板硝子の製
法によれば、省資源、省エネルギー化、板硝子の高品質
化、設備及び運転コストの低減、ジョブチェンジの容易
化、小規模生産から大規模生産までの多様な対応等の効
果を奏することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶融硝
子を蒸気膜形成剤の薄層を用いて板状に成形する製法
は、従来の発想の枠を越えた斬新な製法であり、成形の
際の最適条件の検討により、品質並びにプロセス上の改
良を図る必要がある。特に、成形の際の冷却環境の最適
化は、高い品質の板硝子を迅速に成形して高い生産性で
得る上で重要である。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、溶融硝子を蒸気膜形成剤の薄層を用いて板ガ
ラスに成形する製法において、成形の際の冷却環境の最
適化を図ることにより、均質性、均厚性及び表面平滑性
に優れた高品質な硝子を迅速に成形することができ、高
い生産性で得ることのできる板硝子の迅速連続製法を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、支持体上に供給された溶融状態の硝子リボ
ンを板硝子に連続的に成形する製法であって、液体を内
部に包含しうる材質または構造からなる前記支持体中
に、少なくとも常温付近では気体ではなく、該硝子のガ
ラス転移点以上で気体である蒸気膜形成剤を液体状態で
導入する工程と、該支持体とガラス転移点以上の温度に
ある硝子とを、前記蒸気膜形成剤を気化した蒸気膜の薄
層を介して互いに摺動させる工程と、を含む板硝子の製
法において、前記硝子リボンの前記支持体に面している
面の反対側の面を気体に接触させることにより、該気体
と前記蒸気膜の薄層とで前記硝子リボンに対して断熱的
な環境を形成し、この断熱的環境下で前記硝子リボンを
1.6°C/秒〜42°C/秒の冷却速度で冷却すると
共に、前記硝子リボンの面に平行な方向であって、前記
硝子リボンの移動方向に引っ張り張力を与えながら前記
硝子リボンを板状に成形することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って、本発明の
好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】図1は、本発明を実施するための板硝子の
成形装置を模式的に示した側面図である。
【0015】本発明の板硝子の成形装置10は、主とし
て、蒸気膜形成剤を内部に包含可能に形成された支持体
12、12…と、蒸気膜形成剤を支持体12に給液する
給液装置16と、支持体12と硝子リボンGLとを蒸気
膜形成剤を気化した蒸気膜の薄層18を介して相対的に
摺動させるベルトコンベア20と、硝子リボンGLの面
に平行であって、硝子リボンGLの移動方向の張力を付
与する張力付与装置22とで構成される。また、成形装
置10の前段側には、硝子原料を溶解した溶融状態の硝
子メルトGを支持体12上に供給する硝子溶解炉14が
配設され、硝子メルトGは成形装置10に供給された
後、支持体12上で硝子リボンGLとして成形される。
【0016】硝子溶解炉14は、板硝子となる所定原料
を溶解するとともに溶解温度を制御して成形に好適な粘
度範囲と温度範囲の硝子メルトGを調製する。硝子メル
トGの粘度は温度に支配されるので、粘度は温度の管理
をすることにより同時に管理される。板硝子を成形する
場合、溶解は硝子組成によるが、通常、1000〜16
00°C程度の温度範囲で硝子の泡欠点、組成のバラツ
キ、その他の欠点が解消されるよう充分な時間をかけて
行なわれる。
【0017】硝子溶解炉14により温度及び粘度の調整
された硝子メルトGは、硝子溶解炉14の出口孔14A
からリボン状の流れとなって支持体12上に供給され
る。硝子溶解炉14からの硝子メルトGの供給は、その
粘度や温度において過度の分布が生じない状態で供給可
能であれば、如何なる方式で供給されてもよい。即ち、
オレフィス、リップ、スリットから支持体12上に直接
供給してもよく、また、過度の冷却を防止できるのであ
ればロール等(図示せず)による予備成形を行なっても
よい。
【0018】支持体12は、単位ユニットを連続させた
ものや所定長の単位ユニットを組み合わせたものでもよ
く、更にはベルト状に加工したもの、単位ロールを連続
的に配列させたもの等を使用することができるが、本実
施の形態では、複数の支持体12、12…がベルトコン
ベア20の無端状ベルト20Aの表面に一定の間隔をあ
けて配列固定して構成された例で説明する。このように
支持体12同士を間隔をあけて配列することにより、支
持体12同士の間には硝子リボンGLの移動方向とは平
行でない溝12Bが形成される。無端状ベルト20A
は、駆動ロール20C及び従動ロール20Dから成る一
対のロールの間に張設され、正逆回転可能な駆動ロール
20Cの回転によって駆動される。これにより、無端状
ベルト20Aは、正方向(図1の実線矢印26)又は逆
方向(図1の破線矢印28)の周回移動を行なうことが
できる。更に、無端状ベルト20Aの移動速度は、支持
体12上の硝子リボンGLの進行速度と異なるように設
定される。これにより、支持体12と硝子リボンGLと
は蒸気膜の薄層18を介して相対的に摺動運動する。ま
た、ベルトコンベア20には、無端状ベルト20Aの上
側移動経路をガイドするガイド板21が設けられ、無端
状ベルト20Aの上面の移動はこのガイド板21にガイ
ドされて安定して移動する。尚、べルトコンベア20
は、駆動しない状態(無端状ベルト20Aの移動速度ゼ
ロ)で使われることもある。
【0019】支持体12は、液体を内部に包含しうる材
質又は液体を内部に包含しうる構造であることが必要で
あり、例えば多孔質体又は繊維質体のものが好適に使用
される。多孔質体の場合には、連通孔であることが好ま
しい。また、多孔質体の表面は、好ましくは5mm以
下、より好ましくは1mm以下、更に好ましくは100
μm以下の孔径の微細な孔を有している。また、蒸気膜
形成剤と親和性の高い材質であることが好ましい。
【0020】支持体12の基本となる材料としては、多
孔質親水性カーボンが特に好適に使用し得るが、その他
の例えば、セルロース、紙、木、竹等の天然物由来の高
分子材料、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム等の合成
高分子系材料、炭素系材料等が好適に使用できる。ま
た、鉄、ステンレス鋼、白金等の金属材料、酸化アルミ
ニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等
の金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物を主成分とする
セラミックス材料等も使用できる。なお、支持体12の
成形面は、微細な孔や繊維状の凸凹以外は非常に平滑で
あってもよく、逆に一定の凸凹があってもよい。
【0021】支持体12には、給液装置16から蒸気膜
形成剤が供給され、この蒸気膜形成剤を硝子リボンGL
の高熱で瞬間的に気化させることにより、配列された複
数の支持体12、12…と硝子リボンGLの間に蒸気膜
の薄層18を形成する。
【0022】蒸気膜形成剤としては、常温において液体
で、且つガラス転移点以上では気体である有機物、無機
物の各種の物質を使用することができる。また、支持体
12への供給の操作性の点から、融点が40°C以下
で、大気圧下における沸点が50〜500°C、更に好
ましくは300°C以下のものがよい。更に、蒸気膜形
成剤が気化した蒸気が硝子に悪影響を与えない程に化学
的に反応せず、毒性が低く、使用される温度で不燃性で
あることが好ましく、代表的なものとして水を使用する
ことができる。このように、蒸気膜形成剤としては、硝
子リボンGLの高熱によって瞬間的に気化し、安定な蒸
気膜を形成することのできる液体を適切に選択すること
が必要である。高熱で瞬間的に気化することにより形成
された蒸気膜の薄層18の熱伝導性は、液体や固体の熱
伝導性に比べて著しく小さいため、硝子リボンGLに対
して断熱的な環境を効果的に形成することができる。
【0023】蒸気膜形成剤を支持体12に供給する給液
装置16は、主として、ベルトコンベア20の下方に設
けられた浴槽30で構成され、無端状ベルト20Aが周
回移動して一対のロール20C、20D間の下側にきた
ときに、無端状ベルト20Aに支持された支持体12が
浴槽30内の蒸気膜形成剤の液体中を潜るように形成さ
れる。これにより、給液装置16から支持体12に蒸気
膜形成剤が供給される。尚、給液装置16としては、浴
槽式のものに限定されるものではなく、例えば、支持体
12に蒸気膜形成剤を噴霧する方式のものでもよく、或
いは浴槽の液体を湿潤ロール(図示せず)に一旦含ませ
てから湿潤ロールを支持体12に接触させて蒸気膜形成
剤を給液する方式のものでもよい。
【0024】張力付与装置22は、ベルトコンベア20
の終端部側(駆動ロール20C側)の搬送ロール23の
後部に設けられた一対のピンチローラで構成され、硝子
リボンGLを引っ張る方向に挟持回転することにより、
硝子リボンGLを延伸させるための張力を付与する。ピ
ンチローラは、ピンチローラ22Aとピンチローラ22
Bとで構成され、ピンチローラ22A、22Bの回転数
を可変できるようになっている。これにより、硝子リボ
ンGLに付与する張力を可変することにより、成形され
る板硝子の板厚、品質の調整を制御すると共に、蒸気膜
の薄層18に接触している硝子リボンGLの接触時間等
を可変して冷却時間等の制御を行なう。
【0025】上記の如く構成された成形装置10を使用
して板硝子を成形する方法を説明する。蒸気膜形成材と
して水の例で説明する。
【0026】硝子溶解炉14から硝子メルトGがリボン
状となって支持体12上に連続的に供給されると、支持
体12に保持された水は、硝子リボンGLの高熱により
瞬間的に気化する。これにより、硝子リボンGLと支持
体12の界面で水蒸気が連続的に発生し、硝子リボンG
Lと支持体12との間には蒸気膜の薄層18が形成され
る。この場合、通常、硝子溶解炉14から供給される硝
子メルトGは、成形に好適な1000〜1300°C程
度で支持体12に供給されるが、余りに高温になると支
持体12からの蒸気発生が激しすぎて安定した供給操作
が阻害されるとともに、支持体12をはじめとする各種
の部材や装置の耐久性にも悪影響がある。従って、硝子
の組成にもよるが、一般的には、硝子リボンGLが14
00°Cを越えない温度で支持体12へ流下させること
が好ましい。そして、硝子リボンGLは、蒸気膜の薄層
18上で硝子溶解炉14の下流側から徐冷炉(図示せ
ず)に向かって流延するとともに、張力付与装置22に
よる引っ張り張力が付与されて延伸されて板状の硝子が
成形される。この時、支持体12と硝子リボンGLとを
蒸気膜の薄層18を介して相対的に摺動させることが必
要である。
【0027】かかる硝子リボンGLの成形において重要
なことは、硝子リボンGLの支持体12に面している面
の反対側面を熱伝導性の低い気体に接触させることによ
り、該気体と蒸気膜形成剤を気化した蒸気膜の薄層18
とで硝子リボンGLに対して断熱的な環境を形成し、こ
の断熱的環境下で硝子リボンGLを1.6°C/秒〜4
2°C/秒の冷却速度で冷却すると共に、硝子リボンG
Lの面に平行な方向であって、硝子リボンGLの移動方
向に引っ張り張力を与えながら硝子リボンGLを板状に
成形することである。
【0028】ここで、断熱的環境とは、硝子リボンGL
が硝子よりも顕著に熱伝導性の低い媒体(蒸気膜の薄
層、気体)に覆われ、また硝子リボンGLの冷却が妨げ
られる程には当該媒体を通して加熱を受けない環境を言
い、板硝子の成形過程における硝子リボンGLの厚み方
向及び硝子リボン面に平行な方向の温度分布を小さくで
きるという利点がある。硝子リボンGLの下面側(支持
体12面側)に断熱的な環境を形成する蒸気膜の薄層1
8は、水を瞬時に気化させたものであることが好まし
く、蒸気膜の薄層18の厚みは、支持体12と硝子リボ
ンGLとの相対的な摺動速度や蒸気を排除する流路等の
要因等にもよるが、10μm以上、好ましくは50μm
以上が必要である。また、蒸気膜の薄層18の厚みの上
限としては、500μm以下、好適には300μm以下
が望ましい。これは蒸気膜の薄層18の厚みが10μm
未満では、硝子リボンGLに対する蒸気膜の薄層18の
断熱的な効果が小さくなると共に、支持体12と硝子リ
ボンGLが直接接触し易くなり、支持体12の性状が硝
子リボンGLに悪影響を及ぼし易くなる。一方、500
μmを越えると蒸気膜の薄層18が不安定になり、薄層
18上に硝子リボンGLを安定して保持することができ
なくなるためである。また、硝子リボンGLの上面側
(支持体12の反対面側)に断熱的な環境を形成する気
体は、熱伝導性の低い気体であれば何でもよいが、利便
性の点から空気が好適に使用できる。これにより、硝子
リボンGLと蒸気膜の薄層18との間の熱の授受、及び
硝子リボンGLと空気との間の熱の授受は緩慢なものと
なり、硝子リボンGLが冷却される過程において硝子リ
ボンGLの温度の均一化が図られる。
【0029】ところで、硝子の粘度、弾性並びに表面張
力は、温度低下とともに増大する。従って、成形を受け
る過程で仮に一部分の成形が過剰となる局部異常変形が
発生して、肉薄の部分ができた場合にはその部分の温度
が拡張した表面積により低下し、その部分の粘度、弾性
並びに表面張力が周囲より大きくなり、次の瞬間にそれ
以上の変形に対する抵抗が大きくなるので、自動的に一
様な成形が行なわれ易い(以下、「自動調節機構」とい
う)。このような状態を実現するためには、硝子リボン
GLに対して上記した断熱的環境を形成すること、粘
度、弾性並びに表面張力の変化による上記の自動調節機
構が働き易い十分な速さの成形と冷却が行なわれること
が必要であり好ましい。ここで、自動調節機構が働き易
い十分な速さの成形と冷却とは、両者との関係にもよる
が、硝子リボンGLが成形を受ける最大温度領域130
0°C付近から700°C付近までの間を1.6°C/
秒〜42°C/秒の範囲での冷却速度、更に好ましくは
3.3°C/秒〜17°C/秒の範囲での冷却速度であ
る。冷却速度を1.6°C/秒未満にして過度に緩慢な
冷却を行なうと、部分異形変形が発生したときに自動調
節機構が十分に働かないために、一様な成形ができにく
い。逆に、冷却速度を42°C/秒を越えるようにして
急激に冷却すると、700°C付近まで硝子リボンGL
の温度が下がるまでに、成形に必要な硝子の変形が間に
合わなくなり、成形が完了しない前に硝子温度が下がっ
てしまう恐れがある。また、この冷却速度での成形の間
に、硝子リボンGLと平行な張力を掛けて必要な厚みに
成形することが有効な粘度、弾性及び表面張力の変化を
もたらし、均一な成形を実現するために好ましい。即
ち、過度の緩慢な冷却や成形は、上記の局部異常変形の
緩和をもたらし、その結果、次の瞬間の成形に自動調節
機構が働かず、不均一な形が定着する恐れが大きく、余
りに急激な冷却は、成形に必要な硝子の変形が間に合わ
ない。
【0030】かかる原理に基づく成形を行なうために
は、硝子リボンGLに所定の引っ張り応力がかかること
が一層好ましく、その応力の方向は硝子リボンGLの面
に平行な方向であることが望ましい。具体的には、硝子
溶解炉14から支持体12上に連続的に流出した硝子リ
ボンGLの移動方向、即ち長尺方向に延伸されるような
張力、あるいは硝子リボンGLの面において移動方向と
直交する方向に延伸されるような張力が好ましい。従っ
て、張力付与装置22による引っ張り張力を制御するこ
とで板硝子の板厚、品質や冷却速度を適切に制御するこ
とができる。
【0031】このように、本発明では、硝子リボンGL
に断熱的環境を形成して冷却速度を1.6°C/秒〜4
2°C/秒の範囲にすることで自動調節機構を効果的に
働らかせながら硝子リボンGLを板硝子に成形すること
ができるので、均質性、均厚性、表面平滑性の全てを満
足する高品質な板硝子を得ることができる。
【0032】ちなみに、単に冷却速度を1.6°C/秒
〜42°C/秒の範囲にしても、硝子リボンGLが硝子
と同等若しくは硝子よりも熱伝導性の高い媒体に接して
いる場合には、硝子リボンGLと媒体との間の熱の授受
が大きくなる。これにより、媒体に接触している接触部
分の硝子温度が他の部分の硝子温度と異なるために一様
な成形が困難になるので、成形された板硝子は不均質で
不均厚な板硝子になり易く、表面の平滑性も悪くなる。
これを解決するためには、媒体のきめ細かな温度制御が
必要であるが、制御が難しく非常な労力を要する。
【0033】従って、均質性、均厚性、表面平滑性の全
てを満足する高品質な板硝子を成形するためには、本発
明のように硝子リボンGLに対する断熱的環境の形成
と、適切な冷却速度の両方を満足させると共に、硝子リ
ボンGLの面に平行な方向であって、硝子リボンGLの
移動方向に引っ張り張力を与えながら硝子リボンGLを
板状に成形することが好適な方法となる。
【0034】冷却速度の制御は、蒸気膜の薄層18を形
成するために支持体12に給液する水の温度、硝子リボ
ンGLの支持体12反対側面が接触する空気の温度、蒸
気膜の薄層18と硝子リボンGLの相対的な摺動の速
度、蒸気膜の薄層18と硝子リボンGLの接触時間等の
因子を制御することで可能である。しかし、必要に応じ
て前記した冷却速度から外れない範囲で熱風による強制
加熱や冷風による強制冷却を行なってもよく、また、輻
射や気体の対流を抑制するための遮蔽板を上部空間に設
けてもよい。
【0035】また、本発明は、蒸気膜の薄層の厚み、冷
却速度、支持体12と硝子リボンGLとの相対的な摺動
等の成形要因が、有機的に関連しあって高品質な板硝子
を製法するものであり、これらの成形要因の制御をコン
ピュータ制御により行なうことが望ましい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
均質性、均厚性及び表面平滑性に優れた板硝子を迅速に
成形することができるので、高品質な板硝子を高い生産
性で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための板硝子の成形装置を模
式的に示した側面図
【符号の説明】
10…板硝子の成形装置、12…支持体、14…硝子溶
解炉、16…給液装置、18…蒸気膜の薄層、20…ベ
ルトコンベア、22…張力付与装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 勇 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 小山 勉 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 井上 滋邦 東京都千代田区有楽町一丁目12番1号 旭 硝子株式会社内 (72)発明者 久保 岳 神奈川県横浜市鶴見区末広町1丁目1番地 旭硝子株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に供給された溶融状態の硝子リボ
    ンを板硝子に連続的に成形する製法であって、液体を内
    部に包含しうる材質または構造からなる前記支持体中
    に、少なくとも常温付近では気体ではなく、該硝子のガ
    ラス転移点以上で気体である蒸気膜形成剤を液体状態で
    導入する工程と、該支持体とガラス転移点以上の温度に
    ある硝子とを、前記蒸気膜形成剤を気化した蒸気膜の薄
    層を介して互いに摺動させる工程と、を含む板硝子の製
    法において、 前記硝子リボンの前記支持体に面している面の反対側の
    面を気体に接触させることにより、該気体と前記蒸気膜
    の薄層とで前記硝子リボンに対して断熱的な環境を形成
    し、この断熱的環境下で前記硝子リボンを1.6°C/
    秒〜42°C/秒の冷却速度で冷却すると共に、前記硝
    子リボンの面に平行な方向であって、前記硝子リボンの
    移動方向に引っ張り張力を与えながら前記硝子リボンを
    板状に成形することを特徴とする板硝子の迅速連続製
    法。
  2. 【請求項2】前記蒸気膜形成剤は水であることを特徴と
    する請求項1の板硝子の迅速連続製法。
  3. 【請求項3】前記気体は空気であることを特徴とする請
    求項1又は2の板硝子の迅速連続製法。
  4. 【請求項4】前記蒸気膜の薄層の厚みは10μm以上5
    00μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は
    3の板硝子の迅速連続製法。
  5. 【請求項5】前記支持体は多孔質体又は繊維質体で形成
    されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4の
    板硝子の迅速連続製法。
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