JP2001191517A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP2001191517A
JP2001191517A JP2000000645A JP2000000645A JP2001191517A JP 2001191517 A JP2001191517 A JP 2001191517A JP 2000000645 A JP2000000645 A JP 2000000645A JP 2000000645 A JP2000000645 A JP 2000000645A JP 2001191517 A JP2001191517 A JP 2001191517A
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 対向電極を複数の電極から構成したとき電極
間の動作遅れによる影響をなくして高精度な印字制御を
可能にしたインクジェットヘッドを提供する。 【解決手段】 インクを吐出する複数のインクノズル
と、このインクノズルの各々に連通している複数のイン
ク室と、この各インク室にインクを供給するインク供給
路と、インク室を形成している周壁に形成され、弾性変
位可能な振動板と、振動板に対して隙間を設けて配置さ
れた対向電極とを備え、振動板を共通電極として構成
し、対向電極と振動板との間で充放電を行うことによ
り、インクノズルからインク滴を吐出させるインクジェ
ットヘッドにおいて、対向電極は、印字パターンに応じ
て選択的に充放電される主電極10と、他の前記振動板
に対向して形成されている電極と電気的に接続している
補助電極101,102とから構成される。そして、各
電極と共通電極とで構成される各回路の時定数が、イン
ク流路の固有振動周期に対して十分小さくなるように、
主電極10及び補助電極101,102を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録を必要とする
時にのみインク滴を吐出して記録紙上に付着させるイン
クジェットヘッドに関し、更に詳しくは、対向電極を複
数の電極から構成したインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】一般にインクジェットヘッドは、インク
を加圧してインク滴を吐出するための圧力発生室を備え
ている。そして、圧力発生室の一端はインク供給路を経
てインクタンクに連通し、その他端にはインク滴を吐出
させるインクノズルが設けられている。そして、圧力発
生室の底部を変形しやすく形成してダイヤフラムとして
用い、これを電気機械変換手段によって弾性変位させる
ことによってインクノズルからインク滴を吐出するため
の圧力を発生させている。
【0003】このようなインクジェットヘッドを用いた
プリンタは低騒音、低消費電力等の優れた特徴を有し、
情報処理装置用の出力装置として広く普及している。そ
の反面、インクジェットにおいては、圧力発生室に発生
した残留振動により、インクノズル内のメニスカスが不
安定な形状でノズル外へ押し出されるため、インク滴の
吐出直後に印字を構成しない不要なインク滴が吐出され
る場合がある。印字を構成しない不要なインク滴は、吐
出速度が遅いためノズル面に付着し、インクノズルの目
詰まりやドット抜けという現象を引き起こしてしまい、
印字に対する信頼性を低下させていた。
【0004】さらに、インクジェットヘッドを駆動しな
い状態でプリンタを長時間放置した場合には、インクの
溶媒である水分等がインクノズルより蒸発してしまい、
インクノズル内のインクの粘度が上昇してインクノズル
の目詰まり状態となる。さらにまた、インクの粘度が上
昇することにより、インクノズルに対するインクのリフ
ィル速度が遅くなり、インク吐出量に対してリフィル量
が追いつかず、インクの中に気泡が混入することでイン
ク滴が吐出されなくなる不吐出状態となり、前述と同様
に、印字に対する信頼性を低下させていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、上記の問
題点を解決するために、次のようなインクジェットヘッ
ドを既に提案している。すなわち、インクを吐出する複
数のインクノズルと、このインクノズルの各々に連通し
ている複数のインク室と、この各インク室にインクを供
給するインク供給路と、インク室を形成している周壁に
形成され、弾性変位可能な振動板と、振動板に対して隙
間を設けて配置された対向電極とを備え、対向電極と振
動板との間で充放電を行うことにより、インクノズルか
らインク滴を吐出させるインクジェットヘッドにおい
て、対向電極を主電極と補助電極とから構成し、主電極
は振動板との間で充放電を行うことによりインクノズル
からインク滴を吐出させ、補助電極は振動板との間で充
放電を行うことにより例えば次のような動作を得てい
る。 吐出不良を防止するためにインクノズルのメニスカス
を振動させる。 主電極と同時に駆動させて吐出量を変える。 インク吐出後のインク柱の後端を積極的に切って、余
剰インク滴(サテライト)の生成を防止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ように対向電極を主電極と補助電極とから構成した場合
には、主電極の形状と補助電極の形状とが異なり、主電
極と共通電極とで構成される回路の時定数と、補助電極
と共通電極とで構成される回路の時定数とが異なってい
る。このため、主電極による駆動と補助電極による駆動
とで、動作に時間差が生じるため、特に、上記の,
で狙う作用・効果が不充分となる場合があった。この点
について更に詳細に説明する。
【0007】図33は上記にて提案されているインクジ
ェットヘッドの対向電極の平面図であり、図34はその
充電割合(時定数)を示した特性図である。共通の補助
電極の数が多くなると、補助電極の抵抗が増加し、その
結果、時定数が主電極と大きく異なってくる。ヘッド駆
動(充放電)時の時定数τは、インクジェットヘッドに
搭載された静電アクチュエータの静電容量Cと、対向電
極の主としてリード部の抵抗Rとの積によって決まる。
即ち、τ=C×Rで表される。この時定数τの意味する
ところは、充放電時の静電アクチュエータへの電荷の充
電の様子(カーブ)を代表する特性値である。また、こ
の時定数τは静電アクチュエータの動作時間の遅れを代
表する特性値でもある。更に、図33に示されるよう
に、静電アクチュエータが主電極10と第1の補助電極
101とから構成される場合のそれぞれのアクチュエー
タの時定数は次のとおりとなる。
【0008】 主電極に係る回路の時定数 τ1=R1×C1 補助電極に係る回路の時定数 τ2=R2×C2 ここで、R1,R2はそれぞれ主電極10,第1の補助
電極101のリード部10b,101bの抵抗値であ
り、C1,C2は同様にそれぞれ主電極10、第1の補
助電極101の静電容量を示している。更に、第1の補
助電極101の静電容量C2は補助アクチュエータ部の
静電容量の総和であり、図33の例では次のようにな
る。 C2=C21+C22+……+C264
【0009】このため、主電極10に係る回路の時定数
と第1の補助電極101に係る回路の時定数は必然的に
異なったものとなり、また、補助アクチュエータ間にお
いても充電割合(即ち時定数)が異なったものとなる。
図34の例においては、主電極10によるメインアクチ
ュエータの充電割合と、第1の補助電極101による補
助アクチュエータ1#,64#の充電割合を示している
が、この3者間において充電割合(時定数)が大きく異
なっていることが分かる。
【0010】静電アクチュエータの吸引力(圧力)は、
アクチュエータ(コンデンサ)に蓄えられた(充電され
た)電荷により決まるので、主電極10と第1の補助電
極101との間で充電の遅れがあると、それぞれのアク
チュエータ間で吸引力に差が生じてしまう。このため、
上述のように上記,の制御を適切に行うことができ
なかった。
【0011】本発明は、このような課題を解決するため
になされたものであり、対向電極を複数の電極から構成
したとき電極間の動作遅れによる影響をなくして高精度
な印字制御を可能にしたインクジェットヘッドを提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】(1)本発明に係るイン
クジェットヘッドは、インクを吐出する複数のインクノ
ズルと、このインクノズルの各々に連通している複数の
インク室と、この各インク室にインクを供給するインク
供給路と、前記インク室を形成している周壁に形成さ
れ、弾性変位可能な振動板と、振動板に対して隙間を設
けて配置された対向電極とを備え、振動板を共通電極と
して構成し、対向電極と振動板との間で充放電を行うこ
とにより、インクノズルからインク滴を吐出させるイン
クジェットヘッドにおいて、対向電極は、印字パターン
に応じて選択的に充放電される主電極と、他の振動板に
対向して形成されている電極と電気的に接続している補
助電極とから構成され、そして、各電極と共通電極とで
構成される各回路の時定数は、インク流路の固有振動周
期に対して十分小さいものである。したがって、各回路
の時定数の差も小さなものとなり、適切な制御タイミン
グが容易に得られ、また、補助電極によって形成される
補助アクチュエータ間の動作遅れも小さくなり、主電極
による動作と補助電極による動作とが適切なものとな
る。例えば主電極と補助電極とを同時に駆動して、主電
極のみの駆動による場合に比べて吐出されるインク滴量
を多くする制御(印字濃度の多段階制御)を行う場合、
或いは、主電極を駆動した所定時間後に補助電極を駆動
して、吐出されたインク柱の後端を切って余剰インク滴
の生成を防止する制御を行う場合には、回路時定数の差
が小さいから、その制御タイミングが適切なものとな
り、高精度な印字制御を行うことができる。このため、
ノズル目詰まり状態や異常吐出による印字の不具合が避
けられる。
【0013】(2)また、本発明に係るインクジェット
ヘッドは、上記の各電極と共通電極とで構成される各回
路の時定数が、インク流路の固有振動周期に対して1/
25以下である。このように、各回路の時定数をインク
流路の固有振動周期に対して規定したことにより、両電
極による時定数の差が確実に所定の範囲に収まり、適切
な制御タイミングが容易に得られ、高精度な印字制御を
行うことができる。
【0014】(3)また、本発明に係るインクジェット
ヘッドは、上記の各電極と共通電極とで構成される各回
路の時定数の差は、インク流路の固有振動周期に対して
十分小さい。このため、適切な制御タイミングが容易に
得られ、高精度な印字制御を行うことができる。
【0015】(4)また、本発明に係るインクジェット
ヘッドは、上記の各電極と前記共通電極とで構成される
回路の各時定数の差は、インク流路の固有振動周期の1
/75以下である。各時定数の差をインク流路の固有振
動周期の1/75以下に規定したことにより、その差が
厳格に管理され、適切な制御タイミングが容易に得ら
れ、高精度な印字制御を行うことができる。
【0016】(5)また、本発明に係るインクジェット
ヘッドは、インクを吐出する複数のインクノズルと、こ
のインクノズルの各々に連通している複数のインク室
と、この各インク室にインクを供給するインク供給路
と、インク室を形成している周壁に形成され、弾性変位
可能な振動板と、振動板に対して隙間を設けて配置され
た対向電極とを備え、振動板を共通電極として構成し、
対向電極と振動板との間で充放電を行うことにより、イ
ンクノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘ
ッドにおいて、対向電極は、印字パターンに応じて選択
的に充放電される主電極と、他の振動板に対向して形成
されている電極と電気的に接続している補助電極とから
構成され、そして、各電極と共通電極とで構成される各
回路の時定数は、最適駆動パルス幅に対して1/10以
下である。各回路の時定数を最適駆動パルス幅に対して
1/10以下と規定したことにより、その時定数の差も
また小さくなる。
【0017】(6)また、本発明に係るインクジェット
ヘッドは、上記の各電極と共通電極とで構成される各回
路の時定数の差は、最適駆動パルス幅に対して1/30
以下である。各回路の時定数の差を最適駆動パルス幅に
対して1/30以下と規定したことにより、その時定数
の差を確実に管理することができる。
【0018】(7)また、本発明に係るインクジェット
ヘッドは、上記の各電極と共通電極とで構成される各回
路の時定数の差が0.4μsec以下である。各回路の時
定数の差を0.4μsec以下と定量的に規定するよう
にしたので、時定数の差を確実に管理することができ
る。
【0019】(8)また、本発明に係るインクジェット
ヘッドは、主電極は振動板に対応してそれぞれ設けら
れ、補助電極は前記インクノズル側に所定数の振動板に
共通して対向するように設けられ、所定数の主電極と補
助電極とをユニットとし、ユニットを並列配置したもの
である。補助電極を並列に分割してその容量を小さくす
ることにより補助電極の時定数が大きくならないように
し、主電極に係る回路の時定数と補助電極に係る回路の
時定数の差が小さくなるようにしている。また、補助電
極が振動板に共通して設けられているので、インクノズ
ルの個数の増加してもそれに伴って補助電極への配線が
増加するという事態が避けられ、インクジェットヘッド
の配線数の増加や回路とインクジェットヘッドとを結線
する配線数の増加を伴わずして上述の動作が得られる。
【0020】(9)また、本発明に係るインクジェット
ヘッドは、主電極は振動板に対応してそれぞれ設けら
れ、補助電極は、インクノズル側に振動板に共通して対
向するように設けられた第1の補助電極と、主電極と第
1の補助電極との間に振動板に共通して設けられた1又
は複数の第2の補助電極とを備えたものである。補助電
極を直列に分割してその静電容量を小さくすることによ
り補助電極の時定数が大きくならないようにし、主電極
に係る回路の時定数と補助電極に係る回路の時定数との
差が小さくなるようにしている。
【0021】(10)また、本発明に係るインクジェッ
トヘッドは、主電極は振動板に対応してそれぞれ設けら
れ、補助電極は、インクノズル側に所定数の振動板に共
通して対向するように設けられた第1の補助電極と、主
電極と第1の補助電極との間に所定数の振動板に共通し
て設けられた1又は複数の第2の補助電極とを備え、主
電極及び補助電極をユニットとし、このユニットを並列
配置したものである。補助電極を並列に且つ直列に分割
して、その静電容量を小さくすることにより補助電極に
係る回路の時定数が大きくならないようにし、主電極に
係る回路の時定数と補助電極に係る回路の時定数との差
が小さくなるようにしている。
【0022】(11)また、本発明に係るインクジェッ
トヘッドは、前記のユニットが隣接する2組のユニット
がその境界線を基準として対称となるように配置されて
なるものである。このように2組のユニットを対称に並
設したことにより、2組のユニットの主電極間に補助電
極が介在しないことから、製造の際には同一ピッチの主
電極のパターン群を生成すれば良いので製造が容易なも
のとなる。
【0023】(12)また、本発明に係るインクジェッ
トヘッドは、少なくとも補助電極のリード部は金属から
構成され、補助電極に係る回路の時定数が小さくなるよ
うにしている。 (13)また、本発明に係るインクジェットヘッドは、
主電極及び補助電極のリード部は金属から構成され、主
電極に係る回路の時定数及び補助電極の係る回路の時定
数の双方が小さくなるようにしている。 (14)また、本発明に係るインクジェットヘッドは、
金属がクロム又はチタンの膜の上に形成された金であ
る。金が基板に安定して取り付けられ、剥がれるおそれ
がなく長期間の使用に耐えられる。 (15)また、本発明に係るインクジェットヘッドは、
金属がアルミニウムである。アルミニウムが基板に安定
して取り付けられ、剥がれるおそれがなく長期間の使用
に耐えられる。 (16)また、本発明に係るインクジェットヘッドは、
主電極及び補助電極において振動板と対向する部分がI
TOから構成されおり、このため、絶縁破壊や振動板と
の貼り付きが生じにくくなっている。
【0024】
【発明の実施の形態】実施形態1.本発明においては、
上述のように、主電極に係る回路の時定数τ1及び補助
電極に係る回路の時定数τ2とその差Δτとを、インク
流路の固有振動数の周期又は最適駆動パルス幅との関連
でそれぞれ定義しているが、ここで、その詳細を実施形
態1として説明する。
【0025】(a)インク流路の固有振動周期(固有振
動数)と振動板の駆動速度の関係について:まず、アク
チュエータが主電極からなる基本的な構成の静電アクチ
ュエータ(補助電極がない)を利用したインクジェット
ヘッドの駆動に必要な標記の条件について説明する。イ
ンクジェットヘッドのインク流路は、流路を構成するイ
ンク室内のインクのイナータンス(質量成分)と、振動
板及び流路壁とインクの圧縮によるコンプライアンス
(バネ成分)によって振動系を構成している。また、静
電アクチュエータは、振動板と、この振動板に対向する
対向電極とから構成されている。
【0026】上記の構成のインクジェットヘッドは、こ
のインク流路の中のインクを静電アクチュエータにより
振動させ、タイミング良く振動板を駆動して、インク滴
を吐出させるが、振動板の駆動は、静電アクチュエータ
へ駆動パルスを印加して充電と放電を行うことにより行
われる。これらの駆動の過程は、更に詳細には、次のと
おりである。
【0027】静電アクチュエータの充電により振動板が
対向電極側にへ吸引されると、インク流路の振動系が応
答する。そして、インク流路の振動系の固有振動数に対
応した速度でインク室内のインクが振動を開始する。イ
ンク室内の圧力が最大となった時に、静電アクチュエー
タに充電された電荷を放電すると、静電アクチュエータ
の放電により振動板は対向電極から離脱可能となる。振
動板の対向電極からの離脱とそれに続くインク滴の吐出
は、吸引時と同じくインク流路の振動系の固有振動数に
対応した応答速度で行われる。
【0028】このようにして振動板の駆動に際して、振
動板の駆動(振動)速度は、インク流路の振動系の固有
振動数に対応した応答速度によって決まる。従って、振
動板の駆動をインク流路の振動系に応答させて駆動させ
るためには、静電アクチュエータへの充電と放電の速度
(即ち、時定数τ)は、これらインク流路の振動系の固
有振動数によって決まる応答速度(即ち、固有振動周期
0)よりも十分に速く行われる(小さい値である)必
要がある。実際に、実験で確認した例では、インク流路
の固有振動周期T0は30μsec(固有振動数で33kH
z)で、充電の速度を代表する時定数τは、中心値で
0.6μsec、抵抗値のばらつきにより出現する最大値
で1.2μsecであった。この時のインク吐出時のイン
クの吐出量やインクの射出速度は、十分な値が確保され
ていて、時定数τの変動の影響は現れていなかった。こ
れらの場合では、時定数τはインク流路の固有振動周期
0の1/25以下となっていて、上記のインク流路の
固有振動周期T0よりも静電アクチュエータへの充放電
の時定数τが十分小さくなくてはいけないという条件を
満たしている。
【0029】上記より、インク流路の固有振動周期(振
動数)と振動板の駆動速度の関係として必要な条件を更
に具体的に記述すると次のとおりである。 インク流路の固有振動周期(振動数)T0に対して、
静電アクチュエータの時定数τは十分に小さい。 T0 ≫ τ また、少なくとも静電アクチュエータの時定数τはイ
ンクの固有振動周期T0の1/25以下。 1/25 T0 ≧ τ
【0030】(b)最適駆動パルス幅とインク流路の固
有振動周期(振動数)との関係:静電アクチュエータを
駆動し、インク滴をインクノズルから吐出する形態のイ
ンクジェットヘッドにおける駆動パルス幅と、インク流
路の固有振動周期(振動数)との関係について以下に説
明する。
【0031】インクジェットヘッドを駆動してインク滴
を吐出するために静電アクチュエータへ印加する駆動パ
ルスの波形は前述したインクジェットヘッドの駆動の過
程に従って構成されている。即ち、駆動波形は、 充電して振動板を対向電極側に吸引する過程と、 インク流路内のインクの圧力がインク流路の応答によ
り最大となる直前まで電荷を保持する過程と、 放電して振動板が対向電極から離脱可能とする過程と から構成されている。
【0032】駆動パルスとして駆動波形を捕らえた場合
には、最適駆動パルス幅Pwsは上述の駆動波形の構成
の内、との過程の時間に相当する。ここで、最適駆
動パルス幅Pwsは、駆動パルス幅Pwの内最もインク
滴の吐出量が増えるPwを言う。次に更に詳細に説明す
る。
【0033】上述のインクジェットヘッド駆動の過程で
説明したように、最適駆動パルス幅Pwsは振動板を吸
引して対向電極に当接するまでの時間に、振動板当接時
のインク流路の固有振動周期の1/4の時間を加算した
時間以下の時間となる。振動板が対向電極に当接するま
での時間はインク流路の固有振動周期の1/4以下の時
間である。ここで、振動板待機時のインク流路の固有振
動周期は、振動板当接時のインク流路の固有振動数とは
異なる。つまり、前者は振動板を含めたインク流路の振
動系であるのに対して、後者は振動板をコンプライアン
ス(バネ成分)として含まない別の振動系の固有振動周
期となる。実施した例では、振動板当接時のインク流路
の固有振動数は133kHz(固有周期で7.5μse
c)であった。振動板当接時の固有振動周期は振動板待
機時の振動周期に比較して大変短い時間となる。従っ
て、最適駆動パルス幅Pwsはその殆どが振動板を吸引
して当接するまでの時間になる。これは、インク流路の
応答時間即ちインク流路の固有振動周期に関係した時間
であることが分かる。
【0034】適正駆動パルス幅Pwsは実施した例では
12μsecであった。目安として、固有振動周期と比較
すると、これは、インク流路の固有振動周期T0の約1
/2.5の時間になる。これより、静電アクチュエータ
の時定数τが、(比較する基準としての)最適駆動パル
スPwsの1/30以下でなくてはいけないとする場合
には、(比較する対象をインク流路の固有振動周期とす
ると、)同じく、その時定数τは固有振動周期の1/7
5以下でなくてはいけないことになる。同様にして、静
電アクチュエータの時定数τが、固有振動周期(振動数
の)1/25以下でなくてはいけないとすると、同じ
く、τは最適駆動パルス幅Pwsの1/10以下でなく
てはいけないことになる。このように時定数τは、固有
振動周期(振動数)又は最適駆動パルス幅Pwsとの関
連で定義付けられる。そして、上述のように、固有振動
周期T0(振動数)及び最適駆動パルス幅Pwsはいず
れもインクジェットヘッドのインク流路に固有のもので
ある。
【0035】(c)静電アクチュエータの時定数につい
て:1つの流路を駆動する静電アクチュエータの対向電
極を主電極と補助電極とに分割した本発明においては、
上記に説明した、静電アクチュエータの時定数τとイン
ク流路の固有振動周期T0と最適駆動パルス幅Pwsとの
関係について必要となる条件を整理すると次のとおりで
ある。 (1)主電極及び補助電極の各電極の時定数τ1及びτ2
は、インク流路の固有振動周期T0に対して共に十分小
さい。 (2)主電極及び補助電極の各電極の時定数τ1及びτ2
は、インク流路の固有振動周期T0に対して共に1/2
5以下。 (3)主電極及び補助電極の各電極の時定数τ1及びτ2
は、適正駆動パルス幅Pwsに対してともに1/10以
下。 (4)主電極と補助電極の各時定数の差Δτは、インク
流路の固有振動周期T0に対して、十分小さい。 (5)主電極と補助電極の各時定数の差Δτは、インク
流路の固有振動周期の1/75以下。 (6)主電極と補助電極の各時定数の差Δτは、インク
流路の最適駆動パルス幅Pwsの1/30以下。 (7)主電極と補助電極の各時定数の差Δτは、0.4
μsec以下。 なお、上記(1)〜(3)においては主電極及び補助電
極の各電極の時定数τ1,τ2それ自体について着目して
いるが、時定数を小さくすることで、結果的に両者の時
定数の差Δτも所定の範囲内に収まる。また、上記
(7)の0.4μsec以下の根拠については後述の表1
に示される。
【0036】次の表1は時定数の差異と計算結果とその
影響の調査結果を示したものである。
【0037】
【表1】
【0038】上記の構成No.において、は対向電極は
ITOのみ(図33に相当)、は補助電極のリード部
を金の薄膜で構成した例、は主電極及び補助電極のリ
ード部を金の薄膜で構成した例である。また、このとき
使用したインクジェットヘッドの対向電極の平面形状は
後述の図1に示されるとおりであり、固有振動周期
0:30μsec(固有振動数:33KHz)、最適駆動
パルス幅Pws:12μsecである。
【0039】また、表2に表1の調査結果を各時定数と
上記インクジェットヘッドの固有振動周期T0と最適駆
動パルスPwsとを比較した結果を示す。Δτと影響の
有無の関係について調査した結果を示している。
【0040】
【表2】
【0041】次に、上記(1)〜(7)の時定数τ1,
τ2又は差Δτを得るための対向電極の構成について説
明する。
【0042】(a)主極及び補助電極に係る回路の時定
数τ1,τ2を小さくする。両電極のリード部を金属材
料で構成する。リード部を例えば金の薄膜/クロム(若
しくはチタン)の薄膜、又はアルミニウムの薄膜により
構成することで、リード部の抵抗値を小さくする。ま
た、リード部の厚みを厚くしたり、その幅を広くするこ
とで抵抗値を小さくする。 (b)補助電極の時定数τ2を小さくする。この場合に
は、抵抗値R及び静電容量Cをいずれか又は双方を小さ
くすることで対応する。抵抗値Rを小さくするには、補
助電極のリード部を上記(a)の場合と同様にして小さ
くする。また、静電容量Cを小さくするには、補助電極
を並列に分割したり、補助電極を直列に分割したり、或
いはその双方を併用したりすることで対応する。
【0043】図1(A)(B)は対向電極(その1)の
平面図及びそのB−B断面図である。この例では、主電
極10の端子部10a及びリード部10bについては金
属材料例えばクロム(又はチタン)をスパッタリングし
てクロム(又はチタン)の薄膜105を形成し、その上
に金(Au)をスパッタリングして金の薄膜106を形
成することにより作製される。主電極10の対向電極部
10cについては、ITOをスパッタリングしてITO
の薄膜107を形成することにより作製される。そし
て、補助電極101についても、その端子部101a及
びリード部101bをクロム(又はチタン)をスパッタ
リングしてクロム(チタン)の薄膜105を形成し(例
えば0.03μm程度)、その上に金(Au)をスパッ
タリングして金の薄膜106を形成する(例えば0.1
μm程度)ことで作製される。そして、補助電極101
の対向電極部101cについてはITOをスパッタリン
グしてITOの薄膜107を形成することにより作製さ
れる。
【0044】このように主電極10の端子部10a及び
リード部10bとその端子部101a及びリード部10
1bとが金属材料から形成されることで、それらの抵抗
値Rが小さくなる。このことにより、主電極10及び補
助電極101に係る回路の各時定数τ1,τ2が小さく
なる。その結果、差Δτも小さくなっている。
【0045】なお、上記のクロム(チタン)及び金の薄
膜に代えてアルミニウムの薄膜を設けても良い(この点
は後述の例においても同様である。)。また、上記の例
においては、ガラス基板4と金の薄膜106との間にク
ロム(又はチタン)の薄膜105を介在させているが、
これにより、金の薄膜106がガラス基板4から剥がれ
難くなっている。また、対向電極部10c,101cが
ITOの薄膜107から構成されているので、絶縁破壊
や振動板51との貼り付きが生じ難くなっている。ま
た、抵抗値Rが小さくなっているので、主電極10及び
補助電極101の配線ピッチを微細化することが可能に
なっている。また、上記の例においては、補助電極10
1のリード部101bをインク室(図6参照)の長さ方
向の部位及びそれに直交する方向の部位を金属の薄膜で
形成したが、どちらか一方のみであっても構わない(こ
のことは後述の図2〜図5の例においても同様であ
る)。但し、リード部101bを全て金属の薄膜で形成
することは、その分だけ抵抗値Rが小さくなり、配線ピ
ッチの微細化によってより多くの補助電極101を形成
することができる、或いは、透明度が増加すると抵抗値
Rが増加する特性をもっているITOの透明度を更に増
加させることができる、という利点につながる。また、
補助電極101に係る回路の時定数を小さくするという
観点から、リード部101bについてのみ金属膜から構
成して、リード部10bについてはITOにより構成し
てもよい。
【0046】図2は対向電極(その2)の平面図であ
る。この例では、第1の補助電極101を並列に分割し
て、第1の補助電極101の面積を小さくすることによ
り静電容量Cを小さくしている。更に、それに加えて主
電極10の端子部10a及びリード部10bと第1の補
助電極101の端子部101a及びリード部101bを
クロムの薄膜105及びその上に形成された金の薄膜1
06により形成して抵抗値Rを小さくすることで、主電
極10及び第1の補助電極101に係る回路の各時定数
τ1,τ2を小さくしている。その結果、差Δτも小さ
くなっている。
【0047】図3は対向電極(その3)の平面図であ
る。この例では、補助電極を直列に分割して、第1の補
助電極101及び第2の補助電極102を形成して、各
補助電極101,102の面積を小さくすることにより
静電容量Cを小さくしている。更に、上記と同様にして
抵抗値Rを小さくしている。その結果、主電極10、第
1の補助電極101及び第2の補助電極の各電極に係る
回路の時定数τ1,τ2,τ3がそれぞれ小さくなり、
その差Δτも小さくなっている。
【0048】図4は対向電極(その4)の平面図であ
る。この例では、補助電極を並列に、且つ直列に分割し
て、第1の補助電極101及び第2の補助電極102の
面積を小さくすることにより静電容量Cを小さくしてい
る。更に、上記と同様にして抵抗値を小さくしている。
その結果、主電極10、第1の補助電極101及び第2
の補助電極102の各電極に係に係る回路の各時定数τ
1,τ2,τ3が小さくなり、その差Δτも小さくなっ
ている。
【0049】図5は対向電極(その5)の平面図であ
る。この例では、図2の対向電極を配置する際に、隣接
するユニットの境界線108を中心として線対称になる
ように配置した例である。この図5の配置は上述の図4
にも同様に適用される。対向電極をこのように配置する
ことで、2組のユニットの主電極10群がが並設される
とその間に第1の補助電極101が介在せず、同一のピ
ッチのパターンが並ぶことになるので製造し易いという
利点がある。この図5の対向電極のパターンは後述の実
施形態2〜5においても同様に適用されるものとする。
【0050】次に、上述の対向電極(主電極10,第1
の補助電極101,第2の補助電極102)を適用した
インクジェッドについて説明するが、いずれの実施形態
においても、主電極10、第1の補助電極101及び第
2の補助電極102は上記の本発明の時定数τ1,τ
2,τ3,Δτに関する要件を満たしたものである。
【0051】実施形態2.図6は本発明の実施形態2に
係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。図7は
その内のガラス基板の平面図である。図8は図6のイン
クジェットヘッドの部分断面図である。
【0052】インクジェッドヘッド1は、これらの図に
示されるように、3枚の基板2,3,4を重ねて接合し
た積層構造になっており、中間のシリコン基板2を挟ん
で、その上側に同じくシリコン製のノズルプレート3、
下側にシリコンと熱膨張率が近いホウ珪酸ガラス基板4
が積層されている。シリコン基板2には、その表面から
エッチングを施すことにより、独立した例えば4個のイ
ンク室(圧力発生室)5を構成することとなる凹部5
a、1つの共通インク室(リザーバ)6を構成すること
となる凹部6aと、この共通インク室6から各インク室
5にインクを供給するインク供給路(オリフィス)7を
構成することとなる凹部7aが形成されている。これら
の凹部5a,6a及び7aがノズルプレート3によって
塞がれることにより、インク室5、共通インク室6及び
インク供給路7がそれぞれ区画形成される。
【0053】ノズルプレート3には、各インク室5の先
端側の部分に対応する位置に、インクノズル11が形成
されており、これらが各インク室5に連通している。ま
た、ガラス基板4の内、共通インク室6が位置している
部分には、これに連通するインク供給口12が形成され
ている。インクは、外部の図示しないインクタンクか
ら、インク供給口12を通って共通インク室6に供給さ
れる。共通インク室6に供給されたインクは、各インク
供給路7を通って、独立した各インク室5にそれぞれ供
給される。
【0054】各インク室5は、その底壁51が薄肉に構
成されており、底壁51の面に直交する方向、すなわち
図6において上下方向に弾性変位可能な振動板として機
能するように設定されている。したがって、この底壁5
1の部分を以後の説明においては都合上、振動板と称し
て説明することもある。
【0055】シリコン基板2の下側に位置しているガラ
ス基板4においては、その上面であるシリコン基板2と
の接合面には、シリコン基板2の各インク室5に対応し
た位置に、浅く(例えば0.3μm程度)エッチングさ
れた凹部9が形成されている。したがって、各インク室
5の底壁51は、非常に僅かの隙間Gを隔ててガラス基
板4の凹部表面91と対向している。そして、ガラス基
板4の凹部表面91には、各インク室5の底壁51に対
向するように、主電極10及び第1の補助電極101か
らなる対向電極が形成されている。
【0056】この第1の補助電極101は、インクノズ
ル11側に主電極10が対向する振動板51の部分とは
独立して充放電が可能なように形成され、且つ、独立し
た4個の振動板51に亘って対向した1つの電極から形
成されている。第1の補助電極101を複数の振動板5
1に亘って1つの電極により形成した場合には、電極の
個数がノズル数の増加に伴って増加することが無く、電
極の配線のために必要となるインクジェットヘッド1の
面積を増やさなくて良いため、インクジェットヘッド1
を大型化せずに済む。また、補助電極101が複数の振
動板51に亘って電気的に接続されていることになるか
ら、後述の補助的な動作(例えばメニスカスの振動)を
させる場合には、各インク室5に対して共通に制御で
き、その制御が簡単なものとなる。
【0057】また、主電極10及び第1の補助電極10
1は、上述ように示されるように、その各部に対応した
電極材料が用いられる。この例では、図1の例と同様
に、主電極10の端子部10a及びリード部10bにつ
いてはクロム(又はチタン)の薄膜105を形成して、
その上に金の薄膜106を形成することにより作製され
る。主電極10の対向電極部10cについてはITOの
薄膜107を形成することにより作製される。また、補
助電極101の端子部101a及びリード部101bに
ついてはクロム(チタン)の薄膜105を形成し、その
上に金の薄膜106を形成することで作製される。そし
て、補助電極101の対向電極部101cについてはI
TOの薄膜107を形成することにより作製される。
【0058】このように主電極10の端子部10a及び
リード部10bとその端子部101a及びリード部10
1bとが金属材料から形成されることで、それらの抵抗
値Rが小さくなる。このことにより、主電極10及び補
助電極101に係る回路の各時定数τ1,τ2が小さく
なる。その結果、差Δτも小さくなっている。
【0059】なお、第1の補助電極101は複数の振動
板51に共通して形成されるが、回路時定数を小さくす
るという観点からその個数は自ずと制限されることとな
る。このため、例えば図7の主電極10及び第1の補助
電極101のパターンが複数組配置されることになり、
上述の図2又は図5に示されるパターンになる。このこ
とは後述の実施形態3,4においても同様である。
【0060】シリコン基板2とガラス基板4との接合に
ついては、インクノズル11側については両者が直接接
合され、その反対側においては、両者が例えば接着剤等
の熱硬化性の樹脂を介して接合される。シリコン基板2
の端部は主電極10及び第1の補助電極101のリード
部10b,101b上に位置しており、両者が上記の樹
脂を介して接合されることで、その樹脂は、シリコン基
板2の裏面側とガラス基板4の凹部表面91とで形成さ
れる空間を封止することになり、気密封止部23を形成
することとなる。このように気密封止部23に樹脂が用
いられた場合には未硬化時の粘度を低くし易いので、封
止時には狭いギャップ内へ毛細管現象で浸入させ、硬化
することにより気密封止が確保されるという利点があ
る。なお、気密封止部23には低融点のガラス等の無機
材料を用いても良い。
【0061】ここで、各インク室5の底壁(振動板)5
1は、シリコン基板2は導電性があるので各インク室側
の共通電極として機能する。このため、底壁を共通電極
と称することもある。また、各インク室5の底壁51の
ガラス基板4に対向した表面はシリコンの酸化膜からな
る絶縁層15により覆われている。このように、インク
室5の底壁51の表面に形成された絶縁層15と隙間G
とを挟んで、各インク室5の底壁51すなわち振動板
(共通電極)と、各主電極10及び第1の補助電極10
1とが対向している。
【0062】これらの主電極10,第1の補助電極10
1と振動板51との間に駆動電圧を印加するための電圧
制御回路部21は、図8に示されるように、図示してい
ない外部からの印字信号に応じて、これらの主電極1
0,補助電極110と振動板51との間に駆動電圧を印
加して充放電を行わせる。電圧制御回路部21の一方の
出力は個々の主電極10及び第1の補助電極101に接
続され、他方の出力はシリコン基板2に形成された共通
電極端子22に接続されている。また、より低い電気抵
抗で振動板(共通電極)51に駆動電圧を供給する必要
がある場合には、例えば、シリコン基板2の一方の面に
金等の導電性材料の薄膜を蒸着やスパッタリングで形成
すればよい。本実施形態では、シリコン基板2の流路の
形成面側に導電膜を形成することにより共通電極端子2
2を形成している。
【0063】図9は本実施形態のインクジェットヘッド
1の部分断面図(後述の図13のインク吐出1参照)で
ある。図9は主電極10と振動板(共通電極)51との
間に駆動電圧を印加したときの振動板51の動作を示し
ている。上述のように構成されたインクジェットヘッド
1においては、電圧制御回路部21からの駆動電圧が主
電極10と振動板(共通電極)51との間に印加される
と、両電極10,51間に充電された電荷によるクーロ
ン力が発生し、振動板51は主電極10側へ撓み、イン
ク室5の容積が拡大する。次に、電圧制御回路部21か
らの駆動電圧を解除して両電極10,51間の電荷を放
電すると、振動板51はその弾性復帰力によって復帰し
て、インク室5の容積が急激に収縮する。この時に発生
するインク圧力により、インク室5を満たしていたイン
クの一部が、このインク室5に連通しているインクノズ
ル11からインク滴として吐出する。
【0064】図10は本実施形態のインクジェットヘッ
ド1の部分断面図(後述の図13のメニスカス振動参
照)である。図10は第1の補助電極101と振動板
(共通電極)51の間に駆動電圧を印加した時の振動板
51の動作を示している。電圧制御回路部21からの駆
動電圧が第1の補助電極101と振動板(共通電極)5
1との間に印加されると、両電極101,51間に充電
された電荷によるクーロン力が発生し、振動板51は第
1の補助電極101側へ撓み、インク室5の容積が拡大
すると共に、インクノズル11のインクと空気の境目で
あるメニスカスはインク室5側に引き込まれる。次に、
電圧制御回路部21からの駆動電圧を解除して両電極1
01,51間の電荷を放電すると、振動板51はその弾
性復帰力によって復帰して、インク室5の容積が急激に
収縮する。この時発生するインク圧力は前述の主電極1
0の充放電により発生した圧力より小さいため(第1の
補助電極101の面積は主電極10に比して小さい)、
インク滴を吐出するには至らず、メニスカスは振動して
減衰し復元する。第1の補助電極101と振動板51と
の間で上記の充放電を繰り返すことによって、メニスカ
スを継続的に振動させ、インクノズル11の近傍のイン
クとインク室5を満たすインクを撹拌させることができ
る。
【0065】図11は本実施形態のインクジェットヘッ
ド1の部分断面図(後述の図13のインク吐出量2参
照)である。図11は第1の補助電極101及び主電極
10の両方の対向電極と振動板51との間に駆動電圧を
印加した時の振動板51の動作を示している。第1の補
助電極101及び主電極10の両方の対向電極と振動板
51との間に電圧制御回路部21からの駆動電圧が同時
に印加されると、主電極10,第1の補助電極101と
振動板51との間に充電された電荷によるクーロン力が
発生し、振動板51は第1の補助電極101及び主電極
10側へ撓み、インク室5の容積が拡大する。すなわ
ち、振動板51の全面が撓んでインク室5の容積は最も
拡大した状態になる。次に、電圧制御回路部21からの
駆動電圧を解除して両電極10,101,51間の電荷
を放電すると、振動板51の全面がその弾性復帰力によ
って復帰し、インク室5の容積が急激に収縮する。この
時発生するインク圧力により、インク室5を満たすイン
クの一部が、このインク室5に連通しているインクノズ
ル11からインク滴として吐出する。このときのインク
圧力は最も大きな圧力を発生することが可能となるた
め、主電極10のみで振動板51を駆動してインク滴を
吐出する場合より多い量のインク滴を吐出することが可
能となる。すなわち、ここでは、主電極10と第1の補
助電極101とが一体化された状態での動作が得られ、
上記のように、相対的に多い量のインク滴が吐出され
る。
【0066】図12は図8の電圧制御回路部21の詳細
を示したブロック図である。インクジェットヘッドの電
圧制御回路部21はインクジェットヘッド制御部200
を有する。このインクジェットヘッド制御部200はC
PU201を中心に構成されている。すなわち、CPU
201には外部装置203からバスを介して印刷情報が
供給される。CPU201には、内部バスを介してRO
M202a、RAM202b及びキャラクタジェネレー
タ204が接続されており、RAM202b内の記憶領
域を作業領域として用いて、ROM202a内に格納さ
れている制御プログラムを実行して、キャラクタージェ
ネレータ204から発生するキャラクター情報に基づい
てインクジェットヘッド1の駆動用の制御信号を生成す
る。制御信号は論理ゲートアレイ205及び駆動パルス
発生回路206を介して、印刷情報に対応した駆動制御
信号となって、コネクタ207を経由して、ヘッド基板
208に形成されたヘッドドライバIC209に供給さ
れる。このヘッドドライバIC209は、主電極10を
駆動するための主電極駆動制御部209aと、第1の補
助電極101を駆動するための補助電極駆動制御部20
9bとから構成される。
【0067】ヘッドドライバIC209では、供給され
た駆動制御信号及び電源回路210から供給される駆動
電圧Vp及び論理ゲートアレー205から伝送された信
号に基づいて、インクジェットヘッド1の内、駆動すべ
きインクノズル11に対応するインク室5の振動板(共
通電極)51と、駆動すべき主電極10,第1の補助電
極101とに駆動パルスPwを所定のタイミングで印加
する。すなわち、ヘッドドライバIC209では駆動パ
ルス発生回路206で出力された駆動パルスPw又はグ
ランドレベルを適時選択して何れかを電極10,10
1,51に低インピーダンスで出力する。この結果、例
えば共通電極端子22か主電極10かのどちらかに駆動
パルスPwが印加されると、主電極10と振動板(共通
電極)51との間に電位差を生じ、対応するインクノズ
ル11からインク滴が吐出される。また、同様にして、
共通電極端子22か第1の補助電極101かのどちらか
に駆動パルスPwが印加されると、第1の補助電極10
1と振動板(共通電極)51との間に電位差を生じ、そ
の第1の補助電極101に対応したインクノズル11で
はメニスカスの振動又はメニスカスのインク室5への引
き込みが行われる。
【0068】ここで、主電極10に印加する駆動パルス
幅Pwと第1の補助電極101に印加する駆動パルス幅
Pwは同じ駆動パルス幅でも良いし、異なる電圧と通電
時間からなる駆動波形であっても良い。主電極10に印
加する駆動パルスと第1の補助電極101に印加する駆
動パルスが異なる場合には、駆動パルス発生回路206
にてそれぞれ異なる波形を形成し、何れの波形をどの対
向電極(主電極10,第1の補助電極101)に印加す
るかは、論理ゲートアレイ205にて出力される信号に
従ってヘッドドライバIC209にて選択する。
【0069】また、この電圧制御回路部21は、例え
ば、長時間不使用状態であったインクノズル11が存在
することを駆動制御装置にて監視し、そのようなものが
存在した場合には、インクジェットヘッド1の補助電極
101を駆動してメニスカスの振動を行うことにより、
インク吐出を正常に行わせるようにすることが可能とな
る。
【0070】このように、本実施形態のインクジェット
ヘッド1の電圧制御回路部21においては、インクジェ
ットヘッド1の駆動状況に基づき、インクジェットヘッ
ド1の主電極10及び第1の補助電極101への駆動パ
ルスPwを選択して印加するので、長時間不使用状態に
あったノズルに対しても確実にインクノズル11でのイ
ンクの物性の変化に起因したインク吐出特性の変動を補
償して、常に安定したインク吐出特性を得ることができ
る。
【0071】ところで、図12の電圧制御回路部21に
おいて、ヘッド基板208に設けられたサーミスター
(温度検出回路)25の出力はコネクタ207を介して
温度検出回路(A/D変換)214に供給され、インク
ジェットヘッド1の温度補償のために用いられる。ま
た、同様にヘッド基板208に設けられたヘッドランク
識別回路(ショートランド3bits)212の出力はコネ
クタ207を介してランク検出回路213に供給されて
ヘッドランクが検出されてヘッドランクに対応した制御
がなされる。ヘッドランク識別回路212は、インクジ
ェットヘッド1に固有の最適駆動パルス幅Pwsの常温
での値に対応する情報が記録されており、インクジェッ
トヘッド1を最適駆動パルス幅Pwsで駆動するために
用いられる。
【0072】最適駆動パルス幅Pwsは更に、温度や、
非印刷時間の経過時間等の駆動状況により異なるため、
この電圧制御回路部21では、インクジェットヘッド1
のばらつきによる最適駆動パルス幅Pwsに対して、温
度による補正と加えて経過時間による補正を行い、ヘッ
ド駆動状況に合った最適駆動パルス幅Pws’を設定し
ている。これらヘッド基板上208上に設けられたイン
クジェットヘッド1の駆動状況に関する情報をヘッドラ
ンク検出回路213及び温度検出回路214で検出し
て、情報をI/Oを介して、CPU201に送信する。
CPU201では、ROM201bに予め格納された情
報を読み出すと同時のCPU201で計時された経過時
間に関する情報をRAM202aから読み出し、前述の
各駆動状況に関する情報と比較し、制御条件、即ち各温
度と、経過時間における、インクジェットヘッド1の駆
動状況に応じた最適駆動パルス幅Pws’を決定する。
論路ゲートアレイ205では、最適駆動パルス幅Pw
s’に関する情報をCPU201から受けて、駆動パル
ス発生回路206に、最適駆動パルス幅Pwsを発生さ
せるための論理パルスを送信する。駆動パルス発生回路
では、最適駆動パルス幅Pws’に相当する駆動電圧波
形を生成し、ヘッドドライバIC209へ最適駆動パル
ス幅Pws’の電圧波形を通電する。
【0073】次に、本実施形態のインクジェットヘッド
1の駆動方法について説明する。図13はインクジェッ
トヘッド1に印加される駆動パルスの例を示すタイミン
グチャートである。ここでは、主電極10及び第1の補
助電極101と振動板51との間に印加される電位は交
互に反転するように構成さている。これは静電駆動され
るインクジェットヘッドの特性を安定化させるためのも
のである。但し、本発明においては本実施形態に示し
た、これらの交互に反転させる駆動波形の組み合わせに
制限されるものではなく、電位を交互に反転させなくと
も同様な動作が得られる。
【0074】図13のタイミングチャートにおいては、
インクジェットヘッド1の駆動方法を大別して4つの駆
動パターンに分けて示している。図13(a)のメニス
カスの駆動パターンでは、第1の補助電極101と振動
板51との充放電によりインクノズル11のメニスカス
を振動させる(図10参照)。同図の波形によればメニ
スカスは4回振動する。図13(b)のインク吐出1の
駆動パターンでは、主電極10と振動板51との充放電
によりインク滴を吐出させる(図9参照)。同図の波形
ではインク吐出が2回なされる(2個のインク滴で1ド
ットを形成している)。図13(c)のインク吐出2の
駆動パターンでは、主電極10及び第1の補助電極10
1と振動板51との充放電によりインク滴を吐出させる
(図11参照)。振動板51の全面が撓んで駆動される
ので、吐出されるインク滴の量がインク吐出1よりも多
くなり濃い印刷が可能になっている。また、図13
(d)の非駆動のパターンは、主電極10、第1の補助
電極101及び振動板51が常に同電位となるようにそ
れぞれ通電されている(図8の状態参照)。このときイ
ンク滴の吐出及びメニスカスの振動は行われない。
【0075】以上のように本実施形態においては、対向
電極を主電極10及び第1の補助電極101から構成
し、主電極10と振動板(共通電極)51とで構成され
る回路の時定数τ1と、第1の補助電極101と(共通
電極)51とで構成される回路の時定数τ2とをそれぞ
れ小さくしてその差Δτが所定の範囲になるように構成
したので、上記の吐出モード1及び2、特に主電極10
と第1の補助電極101とを同時に駆動する吐出モード
2において主電極10による動作と第1の補助電極10
1による動作とに遅れがなく、同時に駆動されるので適
切な印字動作が得られる。また、インク吐出1及び2の
ように吐出されるインク滴の量を多段階に調整すること
が可能になっており、印刷濃度を調整することができ
る。
【0076】実施形態3.図14は本発明の実施形態3
に係るインクジェットヘッド1の部分断面図であり(そ
の構成は上記の実施形態2によるものと同一である)、
第1の補助電極101と振動板(共通電極)51との間
に駆動電圧を印加した時の振動板51とメニスカスの動
作を示している。本実施形態においては、インク滴の吐
出後のインク柱の後端を積極的に切って余剰インク滴
(サテライト)の生成を防止している。
【0077】主電極10と振動板51との間に電圧制御
回路部21からの駆動電圧が印加されて(図9参照)イ
ンク滴の吐出がなされた後に、第1の補助電極101と
振動板(共通電極)51との間に電圧制御回路部21か
らの駆動電圧が印加されると、上述の場合と同様に、両
電極101,51間に充電された電荷によるクーロン力
が発生し、振動板51は第1の補助電極101側へ撓
み、インク室5の容積が拡大すると共に、インクノズル
11部のインクと空気の境目であるメニスカスはインク
ノズル11のインク室5側に引き込まれる。次に、電圧
制御回路部21からの駆動電圧を解除して両電極10
1,51間の電荷を放電すると、振動板51はその弾性
復帰力によって復帰し、インク室5の容積が急激に収縮
する。この時発生するインク圧力は前述の主電極10の
充放電により発生した圧力より小さいため、インク滴を
吐出するには至らず、メニスカスはインク室5に引き込
まれた後、振動して減衰し復元する。
【0078】以上のように、本実施形態では、主電極1
0と振動板51との間の充放電によりインク滴を吐出さ
せる主たる動作に続いて、上記のように第1の補助電極
101と振動板51との間で充放電を行い、メニスカス
をインク室5に引き込むという補助的な動作を行ってい
る。これらの主たる動作と補助的な動作により、主たる
動作によりインクノズル11から吐出するインク柱の尾
部(後端)を上記の補助的な動作により確実に分離し、
インク滴の形成を安定的に行うことができる。これによ
り、不要なインク滴の形成や、インク滴の飛び散りをな
くすることが可能となる。更にこれらの動作により、ノ
ズル面への不要なインク滴の付着による吐出不良とそれ
による印刷装置の汚れや印刷不良を無くすることができ
る。
【0079】インク吐出の主たる動作と、それに続くイ
ンク滴を分離させる補助的動作は、所定の時間の間隔を
もって行われる。この主たる動作と補助的な動作の間の
時間間隔はそれぞれの電極を駆動する電圧パルスの位相
差として予め設定される。この位相差は、インクノズル
11及びインク室5(振動板51)からなるインク流路
のインクの振動系の固有周期T0に、主電極10に印加
する駆動パルス幅Pwsを加えた時間にほぼ等しく設定
されるのが好ましい。すなわち、駆動パルスの位相差を
T0+Pwsの時間間隔に予め設定してそれぞれ駆動さ
せて動作させることが好ましい。主たる動作を行わせる
ための駆動パルスを解除してから、1/2固有周期分の
時間の後にインクの吐出が行われ、更に1/2固有周期
分の時間で、第1の補助電極101と振動板51との距
離は吐出時のインク流路内の自由振動によって最も小さ
くなるため、第1の補助電極101を効率的に静電吸引
させて動作させることができる。
【0080】更に、主たる動作のための駆動パルスを解
除してから固有振動周期に相当する時間後には、インク
ノズル11からメニスカスが最も飛び出す時間に相当す
るため、この位相差にてメニスカスをインク室5へ引き
込ませることが最も重要である。インクノズル11の寸
法諸元や振動板の厚みの違いにより、厳密な固有周期が
ヘッド毎に異なる場合でも、これら駆動パルスの位相差
を凡そT0+Pwsに予め一致させておくことにより、
補助的な動作では自ずと、厳密なT0+Pwsに一致し
た時間にて目的とするメニスカスのインク室5への引き
込みが実現する。結果として、確実にインクノズル11
から吐出するインク柱の尾部(後端)を分離し、安定的
なインク滴の形成を行うことができる。
【0081】なお、図11に示されるように、主電極1
0及び第1の補助電極101の両方に駆動電圧を同時に
印加して両電極を1つの電極として動作させてインク滴
を吐出させた場合においても、その主たる動作に続いて
前述した補助的な動作を続いて行えば、前述したインク
ノズル11から吐出するインク柱を分離して安定的にイ
ンク滴を形成することができる。そして、その場合に
は、先の図9にて説明した動作にて吐出するインクの量
とは異なる量のインク滴を形成することが可能であり、
インク滴の量を駆動パターンにより変えることが可能と
なる。その結果、形成されるドットの大きさを駆動パタ
ーンにより変えて印刷結果の濃さを変えたり、表現力が
豊かな印刷を行うことが可能となる。
【0082】次に、本実施形態のインクジェットヘッド
1の駆動方法について説明する。図15は本実施形態に
係るインクジェットヘッド1の駆動モードの例を示した
タイミングチャートである。図15の駆動パルスは上述
の図12の電圧制御回路部21により生成されるものと
する。
【0083】ここで、駆動パルスは上述の形態と同様に
して生成されるが、第1の補助電極101を駆動させる
駆動波形の放電時間をより長く設定して(パルスの立ち
下がり時間が長くなるように設定)、主電極10を駆動
させる駆動波形と異ならせており、メニスカス引き込み
後のメニスカスの振動を速やかに減衰させてメニスカス
を待機位置に復元させて、次の主電極駆動に備えるよう
にしている。このようにすることで、インクジェットヘ
ッド1を高い駆動周波数で駆動させることができ、印字
スピードの高速化を図ることができる。
【0084】図15のタイミングチャートにおいては、
駆動モードにはインク滴吐出とインク滴非吐出の2種類
の駆動モードの例が示されている。図15(a)のイン
ク滴吐出の駆動モードでは、主電極10及び第1の補助
電極101と振動板(共通電極)51との間の充放電に
よる2回のインクの吐出動作と、第1の補助電極101
と振動板(共通電極)51との間の充放電による、2回
目の吐出インクの分離動作の連続した動作とによりイン
ク滴が形成されて吐出されて、1つの画素が印刷面に印
刷される(図11、図14参照)。なお、この例におい
ては、1画素を2個のインク滴により生成するものとし
ており、そして、2回目のインク吐出のタイミング(1
回目のインク液の吐出動作から2回目のインク液の吐出
動作までの時間)を、補助電極に101による分離動作
のタイミング(2回目のインク液の吐出動作から分離動
作までの時間)と同一にしている。このため、1回目に
吐出されたインク柱の後端は、2回目に吐出される際の
動作により、第1の補助電極101による場合と同様に
切られてインク滴が分離される。このことは後述の実施
形態においても同様である。
【0085】また、図15(b)のインク滴非吐出の駆
動モードにおいては、主電極10、第1の補助電極10
1及び振動板(共通電極)51を同電位にしたインク非
吐出モードと、インク滴を吐出しない状態で、第1の補
助電極101と振動板(共通電極)51との間の充放電
によりメニスカスの振動のみを行うメニスカス振動とが
ある(図11参照)。このメニスカス振動では、画素は
印刷面に印刷されない。しかし、第1の補助電極101
の電位が反転されるため、第1の補助電極101と振動
板(共通電極)51の電荷の蓄積を防止することにな
る。また、非吐出によって粘度が増加したインクノズル
11のインクをメニスカスの振動によりインク室5へ拡
散し、非吐出による次の吐出不良を防止する。インク滴
非吐出の駆動モードをこのような駆動パターンで構成す
ることにより、第1の補助電極101と振動板(共通電
極)51の電荷のリフレッシュとインクノズル11のイ
ンクのリフレッシュを行うことができる。図15に示さ
れる駆動モードを採用することにより、簡単な回路構成
にて、インクジェットヘッドの制御が可能となる。
【0086】以上のように本実施形態においては、対向
電極を主電極10及び第1の補助電極101から構成
し、主電極10と振動板(共通電極)51とで構成され
る回路の時定数τ1と、第1の補助電極101と振動板
(共通電極)51とで構成される回路の時定数τ2とが
小さく、その差Δτも小さくなるように構成したので、
上記のインク滴吐出の駆動モードのように、主電極10
を駆動してインク滴を吐出した後所定時間に、第1の補
助電極101を駆動してインク柱の後端を切って余剰イ
ンク(サテライト)の生成を防止しようとしたときに
は、両電極10,101による動作時間の差異が小さい
から、その制御のタイミングが容易に得られ、高精度な
印字制御が可能になっている。
【0087】実施形態4.図16は本発明の実施形態3
に係るインクジェットヘッドの内のガラス基板の平面図
であり、図17は同じくインクジェットヘッドの部分断
面図である。
【0088】本実施形態のインクジェッドヘッド1は、
上述の図6〜図8のインクジェットヘッドとその基本構
成は同じであるが、主電極10と振動板51との間隙G
と第1の補助電極101と振動板51との間隙G2とが
異なるように構成されている。このような構成を実現す
るために、ガラス基板4の凹部9を異なった深さで浅く
エッチングし、特に、第1の補助電極101が配置され
る箇所92のエッチングを浅くしている。
【0089】図18はインクジェットヘッド1の部分断
面図(後述の図21のインク吐出1参照)である。図1
8は主電極10と振動板51との間に駆動電圧を印加し
たときの振動板51とメニスカスの動作を示している。
このように構成したインクジェットヘッド1において
は、電圧制御回路部21からの駆動電圧が主電極10と
振動板(共通電極)51との間に印加されると、上述の
実施形態2の場合と同様に、両電極10,51間に充電
された電荷によるクーロン力が発生し、振動板51は主
電極10の側へ撓み、インク室5の容積が拡大する。次
に、電圧制御回路部21からの駆動電圧を解除して両電
極10,51間の電荷を放電すると、振動板51はその
弾性復帰力によって復帰し、インク室5の容積が急激に
収縮する。この時に発生するインク圧力により、インク
室5を満たすインクの一部が、このインク室に連通して
いるインクノズル11からインクがインク柱となって吐
出する。吐出後、インクは自らの表面張力によりインク
液滴を形成し印刷面へ着弾する。
【0090】図19はインクジェットヘッド1の部分断
面図(後述の図21のメニスカス振動参照)である。図
19は第1の補助電極101と振動板51の間に駆動電
圧を印加した時の振動板51とメニスカスの動作を示し
ている。第1の補助電極101と振動板(共通電極)5
1との間に電圧制御回路部21からの駆動電圧が両電極
101,51間に印加されると、両電極101,51間
に充電された電荷によるクーロン力が発生し、振動板5
1は第1の補助電極101の側へ撓み、インク室5の容
積が拡大すると共に、インクノズル11部のインクと空
気の境目であるメニスカスはインクノズル11のインク
室5側に引き込まれる。次に、電圧制御回路部21から
の駆動電圧を解除して両電極101,51間の電荷を放
電すると、振動板51はその弾性復帰力によって復帰
し、インク室5の容積が急激に収縮する。この時に発生
するインク圧力は前述の主電極10の充放電により発生
した圧力より小さいため、インク滴を吐出するには至ら
ず、メニスカスはインク室5に引き込まれた後、振動し
て減衰し復元する。
【0091】主電極10と振動板51との間の充放電に
よりインクを吐出させる主たる動作に続いて、第1の補
助電極101と振動板51との間の充放電を行うと、メ
ニスカスをインク室5に引き込む補助的な動作が行なわ
れる。これらの主たる動作と補助的な動作により、上述
の実施形態3の場合と同様に、主たる動作によってイン
クノズル11から吐出するインク柱を補助的な動作によ
り確実に分離し、インク滴の形成を安定的に行うことが
できる。これにより、不要なインク滴の形成や、インク
滴の飛び散りをなくすことが可能となる。
【0092】さらに、隙間G2が隙間Gより狭く設定し
てあるので、主たる動作の駆動電圧と同等の駆動電圧を
補助的な動作の際にも印加すると、主たる動作の際に発
生するクーロン力に比べて、補助的な動作の際に発生す
るクーロン力は大きく、補助的な動作の振動板51の撓
む速度は主たる動作に対して早くなる。これにより、イ
ンクノズル11内のメニスカスをインク室5に引き込む
動作を早めることができ、吐出したインク柱を補助的な
動作で更に確実に分離し、インク滴の形成を安定的に行
うことが可能となる。また、補助的な動作により振動板
51の撓む速度を、主たる動作の振動板51の撓む速度
と同程度にしたい場合は、第1の補助電極101へ印加
する駆動電圧を下げることが可能であり(後述の図21
及び図23の例では駆動パルスの電圧値を小さくしてい
る)、低消費電力化が可能となる。これらの作用により
ノズル面への不要なインク液滴の付着による吐出不良と
それによる印刷装置の汚れや印刷不良を無くすことがで
きる。
【0093】なお、インク吐出の主たる動作とそれに続
くインク液滴を分離させる補助的動作は、所定の時間の
間隔をもって行われるが、その時間については既に説明
したとおりであるから省略する。このことは後述の実施
形態においても同様である。
【0094】図20は本実施形態のインクジェットヘッ
ド1の部分断面図(後述の図21のインク吐出2参照)
である。図20は主電極10及び第1の補助電極101
の両方の対向電極と振動板51との間に駆動電圧を印加
した時の振動板51の動作を示している。主電極10及
び第1の補助電極101の両方の対向電極と振動板(共
通電極)51との間に電圧制御回路部21からの駆動電
圧が印加されると、両電極10,101、51間に充電
された電荷によるクーロン力が発生し、前述の図19に
示すとおりクーロン力の大きい第1の補助電極101側
の振動板51から撓み始め、次いで、図20に示すとお
り主電極10側の振動板51が撓み、インク室5の容積
が拡大する。主電極10側の振動板51が撓む前に第1
の補助電極101側の振動板51が予め撓んでいるた
め、図18に示した前述の主電極10のみを駆動した場
合に比べて、主電極10側の振動板51の撓み始めるタ
イミングが早くなり、すなわち振動板51の撓む速度が
速くなると共に、振動板51全体が撓むことにより、イ
ンク室5の容積は最も拡大する。
【0095】次に、電圧制御回路部21からの駆動電圧
を解除して両電極10,101、51間の電荷を放電す
ると、振動板51全体はその弾性復帰力によって復帰
し、インク室5の容積が急激に収縮する。この時に発生
するインク圧力により、インク室5を満たすインクの一
部が、このインク室5に連通しているインクノズル11
からインク滴として吐出する。このときのインク圧力は
最も大きな圧力を発生することが可能となるため、主電
極10のみにて振動板51を駆動してインク滴を吐出す
る場合に比べてその量が多いインク滴を吐出することが
できる。
【0096】ところで、本実施形態はG>G2に設定さ
れているが、G2>Gの構成を採用することができる。
その場合には、通常のインク吐出時は主電極10のみを
駆動し、大きなインク吐出量が必要な場合には第1の補
助電極101を主電極10とを同時に駆動するような制
御をする。
【0097】図20に示した方法によりインクの吐出を
行う場合でも、これを主たる動作として前述した補助的
な動作を続いて行えば、前述したインクノズル11から
吐出するインク柱を分離して安定的にインク滴を形成す
る作用とその効果は同等である。さらに、この場合に
は、先の図18にて説明した動作にて吐出するインク滴
より多い量のインク滴を形成することが可能であり、イ
ンク滴の量を駆動パターンにより変えることが可能とな
る。この結果、形成されるドットの大きさを駆動パター
ンにより変えて印刷結果の濃さを変えたり、表現力が豊
かな印刷を行うことが可能となる。また、振動板51の
撓む速度が速くなることにより、同程度のインク滴吐出
量を得るためには、駆動電圧を下げることが可能で、低
消費電力化にも繋がる。
【0098】図21は本実施形態のインクジェットヘッ
ドの駆動パルスの例を示したタイミングチャートであ
る。この駆動パルスは上述の図12の電圧制御回路部2
1により生成される。この駆動パルスは上述の実施形態
と同様にして生成されるが、ここではメニスカス振動を
させるときの第1の補助電極101の駆動電圧を大きさ
を若干小さくしている。
【0099】図21のタイミングチャートにおいて、イ
ンクジェットヘッド1の駆動方法を大別して4つの駆動
パターンに分けて示している。図21(a)のインク吐
出の駆動パターンでは、主電極10と振動板(共通電
極)51との間の充放電により駆動してインク滴を吐出
している(図18参照)。図示の波形ではインク滴の吐
出動作が2回なされる。図21(b)のインク吐出2の
駆動パターンでは、主電極10及び第1の補助電極10
1と振動板(共通電極)51との間の充放電を同時に行
って、振動板51の全面を撓まして駆動する(図20参
照)。図示の波形ではインク滴の吐出動作が2回なされ
る。
【0100】図21(c)のメニスカス振動の駆動パタ
ーンは、インク滴を吐出しないで、インクノズル11の
メニスカスを振動させるパターンであり、第1の補助電
極101と振動板(共通電極)51との間の充放電によ
り駆動するものである(図19参照)。図中の波形によ
りメニスカスは2回振動する。図21(d)の非駆動の
駆動パターンでは、振動板(共通電極)51、主電極1
0及び第1の補助電極101が常に同電位となるように
それぞれ通電されている(図17の状態参照)。この時
は、インク滴の吐出及びメニスカスの振動は行われな
い。
【0101】図22は駆動モードとそれらに対するイン
クの動作を示したタイミングチャートである。これら
は、図21の駆動パターンが組み合わされた例である。
ここで、駆動モードはインク吐出とインク非吐出の2種
類の駆動モードの例が示されている。図22(a)のイ
ンク吐出の駆動モードでは、2回のインク吐出動作と、
2回目のインク吐出後の吐出インク柱の分離動作の連続
した動作によりインク液滴が形成されて吐出し、1つの
画素が印刷面に印刷される。
【0102】また、図22(b)インク非吐出の駆動モ
ードでは、第1の補助電極101のみを駆動して、イン
ク滴を吐出すること無しにメニスカス振動のみを行わせ
ている。このとき、画素は印刷面に印刷されない。しか
し、第1の補助電極101の電位が反転されるため、第
1の補助電極101と振動板(共通電極)51との間の
電荷の蓄積を防止することになる。また、長時間インク
吐出が無い事による、粘度が増加したインクをメニスカ
ス振動によりインク室5へ拡散し、インク吐出の際の吐
出不良を防止することもできる。インク非吐出の駆動モ
ードをこのような駆動パターンで構成することにより、
第1の補助電極101と振動板(共通電極)51との間
の電荷のリフレッシュとインクノズル11内のインクの
リフレッシュを行うことができる。
【0103】ところで、第1の補助電極101を駆動さ
せる駆動パルスを放電時間がより長くなるように設定し
て、主電極10を駆動させる駆動パルスの波形と異なら
せれば、メニスカス引き込み後のメニスカスの振動を速
やかに減衰させてメニスカスを待機位置に復元させ、次
の主電極駆動に備えることが可能となり、インクジェッ
トヘッドを高い駆動周波数で駆動させることを可能とす
る更なる効果を有することになる。この点について図2
3及び図24に基づいて更に詳細に説明する。
【0104】本発明の他のインクジェットヘッドの駆動
方法を図23及び図24に基づいて説明する。図23は
第1の補助電極101と振動板(共通電極)51との間
に印加される電圧波形の例を示している。図24はイン
クジェットヘッド1の部分断面図である。図23(A)
は既出の電圧波形を示し、この電圧波形では主電極10
側の振動板51と第1の補助電極101側の振動板51
とは略同時に放電して振動板51は復帰動作をする。図
23(B)、(C)における電圧波形を第1の補助電極
101に適用すると、図中の時間帯215、216で
は、図24に示されるように、第1の補助電極101側
の振動板51が当接状態のまま、主電極10側の振動板
51は復帰動作するため、メニスカス引き込み後のメニ
スカス振動を速やかに減衰させてメニスカスを待機位置
に復元させ、次の主電極10の駆動に備えることが可能
となり、インクジェットヘッド1を高い駆動周波数で駆
動させることができる。このことは、上述の実施形態
2,3及び後述の実施形態5においても同様に適用され
る。
【0105】なお、本実施形態においては、主電極10
と振動板(共通電極)51との間隙Gと、補助電極10
と振動板(共通電極)51との間隙G2とを異ならせて
いるが、主電極10に係る回路の時定数と第1の補助電
極101に係る回路の時定数との差は、本発明における
差Δτの範囲内になるように設定されている。
【0106】実施形態5.図25は本発明の実施形態5
に係るインクジェットヘッドの内のガラス基板の平面図
であり、図26はその部分断面図である。本実施形態に
おいては、対向電極が、主電極10及び第1の補助電極
101の他に、第3の電極としての第2の補助電極10
2が形成されている。この第2の補助電極102の端子
部102a及びリード部102bは、第1の補助電極1
01と同様に、クロムの薄膜105及び金の薄膜106
を積層した構成となっており、対向電極部102cはI
TOの薄膜107から構成されている。そして、この第
2の補助電極102と振動板(共通電極)51とから構
成される回路の時定数τ3と、主電極10と振動板(共
通電極)51とから構成される回路の時定数τ1と、第
1の補助電極101と振動板(共通電極)51とから構
成される回路の時定数τ2とはそれぞれ小さく、その差
Δτも小さな値になるように構成されている。
【0107】図27はインクジェットヘッドの部分断面
図(後述の図31のメニスカス振動参照)である。ここ
では、第1の補助電極101と振動板(共通電極)51
との間に駆動電圧を印加して、両電極101,51間の
充放電により第1の補助電極101に対応した振動板5
1に振動を与えることによりインクノズル11のメニス
カスを振動させる。
【0108】図28はインクジェットヘッドの部分断面
図(後述の図31のインク吐出1参照)である。ここで
は、主電極10、第1の補助電極101及び第2の補助
電極102が全体として1つの対向電極として機能する
ように、主電極10、第1の補助電極101及び第2の
補助電極102と振動板(共通電極)51との間に同時
に駆動電圧を印加して、両電極10,101,102、
51間の充放電により振動板51の全面を撓ませて振動
板51の変位容量が最大になるようにして、インク吐出
量が最大になるようにしている。
【0109】図29はインクジェットヘッドの部分断面
図(後述の図31インク吐出2参照)である。ここで
は、主電極10及び第2の補助電極102が全体として
1つの対向電極として機能するように、主電極10及び
第2の補助電極102と振動板(共通電極)51との間
に駆動電圧を同時に印加して、両電極10,102、5
1間の充放電により、主電極10及び第2の補助電極1
02に対応した振動板51を撓ませて振動板51の変位
容量が中程度になるようにして、インク吐出量が中程度
になるようにしている。
【0110】図30はインクジェットヘッドの部分断面
図(後述の図31インク吐出3参照)である。ここで
は、主電極10のみが対向電極として機能するように、
主電極10と振動板(共通電極)51との間に駆動電圧
を印加して、両電極10、51間の充放電により、主電
極10に対応した振動板51を撓まして振動板51によ
る変位容量が最小になるようにして、インク吐出量が最
小になるようにしている。
【0111】図31は本実施形態に係るインクジェット
ヘッドの駆動パルスの例を示したタイミングチャートで
ある。ここでは、その駆動方法を大別して5つの駆動パ
ターンに分けている。図31(a)のメニスカス振動の
駆動パターンでは、第1の補助電極101と振動板(共
通電極)51電極との間に駆動パルスを印加して、第1
の補助電極101に対応した振動板51に振動を与え
て、メニスカスを振動させる(図27参照)。
【0112】図31(b)のインク吐出1では、主電極
10、第1の補助電極101及び第2の補助電極102
が全体として1つの対向電極として機能するように、各
電極10,101,102に駆動パルスを同時に印加す
ることで、振動板51による変位容量が最大になるよう
にして、インク吐出量が最大になるようにしている(図
28参照)。
【0113】図31(c)のインク吐出2では、主電極
10及び第2の補助電極102がインク吐出時に1つの
電極の対向電極して機能するように、各電極10,10
2に駆動パルスを同時に印加することで、振動板51に
よる変位容量が中程度になるようにして、インク吐出量
が中程度になるようにしている(図29参照)。
【0114】図31(d)のインク吐出3では、主電極
10だけがインク吐出時に対向電極として機能するよう
に、主電極10に駆動パルスを印加することで、振動板
51による変位容量が最少になるようにして、インク吐
出量が最少になるようにしている。
【0115】図31(e)の非駆動では、主電極10、
第1の補助電極101及び第2の主電極102及び振動
板(共通電極)51が同一の電位となるように駆動パル
スを印加することで、振動板51が変位しないようにし
て、非駆動状態を得ている。
【0116】図32は駆動モードの例を示したタイミン
グチャートである。これらは、図31の駆動パターンが
組み合わされた例である。ここでは特に、図15に示さ
れた実施形態と同様にインク柱の尾部(後端)を切るよ
うにした場合の駆動パルスの波形が示されている。
【0117】図32(a)の駆動モード1(インク吐出
量多)では、図289に示されるようにインクジェット
ヘッドの主電極10、第1の補助電極101及び第2の
補助電極102とが1つの対向電極として機能するよう
に、これらの主電極10、第1の補助電極101及び第
2の補助電極102を同時に駆動して振動板51の全面
を撓ませてその変位容量が最大になるようにしてインク
滴を吐出し、その所定時間後に、振動板51を駆動して
第1の補助電極101に対応した振動板51を撓ませて
インク柱の後端を切っている。
【0118】図32(b)のは駆動モード2(インク吐
出量少)では、図28に示されるようにインクジェット
ヘッドの主電極10、第1の第1の補助電極101及び
第2の補助電極102を駆動して、主電極10、第1の
補助電極101及び第2の補助電極102に対応した振
動板51の全面を変位させてインク滴を吐した後(この
例では2回吐出後に)に、所定時間後に、第1の補助電
極101及び第2の補助電極102を駆動して第1の補
助電極101及び第2の補助電極102に対応した振動
板51の部分を撓ませてインク柱を切っている。この場
合、インク吐出動作を行う時の振動板51の変位容量は
前述の駆動モード1と同じである。しかし、インク柱の
後端を切る際の振動板51の変位容量は前述の駆動モー
ド1よりも大きくなり、切られるインク柱の容量が多く
なる。結果として駆動モード2によるインク滴の重量
(インク吐出量)は駆動モード1に比較すると少なくな
る。
【0119】図32(c)の非駆動時(インク非吐出)
の場合では、主電極10、第1の補助電極101、第2
の主電極102及び振動板(共通電極)51が同一の電
位となるようにして非駆動状態を得ている。
【0120】以上のように本実施形態においては、対向
電極に第2の補助電極を形成し、主電極10と振動板
(共通電極)51とから構成される回路の時定数τ1
と、第1の補助電極101と振動板(共通電極)51と
から構成される回路の時定数τ2と、第2の補助電極1
02と振動板(共通電極)51とから構成される回路の
時定数τ3とをそれぞれ小さくし、その差Δτが小さく
なるようにしてあることから、各電極10,101,1
02による充電とそれによる動作の時間遅れが解消され
ており、各電極を適宜組み合わせて制御するときにその
制御タイミング容易に得られ、振動板の安定的な制御が
可能になっている。このため、インクジェヘッドの余剰
インク滴の発生を効果的に防止し、プリンタの信頼性の
確保が可能になっている。
【0121】また、対向電極として主電極10及び第1
の補助電極101の他に第2の補助電極102を設けた
ことにより、インク吐出量を更に多段階に制御できるよ
うになっており、多段階の印刷濃度調整が容易に可能に
なっている。このため、印刷する媒体(シート/紙/再
生紙)や印刷モード(バーコード/文字/グラフィック
/写真/インクセーブ)に合わせた印刷を行うことが可
能になっており、印刷品位を容易に向上させることが可
能になっている。
【0122】なお、上述の実施形態においては、補助電
極を2個の補助電極101,102で構成した例につい
て説明したが、更に多数の補助電極から構成しても良
い。その場合にはより多段階の印刷濃度調整が容易に可
能になる。
【0123】実施形態5.ところで、本発明のインクジ
ェットヘッドは、対向電極と振動板(共通電極)との間
の充放電にて駆動される構成としているので、インクジ
ェットヘッドの駆動にて消費される電力はごく僅かであ
り、多ノズルにてインクジェットヘッドを構成した場合
でも、ヘッド全体で消費する電力は僅かであり、低消費
電力が実現できるといった更なる効果を有する。
【0124】例えば、インクジェットヘッドを構成する
ノズル数が1000ノズルとなる場合には、1000の
ノズルを列状に配置し、インクノズルと同数のインク室
もまた同様に1列にそれぞれ区画形成する。前述の補助
電極もまた、同数を同様に1列に配置する。このように
構成することにより、ライン状のインクジェットヘッド
を得ることが可能となる。但し、その場合には時定数τ
を小さくするために、図2又は図4に示されるように補
助電極を分割する必要がある。本発明によれば、このよ
うなライン状のインクジェットヘッドを構成した場合で
も、補助電極を複数の振動板に共通して設けることで、
補助電極を駆動するための配線数は少なくて済み、前述
の実施形態にて示した効果に加えて、更に、低消費電力
で、小型のライン状のインクジェットヘッドを実現する
ことができる。
【0125】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、対向電極
はそれぞれ独立して振動板との間で充放電可能な主電極
と補助電極とから構成されており、そして、各電極と振
動板(共通電極)とで構成される各回路の時定数は、イ
ンク流路の固有振動周期に対して十分小さくしたので、
各回路の時定数の差も小さなものとなり、適切な制御タ
イミングが容易に得られ、主電極による動作と補助電極
による動作とが適切なものとなり、高精度な印字制御が
可能になっている。
【0126】また、本発明によれば、各電極と共通電極
とで構成される各回路の時定数がインク流路の固有振動
周期に対して1/25以下に規定されており、このた
め、両電極による時定数の差も確実に所定の範囲に収ま
り、主電極による動作と補助電極による動作とが適切な
ものとなり、高精度な印字制御が可能になっている。
【0127】また、本発明によれば、各電極と振動板
(共通電極)とで構成される各回路の時定数の差がイン
ク流路の固有振動周期に対して十分小さくなるように規
定したので、主電極による動作と補助電極による動作と
が適切なものとなり、高精度な印字制御が可能になって
いる。
【0128】また、本発明によれば、各電極と共通電極
とで構成される回路の各時定数の差がインク流路の固有
振動周期の1/75以下になるように規定したので、主
電極による動作と補助電極による動作とが適切なものと
なり、高精度な印字制御が可能になっている。
【0129】また、本発明によれば、各電極と振動板
(共通電極)とで構成される各回路の時定数が最適駆動
パルス幅に対して1/10以下になるように規定したの
で、両電極による時定数の差も確実に所定の範囲に収ま
り、主電極による動作と補助電極による動作とが適切な
ものとなり、高精度な印字制御が可能になっている。
【0130】また、本発明によれば、各電極と振動板共
通電極とで構成される各回路の時定数の差が最適駆動パ
ルス幅に対して1/30以下となるように規定したの
で、主電極による動作と補助電極による動作とが適切な
ものとなり、高精度な印字制御が可能になっている。
【0131】また、本発明によれば、各電極と振動板
(共通電極)とで構成される各回路の時定数の差が0.
4μsec以下になるように規定したので、時定数の差
が十分小さく、主電極による動作と補助電極による動作
とが適切なものとなり、高精度な印字制御が可能になっ
ている。
【0132】また、本発明によれば、各主電極は振動板
に対応してそれぞれ設けられ、補助電極はインクノズル
側に所定数の振動板に共通して対向するように設けら
れ、所定数の主電極と前記補助電極とをユニットとし、
ユニットを並列配置したので、補助電極を並列に分割さ
れてその容量が小さくなるようにしており、主電極に係
る回路の時定数と補助電極に係る回路の時定数との差が
上記の条件を満たすことが可能になっている。
【0133】また、本発明によれば、主電極は振動板に
対応してそれぞれ設けられ、補助電極は、インクノズル
側に振動板に共通して対向するように設けられた第1の
補助電極と、主電極と第1の補助電極との間に振動板に
共通して設けられた1又は複数の第2の補助電極とを備
え、補助電極を直列に分割してその容量を小さくしたの
で、主電極に係る回路の時定数と補助電極に係る回路の
時定数との差も小さくなる。
【0134】また、本発明によれば、主電極は振動板に
対応してそれぞれ設けられ、補助電極は、インクノズル
側に所定数の振動板に共通して対向するように設けられ
た第1の補助電極と、主電極と第1の補助電極との間に
所定数の振動板に共通して設けられた1又は複数の第2
の補助電極とを備え、主電極及び補助電極をユニットと
しユニットを並列配置したので、補助電極が直列に分割
されてその容量が小さくなり、主電極に係る回路の時定
数と補助電極に係る回路の時定数の差もまた小さくな
る。
【0135】また、本発明によれば、前記のユニットが
隣接する2組のユニットがその境界線を基準として対称
となるように配置されたので、2組のユニットの主電極
に補助電極が介在しない。このため、製造の際には同一
ピッチの主電極のパターン群を生成すれば良いので製造
が容易なものとなる。
【0136】また、本発明によれば、補助電極のリード
部、又は主電極及び補助電極のリード部は金属から構成
されるので、補助電極に係る回路の時定数、又は主電極
及び補助電極の双方の回路の時定数を小さくすることが
できる。
【0137】また、本発明によれば、金属は、クロム若
しくはチタンの上に形成された金、又はアルミニウムか
ら構成されるので、基板に安定して取り付けられ剥がれ
るおそれがなく長期間の使用に耐えられる。
【0138】また、本発明によれば、主電極及び補助電
極振動板と対向する部分がITOから構成されるので、
上記の効果に加えて、絶縁破壊や振動板との貼り付きが
生じにくくなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の対向電極(その1)の平
面図である。
【図2】本発明の実施形態1の対向電極(その2)の平
面図ある。
【図3】本発明の実施形態1の対向電極(その3)の平
面図である。
【図4】本発明の実施形態1の対向電極(その4)の平
面図である。
【図5】本発明の実施形態1の対向電極(その5)の平
面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るインクジェットの分
解斜視図である。
【図7】図6の実施形態2に係るインクジェットヘッド
のガラス基板の平面図及びそのB−B断面図である。
【図8】上記の実施形態2に係るインクジェットヘッド
の部分断面図である。
【図9】上記の実施形態2に係るインクジェットヘッド
の部分断面図(インク吐出1)である。
【図10】上記の実施形態2に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(メニスカス振動)である。
【図11】上記の実施形態2に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(インク吐出2)である。
【図12】図8の電圧印加手段の詳細を示したブロック
図である。
【図13】上記の実施形態2に係るインクジェットヘッ
ドに印加される駆動パルスの例を示すタイミングチャー
トである。
【図14】本発明の実施形態3に係るインクジェットヘ
ッドの部分断面図である。
【図15】上記の実施形態3に係るインクジェットヘッ
ドの駆動モードの例を示したタイミングチャートであ
る。
【図16】本発明の実施形態4に係るインクジェットヘ
ッドのガラス基板の平面図である。
【図17】上記の実施形態4に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図である。
【図18】上記の実施形態4に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(インク吐出1)である。
【図19】上記の実施形態4に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(メニスカス振動)である。
【図20】上記の実施形態4に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(インク吐出2)である。
【図21】上記の実施形態4に係るインクジェットヘッ
ドの駆動パルスの例を示したタイミングチャートであ
る。
【図22】上記の実施形態4に係るインクジェットヘッ
ドの駆動モードの例を示したタイミングチャートであ
る。
【図23】上記の実施形態4に係るインクジェットヘッ
ドの駆動パルスの他の例を示したタイミングチャートで
ある。
【図24】図23の駆動パルスが印加されたときのイン
クジェットヘッドの動作を示したインクジェットヘッド
の部分断面図である。
【図25】本発明の実施形態5に係るインクジェットヘ
ッドのガラス基板の平面図である。
【図26】上記の実施形態5に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図である。
【図27】上記の実施形態5に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(メニスカス振動)である。
【図28】上記の実施形態5に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(インク吐出1)である。
【図29】上記の実施形態5に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(インク吐出2)である。
【図30】上記の実施形態5に係るインクジェットヘッ
ドの部分断面図(インク吐出3)である。
【図31】上記の実施形態5に係るインクジェットヘッ
ドの駆動パルスの波形を示したタイミングチャートであ
る。
【図32】上記の実施形態5に係るインクジェットヘッ
ドの駆動モードの例を示したタイミングチャートであ
る。
【図33】先に提案されているインクジェットヘッド対
向電極の平面図である。
【図34】図33の対向電極の充電割合(時定数)を示
した特性図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 シリコン基板 3 ノズルプレート 4 ガラス基板 5 インク室 6 共通インク室 7 インク供給路 9 凹部 10 主電極 11 インクノズル 12 インク供給ロ 21 電圧印加手段 22 共通電極端子 51 振動板(インク室の底壁/共通電極) 101 第1の補助電極 102 第2の補助電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松野 靖史 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF28 AF39 AG54 AG93 AG99 AL25 AM15 AM21 BA03 BA15

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出する複数のインクノズル
    と、このインクノズルの各々に連通している複数のイン
    ク室と、この各インク室にインクを供給するインク供給
    路と、前記インク室を形成している周壁に形成され、弾
    性変位可能な振動板と、前記振動板に対して隙間を設け
    て配置された対向電極とを備え、前記振動板を共通電極
    として構成し、前記対向電極と前記振動板との間で充放
    電を行うことにより、前記インクノズルからインク滴を
    吐出させるインクジェットヘッドにおいて、 前記対向電極は、印字パターンに応じて選択的に充放電
    される主電極と、他の前記振動板に対向して形成されて
    いる電極と電気的に接続している補助電極とから構成さ
    れ、そして、前記各電極と前記共通電極とで構成される
    各回路の時定数は、インク流路の固有振動周期に対して
    十分小さいことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記各電極と前記共通電極とで構成され
    る各回路の時定数は、インク流路の固有振動周期に対し
    て1/25以下であることを特徴とするインクジェット
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記各電極と前記共通電極とで構成され
    る各回路の時定数の差は、インク流路の固有振動周期に
    対して十分小さいことを特徴とする請求項1又は2記載
    のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 前記各電極と前記共通電極とで構成され
    る回路の各時定数の差は、インク流路の固有振動周期の
    1/75以下であることを特徴とする請求項1〜3の何
    れかに記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 インクを吐出する複数のインクノズル
    と、このインクノズルの各々に連通している複数のイン
    ク室と、この各インク室にインクを供給するインク供給
    路と、前記インク室を形成している周壁に形成され、弾
    性変位可能な振動板と、前記振動板に対して隙間を設け
    て配置された対向電極とを備え、前記振動板を共通電極
    として構成し、前記対向電極と前記振動板との間で充放
    電を行うことにより、前記インクノズルからインク滴を
    吐出させるインクジェットヘッドにおいて、 前記対向電極は、印字パターンに応じて選択的に充放電
    される主電極と、他の前記振動板に対向して形成されて
    いる電極と電気的に接続している補助電極とから構成さ
    れ、そして、前記各電極と前記共通電極とで構成される
    各回路の時定数は、最適駆動パルス幅に対して1/10
    以下であることを特徴とするインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記各電極と前記共通電極とで構成され
    る各回路の時定数の差は、最適駆動パルス幅に対して1
    /30以下であることを特徴とする請求項5記載のイン
    クジェットヘッド。インク。
  7. 【請求項7】 前記各電極と前記共通電極とで構成され
    る各回路の時定数の差は、0.4μsec以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジ
    ェットヘッド。
  8. 【請求項8】 前記主電極は振動板に対応してそれぞれ
    設けられ、前記補助電極は前記インクノズル側に所定数
    の振動板に共通して対向するように設けられ、所定数の
    主電極と前記補助電極とをユニットとし、該ユニットを
    並列配置したことを特徴とする請求項1〜7の何れかに
    記載のインクジェットヘッド。
  9. 【請求項9】 前記主電極は振動板に対応してそれぞれ
    設けられ、前記補助電極は、インクノズル側に前記振動
    板に共通して対向するように設けられた第1の補助電極
    と、前記主電極と前記第1の補助電極との間に前記振動
    板に共通して設けられた1又は複数の第2の補助電極と
    を備えたことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載
    のインクジェットヘッド。
  10. 【請求項10】 前記主電極は振動板に対応してそれぞ
    れ設けられ、前記補助電極は、インクノズル側に所定数
    の振動板に共通して対向するように設けられた第1の補
    助電極と、前記主電極と前記第1の補助電極との間に所
    定数の前記振動板に共通して設けられた1又は複数の第
    2の補助電極とを備え、前記主電極及び前記補助電極を
    ユニットとし、該ユニットを並列配置したことを特徴と
    する請求項1〜7の何れかに記載のインクジェットヘッ
    ド。
  11. 【請求項11】 前記ユニットは、隣接する2組のユニ
    ットがその境界線を基準として対称となるように配置さ
    れることを特徴とする請求項8又は9記載のインクジェ
    ットヘッド。
  12. 【請求項12】 少なくとも前記補助電極のリード部は
    金属から構成されることを特徴とする請求項1〜11記
    載のインクジェットヘッド。
  13. 【請求項13】 前記主電極及び前記補助電極のリード
    部は金属から構成されることを特徴とする請求項1〜1
    1記載のインクジェットヘッド。
  14. 【請求項14】 前記金属は、クロム又はチタンの上に
    形成された金から構成されることを特徴とする請求項1
    1又は12記載のインクジェットヘッド。
  15. 【請求項15】 前記金属は、アルミニウムであること
    を特徴とする請求項12又は13記載のインクジェット
    ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記主電極及び前記補助電極におい
    て、前記振動板と対向する部分がITOから構成される
    ことを特徴とする請求項12〜15の何れかに記載のイ
    ンクジェットヘッド。
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