JP2000334942A - インクジェットヘッド及びその駆動方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその駆動方法

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JP2000334942A
JP2000334942A JP15226199A JP15226199A JP2000334942A JP 2000334942 A JP2000334942 A JP 2000334942A JP 15226199 A JP15226199 A JP 15226199A JP 15226199 A JP15226199 A JP 15226199A JP 2000334942 A JP2000334942 A JP 2000334942A
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electrode
diaphragm
gap
counter electrode
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Hiroyuki Ishikawa
博之 石川
Masahiro Fujii
正寛 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動板と対向壁の間に電圧を印加して、クー
ロン力で振動板を対向壁の側に撓めてインク液滴の吐出
を行う形式のインクジェットヘッドにおいて、長時間連
続印字あるいは、印字休止後の印字において、インク不
吐出や異常吐出による印刷の不具合を生じさせない。 【解決手段】 対向電極を第一の対向電極と第二の対向
電極に分割し、さらに対向する振動板との隙間を異なら
せ、インク液滴吐出後、第二の対向電極と振動板間の補
助的な充放電により振動板の一部を対向壁に当接させる
こと、及び、インク液滴の吐出に先だって、同様に振動
板の一部を対向壁に部分的に当接させることの実施によ
り、インク液滴吐出後の不要なインク液滴の吐出と、イ
ンクノズルにおけるインクの粘度増加を防止し、インク
不吐出や異常吐出を無くし、安定的に印字を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録を必要とする
時にのみインク液滴を吐出して記録紙上に付着させるイ
ンクジェットヘッドとその駆動方法に関する。さらに詳
しくは、本発明はインクジェットヘッドのインク液滴の
吐出と分離を安定的に行なうこと、及びインクジェット
ヘッドのインクノズル内で増粘または膜化したインクを
拡散する動作をインク吐出動作に先立って適切に行なう
ことの可能なインクジェットヘッドとその駆動方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般にインクジェットヘッドは、インク
を加圧してインク液滴を吐出するための圧力発生室を備
えており、その一端はインク供給路を経てインクタンク
に連通し、他端にはインク液滴を吐出させるインクノズ
ルが設けられている。そして、圧力発生室の一部を変形
しやすく形成してダイヤフラムとして用い、これを電気
機械変換手段によって弾性変位させることによってイン
クノズルからインク液滴を吐出する圧力を発生させてい
る。
【0003】このようなインクジェットヘッドを用いた
記録装置は低騒音、低消費電力等の優れた特徴を有し、
情報処理装置用の出力装置として広く普及している。
【0004】その反面、インクジェットプリンタに於い
ては、圧力発生室に発生した残留振動により、インクノ
ズル内のメニスカスが不安定な形状でインクノズル外へ
押し出されるため、インク液滴の吐出直後に印字を構成
しない不要なインク液滴の吐出が発生することが課題と
なっていた。印字を構成しない不要なインク液滴は、吐
出速度が遅いため、インク液滴がノズル面に付着し、長
時間印字した場合、ノズル面に付着した不要なインク液
滴がインクノズルを閉塞させ、印刷の際にインク液滴が
吐出しなくなったり、吐出しても本来のインク液滴の大
きさや、速度を満足しなくなる、ドット抜け等の吐出不
良発生につながり、印字信頼性の低下という課題があっ
た。
【0005】さらに、ヘッドを駆動しない状態で長時間
プリンタを放置した場合、ヘッド先端のインクノズルよ
りインクの溶媒である水分等が蒸発し、インクノズル内
のインクの粘度が上昇しノズル目詰まり状態となる。さ
らにまた、インクの粘度が上昇することにより、インク
ノズルに対するインクのリフィル速度が遅くなり、吐出
インク液滴量に対してリフィル量が追いつかず、インク
の中に気泡が混入することでインク液滴が吐出されなく
なる不吐出状態となり、前述と同様に、印字信頼性の低
下につながる。
【0006】従来、前者のノズル面のインク付着が原因
となる吐出不良の発生に対しては、印刷開始前、ないし
は印刷の休止期間中にノズル面をワイパーでこすり(ワ
イピング)、不要なインク液滴のノズル面への付着によ
るノズル面の濡れを防止している。また、インク液滴の
吐出量を増大させ、その飛翔方向を制御する方法とし
て、特開平4−369542号では、インク液滴を吐出
させる第一の電圧とは異なる第二の電圧を電歪部材に印
加して吐出したインク液滴を素早く分離し、不要なイン
ク液滴吐出を減少させる駆動方法が開示されていた。
【0007】後者のインクノズル内のインク目詰まり、
及びインク内の気泡が原因となる吐出不良については、
印刷開始前、ないしは印刷の休止期間中にインク液滴を
数発吐出する動作、いわゆる予備吐出を行っている この予備吐出におけるインクジェットヘッドの駆動方法
として、特開平3−15556号公報に開示されている
技術がある。この方法は、インク液滴の吐出可能な値の
電力を記録手段に印加して記録を行った後に、インク液
滴を吐出しなかった記録手段にインク液滴の吐出可能な
値未満の値の電力を印加することにより、安定した印字
品位の記録を得るものであった。
【0008】又、特開平9−30007号報ではインク
ノズルからインク液滴が吐出しない程度の小パルスを電
歪部材に与えてメニスカスを微振動させ、インクノズル
内でのインクの膜化を防止する方法が提案されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の
技術では、以下の課題が有った。
【0010】ワイピング動作については、ワイピングを
行うためにインクジェットヘッドを印刷領域以外の場所
へ随時移動待避することによる印刷時間が長くなるとい
う課題と、ノズル面のワイピングの繰り返しによるノズ
ル面の撥水膜の劣化という課題があった。
【0011】インク液滴の分離を目的として電歪部材へ
電圧を印加する場合には、電歪部材の特性差により、う
まくインク液滴を分離することが出来ないばかりか、不
要なインク液滴を増大させてしまう場合があり、安定的
なインク液滴の吐出と分離が難しいという課題があっ
た。
【0012】また、予備吐出動作については、印刷に寄
与しない不要インクの消費が著しく多く、インクの寿命
が短いという課題と、予備吐出を行うためにヘッドを印
刷領域以外の場所へ随時移動待避する必要があり印刷時
間が長くなるという課題が有った。
【0013】また、インク液滴を吐出しない程度の小パ
ルス印加の駆動方法については、この方法を静電駆動ア
クチュエータによるインクジェットヘッドに適用する場
合、インクを吐出させずにメニスカスを振動させるため
の駆動条件設定が困難であり、インクが吐出してしまう
か、吐出不良を回避するに十分なメニスカスの振動が得
られない課題と、複数の全てのノズルに対する駆動素子
に駆動信号を与えて駆動する必要があるため、駆動制御
が複雑になる等の課題があった。
【0014】本発明はこのような課題を解決するために
なされたものであり、ノズル面のワイピング動作無し
で、長時間ノズルからインク液滴を吐出する状態、ある
いは、インクノズル不使用により一定時間以上インクノ
ズルからインク液滴を吐出しない状態、が続いてもイン
ク不吐出や異常吐出による印刷の不具合を生じず、安定
的なインクの吐出が可能なインクジェットヘッドとその
駆動方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明のインクジェットヘッドは、インクを吐出
するインクノズルと、このインクノズルに連通している
と共にインクを保持しているインク室と、このインク室
にインクを供給するインク供給路と、前記インク室を区
画形成している周壁に形成され、面外方向に弾性変位可
能となっている振動板とを有し、前記インク室の外側に
おいて前記振動板に対して隙間を置いて対向板を配置
し、該対向板に対向電極を形成し、前記対向電極と前記
振動板間の充放電を行うことにより、前記インクノズル
からインク液滴を吐出させるインクジェットヘッドにお
いて、前記対向電極は第一の対向電極と、第二の対向電
極とからなり、第一の対向電極は前記振動板と隙間Aを
置いて対向し、第二の対向電極は前記振動板と隙間Bを
置いて対向し、さらに、前記隙間Aと前記隙間Bの隙間
量は異なる構成とすることを特徴とする。
【0016】さらに、前記隙間Aは前記隙間Bより大き
い構成とすることを特徴とする。
【0017】さらに、前記第二の対向電極は複数の振動
板間に共通して対向し、複数の振動板との間で充放電を
行うことを特徴とする。
【0018】さらに、前記インクノズルが1000ノズ
ル以上で、前記インク室をライン状に配列して区画形成
したことを特徴とする。
【0019】また、本発明のインクジェットヘッドの駆
動方法は、インクを吐出するインクノズルと、このイン
クノズルに連通していると共にインクを保持しているイ
ンク室と、このインク室にインクを供給するインク供給
路と、前記インク室を区画形成している周壁に形成さ
れ、面外方向に弾性変位可能となっている振動板とを有
し、前記インク室の外側において前記振動板に対して隙
間を置いて対向板を配置し、該対向板に対向電極を形成
し、前記対向電極と前記振動板間の充放電を行うことに
より、前記インクノズルからインク液滴を吐出させるイ
ンクジェットヘッドの駆動方法において、前記対向電極
は第一の対向電極と、第二の対向電極とからなり、第一
の対向電極は前記振動板と隙間Aを置いて対向し、第二
の対向電極は前記振動板と隙間Bを置いて対向し、さら
に、前記隙間Aと前記隙間Bの隙間量は異なる構成と
し、第一の対向電極は前記振動板との間で充放電を行
い、前記インクノズルからインク液滴を吐出させ、第二
の対向電極は前記振動板との間で充放電を行うことによ
り、前記インクノズルから吐出したインク液滴を分離さ
せることを特徴とする。
【0020】また、本発明のインクジェットヘッドの駆
動方法は、インクを吐出するインクノズルと、このイン
クノズルに連通していると共にインクを保持しているイ
ンク室と、このインク室にインクを供給するインク供給
路と、前記インク室を区画形成している周壁に形成さ
れ、面外方向に弾性変位可能となっている振動板とを有
し、前記インク室の外側において前記振動板に対して隙
間を置いて対向板を配置し、該対向板に対向電極を形成
し、前記対向電極と前記振動板間の充放電を行うことに
より、前記インクノズルからインク液滴を吐出させるイ
ンクジェットヘッドの駆動方法において、前記対向電極
は第一の対向電極と、第二の対向電極とからなり、第一
の対向電極は前記振動板と隙間Aを置いて対向し、第二
の対向電極は前記振動板と隙間Bを置いて対向し、さら
に、前記隙間Aと前記隙間Bの隙間量は異なる構成と
し、第一の対向電極は前記振動板との間で充放電を行
い、前記インクノズルからインク液滴を吐出させ、第二
の対向電極は前記振動板との間で充放電を行うことによ
り、前記インクノズル内のインクを振動させることを特
徴とする。
【0021】さらに、前記第二の対向電極は複数の振動
板間に共通して対向し、複数の振動板との間で充放電を
行うことを特徴とする。
【0022】さらに、前記第二の対向電極は前記第一の
対向電極と共に前記振動板との間で充放電を行いインク
液滴を吐出させることを特徴とする。
【0023】さらに、前記第二の対向電極の放電の時間
を前記第一の対向電極の放電時間より長くすることを特
徴とする。
【0024】本発明によれば、第二の対向電極と振動板
の間で補助的な充電を行って振動板を対向壁に部分的に
当接させることにより、インクノズル内のメニスカスを
インク室に引き込むことにより、印刷に寄与するインク
液滴の吐出直後に発生する不要なインク液滴の吐出を防
ぐことと、不要なインク液滴を吐出させることなくイン
クノズルのメニスカスやインク系の振動を生じさせるの
で、メニスカスにおけるインクの膜化をインク液滴を吐
出させることなく防止し、インク流路内のインクを拡散
してインクの溶媒の蒸発によるインクの粘度増加もまた
防止することができる。
【0025】また、本発明によれば第二の対向電極は複
数の振動板に共通して設けられているので、インクノズ
ル数の増加に伴う第二の対向電極への配線が複雑になら
ず、如何なるインクノズル数でも、即ち1000ノズル
以上となるライン状のヘッドを構成した場合でも、その
ノズル数の如何によらず、少なくとも1本の第二の対向
電極への配線で第二の対向電極を駆動することができ
る。
【0026】さらに、本発明によれば、第一の対向電極
と第二の対向電極を同時に振動板間で充放電することに
より、第一の対向電極のみに充放電して振動板を駆動す
るよりも多くのインク量を有するインク液滴を吐出させ
ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の
実施例を説明する。
【0028】図1は本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの分解斜視図であり、図2はその内のガラス基板の
平面図であり、図3は同じくインクジェットヘッドの部
分断面図である。
【0029】これらの図に示すように、インクジェッド
ヘッド1は、シリコン基板2を挟み、上側に同じくシリ
コン製のノズルプレート3、下側にシリコンと熱膨張率
が近いホウ珪酸ガラス基板4がそれぞれ積層された3層
構造となっている。中央のシリコン基板2には、その表
面からエッチングを施すことにより、独立した5つのイ
ンク室5と、1つの共通インク室6と、この共通インク
室6を各インク室5に連通しているインク供給路7とし
てそれぞれ機能する溝が加工されている。これらの溝が
ノズルプレート3によって塞がれて、各部分5、6、7
が区画形成されている。
【0030】ノズルプレート3には、各インク室5の先
端側の部分に対応する位置に、インクノズル11が形成
されており、これらが各インク室5に連通している。ま
た、共通インク室6が位置しているガラス基板4の部分
には、これに連通するインク供給口12が形成されてい
る。インクは、外部の図示しないインクタンクから、イ
ンク供給口12を通って共通インク室6に供給される。
共通インク室6に供給されたインクは、各インク供給路
7を通って、独立した各インク室5に供給される。
【0031】独立した各インク室5は、その底壁51が
薄肉とされて、面外方向、すなわち、図1において上下
方向に弾性変位可能な振動板として機能するように設定
されている。したがって、この底壁51の部分を、以後
の説明の都合上、振動板と称して説明することもある。
【0032】次に、シリコン基板2の下側に位置してい
るガラス基板4においては、その上面であるシリコン基
板2との接合面には、シリコン基板2の各インク室5に
対応した位置に、複数の深さで浅くエッチングされた凹
部9が形成されている。したがって、各インク室5の底
壁51は、非常に僅かの隙間を隔てて凹部9が形成され
たガラス基板からなる対向壁の表面91、92、93に
対峙している。
【0033】ここで、各インク室5の底壁51は、各イ
ンク室側の共通電極として機能する。そして、各インク
室の底壁51に対峙するように、ガラス基板4の凹部表
面91には、第一の対向電極であるセグメント電極10
が形成されている。各インク室5の底壁51の表面はシ
リコンの酸化膜からなる絶縁層15により覆われてい
る。このように、インク室5の底壁51の表面に形成し
た絶縁層15と隙間Aを置いて、各インク室底壁51す
なわち振動板と、対応する各セグメント電極10が対向
電極を形成している。
【0034】図3に示すように、これらの対向電極の間
に駆動電圧を印加するための電圧印加手段21は、図示
していない外部からの印字信号に応じて、これらの対向
電極間の充放電を行う。電圧印加手段21の一方の出力
は個々のセグメント電極10に接続され、他方の出力は
シリコン基板2に形成された共通電極端子22に接続さ
れている。シリコン基板2自体は導電性をもつため、こ
の共通電極端子22から底壁51の共通電極に電圧を供
給することができる。また、より低い電気抵抗で共通電
極に電圧を供給する必要がある場合には、例えば、シリ
コン基板の一方の面に金等の導電性材料の薄膜を蒸着や
スパッタリングで形成すればよい。本実施例では、シリ
コン基板2の流路形成面側に導電膜を形成し共通電極2
2を設けてある。
【0035】図4はインクジェットヘッド1の部分断面
図である。図4はセグメント電極10と振動板51の間
に駆動電圧を印加したときの振動板51とメニスカスの
動作を示す。このように構成したインクジェットヘッド
1においては、電圧印加手段21からの駆動電圧が対向
電極間に印加されると、対向電極間に充電された電荷に
よるクーロン力が発生し、底壁(振動板)51はセグメ
ント電極10の側へ撓み、インク室5の容積が拡大す
る。次に、電圧印加手段21からの駆動電圧を解除して
対向電極間の電荷を放電すると、振動板51はその弾性
復帰力によって復帰し、インク室5の容積が急激に収縮
する。この時発生するインク圧力により、インク室5を
満たすインクの一部が、このインク室に連通しているイ
ンクノズル11からインクがインク柱となって吐出す
る。吐出後、インクは自らの表面張力によりインク液滴
を形成し印刷面へ着弾する。
【0036】本例では、以下に説明するように、振動板
51と対向するセグメント電極10とは別に、同じく振
動板51に対向する補助電極101を形成して、セグメ
ント電極10が対向する振動板51の部分とは独立して
充放電が可能な構成とした。
【0037】第二の対向電極である補助電極101は図
1及び図2に示すように、振動板51に対向してガラス
基板4の凹部表面92,93に、セグメント電極10と
は独立して形成され、インク室5の底壁51の表面に形
成した絶縁層15と隙間Bを置いて、各インク室底壁5
1と、対応する各補助電極101が対向電極を形成して
いる。補助電極101は図中、独立した4つの複数の振
動板51に対向し、各補助電極101は1つの電極とし
て導通している。図示した例の如く、補助電極101は
複数の振動板間で導通していても良いし、それぞれ独立
していても良い。
【0038】補助電極101を複数の振動板51間で1
つの電極として導通して適用する場合には、電極の数が
ノズル数の増加に伴い増加することが無く、電極の配線
のために必要となるインクジェットヘッド1の面積を増
やさなくてよいため、インクジェットヘッド1を大型化
せずに済む。また、補助電極101を、各振動板51間
で独立して用いた場合には、補助電極101は独立して
駆動することが可能となる効果を有する。この場合に
は、配線ピッチを更に細かくする等の更なる工夫を行
う。
【0039】図5はインクジェットヘッド1の部分断面
図である。図5は補助電極101と振動板51の間に駆
動電圧を印加した時の振動板51とメニスカスの動作を
示す。補助電極101と振動板51の間に電圧印加手段
21からの駆動電圧が対向電極間に印加されると、対向
電極間に充電された電荷によるクーロン力が発生し、底
壁(振動板)51は補助電極101の側へ撓み、インク
室5の容積が拡大すると共に、インクノズル11部のイ
ンクと空気の境目であるメニスカスはインクノズル11
のインク室5側に引き込まれる。次に、電圧印加手段2
1からの駆動電圧を解除して対向電極間の電荷を放電す
ると、振動板51はその弾性復帰力によって復帰し、イ
ンク室5の容積が急激に収縮する。この時発生するイン
ク圧力は前述のセグメント電極10の充放電により発生
した圧力より小さいため、インク液滴を吐出するには至
らず、メニスカスはインク室5に引き込まれた後、振動
して減衰し復元する。
【0040】セグメント電極10と振動板51の間への
充放電によりインクを吐出させる主たる動作に続いて、
補助電極101と振動板51の間の充放電を行い、メニ
スカスをインク室5に引き込む補助的な動作を行う。こ
れらの主たる動作と補助的な動作により、主たる動作に
よりインクノズル11から吐出するインク柱を、補助的
な動作により確実に分離し、インク液滴の形成を安定的
に行うことができる。これにより、不要なインク液滴の
形成や、インク液滴の飛び散りをなくすることが可能と
なる。
【0041】さらに、隙間Bが隙間Aより狭い場合に
は、主たる動作の駆動電圧と同等の駆動電圧を補助的な
動作の際にも印加すると、主たる動作の際に発生するク
ーロン力に比べて、補助的な動作の際に発生するクーロ
ン力は大きく、補助的な動作の振動板51の撓む速度は
主たる動作に対して早くなる。これにより、インクノズ
ル11内のメニスカスをインク室5に引き込む動作を早
め、吐出したインク柱を補助的な動作で更に確実に分離
し、インク液滴の形成を安定的に行うことが可能とな
る。また、補助的な動作の振動板51が撓む速度を、主
たる動作の振動板51が撓む速度と同程度にする場合
は、駆動印加電圧を下げることが可能で、低消費電力化
が可能となる。これらの作用により、ノズル面への不要
なインク液滴の付着による吐出不良とそれによる印刷装
置の汚れや印刷不良を無くすことができる。
【0042】インク吐出の主たる動作と、それに続くイ
ンク液滴を分離させる補助的動作は、一定の時間の間隔
を有して行われる。この主たる動作と補助的な動作の間
の時間間隔はそれぞれの電極を駆動する電圧パルスの位
相差として予め設けられる。この位相差は、インクノズ
ル11、インク室5と振動板51とからなるインク流路
内のインクの振動系の固有周期T0にセグメント電極1
0に印加する電圧パルス幅Pwsを加えた時間にほぼ等
しく設定されるのが好ましい。即ち、電圧パルスの位相
差をT0+Pwsの時間間隔に予め設定してそれぞれ駆
動させて動作させることが好ましい。主たる動作を行わ
せるための電圧パルスを解除してから、1/2固有周期
分の時間の後にインクの吐出が行われ、更に1/2固有
周期分の時間で、補助電極101と振動板51との距離
は吐出時のインク流路内の自由振動によって最も小さく
なるため、補助電電曲101を効率的に静電吸引させて
動作させることができる。更に、主たる電圧パルスを解
除してから固有振動周期に相当する時間後には、インク
ノズル11からメニスカスが最も飛び出す時間に相当す
るため、この位相差にてメニスカスをインク室5へ引き
込ませることが最も重要である。インクノズル11の寸
法諸元や振動板の厚みの違いにより、厳密な固有周期が
ヘッド毎に異なる場合でも、これら電圧パルスの位相差
を凡そT0+Pwsに予め一致させておくことにより、
補助的な動作では自ずと、厳密なT0+Pwsに一致し
た時間にて目的とするメニスカスのインク室5への引き
込みが実現する。結果として、確実にインクノズル11
から吐出するインク柱を分離し、安定的なインク液滴の
形成を行うことができる。
【0043】また、補助電極101と振動板51の間の
充放電を繰り返すことにより、インク液滴を吐出するこ
となく、メニスカスを継続的に振動させ、インクノズル
11近傍のインクとインク室5を満たすインクを攪拌す
ることが可能となり、インクノズル11内でのインクの
膜化を防止できる。
【0044】図6はインクジェットヘッド1の部分断面
図である。図6は補助電極101及びセグメント電極1
0の両方の対向電極と振動板51の間に駆動電圧を印加
した時の振動板51とメニスカスの動作を示す。補助電
極101及びセグメント電極10の両方の対向電極と振
動板51の間に電圧印加手段21からの駆動電圧が印加
されると、対向電極間に充電された電荷によるクーロン
力が発生し、前述の図5に示す通りクーロン力の大きい
補助電極101側の振動板51から撓み始め、次いで、
図6に示す通りセグメント電極10側の振動板51が撓
み、インク室5の容積が拡大する。セグメント電極10
側の振動板51が撓む前に補助電極101側の振動板5
1が予め撓んでいるため、図4に示す前述のセグメント
電極10のみ駆動した場合に比べて、セグメント電極1
0側の振動板51の撓み始める時刻が早くなり、すなわ
ち振動板51の撓む速度が速くなると共に、振動板51
全体が撓むことにより、インク室5の容積は最も拡大す
る。次に、電圧印加手段21からの駆動電圧を解除して
対向電極間の電荷を放電すると、振動板51全体はその
弾性復帰力によって復帰し、インク室5の容積が急激に
収縮する。この時発生するインク圧力により、インク室
5を満たすインクの一部が、このインク室に連通してい
るインクノズル11からインク液滴として吐出する。こ
のときのインク圧力は最も大きな圧力を発生することが
可能となるため、セグメント電極10のみにて振動板5
1を駆動してインク液滴を吐出する場合とは異なるイン
ク量を有するインク液滴を吐出することが可能となる。
【0045】また、隙間Bが隙間Aより大きい構成にお
いては、通常のインク吐出時はセグメント電極10のみ
駆動し、大きなインク吐出量が必要な場合には補助電極
101をセグメント電極10と同時に駆動することによ
り対応が可能となる。
【0046】これら図6に図示した方法によりインクの
吐出を行う場合でも、これを主たる動作として前述した
補助的な動作を続いて行えば、前述したインクノズル1
1から吐出するインク柱を分離して安定的にインク液滴
を形成する作用とその効果は同等である。さらに、この
場合には、先の図4にて説明した動作にて吐出するイン
クの量とは異なる量のインク液滴を形成することが可能
であり、インク液滴の量を駆動パターンにより変えるこ
とが可能となる。この結果、形成されるドットの大きさ
を駆動パターンにより変えて印刷結果の濃さを変えた
り、表現力が豊かな印刷を行うことが可能となる。
【0047】また、振動板51の撓む速度が速くなるこ
とにより、同程度のインク液滴吐出量を得るためには、
駆動電圧を下げることが可能で、低消費電力化にも繋が
る。
【0048】図7は、本発明を適用したインクジェット
ヘッドの駆動制御装置の概略ブロック図である。この図
に示す駆動制御装置21により駆動制御されるインクジ
ェットヘッドは図1に示すものと同一である。
【0049】インクジェットヘッドの駆動制御装置21
はインクジェットヘッド制御部202を有し、このイン
クジェットヘッド制御部202は、CPUを中心に構成
されている。すなわち、CPUには外部装置203から
バスを介して印刷情報が供給される。CPUには、内部
バスを介してROM、RAMおよびキャラクタジェネレ
ータ204が接続されており、RAM内の記憶領域を作
業領域として用いて、ROM内に格納されている制御プ
ログラムを実行し、キャラクタージェネレータ204か
ら発生するキャラクター情報に基づき、インクジェット
ヘッド駆動用の制御信号を生成する。制御信号はゲート
アレイ205および駆動パルス発生回路206を介し
て、印刷情報に対応した駆動制御信号となって、コネク
タ207を経由して、ヘッド基板208に形成されたヘ
ッドドライバIC209に供給される。ヘッドドライバ
IC209では、供給された駆動制御信号および電源回
路210から供給される駆動電圧Vp及び論理ゲートア
レー205から伝送された信号に基づき、インクジェッ
トヘッド1の駆動すべきインクノズル11に対応するイ
ンク室5と対向壁91に形成された対向電極すなわち、
駆動すべきセグメント10及び補助電極101に駆動パ
ルス信号Pwを当該対向電極間に所定のタイミングで印
加する。すなわち、ヘッドドライバIC209では駆動
パルス発生回路209で出力された駆動パルス信号Pw
またはグランドレベルを適時選択して何れかを当該対向
電極間に低インピーダンスで出力する。この結果、共通
電極22かセグメント電極10かのどちらかに駆動電圧
パルス信号Pwが印加されると、共通電極22とセグメ
ント電極10間に電位差を生じ、対応するインクノズル
11からインク液滴が吐出される。また、同様に、共通
電極22との間で駆動電圧パルス信号Pwに相当するの
電位差が生じた補助電極101に対応するインクノズル
11ではメニスカスの振動あるいはメニスカスのインク
室5への引き込みが行われる。
【0050】ここで、セグメント電極10に印加する駆
動パルス幅Pwと補助電極101に印加する駆動パルス
幅Pwは同じ駆動パルス幅でもよいし、異なる電圧と通
電時間からなる駆動波形であってもよい。セグメント電
極10に印加する駆動信号と補助電極101に印加する
駆動信号が異なる場合には、駆動パルス発生回路206
にてそれぞれ異なる波形を形成し、何れの波形をどの対
向電極間に印加するかは、論理ゲートアレイ205にて
出力される信号に従い、ヘッドドライバIC209にて
選択する。
【0051】また、補助電極101を駆動させる駆動波
形の放電時間をより長く設定して、セグメント電極10
を駆動させる駆動波形と異ならせれば、メニスカス引き
込み後のメニスカスの振動を速やかに減衰させてメニス
カスを待機位置に復元させ、次のセグメント電極駆動に
備えることが可能となり、インクジェットヘッドを高い
駆動周波数で駆動させることを可能とする更なる効果を
有することになる。
【0052】また、長時間不使用状態であったインクノ
ズル11に対応するセグメント電極10が存在すること
を駆動制御装置にて監視し、前記セグメント電極10に
駆動電圧が印加される前に、予めインクジェットヘッド
1の補助電極101を駆動してメニスカスの振動を行う
ことにより、インク吐出を正常に行わせるようにするこ
とが可能となる。
【0053】このように、本発明のインクジェットヘッ
ド1の駆動制御装置21では、インクジェットヘッド1
の駆動状況に基づき、インクジェットヘッド1のセグメ
ント電極10及び補助電極101への駆動電圧のパルス
幅Pw及び駆動波形を選択して印加しているので、長時
間不使用状態にあったノズルに対しても確実にインクノ
ズル11内部でのインクの物性の変化に起因したインク
吐出特性の変動を補償して、常に安定したインク吐出特
性を得ることを可能としている。
【0054】次に、図8は、本発明のインクジェットヘ
ッドの駆動方法の対向電極間の電圧波形の例を示してあ
る。ここで、対向電極間の電位は交互に反転する様に構
成さている。これは静電駆動されるインクジェットヘッ
ドの特性を安定化させるためのものである。本発明は、
本実施例において示した、これらの交互に反転させる駆
動波形の組み合わせにとらわれるものではなく電位を交
互に反転させなくともその作用と効果にかわりはない。
【0055】図8に示す例では、図7で示した駆動制御
装置21の駆動パルス206で生成された駆動パルス
は、ヘッドドライバIC209にて共通電極22即ち振
動板51、セグメント電極10と、補助電極101を選
択されて通電される。
【0056】図8では、インクジェットヘッド1の駆動
方法を大別して4つの駆動パターンに分けて示してい
る。インク吐出1はセグメント電極10部のみを充放電
して駆動し、インクを吐出するものである。図示される
波形では2回のインク液滴吐出吐出がなされる。インク
吐出2はセグメント電極10部と補助電極101部が同
時に充放電されて、振動板51が全面で撓んで駆動され
る。図示される波形では2回のインク液滴吐出がなされ
る。メニスカス振動は、インク吐出無しでインクノズル
11のメニスカスを振動させるパターンで補助電極10
1部のみを充放電して駆動するものである。図中の波形
によりメニスカスは2回以上振動する。非駆動の場合
は、共通電極22即ち、振動板51の電位とセグメント
電極10及び補助電極101の対向電極が常に同電位と
なる様にそれぞれ通電されている。この時は、インク液
滴の吐出、メニスカスの振動は行われない。
【0057】図9に駆動モードとそれらに対するインク
の動作を示す。これらは、図8に図示して説明した駆動
パターンを組み合わせて適用した、本発明の一実施例を
示す。駆動モードはインク吐出とインク非吐出の2種類
の駆動モードを示す。インク吐出の駆動モードでは2回
のインク吐出動作と、2回目のインク吐出後の吐出イン
ク柱の分離動作の連続した動作によりインク液滴が形成
されて吐出し、1つの画素が印刷面に印刷される。ま
た、インク非吐出の駆動モードでは、補助電極101の
み駆動し、インク吐出無しにメニスカス振動のみを行
う。このとき、画素は印刷面に印刷されない。しかし、
補助電極101の電位反転が行われるため、補助電極部
の電荷の蓄積を防止する作用を有する。また、長時間イ
ンク吐出が無い事による、粘度が増加したインクをメニ
スカス振動によりインク室5へ拡散し、インク吐出の際
の吐出不良を防止する作用も有する。インク非吐出の駆
動モードをこの様な駆動パターンで構成することによ
り、補助電極101の電荷のリフレッシュとインクノズ
ル11内のインクのリフレッシュを行うことができる効
果を有する。共通電極22、セグメント電極10と補助
電極101へは、ヘッドドライバIC209より駆動パ
ルス発生回路206の出力かグランドレベルの何れか選
択して出力されて入力される。図9に示される駆動モー
ドを採用することにより、簡単な回路構成にて、インク
ジェットヘッド1の制御が可能となる。
【0058】また、補助電極101を駆動させる駆動波
形の放電時間をより長く設定して、セグメント電極10
を駆動させる駆動波形と異ならせれば、メニスカス引き
込み後のメニスカスの振動を速やかに減衰させてメニス
カスを待機位置に復元させ、次のセグメント電極駆動に
備えることが可能となり、インクジェットヘッドを高い
駆動周波数で駆動させることを可能とする更なる効果を
有することになる。図10、図11に基づいて、本発明
の他のインクジェットヘッドの駆動方法を説明する。図
10はセグメント電極10及び補助電極101と振動板
51との間の電圧波形の例を示す。図11はインクジェ
ットヘッド1の部分断面図である。図10(ア)は前述
の電圧波形を示し、この電圧波形ではセグメント電極1
0の振動板51と補助電極101側の振動板51は略同
時に各振動板51は放電し復帰動作をする。図10
(イ)、(ウ)における電圧波形を適用すると、図中の
時間帯215、216では、図11に示すように補助電
極101側の振動板51が当接状態のまま、セグメント
電極10側の振動板51は復帰動作するため、メニスカ
ス引き込み後のメニスカス振動を速やかに減衰させてメ
ニスカスを待機位置に復元させ、次のセグメント電極1
0の駆動に備えることが可能となり、インクジェットヘ
ッド1を高い駆動周波数で駆動させることを可能とする
更なる効果を有することになる。
【0059】以上の実施例では主に、図1に示されるよ
うに、ノズル数が4ノズルの例について説明した。本発
明では、振動板とセグメント電極間の充放電にて駆動さ
れる構成としているので、インクジェットヘッドの駆動
にて消費される電力はごく僅かであり、多ノズルにてイ
ンクジェットヘッドを構成した場合でも、ヘッド全体で
消費する電力は僅かであり、低消費電力が実現できると
いった更なる効果を有する。
【0060】例えば、インクジェットヘッドを構成する
ノズル数が1000ノズルとなる場合には、1000の
ノズルを列状に配置し、ノズルと同数のインク室もまた
同様に1列にそれぞれ区画形成する。前述の補助電極も
また、同数を同様に1列に配置する。この様に構成する
ことにより、ライン状のインクジェットヘッドを得るこ
とが可能となる。本発明によれば、この様なライン状の
インクジェットヘッドを構成した場合でも、補助電極を
駆動するための配線数は1本にて十分であり、前述の実
施例にて示した効果に加えて、更に、低消費電力で、小
型のライン状のインクジェットヘッドを実現可能である
効果を有する。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクジ
ェットヘッド及びその駆動方法においては、対向電極を
第一の対向電極と第二の対向電極に分割し、さらに対向
する振動板との隙間を異なる構成とすることにより、第
二の対向電極と振動板の間で補助的な充電を行って振動
板を対向壁に部分的に当接させ、吐出インク柱の尾部が
インクノズル内のインクから分離するタイミング早め、
インク液滴のインクノズルからの分離作用を高め、イン
ク液滴の吐出直後に発生する不要なインク液滴の吐出を
防ぐ効果を有する。
【0062】この様に、本発明のインクジェットヘッド
及びその駆動方法によれば、インク液滴を吐出するため
に第一の対向電極及び第二の対向電極を駆動してから、
一定時間後に第二の対向電極を駆動すれば、インク液滴
吐出後の不要なインク液滴の吐出を防止し、ノズル面の
ワイピングを行わずに、長時間ノズルからインク液滴を
吐出する状態が続いても、インク不吐出や異常吐出によ
る印刷の不具合を生じない効果を有する。
【0063】さらに、隙間Bが隙間Aより狭い場合に
は、主たる動作の駆動電圧と同等の駆動電圧を補助的な
動作の際にも印加すると、主たる動作の際に発生するク
ーロン力に比べて、補助的な動作の際に発生するクーロ
ン力は大きく、補助的な動作の振動板の撓む速度は主た
る動作に対して早くなる。これにより、インクノズル内
のメニスカスをインク室に引き込む動作を早め、吐出し
たインク柱を補助的な動作で更に確実に分離し、インク
液滴の形成を安定的に行うことが可能となる。
【0064】また、第二の対向電極と振動板の間で補助
的な充電を行って振動板を対向壁に部分的に当接させ、
不要なインク液滴を吐出させることなく、インクノズル
内のメニスカスや圧力室のインクを振動させることが可
能となり、メニスカスにおけるインクの膜化をインク液
滴を吐出させることなく防止し、インク流路内のインク
を拡散してインクの溶媒の蒸発によるインクの粘度増加
もまた防止する効果を有する。
【0065】この様に、本発明のインクジェットヘッド
及びその駆動方法によれば、インク液滴の吐出に先だっ
て、第二の電極を駆動すれば、印刷に寄与しないインク
の消費なくして、ノズル不使用により一定時間以上ノズ
ルからインク液滴を吐出しない状態が続いた後でも、イ
ンク不吐出や異常吐出による印刷の不具合を生じない効
果を有する。
【0066】また、本発明によれば、第二の対向電極は
複数の振動板に共通して設けられているので、インクノ
ズル数の増加に伴う第二対向電極への配線が増加せず、
如何なるインクノズル数でも、少なくとも1本の第二の
対向電極への配線で可能となり、インクジェットヘッド
の配線数の増加や回路とインクジェットヘッドを結線す
る配線数の増加を伴わずして、上述の優れた効果を、得
ることが可能となる。さらに、本発明によれば、第一の
対向電極と第二の対向電極を同時に振動板間で充放電す
ることにより、第一の対向電極のみに充放電して振動板
を駆動するよりも多くのインク量を有するインク液滴を
吐出させることができ、インクの吐出効率を向上する効
果も有する。
【0067】さらに、セグメント電極に対して、補助電
極の放電を遅らせることにより、補助電極側の振動板が
当接状態のまま、セグメント電極側の振動板は復帰動作
するため、メニスカス引き込み後のメニスカス振動を速
やかに減衰させてメニスカスを待機位置に復元させ、次
のセグメント電極の駆動に備えることが可能となり、イ
ンクジェットヘッドを高い駆動周波数で駆動させること
を可能とする更なる効果を有することになる。
【0068】加えて、本発明によれば、インクノズルが
1000ノズル以上で、前記インク室をライン状に配列
して区画形成することが可能であり、これにより、低消
費電力で小型のライン状のインクジェットヘッドを容易
に得ることが可能となる効果を有する。また、これらラ
イン状のインクジェットヘッドでは予備吐出を行う必要
が極力少なくなるため、予備吐出にて消費する印刷に寄
与しない無駄なインクの消費を極力抑えることが可能と
なる。この効果はこのライン状のインクジェットヘッド
を構成するインクノズルの数が多ければ多いほど大きな
効果となる。
【0069】このように、本発明によれば、インクジェ
ットヘッドの信頼性維持、優れた印刷品位の確保、使用
インクの節約が可能となる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットヘッド概略分
解斜視図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図1に示すインクジェットヘッドの概略断面図
である。
【図4】図1に示すインクジェットヘッドの概略断面図
である。
【図5】図1に示すインクジェットヘッドの概略断面図
である。
【図6】図1に示すインクジェットヘッドの概略断面図
である。
【図7】本発明を適用したインクジェットヘッドの駆動
制御装置の概略ブロック図である。
【図8】図1のインクジェットヘッドの駆動に使用する
駆動電圧パルスの例を示す信号波形図である。
【図9】図1のインクジェットヘッドの駆動に使用する
駆動モードの例を示す信号波形図である。
【図10】図1のインクジェットヘッドの駆動に使用す
る駆動電圧パルスの例を示す信号波形図である。
【図11】図1に示すインクジェットヘッドの概略断面
図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 シリコン基板 3 ノズルプレート 4 ガラス基板 5 インク室 6 共通インク室 7 インク供給路 51 振動板(インク室の底壁) 9 凹部 10 セグメント電極 101 補助電極 11 インクノズル 12 インク供給口 21 電圧印加手段 22 共通電極端子

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するインクノズルと、この
    インクノズルに連通していると共にインクを保持してい
    るインク室と、このインク室にインクを供給するインク
    供給路と、前記インク室を区画形成している周壁に形成
    され、面外方向に弾性変位可能となっている振動板とを
    有し、前記インク室の外側において前記振動板に対して
    隙間を置いて対向板を配置し、該対向板に対向電極を形
    成し、前記対向電極と前記振動板間の充放電を行うこと
    により、前記インクノズルからインク液滴を吐出させる
    インクジェットヘッドにおいて、 前記対向電極は第一の対向電極と、第二の対向電極とか
    らなり、第一の対向電極は前記振動板と隙間Aを置いて
    対向し、第二の対向電極は前記振動板と隙間Bを置いて
    対向し、さらに、前記隙間Aと前記隙間Bの隙間量は異
    なる構成とすることを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記隙間Aは前記隙間Bより大きい構成とすることを特
    徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1から2において、 前記第二の対向電極は複数の振動板間に共通して対向
    し、複数の振動板との間で充放電を行うことを特徴とす
    るインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1から3において、 前記インクノズルが1000ノズル以上で、前記インク
    室をライン状に配列して区画形成したことを特徴とする
    インクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 インクを吐出するインクノズルと、この
    インクノズルに連通していると共にインクを保持してい
    るインク室と、このインク室にインクを供給するインク
    供給路と、前記インク室を区画形成している周壁に形成
    され、面外方向に弾性変位可能となっている振動板とを
    有し、前記インク室の外側において前記振動板に対して
    隙間を置いて対向板を配置し、該対向板に対向電極を形
    成し、前記対向電極と前記振動板間の充放電を行うこと
    により、前記インクノズルからインク液滴を吐出させる
    インクジェットヘッドの駆動方法において、 前記対向電極は第一の対向電極と、第二の対向電極とか
    らなり、第一の対向電極は前記振動板と隙間Aを置いて
    対向し、第二の対向電極は前記振動板と隙間Bを置いて
    対向し、さらに、前記隙間Aと前記隙間Bの隙間量は異
    なる構成とし、第一の対向電極は前記振動板との間で充
    放電を行い、前記インクノズルからインク液滴を吐出さ
    せ、第二の対向電極は前記振動板との間で充放電を行う
    ことにより、前記インクノズルから吐出したインク液滴
    を分離させることを特徴とするインクジェットヘッドの
    駆動方法。
  6. 【請求項6】 インクを吐出するインクノズルと、この
    インクノズルに連通していると共にインクを保持してい
    るインク室と、このインク室にインクを供給するインク
    供給路と、前記インク室を区画形成している周壁に形成
    され、面外方向に弾性変位可能となっている振動板とを
    有し、前記インク室の外側において前記振動板に対して
    隙間を置いて対向板を配置し、該対向板に対向電極を形
    成し、前記対向電極と前記振動板間の充放電を行うこと
    により、前記インクノズルからインク液滴を吐出させる
    インクジェットヘッドの駆動方法において、 前記対向電極は第一の対向電極と、第二の対向電極とか
    らなり、第一の対向電極は前記振動板と隙間Aを置いて
    対向し、第二の対向電極は前記振動板と隙間Bを置いて
    対向し、さらに、前記隙間Aと前記隙間Bの隙間量は異
    なる構成とし、第一の対向電極は前記振動板との間で充
    放電を行い、前記インクノズルからインク液滴を吐出さ
    せ、第二の対向電極は前記振動板との間で充放電を行う
    ことにより、前記インクノズル内のインクを振動させる
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの駆動方法。
  7. 【請求項7】 請求項5乃から6において、 前記第二の対向電極は複数の振動板間に共通して対向
    し、複数の振動板との間で充放電を行うことを特徴とす
    るインクジェットヘッドの駆動方法。
  8. 【請求項8】 請求項5から7において、 前記第二の対向電極は前記第一の対向電極と共に前記振
    動板との間で充放電を行い、インク液滴を吐出させるこ
    とを特徴とするインクジェットヘッドの駆動方法。
  9. 【請求項9】 請求項8において、 前記第二の対向電極の放電の時間を前記第一の対向電極
    の放電時間より長くすることを特徴とするインクジェッ
    トヘッドの駆動方法。
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