JP2001190280A - コラーゲン結合性生理活性ポリペプチド - Google Patents

コラーゲン結合性生理活性ポリペプチド

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JP2001190280A
JP2001190280A JP2000041142A JP2000041142A JP2001190280A JP 2001190280 A JP2001190280 A JP 2001190280A JP 2000041142 A JP2000041142 A JP 2000041142A JP 2000041142 A JP2000041142 A JP 2000041142A JP 2001190280 A JP2001190280 A JP 2001190280A
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Tetsuya Ishikawa
哲也 石川
Takashi Kitajima
隆 北嶋
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生理活性ペプチドの活性が維持され、かつコラ
ーゲンに対する結合活性が付与されたコラーゲン結合性
生理活性ポリペプチドを提供する。 【解決手段】フィブロネクチン由来のペプチドに生理活
性ぺプチドが連結されたコラーゲン結合性及び生理活性
の両活性を有するハイブリッドポリペプチド及び該ポリ
ペプチドをコラーゲンに複合化させたコラーゲンマトリ
ックス。生理活性ペプチドの活性が維持され、かつコラ
ーゲンに対する結合活性が付与されたコラーゲン結合性
生理活性ポリペプチドは生理活性ペプチドのドラッグデ
リバリーシステム(DDS)として有用である。さら
に、該ポリペプチドはコラーゲンに複合化させることが
可能であり、このように機能修飾されたコラーゲンマト
リックスは組織再生の新しいバイオマテリアルとして有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッドポリペ
プチドに関し、更に詳しくはフィブロネクチン(FN)
由来のペプチドと生理活性ペプチドとが遺伝子工学的手
法により連結されたポリペプチドであって、コラーゲン
結合活性及び生理活性の両活性を有することを特徴とす
るコラーゲン結合性生理活性ポリペプチド並びに該ポリ
ペプチドとコラーゲン由来のポリペプチドを複合化させ
たバイオマテリアルに関する。
【0002】
【従来の技術】サイトカイン、細胞成長因子などの生理
活性ペプチドの中には医薬品としての用途を期待されて
いるものが多い。例えば、塩基性繊維芽細胞増殖因子
(bFGF)は、中胚葉、神経外胚葉由来の様々な細胞
の増殖と分化促進活性、血管内皮細胞、繊維芽細胞、血
管平滑筋細胞、アストログリア細胞に対する細胞増殖活
性、細胞遊走活性及び血管新生活性など多彩な生物活性
を有するポリペプチドであり培養細胞の増殖因子として
も広く利用されている(Journal of Cell Biology、第1
09巻、第1号、1〜6頁(1989))。その細胞増
殖活性、細胞遊走活性、血管新生活性から、bFGFは
創傷治癒剤等の用途が期待されている(R. A. F. Clark
編、The Molecular and Cellular Biology of Wound Re
pair、第2版、第6章、237〜248頁(198
8)、Plenum出版、New York) 。また上皮増殖因子(E
GF)についても上皮細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞
などの増殖促進、血管新生活性などから創傷治癒剤とし
ての用途が期待されている(Zieglerら編、Growth Facto
rs and Wound Healing、第3部、第12章、206〜2
28頁(1997)、Springer-Verlag 、New York) 。
【0003】しかしながら、一般的に生理活性ペプチド
は生体内での安定性が悪く、局所保持や徐放が困難なた
めに標的組織での効果が低く、他部位での副作用があ
る。そのため、実用性が危惧されているものが多く、効
率のよいドラッグデリバリーシステム(DDS)が切望
されている。
【0004】この問題を解決するため、生理活性ペプチ
ドと、生体適合性を有する高分子とを混合することによ
り、生体内における徐放性を確保しようとする試みが多
数行われてきた。生体適合性を有する高分子の中でもコ
ラーゲンは生体の損傷を修復するためのバイオマテリア
ルとして、または薬剤のキャリアーとして医療分野で広
く利用されているタンパク質であり、優れた生体適合性
を有している。
【0005】生理活性ペプチドをコラーゲンとの混合に
より、その徐放性をコントロールする技術については、
例えば特許第2641755号、特開平5−43453
号公報に開示されている。特公平4−18865号公報
には、細胞増殖因子をコラーゲンと混合後、熱脱水架橋
した細胞増殖因子含有コラーゲンマトリックスが開示さ
れている。さらに生理活性ペプチドの徐放性を目的とし
て、ヘパリンと、ヘパリン結合性を有する生理活性ペプ
チドと、コラーゲンとを混合する徐放性マトリックスの
調製法(特開平8−253429号公報、特開平8−3
25160号公報)が開示されている。このような材料
の混合により、ヘパリン結合性生理活性ペプチドの徐放
性を図ることも可能であると推測される。しかしながら
ヘパリンと生理活性ペプチドを共に用いる方法では、ヘ
パリンの抗凝固作用の問題と共にヘパリン結合性を有さ
ない生理活性ペプチドに対しては適用できないという制
限がある。
【0006】またインターフェロンを高濃度のコラーゲ
ンと混合・練合し、風乾したコラーゲンペレットを生体
内に埋入することにより、その安定性や局所保持性を高
めるという方法が報告されている(Fujioka ら、Journa
l of Controlled Release 第33巻 第307〜315
頁(1995))。
【0007】あるいはヘパリンとコラーゲンとを化学的
に直接結合した抗血栓材料(Raghunath ら、Journal of
Biomedical Materials Research、第17巻、第613
〜621頁(1983)、Nimni ら、Journal of Biome
dical Materials Research、第21巻、第741〜77
1頁(1987))が提案されている。さらに別の方法
としては生理活性ペプチドとコラーゲンとを、グルタル
アルデヒド等により化学的に結合する方法も試みられて
いる。
【0008】前記したように、多くの生理活性ペプチド
に対して効率のよいDDSが切望され、またコラーゲン
は生理活性ペプチドの徐放性を高めるキャリアーとして
期待されているが、コラーゲンと生理活性ペプチドの親
和性は一般に低く、単に両者を混合するだけでは、生理
活性ペプチドを長時間、安定にコラーゲンマトリックス
に保持することは不可能である。また、生理活性ペプチ
ドとコラーゲンを化学的に結合する方法では、その生理
活性が消失するかまたは低下するという問題がある。
【0009】これに対して、近年、生理活性ペプチド
を、他のペプチドと遺伝子工学的にハイブリッド化し、
生理活性ペプチドのターゲッティングを達成しようとす
る技術の開発が進められている。すなわち遺伝子組換え
技術を用いてハイブリッドポリペプチドを大腸菌等で発
現させることが可能となっているが、発現されるハイブ
リッドポリペプチドが必ずしも元の活性を示すとは限ら
ず、所望活性、特に生理活性を得る事が困難な場合があ
る。
【0010】特開平5−178897号公報には、細胞
外マトリックス成分の一つであるフィブロネクチン(F
N)の細胞接着ドメイン配列と、bFGFとをハイブリ
ッド化した機能性ポリペプチドの製造法が開示されてい
る。この機能性ポリペプチドは、細胞に接着し、細胞増
殖活性を示すが、一方、細胞に直接結合するため長期的
な徐放効果や局所保持は期待できない。また機能性ポリ
ペプチドのbFGFとしての活性は著しく低下すること
が記載されている。
【0011】細胞外マトリックスを介しての徐放効果を
ねらったものとしては、ウシフォンビルブランド因子由
来のコラーゲン結合性デカペプチド(decapeptide)とト
ランスフォーミング増殖因子β(TGF−β) とのハイ
ブリッドポリペプチドであるコラーゲンターゲッティン
グTGF−βが報告されている (USP 5,800,811、Tu
anら、Connective Tissue Reserch 、第34巻、1号、
1〜9頁(1996)、Han ら、Protein Expression a
nd Purification 、第11巻、169〜178頁(19
97)、Gordonら、Human Gene Therapy、第8 巻、1385
〜1394頁(1997 ))。しかしながら、大腸菌で生産
された封入体から回収された組換えタンパクの多くはそ
のコラーゲン結合活性が損なわれており、かつ生理活性
の低下も認められている。特にその中でコラーゲン結合
活性の残存したハイブリッドポリペプチドはコラーゲン
に結合させた後、細胞の捕捉は可能であったが、TGF
−βの増殖活性は認められないと報告しており、TGF
−β増殖活性の局所保持や徐放の目的は達成されていな
い。このためハイブリッドポリペプチドであるコラーゲ
ン結合性生理活性ポリペプチドのコラーゲン結合性ペプ
チド部分としては、フォンビルブランド因子のコラーゲ
ン結合性デカペプチドは適切とはいえない。
【0012】一方、Nishi らは、嫌気性のグラム陽性桿
菌であるクロストリジウム ヒストリチカム(Clostridi
um histolyticum)のコラゲナーゼ由来のコラーゲン結合
性ポリペプチドと、bFGFまたはEGFとのハイブリ
ッドポリペプチドであるコラーゲン結合性細胞増殖因子
を試みているが、このコラーゲン結合性細胞増殖因子
は、コラーゲンコートされた細胞培養器または多くのコ
ラーゲン材料へは結合不能であったことから充分なコラ
ーゲン結合活性を有していないことが記載されている(P
roc. Nat. Acad. of Sci. USA 、第95巻、7018〜
7023頁(1998))。当然の事ながら、コラーゲ
ン材料に結合後、細胞増殖活性を示すことは不可能であ
る。さらに、このコラーゲン結合性細胞増殖因子のEG
F活性は低下することが認められている。また、免疫学
的には細菌のコラゲナーゼ由来のポリペプチドがヒトの
組織再生に適切ではないことは明白である。
【0013】また工業生産を考慮して遺伝子組換え技術
を用い、ハイブリッドポリペプチドを生産する際、低コ
スト化のためには、原核生物(例えばバクテリア)又は
酵母での生産、特に大腸菌系発現の実現は重要な課題で
ある。しかしながら大腸菌系発現では、得られたポリペ
プチドが元の活性を示さなかったり、所望活性のポリペ
プチドを効率よく産生させることが困難な場合が多い。
大腸菌系発現における主な問題の1つとしては、可溶性
のポリペプチドが充分得られない場合である。これは、
ポリペプチドが封入体として不溶性になる場合と、合成
後すぐに分解される場合がある。外来性のポリペプチド
の高発現が大腸菌にとってストレスとなり、それを排除
する機構が働く結果と考えられている。封入体形成のメ
カニズムはまだ不明な点も多く、これを防ぐ万全の解決
策は存在しない。封入体を強力なタンパク質変性剤によ
って可溶化し、その後、目的タンパク質を再生させる手
段も有効であるが、一度変性過程を経るため目的のポリ
ペプチドの立体構造が最終的に正しく再生されず、正常
な生理活性を示さない場合も多い。
【0014】汎用のハイブリッドポリペプチドの発現方
法のうちには、大腸菌発現系で、活性を保持した可溶性
タンパク質が効率よく産生され、封入体が形成されても
再生可能な方法も知られている。この方法で用いられる
ハイブリッド用ポリペプチドパートナーとしては、チオ
レドキシン、プロテインA、クロラムフェニコールアセ
チルトランスフェレース、lac リプレッサー、ガラクト
ース結合タンパク質、マルトース結合タンパク質(MB
P)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GS
T)、β−ガラクトシダーゼなどが挙げられ、既に発現
ベクターが市販されているものも多い。
【0015】これらポリペプチドパートナーを用いれ
ば、可溶性で活性を保持したハイブリッドポリペプチド
が得られる可能性が比較的高いが、このうちにはコラー
ゲン結合性を示すものはない。そしてこれら以外のパー
トナーを用いる場合のハイブリッドポリペプチドでは、
その発現産生の可能性は低く、活性を維持したタンパク
質を得る可能性はさらに低い事が予想され、実現可能で
ある場合でも種々の障害が生じ、その達成を妨げる。即
ち、活性を有するハイブリッドポリペプチドの実現性を
証明するには、パートナーを用いたハイブリッドポリペ
プチドの産生及びその活性を示すことが必要となる。
【0016】コラーゲン(ゼラチン)結合性のポリペプ
チドパートナーとして、FNコラーゲン結合性領域を用
いることが考えられる。たとえば有用タンパク質の精製
のためのタッグとしてFN由来のポリペプチドを選択す
ることが提案されている。具体的には、FNのゼラチン
結合領域と、有用タンパク質を連結したポリペプチドを
発現させるベクター及びその有用タンパク質の精製法
(米国特許第5,342,762 号及び米国特許第5,460,955
号)、FNのコラーゲン結合部分と、他のポリペプチド
または治療剤とが結合したポリペプチド及びその精製法
(特開昭62−89699号)が提案されている。
【0017】上記米国特許では、ラットFNの配列限定
されたゼラチン結合領域がクレームされ、このFN由来
のポリペプチド(精製タッグ)のコラーゲン/ゼラチン
への親和性によって、FN由来のポリペプチドと有用タ
ンパク質とのハイブリッドポリペプチドを捕捉させた
後、次いで特異的なプロテアーゼ等の切断を受けて有用
タンパク質部分のみを回収している。
【0018】具体的には、FNのゼラチン結合性領域の
アミノ末端に、昆虫細胞または動物細胞から培地中へ組
み換えポリペプチドを分泌させる32残基のアミノ酸配
列であるFNのプレプロ配列またはリーダーシグナルペ
プチド配列を付加させ、バキュロウイルス発現システム
による昆虫細胞での生産、精製による実施例又はCOS
細胞のような動物細胞を宿主にして生産、精製してい
る。より具体的には、上記FNのゼラチン結合性領域の
アミノ末端側にトリプシンによる切断部位が位置し、そ
のアミノ末端側に有用タンパク質が位置し、続いてファ
クターXIIIa サイトが位置し、さらにそのアミノ末端側
にFNのプレプロ配列またはリーダーシグナルペプチド
配列が付加されている。
【0019】しかしながら上記米国特許公報には、ハイ
ブリッドポリペプチドにおけるFN由来のポリペプチド
以外の部分である有用タンパク質の生理活性があるか否
かについては全く開示されていない。すなわち有用タン
パク質の精製法の例として、FNのホモロジーユニット
I-12(12 番目のI 型ホモロジーユニット)、FNのホモ
ロジーユニットI-9(9 番目のI 型ホモロジーユニット)
とIII-1(1 番目のIII 型ホモロジーユニット)またはヒ
トのファクターIXのさまざまな部分を発現、精製して
いるが、これらポリペプチドは本発明で述べる生理活性
ペプチドではなく生理活性もない。従って有用タンパク
質が生理活性ペプチドであった場合のハイブリッドポリ
ペプチド自体の活性、機能、用途についても全く記載さ
れていない。つまりヒトの細胞増殖、組織再生、臓器再
生などの用途に関する言及もなく、仮に用途を考えた場
合でも、上記のような構成では不適切である。
【0020】すなわち上記のように有用タンパク質がF
Nのゼラチン結合領域のアミノ末端側に位置した連結で
は、トリプシンによる切断部位が存在していたり、また
はそこへプロテアーゼ切断配列を新たに挿入しても有用
タンパク質のカルボキシル末端にプロテアーゼ認識配列
などの余分なアミノ酸配列などがプロテアーゼによる切
断後少なくとも一つ付加されたまま残り、有用タンパク
質が生理活性ペプチドである場合、生理活性の低下、消
失を招く。
【0021】単に精製が目的であれば、試験管内または
生体外で例えばトリプシンなどのエンドプロテアーゼに
よる切断、続いてカルボキペプチダーゼBなどによる分
解で、余分な配列を含まない有用タンパク質を得ること
が可能である。しかしながら、このような手順の処置を
施さない限り、有用タンパク質のカルボキシル末端には
エンドプロテアーゼによる切断後、余分なアミノ配列を
含むことになり、有用タンパク質の活性低下または消失
の原因となる。従って、本発明のようにハイブリッドポ
リペプチドであるコラーゲン結合性生理活性ポリペプチ
ドを直接使用する目的には適さない。
【0022】また上記のような構成のポリペプチドは、
特に大腸菌など原核生物でのハイブリッドペプチドの生
産では、コラーゲン結合性の低下もしくは消失を招くか
または有用タンパク質が生理活性ペプチドである場合に
は生理活性の低下を生じるかもしくは消失する。或いは
封入体から活性を有するポリペプチドの回収率が著しく
低いか不可能である。すなわち動物由来のポリペプチド
を動物細胞又は昆虫細胞を宿主にして、機能を維持させ
たまま生産する事は比較的容易であるが、原核生物(バ
クテリアなど)又は酵母でのその実現は非常に困難であ
り、特に大腸菌のような原核生物による遺伝子組み換え
ポリペプチドの生産は低コスト化に非常に有利である反
面、非常に困難で、その実現には創意工夫が必要であ
る。
【0023】また前記特開昭62−89699号には、
ヒトFNのThr379 からVal44 5 までのアミノ配列
で構成されるポリペプチドを含む配列が示されている
が、ここに示されるポリペプチドがハイブリッドポリペ
プチドのパートナーとして有用であるとはいえない。後
述するようにこの公報の実施例で使用された配列は、プ
ロテアーゼ処理で得られる配列とは異なり、遺伝子工学
的に産生され得る配列であり、該配列をポリペプチドパ
ートナーとする生理活性ペプチドとのハイブリッドポリ
ペプチドでは、コラーゲン結合性をほとんど示さなかっ
た。また生理活性が低下または消失した。
【0024】機能性蛋白質を細胞外マトリックスにター
ゲティングさせ得る他の技術として、FN分子のN末端
70kDa 領域とC末端37kDa 領域との間に異種タンパ
ク質またはペプチドのアミノ酸鎖を挿入してなるキメラ
蛋白質が特開平8−140677号に提案されている。
この発明の実用上の障害は主に二つある。すなわち、F
N分子の間に挿入するので、高次構造の維持が困難であ
り、動物細胞に発現させて一部の機能性蛋白質の機能を
保つ例はあるが、汎用性が低い。また分子量が大きく、
水に不溶性であることからEscherichia coli(大腸菌)
等での工業生産は不可能である。機能を保持可能な場合
でも,使用法としてはヒトの細胞で直接遺伝子発現させ
る遺伝子治療のみであると考えられる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】遺伝子組換え技術を用
いて大腸菌等でハイブリッドポリペプチドを発現させる
ことは提案されているが、活性のあるハイブリッドポリ
ペプチドが得られない事が多い。本発明の目的は、生理
活性ペプチドの活性を消失させることなく、遺伝子工学
的にコラーゲン結合活性が付与されたコラーゲン結合性
生理活性ポリペプチドを提供することにあり、さらに生
理活性ペプチドの局所保持または長期的かつ調節可能な
徐放機能を実現するための該コラーゲン結合性生理活性
ポリペプチドとコラーゲン由来のポリペプチドを複合化
したバイオマテリアル(生理活性ペプチド複合化コラー
ゲン)を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明者らは遺伝子工学的手法でフィブロネクチン
(FN)のコラーゲン結合性ドメインと、生理活性ペプ
チドとを連結することにより、生理活性ペプチドの活性
が維持され、かつコラーゲンに対する結合活性が付与さ
れたコラーゲン結合性生理活性ポリペプチドの製造が可
能であることを証明し、さらに該コラーゲン結合性生理
活性ポリペプチドとコラーゲン由来のポリペプチドとを
複合化させたバイオマテリアル(生理活性ペプチド複合
化コラーゲン)を考案し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の課題は以下の1)〜15)によって解決さ
れる。
【0027】1)フィブロネクチン由来のペプチドと生
理活性ペプチドとが連結したポリペプチドであって、コ
ラーゲン結合活性及び生理活性の両活性を有するコラー
ゲン結合性生理活性ポリペプチド。 2)該生理活性ペプチドが、フィブロネクチン由来のペ
プチドのカルボキシル末端に連結されている上記1)に
記載のコラーゲン結合性生理活性ポリペプチド。
【0028】3)該フィブロネクチン由来のペプチド
が、フィブロネクチンのプロテアーゼによる分解により
得られ、かつコラーゲン結合性ドメインを構成するアミ
ノ酸配列からなるか、あるいは該配列と相同な配列、ま
たはその一部置換、欠失、挿入または付加体である配列
からなり、かつコラーゲン結合性を有する上記1)また
は2)に記載のコラーゲン結合性生理活性ポリペプチ
ド。上記フィブロネクチンは、好ましくはヒト・フィブ
ロネクチンである。またヒト・フィブロネクチンのプロ
テアーゼによる限定分解または自然分解により得られる
ものが好ましい。プロテアーゼはプラスミンとキモトリ
プシンの両者の組合せであることが好ましい。
【0029】より具体的には、 4)該フィブロネクチン由来のペプチドが、ヒト・フィ
ブロネクチンのAla 260からTrp 599 までのポリペプチ
ドを構成するアミノ酸配列、あるいは該配列と相同であ
るかまたはその一部置換、欠失、挿入または付加体であ
る配列からなる上記1)〜3)に記載のコラーゲン結合
性生理活性ポリペプチドである。ここでコラーゲン結合
性は、ゼラチン結合性と同義である。
【0030】5)該生理活性ペプチドがサイトカイン、
細胞成長因子である上記1)〜4)に記載のコラーゲン
結合性生理活性ポリペプチド。細胞成長因子として、繊
維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーまたは上皮増殖
因子(EGF)ファミリーが好適である。
【0031】6)該生理活性ペプチドが該フィブロネク
チン由来のペプチドに遺伝子工学的手法により連結され
ている上記1〜5)に記載のコラーゲン結合性生理活性
ポリペプチド。 7)該生理活性ペプチドが該フィブロネクチン由来のペ
プチドの好ましくはカルボキシル末端に遺伝子工学的手
法により連結され、バクテリア好ましくはEsherichia c
oli (大腸菌)で産生される上記1〜6)に記載のコラ
ーゲン結合性生理活性ポリペプチド。上記において、生
理活性ペプチドと該フィブロネクチン由来のペプチドの
連結部位にスペーサーとしてアミノ酸またはペプチドが
挿入されていてもよい。この場合、該スペーサーまたは
該スペーサー及びその隣接配列とのいずれかがプロテア
ーゼ認識配列を含むものが好ましい。プロテアーゼ認識
配列はエンテロキナーゼの認識配列であることが好まし
い。
【0032】8)コラーゲン結合性生理活性ポリペプチ
ドが水溶性である上記1)〜7)に記載のコラーゲン結
合性生理活性ポリペプチド。
【0033】9)コラーゲンに結合後、結合を保持した
ままかまたは徐放されることにより生理活性を示す上記
1)〜8)に記載のコラーゲン結合性生理活性ポリペプ
チド。 10)上記1)〜9)のいずれかに記載のコラーゲン結
合性生理活性ポリペプチドを含有する生理活性ポリペプ
チドの局所維持剤、徐放剤、または生理活性付与剤。
【0034】11)コラーゲン結合性生理活性ポリペプ
チドとコラーゲン由来のポリペプチドとが複合化された
生理活性ペプチド複合化コラーゲンを含有するバイオマ
テリアル。 12)コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドが上記
1)〜9)のいずれかに記載のコラーゲン結合性生理活
性ポリペプチドである上記11)記載のバイオマテリア
ル。上記11)または12)に記載のバイオマテリアル
を用いて細胞、組織、臓器に、増殖、分化、再生または
物質産生促進の生理活性を与える方法を提供することが
できる。 13)上記11)または12)に記載のバイオマテリア
ルを含有する生理活性ポリペプチドの局所維持剤、徐放
剤、または生理活性付与剤。
【0035】14)上記1)〜9)のいずれかに記載の
コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドをコードする遺
伝子。上記1)〜9)のいずれかに記載のコラーゲン結
合性生理活性ポリペプチドをコードする遺伝子を含有す
る組換えベクター。上記1)〜9)のいずれかに記載の
コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドをコードする遺
伝子を含有する形質転換体。上記1)〜9)のいずれか
に記載のコラーゲン結合性生理活性ポリペプチドをコー
ドする遺伝子を含有するバクテリア。15)請求項1)
〜9)のいずれかに記載のコラーゲン結合性生理活性ポ
リペプチドをコードする遺伝子を含有する組換えベクタ
ーを含む形質転換体。上記1)〜9)のいずれかに記載
のコラーゲン結合性生理活性ポリペプチドをコードする
遺伝子を含有する組換えベクターを含むバクテリア。上
記1)〜9)のいずれかに記載のコラーゲン結合性生理
活性ポリペプチドをコードする遺伝子を含有する組換え
ベクターを含むEscherichia coli(大腸菌)。上記1)
〜9)に記載のコラーゲン結合性生理活性ポリペプチド
をEsherichiacoli (大腸菌)を用いて生産する方法。
【0036】
【発明の実施の形態】フィブロネクチン(FN)は、血
漿、細胞外マトリックス及び培養細胞表面に存在する細
胞接着性の糖タンパク質で、コラーゲン(ゼラチン)、
ヘパリン、フィブリン及びインテグリンなどの生体高分
子に結合し、細胞接着、組織構築及び組織損傷の修復な
どの生物学的作用を持つことが知られている(Ruoslaht
i、Annual Review of Biochemistry 、第57巻、第3
75〜413頁(1988))。
【0037】本発明のコラーゲン結合性生理活性ポリペ
プチドは、上記のようなFN由来のペプチドと、生理活
性ペプチドとが連結したポリペプチドであって、コラー
ゲン結合活性及び生理活性の両活性を有し、コラーゲン
結合後生理活性を示す。すなわちFN由来のペプチド
と、生理活性ペプチドとを、遺伝子工学的に連結した機
能性ハイブリッドポリペプチドである。
【0038】なお前述した過去の他の研究では、FN由
来のペプチド以外のコラーゲン結合性ペプチドと生理活
性ペプチドを含むハイブリッドポリペプチドにおいて、
コラーゲン結合活性および生理活性の両方を維持するこ
とは困難であった。特にこれらハイブリッドポリペプチ
ドは、コラーゲンに結合後、生理活性を示す事が実用上
重要になるが、従来これを十分には達成できなかった。
本発明者らも、ヒト・フォンビルブランド因子のコラー
ゲン結合性ペプチドを用いて、FGFまたはEGFとの
ハイブリッドポリペプチドの作製を試みたが、コラーゲ
ン結合活性について良好な結果が得られず、生産量とし
ても充分得られず断念した。
【0039】そして、上記のようにコラーゲン結合性ペ
プチドとしてFN由来のコラーゲン結合性ポリペプチド
を用いることによりハイブリッドポリペプチドのコラー
ゲン結合活性と生理活性の両方を良好に維持し、かつコ
ラーゲン結合後の生理活性ペプチドの生理活性も維持さ
れることが明らかにされ、新規な機能性ハイブリッドポ
リペプチドであるコラーゲン結合性生理活性ポリペプチ
ドとその用途が考案された。
【0040】これにより、元来コラーゲン結合性を有さ
ない生理活性ポリペプチドは当然のことながら、コラー
ゲン結合性を有する生理活性ペプチドに対してもFN由
来のペプチドに依存したコラーゲン結合性を付与するこ
とが可能になった。ここで「コラーゲン」とは、コラー
ゲン、あるいはゼラチンなどの熱変性コラーゲンを含む
意味で用いられる。したがってゼラチン結合性は、コラ
ーゲン結合性と同等の意味を有し、本明細書ではこれら
を単にコラーゲン結合性またはゼラチン結合性と表記す
ることもある。
【0041】FN由来のペプチドのコラーゲン結合活性
は、ハイブリッドポリペプチドにおいても強固で非常に
安定である。そして、コラーゲンに結合後、結合を保持
したままかまたは徐放されて生理活性を示す新規のバイ
オマテリアルである生理活性ペプチド複合化コラーゲン
を完成することが可能となった。
【0042】さらに、本発明のコラーゲン結合性生理活
性ポリペプチドは、そのコラーゲン結合性が血しょうF
Nにより競合阻害される性質を持ち、血しょう、血清、
血液への暴露、その添加又共存化ではコラーゲンからの
放出が起こり、血しょう、血清、血液の不足した即ち液
性因子(細胞増殖因子)の飢餓状態にある部位ではコラ
ーゲンに保持される特徴を持つのである。したがってコ
ラーゲン結合性生理活性ポリペプチドの作製において、
コラーゲン結合性ペプチド部分としてFN由来のコラー
ゲン結合性ペプチドを用いたことが本発明の完成の鍵に
なっている。
【0043】現在、組換えDNA技術、遺伝子工学の技
術によれば、FN由来のどの部分のペプチドの遺伝子で
も生理活性ペプチドの遺伝子とのハイブリッド遺伝子
(融合遺伝子)を作製することが原理的には可能であ
る。しかしながら、コラーゲン結合性および生理活性を
維持したままハイブリッドポリペプチドを作製するに
は、適切なコラーゲン結合性ペプチド配列の選択が必要
である。この配列の選択も本発明の一つである。
【0044】<FN由来のペプチド(FNCBD)>す
なわち本発明を構成するFN由来のペプチドとは、FN
由来のコラーゲン結合性ペプチドであり、FNのプロテ
アーゼ分解、好ましくは限定分解または自然分解により
得られるものが好ましい。
【0045】具体的に上記FN由来のペプチドは、コラ
ーゲンおよび/またはゼラチンに対して結合活性を有す
るFN由来のコラーゲン結合性ドメインを構成するポリ
ペプチドを構成するアミノ酸配列と、全て相同であるか
または1個若しくは数個の付加がある配列か、或いはそ
れらの一部置換、欠失または付加体からなる配列である
ことが好ましい。
【0046】上記プロテアーゼとしては、好ましくはト
リプシン、キモトリプシン、サーモリシン、プラスミ
ン、トロンビン、カテプシンD、またはペプシンなどが
挙げられ、これらのいずれか或いは2種以上組合わせが
挙げられる。FNは、ヒトFNが好ましいが、他の動物
種のFNでもよい場合もある。
【0047】したがって本明細書において、FNのコラ
ーゲン結合性ドメインとは、具体的にFNのアミノ末端
から約28kDa の位置から約75kDa までの間に位置
し、トリプシン、キモトリプシン、サーモリシン、プラ
スミン、トロンビン、カテプシンD、カテプシンG、ペ
プシン、ズブチリシン、キマーゼ、白血球エラスターゼ
のいずれかまたはそれらプロテアーゼの組み合わせのい
ずれかにより限定分解されたFN由来のコラーゲン/ゼ
ラチン結合性ポリペプチドを意味する。
【0048】具体的にはトリプシンの限定分解、または
ズブチリシンの限定分解で得られる約30kDa のコラー
ゲンまたはゼラチン結合性ポリペプチド、あるいはキモ
トリプシンの限定分解、カテプシンDとトロンビンの限
定分解、白血球エラスターゼの限定分解、サーモリシン
の限定分解、またはキマーゼの限定分解で得られるコラ
ーゲンまたはゼラチン結合性の約39〜45kDa のポリ
ペプチドまたはプラスミンとキモトリプシンの限定分解
で得られるヒトFNのAla260 からTrp599 までのポリ
ペプチドである。
【0049】上記のようなコラーゲン結合性FNペプチ
ドの別の具体例として、たとえばヒトFNのAla260
らTrp599 までのポリペプチドを構成するアミノ酸配列
あるいは、該配列と相同であるかまたはその一部置換、
欠失、挿入または付加体である配列が挙げられる。別の
具体例として、本発明のヒトFN由来のペプチドとし
て、(1)プロテアーゼによる限定分解または自然分解
によりヒトFNから得られ、かつコラーゲン/ゼラチン
に対して結合活性を有するヒトFNのAla260 からTrp
599 までのアミノ酸配列であるか、該配列と相同である
かまたはその一部置換、欠失、挿入または付加体である
配列、(2)ヒトFNのAla260 からTrp599 までのポ
リペプチドを構成するアミノ酸配列であるか、該配列と
相同であるか、またはそれらの一部欠失体または一部置
換、欠失、挿入または付加体と同一の配列であり、かつ
カルボキシル末端がヒトFN由来のアミノ酸であるプロ
テアーゼ認識配列を有するもの、(3)ヒトFNのAla
260 からTrp599 までのポリペプチドを構成するアミノ
酸配列の全てを含む配列であるか、該配列と相同である
か、またはそれらの一部置換、欠失、挿入または付加体
と同一の配列、(4)プロテアーゼによる限定分解また
は自然分解によりヒトFNのAla260 からTrp599 まで
のポリペプチドから得られ、かつコラーゲン/ゼラチン
に対して結合活性を有するポリペプチドを構成するアミ
ノ酸配列であるか、該配列と相同であるか、またはその
一部置換、欠失、挿入または付加体である配列が挙げら
れる。
【0050】上記のようなFNペプチドをポリペプチド
パートナーとするハイブリッドポリペプチドにおいてゼ
ラチン結合性が維持される事は、例えば本願実施例で用
いたヒト・FNのAla260 からTrp599 までのポリペプ
チドと生理活性ペプチドから成るハイブリッドポリペプ
チドを上述のプロテアーゼで限定分解して得られるポリ
ペプチドのゼラチン結合活性を調べることでも比較的簡
単に確認できる。またゼラチン結合性の程度は、高濃度
の塩たとえば2M NaCl存在下での結合の維持、あ
るいは血漿FNとの競合阻害実験で調べることができ
る。
【0051】なお、プロテアーゼによる限定分解または
自然分解により得られ、かつゼラチンに対して結合活性
を有するFN由来のポリペプチドを構成するアミノ酸配
列と相同であるアミノ酸配列との僅かな相違ではハイブ
リッドポリペプチドのコラーゲン結合活性を消失させな
い例外もある。
【0052】ただし、ほとんどの場合、コラーゲン結合
性ドメインの全てまたは一部の配列を含んでいても、プ
ロテアーゼの分解部位又自然分解による部位を全く無視
して遺伝子工学的手法でのみ得られるようなFN由来の
アミノ酸配列を生理活性ペプチドに融合させて作製した
ハイブリッドポリペプチドは、著しくコラーゲン結合活
性の低下を招く。例えば、特開昭62−89699号公
報に示されるようなヒト・FNのCys 277 からSer 577
までのアミノ酸配列からなるポリペプチド、ヒト・FN
のThr 379 からVal 445 までのアミノ酸配列からなるポ
リペプチドを遺伝子工学的に生理活性ペプチドに融合さ
せたハイブリッドペプチドでは、著しくコラーゲンまた
はゼラチン結合活性が損なわれる。また、特開昭62−
89699号の発明者らが発表した論文(Owens ら、EM
BO J、第5 巻、第2825〜2830頁(1986))で報告したヒ
ト・FNのThr 314 からMet 446 までのポリペプチド、
ヒト・FNのThr 314 からGly 507 までのポリペプチ
ド、ヒト・FNのThr 374 からGly 507 までのポリペプ
チドなどや、ヒト・FNの Thr374 からMet 446 までの
アミノ酸配列からなるポリペプチドを遺伝子工学的に生
理活性ペプチドに融合させたハイブリッドペプチドでも
著しくゼラチン結合活性が損なわれる。
【0053】従って、遺伝子工学的手法によりハイブリ
ッドのコラーゲン結合性生理活性ペプチドを作製する場
合でも、FN由来のコラーゲン結合性ペプチドの配列の
選択には、プロテアーゼによる限定分解または自然分解
により得られるゼラチン結合性のペプチドと相同の配列
を選択して作製するのがよい。
【0054】プロテアーゼによる切断部位は、例えばト
リプシンではアルギニンとリジンのC末端側、キモトリ
プシンではイソロイシン、ロイシン、フェニルアラニ
ン、チロシン、トリプトファンおよびスレオニンのC末
端側、サーモリシンではイソロイシン、ロイシン、バリ
ン、フェニルアラニン、メチオニンのC末端側、プラス
ミンではアルギニンとリジンのC末端側、トロンビンで
はアルギニンとグリシンの間、カテプシンDではリジ
ン、チロシン、フェニルアラニンおよびアルギニンのC
末端側、ペプシンではロイシン、フェニルアラニン、チ
ロシン、メチオニンのC末端側、白血球エラスターゼで
はGly やAla またはVal など側鎖の短いアミノ酸が2〜
3個連続しているアミノ酸のC末端側、カテプシンGは
ロイシン、チロシン、ファニルアラニンのC末端側、ズ
ブチリシンはアラニンのC末端側などである。
【0055】ただし、実際のFNの分解において、特に
限定分解においては、高次構造に依存して切断され易い
箇所と切断され難い部位がある。つまり、プロテアーゼ
の限定分解で得られるコラーゲン/ゼラチン結合性のペ
プチドの種類は非常に限られている。従って、遺伝子工
学的作製でコラーゲン結合性ペプチド部分の区切りを選
択する場合にもプロテアーゼで切断され易い部位を区切
りとして選択するのである。
【0056】具体的には、過去の論文(Ruoslahti ら、
J. Biol. Chem.、第254 巻、第6054-6059 頁 (1979) 、
Balianら、J Biol Chem.、第254 巻、第1429-32 頁、
(1979)、Ruoslahti ら、J. Biol. Chem.、第254 巻、
第6054-6059 頁 (1979) 、Hahnら、Proc. Natl. Acad.
Sci.、第76巻、第1160-1163 頁 (1979) 、Goldら、 Pro
c Natl Acad Sci U S A.、第76巻、第4803-7頁、(197
9)、Furie ら、J Biol Chem.第255 巻、第4391-4頁、
(1980)、Engvall ら、Coll. Relat. Res. 、第1巻、
第505-516 頁(1981)、McDonaldら、 J Biol Chem. 、第
256 巻、第5583-7頁(1981)、Vartio Tら J Biol Che
m. 第256 巻、第471-7 頁(1981)、De PetroGら Proc
Natl Acad Sci U S A.第78巻、第4965-9頁(1981)、Ru
oslahti ら、J Biol Chem.、第256 巻、7277-81 頁(19
81)、VartioらEur J Biochem.第123巻、第223-33頁、
(1982)、Petersenら、Proc. Natl. Acad. Sci.、第80
巻、第137-141 頁 (1983) 、Skorstengaard ら、Eur.
J. Biochem.、第 140巻、第235-243 頁 (1984) 、Zardi
ら、Eur. J. Biochem.、第146 巻、第571-579 頁(198
5)、Skorstengaard ら、 Eur. J. Biochem. 、第161
巻、第 441-453頁 (1986) 等)からFNのプロテアーゼ
に切断されやすい部位及びそのゼラチン結合性を知る方
法または実際にFNをプロテアーゼで限定分解し、ゼラ
チンに結合するペプチドのアミノ末端、カルボキシル末
端またはアミノ酸配列を調べるなどでその部位を調べる
方法などがある。
【0057】なお現在まで、FN由来のコラーゲン結合
性ペプチドを同定する研究が多くの研究者によってなさ
れたが、各研究者の報告で対立があり、いまだに不明な
点が多く残されている(Owens ら、EMBO J、第5 巻、第
2825〜2830頁(1986)、Inghamら、J. Biol. Chem 、第
264 巻、第16977 〜16980 頁(1989)、Litvinovich
ら、J. Mol. Biol、第217 巻、第563 〜575 頁(199
1)、Banyaiら、Eur. J. Biochem 、第193 巻、第801
〜806 頁(1990)、Skorstengaard ら、FEBS letters、
第343 巻、第47〜50頁(1994)) 。本発明者らによれ
ば、それらの報告の不一致は遺伝子工学的に産生された
ペプチドとプロテアーゼ処理で得られたペプチドを同様
に考えて議論しているので生じると判断される。
【0058】遺伝子工学的にFN由来のペプチドを産生
する際、不適切な部位で配列を区切り、さらに精製タッ
グを付加する事は、本来コラーゲン結合性を有する領域
でもその活性を消失または低下させる原因となってい
る。特にハイブリッドポリペプチド中においては、FN
由来のペプチド単体でコラーゲン/ゼラチン結合性を有
していてもその結合性が維持されない場合が多い。すな
わち、本来の高次構造をゆがめる原因になり、機能しな
くなったのである。
【0059】本発明のコラーゲン結合性生理活性ペプチ
ドは、上述したような適切な部位で配列を区切り、かつ
精製タッグを付加しないFNのコラーゲン結合性ペプチ
ドを生理活性ペプチドに融合させて作製する。本発明の
コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドは、大腸菌で生
産された組換えハイブリッドペプチドとして、FNのコ
ラーゲン/ゼラチン結合性によりほとんどすべてがゼラ
チンに結合し、容易にアフィニティー精製可能であり、
生理活性ペプチドに由来する生理活性も良好に維持して
いる。
【0060】なおコラーゲン結合性ペプチドの配列とし
ては、FNに由来するもの以外では、マトリックスメタ
ロプロテアーゼであるコラゲナーゼ及びゼラチナーゼ並
びに細胞外マトリックスではフォンビルブランド因子、
デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリン、ルミカ
ン、オステオネクチン、ヴィトロネクチン、トロンボス
ポンジン等に由来する配列などが報告されている。しか
しながら、上述の細菌のコラゲナーゼ及びフォンビルブ
ランド因子由来のコラーゲン結合性ペプチドを選択した
試みも含め本発明と同等の機能を持ったハイブリッドポ
リペプチドは報告されていない。
【0061】本発明では、ヒト・FN由来のペプチド
(ハイブリッドのための)に好適な例として、ヒト・F
NのCys 277 からSer 577 までのアミノ酸配列で構成さ
れるポリペプチド(特開昭62-89699号公報記載の配列)
の全てを含んでいなくてもコラーゲン結合性生理活性ポ
リペプチドのFN由来のポリペプチドとして適切である
アミノ酸配列の例を挙げることができる。
【0062】具体的には、プラスミン、キモトリプシン
とペプシンの限定分解で得られるヒト・FNのAla 260
からLeu 376 までのアミノ酸配列で構成されるポリペプ
チド、プラスミン、キモトリプシンとペプシンの限定分
解で得られるヒト・FNのAla 260 からLeu 483 までの
アミノ酸配列で構成されるポリペプチド、トリプシンの
限定分解で得られるヒト・FNのAla 260 からArg 484
までのアミノ酸配列で構成されるポリペプチド、プラス
ミン、キモトリプシンとペプシンの限定分解で得られる
ヒト・FNのAla 377 からLeu 483 までのアミノ酸配列
で構成されるポリペプチド、プラスミン、キモトリプシ
ンとペプシンとの限定分解で得られるヒト・FNのVal
377 からTrp 599 までのアミノ酸配列で構成されるポリ
ペプチド、プラスミン、キモトリプシンとペプシンとの
限定分解で得られるヒト・FNのLeu 483 からTrp 599
までのアミノ酸配列で構成されるポリペプチド、トリプ
シンとキモトリプシンとの限定分解で得られるヒト・F
NのArg 484 からTrp 599 までのポリペプチドのアミノ
酸配列である。
【0063】またヒト・FNのCys 277 からSer 577
でのアミノ酸配列で構成されるポリペプチド配列の全て
を含んでいてコラーゲン結合性生理活性ポリペプチドの
FN由来のポリペプチドとして適切であるポリペプチド
配列の例を挙げることができ、具体的にプラスミンとキ
モトリプシンの限定分解で得られるヒト・FNのAla
260 からTrp 599 までのポリペプチド、ズブチリシンと
キモトリプシンの限定分解で得られるヒト・FNの Val
262 からTrp 599 までのポリペプチドのアミノ酸配列が
挙げられる。
【0064】なおヒト・FNのCys 277 からSer 577
でのアミノ酸配列で構成されるポリペプチド配列の全て
を含んでいても、コラーゲン結合性生理活性ポリペプチ
ドのFN由来のポリペプチドとしては、不適切なポリペ
プチドの例は多くあり、その例を挙げると枚挙にいとま
がないが、例えば ヒト・FNのAsn 220 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのArg 221 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのGly 222 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのAsn 223 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのLeu 224 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのLeu 225 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのGln 226 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 227 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのIle 228 からSer 577 までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からCys 1201までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からThr 1202までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からPhe 1203までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からAsp 1204までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からAsn 1205までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からLeu 1206までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からSer 1207までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からPro 1208までのアミノ酸配列 ヒト・FNのCys 277 からGly 1209までのアミノ酸配列 などで構成されるポリペプチドが挙げられる。
【0065】以上からヒト・FNのCys 277 からSer
577 までのポリペプチド(特開昭62-89699号公報記載の
配列)のアミノ酸配列の全てを含むか、含まないかは本
発明のコラーゲン結合性生理活性ペプチドのFN由来の
ペプチドのアミノ酸配列の選択には重要でない。FN由
来のペプチドとして適切な場合、不適切な場合の何れに
おいてもThr 379 からVal 445 のアミノ酸配列を含んで
いるため、本発明のコラーゲン結合性生理活性ペプチド
のFN由来のペプチドとしての充分条件ではない。ま
た、特開昭62-89699号公報ではコラーゲン結合能を有す
る連続部分としてThr 379 からVal 445 を記載している
が、その後の他者の論文(Skorstengaard ら、FEBS let
ters、第343 巻、第47〜50頁(1994)) でThr 379 から
Val 445 を含んでいるThe 374 からAla 479 までのアミ
ノ酸配列で構成されるポリペプチドは単独でもコラーゲ
ン結合能が無かったと報告している。
【0066】<生理活性ペプチド>本明細書で意味する
生理活性ペプチドとは、種々の生理活性を有するペプチ
ド、ポリペプチド及びタンパク質の総称であり、例えば
サイトカイン、細胞成長因子が挙げられる。例えば、繊
維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリー、トランスフォ
ーミング増殖因子β(TGF−β)ファミリー、上皮増
殖因子(EGF)ファミリー、血小板由来増殖因子(P
DGF)、インシュリン様増殖因子(IGF)、神経増
殖因子(NGF)ファミリー、血管内皮細胞増殖因子
(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)等の細胞増殖
因子類及び骨形成因子類(BMP類)等の細胞分化因子
類を含む細胞成長因子並びにインターフェロン(IF
N)類、インターロイキン(IL)類、コロニー刺激因
子(CSF)類、エリスロポエチン、腫瘍壊死因子(T
NF)等を含むサイトカイン類、若しくはインシュリ
ン、パラチロイドホルモン(PTH)等の各種ホルモン
類またはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)類
等のプロテアーゼ等の酵素類を挙げることができる。た
だし、通常、遺伝子工学の分野で用いられる融合パート
ナーや精製タッグとして汎用されるペプチドであるマル
トース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−
トランスフェラーゼ(GST)、ヒスチジンタッグまた
はβ−ガラクトシダーゼなどは、本明細書では生理活性
ペプチドに含めない。
【0067】また、本明細書が意味する生理活性または
生理活性ペプチドの活性とは上述した生理活性ペプチド
由来の活性の一部または全てを意味し、例えばサイトカ
インまたは細胞成長因子であれば増殖活性、分化活性、
遊走活性または物質生産促進などであって、単なる細
胞、またはレセプターへの結合ではない。FN由来の活
性は本明細書では生理活性に含めない。
【0068】また、前述したような融合パートナーある
いは精製タッグの機能、例えば特定の物質に対する結合
活性など、具体的には、チオレドキシンの金属キレート
へのアフィニティー、プロテインAのIgGへの結合
性、クロラムフェニコールアセチルトランスフェレース
のクロラムフェニコールへの結合性、lac リプレッサー
の lacオペレーターへの結合性、ガラクトース結合タン
パク質のガラクトースへの結合性、MBPではアミロー
ス結合性、GSTではグルタチオン結合性、ヒスチジン
タッグではニッケル結合性、そしてβ−ガラクトシダー
ゼの酵素活性の一部または全てに対しても本明細書にお
いては生理活性に含めない。
【0069】これらの融合パートナーや精製タッグの結
合性または酵素活性は、以前からさまざまなハイブリッ
ドペプチドでその機能が維持されること、またそれら融
合パートナーや精製タッグと融合されたポリペプチドの
活性も損われにくい事は周知の事実であり特例といえ
る。
【0070】<ハイブリッドポリペプチド>本発明にお
いてはフィブロネクチンコラーゲン結合性ドメイン(F
NCBD)と生理活性ペプチドとは、遺伝子工学的手法
により連結されており、生理活性ペプチドは、FNCB
Dのカルボキシル末端側に連結されていることが望まし
い。本発明のコラーゲン結合性生理活性ポリペプチドは
水溶性である。またバクテリア好ましくはEsherichia c
oli で工業的に生産することができる。したがって生理
活性ペプチドが該フィブロネクチン由来のペプチドのカ
ルボキシル末端に遺伝子工学的手法により連結され、バ
クテリア好ましくはEsherichia coli で産生されること
が望ましい。また酵母、昆虫細胞、動物細胞で産生する
ことも可能である。
【0071】例えば、FNのコラーゲン結合性ドメイン
のカルボキシル末端側に生理活性ペプチドを連結させ、
生理活性ペプチドのアミノ末端側にプロテアーゼ(例え
ばヒトの生体中に存在する)により切断され得る任意の
アミノ酸配列を挿入し、余分な配列を付加せずに生理活
性ペプチドを遊離させることが可能である。詳しく説明
すると、多くのプロテアーゼは認識配列のカルボキシル
末端を切断するので、生理活性ペプチドのアミノ末端に
プロテアーゼ認識配列を付加すると、プロテアーゼによ
る切断後は生理活性ペプチドのアミノ末端には余分なア
ミノ酸配列が残らないのである。このプロテアーゼの認
識配列は新しく挿入するだけでなく、FNのコラーゲン
結合性ドメインのC末端側がプロテアーゼ認識配列及び
切断部位でもよい。従って、直接このカルボキシル末端
に生理活性ペプチドを連結すれば全く人工的な配列の挿
入を含めないことも可能である。そして、この部位にお
ける切断後は、FNのコラーゲン結合性ドメイン及び生
理活性ペプチドの両者ともに余分なアミノ酸配列は残存
しない。マトリクラインおよびジャクスタクライン活性
という固相からレセプターに結合して、細胞に生理活性
を及ぼす様式が可能な場合は、ハイブリッドポリペプチ
ドのままでもレセプターに結合し生理活性を示すことが
可能かもしれない。一方、生理活性ペプチドがFNのコ
ラーゲン結合性ドメインから切断され、液相に遊離する
必要がある場合は上記方法は重要である。
【0072】上記のようにFNCBDと生理活性ペプチ
ドとが連結された本発明のコラーゲン結合性生理活性ポ
リペプチドは、コラーゲンに対する結合活性及び生理活
性の両活性が維持されていることから、生理活性ペプチ
ドをコラーゲンマトリックス中に安定に保持させること
が可能となり、生理活性を持続的に示すことができる。
【0073】上記において、生理活性ペプチドと該フィ
ブロネクチン由来のペプチドの連結部位にスペーサーと
してアミノ酸またはペプチドが挿入されていてもよい。
この場合、該スペーサーと該スペーサー及びその隣接配
列とのいずれかがプロテアーゼ認識配列を含むものが好
ましい。またプロテアーゼ認識配列はエンテロキナーゼ
の認識配列であることが好ましい。
【0074】エンテロキナーゼ認識配列は、スペーサー
としてFNCBDとbFGF又はEGFとの間の距離の
調整やエンテロキナーゼによりFNCBDからbFGF
又はEGFが遊離するための役割を果たす。エンテロキ
ナーゼは高等動物の十二指腸粘膜、膵臓に存在するプロ
テアーゼである。従って、エンテロキナーゼ認識配列は
十二指腸粘膜、膵臓でエンテロキナーゼにより認識、切
断され、bFGF又はEGFが遊離される。また、エン
テロキナーゼはDDDDKという非常に特異的配列を認
識してK(Lys) のC末端側を切断する酵素であり、コラ
ーゲン結合性生理活性ペプチドの生理活性を示すメカニ
ズムを研究するために必要な配列である。今後、コラー
ゲン結合性生理活性ペプチドを産業上利用していくため
に必要不可欠である。
【0075】本発明のハイブリッドポリペプチドのコラ
ーゲン結合活性またはコラーゲン結合性は、FN由来の
ペプチドに依存したコラーゲンに対する結合性であり、
生理活性ペプチドに依存したコラーゲンへの結合ではな
い。コラーゲン結合活性がFNに由来するかまたは生理
活性ペプチドに由来するのかは天然のFNまたは生理活
性ペプチドを用いた競合阻害実験で確認可能である。
【0076】本明細書で意味するコラーゲンまたはコラ
ーゲン由来のポリペプチドは、天然コラーゲン、未成熟
コラーゲン、アテロコラーゲン、またはゼラチン或いは
それらを構成するポリペプチドである。
【0077】本発明のハイブリッドポリペプチドの一用
途として、上記コラーゲン結合性生理活性ポリペプチド
を含む生理活性ポリペプチドの局所維持剤、徐放剤、ま
たは生理活性付与剤が提供される。またコラーゲンの分
解によるかまたは生理活性ペプチドとFN由来のペプチ
ドとの連結部位またはその近傍におけるプロテアーゼに
よる切断によって生理活性ペプチドが徐放され、生理活
性がコントロールされたバイオマテリアルが提供され
る。上記バイオマテリアルを用いて細胞、組織、臓器
に、増殖、分化、再生または物質産生促進の生理活性を
与える方法を提供することができる。
【0078】従って、例えば外傷や外科手術後の創傷治
癒効果または慢性潰瘍、難治性潰瘍の治癒促進を持続的
かつ最大限に発揮させるためにbFGF及びEGFなど
の細胞成長因子の徐放性や局所保持を狙ったコラーゲン
結合性細胞成長因子及び細胞成長因子複合化コラーゲン
マトリックスが提供される。生体組織は多くの割合でコ
ラーゲンから構成されていて、あらゆる部位でコラーゲ
ンは存在しているため、生理活性ポリペプチドにコラー
ゲン結合性が備わっていれば、投与した部位またはその
近傍のコラーゲンに結合し、局所濃度を高く維持し、有
効性が高まる。それと同時に他部位へ拡散して生じる副
作用を防ぐことになる。
【0079】また本発明では、上記コラーゲン結合性生
理活性ポリペプチド(ハイブリッドポリペプチド)を用
いた細胞増殖方法が提供される。すなわち本発明の生理
活性ペプチドが細胞増殖因子であるハイブリッドポリペ
プチドは、そのコラーゲン/ゼラチン結合性を利用して
コラーゲン/ゼラチンマトリックスに固定することがで
き、細胞増殖因子は灌流される培養液で流出しないた
め、容易に細胞増殖を行うことができる。
【0080】本発明は、bFGF及びEGFを用いた創
傷治癒という目的に限られず、生理活性を持つ多くのペ
プチドに適用可能である。即ち、本発明により、さまざ
まな生理活性ペプチドの生理活性が維持され、かつコラ
ーゲンに対する結合活性が付与されることで生理活性ペ
プチドの徐放性や局所保持を狙ったコラーゲン結合性生
理活性ポリペプチドが提供される。
【0081】また上記コラーゲン結合性生理活性ポリペ
プチドをコードする遺伝子、および該遺伝子を含有する
組換えベクター、該遺伝子を含有する形質転換体、また
は該遺伝子を含有するバクテリア好ましくはEscherichi
a coli(大腸菌)も提供される。あるいはコラーゲン結
合性生理活性ポリペプチドをコードする遺伝子を含有す
る組換えベクターを含む形質転換体、該ベクターを含む
バクテリア好ましくはEscherichia coliも提供される。
さらに、該コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドをコ
ードする遺伝子をレトロウイルス、アデノウイルス、ア
デノ随伴ベクター等のウイルスベクターまたはリポソー
ム法等を用いたベクターに組み込むことで遺伝子治療用
ベクターが提供され、さらに該ベクターが細胞へ導入さ
れることで該ポリペプチドまたは該遺伝子を含む細胞医
薬が提供される。
【0082】該ポリペプチドをコラーゲンと複合化させ
ることで生理活性で機能修飾された生理活性ペプチド複
合化コラーゲンマトリックスが提供され、医療分野で利
用される新規な組織再生のバイオマテリアルとして有用
である。すなわち本発明は、人工組織(血管、神経、骨
など)や三次元構造を有する人工器官(耳、鼻、指、皮
膚など)や人工臓器(十二指腸などの腸管、胃、心臓、
肝臓、膵臓、腎臓など)を構築させるための足場と生理
活性を兼ね備えた生理活性ペプチド複合化コラーゲンか
らなるバイオマテリアルを提供する。コラーゲン生理活
性ペプチド複合化コラーゲンマトリックスの概念図を図
2に示す。
【0083】以下に本発明の実施態様例について、より
詳細に説明する。ヒトFNcDNA及びタンパク質の一
次構造は、各々 EMBL データバンク(EMBL DATA BANK )
及びThe EMBO Journal、第4巻、第7号、1755-1759 頁
(1985)に記載されている。
【0084】まず、ヒトFNをプロテアーゼ(プラスミ
ンとキモトリプシン)で限定分解して得られるコラーゲ
ン/ゼラチン結合性ドメインのアミノ酸配列に相当する
配列をクローニングした。ヒトの細胞から抽出されたm
RNAを用いて逆転写反応を行い、得られたcDNAか
ら、PCR法(Polymerase Chain Reaction : Saiki
ら、Science 、第230巻、1350〜1354頁(1
985))によりヒトFNのコラーゲン結合性ドメイン
(FNCBD)に対応するcDNA部分が増幅される。
この際、PCRに用いられるセンスプライマーには5'
末端に制限酵素認識配列と開始コドン配列が、またアン
チセンスプライマーには5' 末端に制限酵素認識配列と
終始コドンが付加されている。
【0085】そして、FNCBDのcDNA断片がクロ
ーニングベクターpBlueScript SKに挿入され、プラスミ
ドpBS(FNCBD) が構築される。塩基配列確認後、こ
のcDNA断片が切り出され発現ベクター pTYB1に組み
込まれてプラスミドpTYB1(FNCBD) が構築される。
pTYB1(FNCBD) は、ヒトFNのAla 260 −Trp 599
(340アミノ酸残基)を発現するプラスミドであり、
大腸菌に導入されることによりコラーゲン結合性ポリペ
プチドが調製される。
【0086】本発明で必要とされるFNCBDのcDN
Aとしては、プラスミドpBS(FNCBD) 由来のcDN
A断片が用いられるが、PCRプライマーの設計によ
り、cDNA断片の5' 末端には開始コドン配列が付加
されており、FNCBD翻訳領域のC末端に付加された
終止コドン直前にクローニングサイト、例えばXhoI
の認識配列が導入されている。これにより、FNCBD
のcDNAと生理活性ペプチドのcDNAを連結させる
ことが可能である。
【0087】本発明のポリペプチドは、FNCBDのc
DNAと生理活性ペプチドのcDNAを連結し、遺伝子
工学的に発現させて調製される。本発明による機能性ポ
リペプチドは、例えば、配列表配列番号1で表されるヒ
トFNをプロテアーゼ(プラスミンとキモトリプシン)
で限定分解したときに得られるAla 260 −Trp 599 に相
当する340アミノ酸残基のポリペプチドを、配列表配
列番号2または配列番号3で表されるヒトbFGFまた
はEGFに各々結合させた人工の機能性ポリペプチドで
ある。即ち、該ポリペプチドはFNCBDのcDNAに
bFGFまたはEGFのcDNAが連結され、遺伝子工
学的に調製される。
【0088】配列表配列番号1のアミノ酸番号1はヒト
FNCBDを遺伝子工学的に発現させるための開始コド
ンに対応するMet 、アミノ酸番号2〜341はヒトFN
CBDのアミノ酸配列、アミノ酸番号342〜343は
生理活性ペプチドのcDNAと連結するためのXhoI
認識配列由来のアミノ酸Leu 及びGlu である。但し、ハ
イブリッドポリペプチドではXhoI認識配列とSal
I認識配列の連結によりGlu は除かれる。
【0089】配列表配列番号2のアミノ酸番号1 はFN
CBDのcDNAとの連結するためのSalI認識配列
由来のAsp 、アミノ酸番号1〜5はエンテロキナーゼの
認識配列(Asp-Asp-Asp-Asp-Lys ;DDDDK) 、アミノ酸番
号6〜159はヒトbFGFのアミノ酸配列である。
【0090】配列表配列番号3のアミノ酸番号1はFN
CBDのcDNAと連結するためのSalI認識配列由
来のAsp 、アミノ酸番号1〜5はエンテロキナーゼの認
識配列(DDDDK)、アミノ酸番号6〜58はヒトEGFの
アミノ酸配列である。
【0091】なお、ヒトFNのアミノ酸に付された肩数
字はEMBLデータバンク(EMBL DATABANK )中の成熟型ヒ
トFNのN末端から数えたアミノ酸残基数を示す。ま
た、配列表配列番号1で表されるヒトFNのAla 260
Trp 599 に相当する340アミノ酸残基のポリペプチド
は、EMBL DATA BANK中のアミノ酸配列と2アミノ酸残基
異なり、人工的変異ではない。
【0092】ヒトbFGFのcDNA及びタンパク質の
一次構造は、Kurokawaら、(FEBS Letter、第213巻、
第1号、189ー194頁(1987))に記載されて
いる。また、ヒトEGFのcDNA及びタンパク質の一
次構造は、Bellら(NucleicAcids Reserch 、第14
巻、第21号、8427−8446頁(1986))に
記載されている。
【0093】本発明では、ヒトのmRNAを用いて調製
したcDNAから、PCR法によりヒトbFGF及びE
GFのcDNAが増幅される。それぞれのPCRには
5' 末端に制限酵素認識配列とプロテアーゼ認識配列を
コードする塩基配列が付加されたセンスプライマーと
5' 末端に制限酵素認識配列が付加されたアンチセンス
プライマーを用いた。次に、これらcDNA断片をpBl
uescripSK に挿入して、pBS(FGF) ベクター及びpBS
(EGF) ベクターが作成される。
【0094】前記したヒトFNCBDのc DNAをプラ
スミドpBS(FGF) あるいはpBS(EGF) のbFGFあ
るいはEGFの5 ′末端制限酵素認識配列に結合し、ヒ
トFNCBDのC末端にヒトbFGFまたはEGFの各
々が連結しているcDNAを有するプラスミドpBS(FN
CBD−FGF) あるいはpBS(FNCBD−EGF)が
得られる。これらのプラスミドから切り出されたハイブ
リッド遺伝子断片を発現ベクターpTYB1 に挿入し、配列
表配列番号4または配列番号5で表されるポリペプチド
を発現する組換体プラスミドpTYB1(FNCBD−FG
F) またはpTYB1(FNCBD−EGF) が得られる。
【0095】FNCBDのcDNAとbFGFまたはE
GFのcDNAとの連結部位にはPCRプライマー由来
の塩基配列が挿入されており、エンテロキナーゼ認識配
列などをスペーサーペプチドとして発現させることによ
り、FNCBDに対するbFGFまたはEGFの分子間
距離の調整および/またはプロテアーゼ認識配列の挿入
が可能である。スペーサー中のプロテアーゼ認識配列の
有無、種類、ペプチドの配列、長さは目的に応じて選択
する。
【0096】配列表配列番号4はヒトFNCBDとヒト
bFGFのハイブリッドポリペプチドであり、アミノ酸
番号1は開始コドンに対応するMet 、アミノ酸番号2〜
341はヒトFNCBDのアミノ酸配列、アミノ酸番号
342〜343はヒトFNCBDのcDNAとbFGF
のcDNAとの連結(XhoI認識配列とSalI認識
配列のライゲーション)により生じる塩基配列がコード
するLeu 及びAsp 、アミノ酸番号343〜347はエン
テロキナーゼの認識配列(DDDDK)、アミノ酸番号348
〜501はヒトbFGFのアミノ酸配列である。
【0097】配列表配列番号5はヒトFNCBDとヒト
EGFのハイブリッドポリペプチドであり、アミノ酸番
号1 は開始コドンに対応するMet 、アミノ酸番号2 〜34
1 はヒトFNCBDのアミノ酸配列、アミノ酸番号34
2〜343はヒトFNCBDのcDNAとEGFのcD
NAとの連結(XhoIとSalIサイトのライゲーシ
ョン)により生じる塩基配列がコードするLeu 及びAsp
、アミノ酸番号343〜347はエンテロキナーゼ認
識配列(DDDDK)、アミノ酸番号348〜400はヒトE
GFのアミノ酸配列である。
【0098】上記の様に構築されたプラスミドpTYB1(F
NCBD) 、pTYB1(FNCBD- FGF) 及びpTYB1(F
NCBD−EGF) は各々大腸菌に導入され、適当な条
件下で培養されることにより、目的ポリペプチドが大腸
菌内に蓄積される。発現の確認にはイムノブロッティン
グが用いられる。即ち、組換え大腸菌の全菌体タンパク
質がSDS −ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離さ
れ、ニトロセルロース膜転写後、FNCBD、bFGF
及びEGFを各々認識するモノクローナル抗体で目的ポ
リペプチドのバンドが検出される。
【0099】本発明のポリペプチドは、例えば次のよう
に調製される。プラスミドが導入された組換え大腸菌は
SBブロス等の培地で培養され、IPTG(イソプロピル
−β−D−ガラクトシド)が添加される。これによって
導入された遺伝子の発現が誘導され、さらに培養してか
ら菌体が回収される。集められた菌体は超音波処理によ
って破砕される。そして、菌体破砕液から遠心分離して
回収される沈殿に目的ポリペプチドは封入体として得ら
れ、8M尿素により変性可溶化される。
【0100】次いで、尿素濃度を段階的に低下させなが
ら透析して、目的タンパク質が再活性化される(リフォ
ールディング処理)。以上のように調製される40kDa 、
57kDa 及び46kDa のポリペプチドは各々、FNCBD
(図1のA)、FNCBDとbFGFとのハイブリッド
ポリペプチド(FNCBD- FGF、図1のB)及びF
NCBDとEGFとのハイブリッドポリペプチド(FN
CBD- EGF、図1のC)であり、B及びCがコラー
ゲン結合性生理活性ポリペプチドの具体例である。
【0101】上記のように調整されたポリペプチドのコ
ラーゲン結合活性は2種類の方法により調べられる。一
つは、バッチ法でゼラチン(ゼラチンセファロース4B
、アマシャムファルマシアバイオテク) に対する結合
活性を調べる方法である。1.5mlのマイクロチューブ
に上記ポリペプチドとゼラチンセファロース4B 混濁液
添加後、4℃1時間回転器で混合され、遠心後、その上
清が回収される。沈殿画分は1M塩化ナトリウム溶液で
2 度洗浄後、その上清が回収される。同様の操作で1M
尿素、2M尿素、4M尿素で順次、ゼラチンに結合した
ポリペプチドの溶出が試みられる。最後に、ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS) バッファー中で煮沸されて上清が回
収される。各々回収された上清のSDS-ポリアクリルアミ
ド電気泳動(SDS−PAGE) において、バンドの有
無からポリペプチドのゼラチンへの結合及びゼラチンか
らの溶出が調べられる。
【0102】別の方法では、異なる状態にあるコラーゲ
ン、即ちゼラチン、天然コラーゲン及びアテロコラーゲ
ン対するFNCBD、FNCBD- FGF及びFNCB
D−EGFの結合活性が調べられる。まず、ゼラチン、
天然コラーゲン及びアテロコラーゲンが各々96ウェル
プレートにコートされた後、血清アルブミンでブロッキ
ングされ、FNCBD、FNCBD−FGF及びFNC
BD−EGF各々の分注後、37℃で約1時間インキュ
ベートされる。洗浄後、抗FNCBDモノクローナル抗
体の添加、洗浄、標識2 次抗体反応、洗浄を経て、基質
の添加による呈色の吸光度測定からコラーゲン結合活性
が調べられる。
【0103】各々のコラーゲン結合性生理活性ポリペプ
チドの細胞増殖活性は、ミトコンドリア呼吸鎖の脱水素
酵素活性を測定する事で生細胞数に直接相関するXTT
法(Roehmら、Journal Immunological Methods 、第142
巻、257 〜265 頁(1991))またはWST-1法(Liuら、
Nature Medicine 、第1巻、第267 〜271 (1995))に
より調べられる。即ち、各々の該ポリペプチドが添加さ
れた培地中で、マウスBALB/c3T3細胞またはヒ
ト繊維芽細胞を4 日間培養後、XTTまたはWST-1試
薬が添加され、更に3−6時間培養される。その後、培
地の吸光度を特定の波長で測定することで、該ポリペプ
チドの細胞増殖活性が測定可能である。
【0104】XTT法またはWST-1法で上記と同様
に、コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドが複合化さ
れたコラーゲンマトリックスの細胞増殖活性が調べられ
る。コラーゲンコートされた細胞培養器に異なる量の該
ポリペプチド溶液が添加され、37℃に静置される。1 時
間後溶液を除いてリン酸緩衝液で洗浄後、各々の生理活
性ペプチドが複合化されたコーラゲンマトリックスが形
成される。このマトリックス上にBALB/c3T3細
胞、NRK49Fラット繊維芽細胞またはヒト繊維芽細
胞が4日間培養される。さらにXTTまたはWST-1試
薬が添加されて3−6時間培養される。その後、特定の
波長の吸光度が測定されることで、生理活性ペプチド複
合化コラーゲンマトリックスの細胞増殖活性が測定可能
である。
【0105】
【実施例】以下、本発明の実現性を実施例により具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。 (実施例1)ヒトFNCBDとヒトbFGFとのハイブ
リッドポリペプチド、及びヒトFNCBDとEGFとの
ハイブリッドポリペプチドの調製 (a)ヒトFNCBDをコードするcDNAのクローニ
ング ヒト腎臓の細胞から抽出したmRNAをテンプレートと
してプライマー(2)を用いてcDNAに逆転写し、プ
ライマー(1)及び(2)の1組のプライマーを用い
て、プラスミンとキモトリプシンで限定分解したときの
配列に相当するヒトFNCBDのcDNAをPCR増幅
させた(RT−PCR)。
【0106】配列表配列番号6で表されるプライマー
(1)の塩基番号1 〜2は、PCR後のKpnI消化に
備えた隣接付加配列、塩基番号3〜8は、クローニング
用のKpnI認識配列、塩基番号7〜12は、NcoI認
識配列、塩基番号13〜14は、発現フレーム合わせの配
列、塩基番号15〜20は、NdeI認識配列、塩基番号18
〜20は、ヒトFNCBDを発現させるための開始コドン
配列、塩基番号21〜49は、ヒトFNCBDの塩基配列で
ある。
【0107】また、配列表配列番号7で表されるプライ
マー(2)の塩基番号1〜2は、PCR後のBamHI
消化に備えた隣接付加配列、塩基番号3〜8は、クロー
ニング用のBamHI認識配列、塩基番号9〜11は、終
止コドンのアンチセンス配列、塩基番号12〜17は、bF
GFまたはEGFなどの生理活性ペプチドのcDNAと
連結させるためのXhoI認識配列、塩基番号18〜46
は、ヒトFNCBDのcDNAのアンチセンス配列であ
る。
【0108】RT−PCRは、RNA LAPCR Kit (AMV) Ve
r.1.1 (宝酒造)を用いて、まずトータルRNA 0.8μ
gを20μlの反応液量で60℃で20分間逆転写し、
さらに99℃で5分間加温した。得られたcDNAをテ
ンプレートとしたPCR反応は、100μlの反応液量
で、94℃で1分間保持した後、94度で30秒間→6
3度で1分間→72度で2分間の温度サイクルを12回
繰り返した。反応液の1/10量をアガロースゲル電気泳動
で解析した結果、約1kbp のDNA断片が認められた。
これは、ヒトFNCBDのcDNAに相当するサイズで
あった。
【0109】この増幅されたcDNA断片をKpnI及
びBamHIで消化後、KpnI及びBamHIで消化
したクローニングベクターpBluescriptSK に、25℃で
3分間、ライゲーションした(宝酒造製ライゲーション
キットVer.2を使用)。
【0110】塩基配列解析の結果、配列表配列番号8で
表されるcDNAが組み込まれたプラスミド得られ、こ
れをpBS(FNCBD) と命名した。配列表配列番号
8の塩基番号1〜6は、クローニング用のKpnI認識
配列、塩基番号5〜10は、NcoI認識配列、塩基番号
11〜12は、フレーム合わせの配列、塩基番号13〜18は、
NdeI認識配列、塩基番号16〜18は、ヒトFNCBD
を発現させるための開始コドン配列、塩基番号19〜1038
は、ヒトFNCBDのcDNAの塩基配列、塩基番号10
39〜1044は、bFGFまたはEGFなどの生理活性ペプ
チドのcDNAと連結させるためのXhoI認識配列、
塩基番号1045〜1047は、終止コドン、塩基番号1048〜10
53は、クローニング用のBamHI認識配列である。な
おFNCBDのcDNA配列は、EMBLデータバンク
(EMBL DATA BANK )に登録された配列と5塩基異なって
いたが、この相違はPCRによる点変異に起因しないこ
とは確認された。
【0111】(b)ヒトbFGFをコードするcDNA
のクローニング ヒト腎臓の細胞より抽出したmRNAをテンプレートと
してプライマー(4)を用いてcDNAに逆転写し、プ
ライマー(3)及び(4)の1組のプライマーを用いて
ヒトbFGFのcDNAをPCR増幅させた。配列表配
列番号9で表されるプライマー(3)の塩基番号1〜2
はPCR後のSalI消化に備えた隣接付加配列、塩基
番号3〜8はクローニング用及びFNCBDのcDNA
との連結用SalI認識配列、塩基番号6〜20はエンテ
ロキナーゼの認識配列(DDDDK)をコードした塩基配列、
塩基番号21〜40はヒトbFGFのcDNAの塩基配列で
ある。
【0112】また配列表配列番号10で表されるプライ
マー(4)の塩基番号1は、PCR後のEcoRI消化
に備えた隣接付加配列、塩基番号2〜7は、クローニン
グ用のEcoRI認識配列、塩基番号8〜10は、終止コ
ドンのアンチセンス配列、塩基番号11〜31は、ヒトbF
GFのcDNAのアンチセンス配列である。
【0113】RT−PCRはRNA LAPCR Kit (AMV) Ver.
1.1 (宝酒造)を用い、まずテンプレートのトータルR
NA0.8μgを反応液量20μlで、60℃で20分
間逆転写し、さらに99℃で5分間加熱した。PCR反
応は、cDNAを加えた100μlの反応液で、94℃
で2分間保持した後、94℃で30秒間→65℃で4分
間の温度サイクルを30回行った。反応液の1/10量をア
ガロースゲル電気泳動で解析した結果、約450bpの
DNA断片が認められた。これはヒトbFGFに相当す
るサイズであった。
【0114】このcDNA断片をSalI及びEcoR
Iで消化後、SalI及びEcoRIで消化したpBlues
criptSK にライゲーションした。そして配列表配列番号
11で表されるcDNAが組み込まれたプラスミドを得
てpBS(FGF) と命名した。配列表配列番号11の
塩基番号1〜6は、クローニング用及びFNCBDのc
DNAとの連結用SalI認識配列、塩基番号4〜18は
エンテロキナーゼの認識配列(DDDDK)をコードする塩基
配列、塩基番号19〜480 はヒトbFGFのcDNAの塩
基配列、塩基番号481 〜483 は終止コドン、塩基番号48
4 〜489 はクローニング用のEcoRI認識配列であ
る。なお、得られたヒトbFGFの塩基配列はEMBL
データバンク(EMBL DATABANK )に登録された配列と1
塩基異なっていたが、この相違はPCRによる点変異に
起因した。しかしながら、アミノ酸変化のないサイレン
ト点変異であったのでそのまま用いた。
【0115】(c)ヒトEGFをコードするcDNAの
クローニング ヒト腎臓の細胞より抽出したmRNAをテンプレートと
してプライマー(6)を用いてcDNAに逆転写し、プ
ライマー(5)及び(6)の1組のプライマーを用いて
ヒトEGFのcDNAをPCR増幅させた。配列表配列
番号12で表されるプライマー(5)の塩基番号1〜2
はPCR後のSalI消化に備えた隣接付加配列、塩基
番号3 〜8 はクローニング用及びFNCBDのcDNA
との連結用SalI認識配列、塩基番号6 〜20はエンテ
ロキナーゼの認識配列(DDDDK)をコードした塩基配列、
塩基番号21〜44はヒトEGFのcDNAの塩基配列であ
る。
【0116】また、配列表配列番号13で表されるプラ
イマー(6)の塩基番号1はPCR後のEcoRI消化
に備えた隣接付加配列、塩基番号2〜7はクローニング
用のEcoRI認識配列、塩基番号8〜10は終止コドン
のアンチセンス配列、塩基番号11〜30は、ヒトEGFの
cDNAのアンチセンス配列である。
【0117】RT−PCRは、TaKaRa RNA LA PCR K
it (AMV) Ver.1.1(宝酒造)を用い、まずテンプレート
のトータルRNA1.0μg を反応液量20μlで、6
0℃で30分間逆転写反応させ、99℃で5分間加熱し
た。PCR反応は、反応液量100μlで94℃で1分
間保持した後、94℃で30秒間→65℃で45秒間の
温度サイクルを35回行った。
【0118】反応液の1/10量をアガロースゲル電気泳動
で解析した結果、約150bpのDNA断片が認められ
た。これは、ヒトEGFに相当するサイズであった。こ
のDNA断片をSalI及びEcoRIで消化後、Sa
lI及びEcoRIで消化したpBluescriptSK にライゲ
ーションした。そして、配列表配列番号14で表される
cDNAが組み込まれたプラスミドが得られ、pBS
(EGF) と命名した。
【0119】配列表配列番号14の塩基番号1〜6はク
ローニング用及びFNCBDのcDNAとの連結用Sa
lI認識配列、塩基番号4〜18はエンテロキナーゼの認
識配列(DDDDK)をコードした塩基配列、塩基番号19〜17
7 はヒトEGFのcDNAの塩基配列、塩基番号178 〜
180 は終止コドン配列、塩基番号181 〜186 はクローニ
ング用のEcoRI認識配列である。なお得られたヒト
EGFの塩基配列は、EMBLデータバンク(EMBL DAT
A BANK)に登録された配列と同じであった。
【0120】(d)ヒトFNCBD発現ベクターの調製 上記(a)で得られたプラスミドpBS(FNCBD)
を、NdeI及びNotI(NotI認識配列はpBlues
criptSK のマルチクローニングサイトに存在)で処理し
た。挿入されていたFNCBDのcDNA断片を切り出
し、発現ベクターであるpTYB1(New England BioL
ab) )のNdeI−NotIサイトにライゲーションし
た。構築されたプラスミドをpTYB(FNCBD) と
命名した。
【0121】(e)FNCBDとbFGFのハイブリッ
ドポリペプチド発現ベクターの調製 上記(a)で得られたプラスミドpBS(FNCBD)
はKpnI及びXhoIで消化した。なお、EMBL DATA
BANKに登録された配列にはXhoI認識配列は存在しな
いが腎臓RNAからRT−PCRで得られたFNCBD
のcDNA配列中にはXhoI認識配列が存在したので
部分消化した。
【0122】この処理により挿入されていたFNCBD
のcDNA断片が切り出され、上記(b)で得られたプ
ラスミドpBS(FGF) のKpnI−SalIサイト
にライゲーションされた。このように構築されたプラス
ミドには、配列表配列番号15で表されるDNAが組み
込まれており、このプラスミドをpBS(FNCBD−
FGF) と命名した。
【0123】配列表配列番号15の塩基番号1〜6はク
ローニング用KpnI認識配列、塩基番号5〜10はNc
oI認識配列、塩基番号11〜12はフレーム合わせの配
列、塩基番号13〜18はNdeI認識配列、塩基番号16〜
18は開始コドン配列、塩基番号19〜1038はヒトFNCB
DのcDNA配列、塩基番号1039〜1044はXhoI認識
配列とSalI認識配列のライゲーションによって生じ
た塩基配列、塩基番号1042〜1056はエンテロキナーゼの
認識配列(DDDDK)をコードする塩基配列、塩基番号1057
〜1518はヒトbFGFのcDNA配列、塩基番号1519〜
1521は終止コドン、塩基番号1522〜1527はクローニング
用のEcoRI認識配列である。
【0124】pBS(FNCBD−FGF) に挿入され
ていたハイブリッド遺伝子DNA断片がNdeIとEc
oRIで切り出され、この断片は発現ベクターであるp
TYB1 のNdeI−EcoRIサイトにライゲーショ
ンされた。このように構築されたプラスミドをpTYB
1(FNCBD−FGF) と命名した。
【0125】(f)FNCBDとEGFのハイブリッド
ポリペプチドの発現ベクターの調製 上記(a)で得られたプラスミドpBS(FNCBD)
から、KpnI及びXhoI(部分消化)処理で、挿入
されていたFNCBDのDNA断片が切り出され、上記
(c)で得られたプラスミドpBS(EGF) のKpn
I−SalIサイトにライゲーションされた。このよう
に構築されたプラスミドには配列表配列番号16で表さ
れるDNAが組み込まれており、このプラスミドをpB
S(FNCBD−EGF) と命名した。
【0126】配列表配列番号16の塩基番号1〜6はク
ローニング用のKpnI認識配列、塩基番号5〜10はN
coI認識配列、塩基番号11〜12はフレーム合わせの配
列、塩基番号13〜18はNdeI認識配列、塩基番号16〜
18は開始コドン配列、塩基番号19〜1038はヒトFNCB
DのcDNA配列、塩基番号1039〜1044はXhoI認識
配列とSalI認識配列のライゲーションによって生じ
た塩基配列、塩基番号1042〜1056はエンテロキナーゼの
認識配列(DDDDK)をコードする塩基配列、塩基番号1057
〜1215はEGFのcDNA配列、塩基番号1216〜1218は
終止コドン、塩基番号1219〜1224はクローニング用のE
coRI認識配列である。
【0127】pBS(FNCBD−EGF) に挿入され
ていたハイブリッド遺伝子DNA断片がNdeIとEc
oRIで切り出され、発現ベクターであるpTYB1 の
NdeI−EcoRIサイトにライゲーションされた。
このように構築されたプラスミドをpTYB1(FNCBD−
EGF) と命名した。
【0128】(g)FNCBDとbFGFのハイブリッ
ドポリペプチド、及びFNCBDとEGFのハイブリッ
ドポリペプチドの発現の確認 pTYB1(FNCBD) 、pTYB1(FNCBD−FGF) 及び
pTYB1(FNCBD−EGF) で大腸菌株ER2566(NEW EN
GLAND BioLabs )を各々形質転換した。形質転換された
大腸菌は、100μg/mlのアンピシリンを含むLB
培地2mlで、一夜37℃で培養された。この前培養液
0.02mlを100μg/mlのアンピシリンを含む
SB培地2mlに接種した。菌濁度が0.5になるまで
培養後、1mMになるようにIPTG(イソプロピル−
β−D−ガラクトシド)を添加し、さらに37℃で2時
間培養後集菌した。
【0129】全菌体タンパク質をSDS−PAGE(1
2%ゲル)で展開した後クマシー染色を行った。その結
果、染色ゲルにおいて、それぞれの大腸菌からFNCB
D、FNCBDとbFGFのハイブリッド及びFNCB
DとEGFのハイブリッドそれぞれの分子量に相当する
40kDa 、57kDa 及び46kDa に各々のバンドが観察
され、組換えポリペプチドの発現が確認された。
【0130】別に、SDS−PAGE後のゲルをニトロ
セルロース膜に転写し、FNCBDを特異的に認識する
モノクローナル抗体(FNC4-4、宝酒造)、bFGFを特
異的に認識するモノクローナル抗体(FGF-2(C-18) 、Sa
nta Cruz Biotechnology)、及びEGFを特異的に認識
するモノクローナル抗体(Clone10825.1 R&D Systems)
を作用させた。
【0131】その結果、40kDa のポリペプチドには抗
ヒトFNCBDモノクローナル抗体が反応し、57kDa
のポリペプチドには抗ヒトFNCBDモノクローナル抗
体及び抗ヒトbFGFモノクローナル抗体が反応し、4
6kDa のポリペプチドには抗ヒトFNCBDモノクロー
ナル抗体及び抗ヒトEGFモノクローナル抗体が反応す
ることが確認された。従って、40kDa のポリペプチド
はヒトのFNCBD、57kDa のポリペプチドはヒトF
NCBDとヒトbFGFとのハイブリッドポリペプチド
(FNCBD−FGF)、そして46kDa のポリペプチ
ドはヒトFNCBDとヒトEGFとのハイブリッドポリ
ペプチド(FNCBD−EGF)と考えられる。
【0132】以上のようにプラスミドpTYB1(FNCB
D) 、pTYB1(FNCBD−FGF) 及び pTYB1( FNC
BD−EGF) で形質転換され、各々のポリペプチドの
発現が確認された大腸菌ER2566(NEW ENGLAND BioLab
s )を、各々、ER2566 [pTYB1(FNCBD)]、ER25
66 [pTYB1(FNCBD−FGF)]、ER2566 [pTYB1(F
NCBD−EGF)]と命名した。
【0133】(h)発現ポリペプチドの調製 上記(g)で得られた大腸菌を100μg/mlのアン
ピシリンを含むLB培地2mlで一夜37℃で前培養し
た。この前培養液0.2mlを100μg/mlのアン
ピシリンを含むSB培地2mlに接種した。IPTGを
添加し、さらに37℃で培養した後集菌した。
【0134】得られた菌体は2mlの超音波処理緩衝液
[50mMトリス(Tris)−塩酸緩衝液pH8.0、50
mM塩化ナトリウム、1mMエチレンジアミン四酢酸(E
DTA)]で洗浄後、遠心分離して再び同緩衝液2mlに懸
濁し、超音波の15秒処理・15秒休止を氷冷で6回繰
り返して菌体を破砕した。
【0135】この懸濁液に終濃度1%になるようにトラ
イトンX-100(TritonX-100) を添加し、4℃、 5,000回
転/分で20分間遠心分離した。得られた沈査をさらに封
入体洗浄液[0.5%TritonX-100 、1mM EDTA ]で
3回洗浄した。遠心分離後、不溶画分を8M尿素溶液
[8M尿素、50mM Tris-塩酸緩衝液pH8.0、1
mMのEDTA]中に1時間室温で静置して溶解した。
次にこの溶解液を4℃、14,000回転/分で20分間遠心
分離し、上清を回収した。
【0136】上清は、4M尿素溶液、2M尿素溶液に対
して順次透析され、最後に結合活性実験用として超音波
処理緩衝液、あるいは細胞増殖活性実験用としてリン酸
緩衝液[10mMリン酸緩衝液pH8.0、50mM塩
化ナトリウム] に対して透析された。
【0137】透析後、4℃、14,000回転/分で20分間
遠心分離し、上清を可溶化組換えタンパク質標品とし
た。得られた標品はSDS−PAGEにより、アミノ酸
配列から算出される40kDa 、57kDa 及び46kDa の
位置に各々のバンドが検出され、組換えタンパク質であ
るポリペプチドが確認された。さらに、実施例2の(b
−3)以降は、ゼラチンセファロース4Bで精製後、リ
ン酸緩衝液で透析されたポリペプチドサンプルが使用さ
れた。
【0138】(実施例2) <生物活性の検討>前記実施例1で得られたFNCB
D、FNCBD−FGF及びFNCBD−EGFを用い
てコラーゲン結合活性及び細胞増殖活性を調べた。 (a)コラーゲン結合活性の測定 FNCBD−FGFのゼラチン(ゼラチンセファロース
4B、アマシャムファルマシアバイオテク) に対する結
合活性はバッチ法によって調べた。その方法の概要を図
3に示す。
【0139】組換えタンパク質標品としては、超音波処
理緩衝液に透析された約50μg/mlのFNCBD−
FGFを用いた。1.5mlのマイクロチューブに50
0μlのFNCBD−FGFと100μlのゼラチンセ
ファロース4B混濁液(超音波処理緩衝液で2回洗浄
後、50%(容積/容積) 混濁液とした)を加え、4℃
で1時間回転器で混合した。5000回転/分で30秒遠心
後、その上清を回収した。次に沈査に1M塩化ナトリウ
ム溶液を500μl加え混濁後、5,000 回転/分で30
秒遠心し、その上清を回収した。同様に再度、1M塩化
ナトリウム溶液で沈査を洗浄した。次に同様の操作で1
M尿素、2M尿素、4M尿素溶液で順次ゼラチンセファ
ロース4Bに結合しているタンパク質の溶出を試みた。
最後に、100μlのSDSバッファー中で90℃に加
熱してゼラチンセファロース4Bに結合しているタンパ
ク質を溶出させた。
【0140】以上の操作とは別にFNCBD−FGFの
ヘパリン(AF−へパリントヨパール、トーソー) に対
する結合活性をバッチ法により調べた。1.5mlのマ
イクロチューブに500μlのFNCBD−FGFと1
00μlのAF−へパリントヨパール混濁液(超音波処
理緩衝液で2度洗浄後、50%(容積/容積) 混濁液と
した)を加え、4 ℃で1 時間回転器で混合した。 5,000
回転/分で30秒遠心後、その上清を回収した。沈査は
1 M塩化ナトリウム溶液500μlで2回洗浄後(この
上清は電気泳動しなかった。)、100μlのSDSバ
ッファー中で90℃、5分間加温して結合しているタン
パク質を溶出した。各々、回収した上清5μlに6倍濃
度のSDSバッファー1μlを混合し、90℃で5分間
静置後、12%SDS−PAGEを行った。
【0141】図4に示すSDS−PAGEのゲルでは、
レーン3にアミノ酸配列から計算される57 kDaの付近に
FNCBD−FGFのバンドが検出されず、FNCBD
−FGFのゼラチンへの結合が明らかになった。次い
で、1M塩化ナトリウム溶液による2回の洗浄によって
もバンドは検出されず(レーン4及び5)、1 M塩化ナ
トリウム溶液の洗浄では、FNCBD−FGFはゼラチ
ンから溶出しないことが明らかとなった。同様の操作で
1M尿素、2M尿素、4M尿素で溶出を試みた結果、1
M尿素、2M尿素では、ほとんどバンドは検出されず
(レーン6及び7 )、4M尿素で薄いバンドが検出され
た(レーン8)。
【0142】90℃のSDSバッファーによる溶出によ
り、FNCBD−FGFのバンドは検出された(レーン
9)。即ち、1 M尿素、2M尿素では、FNCBD−F
GFはゼラチンからほとんど溶出されず、4M尿素で部
分的に溶出し、90℃のSDS バッファーによって殆どが溶
出されることから、FNCBD−FGFのゼラチンに対
する強固な結合が裏付けられた。
【0143】FNCBD−FGFのヘパリンに対する結
合では、レーン10でバンドが検出されず、その結合活性
が明らかになった。1M塩化ナトリウム溶液による洗浄
後、90℃のSDSバッファーによりヘパリンからFNC
BD−FGFが溶出してバンドが検出され(レーン1
1)、FNCBD−FGFのヘパリンに対する結合が裏
付けられた。即ちbFGF部分は天然のbFGFと同様
の立体構造を持ち、生理活性としても保持されている。
以上のことから、FNCBD−FGFはFNCBD部分
において強固なゼラチン結合性を保持し、bFGF部分
はヘパリン結合性を保持していることが証明された。
【0144】酵素結合免疫評価法(ELISA法) で
は、ウシゼラチン(シグマ)、ウシ天然コラーゲン (I
−AC、高研)、ウシアテロコラーゲン(I−PC、高
研)及びウシ血清アルブミン(BSA、シグマ)に対す
るFNCBD、FNCBD−FGF及びFNCBD- E
GFの結合活性を調べた。ELISA法の概念図を図5
に示す。
【0145】最初に、ELISA用平底の96ウエル
(well)マルチプレートに各々100μg/mlのゼラ
チン、天然コラーゲン、アテロコラーゲン、血清アルブ
ミンのリン酸緩衝化生理的食塩水溶液を200μl/ウ
エルで分注し、4℃で一夜静置した。
【0146】その溶液を捨て、一昼夜、3%血清アルブ
ミンでブロッキングした。0.05% Tween 20 のリン
酸緩衝化生理的食塩水溶液でウエルを3回洗浄後、リン
酸緩衝化生理的食塩水で希釈した1μg/ml、100 n
g/ml、10ng/ml、0ng/mlのFNCBD、
FNCBD−FGF及びFNCBD−EGF溶液を 100
μl、各々のウエルに分注し、37℃で1時間、静置し
た。
【0147】Tween 20を0.05%含むリン酸緩衝化生
理的食塩水溶液で3回洗浄後、1000分の1に希釈さ
れた抗ヒトFNCBDモノクローナル抗体(宝酒造) を
100μl分注し、室温で1時間静置した。0.05%
Tween 20/リン酸緩衝化生理的食塩水溶液でウエルを3
回洗浄後、1000倍希釈のペルオキシダーゼ標識抗マ
ウスイムノグロブリンポリクローナル抗体(ダコジャパ
ン)を100μlウエルに分注し、室温で1時間静置し
た。0.05% Tween20/リン酸緩衝化生理的食塩水溶
液でウェルを6回洗浄後、1mg/mlオルトフェニレ
ンジアミン(o-phenylenediamine)と、0.03%過酸化水
素を含む 0.1Mクエン酸緩衝液pH4.7を分注し、1
0分静置後、4規定硫酸50μlで反応を停止し、49
2nm−690nmの吸光度を測定した。
【0148】図6に100μg/mlのゼラチン、天然
コラーゲン、アテロコラーゲン、血清アルブミンを各々
マルチプレートに固相化し、1μg/mlのFNCBD
を反応させた場合の結果を示す。縦軸には吸光度を示
す。血清アルブミンを固相化した場合の吸光度は0.08、
ゼラチン、天然コラーゲン、アテロコラーゲンの場合の
吸光度は、各々、2.27、2.08、1.93であり、血清アルブ
ミンの10倍を越える吸光度となった。
【0149】図7には、 0.1μg/mlFNCBD−F
GFを、ゼラチン、天然コラーゲン、アテロコラーゲ
ン、血清アルブミンに反応させた結果を示す。ゼラチ
ン、天然コラーゲン、アテロコラーゲンの場合の吸光度
は、各々、1.60、2.12、2.20、血清アルブミンを用いた
場合の吸光度は0.27であった。このように、FNCBD
−FGFのゼラチン、天然コラーゲン、アテロコラーゲ
ンに対する結合度は、血清アルブミンに対する結合度に
比べて顕著に高い値を示す。
【0150】同様に、図8に示すように、FNCBD−
EGFを血清アルブミン、ゼラチン、天然コラーゲン、
アテロコラーゲンに反応させた結果では、吸光度は各
々、0.11、1.54、1.66、1.54を示し、固相化したゼラチ
ン、天然コラーゲン、アテロコラーゲンに対する結合は
血清アルブミンに対する結合より明らかに高値であっ
た。
【0151】ELISA法における吸光度は、結合活性
に相関して高くなると考えられるが、非特異的な結合と
見なせる固相化血清アルブミンとの反応に比べ、FNC
BDと固相化ゼラチン、天然コラーゲン、アテロコラー
ゲンとの反応では約10倍高い吸光度を示すことから、
これらの反応は特異的な結合反応と考えられる(図
6)。同様に図7に示すFNCBD−FGF及び図8に
示すFNCBD−EGFの固相化ゼラチン、コラーゲン
への反応も特異的な結合といえる。このことは、本発明
で遺伝子工学的に産生されたポリペプチドが、FNCB
Dが本来持っているコラーゲン結合活性を消失すること
なく細胞成長因子がハイブリッド化された分子であるこ
とを示す。すなわち、ハイブリッドポリペプチドとした
ことにより、細胞成長因子にコラーゲン結合活性の付与
が可能であった。
【0152】(b)細胞増殖活性の測定 上記(a)でコラーゲン結合活性を示したFNCBD、
FNCBD−FGF及びFNCBD−EGFについてさ
らに、それらが細胞増殖活性を維持しているかどうかを
検討した。
【0153】(b−1)マウス繊維芽細胞株 BALB/c3T3細胞(マウス繊維芽細胞株)を、3
%牛胎児血清を含むイスコブ改変ダルベッコイーグル培
地(3%FBS−IMDM)に懸濁し、24穴マイクロ
プレートに2×103 細胞/ウェルで分注後、5%二酸化
炭素存在下、37℃で5時間培養した。その後、培地を
0.6%牛胎児血清を含むIMDM培地(0.6%FB
S−IMDM)に交換し、更に37℃で24時間培養し
た。次に、FNCBD、FNCBD−EGFまたはEG
Fを培地中に添加し、37℃で4日間培養した。細胞
は、さらにWST-1試薬(ベーリンガーマンハイム
(株))が培地の10分の1容添加された後、37℃で
3時間培養した。培地を96穴マイクロプレートに移
し、マイクロプレートリーダーによって450nm−6
90nmの吸光度を測定し、細胞増殖活性を調べた。
【0154】図9に示すように、FNCBD−EGF
は、BALB/c3T3細胞に対して、濃度依存的に細
胞増殖活性を示し、EGFの細胞増殖活性を越える結果
となった。一方、FNCBDについても、BALB/c
3T3細胞に対して細胞増殖活性を示した。従って、F
NCBDをEGFにハイブリッド化させることで、EG
Fの細胞増殖活性は消失しなかったと考えられる。さら
に、FNCBDが細胞増殖活性を示した事及びFNCB
D−EGFがEGFを越える細胞増殖活性を示した事か
ら、FNCBD−EGFは、FNCBDとEGFとが相
加した増殖活性を示したと考えられる。
【0155】(b−2) ヒト繊維芽細胞 ヒト繊維芽細胞を、3%牛胎児血清を含むイスコブ改変
ダルベッコイーグル培地(3%FBS−IMDM)に懸
濁し、24穴マイクロプレートに5×103 細胞/ウェル
で分注後、5%二酸化炭素存在下、37℃で5時間培養
した。その後、培地を0.6%牛胎児血清を含むIMD
M培地(0.6%FBS−IMDM)に変更し、更に、
37℃で24時間培養した。次にFNCBDまたはFN
CBD−FGFを添加し、37℃で4日間培養した。X
TT試薬(ベーリンガーマンハイム(株))を培地容量
の2分の1添加して更に、37℃で6時間培養した。培
地は96穴マイクロプレートに移され、マイクロプレート
リーダーによって、492nm−690nmの吸光度測
定を行い、細胞増殖活性を調べた。
【0156】図10に示すように、FNCBD−FGF
は、ヒト繊維芽細胞に対して、濃度依存的に細胞増殖活
性を示した。一方、FNCBDについても、BALB/
c3T3細胞の場合より弱いがヒト繊維芽細胞に対して
細胞増殖活性を示した。以上の結果から、FGFにコラ
ーゲン結合性を付与したことで、bFGFの細胞増殖活
性は消失しなかったと考えられる。
【0157】(b−3)NRK49F細胞 これ以降はゼラチンセファロース4Bで精製し、リン酸
緩衝液で透析した組換えタンパク質標品を用いた。NR
K49F細胞(ラット繊維芽細胞株)は、2 %牛胎児血清
を含むダルベッコ改変イーグル培地(2%FBS-DMEM)に懸
濁され、24穴マイクロプレートに1 ×104 細胞/ウェル
で分注後、5 %二酸化炭素存在下、37℃で7 時間培養さ
れた。次に、5 倍希釈系列のFNCBD、FNCBD−
EGF又はEGF(各々n=3)を各々のウエルの培地
中に添加し、37℃で4日間培養された。細胞はさらに
WST-1 試薬(同仁化学研究所)を培地の10分の1 容添加
後、37℃で3時間培養された。培地を96穴マイクロプレ
ートに移し、マイクロプレートリーダーによって、450
nm−690 nmの吸光度から細胞増殖活性を調べた。図11
に示すように、 NRK49F 細胞に対して、FNCBD−E
GFは濃度依存的に細胞増殖活性を示し、EGFの細胞
増殖活性と類似した結果となった。一方、FNCBDに
ついては、この濃度では NRK49F 細胞に対して細胞増殖
活性を示さなかった。従って、FNCBDをEGFにハ
イブリッド化させることで、EGFの細胞増殖活性は消
失しなかったと考えられる。
【0158】(実施例3) <機能性の比較>コラーゲン結合性細胞増殖因子と、元
の細胞増殖因子の機能を比較した。 (a)細胞増殖因子複合化コラーゲンの細胞増殖活性 コラーゲン結合活性及び細胞増殖活性が確認されたコラ
ーゲン結合性細胞増殖因子の例として、FNCBD−E
GFをコラーゲンに結合後(FNCBD−EGF複合化
コラーゲン)、その細胞増殖活性が調べられた。この実
施例を模式化して図12に示す。最初に、組織培養用24
穴マイクロプレートに3 mg/ml のアテロコラーゲン塩酸
溶液(pH3.0 )を500 μl/ウエルで分注し、一夜、4 ℃
で静置した。その溶液を捨て、0.05% Tween 20 のリン
酸緩衝化生理的食塩水溶液で4 回洗浄し、続いてリン酸
緩衝化生理的食塩水溶液で2 回洗浄後、無血清DMEM培地
で1 回洗浄した。次に、無血清DMEM培地で希釈した0 n
M、2.5 nM、5 nM、10 nM 、20 nM 、もしくは40 nM のF
NCBD-EGF またはEGF 溶液を250 μl 、各々のウエルに
分注し、37℃で2 時間、静置した。溶液を捨て0.05% T
ween 20 のリン酸緩衝化生理的食塩水溶液で2 回洗浄
し、続いてリン酸緩衝化生理的食塩水溶液で6 回洗浄
後、ハンクス緩衝液で1 回洗浄した。次に無血清ヒト角
化細胞基礎培地(KBM2)へ添加剤であるウシ下垂体抽出物
(BPE) を添加した培地(KBM2+BPE)にヒト角化細胞が懸
濁され、24穴マイクロプレートに104 細胞/0.5 ml/ ウ
ェルで分注された。ウエルにコートされたコラーゲンに
FNCBD−EGF又はEGFの各々が100 %保持され
た場合、終濃度は0 nM、1.25 nM 、2.5 nM、5 nM、10 n
M または20 nM になる。この条件でヒト角化細胞は5 %
二酸化炭素存在下、37℃で4 日間培養された。そして、
WST-1 試薬を培地の10分の1 容添加後、細胞はさらに37
℃で3時間培養された。培地を96穴マイクロプレートに
移し、マイクロプレートリーダーによって、450 nm−69
0 nmの吸光度を測定し、細胞増殖活性が調べられた。
【0159】図13に示すように、EGF と異なり、FNCB
D-EGF はヒト角化細胞に対して濃度依存的に細胞増殖活
性を示した。この結果は、FNCBD-EGF とEGF とのコラー
ゲン結合性の差異により生じたと考えられる。従って、
FNCBD-EGFは、フィブロネクチン由来のペプチドとEGF
とが連結されているポリペプチドであり、かつコラーゲ
ン結合活性及びEGF 活性の両活性を有することを特徴と
するコラーゲン結合性生理活性ポリペプチドと言える。
また、コラーゲンに結合後、結合を保持したままか又は
徐放されることによりEGF 活性を示すことを特徴とする
コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドでもある事が判
明した。
【0160】また FNCBD-EGFの結合したコラーゲンは、
コラーゲン結合性EGF 及びコラーゲン由来のポリペプチ
ドを含むことを特徴とするバイオマテリアル(EGF 複合
化コラーゲン)の一つである。また、上記ヒト角化細胞
の培養法は、生理活性ペプチド複合化コラーゲンを用い
て細胞に対して増殖活性の促進などの生理活性を与える
方法の一例である。
【0161】(b)FNCBD-EGF とEGF のコラーゲンに対
する結合活性の比較 ELISA法を用い、コラーゲンに対するFNCBD-EGF とEGF
の結合活性を比較した。最初に、組織培養用平底の96 w
ell マルチプレートに 3mg/ml のI 、II、IIIもしくはI
V型アテロコラーゲンの塩酸溶液(pH3.0 )またはBSA
またはBlock Ace (ブロッキング剤)を200 μl/ウエル
で分注し、一夜、4 ℃で静置した。その溶液を捨て、0.
05%/Tween 20 のリン酸緩衝化生理的食塩水溶液で、6
回ウエルを洗浄後、無血清DMEM培地で希釈した0 nM、1.
25 nM 、 2.5 nM 、 5 nM 、 10nM、 20 nMのFNCBD-EGF
溶液又は0 nM、1.25 nM 、 2.5 nM 、 5 nM 、 10 n
M、20 nMのEGF 溶液を100 μl 、各々のウエルに分注
し、37℃で2 時間、静置した。次に0.05%Tween 20/リ
ン酸緩衝化生理的食塩水溶液で3 回洗浄後、原液を1000
分の1 に希釈された抗ヒトEGF モノクローナル抗体を10
0 μl 分注し、室温で1時間静置させた。続いて0.05%
Tween 20/リン酸緩衝化生理的食塩水溶液で3回ウエル
洗浄後、1000倍希釈のペルオキシダーゼ標識抗マウスイ
ムノグロブリンポリクローナル抗体100 μl をウエルに
分注し、室温で1 時間、静置させた。最後に0.05% Twe
en 20 /リン酸緩衝化生理的食塩水溶液でウェルを6回
洗浄後、1 mg/ml オルト- フェニレンジアミン(o-pheny
lenediamine)と0.03% 過酸化水素を含む0.1 M クエン酸
緩衝液pH4.7 を分注し、約10分静置後、4 規定硫酸50μ
lで反応を停止した。プレートリーダーにより、492 nm-
690 nm の吸光度を測定した。
【0162】図14に得られた吸光度の値をグラフで示
す。縦軸はコラーゲン結合活性を吸光度で示し、FNCBD-
EGF 又はEGF の濃度を横軸に表した。I 、II、III また
はIV型アテロコラーゲンのいずれをコートしたウエルで
も、FNCBD-EGF を1.25 nM 、2.5 nM 、 5 nM 、 10 n
M、 20 nMの濃度で分注したウエルの吸光度の値は、 FN
CBD-EGFを0 nMで分注したウエルの吸光度を0 として、
濃度依存的に高い値を示した。一方、EGF を1.25 nM 、
2.5 nM 、 5 nM 、 10 nM、 20 nMの濃度で分注したウ
エルの吸光度は、0 nMの濃度で分注したウエルとほぼ同
じであった。ELISA 法における吸光度は、結合活性に相
関して高くなると考えられるため、EGF にフィブロネク
チンのコラーゲン結合性ドメインを融合したFNCBD-EGF
は、元のEGF に比べて顕著なコラーゲン結合性を示すこ
とが明らかにされた。従って、実施例3の(a) で示され
たFNCBD-EGF のヒト角化細胞への増殖促進活性は、その
コラーゲン結合性に基づくと裏付けられた。すなわち、
FNCBD-EGF はコラーゲンを介して保持され、局所におけ
る細胞増殖活性を示すことが可能であった。以上の実施
例は、元の生理活性ペプチドでは不可能であった局所保
持、徐放およびコラーゲンへのターゲッティングの機能
が本発明により生理活性ペプチドの生理活性を保持した
まま付与された事を意味する。
【0163】(c)細胞増殖因子複合化コラーゲンの細
胞増殖活性の長期安定性 コラーゲン結合活性及び細胞増殖活性が確認されたコラ
ーゲン結合性細胞増殖因子の例として、FNCBD-EGF をコ
ラーゲンに結合後(FNCBD-EGF 複合化コラーゲン)、そ
の細胞増殖活性が調べられた。最初に、組織培養用24穴
マイクロプレートに1mg/ml のアテロコラーゲン塩酸溶
液(pH3.0 )を500 μl/ウエルで分注し、一夜、4 ℃で
静置した。その溶液を捨て、0.05% Tween 20 のリン酸
緩衝化生理的食塩水溶液で4 回洗浄し、続いてリン酸緩
衝化生理的食塩水溶液で2 回洗浄後、無血清IMDM培地で
1回洗浄した。次に、無血清DMEM培地で希釈した0nM、
8nM、40 nM 、200 nMまたは1000nMのFNCBD-EGF 溶液
(n=3)を250 μl 、各々のウエルに分注し、37℃で2 時
間、静置した。溶液を捨てリン酸緩衝化生理的食塩水溶
液で2回洗浄後、DMEMで1 回洗浄した。DMEMを500 μl/
ウエルで分注し、一週間37℃で静置した。次に、無血清
DMEM培地で希釈した0 pM、8 pM、40pM、200 pMまたは10
00pMのEGF溶液 (n=2)を250μl 、各々のウエルに
分注し、37℃で2時間、静置した。溶液を捨て、 FNCBD
-EGF又はEGF を分注したウエルを0.05%Tween 20 のリ
ン酸緩衝化生理的食塩水溶液で2 回洗浄し、続いてリン
酸緩衝化生理的食塩水溶液で6回洗浄後、DMEMで1回洗
浄した。2%ウシ胎児血清を含んだDMEM培地にNRK49Fラ
ット繊維芽細胞が懸濁され、24穴マイクロプレートに10
4細胞/0.5 ml/ウェルで分注された。ウエルにコート
されたコラーゲンにFNCBD-EGF 又はEGF の各々が100 %
保持された場合、終濃度は0 pM、4 pM、20pM、100pMま
たは500 pMになる。この条件でNRK49F細胞は5 %二酸化
炭素存在下、37℃で4 日間培養された。そして、WST-1
試薬を培地の10分の1 容添加後、細胞はさらに37℃で3
時間培養された。培地を96穴マイクロプレートに移し、
マイクロプレートリーダーによって、450 nm−690 nmの
吸光度を測定し、細胞増殖活性が調べられた。
【0164】図15に示すように、EGF と異なり、FNCB
D-EGF はNRK49F細胞に対して濃度依存的に細胞増
殖活性を示した。この結果は、FNCBD-EGF とEGF とのコ
ラーゲン結合性の差異により生じたと考えられる。ま
た、FNCBD-EGF は一週間37℃で放置されたにも関わら
ず、コラーゲン結合活性及びEGF 活性の両活性を維持
し、コラーゲンに結合後、結合を保持したままか又は徐
放されることによりEGF 活性を示すことが分かった。こ
の結果は、生体中に置いても、生体中のコラーゲンにFN
CBD-EGF が結合するかまたはコラーゲン材料からなるバ
イオマテリアル(EGF複合化コラーゲン)として細胞、
組織、臓器に対して増殖、分化、再生又は物質産生の促
進などの生理活性を与え得ることを意味する。
【0165】(d)FNCBD-EGF とEGF のコラーゲンター
ゲティング活性の比較 ELISA法を用い、高濃度混入タンパク質存在下でのコラ
ーゲンに対するFNCBD-EGF とEGF のターゲティング活性
を比較した。最初に、組織培養用平底の96 well マルチ
プレートに3mg/ml のI 型アテロコラーゲンの塩酸溶液
(pH3.0 )を200 μl/ウエルで分注し、一夜、4 ℃で静
置した。その溶液を捨て、0.05%/Tween20 のリン酸緩
衝化生理的食塩水溶液で、6 回ウエルを洗浄後、80 mg/
ml高濃度ウシ血清アルブミン(BSA)のDMEM培地溶液
で希釈した0 nM、2 nM、 4 nM 、8 nM のFNCBD-EGF 溶
液又は0 nM、2 nM、 4 nM 、 8 nM のEGF 溶液を100 μ
l、各々のウエルに分注し、37℃で1時間、静置した。
次に0.05%Tween 20/リン酸緩衝化生理的食塩水溶液で
3回洗浄後、原液を1000分の1に希釈された抗ヒトEGF
モノクローナル抗体を100 μl 分注し、室温で1 時間静
置させた。続いて0.05%Tween 20/リン酸緩衝化生理的
食塩水溶液で3 回ウエル洗浄後、1000倍希釈のペルオキ
シダーゼ標識抗マウスイムノグロブリンポリクローナル
抗体100 μlをウエルに分注し、室温で1時間、静置さ
せた。最後に0.05% Tween 20 /リン酸緩衝化生理的食
塩水溶液でウェルを6回洗浄後、1 mg/ml オルト- フェ
ニレンジアミン(o-phenylenediamine)と0.03% 過酸化水
素を含む0.1 M クエン酸緩衝液pH4.7 を分注し、約10分
静置後、4 規定硫酸50μl で反応を停止した。プレート
リーダーにより、492 nm-690 nm の吸光度を測定した。
【0166】図16に得られた吸光度の値をグラフで示
す。縦軸はコラーゲンターゲティング活性を吸光度で示
し、FNCBD-EGF 又はEGF の濃度を横軸に表した。I 型ア
テロコラーゲンをコートしたウエルで、FNCBD-EGF を0
nM、2 nM、 4 nM 、 8 nM の濃度で分注したウエルの吸
光度の値は、濃度依存的に高い値を示した。一方、EGF
を0 nM、2 nM、 4 nM 、 8 nM の濃度で分注したウエル
の吸光度は、0 nMの濃度で分注したウエルとほぼ同じで
あった。ELISA 法における吸光度は、コラーゲンターゲ
ティング活性に相関して高くなると考えられるため、EG
F にフィブロネクチンのコラーゲン結合性ドメインを融
合したFNCBD-EGF は、元のEGF に比べて高濃度混入タン
パク質存在下で顕著なコラーゲンターゲティング活性を
示すことが明らかにされた。すなわち、FNCBD-EGF は生
体中または生体外でも高濃度混入タンパク質存在下でも
コラーゲンを特異的にターゲッティングし、局所におけ
る細胞増殖活性を示すことが可能である。以上の実施例
は、元の生理活性ペプチドでは不可能であった局所保
持、コラーゲンへのターゲッティングの機能が本発明に
より生理活性ペプチドの生理活性を保持したまま付与さ
れた一例である。また、本発明は、生理活性ペプチドの
新規なドラッグデリバリーシステムである事が証明され
た。
【0167】(e)FNCBD-EGF の血漿FNによる徐放、放
出特性 ELISA法を用い、血漿FNによるコラーゲンからのFNCBD-E
GF の徐放、放出特性を検討した。最初に、組織培養用
平底の96 well マルチプレートに3mg/ml のIまたはIV
型アテロコラーゲンの塩酸溶液(pH3.0 )を200 μl/ウ
エルで分注し、一夜、4 ℃で静置した。その溶液を捨
て、0.05%/Tween 20 のリン酸緩衝化生理的食塩水溶液
で、6回ウエルを洗浄後、DMEM培地溶液で希釈した 20
nMのFNCBD-EGF 溶液を100 μl 、各々のウエルに分注
し、37℃で90分、静置した。次に0.05%Tween 20/リン
酸緩衝化生理的食塩水溶液で3回洗浄後、PBS溶液で
希釈した 20 、40、80、160 、320 、640 、1280 nM 濃
度のFN溶液またはFNと同じ重量濃度(μg/ml)希釈系
列のBSAを100 μl 、各々のウエルに分注し、37℃で
90分、静置した。0.05%Tween 20/リン酸緩衝化生理的
食塩水溶液で3回洗浄後、原液を1000分の1に希釈され
た抗ヒトEGF モノクローナル抗体を100 μl 分注し、室
温で1時間静置させた。続いて0.05%Tween 20/リン酸
緩衝化生理的食塩水溶液で3回ウエル洗浄後、1000倍希
釈のペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリンポ
リクローナル抗体100 μl をウエルに分注し、室温で1
時間、静置させた。最後に0.05% Tween 20 /リン酸緩
衝化生理的食塩水溶液でウェルを6回洗浄後、1 mg/ml
オルト- フェニレンジアミン(o-phenylenediamine)と0.
03%過酸化水素を含む0.1 M クエン酸緩衝液pH4.7 を分
注し、約10分静置後、4 規定硫酸50μl で反応を停止し
た。プレートリーダーにより、492 nm-690 nm の吸光度
を測定した。
【0168】図17に得られた吸光度の値をグラフで示
す。縦軸はコラーゲン結合活性を吸光度を示し、FNCBD-
EGF とFNのモル濃度比を横軸に表した。I 型アテロコ
ラーゲンをコートしたウエルにFNCBD-EGF を結合後 20
、40、80、160 、320 、640、1280 nM 濃度でFNを分
注したウエルの吸光度の値は、FNの濃度依存的に減少
した。ELISA 法における吸光度の低下は、コラーゲンに
結合しているFNCBD-EGF の減少に相関して低くなると考
えられるため、EGF にフィブロネクチンのコラーゲン結
合性ドメインを融合したFNCBD-EGF は、FNによりその
コラーゲン結合が競合阻害されることが明らかにされ
た。すなわち、FNCBD-EGF は生体中または生体外でコラ
ーゲンに結合後、血漿FNにより特異的に徐放、放出さ
れる性質を示すことが明らかになった。以上の実施例
は、血漿、血清、または血液の侵入、暴露、添加または
共存化において、コラーゲン結合性生理活性ポリペプチ
ドがコラーゲンから徐放、放出すること、血漿、血清、
または血液の不足した即ち細胞増殖因子などの生理活性
ペプチドの飢餓状態にある部位ではコラーゲンに保持さ
れる特徴を持つ一例である。従って、本発明は、生理活
性ペプチドをコラーゲンにターゲティングし、保持さ
れ、制御された徐放を行う新規なドラッグデリバリーシ
ステムである事が証明された。
【0169】
【発明の効果】生理活性ペプチドの活性が維持され、か
つコラーゲンに対する結合活性が付与されたコラーゲン
結合性生理活性ポリペプチドは生理活性ペプチドのドラ
ッグデリバリーシステム(DDS)として有用である。
さらに、該ポリペプチドはコラーゲンに複合化させるこ
とが可能であり、このように機能修飾されたコラーゲン
マトリックスは組織再生の新しいバイオマテリアルとし
て有用である。
【0170】
【配列表フリーテキスト】配列番号1 人工配列の説明:修飾されたヒト・フィブロネクチンコ
ラーゲン結合性ドメインのアミノ酸配列 (2)..(341):/ノート="ヒト・フィブロネクチンコラーゲ
ン結合性ドメイン" 配列番号2 人工配列の説明: エンテロキナーゼ認識配列が付加され
たヒト繊維芽細胞増殖因子のアミノ酸配列 (1)..(5):/ノート="エンテロキナーゼ認識配列" (6)..(159):/ノート="ヒト繊維芽細胞増殖因子" 配列番号3 人工配列の説明: エンテロキナーゼ認識配列が付加され
たヒト上皮増殖因子のアミノ酸配列 (1)..(5):/ノート="エンテロキナーゼ認識配列" (6)..(58):/ ノート="ヒト上皮増殖因子" 配列番号4 人工配列の説明: ヒト・フィブロネクチンコラーゲン結
合性ドメインとヒト繊維芽細胞増殖因子から成るハイブ
リッドポリペプチドのアミノ酸配列 (2)..(341):/ノート="ヒト・フィブロネクチンコラーゲ
ン結合性ドメイン" (343)..(347):/ノート="エンテロキナーゼ認識配列" (348)..(501):/ノート="ヒト繊維芽細胞増殖因子" 配列番号5 人工配列の説明: ヒト・フィブロネクチンコラーゲン結
合性ドメインとヒト上皮増殖因子から成るハイブリッド
ポリペプチドのアミノ酸配列 (2)..(341):/ノート="ヒト・フィブロネクチンコラーゲ
ン結合性ドメイン" (343)..(347):/ノート="エンテロキナーゼ認識配列" (348)..(400):/ノート="ヒト上皮増殖因子" 配列番号6 人工配列の説明: ヒト・フィブロネクチンコラーゲン結
合性ドメインのPCRセンスプライマー 配列番号7 人工配列の説明: ヒト・フィブロネクチンコラーゲン結
合性ドメインのPCRアンチセンスプライマー 配列番号8 人工配列の説明: 修飾されたヒト・フィブロネクチンコ
ラーゲン結合性ドメインをコードするDNAの塩基配列 配列番号9 人工配列の説明: ヒト繊維芽細胞増殖因子のPCRセン
スプライマー 配列番号10 人工配列の説明: ヒト繊維芽細胞増殖因子のPCRアン
チセンスプライマー 配列番号11 人工配列の説明: エンテロキナーゼ認識配列が付加され
たヒト繊維芽細胞増殖因子をコードするDNAの塩基配
列 (228):/ ノート=" ポリメラーゼチェーンリアクション
に起因する点変異" 配列番号12 人工配列の説明: ヒト上皮増殖因子のPCRセンスプラ
イマー 配列番号13 人工配列の説明: ヒト上皮増殖因子のPCRアンチセン
スプライマー 配列番号14 人工配列の説明: エンテロキナーゼ認識配列が付加され
たヒト上皮増殖因子をコードするDNAの塩基配列 配列番号15 人工配列の説明: ヒト・フィブロネクチンコラーゲン結
合性ドメインとヒト繊維芽細胞増殖因子から成るハイブ
リッドポリペプチドをコードするDNAの塩基配列 配列番号16 人工配列の説明: ヒト・フィブロネクチンコラーゲン結
合性ドメインとヒト上皮増殖因子から成るハイブリッド
ポリペプチドをコードするDNAの塩基配列
【0171】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Terumo Corporation <120> Functional Hybrid Polypeptide with Collagen-binding Activity <130> 19990120 <140> <141> <160> 16 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 343 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Modified Human Fibronectin Collagen-Binding Domain <220> <221> INIT _MET <222> (1) <220> <221> DOMAIN <222> (2)..(341) <223> /note="human fibronectin collagen-binding domain" <220> <221> CONFLICT <222> (69) <220> <221> CONFLICT <222> (125) <400> 1 Met Ala Ala Val Tyr Gln Pro Gln Pro His Pro Gln Pro Pro Pro Tyr 1 5 10 15 Gly His Cys Val Thr Asp Ser Gly Val Val Tyr Ser Val Gly Met Gln 20 25 30 Trp Leu Lys Thr Gln Gly Asn Lys Gln Met Leu Cys Thr Cys Leu Gly 35 40 45 Asn Gly Val Ser Cys Gln Glu Thr Ala Val Thr Gln Thr Tyr Gly Gly 50 55 60 Asn Ser Asn Gly Glu Pro Cys Val Leu Pro Phe Thr Tyr Asn Gly Arg 65 70 75 80 Thr Phe Tyr Ser Cys Thr Thr Glu Gly Arg Gln Asp Gly His Leu Trp 85 90 95 Cys Ser Thr Thr Ser Asn Tyr Glu Gln Asp Gln Lys Tyr Ser Phe Cys 100 105 110 Thr Asp His Thr Val Leu Val Gln Thr Arg Gly Gly Asn Ser Asn Gly 115 120 125 Ala Leu Cys His Phe Pro Phe Leu Tyr Asn Asn His Asn Tyr Thr Asp 130 135 140 Cys Thr Ser Glu Gly Arg Arg Asp Asn Met Lys Trp Cys Gly Thr Thr 145 150 155 160 Gln Asn Tyr Asp Ala Asp Gln Lys Phe Gly Phe Cys Pro Met Ala Ala 165 170 175 His Glu Glu Ile Cys Thr Thr Asn Glu Gly Val Met Tyr Arg Ile Gly 180 185 190 Asp Gln Trp Asp Lys Gln His Asp Met Gly His Met Met Arg Cys Thr 195 200 205 Cys Val Gly Asn Gly Arg Gly Glu Trp Thr Cys Ile Ala Tyr Ser Gln 210 215 220 Leu Arg Asp Gln Cys Ile Val Asp Asp Ile Thr Tyr Asn Val Asn Asp 225 230 235 240 Thr Phe His Lys Arg His Glu Glu Gly His Met Leu Asn Cys Thr Cys 245 250 255 Phe Gly Gln Gly Arg Gly Arg Trp Lys Cys Asp Pro Val Asp Gln Cys 260 265 270 Gln Asp Ser Glu Thr Gly Thr Phe Tyr Gln Ile Gly Asp Ser Trp Glu 275 280 285 Lys Tyr Val His Gly Val Arg Tyr Gln Cys Tyr Cys Tyr Gly Arg Gly 290 295 300 Ile Gly Glu Trp His Cys Gln Pro Leu Gln Thr Tyr Pro Ser Ser Ser 305 310 315 320 Gly Pro Val Glu Val Phe Ile Thr Glu Thr Pro Ser Gln Pro Asn Ser 325 330 335 His Pro Ile Gln Trp Leu Glu 340 <210> 2 <211> 159 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Human Basic Fibroblast Growth Factor with Enterokinase Recognition Sequence <220> <221> PEPTIDE <222> (1)..(5) <223> /note="enterokinase recognition sequence" <220> <221> PEPTIDE <222> (6)..(159) <223> /note="human fibroblast growth factor" <400> 2 Asp Asp Asp Asp Lys Ala Ala Gly Ser Ile Thr Thr Leu Pro Ala Leu 1 5 10 15 Pro Glu Asp Gly Gly Ser Gly Ala Phe Pro Pro Gly His Phe Lys Asp 20 25 30 Pro Lys Arg Leu Tyr Cys Lys Asn Gly Gly Phe Phe Leu Arg Ile His 35 40 45 Pro Asp Gly Arg Val Asp Gly Val Arg Glu Lys Ser Asp Pro His Ile 50 55 60 Lys Leu Gln Leu Gln Ala Glu Glu Arg Gly Val Val Ser Ile Lys Gly 65 70 75 80 Val Cys Ala Asn Arg Tyr Leu Ala Met Lys Glu Asp Gly Arg Leu Leu 85 90 95 Ala Ser Lys Cys Val Thr Asp Glu Cys Phe Phe Phe Glu Arg Leu Glu 100 105 110 Ser Asn Asn Tyr Asn Thr Tyr Arg Ser Arg Lys Tyr Thr Ser Trp Tyr 115 120 125 Val Ala Leu Lys Arg Thr Gly Gln Tyr Lys Leu Gly Ser Lys Thr Gly 130 135 140 Pro Gly Gln Lys Ala Ile Leu Phe Leu Pro Met Ser Ala Lys Ser 145 150 155 <210> 3 <211> 58 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Human Epidermal Growth Factor with Enterokinase Recognition Sequence <220> <221> PEPTIDE <222> (1)..(5) <223> /note="enterokinase recognition sequence" <220> <221> PEPTIDE <222> (6)..(58) <223> /note="human epidermal growth factor" <400> 3 Asp Asp Asp Asp Lys Asn Ser Asp Ser Glu Cys Pro Leu Ser His Asp 1 5 10 15 Gly Tyr Cys Leu His Asp Gly Val Cys Met Tyr Ile Glu Ala Leu Asp 20 25 30 Lys Tyr Ala Cys Asn Cys Val Val Gly Tyr Ile Gly Glu Arg Cys Gln 35 40 45 Tyr Arg Asp Leu Lys Trp Trp Glu Leu Arg 50 55 <210> 4 <211> 501 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Hybrid Polypeptide of Human Fibronectin Collagen-Binding Domain and Human Basic Fibroblast Growth Factor <220> <221> INIT _MET <222> (1) <220> <221> DOMAIN <222> (2)..(341) <223> /note="human fibronectin collagen-binding domain" <220> <221> PEPTIDE <222> (343)..(347) <223> /note="enterokinase recognition sequence" <220> <221> PEPTIDE <222> (348)..(501) <223> /note="human fibroblast growth factor" <400> 4 Met Ala Ala Val Tyr Gln Pro Gln Pro His Pro Gln Pro Pro Pro Tyr 1 5 10 15 Gly His Cys Val Thr Asp Ser Gly Val Val Tyr Ser Val Gly Met Gln 20 25 30 Trp Leu Lys Thr Gln Gly Asn Lys Gln Met Leu Cys Thr Cys Leu Gly 35 40 45 Asn Gly Val Ser Cys Gln Glu Thr Ala Val Thr Gln Thr Tyr Gly Gly 50 55 60 Asn Ser Asn Gly Glu Pro Cys Val Leu Pro Phe Thr Tyr Asn Gly Arg 65 70 75 80 Thr Phe Tyr Ser Cys Thr Thr Glu Gly Arg Gln Asp Gly His Leu Trp 85 90 95 Cys Ser Thr Thr Ser Asn Tyr Glu Gln Asp Gln Lys Tyr Ser Phe Cys 100 105 110 Thr Asp His Thr Val Leu Val Gln Thr Arg Gly Gly Asn Ser Asn Gly 115 120 125 Ala Leu Cys His Phe Pro Phe Leu Tyr Asn Asn His Asn Tyr Thr Asp 130 135 140 Cys Thr Ser Glu Gly Arg Arg Asp Asn Met Lys Trp Cys Gly Thr Thr 145 150 155 160 Gln Asn Tyr Asp Ala Asp Gln Lys Phe Gly Phe Cys Pro Met Ala Ala 165 170 175 His Glu Glu Ile Cys Thr Thr Asn Glu Gly Val Met Tyr Arg Ile Gly 180 185 190 Asp Gln Trp Asp Lys Gln His Asp Met Gly His Met Met Arg Cys Thr 195 200 205 Cys Val Gly Asn Gly Arg Gly Glu Trp Thr Cys Ile Ala Tyr Ser Gln 210 215 220 Leu Arg Asp Gln Cys Ile Val Asp Asp Ile Thr Tyr Asn Val Asn Asp 225 230 235 240 Thr Phe His Lys Arg His Glu Glu Gly His Met Leu Asn Cys Thr Cys 245 250 255 Phe Gly Gln Gly Arg Gly Arg Trp Lys Cys Asp Pro Val Asp Gln Cys 260 265 270 Gln Asp Ser Glu Thr Gly Thr Phe Tyr Gln Ile Gly Asp Ser Trp Glu 275 280 285 Lys Tyr Val His Gly Val Arg Tyr Gln Cys Tyr Cys Tyr Gly Arg Gly 290 295 300 Ile Gly Glu Trp His Cys Gln Pro Leu Gln Thr Tyr Pro Ser Ser Ser 305 310 315 320 Gly Pro Val Glu Val Phe Ile Thr Glu Thr Pro Ser Gln Pro Asn Ser 325 330 335 His Pro Ile Gln Trp Leu Asp Asp Asp Asp Lys Ala Ala Gly Ser Ile 340 345 350 Thr Thr Leu Pro Ala Leu Pro Glu Asp Gly Gly Ser Gly Ala Phe Pro 355 360 365 Pro Gly His Phe Lys Asp Pro Lys Arg Leu Tyr Cys Lys Asn Gly Gly 370 375 380 Phe Phe Leu Arg Ile His Pro Asp Gly Arg Val Asp Gly Val Arg Glu 385 390 395 400 Lys Ser Asp Pro His Ile Lys Leu Gln Leu Gln Ala Glu Glu Arg Gly 405 410 415 Val Val Ser Ile Lys Gly Val Cys Ala Asn Arg Tyr Leu Ala Met Lys 420 425 430 Glu Asp Gly Arg Leu Leu Ala Ser Lys Cys Val Thr Asp Glu Cys Phe 435 440 445 Phe Phe Glu Arg Leu Glu Ser Asn Asn Tyr Asn Thr Tyr Arg Ser Arg 450 455 460 Lys Tyr Thr Ser Trp Tyr Val Ala Leu Lys Arg Thr Gly Gln Tyr Lys 465 470 475 480 Leu Gly Ser Lys Thr Gly Pro Gly Gln Lys Ala Ile Leu Phe Leu Pro 485 490 495 Met Ser Ala Lys Ser 500 <210> 5 <211> 400 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Hybrid Polypeptide of Human Fibronectin Collagen-Binding Domain and Human Epidermal Growth Factor <220> <221> INIT _MET <222> (1) <220> <221> DOMAIN <222> (2)..(341) <223> /note="human fibronectin collagen-binding domain" <220> <221> PEPTIDE <222> (343)..(347) <223> /note=" enterokinase recognition sequence" <220> <221> PEPTIDE <222> (348)..(400) <223> /note="human epidermal growth factor" <400> 5 Met Ala Ala Val Tyr Gln Pro Gln Pro His Pro Gln Pro Pro Pro Tyr 1 5 10 15 Gly His Cys Val Thr Asp Ser Gly Val Val Tyr Ser Val Gly Met Gln 20 25 30 Trp Leu Lys Thr Gln Gly Asn Lys Gln Met Leu Cys Thr Cys Leu Gly 35 40 45 Asn Gly Val Ser Cys Gln Glu Thr Ala Val Thr Gln Thr Tyr Gly Gly 50 55 60 Asn Ser Asn Gly Glu Pro Cys Val Leu Pro Phe Thr Tyr Asn Gly Arg 65 70 75 80 Thr Phe Tyr Ser Cys Thr Thr Glu Gly Arg Gln Asp Gly His Leu Trp 85 90 95 Cys Ser Thr Thr Ser Asn Tyr Glu Gln Asp Gln Lys Tyr Ser Phe Cys 100 105 110 Thr Asp His Thr Val Leu Val Gln Thr Arg Gly Gly Asn Ser Asn Gly 115 120 125 Ala Leu Cys His Phe Pro Phe Leu Tyr Asn Asn His Asn Tyr Thr Asp 130 135 140 Cys Thr Ser Glu Gly Arg Arg Asp Asn Met Lys Trp Cys Gly Thr Thr 145 150 155 160 Gln Asn Tyr Asp Ala Asp Gln Lys Phe Gly Phe Cys Pro Met Ala Ala 165 170 175 His Glu Glu Ile Cys Thr Thr Asn Glu Gly Val Met Tyr Arg Ile Gly 180 185 190 Asp Gln Trp Asp Lys Gln His Asp Met Gly His Met Met Arg Cys Thr 195 200 205 Cys Val Gly Asn Gly Arg Gly Glu Trp Thr Cys Ile Ala Tyr Ser Gln 210 215 220 Leu Arg Asp Gln Cys Ile Val Asp Asp Ile Thr Tyr Asn Val Asn Asp 225 230 235 240 Thr Phe His Lys Arg His Glu Glu Gly His Met Leu Asn Cys Thr Cys 245 250 255 Phe Gly Gln Gly Arg Gly Arg Trp Lys Cys Asp Pro Val Asp Gln Cys 260 265 270 Gln Asp Ser Glu Thr Gly Thr Phe Tyr Gln Ile Gly Asp Ser Trp Glu 275 280 285 Lys Tyr Val His Gly Val Arg Tyr Gln Cys Tyr Cys Tyr Gly Arg Gly 290 295 300 Ile Gly Glu Trp His Cys Gln Pro Leu Gln Thr Tyr Pro Ser Ser Ser 305 310 315 320 Gly Pro Val Glu Val Phe Ile Thr Glu Thr Pro Ser Gln Pro Asn Ser 325 330 335 His Pro Ile Gln Trp Leu Asp Asp Asp Asp Lys Asn Ser Asp Ser Glu 340 345 350 Cys Pro Leu Ser His Asp Gly Tyr Cys Leu His Asp Gly Val Cys Met 355 360 365 Tyr Ile Glu Ala Leu Asp Lys Tyr Ala Cys Asn Cys Val Val Gly Tyr 370 375 380 Ile Gly Glu Arg Cys Gln Tyr Arg Asp Leu Lys Trp Trp Glu Leu Arg 385 390 395 400 <210> 6 <211> 49 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:PCR Sense Primer for Human Fibronectin Collagen-Binding Domain <400> 6 gaggtaccat ggtacatatg gcagctgttt accaaccgca gcctcaccc 49 <210> 7 <211> 46 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:PCR Antisense Primer for Human Fibronectin Collagen-Binding Domain <220> <400> 7 cgggatcctt actcgagcca ctggatgggg tgggagttgg gctgac 46 <210> 8 <211> 1053 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified Human Fibronectin Collagen-Binding Domain <220> <221> conflict <222> (109) <220> <221> conflict <222> (206) <220> <221> conflict <222> (270) <220> <221> conflict <222> (374) <220> <221> conflict <222> (681) <400> 8 ggtaccatgg tacatatggc agctgtttac caaccgcagc ctcaccccca gcctcctccc 60 tatggccact gtgtcacaga cagtggtgtg gtctactctg tggggatgca gtggctgaag 120 acacaaggaa ataagcaaat gctttgcacg tgcctgggca acggagtcag ctgccaagag 180 acagctgtaa cccagactta cggtggcaac tcaaatggag agccatgtgt cttaccattc 240 acctacaatg gcaggacgtt ctactcctgc accacagaag ggcgacagga cggacatctt 300 tggtgcagca caacttcgaa ttatgagcag gaccagaaat actctttctg cacagaccac 360 actgttttgg ttcagactcg aggaggaaat tccaatggtg ccttgtgcca cttccccttc 420 ctatacaaca accacaatta cactgattgc acttctgagg gcagaagaga caacatgaag 480 tggtgtggga ccacacagaa ctatgatgcc gaccagaagt ttgggttctg ccccatggct 540 gcccacgagg aaatctgcac aaccaatgaa ggggtcatgt accgcattgg agatcagtgg 600 gataagcagc atgacatggg tcacatgatg aggtgcacgt gtgttgggaa tggtcgtggg 660 gaatggacat gcattgccta ctcgcagctt cgagatcagt gcattgttga tgacatcact 720 tacaatgtga acgacacatt ccacaagcgt catgaagagg ggcacatgct gaactgtaca 780 tgcttcggtc agggtcgggg caggtggaag tgtgatcccg tcgaccaatg ccaggattca 840 gagactggga cgttttatca aattggagat tcatgggaga agtatgtgca tggtgtcaga 900 taccagtgct actgctatgg ccgtggcatt ggggagtggc attgccaacc tttacagacc 960 tatccaagct caagtggtcc tgtcgaagta tttatcactg agactccgag tcagcccaac 1020 tcccacccca tccagtggct cgagtaagga tcc 1053 <210> 9 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:PCR Sense Primer for Human Basic Fibroblast Growth Factor <400> 9 gagtcgacga cgatgataag gcagccggga gcatcaccac 40 <210> 10 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:PCR Antisense Primer for Human Basic Fibroblast Growth Factor <400> 10 ggaattctca gctcttagca gacattggaa g 31 <210> 11 <211> 489 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Human Basic Fibroblast Growth Factor with Enterokinase Recognition Sequence <220> <221> mutation <222> (228) <223> /note="mutation caused by polymerase chain reaction" <400> 11 gtcgacgacg atgataaggc agccgggagc atcaccacgc tgcccgcctt gcccgaggat 60 ggcggcagcg gcgccttccc gcccggccac ttcaaggacc ccaagcggct gtactgcaaa 120 aacgggggct tcttcctgcg catccacccc gacggccgag ttgacggggt ccgggagaag 180 agcgaccctc acatcaagct acaacttcaa gcagaagaga gaggagtcgt gtctatcaaa 240 ggagtgtgtg ctaaccgtta cctggctatg aaggaagatg gaagattact ggcttctaaa 300 tgtgttacgg atgagtgttt cttttttgaa cgattggaat ctaataacta caatacttac 360 cggtcaagga aatacaccag ttggtatgtg gcactgaaac gaactgggca gtataaactt 420 ggatccaaaa caggacctgg gcagaaagct atactttttc ttccaatgtc tgctaagagc 480 tgagaattc 489 <210> 12 <211> 44 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:PCR Sense Primer for Human Epidermal Growth Factor <400> 12 gtgtcgacga cgatgataag aatagtgact ctgaatgtcc cctg 44 <210> 13 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:PCR Antisense Primer for Human Epidermal Growth Factor <400> 13 gaattcttag cgcagttccc accacttcag 30 <210> 14 <211> 186 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Human Epidermal Growth Factor with Enterokinase Recognition Sequence <400> 14 gtcgacgacg atgataagaa tagtgactct gaatgtcccc tgtcccacga tgggtactgc 60 ctccatgatg gtgtgtgcat gtatattgaa gcattggaca agtatgcatg caactgtgtt 120 gttggctaca tcggggagcg atgtcagtac cgagacctga agtggtggga actgcgctaa 180 gaattc 186 <210> 15 <211> 1527 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Hybrid Polypeptide of Human Fibronectin Collagen-Binding Domain and Human Fibroblast Growth Factor <400> 15 ggtaccatgg tacatatggc agctgtttac caaccgcagc ctcaccccca gcctcctccc 60 tatggccact gtgtcacaga cagtggtgtg gtctactctg tggggatgca gtggctgaag 120 acacaaggaa ataagcaaat gctttgcacg tgcctgggca acggagtcag ctgccaagag 180 acagctgtaa cccagactta cggtggcaac tcaaatggag agccatgtgt cttaccattc 240 acctacaatg gcaggacgtt ctactcctgc accacagaag ggcgacagga cggacatctt 300 tggtgcagca caacttcgaa ttatgagcag gaccagaaat actctttctg cacagaccac 360 actgttttgg ttcagactcg aggaggaaat tccaatggtg ccttgtgcca cttccccttc 420 ctatacaaca accacaatta cactgattgc acttctgagg gcagaagaga caacatgaag 480 tggtgtggga ccacacagaa ctatgatgcc gaccagaagt ttgggttctg ccccatggct 540 gcccacgagg aaatctgcac aaccaatgaa ggggtcatgt accgcattgg agatcagtgg 600 gataagcagc atgacatggg tcacatgatg aggtgcacgt gtgttgggaa tggtcgtggg 660 gaatggacat gcattgccta ctcgcagctt cgagatcagt gcattgttga tgacatcact 720 tacaatgtga acgacacatt ccacaagcgt catgaagagg ggcacatgct gaactgtaca 780 tgcttcggtc agggtcgggg caggtggaag tgtgatcccg tcgaccaatg ccaggattca 840 gagactggga cgttttatca aattggagat tcatgggaga agtatgtgca tggtgtcaga 900 taccagtgct actgctatgg ccgtggcatt ggggagtggc attgccaacc tttacagacc 960 tatccaagct caagtggtcc tgtcgaagta tttatcactg agactccgag tcagcccaac 1020 tcccacccca tccagtggct cgacgacgat gataaggcag ccgggagcat caccacgctg 1080 cccgccttgc ccgaggatgg cggcagcggc gccttcccgc ccggccactt caaggacccc 1140 aagcggctgt actgcaaaaa cgggggcttc ttcctgcgca tccaccccga cggccgagtt 1200 gacggggtcc gggagaagag cgaccctcac atcaagctac aacttcaagc agaagagaga 1260 ggagtcgtgt ctatcaaagg agtgtgtgct aaccgttacc tggctatgaa ggaagatgga 1320 agattactgg cttctaaatg tgttacggat gagtgtttct tttttgaacg attggaatct 1380 aataactaca atacttaccg gtcaaggaaa tacaccagtt ggtatgtggc actgaaacga 1440 actgggcagt ataaacttgg atccaaaaca ggacctgggc agaaagctat actttttctt 1500 ccaatgtctg ctaagagctg agaattc 1527 <210> 16 <211> 1224 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Hybrid Polypeptide of Human Fibronectin Collagen-Binding Domain and Human Epidermal growth factor <400> 16 ggtaccatgg tacatatggc agctgtttac caaccgcagc ctcaccccca gcctcctccc 60 tatggccact gtgtcacaga cagtggtgtg gtctactctg tggggatgca gtggctgaag 120 acacaaggaa ataagcaaat gctttgcacg tgcctgggca acggagtcag ctgccaagag 180 acagctgtaa cccagactta cggtggcaac tcaaatggag agccatgtgt cttaccattc 240 acctacaatg gcaggacgtt ctactcctgc accacagaag ggcgacagga cggacatctt 300 tggtgcagca caacttcgaa ttatgagcag gaccagaaat actctttctg cacagaccac 360 actgttttgg ttcagactcg aggaggaaat tccaatggtg ccttgtgcca cttccccttc 420 ctatacaaca accacaatta cactgattgc acttctgagg gcagaagaga caacatgaag 480 tggtgtggga ccacacagaa ctatgatgcc gaccagaagt ttgggttctg ccccatggct 540 gcccacgagg aaatctgcac aaccaatgaa ggggtcatgt accgcattgg agatcagtgg 600 gataagcagc atgacatggg tcacatgatg aggtgcacgt gtgttgggaa tggtcgtggg 660 gaatggacat gcattgccta ctcgcagctt cgagatcagt gcattgttga tgacatcact 720 tacaatgtga acgacacatt ccacaagcgt catgaagagg ggcacatgct gaactgtaca 780 tgcttcggtc agggtcgggg caggtggaag tgtgatcccg tcgaccaatg ccaggattca 840 gagactggga cgttttatca aattggagat tcatgggaga agtatgtgca tggtgtcaga 900 taccagtgct actgctatgg ccgtggcatt ggggagtggc attgccaacc tttacagacc 960 tatccaagct caagtggtcc tgtcgaagta tttatcactg agactccgag tcagcccaac 1020 tcccacccca tccagtggct cgacgacgat gataagaata gtgactctga atgtcccctg 1080 tcccacgatg ggtactgcct ccatgatggt gtgtgcatgt atattgaagc attggacaag 1140 tatgcatgca actgtgttgt tggctacatc ggggagcgat gtcagtaccg agacctgaag 1200 tggtgggaac tgcgctaaga attc 1224
【図面の簡単な説明】
【図1】 コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドの模
式図である。
【図2】 生理活性ペプチド複合化コラーゲンマトリッ
クスの模式図である。
【図3】 FNCBD−FGFのゼラチン結合性を調べ
たバッチ法の概念図である。
【図4】 バッチ法における上清のSDS−PAGEの
ゲルを示す図である。
【図5】 コラーゲン結合活性を調べたELISAの概
念図である。
【図6】 FNCBDのコラーゲン結合活性(ELIS
A) を示す図である。
【図7】 FNCBD−FGFのコラーゲン結合活性
(ELISA) を示す図である。
【図8】 FNCBD−EGFのコラーゲン結合活性
(ELISA) を示す図である。
【図9】 FNCBD−EGFのBALB/c3T3細
胞に対する増殖活性を示す図である。
【図10】 FNCBD−FGFのヒト繊維芽細胞に対
する増殖活性を示す図である。
【図11】 FNCBD−EGFのNRK49F細胞に
対する細胞増殖活性を示す図である。
【図12】 コラーゲン結合生理活性ポリペプチドの新
規な機能性を模式的に示す図である。
【図13】 FNCBD−EGF複合化コラーゲンとE
GFのヒト角化細胞に対する増殖活性を示す図である。
【図14】 FNCBD−EGFとEGFのコラーゲン
結合活性の比較を示す図である。
【図15】 FNCBD−EGF複合化コラーゲンによ
る細胞増殖活性の長期安定性を示す図である。
【図16】 高濃度タンパク質溶液中でのFNCBD−
EGFとEGFのコラーゲンターゲティング活性の比較
を示す図である。
【図17】 FNCBD−EGFのヒト血漿FNによる
徐放、放出特性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 19/00 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 H // C12P 21/02 C12R 1:19) C12N 15/00 ZNAA (C12N 15/09 ZNA 5/00 A C12R 1:19) C12R 1:19) Fターム(参考) 4B024 AA01 BA03 BA21 CA07 DA01 DA02 DA05 DA11 EA04 GA11 HA01 4B064 AG02 AG13 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4C076 AA95 CC41 CC50 EE43 FF32 4H045 AA10 BA10 BA41 CA40 DA01 DA20 DA21 EA20 FA72 FA74

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィブロネクチン由来のペプチドと生理活
    性ペプチドとが連結したポリペプチドであって、コラー
    ゲン結合活性及び生理活性の両活性を有するコラーゲン
    結合性生理活性ポリペプチド。
  2. 【請求項2】前記生理活性ペプチドが、フィブロネクチ
    ン由来のペプチドのカルボキシル末端に連結されている
    請求項1に記載のコラーゲン結合性生理活性ポリペプチ
    ド。
  3. 【請求項3】前記フィブロネクチン由来のペプチドが、
    フィブロネクチンのプロテアーゼ分解により得られ、か
    つコラーゲン結合性ドメインを構成するアミノ酸配列、
    あるいは該配列と相同または1もしくは数個のアミノ酸
    が欠失、置換、挿入もしくは付加されたコラーゲン結合
    性のアミノ酸配列からなる請求項1または2に記載のコ
    ラーゲン結合性生理活性ポリペプチド。
  4. 【請求項4】該フィブロネクチン由来のペプチドが、ヒ
    ト・フィブロネクチンのAla 260 からTrp 599 までのポ
    リペプチドを構成するアミノ酸配列、あるいは該配列と
    相同または1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿
    入もしくは付加されたアミノ酸配列からなる請求項1ま
    たは2に記載のコラーゲン結合性生理活性ポリペプチ
    ド。
  5. 【請求項5】該生理活性ペプチドがサイトカインまたは
    細胞成長因子である請求項1〜4のいずれかに記載のコ
    ラーゲン結合性生理活性ポリペプチド。
  6. 【請求項6】該生理活性ペプチドが該フィブロネクチン
    由来のペプチドに遺伝子工学的手法により連結されてい
    る請求項1〜5のいずれかに記載のコラーゲン結合性生
    理活性ポリペプチド。
  7. 【請求項7】該生理活性ペプチドが該フィブロネクチン
    由来のペプチドに遺伝子工学的手法により連結され、バ
    クテリアで産生される請求項1〜6のいずれかに記載の
    コラーゲン結合性生理活性ポリペプチド。
  8. 【請求項8】コラーゲン結合性生理活性ポリペプチドが
    水溶性である請求項1〜7のいずれかに記載のコラーゲ
    ン結合性生理活性ポリペプチド。
  9. 【請求項9】コラーゲンに結合後、結合を保持したまま
    かまたは徐放されることにより生理活性を示す請求項1
    〜8のいずれかに記載のコラーゲン結合性生理活性ポリ
    ペプチド。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれかに記載のコラー
    ゲン結合性生理活性ポリペプチドを含有する生理活性ポ
    リペプチドの局所維持剤、徐放剤、または生理活性付与
    剤。
  11. 【請求項11】コラーゲン結合性生理活性ポリペプチド
    とコラーゲン由来のポリペプチドとが複合化された生理
    活性ペプチド複合化コラーゲンを含有するバイオマテリ
    アル。
  12. 【請求項12】コラーゲン結合性生理活性ポリペプチド
    が請求項1〜9のいずれかに記載のコラーゲン結合性生
    理活性ポリペプチドである請求項11に記載のバイオマ
    テリアル。
  13. 【請求項13】請求項11または12に記載のバイオマ
    テリアルを含有する生理活性ポリペプチドの局所維持
    剤、徐放剤、または生理活性付与剤。
  14. 【請求項14】請求項1〜9のいずれかに記載のコラー
    ゲン結合性生理活性ポリペプチドをコードする遺伝子を
    含有する組換えベクター。
  15. 【請求項15】請求項1〜9のいずれかに記載のコラー
    ゲン結合性生理活性ポリペプチドをコードする遺伝子を
    含有する組換えベクターを含む形質転換体。
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