JP2001183972A - 耐水性工作用粘土およびその製造方法、ならびにその表面改質方法 - Google Patents

耐水性工作用粘土およびその製造方法、ならびにその表面改質方法

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JP2001183972A
JP2001183972A JP37025899A JP37025899A JP2001183972A JP 2001183972 A JP2001183972 A JP 2001183972A JP 37025899 A JP37025899 A JP 37025899A JP 37025899 A JP37025899 A JP 37025899A JP 2001183972 A JP2001183972 A JP 2001183972A
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Yasuhiro Oshino
康弘 押野
Etsuko Yamashita
悦子 山下
Yasuhiro Sato
泰弘 佐藤
Takaki Sakamoto
貴樹 坂本
Jun Shiraga
準 白髪
Toshio Shimizu
寿夫 清水
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Shimizu Chemical Corp
Fuji Bakelite Co Ltd
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Shimizu Chemical Corp
Fuji Bakelite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】乾燥後の耐水性に優れ、廃棄後土中に埋めても
環境に悪影響のない工作用粘土を提供する。 【解決手段】(A)木粉、紙パルプ、籾殻などの植物性
粉末およびタルク、シリカなどの無機系粉末から選ばれ
る1種または2種以上の主剤粉末と、(B)糊剤と、
(C)水とを含有する工作用粘土において、前記(B)
成分の糊剤としてグルコマンナンを含有する糊剤を用い
ることによって耐水性工作用粘土を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、学校の教材や美術
工芸等に使用される、工作用粘土およびその製造方法、
ならびにその表面改質方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、教材や美術工芸等に使用され
る工作用粘土として、パルプやタルクなどを配合した紙
粘土や木粉を配合した木質粘土が市販されている。紙粘
土は、主に白色の作品に仕上がり、所望の彩色ができる
などのメリットから広く親しまれている。また、木質粘
土は木の風合いや素朴な味わいのある作品として仕上が
り、アクセサリーや室内インテリア等に使用されてい
る。これらは、粘土を所望の形状に造形した後、乾燥す
ることによって硬く固化するものである。
【0003】これら紙粘土や木質粘土に用いられる糊剤
としては、例えば特開平10−20768には、カルボ
キシメチルセルロース(CMC)とポリビニルアルコー
ル(PVA)を含有する粘土材が開示されている。ま
た、特公昭62−4716には、α化デン粉などの水溶
性糊剤の使用が開示されている。しかしながら、これら
の糊剤を使用して得られた粘土は、耐水性に劣り、水に
濡れると粘土表面がべたついたり、また作品自体が変形
したりするなどの問題があった。
【0004】上記の問題を解決する方法としては、作品
の表面に耐水性液剤をスプレーしたり、耐水性のニスな
どの塗料をコーティングなどする方法がある。しかし、
この場合粘土独自の自然な仕上がりを表現することが難
しいという問題があった。
【0005】耐水性を高める別の方法としては、例えば
特開平11−209156には、酢酸ビニル共重合体な
どの合成樹脂粉末を配合させる方法が考案されている。
しかしながら、ここで使用される合成樹脂粉末は、生分
解性を有するものではなく、作品を廃棄する際に土中へ
埋めると分解されずに半永久的に残ってしまうため、環
境上好ましくないという問題があった。また木質粘土の
場合には、このような合成樹脂系の糊剤を用いると、木
質粘土独自の風合いが失われてしまうという問題もあっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は
乾燥後に耐水性が高くなり、廃棄後、土中に埋めても環
境に悪影響のない工作用粘土およびその製造方法ならび
にその表面改質方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題に鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明(1)は、(A)木粉、紙パル
プ、籾殻などの植物性粉末およびタルク、シリカなどの
無機系粉末から選ばれる1種または2種以上の主剤粉末
と、(B)糊剤と、(C)水とを含有する工作用粘土に
おいて、前記(B)成分の糊剤がグルコマンナンを含有
する糊剤であることを特徴とする耐水性工作用粘土を提
供するものである。
【0008】本発明(2)は、(A)木粉、紙パルプ、
籾殻などの植物性粉末およびタルク、シリカなどの無機
系粉末から選ばれる1種または2種以上の主剤粉末20
重量部に対し、(B)グルコマンナンを含有する糊剤
0.5から20重量部、(C)水20から200重量部
を含有することを特徴とする耐水性工作用粘土を提供す
るものである。
【0009】本発明(3)は、糊剤がグルコマンナンを
60重量%以上含有する糊剤であることを特徴とする本
発明(1)または(2)の耐水性工作用粘土を提供する
ものである。
【0010】本発明(4)は、糊剤がこんにゃく粉をア
ルコールなどを用いて精製することによって得られた、
グルコマンナンを85重量%以上含有する糊剤であるこ
とを特徴とする、本発明(1)または(2)の耐水性工
作用粘土を提供するものである。
【0011】本発明(5)は、トリメチルアミン含量が
1重量%以下であることを特徴とする、本発明(1)か
ら(4)のいずれか一つの耐水性工作用粘土を提供する
ものである。
【0012】本発明(6)は、pH値が3から7の範囲
にあることを特徴とする本発明(1)から(5)のいず
れか一つの耐水性工作用粘土を提供するものである。
【0013】本発明(7)は、乾燥後の比重が1以下で
あることを特徴とする、本発明(1)から(6)のいず
れか一つの耐水性工作用粘土を提供するものである。
【0014】本発明(8)は、(A)木粉、紙パルプ、
籾殻などの植物性粉末およびタルク、シリカなどの無機
系粉末から選ばれる1種または2種以上の主剤粉末を、
(C)水に加えてよく攪拌混合した後、前記(A)と
(C)の混合物に、(B)グルコマンナンを含有する糊
剤を加え攪拌し混練することを特徴とする耐水性工作用
粘土の製造方法を提供するものである。
【0015】本発明(9)は、(A)木粉、紙パルプ、
籾殻などの植物性粉末およびタルク、シリカなどの無機
系粉末から選ばれる1種または2種以上の主剤粉末20
重量部を、(C)水20から200重量部に加えてよく
攪拌混合した後、前記(A)と(C)の混合物に、
(B)グルコマンナンを含有する糊剤0.5から20重
量部を加え攪拌し混練することを特徴とする耐水性工作
用粘土の製造方法を提供するものである。
【0016】本発明(10)は、グルコマンナンを60
重量%以上含有する糊剤を用いることを特徴とする、本
発明(8)または(9)の耐水性工作用粘土の製造方法
を提供するものである。
【0017】本発明(11)は、こんにゃく粉をアルコ
ールなどを用いて精製することによって得られた、グル
コマンナンを85重量%以上含有する糊剤を用いること
を特徴とする本発明(9)または(10)の耐水性工作
用粘土の製造方法を提供するものである。
【0018】本発明(12)は、本発明(1)から
(7)のいずれか一つの耐水性工作用粘土に、(D)ア
ルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸
塩、リン酸塩、および塩基性アミノ酸から選ばれる1種
または2種以上の化合物の水溶液を接触させることを特
徴とする耐水性工作用粘土の表面改質方法を提供するも
のである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳述す
る。本発明に使用する前記(A)成分の主剤粉末は、木
粉、紙パルプ、籾殻などの植物性粉末およびタルク、シ
リカなどの無機系粉末から選ばれる1種または2種以上
の主剤粉末である。木粉としては廃材の有効利用の観点
から建築用のおが屑を粉砕したものが好ましく、作品の
きめの細やかさを出す観点から、粒度10メッシュから
200メッシュのものを用いるのが好ましい。また、紙
パルプは針葉樹、広葉樹等の各種パルプの他に、市中か
ら回収された古紙パルプも使用できる。特に、紙パルプ
は紙粘土の主要成分となるばかりか、作品のひび割れ防
止にも寄与しうる。ひび割れ防止の目的に使用する場合
には、繊維長が1mm以上の長繊維のパルプ粉末を使用
することが好ましい。他の植物性粉末としては、植物の
実の殻や皮、葉、又は植物性食品の搾りかす等を粉体と
したものが挙げられる。植物の実の殻や皮としては、
麦、そば、大豆等の穀類、コーヒー、落花生等の実の
殻、栗、オレンジ、りんご、梨等の果物の皮が挙げられ
る。植物の葉は針葉樹、広葉樹を問わず利用できる。
又、茶殼のように一旦利用された後の廃棄物も利用でき
る。食品の搾りかすとしては、さとうきびの搾り粕であ
るバガス、抽出済みのコーヒー豆、果物ジュース、ビー
ル、ワイン、清酒、焼酎、味噌、醤油等を製造した後に
残る植物性の搾りかすが挙げられる。また、無機系粉末
としてはタルク、シリカの他に、クレー、マイカ、パー
ライト、珪藻土、カオリン、炭酸カルシウム、ガラス中
空体、シラスバルーンなどが挙げられる。
【0020】本発明に使用する前記(B)成分の糊剤
は、グルコマンナンを含有する糊剤である。グルコマン
ナンは、植物分類上サトイモ科に属するこんにゃく芋に
含まれる貯蔵性の多糖類であり、いわゆる食用こんにゃ
くの製造に使用されている。本発明によれば、グルコマ
ンナンを含有する糊剤を使用することによって、作品の
耐水性を向上させることが可能となる。耐水性をさらに
向上させる目的のために、グルコマンナンを60重量%
以上含有する糊剤を用いるのが好ましく、さらには、こ
んにゃく粉をアルコールなどで精製することによって得
られた、グルコマンナンを85重量%以上含有する糊剤
を使用するのが特に好ましい。ここでいう重量%は、糊
剤の乾燥重量に対するグルコマンナンの重量割合であ
る。グルコマンナンを85重量%以上含有する糊剤の代
表例としては、高純度グルコマンナンなどが挙げられ
る。グルコマンナンを60重量%以上含有する糊剤とし
ては、食用のこんにゃく粉であってもよいし、また高純
度グルコマンナンと他の糊剤とを混合したものであって
もよい。高純度のグルコマンナンは、その乾燥重量に対
し2〜50(必要に応じそれ以上)倍量の水を加え該グ
ルコマンナンを膨潤させゾルを形成させた後、次いでこ
れに全重量に基づき少なくとも10重量%以上のアルコ
ールなどを添加して、該ゾルを湿式粉砕したのち、その
まま乾燥するか、又はこれに他の多糖類を加えて乾燥す
ることによって製造されたものを用いるのがよい。高純
度のグルコマンナンを使用した場合には、こんにゃく粉
特有の不快な臭気がないため、作業性の観点からも、特
に好ましい。どのようなグルコマンナン含量の糊剤を使
用するかは、所望する粘土の耐水性や臭気、価格等と照
らし合わせて任意に選択しうる。
【0021】本発明に使用する前記(A)成分、(B)
成分、(C)成分の配合割合は、前記(A)成分の主剤
粉末20重量部に対し、(B)成分のグルコマンナンを
含有する糊剤0.5から20重量部、(C)水20から
200重量部を含有するものであるのがよい。主剤粉末
20重量部に対して、グルコマンナンを含有する糊剤量
が0.5重量部未満であると、カルボキシメチルセルロ
ースやポリビニルアルコールだけを糊剤として用いた場
合よりも耐水性は優れるもののまだ十分ではないので好
ましくなく、また20重量部より多いと工作用粘土とし
ての造形性に劣るため好ましくない。また、主剤粉末2
0重量部に対して水の量が20重量部未満であると、ボ
ソボソとした感じとなり造形性に劣り、また、水の量が
200重量部より多いとネチャツキ感が出るために好ま
しくない。
【0022】本発明の工作用粘土中のトリメチルアミン
含量は、粘土全量に対して1重量%以下であるのが好ま
しい。トリメチルアミンはこんにゃく粉に含まれる不純
物の1種であり、こんにゃく特有のえぐみ臭の元であ
る。粘土全量に対するトリメチルアミン含量が1重量%
より多いと、不快臭が強まるために作業上好ましくな
い。このようなトリメチルアミン含量の少ない工作用粘
土は、高純度のグルコマンナンを使用したり、粘土を製
造する際に真空にしながら材料を混練したりすることで
得ることができる。
【0023】本発明の工作用粘土のpH値は3から7の
範囲であるのが好ましい。pH値が3未満であると、酸
性が強いために手荒れなどをもたらす可能性があるので
好ましくない。また、pH値が7より大きいと、糊剤中
のグルコマンナンがゲル化を起こし、伸びが低下するな
ど粘土としての造形性が低下するために好ましくない。
【0024】本発明の工作用粘土の乾燥後の比重は1以
下であるのが好ましい。比重が1より大きいと、作品を
持ち運ぶのに重量感があるために好ましくない。特に、
幼児・児童の場合は重量が軽いのが好まれる。工作用粘
土の乾燥方法は従来の粘土の乾燥で行われているのと同
様の方法であれば特に限定されるものではなく、例えば
室温の室内に放置する方法であってもよいし、加熱した
オーブン中で乾燥させる方法であってもよい。
【0025】本発明の工作用粘土の製造方法は、(A)
木粉、紙パルプ、籾殻などの植物性粉末およびタルク、
シリカなどの無機系粉末から選ばれる1種または2種以
上の主剤粉末を、(C)水に加えてよく攪拌混合した
後、前記(A)成分と(C)成分との混合物に、(B)
グルコマンナンを含有する糊剤を加え攪拌し混練するこ
とにより製造する。前記(B)成分と(C)成分との混
合物に前記(A)成分を加える方法では、前記(A)成
分が部分的に偏在してしまい、いわゆるママコの状態に
なってしまうため、粘土材の均一性を高める観点から好
ましい方法ではない。攪拌および混練をおこなう装置は
特に限定されるものではないが、例えばカッターミキサ
ー、混練押出機、擂潰機などの公知の工業用または食品
用等の各種混練・攪拌機を使用できる。
【0026】本発明の耐水性粘土の表面を改質するため
に、粘土作品を作った後、これに特定の化合物を接触さ
せる方法をとりうる。これによって、作品中のグルコマ
ンナンと特定の化合物成分とが反応し、作品表面に強固
な被膜が形成させるとともに、耐水性をより一層向上さ
せることができ、また作品の形状が水で崩れるのを防ぐ
効果もある。本発明の表面改質に使用する化合物として
は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、
炭酸塩、リン酸塩、および塩基性アミノ酸から選ばれる
1種または2種以上の化合物であり、例えば水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン
酸三カリウム、アルギニン、ヒスチジン、リジン、オル
ニチンなどが挙げられる。これらの化合物を粘土材に接
触させる方法としては、造形後の作品を該化合物の水溶
液に浸漬させる方法の他、刷毛で該化合物の水溶液を作
品表面に塗ったり、スプレーにて噴霧したりする方法な
どがある。
【0027】本発明の工作用粘土には、その他、防腐
剤、離型剤、収縮防止剤、湿潤剤、香料、顔料等を添加
してもよい。防腐剤としては、公知の有機系防菌・防カ
ビ剤、無機系防菌・防カビ剤、天然系防菌・防カビ剤の
内のいずれでも良く、例えば安息香酸ナトリウム、パラ
オキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプ
ロピル、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン
酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、イソチアゾリン
系、デヒドロ酢酸ナトリウム、ヒバ油、ヒノキチオー
ル、銀系抗菌剤などが挙げられる。離型剤としては、例
えばポリエチレングリコール、多価アルコール、グリセ
リン、流動パラフィン、シリコンオイル、白色ワセリ
ン、高級脂肪酸、金属石鹸、界面活性剤などが挙げられ
る。
【0028】本発明の工作用粘土は、植物性粉末、無機
系粉末、グルコマンナンを主成分としているために、廃
棄後、土中に埋めるとバクテリアの働きによって有機成
分が生分解するために、環境に悪影響を与えることがな
い。このような性質を利用して、教育分野だけに限ら
ず、農業・林業・漁業等の分野の各種資材原料として、
本発明の工作用粘土を使用することができる。
【0029】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例を用いて
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0030】実施例1 水76重量部に、針葉樹パルプ(繊維長2mm)1重量
部と、50から100メッシュの粒径を有する木粉19
重量部を添加し、ミキサーで攪拌混合した。得られた混
合物に、清水化学(株)製のレオレックスRS(グルコマ
ンナン含有量98重量%)4重量部を添加し、均一にな
るまで十分に攪拌・混練し、工作用粘土を得た。
【0031】得られた工作用粘土のpH値、臭気、造形
性、耐水性を以下の方法で試験した。pH値は、耐水性
工作用粘土自体のpH値を市販のpHメーターを用いて
測定した。
【0032】臭気は、人間による官能試験によって下記
基準にて判定した。 ×:不快臭強い。 △:やや不快臭あり。 ○:不快臭全くなし。
【0033】造形性は、実際に工作粘土を用いて作品を
制作し下記基準にて判定した。 ×:造形が困難。 △:造形上やや難があるが、実用上問題のないレベル。 ○:造形上全く問題がない。
【0034】耐水性は、工作用粘土を50mm×50m
m×5mmの板状にしたものを、120℃のオーブンで
4時間乾燥した後、デシケータ中で2時間放置し、この
ものを水中へ10分浸漬させたものの外観観察および指
触を実施することにより下記基準にて判定した。乾燥後
の粘土が水に浮く場合は、おもりなどを用いて強制的に
水中に浸漬させて試験した。 ×:表面が泥状となって水に溶け、原形が崩れた状態。 △:表面にややヌルヌルとした感触があるが、形状にほ
とんど変化が認められない状態。 ○:表面にごくわずかにヌルヌルとした感触があるが、
形状に変化が認められない状態。 ◎:表面にヌルヌルとした感触がなく、形状に変化が認
められない状態。
【0035】評価結果を、以降の実施例、比較例と合わ
せて表1に示す。得られた粘土は、pH値が6.4であ
り、不快臭がなく造形性、耐水性に優れたものであっ
た。また、乾燥品は軽量で水に浮き、比重が1以下であ
った。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、粘土
材中のトリメチルアミン含量は、10ppm以下であっ
た。また、このものを土中に埋め放置したところ、徐々
に形状が崩れ約6ヵ月後には完全に他の土と区別がつか
ない状態にまで分解した。
【0036】
【表1】
【0037】実施例2 糊剤として、清水化学製のこんにゃく粉(グルコマンナ
ン含有量65重量%)を使用した以外は、実施例1と同
様の方法によって工作用粘土を得た。得られた粘土中の
トリメチルアミン含量は、100ppmであり若干不快
臭が認められたものの、造形性、耐水性とも優れたもの
であった。
【0038】実施例3 糊剤として清水化学製のこんにゃく粉(グルコマンナン
含有量65重量%)を3重量部とカルボキシセルロース
(CMC)を1重量部からなる混合糊剤を用いた以外
は、実施例1と同様の方法で工作用粘土を得た。得られ
た粘土のpH値は6.3であり、極わずかに不快臭が認
められたものの、造形性、耐水性とも問題のないレベル
のものであった。
【0039】実施例4 主剤粉末としてパルプを20重量部、糊剤として清水化
学製のレオレックスRSを10重量部、水を100重量
部用いた以外は、実施例1と同様の方法で工作用粘土を
得た。得られた粘土のpH値は6.3であり、臭気、造
形性、耐水性に優れたものであった。
【0040】実施例5 主剤粉末として粒度50から100メッシュの籾殻を2
0重量部、糊剤として清水化学製のレオレックスRSを
12重量部、水を120重量部用いた以外は、実施例1
と同様の方法で工作用粘土を作成した。得られた粘土
は、pH値が5.8であり、臭気、造形性、耐水性に優
れたものであった。
【0041】実施例6 主剤粉末として、100メッシュ以下のタルクを20重
量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法によって
工作用粘土を得た。得られた粘土は、pH値6.9であ
り、臭気、造形性、耐水性とも優れたものであった。
【0042】実施例7 主剤粉末として、100メッシュ以下のタルクを18重
量部とパルプ2重量部の混合物を使用した以外は、実施
例1と同様の方法によって工作用粘土を得た。得られた
粘土は、pH値6.8であり、臭気、造形性、耐水性と
も優れたものであった。
【0043】実施例8 実施例3で得られた工作用粘土を、50mm×50mm
×5mmの板状にし、このものを水酸化カルシウムの1
%水溶液の中に30秒間浸漬させることによって表面改
質をおこなった。アルカリ水溶液から引き上げた後、室
温で2時間放置後、120℃のオーブンで4時間乾燥し
た後、デシケータ中で2時間放置し、実施例1と同様の
方法で耐水性を評価したところ、実施例3のものよりも
耐水性が良好であった。なお、pH値、臭気、造形性
は、実施例3の結果と同一である。
【0044】比較例1 糊剤として、カルボキシメチルセルロース(CMC)4
重量部、水50重量部を用いた以外は、実施例1と同様
の方法で工作用粘土を得た。得られた粘土は、臭気、造
形性においては満足できるレベルであるものの、耐水性
が著しく劣るものであった。
【0045】比較例2 糊剤として、ポリビニルアルコール(PVA)を10重
量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で工作用粘
土を得た。得られた粘土は、臭気、造形性においては満
足できるレベルであるものの、耐水性が著しく劣るもの
であった。
【0046】比較例3 主剤粉末として、100メッシュ以下のタルクを20重
量部、糊剤としてカルボキシメチルセルロース(CM
C)4重量部、水50重量部を使用した以外は、実施例
1と同様の方法によって工作用粘土を得た。得られた粘
土は、臭気、造形性においては満足できるレベルである
ものの、耐水性が著しく劣るものであった。
【0047】実施例9 糊剤として、レオレックスRSを0.2重量部用いた以
外は、実施例1と同様の方法で工作用粘土を得た。得ら
れた粘土は、造形性において伸びが極わずかに低下した
ものの、耐水性は比較例1から3に比べて優れていた。
また、不快臭は認めれなかった。
【0048】実施例10 糊剤として、レオレックスRSを22重量部、水を19
0重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で工作
用粘土を得た。得られた粘土は、造形性において伸びが
極わずかに低下したものの、耐水性は比較例1、2に比
べて優れていた。また、不快臭は認めれなかった。
【0049】実施例11 水酸化カルシウムを0.5重量部添加した以外は、実施
例1と同様の方法で、工作用粘土を得た。得られた粘土
は、pH値が8.3であり、アルカリの添加によって伸
びが若干低下した。しかし、グルコマンナンが配合され
ていることによって、耐水性は比較例1、2に比べて優
れていた。また、不快臭は認めれなかった。
【0050】実施例12 水を10重量部用いた以外は、実施例1と様の方法で、
工作用粘土を得た。得られた粘土は、造形性においてボ
ソボソとした感じが若干認められた。しかし、耐水性は
比較例1、2に比べて優れていた。また、不快臭は認め
れなかった。
【0051】実施例13 水を250重量部用いた以外は、実施例1と様の方法
で、工作用粘土を得た。得られた粘土は、造形性におい
てネチャネチャとした感じが若干認められた。しかし、
耐水性は比較例1、2に比べて優れていた。また、不快
臭は認めれなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、グルコマンナンを含有
する糊剤を使用することによって、乾燥後の耐水性が高
い工作用粘土を提供できる。したがって、水に濡れても
粘土表面がべたついたり、また作品自体が変形したりす
ることがないために、工作粘土としての使用範囲を広げ
ることができる。また、作品を廃棄する際には、工作粘
土自体が生分解性を有するために、環境に悪影響を及ぼ
すことがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 貴樹 岡山県小田郡矢掛町東川面421−6 (72)発明者 白髪 準 広島県福山市新涯町1−30−34−3 (72)発明者 清水 寿夫 広島県福山市千代田町2−8−26 Fターム(参考) 2C028 AA10 CA13

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)木粉、紙パルプ、籾殻などの植物
    性粉末およびタルク、シリカなどの無機系粉末から選ば
    れる1種または2種以上の主剤粉末と、(B)糊剤と、
    (C)水とを含有する工作用粘土において、前記(B)
    成分の糊剤がグルコマンナンを含有する糊剤であること
    を特徴とする耐水性工作用粘土。
  2. 【請求項2】 (A)木粉、紙パルプ、籾殻などの植物
    性粉末およびタルク、シリカなどの無機系粉末から選ば
    れる1種または2種以上の主剤粉末20重量部に対し、
    (B)グルコマンナンを含有する糊剤0.5から20重
    量部、(C)水20から200重量部を含有することを
    特徴とする耐水性工作用粘土。
  3. 【請求項3】 糊剤がグルコマンナンを60重量%以上
    含有する糊剤であることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載の耐水性工作用粘土。
  4. 【請求項4】 糊剤がこんにゃく粉をアルコールなどを
    用いて精製することによって得られた、グルコマンナン
    を85重量%以上含有する糊剤であることを特徴とす
    る、請求項1または請求項2記載の耐水性工作用粘土。
  5. 【請求項5】 トリメチルアミン含量が1重量%以下で
    あることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項
    記載の耐水性工作用粘土。
  6. 【請求項6】 pH値が3から7の範囲にあることを特
    徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の耐水性工
    作用粘土。
  7. 【請求項7】 乾燥後の比重が1以下であることを特徴
    とする請求項1から6のいずれか一項記載の耐水性工作
    粘土。
  8. 【請求項8】 (A)木粉、紙パルプ、籾殻などの植物
    性粉末およびタルク、シリカなどの無機系粉末から選ば
    れる1種または2種以上の主剤粉末を、(C)水に加え
    てよく攪拌混合した後、前記(A)と(C)の混合物
    に、(B)グルコマンナンを含有する糊剤を加え攪拌し
    混練することを特徴とする耐水性工作用粘土の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 A)木粉、紙パルプ、籾殻などの植物性
    粉末およびタルク、シリカなどの無機系粉末から選ばれ
    る1種または2種以上の主剤粉末20重量部を、(C)
    水20から200重量部に加えてよく攪拌混合した後、
    前記(A)と(C)の混合物に、(B)グルコマンナン
    を含有する糊剤0.5から20重量部を加え攪拌し混練
    することを特徴とする耐水性工作用粘土の製造方法。
  10. 【請求項10】グルコマンナンを60重量%以上含有す
    る糊剤を用いることを特徴とする、請求項8または請求
    項9記載の耐水性工作用粘土の製造方法。
  11. 【請求項11】こんにゃく粉をアルコールなどを用いて
    精製することによって得られた、グルコマンナンを85
    重量%以上含有する糊剤を用いることを特徴とする請求
    項8または請求項9記載の耐水性工作用粘土の製造方
    法。
  12. 【請求項12】請求項1から7のいずれか一項記載の耐
    水性工作用粘土に、アルカリ金属およびアルカリ土類金
    属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、および塩基性アミノ
    酸から選ばれる1種または2種以上の化合物の水溶液を
    接触させることを特徴とする耐水性工作用粘土の表面改
    質方法。
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