JP2001182605A - クランク軸の基準位置判定装置、クランク位置検出装置、及びエンジン制御装置 - Google Patents

クランク軸の基準位置判定装置、クランク位置検出装置、及びエンジン制御装置

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JP2001182605A
JP2001182605A JP36681299A JP36681299A JP2001182605A JP 2001182605 A JP2001182605 A JP 2001182605A JP 36681299 A JP36681299 A JP 36681299A JP 36681299 A JP36681299 A JP 36681299A JP 2001182605 A JP2001182605 A JP 2001182605A
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crankshaft
reference position
signal
interval
crank angle
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JP36681299A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Kida
芳明 木田
Masanori Yamamoto
正紀 山本
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 奇数気筒のエンジン制御において、過渡的状
況下で生じるクランク軸の基準位置の誤判定を極力防止
する。 【解決手段】 基準位置を判定するための判定用時間T
thを算出するために用いる係数Kthを、エンジンの
一行程の中で、クランク軸の回転位置によって、第1の
値K(1)又は第2の値K(2)に切り換える。例え
ば、クランク角カウンタをインクリメントするカウンタ
処理において、カム角センサからのカム角信号に基づ
き、カム角信号がロウレベル(Lo)であれば(S23
0:YES)、係数Kthを第2の値K(2)とし(S
240)、一方、カム角信号がハイレベル(Hi)であ
れば(S230:NO)、係数Kthを第1の値K
(1)とする(S250)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4サイクルのエン
ジンを制御する技術に関し、詳しくは、エンジンのクラ
ンク軸に予め設定された特定の位置(以下「基準位置」
という。)を判定する基準位置判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジン制御装置は、エンジ
ンに取り付けられたクランク角センサからのクランク角
信号に基づきクランク軸の基準位置を判定する、基準位
置判定装置を備えている。そして、この装置にて基準位
置が判定されると、気筒判別処理を含んだエンジン制御
用の処理(エンジン制御処理)を行う。
【0003】本発明は、この基準位置の判定手法に関す
るものである。そこで、具体例を挙げ、従来の基準位置
判定手法について説明する。クランク角センサは、例え
ば、電磁式のピックアップを備えており、例えばクラン
ク軸に取り付けられたセンシングホイールの外周に設け
られた突起(歯)を検出する。クランク角信号は、検出
された信号を波形整形してなるパルス信号であるのが一
般的である。
【0004】センシングホイールの突起は、原則的に等
角度(例えば6°)間隔で並んでいるが、クランク軸の
基準位置に対応する部分では、2歯又は3歯が間引かれ
ている。この部分が「欠け歯」と呼ばれる。したがっ
て、クランク角信号は、クランク軸が例えば6°といっ
た所定角度回転する毎にロウレベル→ハイレベル→ロウ
レベルといった具合に変化すると共に、クランク軸の回
転位置が基準位置にきた時には、その信号間隔が欠け歯
の分だけ長くなる。
【0005】そのため、基準位置判定装置では、クラン
ク角信号の信号間隔(パルス信号の立ち上がりの間隔、
又は立ち下がりの間隔)を測定することによって上述し
た欠け歯位置を判定する。欠け歯位置が判定されると、
気筒判別処理等が行われ、エンジンの一行程に対応する
クランク軸の回転位置が特定される。なお、対象となる
4サイクルエンジンでは、吸気→圧縮→膨張→排気がエ
ンジンの一行程に相当し、その期間にクランク軸は2回
転する。このため、クランク軸の回転位置は、0°CA
〜720°CAの範囲で特定される。ここで「CA」と
はクランク軸の回転角度(クランクアングル)を示して
おり、例えば30°CAとは、クランク軸の30°分の
回転角度を意味している。
【0006】図8は、クランク角信号を示している。こ
の例では、クランク軸に取り付けられたセンシングホイ
ールに2歯の欠け歯部分が設けられている。したがっ
て、クランク角信号は、欠け歯位置において2歯分のパ
ルスが欠落した信号となる。このようなクランク角信号
から欠け歯を判定するにあたり、図8に示す例では、時
刻t1,t2,t3というようなクランク角信号の立ち
下がり(ダウンエッジ)のタイミングで、割込処理を行
う。
【0007】そして、その割込処理において、直前の割
込時点からの経過時間をクランク信号の信号間隔として
測定する。図8に示すように、例えば時刻t1では信号
間隔がT(n−3)と測定され、時刻t2では信号間隔
がT(n−2)と測定され、時刻t3では信号間隔がT
(n−1)と測定されたものとする。
【0008】さらに、この割込処理では、欠け歯判定の
ための基準となる基準間隔を算出する。一般的には、現
在に近い過去に測定された所定回数分の信号間隔を平均
したものを基準間隔として算出する。この例では過去3
回分の信号間隔を平均して基準間隔を算出する。例えば
時刻t4の割込処理においては、基準間隔Tを{T(n
−3)+T(n−2)+T(n−1)}/3と算出す
る。なお、3回といった所定回数分の信号間隔を平均し
たものを算出するのは、次のような理由による。通常、
エンジンの回転数が変動してクランク角信号の幅が変わ
ってくるため、それを考慮すると、直前に測定された信
号間隔を基準間隔とすることが考えられる。そうは言っ
ても、エンジン回転数が一時的に変化することもあるた
め、その一時的な変動を考慮すれば、ある程度「なら
す」必要がある。そこで、例えば近い過去に測定された
3回分の信号間隔を平均したものを基準間隔とするので
ある。
【0009】このように基準間隔はリアルタイムに繰り
返し測定される信号間隔であるため、直後に欠け歯位置
が存在すれば、その欠け歯位置の間隔は、この基準間隔
の数倍(2歯欠けている場合には3倍)に近いものとな
る。そのため、基準間隔Tに所定の係数を掛け、欠け歯
を判定するための判定用時間Tthを算出する。
【0010】そして、時刻t4では、期間[t3,t
4]に相当する信号間隔T(n)を算出し、算出した判
定用時間Tthよりも信号間隔T(n)が長ければ、欠
け歯と判定する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、4サイクル
エンジンでは、クランク軸がエンジンの一行程に対応し
て2回転する。したがって、クランク軸の一箇所に基準
位置が設定されている場合、例えばセンシングホイール
の一箇所が欠け歯となっている場合には、エンジンの一
行程に相当する期間には、欠け歯が2回判定されること
になる。
【0012】一方、巨視的に見た場合には一定している
エンジンの回転数、すなわちクランク軸の回転数は、微
視的に見ると振動する。4サイクルエンジンでは、吸気
→圧縮→膨張→排気という4つの行程を繰り返すのであ
るが、膨張行程において動力がクランク軸へ伝えられる
ため、その際、回転数が瞬間的に高くなるからである。
以下、この瞬間的な回転数を「瞬時回転数」という。
【0013】図4及び図10は、エンジンの一行程に対
応させ、クランク軸の回転角度(0〜720°CA)、
欠け歯位置、各気筒の行程及びクランク軸の瞬時回転数
を示すものである。図10は、4気筒エンジンの場合を
示しており、一方、図4は、5気筒エンジンの場合を示
している。欠け歯位置(基準位置)は、0°CA及び3
60°CAの位置となっている。
【0014】それぞれのエンジンは、各気筒からバラン
スよく動力を取り出すために、0〜720°CAという
クランク軸の回転位置に対し、各気筒の膨張行程が均等
にくるように構成されている。図10に示すような4気
筒エンジンでは、気筒間で各行程が180°CAずつず
れるため、2つの欠け歯位置(0°CA,360°C
A)において、瞬時回転数は同様の値となる。
【0015】しかしながら、図4に示すような5気筒エ
ンジンでは、気筒間で各行程が144°(720÷5)
CAずつずれるため、2つの欠け歯位置(0°CA,3
60°CA)において瞬時回転数あるいは瞬時回転数の
変化方向が異なってくる。図4では、一方の欠け歯位置
(0°CA)において瞬時回転数が最小となっており、
他方の欠け歯位置(360°CA)において瞬時回転数
は最大となっている。これは、5気筒エンジンの場合に
限られず、奇数気筒のエンジンでは同様に起こり得る。
【0016】したがって、図4に示した5気筒のエンジ
ンにおいて欠け歯付近のクランク角信号を強調して示す
と、図5に示す如くとなる。すなわち、図5(a)に示
すように、0°CA付近におけるクランク角信号を見る
と、その信号間隔が大きくなっており、欠け歯部分の信
号間隔が大きくなる。一方、図5(b)に示すように、
360°CA付近におけるクランク角信号を見ると、そ
の信号間隔が小さくなっており、欠け歯部分の信号間隔
が小さくなる。
【0017】4気筒のエンジンであれば0°CA付近に
おいても、360°CA付近においても、図5(a)に
示すように同様に信号間隔が変化するため、この信号間
隔の変化に合わせ、上述したような判定用時間を算出す
るための係数を固定的に設定すればよい。すなわち、基
準間隔に固定的な係数を乗じて欠け歯判定用の時間を算
出するようにしても問題はない。
【0018】ところが、5気筒のエンジンでは、固定的
な係数を掛けて欠け歯判定用の時間を算出すると、その
欠け歯判定用の時間Tthが妥当なものとならない。す
なわち、図5(a)に示すような0°CA付近の信号間
隔に基づき設定された係数を乗じて判定用の時間を算出
すれば、360°CAの欠け歯部分の信号間隔に対して
は、判定用時間が大きくなり過ぎる。逆に、図5(b)
に示すような360°CA付近の信号間隔に基づき設定
された係数を乗じて判定用の時間を算出すれば、0°C
Aの欠け歯部分の信号間隔に対しては、判定用の時間が
小さくなり過ぎる。
【0019】そのため、従来は、図5(a)及び(b)
に示すような0°CA付近の信号間隔及び360°CA
付近の信号間隔の両方で欠け歯が判定できるような中間
的な係数を固定的に設定していた。このような中間的な
係数を用いて判定用の時間を算出するようにしても、巨
視的に見てエンジン回転数が一定している場合には特に
問題なく欠け歯を判定できる。しかし、エンジン回転数
が極端に変動する過渡的な状況においては欠け歯を誤判
定するという事態が生じる可能性がある。
【0020】つまり、図5(a)に示す0°CA付近で
は、判定用の時間が信号間隔に対して比較的小さなもの
となるため、例えばエンジンの回転数が急激に下がって
信号間隔がさらに広くなると、欠け歯位置でない部分を
欠け歯位置であると判定してしまう可能性がある。逆に
図5(b)に示す360°CA付近では、判定用の時間
が信号間隔に対して比較的大きなものとなるため、例え
ばエンジンの回転数が急激に上がって信号間隔がさらに
狭くなると、欠け歯位置であっても欠け歯位置でないと
判定してしまう可能性があった。
【0021】なお、以上はクランク軸の基準位置がセン
シングホイールの欠け歯にて示されるものを例に挙げて
説明したが、等角度間隔で並んだ突起に加え、クランク
軸の基準位置に対応する部分に余分に突起が設けられ
た、いわゆる「足し歯」となっているセンシングホイー
ルを用いた装置でも同様である。
【0022】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、奇数気筒のエンジン制御におい
て、過渡的状況下で生じるクランク軸の基準位置の誤判
定を極力防止することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上述した
目的を達成するためになされた請求項1に記載の基準位
置判定装置では、クランク角信号出力手段が、エンジン
のクランク軸の回転に応じてクランク角信号を出力す
る。
【0024】クランク角信号出力手段は、例えば上述し
たような電磁式のピックアップ及びセンシングホイール
で構成することが考えられる。この場合、クランク軸に
取り付けられて一体となって回転するセンシングホイー
ルの突起を検出して、クランク角信号を出力する。な
お、このクランク角信号出力手段は、波形整形したパル
ス信号としてクランク角信号を出力することが考えられ
る。また、波形整形せずにそのまま出力するようにして
もよい。クランク角信号はパルス信号とされるのが一般
的であるため、以下ではクランク角信号がパルス信号で
あるとして説明する。
【0025】信号間隔測定手段は、クランク角信号出力
手段にて出力されるクランク角信号を検出し、直前に出
力されたクランク角信号との信号間隔を測定する。この
信号間隔は、例えばクランク角信号のパルスの立ち上が
り間隔又はパルスの立ち下がり間隔として測定される。
【0026】また、基準間隔算出手段が、信号間隔測定
手段にて過去に測定されたクランク角信号の信号間隔に
基づき、基準間隔を算出する。この基準間隔は、現在に
近い過去に測定された所定回数分の前記信号間隔を平均
して基準間隔を算出することが考えられる(請求項
2)。例えば過去3回分の信号間隔を平均して基準間隔
とするという具合である。
【0027】このようにして基準間隔が算出されると、
判定用時間算出手段は、基準間隔算出手段にて算出され
た基準間隔に対し、設定された係数を乗じて、クランク
軸の基準位置を判定するための判定用時間を算出する。
そして、基準位置判定手段は、信号間隔測定手段にてク
ランク角信号の信号間隔が測定されると、当該測定され
た信号間隔と判定用時間算出手段にて算出された判定用
時間とに基づき、クランク軸の回転位置が基準位置とな
ったか否かを判定する。
【0028】ここで特に本発明では、係数設定手段が、
エンジンの一行程に対応するクランク軸の回転位置を判
断し、当該回転位置に応じて上述した係数を設定する。
ここでエンジンの一行程に対応するクランク軸の回転位
置とは、具体的には、0°CA〜720°CAの範囲の
回転位置を意味する。上述したように4サイクルエンジ
ンでは、エンジンの一行程に対応してクランク軸が2回
転するからである。
【0029】発明が解決しようとする課題の欄に図4を
用いて述べた5気筒エンジンでは、巨視的に見てエンジ
ン回転数が一定であっても、0°CA付近では信号間隔
が相対的に大きくなり、一方、360°CA付近では信
号間隔が相対的に小さくなる。そのため、従来のように
固定的な係数を用いて判定用時間を算出した場合、判定
用時間が一方では相対的に小さなものとなり、他方では
相対的に大きなものとなる。そして、このような固定的
な係数を用いて算出される判定用時間を用いて基準位置
を判定すると、エンジン回転数が急激に変動する過渡的
な状況下では基準位置を誤判定する可能性が高くなって
いた。
【0030】これに対して、本発明ではクランク軸の回
転位置に応じて、係数を動的に決定する。このようにす
れば、欠け歯判定に用いられる判定用時間が信号間隔に
対して大きすぎたり小さすぎたりすることがなくなり、
過渡的な状況下での基準位置判定において、基準位置を
誤判定する可能性が低減される。
【0031】なお、微視的に見た場合にクランク軸の瞬
時回転数が振動することは、既に述べた。したがって、
クランク軸の回転位置に応じて、細かく切り換えて係数
を設定するようにしてもよいが、例えば請求項3に示す
ように、係数設定手段は、クランク軸の回転位置に応
じ、第1及び第2の2つの係数をエンジンの一行程中で
切り換えて設定するのが現実的である。エンジンの一行
程中に2回出現する基準位置を判定できればよいためで
ある。例えばクランク軸が540°CA→720°CA
(0°CA)→180°CAと回転する期間には、0°
CAにて基準位置が判定されるため、図5(a)に示す
信号間隔に合わせて用意される第1の係数を設定する。
一方、クランク軸が180°CA→360°CA→54
0°CAと回転する期間には、360°CAにて基準位
置が判定されるため、図5(b)に示す信号間隔に合わ
せて用意される第2の係数を設定する。
【0032】これによって、過渡的な状況下で基準位置
を誤判定する可能性が低減されることに加え、第1及び
第2の係数を切り換えて設定する構成としたため、係数
設定手段としての処理が簡単になり、処理設計という面
からも有効である。ところで、係数設定手段がクランク
軸の回転位置を判断する場合、上述したように0°CA
〜720°CAの範囲で判断するのであるが、具体的に
300°CAというように角度として判断する必要はな
い。例えば上述したように2つの期間で係数を切り換え
るような場合を考えると、回転位置が180〜540°
CAの期間にあるか、あるいは、540〜180°CA
の期間にあるかという、いわゆる裏行程であるか表行程
であるかが分かればよい。
【0033】したがって、例えば請求項4に示すよう
に、係数設定手段は、クランク軸の回転位置が基準位置
となるタイミングで交互に異なった論理レベルとなって
いるカム角信号を用い、回転位置を判断するようにする
ことが考えられる。カム角信号は、クランク軸との比率
が1/2で回転するカム軸の回転に応じて出力される信
号であり、カム角センサから出力される。エンジン制御
装置では、このカム角信号を用いて気筒判別処理を行う
のが一般的である。したがって、外部のカム角センサか
ら出力されるカム角信号を用い、クランク軸の回転位置
を判断する。具体的には、裏行程における回転位置か表
行程における回転位置かを判断する。なお、カム角セン
サが外部になければ、カム角センサを備える構成として
もよい。
【0034】また、エンジン制御装置では、クランク角
カウンタを備え、クランク角カウンタのカウント値によ
って各気筒の状態(換言すれば、エンジンの一行程に対
応するクランク軸の回転位置)を常時把握しエンジンを
制御する。クランク角カウンタは、原則的に6°CAと
いうような所定角度毎に入力されるクランク角信号を例
えば72°CA毎に立ち上がるパルス信号に分周し、そ
のパルス信号を、エンジンの一行程に対応させてカウン
トする。したがって、その場合、0〜720°CAのク
ランク軸の回転位置が、0〜9のカウント値として把握
できる。
【0035】したがって、請求項5に示すように、係数
設定手段は、クランク軸の回転位置に対応するカウント
値を出力するクランク角カウンタを用い、当該カウント
値に基づき回転位置を判断するようにしてもよい。な
お、基準位置判定手段は、測定された信号間隔と判定用
時間とに基づき基準位置となったか否かを判定するとし
たが、具体的には、次のようにして判定することが考え
られる。
【0036】例えば、クランク軸に取り付けられ一体と
なって回転するセンシングホイールの欠け歯位置でクラ
ンク軸の基準位置が示されており、クランク角信号出力
手段が、センシングホイールの突起に対応するパルス信
号を出力する場合は、基準位置判定手段は、判定用時間
よりも信号間隔が長い場合に欠け歯位置と判定すること
によって、クランク軸の回転位置が基準位置となったと
判定する(請求項6)。一方、クランク軸に取り付けら
れ一体となって回転するセンシングホイールの足し歯位
置でクランク軸の基準位置が示されており、クランク角
信号出力手段が、センシングホイールの突起に対応する
パルス信号を出力する場合は、基準位置判定手段は、判
定用時間よりも信号間隔が短い場合に足し歯位置と判定
することによって、クランク軸の回転位置が基準位置と
なったと判定する(請求項7)。
【0037】以上は、クランク軸の基準位置判定装置の
発明として説明してきたが、上述した基準位置判定装置
を備え、さらに、クランク軸の回転位置を検出する機能
を備えたクランク位置検出装置の発明として実現するこ
ともできる。すなわち、上述した基準位置判定装置を備
え、さらに、エンジンのカム軸の回転に応じてカム角信
号を出力するカム角信号出力手段と、カム角信号出力手
段にて出力されるカム角信号、基準位置判定手段による
判定結果、及びクランク角信号出力手段にて出力される
クランク角信号に基づき、クランク軸の回転位置を算出
するクランク位置算出手段とを備えたことを特徴とする
クランク位置検出装置である(請求項8)。ここでクラ
ンク位置算出手段は、クランク軸の回転位置に合わせて
カウントアップするクランク角カウンタとして実現する
ことが考えられる。
【0038】また、このようなクランク位置検出装置を
備えるエンジン制御装置の発明として実現することもで
きる。すなわち、上述したクランク位置検出装置を備
え、クランク位置算出手段にて算出されるクランク軸の
回転位置に基づき、エンジンを制御するエンジン制御処
理を実行するエンジン制御装置である(請求項9)。
【0039】なお、クランク位置検出装置として実現し
ても、エンジン制御装置として実現しても、上述した基
準位置判定装置と同様の効果が得られることは言うまで
もない。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施例
を図面を参照して説明する。 [第1実施例]図1は、実施例のクランク位置検出装置
1を示す機能ブロック図である。
【0041】クランク位置検出装置1は、エンジンのク
ランク軸の回転位置を検出すると共に、クランク軸の基
準位置(後述する欠け歯の位置)を判定する装置であ
る。そして、5気筒の4サイクルエンジンを制御するエ
ンジン制御装置の一部をなす。このクランク位置検出装
置1は、信号処理部10と、クランク角センサ20と、
カム角センサ30とを備えている。
【0042】信号処理部10は、CPU、ROM、RA
M、I/Oなどを備えたいわゆるコンピュータシステム
として構成されており、図中には、コンピュータシステ
ムによる処理機能がブロック化して示されている。つま
り、この信号処理部10は、「信号間隔測定手段」とし
ての信号間隔測定ブロック11、「基準間隔算出手段」
としての基準間隔算出ブロック12、「判定用時間算出
手段」としての判定用時間算出ブロック13、「基準位
置判定手段」としての基準位置判定ブロック14及び
「係数設定手段」としての係数設定ブロック15を備え
ている。
【0043】クランク角センサ20は、センシングホイ
ール21と、信号出力部22とを備えている。センシン
グホイール21は、エンジンのクランク軸に固定され、
クランク軸と一体となって回転する。このセンシングホ
イール21の外周には、原則的に6°CAの間隔で突起
(歯)が形成されているが、クランク軸の基準位置に対
応する部分には、2歯が欠損した「欠け歯部」が形成さ
れている。一方、信号出力部22は、センシングホイー
ル21の外周に対向するように配置されている。そし
て、センシングホイール21の歯を検出する電磁式のピ
ックアップを備え、検出された信号を波形整形してパル
ス信号を出力する。したがって、このパルス信号は、ク
ランク軸が6°回転する毎にロウレベル→ハイレベル→
ロウレベルといった具合に変化するが、センシングホイ
ール21の上述した欠け歯部では、その間隔が2歯分だ
け長くなる。このパルス信号が「クランク角信号(N
E)」であり、したがって、クランク角センサ20が
「クランク角信号出力手段」に相当する。
【0044】また、カム角センサ30も、センシングホ
イール31と、信号出力部32とを備えている。このセ
ンシングホイール31は、エンジンのカム軸に固定さ
れ、カム軸と一体となって回転する。カム軸は、クラン
ク軸の回転に対し1/2の比率で回転する。センシング
ホイール31の外周には、半周分に連続的な歯が形成さ
れている。信号出力部32は、クランク角センサ20の
信号出力部22と同様、電磁式のピックアップを備え、
センシングホイール31の歯を検出し、検出された信号
を波形整形してパルス信号を出力する。したがって、こ
のパルス信号は、センシングホイール31が1/2回転
する毎(すなわち360°CA毎)に論理レベルが反転
する。このパルス信号が「カム角信号(G)」であり、
カム角センサ30が「カム角信号出力手段」に相当す
る。
【0045】このようなクランク角センサ20及びカム
角センサ30からそれぞれクランク角信号、カム角信号
が入力されることを前提として、信号処理部10は動作
する。そこで次に信号処理部10の動作を説明する。信
号処理部10における処理は、クランク角信号のパルス
の立ち下がりタイミングで実行される。
【0046】信号間隔測定ブロック11は、クランク角
信号のパルスの立ち下がり間隔を、信号間隔として測定
する。測定した信号間隔は図示しないメモリ装置に記憶
しておく。なお、本実施例では、現時点に近い過去3回
分の信号間隔をメモリ装置に記憶しておく。したがっ
て、新たな信号間隔を測定して記憶すると共に、現時点
に近い過去3回分の信号間隔の情報を残し、それ以前に
記憶した信号間隔の情報はメモリ装置から抹消する。
【0047】なお、以下では新たに測定された信号間隔
をT(n)と表し、その直前の信号間隔をT(n−
1)、さらにその前に測定された信号間隔をT(n−
2)という具合に表す。すると、信号間隔測定ブロック
11はメモリ装置に対し、T(n)を記憶すると共に、
T(n−1),T(n−2),T(n−3)を残し、T
(n−4)を抹消することになる。
【0048】基準間隔算出ブロック12は、欠け歯の判
定用時間を算出する基準となる基準間隔を算出する。具
体的には、信号間隔測定ブロック11にて記憶された現
時点に近い過去3回分の信号間隔の平均を基準間隔とし
て算出する。すなわち、基準間隔をTとすると、T=
{T(n−3)+T(n−2)+T(n−1)}/3と
なる。
【0049】判定用時間算出ブロック13は、欠け歯の
判定を行うための判定用時間を算出する。ここでは、基
準間隔算出ブロック12にて算出された基準間隔Tに、
係数設定ブロック15によって設定される係数Kthを
乗じて、判定用時間を求める。すなわち判定用時間をT
thとすると、Tth=T×Kthとなる。
【0050】基準位置判定ブロック14は、判定用時間
算出ブロック13にて算出された判定用時間Tthより
も、信号間隔測定ブロック11にて測定された信号間隔
T(n)が長い場合に欠け歯であると判定し、パルス信
号を出力する。係数設定ブロック15は、上述した判定
用時間算出ブロック13が判定用時間Tthを算出する
ために用いる係数Kthを、エンジンの一行程に対応さ
せ、切り換えて設定する。具体的には、クランク角セン
サ20からのクランク角信号及びカム角センサ30から
のカム角信号に基づいて、クランク軸の回転位置を判断
し、その回転位置に応じて係数Kthに第1の値K
(1)又は第2の値K(2)を代入する。なお、ここで
第1の値K(1)と第2の値K(2)は、従来の係数を
固定値Kで示すと、K(2)<K(従来値)<K(1)
の関係を満たす。
【0051】本実施例のクランク位置検出装置1は、信
号処理部10にこの係数設定ブロック15を備えること
を特徴としており、判定用時間Tthを算出するための
係数Kthを動的に変化させるようにしたことを特徴と
している。そこで次に、この信号処理部における処理を
図2及び図3のフローチャートに基づいて詳細に説明す
る。
【0052】図2は、信号処理部10にて実行されるダ
ウンエッジ割込処理を示す。この処理は、クランク角セ
ンサ20からのクランク角信号の立ち下がり(ダウンエ
ッジ)を検出する毎に実行される。まず最初のステップ
S100において、信号間隔T(n)を測定する。この
処理は、信号間隔測定ブロック11の処理に相当し、前
回の割込時刻と今回の割込時刻との差を測定するもので
ある。そして、上述したように測定した信号間隔T
(n)をメモリ装置に記憶し、過去に記憶したT(n−
4)をメモリ装置から抹消する。これによって、メモリ
装置には、現時点に近い過去3回分の信号間隔T(n−
3),T(n−2),T(n−1)と新たに測定した信
号間隔T(n)が記憶されることになる。なお、次回の
割込処理にて信号間隔T(n+1)を測定するために、
ここでは今回の割込時刻も記憶する。
【0053】続くS110では、基準間隔Tを算出す
る。この処理は、基準間隔算出ブロック12の処理に相
当し、メモリ装置に記憶された過去3回分の信号間隔T
(n−3),T(n−2),T(n−1)の平均を基準
間隔Tとして算出する。次のS120では、判定用時間
Tthを算出する。この処理は、判定用時間算出ブロッ
ク13の処理に相当し、S110にて算出された基準間
隔Tに対し、後述するようにして設定される係数Kth
を乗じ、判定用時間Tthを算出する。
【0054】そして、続くS130では、S100にて
測定された信号間隔T(n)が判定用時間Tthよりも
大きいか否かを判断する。ここでT(n)>Tthと判
断された場合(S130:YES)、欠け歯と判定し、
S140にて欠け歯フラグをオンにして、その後、S1
60へ移行する。一方、T(n)≦Tthと判断された
場合(S130:NO)、欠け歯でないと判定し、S1
50にて欠け歯フラグをオフにして、その後、S160
へ移行する。なお、S130〜S150の処理が基準位
置判定ブロック14の処理に相当する。
【0055】S160では、クランク軸の回転角度が7
2°CAの倍数となっているか否かを判断する。すなわ
ち、クランク角センサ20からのクランク角信号は6°
CA毎に入力されるため、12回の割込処理に1回だけ
ここで肯定判断されることになる。ここで回転角度が7
2°CAの倍数である場合(S160:YES)、S1
70にてカウンタ処理をコールし、カウンタ処理終了後
に本ダウンエッジ割込処理を終了する。一方、回転角度
が72°CAの倍数でない場合(S160:NO)、S
170の処理を実行せず、本ダウンエッジ割込処理を終
了する。なお、S160、及びS170にてコールされ
るカウンタ処理が、係数設定ブロック15の処理に相当
する。
【0056】続いてS170にてコールされるカウンタ
処理を、図3のフローチャートに基づいて説明する。ま
ず最初のステップS200において、クランク角カウン
タをインクリメントする。続くS210では、クランク
角カウンタのカウント値が10以上となったか否かを判
断する。ここでカウント値が10以上である場合(S2
10:YES)、S220にてクランク角カウンタをリ
セットして「0」とし、S230へ移行する。一方、カ
ウント値が10よりも小さい場合(S210:NO)、
S220の処理を実行せず、S230へ移行する。
【0057】クランク角カウンタは、72°CA毎にカ
ウントアップされることになり(S200)、0〜9ま
での値をカウントする(S210,S220)。一方、
エンジンの一行程中にクランク軸は2回転するため、ク
ランク軸の回転位置は0〜720°CAの範囲となる。
したがって、クランク角カウンタは、エンジンの一行程
に対応して0〜9までをカウントする。このクランク角
カウンタのカウント値は、外部へ出力され、エンジン制
御処理に用いられる。なお、このクランク角カウンタの
処理が、クランク位置算出手段としての処理に相当す
る。
【0058】S230では、カム角センサ30からのカ
ム角信号がロウレベル(Lo)であるか否かを判断す
る。ここでロウレベル(Lo)であると判断された場合
(S230:YES)、S240にて係数Kthに第2
の値であるK(2)を代入し、その後、本カウンタ処理
を終了する。一方、ロウレベル(Lo)でないと判断さ
れた場合(S230:NO)、すなわちハイレベル(H
i)である場合には、S250にて係数Kthに第1の
値であるK(1)を代入し、その後、本カウンタ処理を
終了する。
【0059】次に、本実施例のクランク位置検出装置1
の発揮する効果を説明する。なお、ここでの説明に対す
る理解を容易にするため、最初に従来の問題点を繰り返
し説明する。図4に示すように、巨視的に見てエンジン
回転数が一定であっても、微視的に見れば、クランク軸
の瞬時回転数は、各気筒#1〜#5の膨張行程で一時的
に大きくなる。そして、5気筒エンジンでは、吸気→圧
縮→膨張→排気という各行程が気筒間で144°CA
(720÷5)ずれるように構成されている。そのた
め、図4から分かるように、エンジンの一行程中に現れ
るの第1の欠け歯位置(0°CA)で瞬時回転数が最小
となれば、第2の欠け歯位置(360°CA)では瞬時
回転数が最大となる。
【0060】そのため、図5(a)に示すように第1の
欠け歯位置(0°CA)では信号間隔が相対的に大きく
なり、逆に、第2の欠け歯位置(360°CA)では信
号間隔が相対的に小さくなる。そのため、従来のように
固定的な係数Kを用いて判定用時間Tthを算出した場
合、判定用時間Tthが一方では相対的に小さなものと
なり(図5(a)参照)、他方では相対的に大きなもの
となる(図5(b)参照)。そして、このような固定的
な係数Kを用いて算出される判定用時間Tthを用いて
基準位置を判定すると、エンジン回転数が急激に変動す
る過渡的な状況下では基準位置を誤判定する可能性が高
くなっていた。
【0061】そこで、本実施例のクランク位置検出装置
1では、クランク角カウンタをインクリメントするカウ
ンタ処理において、カム角センサ30からのカム角信号
に基づき、カム角信号がロウレベル(Lo)であれば、
係数Kthを第2の値K(2)とし、一方、カム角信号
がハイレベル(Hi)であれば、係数Kthを第1の値
K(1)とする。
【0062】すなわち、図4で言えば、クランク角カウ
ンタが「2」→「3」、「3」→「4」、「4」→
「5」、「5」→「6」及び「6」→「7」となるそれ
ぞれのタイミングでは、KthにK(2)が代入され
る。一方、「7」→「8」、「8」→「9」、「9」→
「0」、「0」→「1」及び「1」→「2」となるそれ
ぞれのタイミングでは、KthにK(1)が代入され
る。したがって、第1の欠け歯位置(0°CA)を判定
するための判定用時間は基準間隔Tに係数K(1)を乗
じて算出される。また、第2の欠け歯位置(360°C
A)を判定するための判定用時間Tthは、基準間隔T
に係数K(2)を乗じて算出される。ここでK(2)<
K(従来値)<K(1)となっているため、図5(a)
に示すように、第1の欠け歯位置(0°CA)を判定す
るための判定用時間Tthは、従来と比較して相対的に
大きなものとなり、信号間隔に対して妥当となる。同様
に、図5(b)に示すように、第2の欠け歯位置(36
0°CA)を判定するための判定用時間Tthは、従来
と比較して相対的に小さなものとなり、信号間隔に対し
て妥当なものとなる。したがって、エンジン回転数が急
激に変動する過渡的な状況下において基準位置を誤判定
する可能性を低減させることができる。 [第2実施例]なお、上記第1実施例では、72°CA
毎のタイミングでカム角信号の論理レベルを取得してク
ランク軸の回転位置を判断し、係数Kthを切り換える
ものであった。
【0063】これに対して本第2実施例は、クランク角
カウンタのカウント値に基づいて係数Kthを切り換え
るものである。したがって、上述した図2及び図3の処
理に代わるダウンエッジ割込処理及びカウンタ処理を、
図6及び図7のフローチャートに基づいて説明する。な
お、ハードウェア構成については上記実施例と同様であ
るため、ハードウェア構成に関する説明は省略し、ハー
ドウェア構成に関しては同一の符号を用いることにす
る。
【0064】図6は、信号処理部10にて実行されるダ
ウンエッジ割込処理を示す。この処理は、クランク角セ
ンサ20からのクランク角信号の立ち下がり(ダウンエ
ッジ)を検出する毎に実行される。まず最初のステップ
S300において、信号間隔T(n)を測定する。この
処理は、信号間隔測定ブロック11の処理に相当し、前
回の割込時刻と今回の割込時刻との差を測定するもので
ある。そして、測定した信号間隔T(n)をメモリ装置
に記憶し、過去に記憶したT(n−4)をメモリ装置か
ら抹消する。そして、今回の割込時刻を記憶する。
【0065】続くS310では、基準間隔Tを算出す
る。この処理は、基準間隔算出ブロック12の処理に相
当し、メモリ装置に記憶された過去3回分の信号間隔T
(n−3),T(n−2),T(n−1)の平均を基準
間隔Tとして算出するものである。
【0066】次のS320では、判定用時間Tthを算
出する。この処理は、判定用時間算出ブロック13の処
理に相当し、S110にて算出された基準間隔Tに対
し、後述するようにして設定される係数Kthを乗じ、
判定用時間Tthを算出する。そして、続くS330で
は、S300にて測定された信号間隔T(n)が判定用
時間Tthよりも大きいか否かを判断する。ここでT
(n)>Tthと判断された場合(S330:YE
S)、S350へ移行する。一方、T(n)≦Tthと
判断された場合(S330:NO)、欠け歯でないと判
定し、S340にて欠け歯フラグをオフにして、その
後、S380へ移行する。
【0067】欠け歯と判定した場合に移行するS350
では、カム角センサ30からのカム角信号がロウレベル
(Lo)であるか否かを判断する。ここでロウレベル
(Lo)であると判断された場合(S350:YE
S)、S360にて裏欠け歯フラグをオンにし、その
後、S380へ移行する。一方、ロウレベル(Lo)で
ないと判断された場合(S350:NO)、すなわちハ
イレベル(Hi)である場合には、S370にて表欠け
歯フラグをオンにし、その後、S380へ移行する。
【0068】すなわち、ここでは欠け歯位置を判定する
と、その欠け歯位置が第1の欠け歯位置(0°CA)で
あるか、あるいは、第2の欠け歯位置(360°CA)
であるかを、表欠け歯フラグ及び裏欠け歯フラグのオン
オフで記憶しておく。なお、S330〜S370の処理
が基準位置判定ブロック14の処理に相当する。
【0069】S380では、クランク軸の回転角度が7
2°CAの倍数となっているか否かを判断する。ここで
回転角度が72°CAの倍数である場合(S380:Y
ES)、S390にてカウンタ処理をコールし、カウン
タ処理終了後に本ダウンエッジ割込処理を終了する。一
方、回転角度が72°CAの倍数でない場合(S38
0:NO)、S390の処理を実行せず、本ダウンエッ
ジ割込処理を終了する。なお、S380、及びS390
にてコールされるカウンタ処理が、係数設定ブロック1
5の処理に相当する。
【0070】続いてS390にてコールされるカウンタ
処理を、図7のフローチャートに基づいて説明する。ま
ず最初のステップS400において、クランク角カウン
タをインクリメントする。続くS410では、クランク
角カウンタのカウント値が10以上となったか否かを判
断する。ここでカウント値が10以上である場合(S4
10:YES)、S420にてクランク角カウンタをリ
セットして「0」とし、S430へ移行する。一方、カ
ウント値が10よりも小さい場合(S410:NO)、
S420の処理を実行せず、S430へ移行する。
【0071】S430では、欠け歯フラグがオフである
か否かを判断する。ここでは、表欠け歯フラグ及び裏欠
け歯フラグが両方ともオフである場合に肯定判断され
る。欠け歯フラグがオフであると判断された場合(S4
30:YES)、S470へ移行する。一方、欠け歯フ
ラグがオフでないと判断された場合(S430:N
O)、すなわち表欠け歯フラグ又は裏欠け歯フラグがオ
ンであった場合には、S440へ移行する。
【0072】S440では、表欠け歯フラグがオンであ
るか否かを判断する。ここで表欠け歯フラグがオンであ
った場合(S440:YES)、すなわち、第1の欠け
歯位置(0°CA)が判定された直後である場合には、
クランク角カウンタのカウント値に「0」を代入し、そ
の後、S470へ移行する。一方、表欠け歯フラグがオ
ンでなかった場合(S440:NO)、すなわち、裏欠
け歯フラグがオンであり、第2の欠け歯位置(360°
CA)が判定された直後である場合には、クランク角カ
ウンタのカウント値に「5」を代入し、その後、S47
0へ移行する。
【0073】S470では、クランク角カウンタのカウ
ント値が2〜6のいずれかであるか否かを判断する。こ
こでカウント値が2〜6のいずれかである場合(S47
0:YES)、S480にて係数Kthに第2の値であ
るK(2)を代入し、その後、本カウンタ処理を終了す
る。一方、カウント値が0,1,7,8,9のいずれか
である場合(S470:NO)、S490にて係数Kt
hに第1の値であるK(1)を代入し、その後、本カウ
ンタ処理を終了する。
【0074】つまり、本実施例のクランク位置検出装置
1では、欠け歯位置が判定されると(図6中のS33
0:YES)、その欠け歯位置が第1の欠け歯位置(0
°CA)であるか、あるいは、第2の欠け歯位置(36
0°CA)であるかを判定し(S350)、それに合わ
せてクランク角カウンタを「0」又は「5」にプリセッ
トする(図7中のS440〜S460)。そして、クラ
ンク角カウンタのカウント値に基づき、カウント値が2
〜6のいずれかであれば(S470:YES)、係数K
thを第2の値K(2)とし(S480)、一方、カウ
ント値が2〜6のいずれでもなければ(S470:N
O)、係数Kthを第1の値K(1)とする(S49
0)。
【0075】これによって、第1の欠け歯位置(0°C
A)を判定するための判定用時間Tthは基準間隔Tに
係数K(1)を乗じて算出される。また、第2の欠け歯
位置(360°CA)を判定するための判定用時間Tt
hは、基準間隔Tに係数K(2)を乗じて算出される。
ここでK(2)<K(従来値)<K(1)となっている
ため、図5(a)に示すように、第1の欠け歯位置(0
°CA)を判定するための判定用時間Tthは、従来と
比較して相対的に大きなものとなり、信号間隔に対して
妥当となる。同様に、図5(b)に示すように、第2の
欠け歯位置(360°CA)を判定するための判定用時
間Tthは、従来と比較して相対的に小さなものとな
り、信号間隔に対して妥当なものとなる。その結果、エ
ンジン回転数が急激に変動する過渡的な状況下において
基準位置を誤判定する可能性を低減させることができ
る。 [その他]以上、本発明は上述した実施例に何等限定さ
れるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々なる形態で実施し得る。 (イ)例えば上記実施例では、クランク軸の基準位置に
対応する部分が、センシングホイール21の「欠け歯
部」として示されていた。
【0076】これに対して、原則的に並んだ突起(歯)
に対し、クランク軸の基準位置を示す突起(歯)を余分
に設けた「足し歯部分」を有するセンシングホイールを
用いることもできる。この場合、クランク角センサから
のクランク角信号は、図9に示す如くとなる。従って、
0<K(2)<K(従来)<K(1)<1となるような
第1の値K(1)及び第2の値K(2)を設定し、図2
中のS130及び図4中のS330にて、信号間隔T
(n)が判定用時間Tthよりも短い場合に肯定判断す
るようにすればよい。 (ロ)また、上記実施例では、現時点に近い過去3回分
の信号間隔T(n−3),T(n−2),T(n−1)
の平均を基準間隔Tとして算出していた。これは、通
常、エンジンの回転数が変動してクランク角センサ20
からのクランク角信号の間隔が変わってくるため、それ
を考慮すると直前に測定された信号間隔を用いるのが望
ましいが、エンジン回転数が一時的に変化することもあ
るため、その一時的な変動を考慮して「ならす」もので
ある。したがって、過去3回分の信号間隔の平均を基準
間隔とする必要は必ずしもない。例えば過去4回分、5
回分といった所定回数分の信号間隔を平均して基準間隔
としてもよい。 (ハ)上記実施例のクランク位置検出装置1は、5気筒
エンジンを制御するエンジン制御装置を構成するものと
していたが、同様の構成で奇数気筒のエンジンを制御す
るエンジン制御装置に適用できることは言うまでもな
い。そして、さらに、第1の値K(1)と第2の値K
(2)とを同一の値とすれば、偶数気筒のエンジンを制
御するエンジン制御装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のクランク位置検出装置の機能ブロック
図である。
【図2】第1実施例のダウンエッジ割込処理を示すフロ
ーチャートである。
【図3】第1実施例のカウンタ処理を示すフローチャー
トである。
【図4】5気筒エンジンの行程を示した説明図である。
【図5】欠け歯位置と判定用時間との関係を示す説明図
である。
【図6】第2実施例のダウンエッジ割込処理を示すフロ
ーチャートである。
【図7】第2実施例のカウンタ処理を示すフローチャー
トである。
【図8】欠け歯位置の判定手法を示す説明図である。
【図9】足し歯位置の判定手法を示す説明図である。
【図10】4気筒エンジンの行程を示した説明図である。
【符号の説明】
1…クランク位置検出装置 10…信号処理部 11…信号間隔測定ブロック 12…基準間隔算出ブロック 13…判定用時間算出ブロック 14…基準位置判定ブロック 15…係数設定ブロック 20…クランク角センサ 30…カム角センサ 21,31…センシングホイール 22,32…信号出力部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのクランク軸の回転に応じてクラ
    ンク角信号を出力するクランク角信号出力手段と、 該クランク角信号出力手段にて出力されるクランク角信
    号を検出し、直前に出力されたクランク角信号との信号
    間隔を測定する信号間隔測定手段と、 該信号間隔測定手段にて過去に測定された前記信号間隔
    に基づき、基準間隔を算出する基準間隔算出手段と、 該基準間隔算出手段にて算出された基準間隔に対し、設
    定された係数を乗じて前記クランク軸の基準位置を判定
    するための判定用時間を算出する判定用時間算出手段
    と、 前記信号間隔測定手段にて前記信号間隔が測定される
    と、当該測定された信号間隔と前記判定用時間算出手段
    にて算出された前記判定用時間とに基づき、前記クラン
    ク軸の回転位置が前記基準位置となったか否かを判定す
    る基準位置判定手段とを備えた基準位置判定装置におい
    て、 前記エンジンの一行程に対応する前記クランク軸の回転
    位置を判断し、当該回転位置に応じて前記係数を設定す
    る係数設定手段を備えていることを特徴とするクランク
    軸の基準位置判定装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の基準位置判定装置におい
    て、 前記基準間隔算出手段は、現在に近い過去に測定された
    所定回数分の前記信号間隔を平均して前記基準間隔を算
    出することを特徴とするクランク軸の基準位置判定装
    置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の基準位置判定装置
    において、 前記係数設定手段は、前記クランク軸の回転位置に応
    じ、予め用意された2つの係数を前記エンジンの一行程
    中で切り換えて設定することを特徴とするクランク軸の
    基準位置判定装置。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の基準位置
    判定装置において、 前記係数設定手段は、前記クランク軸の回転位置が前記
    基準位置となるタイミングで交互に異なった論理レベル
    となっているカム角信号に基づき、前記回転位置を判断
    することを特徴とするクランク軸の基準位置判定装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれかに記載の基準位置
    判定装置において、 前記係数設定手段は、前記クランク軸の回転位置に応じ
    たカウント値を出力するクランク角カウンタを用い、当
    該クランク角カウンタから出力される前記カウント値に
    基づき、前記回転位置を判断することを特徴とするクラ
    ンク軸の基準位置判定装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の基準位置
    判定装置において、 前記クランク軸の基準位置は、当該クランク軸に取り付
    けられ一体となって回転する、外周に突起を有するセン
    シングホイールの欠け歯位置で示され、 前記クランク角信号出力手段は、前記センシングホイー
    ルの突起に対応するパルス信号を出力するよう構成され
    ており、 前記基準位置判定手段は、前記判定用時間よりも前記信
    号間隔が長い場合に前記欠け歯位置と判定することによ
    って、前記クランク軸の回転位置が前記基準位置となっ
    たと判定することを特徴とするクランク軸の基準位置判
    定装置。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載の基準位置
    判定装置において、 前記クランク軸の基準位置は、当該クランク軸に取り付
    けられ一体となって回転する、外周に突起を有するセン
    シングホイールの足し歯位置で示され、 前記クランク角信号出力手段は、前記センシングホイー
    ルの突起に対応するパルス信号を出力するよう構成され
    ており、 前記基準位置判定手段は、前記判定用時間よりも前記信
    号間隔が短い場合に前記足し歯位置と判定することによ
    って、前記クランク軸の回転位置が前記基準位置になっ
    たと判定することを特徴とするクランク軸の基準位置判
    定装置。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の基準位置
    判定装置を備え、 さらに、 エンジンのカム軸の回転に応じてカム角信号を出力する
    カム角信号出力手段と、 該カム角信号出力手段にて出力される前記カム角信号、
    前記基準位置判定手段による判定結果、及び前記クラン
    ク角信号出力手段にて出力される前記クランク角信号に
    基づき、前記クランク軸の回転位置を算出するクランク
    位置算出手段とを備えたことを特徴とするクランク位置
    検出装置。
  9. 【請求項9】請求項8に記載のクランク位置検出装置を
    備え、 前記クランク位置算出手段にて算出される前記クランク
    軸の回転位置に基づき、前記エンジンを制御するエンジ
    ン制御処理を実行することを特徴とするエンジン制御装
    置。
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Cited By (3)

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JP2013024220A (ja) * 2011-07-26 2013-02-04 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置
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