JP2001181758A - 焼鈍割れ性を改善したCu−Ni−Zn系合金 - Google Patents

焼鈍割れ性を改善したCu−Ni−Zn系合金

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JP2001181758A
JP2001181758A JP36692399A JP36692399A JP2001181758A JP 2001181758 A JP2001181758 A JP 2001181758A JP 36692399 A JP36692399 A JP 36692399A JP 36692399 A JP36692399 A JP 36692399A JP 2001181758 A JP2001181758 A JP 2001181758A
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Yoshio Kurosawa
善雄 黒澤
Takatsugu Hatano
隆紹 波多野
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Nippon Mining and Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洋白における焼鈍割れを防止する。 【解決手段】Ni:12〜20%、Zn:17〜27
%、Mn:0.5%以下を基本成分として含有し、残部
が実質的にCuである洋白において、H含有量を0.0
001%以下に、硫黄含有量を0.0020%以下に規
制した焼鈍割れ性を改善したCu−Ni−Zn系合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼鈍割れ性を改善し
たCu−Ni−Zn系合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Cu−Ni−Zn系合金は、光沢が銀に
似ているので洋銀または洋白と呼ばれており、この審美
・装飾的性質を利用して主に洋食器、装飾用及び楽器な
どに銀の代用として古くから使われており、インテリア
材としても使われている。また、Cu−Ni−Zn系合
金は展延性、耐食性に優れていることから、水晶発振子
ケース、トランジスタキャップや化学機械用材料に広く
使われている。さらに、Cu−18%Ni−26%Zn
合金は、耐疲労性、ばね性に優れていることから電子機
器のスイッチ、コネクター及びリレーなどのばね用材料
などに使われている。
【0003】これらの用途に用いられるCu−Ni−Z
n系合金は、製造コストを低減するため、大型のインゴ
ットを一旦熱間圧延する工程により製造されている。洋
白の熱間加工性を改良して圧延中の割れを防止する技術
としてMn,Mg,Alを添加することを提案する特許
第2956753号があり、この公報によると、MnとAlの
同時添加により延性が向上し、MgはMnとAlの損失
を防止する機能があると説明されている。
【0004】洋白は、熱間圧延後冷間加工により薄板に
加工されるが、製造性の面ではいかにして高能率でかつ
高歩留で熱延板を得るかと言うことが非常に重要であ
る。
【0005】近年、電子機器類及びその部品は小型化、
薄肉化が要求されるようになり、材料にとっても厳しい
加工条件で製造されることが多くなっている。また、部
品としても過酷な環境下で使用されるケースが多くなっ
ており、信頼性の高い部品が望まれている。このような
要求に対して、次のような性質を備える必要がある。 a)厳しい曲げ加工や絞り加工を行っても、曲げ部及び絞
り部に割れや肌荒れの生じない こと。 b)ばね用としては、弾性域内で多くの曲げ変形を繰り返
し与えても疲労破壊しないこと 。 c)薄い板厚においても高い接触圧を生じるための十分な
強度を有すること。 d)耐食性、はんだ付け性、溶接性が良いこと。 e)応力緩和率が低く、高温下で長期間使用しても接触圧
が低下しないこと。
【0006】ところが、このようなCu−Ni−Zn系
合金インゴットは、熱間圧延前の加熱工程で、鋳造時の
残留応力の作用により脆性割れが発生することがある。
この割れは、前掲特許公報の圧延中割れとは発生メカニ
ズムが異なるが、同様に、インゴットの熱間圧延におけ
る生産性低下や歩留低下による製造コストの増大、品質
の不安定さといった問題を引き起こす。
【0007】さらに、Cu−Ni−Zn系合金を強度に
冷間加工した後に焼鈍すると、歪みが原因になって微細
な割れを発生していることが分かった。この割れは、そ
の後の圧延において材料を破断させ、著しい歩留低下を
引き起こす。また圧延で破断を生じなかった場合でも、
割れが最後まで残留し、素材を部品にプレス加工する際
に割れを生じたりする。
【0008】ところで、洋白ではないが、コルソン合金
の加熱割れを回避する方策として、インゴットの断面
積を小さくし残留応力を低減する方法、インゴットの
結晶粒度を小さくする方法、インゴットを低温で圧延
した後、熱間圧延を行う方法等(特開平4−21043
9号報、特開平4−2750号報)、水素及び硫黄含
有量を規制する方法(特開平11−217639号)が
公表されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法は、コル
ソン合金よりもNi含有量が多くさらにZnを多量に含
む洋白に適用しても、インゴットの小型化は可能であ
り、,も同様に所定の効果は達成できる可能性があ
るが、は生産性の低下を招き、及びは加工コストの
増大を招き、は結晶粒微細化に限界があり、それぞれ
問題がある。本発明はかかる洋白の焼鈍割れの問題を鑑
みてなされたものであり、加工中の生産性の低下や著し
い製造コスト増大をもたらさないCu−Ni−Zn系合
金を提供することを目的とする。ところで、Cu溶湯が
Niを含有すると、Ni含有量の増加とともにHおよび
Cの溶解度が急激に増加することが知られている。溶湯
中に吸収されたHとCは、凝固の際の溶解度の著しい低
下に伴い、インゴットの結晶粒界等にH2,H2O,C
O,Cnm(炭化水素)気泡を生成するほか、インゴッ
ト中に過飽和に固溶する。この過飽和に固溶したHとC
は、焼鈍中に結晶粒界に上記の気泡等として析出してボ
イドを形成する。Cu−Ni−Zn系合金はコルソン合金と
比較してNi含有量が5〜10倍程度多いためHとCを
吸収しやすく、の対策がコルソン合金よりも有効に働
くとの知見を得た。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、質量百分率
で、Ni:12〜20%、Zn:17〜27%、Mn:
0.5%以下を基本成分として含有し、H含有量が0.0
001%以下に、S含有量が0.0020%以下に規制
され、残部が実質的にCuであることを特徴とする焼鈍
割れ性を改善したCu−Ni−Zn系合金を提供し、従
来からの課題であったCu−Ni−Zn系合金の熱間加
工性や熱処理性を改善したことを大きな特徴とする。本
請求項2に係る合金は、工業的に熱間圧延加工を施され
る形状・寸法を有するものであり、具体的には断面積が
104mm2以上のものである。なお、大型インゴットの
熱間加工は主として圧延により行われているが、熱間鍛
造の場合も同様な効果が得られる。また、インゴットを
2ヒート熱間加工する場合、スラブまたはブルームの熱
間圧延においても同様の効果が得られる。本請求項3に
係る冷間加工後焼鈍された調質状態を有する合金は、形
状に特に制限なく、冷間圧延後中間焼鈍された圧延材
や、最終圧延後に同様の調質状態になった材料であって
もよい。
【0011】次に、本発明において銅合金の成分組成を
前記のごとく定めた理由を説明する。なお、組成の百分
率は質量%表記である。
【0012】Ni NiはCuとすべての割合で固溶体を作り合金強度を高
めるが、Niが多いと溶解時にガスを吸収して鋳片を作
りにくくし、また硬度が高くなり加工もしにくくなる。
また、Niの含有量が著しく少ないと耐食性が低下す
る。したがってNiの含有量を12〜20%と定めた。
【0013】Zn Znは約30%以上になると(α+β)組織になり、延性
が低くなり冷間加工性が劣るようになる。また、Znが
著しく多いと鋳造性は良くなるが、合金の色が黄銅色を
呈してくることから、合金の特徴である銀白色が失なわ
れる。よって、Znの含有量を17〜27%に定めた。
【0014】Mn Mnは、硫黄との親和力が強いため、硫黄との化合物を
形成することにより、粒界への硫黄元素の偏析を軽減す
る効果が期待できる。しかし、Mnの含有量が0.5%
を超えると、酸化物介在物の形成等により、かえって製
造性が低下する。よって、Mnの含有量を0.5%以下
に定めた。
【0015】 Sは、原子状態で粒界に偏析して粒界の結合力を低下さ
せるほか、Cu、Mn、Znあるいはその他の合金元素
との硫化物として、粒界に晶出または析出した場合にも
ボイド発生の起点となる。したがって、S含有量はでき
る限り低い方が望ましいが、0.0020%以下であれ
ば、工業的にはこの悪影響は無視できるので、Sの含有
量は0.0020%以下とした。
【0016】 Hは主として溶解中に溶湯に吸収され、焼鈍中に応力が
集中するボイド及び粒界に集まってきて、インゴットな
どの加工素材の焼鈍割れを助長する。したがって、H含
有量はできる限り低い方が望ましいが、0.0001%
以下であれば、工業的にはこの悪影響は無視できるの
で、Hの含有量は0.0001%以下とした。
【0017】上記した極めて低いH含有量の銅合金を製
造するためには、溶解及び鋳造中の銅合金への水素の吸
収量を少なくする必要がある。特に溶解中の合金への水
素の吸収抑制が重要であり、このためには使用直前に十
分乾燥し水分や油分を除去した溶解原料を使用すること
が好ましい。また、酸化物、塩化物あるいは弗化物等か
ら構成される溶融塩による溶湯の被覆を行なえば、大気
からの水素吸収を抑制する効果が得られる。また、溶湯
の脱ガス処理を行ない、H含有量の低い銅合金を製作す
る方策もある。液体Cu中のHの溶解度([%H])は、
雰囲気中の水素分圧(PH2)によって、[%H]=K√P
H2 の関係で与えられる。ここでKは含有量によって決
定される定数である温度が1473K(1200℃)の
ときPH2=101.3kPa(1気圧))下でのCu中
のHの溶解度は6ppmであるので、H含有量を1pp
m以下に下げるためには、平衝論的には2.83kPa
(0.028気圧)低下にすればよい。これは、工業的
にも比較的容易に達成でき、そのための具体的方法には
真空溶解、真空脱ガス、真空鋳造などの真空治金法、溶
解炉あるいは樋中の溶湯に不活性ガスを吹き込む方法等
がある。ここで、鈍銅にNiを添加した場合、Niが5
5%まではNiが増加するにしたがっ て水素溶解度が
増すことが知られている。すなわち、本発明の合金組成
において、Ni の含有量17%における水素溶解度は
純銅のおおむね2.5倍であると考えられるが、 上記
の如く溶湯の脱ガス処理を行うことにより、Hの含有量
を0.0001%以下にす ることは容易である。同様
に、極めて低いS含有量の銅合金を製造するためには、
原料、溶湯と接触する耐 火物、溶湯被膜材等からのS
の混入を防止することが必要であり、これらの品質を厳
選 することが必要であるが、NaCO3等の脱硫剤を
溶湯上に添加し、溶湯中に含有され たSを除去するこ
ともできる。
【0018】上述の基本成分以外には、脱酸剤としての
P,B,硫黄固定補助元素としてAl,S i,Mg,
Ti,Zr,希土類金属を少量、例えば合計で5%以下
含有することができ る。
【0019】
【作用】本発明者らは、以下説明するように、Cu−N
i−Zn系合金の焼鈍割れについて研 究を重ねた結
果、多量に吸収されたHおよび粒界に偏析したSが粒界
割れの一つの原因 になっていることを知見した。即
ち,焼鈍割れはインゴットなどの歪が蓄積した銅合金
を昇温する過程において773K(500℃)近傍で発
生する粒界割れであり、銅合金 で一般に知られている
中間温度脆性に対応する現象である。但し、鋳造中に生
じたイン ゴット内部の残留応力及び昇温の過程でイン
ゴット内部や強度に冷間加工された材料に 発生する熱
応力に起因して粒界すべりが生じ、これにしたがって粒
界でボイドが発生し 、このボイドが連結・合体して割
れに至り易い。さらに研究を進め、この割れを助長す
る起因として、 (1)硫黄の粒界偏析(硫黄は粒界に偏析して粒界の結
合力を低下させる) (2)インゴットなどの熱間圧延加工素材が含有する水
素(応力集中部に集まってきて 割れ内部に放出
されることにより、割れ発生に必要なエネルギーを低下
させる)が挙げられることが分かった。よって、上記の
理由により、Ni,Zn,Mn,H及び Sの量を定め
てインゴットなどの熱鈍割れを改善した。以下、実施例
により本発明をさらに詳しく説明する。
【0020】
【実施例】実施例1 溶湯の成分が以下の4種類の銅合金になるよう、電気
銅、Ni,Zn,Mn及びCu2Sを混合し溶解原料と
した。 Cu−18%Ni−26%Zn−0.0005%S Cu−18%Ni−26%Zn−0.0025%S Cu−18%Ni−26%Zn−0.5%Mn−0.0005%S Cu−18%Ni−26%Zn−0.5%Mn−0.0025%S
【0021】次に、溶解原料を黒鉛るつぼ中に装入し高
周波誘導炉を用いて溶解し、続いて真空脱ガスにより水
素を低減させる処理あるいは油添加により水素を混入さ
せる処理を行って、溶湯を種々の水素含有量に調整した
後、金型に注湯してインゴットを製造した。インゴット
の寸法は厚み60mm、幅80mm、高さ150mmで
ある。このインゴットを1123K(850℃)で1時
間焼鈍しても割れは発生しなかった 。これは、インゴ
ットの断面積が小さいため、焼鈍割れの駆動力となる鋳
造で発生する 残留応力が小さいためである。
【0022】そこで、図1に示すようにインゴット10
を6個(1〜6)に切断した後、1〜5に ついては冷
間圧延を行って残留応力を負荷した。6のインゴット片
は不活性ガス中溶融 抽出、熱伝導度測定法による水素
分析を行った。7は押湯である。
【0023】インゴット片1〜6の冷間圧延は1,3及
び5%の3通りの加工度で行ったが、冷間 圧延後の試
料に割れは観察されなかった。次に冷間圧延後の試料
を、1123K(85 0℃)で1時間加熱し冷却した
後、浸透探傷法により表面割れの有無を観察した。図2
には圧延供試材の寸法及びマクロ組織を示す。表1〜
6にそれぞれ〜の合金における水素含有量と浸透探
傷法で観察された割れ の発生状況の関係を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】いずれの合金においても、水素含有量が高
く、圧延加工度即ち残留応力が大きいほど、割れの発生
が顕著になることが分かる。また、〜の合金間で割
れの発生状況を比較すると、とではの方が、と
ではの方が割れの発生が顕著である。また、と
を比較するとの方が割れの発生は少ない。これは、水
素以外に硫黄も割れに悪影響を及ぼし、Mnと同様に硫
黄との親和力が強く硫黄の粒界偏析を軽減する元素に
は、Ti,Zr,Al,Mg,希土類元素等がある。
【0029】インゴットの鋳造組織は図2に示すとお
り、4辺から中心に向かって柱状晶が成長し、これらが
衝突する部分で粒状晶が生成していた。上記の実験で観
察された割れの曲型的なものにつき発生状況及び断面状
況を図3及び図4に示す。図3に示すように割れには試
料の圧延面に発生し、これを図2と対比すると、割れは
主に柱状晶に沿って発生していることが分かる。図3の
割れの発達方向から圧延面に引張りの残留応力が生じて
いたと考えられる。また、図4のように、割れの未端を
ミクロ的に観察すると、割れが粒界で発生しており、ボ
イドの発生と成長により発生していることが確認され
た。
【0030】実施例2 Cu−12〜20%Ni−17〜27%Zn−0.5%
Mn合金を低周波溶解炉で溶解する際の、合金溶湯を被
覆する木炭粉の乾燥状態を予め種々調整した。合金溶湯
を鋳造して断面形状が、幅500mm、厚さ200mm
のインゴットを得、これを熱間圧延前に1123K(8
50℃)で2時間加熱し、その後10mmまで熱間圧延
した。インゴットの焼鈍割れは熱間圧延割れとして顕在
化するので、熱間圧延で発生した割れは、次の研削工程
で切断あるいは研削により除去する必要がある。そこ
で、(1)式で算出した熱間圧延歩留を指標とし、水素
及び硫黄含有量の焼鈍割れへの影響を調査した。 熱間圧延歩留(%)=(研削後の材料重量)/(インゴット重量)×100… (1) で表される熱間圧延歩留を図5に示す。図5から分かる
ように、硫黄含有量が0.0020%以下の場合、水素
含有量が0.0001%以下であれば、熱間圧延歩留は
80%以上である。20%程度の歩留低下は、材料の表
面酸化等により不可避的に生じるものである。一方、水
素含有量が0.0001%を超えると熱間圧延歩留は8
0%未満の低い値を示している。また、硫黄含有量が
0.0020%を超える場合には、水素含有量にかかわ
らず熱間圧延歩留は低い値となっている。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るCu
−Ni−Zn系合金は、H及びS含有量を規制したこと
により優れた性質が達成され、具体的には次のような利
点が得られる。 (1)インゴットの熱間圧延歩留が高いために生産性に
優れ、かつコストも低減される。 (2)熱間圧延スラブの研削が不必要になるか、あるい
は研削を行う場合でも研削代が少ない。 (3)極低H及びSを得るための手段は、インゴットの
大きさや合金成分に関係なく各種Cu−Ni−Zn系合
金素材に広く適用できるので、工業的に応用範囲が広
い。また、一旦極低H及びSを得た素材の加工は、何ら
条件が制限されない。これに対して、微細結晶粒により
焼鈍割れを防止する方法では鋳造条件が制限され、また
加工中にも結晶粒が粗大化するような加工条件は避ける
ことが望ましい。 (4)冷間加工後焼鈍される材料の微細割れを防止する
ことができるので、電子機器部品としてのシビアな品質
要求に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において使用したインゴットを示し、
またその切断線を示す図である。
【図2】インゴットから切断された圧延素材のマクロ組
織を示す図である。
【図3】圧延面における典型的な割れ発生状況を示す図
である。
【図4】断面から観察した割れの図である。
【図5】実施例2において調査した熱間圧延歩留を示す
図である。
【符号の説明】
1〜5:インゴット片(圧延素材) 6:インゴット片(水素分析に供した部分) 7:押湯 10:インゴット
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月8日(2000.2.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法は、コル
ソン合金よりもNi含有量が多くさらにZnを多量に含
む洋白に適用しても、インゴットの小型化は可能であ
り、,も同様に所定の効果は達成できる可能性があ
るが、は生産性の低下を招き、は加工コストの増大
を招き、は結晶粒微細化に限界があり、それぞれ問題
がある。本発明はかかる洋白の焼鈍割れの問題を鑑みて
なされたものであり、加工中の生産性の低下や著しい製
造コスト増大をもたらさないCu−Ni−Zn系合金を
提供することを目的とする。ところで、Cu溶湯がNi
を含有すると、Ni含有量の増加とともにHおよびCの
溶解度が急激に増加することが知られている。溶湯中に
吸収されたHとCは、凝固の際の溶解度の著しい低下に
伴い、インゴットの結晶粒界等にH2,H2O,CO,C
nm(炭化水素)気泡を生成するほか、インゴット中に
過飽和に固溶する。この過飽和に固溶したHとCは、焼
鈍中に結晶粒界に上記の気泡等として析出してボイドを
形成する。Cu−Ni−Zn系合金はコルソン合金と比較し
てNi含有量が5〜10倍程度多いためHとCを吸収し
やすく、の対策がコルソン合金よりも有効に働くとの
知見を得た。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】上記した極めて低いH含有量の銅合金を製
造するためには、溶解及び鋳造中の銅合金への水素の吸
収量を少なくする必要がある。特に溶解中の合金への水
素の吸収抑制が重要であり、このためには使用直前に十
分乾燥し水分や油分を除去した溶解原料を使用すること
が好ましい。また、酸化物、塩化物あるいは弗化物等か
ら構成される溶融塩による溶湯の被覆を行なえば、大気
からの水素吸収を抑制する効果が得られる。また、溶湯
の脱ガス処理を行ない、H含有量の低い銅合金を製作す
る方策もある。液体Cu中のHの溶解度([%H])は、
雰囲気中の水素分圧(PH2)によって、[%H]=K√P
H2 の関係で与えられる。ここでKは含有量によって決
定される定数である。温度が1473K(1200℃)
のときPH2=101.3kPa(1気圧))下でのCu
中のHの溶解度は6ppmであるので、H含有量を1p
pm以下に下げるためには、平衝論的には2.83kP
a(0.028気圧)低下にすればよい。これは、工業
的にも比較的容易に達成でき、そのための具体的方法に
は真空溶解、真空脱ガス、真空鋳造などの真空治金法、
溶解炉あるいは樋中の溶湯に不活性ガスを吹き込む方法
等がある。ここで、鈍銅にNiを添加した場合、Niが
55%まではNiが増加するにしたがって水素溶解度が
増すことが知られている。すなわち、本発明の合金組成
において、Niの含有量17%における水素溶解度は純
銅のおおむね2.5倍であると考えられるが、上記の如
く溶湯の脱ガス処理を行うことにより、Hの含有量を
0.0001%以下にすることは容易である。同様に、
極めて低いS含有量の銅合金を製造するためには、原
料、溶湯と接触する耐火物、溶湯被膜材等からのSの混
入を防止することが必要であり、これらの品質を厳選す
ることが必要であるが、NaCO3等の脱硫剤を溶湯上
に添加し、溶湯中に含有されたSを除去することもでき
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】
【表1】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】
【表2】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】
【表3】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】
【表4】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 685 C22F 1/00 685Z 686 686A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量百分率で、Ni:12〜20%、Z
    n:17〜27%、Mn:0.5%以下を基本成分とし
    て含有し、H含有量が0.0001%以下に、S含有量
    が0.0020%以下に規制され、残部が実質的にCu
    であることを特徴とする焼鈍割れ性を改善したCu−N
    i−Zn系合金。
  2. 【請求項2】 熱間圧延用素材である請求項1記載のC
    u−Ni−Zn系合金。
  3. 【請求項3】 冷間加工後焼鈍された調質状態を有する
    請求項1記載のCu−Ni−Zn系合金。
JP36692399A 1999-12-24 1999-12-24 焼鈍割れ性を改善したCu−Ni−Zn系合金 Pending JP2001181758A (ja)

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