WO2022004791A1 - 銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板 - Google Patents

銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板 Download PDF

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Abstract

この銅合金の一態様は、10massppm超え100massppm未満のMgを含み、残部がCu及び不可避不純物であり、不可避不純物のうち、S量が10massppm以下、P量が10massppm以下、Se量が5massppm以下、Te量が5massppm以下、Sb量が5massppm以下、Bi量が5masppm以下、As量が5masppm以下、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計量が30massppm以下、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6~50、導電率が97%IACS以上、残留応力率が150℃、1000時間で20%以上である。

Description

銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板
 本発明は、端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材、放熱基板等の電子・電気機器用部品に適した銅合金、この銅合金からなる銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板に関するものである。
 本願は、2020年6月30日に日本に出願された特願2020-112695号、2020年6月30日に日本に出願された特願2020-112927号、及び2020年10月29日に日本に出願された特願2020-181734号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 従来、端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材、放熱基板等の電子・電気機器用部品には、導電性の高い銅又は銅合金が用いられている。
 ここで、電子機器や電気機器等の大電流化にともない、電流密度の低減およびジュール発熱による熱の拡散のために、これら電子機器や電気機器等に使用される電子・電気機器用部品の大型化、厚肉化も図られている。
 ここで、大電流に対応するために、上述の電子・電気機器用部品には、導電率に優れた無酸素銅等の純銅材が適用される。しかしながら、純銅材においては、熱によるばねのへたり具合を表す耐応力緩和特性に劣っているか、又は耐応力緩和特性が不十分であり、高温環境下での使用ができないといった問題があった。
 そこで、特許文献1には、Mgを0.005mass%以上0.1mass%未満の範囲で含む銅圧延板が開示されている。
 特許文献1に記載された銅圧延板においては、Mgを0.005mass%以上0.1mass%未満の範囲で含み、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有しているので、Mgを銅の母相中に固溶させることで、導電率を大きく低下させることなく、強度、耐応力緩和特性を向上させることが可能であった。
 ところで、最近では、上述の電子・電気機器用部品を構成する銅材においては、大電流が流された際の発熱を十分に抑制するために、また、純銅材が用いられていた用途に使用可能なように、導電率をさらに向上させることが求められている。
 さらに、上述の電子・電気機器用部品は、エンジンルーム等の高温環境下で使用されることが多く、電子・電気機器用部品を構成する銅材においては、従来にも増して耐応力緩和特性を向上させる必要がある。すなわち、導電率と耐応力緩和特性とをバランス良く向上させた銅材が求められている。
 また、さらに導電率を十分に向上させることにより、従来、純銅材が用いられていた用途においても良好に使用することが可能となる。
特開2016-056414号公報
 この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、高い導電率と優れた耐応力緩和特性とを有する銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板を提供することを目的とする。
 この課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、高い導電率と優れた耐応力緩和特性をバランス良く両立させるためには、Mgを微量添加するとともに、Mgと化合物を生成する元素の含有量を規制することが必要であることが明らかになった。すなわち、Mgと化合物を生成する元素の含有量を規制して、微量添加したMgを適正な形態で銅合金中に存在させることにより、従来よりも高い水準で導電率と耐応力緩和特性とをバランス良く向上させることが可能となるとの知見を得た。
 本発明は、上述の知見に基づいてなされたものである。
 本発明の第1の態様に係る銅合金は、Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内とされ、残部がCu及び不可避不純物とした組成を有し、前記不可避不純物のうち、Sの含有量が10massppm以下、Pの含有量が10massppm以下、Seの含有量が5massppm以下、Teの含有量が5massppm以下、Sbの含有量が5massppm以下、Biの含有量が5masppm以下、Asの含有量が5masppm以下とされるとともに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm以下とされており、
 Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6以上50以下の範囲内とされており、
 導電率が97%IACS以上とされ、
 圧延方向に平行な方向における残留応力率が150℃、1000時間で20%以上とされていることを特徴としている。
 この構成の銅合金によれば、Mgと、Mgと化合物を生成する元素であるS,P,Se,Te,Sb,Bi,Asの含有量が上述のように規定されているので、微量添加したMgが銅の母相中に固溶することで、導電率を大きく低下させることなく耐応力緩和特性を向上させることができ、具体的には導電率を97%IACS以上、圧延方向に平行な方向における残留応力率を150℃、1000時間で20%以上とすることができ、高い導電率と優れた耐応力緩和特性とを両立することが可能となる。
 ここで、本発明の第1の態様に係る銅合金においては、Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内とされていることが好ましい。
 この場合、Agを上述の範囲で含有しているので、Agが粒界近傍に偏析し、粒界拡散が抑制され、耐応力緩和特性をさらに向上させることが可能となる。
 また、本発明の第1の態様に係る銅合金においては、前記不可避不純物のうち、Hの含有量が10massppm以下、Oの含有量が100massppm以下、Cの含有量が10massppm以下であることが好ましい。
 この場合、H,O,Cの含有量が上述のように規定されているので、ブローホール、Mg酸化物、Cの巻き込みや炭化物等の欠陥の発生を低減でき、加工性を低下させることなく、耐応力緩和特性を向上させることが可能となる。
 さらに、本発明の第1の態様に係る銅合金においては、半軟化温度が200℃以上であることが好ましい。
 この場合、半軟化温度が200℃以上とされているので、耐熱性に十分に優れており、高温環境下においても安定して使用することができる。
 本発明の第1の態様に係る銅合金においては、EBSD法により10000μm以上の測定面積にて、0.25μmの測定間隔のステップで前記銅合金を測定し、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得て、CI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差の解析を行い、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間の境界を結晶粒界とし、Area Fractionにより平均粒径Aを求め、平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで前記銅合金をEBSD法により測定して、総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で合計面積が10000μm以上となる測定面積で、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得て、CI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差を解析し、隣接するピクセル間の方位差が5°以上である測定点間の境界を結晶粒界とみなした場合のKAM(Kernel Average Misorientation)値の平均値が2.4以下とされていることが好ましい。
 KAM値の平均値が2.4以下とされているとされているので、強度を維持したまま耐応力緩和特性を向上させることが可能となる。
 本発明の第1の態様に係る銅合金塑性加工材は、上述の第1の態様に係る銅合金からなることを特徴としている。
 この構成の銅合金塑性加工材によれば、上述の銅合金で構成されていることから、導電性、耐応力緩和特性に優れており、大電流用途、高温環境下で使用される端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材(放熱基板)等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
 ここで、本発明の第1の態様に係る銅合金塑性加工材においては、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であってもよい。
 この場合、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であることから、この銅合金塑性加工材(圧延板)に対して打ち抜き加工や曲げ加工を施すことで、端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材等の電子・電気機器用部品を成形することができる。
 また、本発明の第1の態様に係る銅合金塑性加工材においては、表面にSnめっき層又はAgめっき層を有することが好ましい。
 すなわち、第1の態様に係る銅合金塑性加工材は、銅合金塑性加工材の本体と、前記本体の表面に設けられたSnめっき層又はAgめっき層を有することが好ましい。本体は、上述の第1の態様に係る銅合金からなり、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であってもよい。この場合、表面にSnめっき層又はAgめっき層を有しているので、端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。なお、本発明の第1の態様において、「Snめっき」は、純Snめっき又はSn合金めっきを含み、「Agめっき」は、純Agめっき又はAg合金めっきを含む。
 本発明の第1の態様に係る電子・電気機器用部品は、上述の第1の態様に係る銅合金塑性加工材からなることを特徴としている。なお、本発明の第1の態様における電子・電気機器用部品とは、端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材等を含むものである。
 この構成の電子・電気機器用部品は、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第1の態様に係る端子は、上述の第1の態様に係る銅合金塑性加工材からなることを特徴としている。
 この構成の端子は、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第1の態様に係るバスバーは、上述の第1の態様に係る銅合金塑性加工材からなることを特徴としている。
 この構成のバスバーは、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第1の態様に係るリードフレームは、上述の第1の態様に係る銅合金塑性加工材からなることを特徴としている。
 この構成のリードフレームは、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第1の態様に係る放熱基板は、上述の第1の態様に係る銅合金を用いて作製されたことを特徴としている。
 この構成の放熱基板は、上述の銅合金を用いて作製されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第2の態様に係る銅合金は、Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内、残部がCu及び不可避不純物とした組成を有し、前記不可避不純物のうち、Sの含有量が10massppm以下、Pの含有量が10massppm以下、Seの含有量が5massppm以下、Teの含有量が5massppm以下、Sbの含有量が5massppm以下、Biの含有量が5masppm以下、Asの含有量が5masppm以下とされるとともに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm以下とされており、
 Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6以上50以下の範囲内とされており、
 導電率が97%IACS以上とされ、
 EBSD法により10000μm以上の測定面積にて、0.25μmの測定間隔のステップで銅合金を測定し、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得て、CI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差の解析を行い、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間の境界を結晶粒界とし、Area Fractionにより平均粒径Aを求め、平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで前記銅合金をEBSD法により測定して、総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で合計面積が10000μm以上となる測定面積で、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得て、CI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差を解析し、隣接するピクセル間の方位差が5°以上である測定点間の境界を結晶粒界とみなした場合のKAM(Kernel Average Misorientation)値の平均値が2.4以下とされていることを特徴としている。
 この構成の銅合金によれば、Mgと、Mgと化合物を生成する元素であるS,P,Se,Te,Sb,Bi,Asの含有量が上述のように規定されているので、微量添加したMgが銅の母相中に固溶することで、導電率を大きく低下させることなく耐応力緩和特性を向上させることができ、具体的には、導電率を97%IACS以上とすることができる。
 そして、KAM値の平均値が2.4以下とされているとされているので、強度を維持したまま耐応力緩和特性を向上させることが可能となる。
 ここで、本発明の第2の態様に係る銅合金においては、Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内とされていることが好ましい。
 この場合、Agを上述の範囲で含有しているので、Agが粒界近傍に偏析し、粒界拡散が抑制され、耐応力緩和特性をさらに向上させることが可能となる。
 また、本発明の第2の態様に係る銅合金においては、圧延方向に平行な方向における200℃、4時間保持後の残留応力率RS(%)が20%以上とされていることが好ましい。
 この場合、耐応力緩和特性に十分に優れており、高温環境下で使用される電子・電気機器用部品を構成する銅合金として特に適している。
 本発明の第2の態様に係る銅合金塑性加工材は、上述の第2の態様に係る銅合金からなることを特徴としている。
 この構成の銅合金塑性加工材によれば、上述の銅合金で構成されていることから、導電性、耐応力緩和特性に優れており、大電流用途、高温環境下で使用される端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
 ここで、本発明の第2の態様に係る銅合金塑性加工材においては、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であってもよい。
 この場合、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であることから、この銅合金塑性加工材(圧延板)に対して打ち抜き加工や曲げ加工を施すことで、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品を成形することができる。
 また、本発明の第2の態様に係る銅合金塑性加工材においては、表面にSnめっき層又はAgめっき層を有することが好ましい。
 すなわち、第2の態様に係る銅合金塑性加工材は、銅合金塑性加工材の本体と、前記本体の表面に設けられたSnめっき層又はAgめっき層を有することが好ましい。本体は、上述の第2の態様に係る銅合金からなり、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であってもよい。この場合、表面にSnめっき層又はAgめっき層を有しているので、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。なお、本発明の第2の態様において、「Snめっき」は、純Snめっき又はSn合金めっきを含み、「Agめっき」は、純Agめっき又はAg合金めっきを含む。
 本発明の第2の態様に係る電子・電気機器用部品は、上述の第2の態様に係る銅合金塑性加工材からなることを特徴としている。なお、本発明の第2の態様における電子・電気機器用部品とは、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等を含むものである。
 この構成の電子・電気機器用部品は、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第2の態様に係る端子は、上述の第2の態様に係る銅合金塑性加工材からなることを特徴としている。
 この構成の端子は、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第2の態様に係るバスバーは、上述の第2の態様に係る銅合金塑性加工材からなることを特徴としている。
 この構成のバスバーは、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第2の態様に係るリードフレームは、上述の第2の態様に係る銅合金塑性加工材からなることを特徴としている。
 この構成のリードフレームは、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第2の態様に係る放熱基板は、上述の第2の態様に係る銅合金を用いて作製されたことを特徴としている。
 この構成の放熱基板は、上述の銅合金を用いて作製されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 本発明の第1,2の態様によれば、高い導電率と優れた耐応力緩和特性とを有する銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板を提供することが可能となる。
本実施形態である銅合金の製造方法のフロー図である。
(第1の実施形態)
 以下に、本発明の一実施形態である銅合金について説明する。
 本実施形態である銅合金は、Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内とされ、残部がCu及び不可避不純物とした組成を有し、前記不可避不純物のうち、Sの含有量が10massppm以下、Pの含有量が10massppm以下、Seの含有量が5massppm以下、Teの含有量が5massppm以下、Sbの含有量が5massppm以下、Biの含有量が5masppm以下、Asの含有量が5masppm以下とされるとともに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm以下とされている。
 そして、Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6以上50以下の範囲内とされている。
 なお、本実施形態である銅合金においては、Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内であってもよい。
 さらに、本実施形態である銅合金においては、前記不可避不純物のうち、Hの含有量が10massppm以下、Oの含有量が100massppm以下、Cの含有量が10massppm以下であってもよい。
 また、本実施形態である銅合金においては、導電率が97%IACS以上とされ、圧延方向に平行な方向における残留応力率が150℃、1000時間で20%以上とされている。
 なお、本実施形態である銅合金においては、半軟化温度が200℃以上であることが好ましい。
 ここで、本実施形態の銅合金において、ここで、上述のように成分組成、各種特性を規定した理由について以下に説明する。
(Mg)
 Mgは、銅の母相中に固溶することで、導電率を大きく低下させることなく、耐応力緩和特性を向上させる作用効果を有する元素である。また、Mgを母相中に固溶させることにより、半軟化温度が向上し、耐熱性が向上する。
 ここで、Mgの含有量が10massppm以下の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることができなくなるおそれがある。一方、Mgの含有量が100massppm以上の場合には、導電率が低下するおそれがある。
 以上のことから、本実施形態では、Mgの含有量を10massppm超え100massppm未満の範囲内に設定している。
 なお、耐応力緩和特性をさらに向上させるためには、Mgの含有量の下限を20massppm以上とすることが好ましく、30massppm以上とすることがさらに好ましく、40massppm以上とすることがより好ましい。
 また、導電率をさらに高くするためには、Mgの含有量の上限を90massppm未満とすることが好ましい。導電率を高くするにあたって、導電率と耐熱性、応力緩和特性とのバランスをとるために、Mgの含有量の上限を80massppm未満とすることがさらに好ましく、70massppm未満とすることがより好ましい。
(S,P,Se,Te,Sb,Bi,As)
 上述のS,P,Se,Te,Sb,Bi,Asといった元素は、一般的に銅合金に混入しやすい元素である。そして、これらの元素は、Mgと反応して化合物を形成しやすく、微量添加したMgの固溶効果を低減するおそれがある。このため、これらの元素の含有量は厳しく制御する必要がある。
 そこで、本実施形態においては、Sの含有量を10massppm以下、Pの含有量を10massppm以下、Seの含有量を5massppm以下、Teの含有量を5massppm以下、Sbの含有量を5massppm以下、Biの含有量を5masppm以下、Asの含有量を5masppm以下に制限している。
 さらに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を30massppm以下に制限している。
 上記元素の含有量の下限値は特に限定されないが、上記元素の含有量を大幅に低減するには製造コストが増加するため、S,P,Sb,Bi,Asのそれぞれの含有量は0.1massppm以上であることが好ましく、Seの含有量は0.05massppm以上であることが好ましく、Teの含有量は0.01massppm以上であることが好ましい。
 SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量の下限値は特に限定されないが、この合計含有量を大幅に低減するには製造コストが増加するため、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量は、0.6massppm以上であることが好ましい。
 なお、Sの含有量は、9massppm以下であることが好ましく、8massppm以下であることがさらに好ましい。
 Pの含有量は、6massppm以下であることが好ましく、3massppm以下であることがさらに好ましい。
 Seの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 Teの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 Sbの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 Biの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 Asの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 さらに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量は、24massppm以下であることが好ましく、18massppm以下であることがさらに好ましい。
(〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕)
 上述のように、S,P,Se,Te,Sb,Bi,Asといった元素は、Mgと反応して化合物を形成しやすいことから、本実施形態においては、Mgの含有量と、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量との比を規定することで、Mgの存在形態を制御している。
 Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が50を超えると、銅中にMgが過剰に固溶状態で存在しており、導電率が低下するおそれがある。一方、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6未満では、Mgが十分に固溶しておらず、耐応力緩和特性が十分に向上しないおそれがある。
 よって、本実施形態では、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕を0.6以上50以下の範囲内に設定している。
 なお、上記の質量比中の各元素の含有量の単位はmassppmである。
 なお、導電率をさらに高くするためには、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕の上限を35以下とすることが好ましく、25以下とすることがさらに好ましい。
 また、耐応力緩和特性をさらに向上させるためには、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕の下限を0.8以上とすることが好ましく、1.0以上とすることがさらに好ましい。
(Ag:5massppm以上20massppm以下)
 Agは、250℃以下の通常の電子・電気機器の使用温度範囲ではほとんどCuの母相中に固溶することができない。このため、銅中に微量に添加されたAgは、粒界近傍に偏析することとなる。これにより粒界での原子の移動は妨げられ、粒界拡散が抑制されるため、耐応力緩和特性が向上することになる。
 ここで、Agの含有量が5massppm以上の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることが可能となる。一方、Agの含有量が20massppm以下である場合には、導電率が確保されるとともに製造コストの増加を抑制することができる。
 以上のことから、本実施形態では、Agの含有量を5massppm以上20massppm以下の範囲内に設定している。
 なお、耐応力緩和特性をさらに向上させるためには、Agの含有量の下限を6massppm以上とすることが好ましく、7massppm以上とすることがさらに好ましく、8massppm以上とすることがより好ましい。また、導電率の低下およびコストの増加を確実に抑制するためには、Agの含有量の上限を18massppm以下とすることが好ましく、16massppm以下とすることがさらに好ましく、14massppm以下とすることがより好ましい。
 Agを意図的に含まずに不可避不純物としてAgを含む場合には、Agの含有量は5massppm未満であってもよい。
(H:10massppm以下)
 Hは、鋳造時にOと結びついて水蒸気となり、鋳塊中にブローホール欠陥を生じさせる元素である。このブローホール欠陥は、鋳造時には割れ、圧延時にはふくれ及び剥がれ等の欠陥の原因となる。これらの割れ、ふくれ及び剥がれ等の欠陥は、応力集中して破壊の起点となるため、強度、耐応力腐食割れ特性を劣化させることが知られている。
 ここで、Hの含有量を10massppm以下とすることにより、上述したブローホール欠陥の発生が抑制され、冷間加工性の悪化を抑制することが可能となる。
 なお、ブローホール欠陥の発生をさらに抑制するためには、Hの含有量を4massppm以下とすることが好ましく、2massppm以下とすることがさらに好ましい。
 Hの含有量の下限値は特に限定されないが、Hの含有量を大幅に低減するには製造コストが増加するため、Hの含有量は0.01massppm以上が好ましい。
(O:100massppm以下)
 Oは、銅合金中の各成分元素と反応して酸化物を形成する元素である。これらの酸化物は、破壊の起点となるため、加工性が低下し、製造を困難とする。また、過剰なOとMgとが反応することにより、Mgが消費されてしまい、Cuの母相中へのMgの固溶量が低減し、冷間加工性が劣化するおそれがある。
 ここで、Oの含有量を100massppm以下とすることにより、酸化物の生成やMgの消費を抑制し、加工性を向上させることが可能となる。
 なお、Oの含有量は、上記の範囲内でも特に50massppm以下が好ましく、20massppm以下がさらに好ましい。
 Oの含有量の下限値は特に限定されないが、Oの含有量を大幅に低減するには製造コストが増加するため、Oの含有量は0.01massppm以上が好ましい。
(C:10massppm以下)
 Cは、溶湯の脱酸作用を目的として、溶解、鋳造において溶湯表面を被覆するように使用されるものであり、不可避的に混入するおそれがある元素である。Cの含有量が多くなると、鋳造時のCの巻き込みが多くなる。これらのCや複合炭化物、Cの固溶体の偏析は冷間加工性を劣化させる。
 ここで、Cの含有量を10massppm以下とすることにより、Cや複合炭化物、Cの固溶体の偏析が生じることを抑制でき、冷間加工性を向上させることが可能となる。
 なお、Cの含有量は、上記の範囲内でも5massppm以下が好ましく、1massppm以下がさらに好ましい。
 Cの含有量の下限値は特に限定されないが、Cの含有量を大幅に低減するには製造コストが増加するため、Cの含有量は0.01massppm以上が好ましい。
(その他の不可避不純物)
 上述した元素以外のその他の不可避的不純物としては、Al,B,Ba,Be,Ca,Cd,Cr,Sc,希土類元素,V,Nb,Ta,Mo,Ni,W,Mn,Re,Ru,Sr,Ti,Os,Co,Rh,Ir,Pb,Pd,Pt,Au,Zn,Zr,Hf,Hg,Ga,In,Ge,Y,Tl,N,Si,Sn,Li等が挙げられる。これらの不可避不純物は、特性に影響を与えない範囲で含有されていてもよい。
 ここで、これらの不可避不純物は、導電率を低下させるおそれがあることから、不可避不純物の含有量を少なくすることが好ましい。
(導電率:97%IACS以上)
 本実施形態である銅合金においては、導電率が97%IACS以上とされている。導電率を97%IACS以上とすることにより、通電時の発熱を抑えて、純銅材の代替として端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材等の電子・電気機器用部品として良好に使用することが可能となる。
 なお、導電率は97.5%IACS以上であることが好ましく、98.0%IACS以上であることがさらに好ましく、98.5%IACS以上であることがより好ましく、99.0%IACS以上であることがより一層好ましい。
 導電率の上限値は、特に限定されないが、103.0%IACS以下が好ましい。
(残留応力率(150℃、1000時間):20%以上)
 本実施形態である銅合金においては、圧延方向に平行な方向における残留応力率が150℃、1000時間で20%以上とされている。すなわち、150℃、1000時間保持後の残留応力率が20%以上である。この条件における残留応力率が高い場合には、高温環境下で使用した場合であっても永久変形を小さく抑えることができ、接圧の低下を抑制することができる。
 よって、本実施形態である銅圧延板は、自動車のエンジンルーム周りのような高温環境下で使用される端子等として適用することが可能となる。
 なお、圧延方向に平行な方向における残留応力率は、150℃、1000時間で、30%以上とすることが好ましく、40%以上とすることがさらに好ましく、50%以上とすることがより好ましい。
 圧延方向に平行な方向における残留応力率の上限値は、特に限定されないが、95%以下が好ましい。
(半軟化温度:200℃以上)
 本実施形態である銅合金において、半軟化温度が高い場合には、高温でも銅材の回復、再結晶による軟化現象が起きにくいことから、高温環境下で使用される通電部材への適用が可能となる。
 このため、本実施形態においては、1時間の熱処理での半軟化温度が200℃以上とされていることが好ましい。本実施形態では、半軟化温度は、ビッカース硬度を測定することにより評価される。
 なお、1時間の熱処理での半軟化温度は、225℃以上であることがさらに好ましく、250℃以上であることがより好ましく、275℃以上であることが一層好ましい。
 半軟化温度の上限値は、特に限定されないが、600℃以下が好ましい。
(KAM値の平均値:2.4以下)
 KAM値の平均値の詳細は、第2の実施形態で説明される。第2の実施形態と同様に、KAM値の平均値は2.4以下であることが好ましい。KAM値の平均値は、2.2以下が好ましく、2.0以下がさらに好ましく、1.8以下がより好ましく、1.6以下であることが一層好ましい。KAM値の平均値は0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.6以上がより一層好ましく、0.8以上が最も好ましい。
 次に、このような構成とされた本実施形態である銅合金の製造方法について、図1に示すフロー図を参照して説明する。
(溶解・鋳造工程S01)
 まず、銅原料を溶解して得られた銅溶湯に、前述の元素を添加して成分調整を行い、銅合金溶湯を製出する。なお、各種元素の添加には、元素単体や母合金等を用いることができる。また、上述の元素を含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。
 ここで、銅原料は、純度が99.99mass%以上とされたいわゆる4NCu、あるいは99.999mass%以上とされたいわゆる5NCuとすることが好ましい。H,O,Cの含有量を上述のように規定する場合には、これらの元素の含有量の少ない原料を選別して使用することになる。具体的には、H含有量が0.5massppm以下、O含有量が2.0massppm以下、C含有量が1.0massppm以下の原料を用いることが好ましい。
 溶解時においては、Mgの酸化を抑制するため、また水素濃度の低減のため、HOの蒸気圧が低い不活性ガス雰囲気(例えばArガス)による雰囲気での溶解を行い、溶解時の保持時間は最小限に留めることが好ましい。
 そして、成分調整された銅合金溶湯を鋳型に注入して鋳塊を製出する。なお、量産を考慮した場合には、連続鋳造法または半連続鋳造法を用いることが好ましい。
(均質化/溶体化工程S02)
 次に、得られた鋳塊の均質化および溶体化のために加熱処理を行う。鋳塊の内部には、凝固の過程においてMgが偏析で濃縮することにより発生したCuとMgを主成分とする金属間化合物等が存在することがある。そこで、これらの偏析および金属間化合物等を消失または低減させるために、鋳塊を300℃以上1080℃以下にまで加熱する加熱処理を行う。これにより、鋳塊内において、Mgを均質に拡散させたり、Mgを母相中に固溶させたりする。なお、この均質化/溶体化工程S02は、非酸化性または還元性雰囲気中で実施することが好ましい。
 ここで、加熱温度が300℃未満では、溶体化が不完全となり、母相中にCuとMgを主成分とする金属間化合物が多く残存するおそれがある。一方、加熱温度が1080℃を超えると、銅素材の一部が液相となり、組織や表面状態が不均一となるおそれがある。よって、加熱温度を300℃以上1080℃以下の範囲に設定している。
 なお、後述する粗加工の効率化と組織の均一化のために、前述の均質化/溶体化工程S02の後に熱間加工を実施してもよい。この場合、加工方法に特に限定はなく、例えば圧延、引抜、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。また、熱間加工温度は、300℃以上1080℃以下の範囲内とすることが好ましい。
(粗加工工程S03)
 所定の形状に加工するために、粗加工を行う。なお、この粗加工工程S03における温度条件は特に限定はないが、再結晶を抑制するために、あるいは寸法精度の向上のために、加工温度を、冷間または温間加工(例えば圧延)となる-200℃から200℃の範囲内とすることが好ましく、特に常温が好ましい。加工率については、20%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。また、加工方法については、特に限定はなく、例えば圧延、引抜、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。
(中間熱処理工程S04)
 粗加工工程S03後に、加工性の向上のための軟化、または再結晶組織にするために熱処理を実施する。
 この際、連続焼鈍炉による短時間の熱処理が好ましく、Agが添加された場合には、Agの粒界への偏析の局在化を防ぐことができる。加えて、中間熱処理工程S04と後述する仕上加工工程S05を繰り返し実施してもよい。
(仕上加工工程S05)
 中間熱処理工程S04後の銅素材を所定の形状に加工するため、仕上加工を行う。なお、この仕上加工工程S05における温度条件は特に限定はないが、加工時の再結晶を抑制するため、または軟化を抑制するために、加工温度を、冷間、または温間加工となる-200℃から200℃の範囲内とすることが好ましく、特に常温が好ましい。また、加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、加工硬化によって強度を向上させるために5%以上とすることが好ましい。また、圧延加工を選択した場合、コイルに巻き取った際の巻き癖を防止するために耐力を450MPa以下とするには、圧延率は90%以下とすることが好ましい。
 また、加工方法については、特に限定はなく、例えば圧延、引抜、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。
(機械的表面処理工程S06)
 仕上加工工程S05後に、機械的表面処理を行う。機械的表面処理は、所望の形状がほぼ得られた後に表面近傍に圧縮応力を与える処理であり、耐応力緩和特性を向上させる効果がある。
 機械的表面処理は、ショットピーニング処理、ブラスト処理、ラッピング処理、ポリッシング処理、バフ研磨、グラインダー研磨、サンドペーパー研磨、テンションレベラー処理、1パス当りの圧下率が低い軽圧延(1パス当たりの圧下率1~10%とし3回以上繰り返す)など一般的に使用される種々の方法が使用できる。
 Mgを添加した銅合金に、この機械的表面処理を加えることで、耐応力緩和特性が大きく向上することになる。
(仕上熱処理工程S07)
 次に、機械的表面処理工程S06によって得られた塑性加工材に対して、含有元素の粒界への偏析および残留ひずみの除去のため、仕上熱処理を実施してもよい。
 熱処理温度は、100℃以上500℃以下の範囲内とすることが好ましい。なお、この仕上熱処理工程S07においては、再結晶による強度の大幅な低下を避けるように、熱処理条件(温度、時間)を設定する必要がある。例えば450℃では0.1秒から10秒程度保持することが好ましく、250℃では1分から100時間保持することが好ましい。この熱処理は、非酸化雰囲気または還元性雰囲気中で行うことが好ましい。熱処理の方法は特に限定はないが、製造コスト低減の効果から、連続焼鈍炉による短時間の熱処理が好ましい。
 さらに、上述の仕上加工工程S05、機械的表面処理工程S06、仕上熱処理工程S07を、繰り返し実施してもよい。
 このようにして、本実施形態である銅合金(銅合金塑性加工材)が製出されることになる。なお、圧延により製出された銅合金塑性加工材を銅合金圧延板という。
 ここで、銅合金塑性加工材(銅合金圧延板)の板厚を0.1mm以上とした場合には、大電流用途での導体としての使用には適している。また、銅合金塑性加工材の板厚を10.0mm以下とすることにより、プレス機の荷重の増大を抑制し、単位時間あたりの生産性を確保することができ、製造コストを抑えることができる。
 このため、銅合金塑性加工材(銅合金圧延板)の板厚は0.1mm以上10.0mm以下の範囲内とすることが好ましい。
 なお、銅合金塑性加工材(銅合金圧延板)の板厚の下限は0.5mm以上とすることが好ましく、1.0mm以上とすることがより好ましい。一方、銅合金塑性加工材(銅合金圧延板)の板厚の上限は9.0mm未満とすることが好ましく、8.0mm未満とすることがより好ましい。
 以上のような構成とされた本実施形態である銅合金においては、Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内とされ、Mgと化合物を生成する元素であるSの含有量を10massppm以下、Pの含有量を10massppm以下、Seの含有量を5massppm以下、Teの含有量を5massppm以下、Sbの含有量を5massppm以下、Biの含有量を5masppm以下、Asの含有量を5masppm以下、さらに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を30massppm以下に制限しているので、微量添加したMgを銅の母相中に固溶させることができ、導電率を大きく低下させることなく、耐応力緩和特性を向上させることが可能となる。
 そして、Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6以上50以下の範囲内に設定しているので、Mgが過剰に固溶して導電率を低下させることなく耐応力緩和特性を十分に向上させることが可能となる。
 よって、本実施形態の銅合金によれば、導電率を97%IACS以上、圧延方向に平行な方向における残留応力率を150℃、1000時間で20%以上とすることができ、高い導電率と優れた耐応力緩和特性とを両立することが可能となる。
 具体的には導電率を97%IACS以上、圧延方向に平行な方向における残留応力率を150℃、1000時間で20%以上とすることができ、高い導電率と優れた耐応力緩和特性とを両立することが可能となる。
 さらに、本実施形態の銅合金において、Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内とされている場合には、Agが粒界近傍に偏析することになり、このAgによって粒界拡散が抑制され、耐応力緩和特性をさらに向上させることが可能となる。
 また、本実施形態の銅合金において、Hの含有量が10massppm以下、Oの含有量が100massppm以下、Cの含有量が10massppm以下とされている場合には、ブローホール、Mg酸化物、Cの巻き込みや炭化物等の欠陥の発生を低減でき、加工性を低下させることなく、耐応力緩和特性を向上させることが可能となる。
 さらに、本実施形態の銅合金において、半軟化温度が200℃以上である場合には、耐熱性に十分に優れており、高温環境下においても安定して使用することができる。
 本実施形態である銅合金塑性加工材は、上述の銅合金で構成されていることから、導電性、耐応力緩和特性に優れており、端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
 また、本実施形態である銅合金塑性加工材を、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板とした場合には、銅合金塑性加工材(圧延板)に対して打ち抜き加工や曲げ加工を施すことで、端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材等の電子・電気機器用部品を比較的容易に成形することができる。
 なお、本実施形態である銅合金塑性加工材の表面にSnめっき層又はAgめっき層を形成した場合には、端子、バスバー、放熱部材等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
 さらに、本実施形態である電子・電気機器用部品(端子、バスバー、リードフレーム、放熱部材等)は、上述の銅合金塑性加工材で構成されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 なお、放熱部材(放熱基板)は、上述の銅合金を用いて作製されてもよい。
 以上、本発明の実施形態である銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品(端子、バスバー、リードフレーム等)について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的要件を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
 例えば、上述の実施形態では、銅合金(銅合金塑性加工材)の製造方法の一例について説明したが、銅合金の製造方法は、実施形態に記載したものに限定されることはなく、既存の製造方法を適宜選択して製造してもよい。
(第2の実施形態)
 以下に、本発明の一実施形態である銅合金について説明する。
 本実施形態である銅合金は、Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内、残部がCu及び不可避不純物とした組成を有しており、不可避不純物のうち、Sの含有量が10massppm以下、Pの含有量が10massppm以下、Seの含有量が5massppm以下、Teの含有量が5massppm以下、Sbの含有量が5massppm以下、Biの含有量が5masppm以下、Asの含有量が5masppm以下とされるとともに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm以下とされている。
 そして、Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6以上50以下の範囲内とされている。
 なお、本実施形態である銅合金においては、Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内であってもよい。
 また、本実施形態である銅合金においては、導電率が97%IACS以上とされている。
 さらに、本実施形態である銅合金においては、圧延方向に平行な方向における200℃、4時間保持後の残留応力率RS(%)が20%以上とされていることが好ましい。
 そして、本実施形態である銅合金においては、EBSD法により10000μm以上の測定面積にて、0.25μmの測定間隔のステップで銅合金を測定する。測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得る。CI値が0.1以下である測定点を除く。データ解析ソフトOIMにより各結晶粒の方位差の解析を行い、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間の境界を結晶粒界とする。データ解析ソフトOIMを用いてArea Fractionにより平均粒径Aを求める。平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで銅合金をEBSD法により測定する。総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で合計面積が10000μm以上となる測定面積で、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得る。CI値が0.1以下である測定点を除く。データ解析ソフトOIMにより各結晶粒の方位差を解析し、隣接するピクセル(測定点)間の方位差が5°以上である測定点間の境界を結晶粒界とみなす。この場合のKAM(Kernel Average Misorientation)値の平均値が2.4以下とされている。
 ここで、本実施形態の銅合金において、ここで、上述のように成分組成、組織、各種特性を規定した理由について以下に説明する。
(Mg)
 Mgは、銅の母相中に固溶することで、導電率を大きく低下させることなく、強度および耐応力緩和特性を向上させる作用効果を有する元素である。また、Mgを母相中に固溶させることにより、耐熱性も向上することになる。
 ここで、Mgの含有量が10massppm以下の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることができなくなるおそれがある。一方、Mgの含有量が100massppm以上の場合には、導電率が低下するおそれがある。
 以上のことから、本実施形態では、Mgの含有量を10massppm超え100massppm未満の範囲内に設定している。
 なお、耐応力緩和特性をさらに向上させるためには、Mgの含有量の下限を20massppm以上とすることが好ましく、30massppm以上とすることがさらに好ましく、40massppm以上とすることがより好ましい。
 また、導電率をさらに高くするためには、Mgの含有量の上限を90massppm未満とすることが好ましい。導電率を高くするにあたって、導電率と耐熱性、応力緩和特性とのバランスをとるために、Mgの含有量の上限を80massppm未満とすることがさらに好ましく、70massppm未満とすることがより好ましい。
(S,P,Se,Te,Sb,Bi,As)
 上述のS,P,Se,Te,Sb,Bi,Asといった元素は、一般的に銅合金に混入しやすい元素である。そして、これらの元素は、Mgと反応して化合物を形成しやすく、微量添加したMgの固溶効果を低減するおそれがある。このため、これらの元素の含有量は厳しく制御する必要がある。
 そこで、本実施形態においては、Sの含有量を10massppm以下、Pの含有量を10massppm以下、Seの含有量を5massppm以下、Teの含有量を5massppm以下、Sbの含有量を5massppm以下、Biの含有量を5masppm以下、Asの含有量を5masppm以下に制限している。
 さらに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を30massppm以下に制限している。
 上記元素の含有量の下限値は特に限定されないが、上記元素の含有量を大幅に低減するには製造コストが増加するため、S,P,Sb,Bi,Asのそれぞれの含有量は0.1massppm以上であることが好ましく、Seの含有量は0.05massppm以上であることが好ましく、Teの含有量は0.01massppm以上であることが好ましい。
 SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量の下限値は特に限定されないが、この合計含有量を大幅に低減するには製造コストが増加するため、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量は、0.6massppm以上であることが好ましい。
 なお、Sの含有量は、9massppm以下であることが好ましく、8massppm以下であることがさらに好ましい。
 Pの含有量は、6massppm以下であることが好ましく、3massppm以下であることがさらに好ましい。
 Seの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 Teの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 Sbの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 Biの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 Asの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
 さらに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量は、24massppm以下であることが好ましく、18massppm以下であることがさらに好ましい。
(〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕)
 上述のように、S,P,Se,Te,Sb,Bi,Asといった元素は、Mgと反応して化合物を形成しやすいことから、本実施形態においては、Mgの含有量と、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量との比を規定することで、Mgの存在形態を制御している。
 Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が50を超えると、銅中にMgが過剰に固溶状態で存在しており、導電率が低下するおそれがある。一方、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6未満では、Mgが十分に固溶しておらず、耐応力緩和特性が十分に向上しないおそれがある。
 よって、本実施形態では、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕を0.6以上50以下の範囲内に設定している。
 なお、上記の質量比中の各元素の含有量の単位はmassppmである。
 なお、導電率の低下をさらに抑制するためには、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕の上限を35以下とすることが好ましく、25以下とすることがさらに好ましい。
 また、耐応力緩和特性をさらに向上させるためには、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕の下限を0.8以上とすることが好ましく、1.0以上とすることがさらに好ましい。
(Ag:5massppm以上20massppm以下)
 Agは、250℃以下の通常の電子・電気機器の使用温度範囲ではほとんどCuの母相中に固溶することができない。このため、銅中に微量に添加されたAgは、粒界近傍に偏析することとなる。これにより粒界での原子の移動は妨げられ、粒界拡散が抑制されるため、耐応力緩和特性が向上することになる。
 ここで、Agの含有量が5massppm以上の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることが可能となる。一方、Agの含有量が20massppm以下である場合には、導電率が確保されるとともに製造コストの増加を抑制することができる。
 以上のことから、本実施形態では、Agの含有量を5massppm以上20massppm以下の範囲内に設定している。
 なお、耐応力緩和特性をさらに向上させるためには、Agの含有量の下限を6massppm以上とすることが好ましく、7massppm以上とすることがさらに好ましく、8massppm以上とすることがより好ましい。また、導電率の低下およびコストの増加を確実に抑制するためには、Agの含有量の上限を18massppm以下とすることが好ましく、16massppm以下とすることがさらに好ましく、14massppm以下とすることがより好ましい。
 また、Agを意図的に含まずに不可避不純物としてAgを含む場合には、Agの含有量が5massppm未満であってもよい。
(その他の不可避不純物)
 上述した元素以外のその他の不可避的不純物としては、Al,B,Ba,Be,Ca,Cd,Cr,Sc,希土類元素,V,Nb,Ta,Mo,Ni,W,Mn,Re,Ru,Sr,Ti,Os,Co,Rh,Ir,Pb,Pd,Pt,Au,Zn,Zr,Hf,Hg,Ga,In,Ge,Y,Tl,N,Si,Sn,Li等が挙げられる。これらの不可避不純物は、特性に影響を与えない範囲で含有されていてもよい。
 ここで、これらの不可避不純物は、導電率を低下させるおそれがあることから、不可避不純物の含有量を少なくすることが好ましい。
(導電率:97%IACS以上)
 本実施形態である銅合金においては、導電率が97%IACS以上とされている。導電率を97%IACS以上とすることにより、通電時の発熱を抑えて、純銅材の代替として端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品として良好に使用することが可能となる。
 なお、導電率は97.5%IACS以上であることが好ましく、98.0%IACS以上であることがさらに好ましく、98.5%IACS以上であることがより好ましく、99.0%IACS以上であることがより一層好ましい。
 導電率の上限値は、特に限定されないが、103.0%IACS以下が好ましい。
(圧延方向に平行な方向における200℃、4時間保持後の残留応力率RS(%):20%以上)
 本実施形態である銅合金においては、圧延方向に平行な方向における200℃、4時間保持後の残留応力率RS(%)が20%以上とされていることが好ましい。
 この条件における残留応力率が高い場合には、高温環境下で使用した場合であっても永久変形を小さく抑えることができ、接圧の低下を抑制することができる。よって、本実施形態である銅合金は、自動車のエンジンルーム周りのような高温環境下で使用される端子として特に適している。
 なお、圧延方向に平行な方向における200℃、4時間保持後の残留応力率RS(%)は、30%以上とすることがさらに好ましく、40%以上とすることがより好ましく、50%以上とすることがより一層好ましい。
(KAM値の平均値:2.4以下)
 EBSDにより測定されるKAM(Kernel Average Misorientation)値は、1つのピクセルとそれを取り囲むピクセル間との方位差を平均値化することで算出される値である。ピクセルの形状は正六角形のため、近接次数を1とする場合(1st)、隣接する六つのピクセルとの方位差の平均値がKAM値として算出される。このKAM値を用いることで、局所的な方位差、すなわちひずみの分布を可視化できる。
 このKAM値が高い領域は、加工時に導入された転位(GN転位)の密度が高い領域であるため、転位を経路とした原子の高速拡散が起こりやすく、応力緩和が起こりやすい。
 そのため、このKAM値の平均値を2.4以下に制御することによって、強度を維持したまま耐応力緩和特性を向上させることが可能となる。
 なお、KAM値の平均値は、上記の範囲内でも2.2以下が好ましく、2.0以下がさらに好ましく、1.8以下がより好ましく、1.6以下であることが一層好ましい。一方、KAM値の平均値の下限に特に制限はないが、加工硬化量を確保して十分な強度を得るためには、KAM値の平均値は0.2以上であることがさらに好ましく、0.4以上であることがより好ましく、0.6以上であることがより一層好ましく、0.8以上であることが最も好ましい。
 なお、本実施形態では、EBSD装置の解析ソフトOIM Analysis(Ver.7.3.1)にて測定される値であるCI(Confidence Index)値が0.1以下の測定点を除きKAM値を算出している。CI値は、ある解析点から得られたEBSDパターンを指数付けする際に、Voting法を用いることで算出され、0から1の値を取る。CI値は指数付けと方位計算の信頼性を評価する値であるため、CI値が低い場合、すなわち解析点の明瞭な結晶パターンが得られない場合には、組織中にひずみ(加工組織)が存在しているといえる。特にひずみが大きい場合、CI値が0.1以下の値を取る。
 次に、このような構成とされた本実施形態である銅合金の製造方法について、図1に示すフロー図を参照して説明する。
(溶解・鋳造工程S01)
 まず、銅原料を溶解して得られた銅溶湯に、前述の元素を添加して成分調整を行い、銅合金溶湯を製出する。なお、各種元素の添加には、元素単体や母合金等を用いることができる。また、上述の元素を含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。
 ここで、銅原料は、純度が99.99mass%以上とされたいわゆる4NCu、あるいは99.999mass%以上とされたいわゆる5NCuとすることが好ましい。
 溶解時においては、Mgの酸化を抑制するため、また水素濃度の低減のため、HOの蒸気圧が低い不活性ガス雰囲気(例えばArガス)による雰囲気での溶解を行い、溶解時の保持時間は最小限に留めることが好ましい。
 そして、成分調整された銅合金溶湯を鋳型に注入して鋳塊を製出する。なお、量産を考慮した場合には、連続鋳造法または半連続鋳造法を用いることが好ましい。
(均質化/溶体化工程S02)
 次に、得られた鋳塊の均質化および溶体化のために加熱処理を行う。鋳塊の内部には、凝固の過程においてMgが偏析で濃縮することにより発生したCuとMgを主成分とする金属間化合物等が存在することがある。そこで、これらの偏析および金属間化合物等を消失または低減させるために、鋳塊を300℃以上1080℃以下にまで加熱する加熱処理を行う。これにより、鋳塊内において、Mgを均質に拡散させたり、Mgを母相中に固溶させたりする。なお、この均質化/溶体化工程S02は、非酸化性または還元性雰囲気中で実施することが好ましい。
 ここで、加熱温度が300℃未満では、溶体化が不完全となり、母相中にCuとMgを主成分とする金属間化合物が多く残存するおそれがある。一方、加熱温度が1080℃を超えると、銅素材の一部が液相となり、組織や表面状態が不均一となるおそれがある。よって、加熱温度を300℃以上1080℃以下の範囲に設定している。
 なお、後述する粗加工の効率化と組織の均一化のために、前述の均質化/溶体化工程S02の後に熱間加工を実施してもよい。この場合、加工方法に特に限定はなく、例えば圧延、引抜、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。また、熱間加工温度は、300℃以上1080℃以下の範囲内とすることが好ましい。
(粗加工工程S03)
 所定の形状に加工するために、粗加工を行う。なお、この粗加工工程S03における温度条件は特に限定はないが、再結晶を抑制するために、あるいは寸法精度の向上のために、加工温度を、冷間または温間加工(例えば圧延)となる-200℃から200℃の範囲内とすることが好ましく、特に常温が好ましい。加工率については、20%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。また、加工方法については、特に限定はなく、例えば圧延、引抜、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。
(中間熱処理工程S04)
 粗加工工程S03後に、再結晶組織にするために熱処理を実施する。なお、中間熱処理工程S04と後述する仕上加工工程S05を繰り返し実施してもよい。
 ここで、この中間熱処理工程S04が実質的に最後の再結晶熱処理となるため、この工程で得られた再結晶組織の結晶粒径は最終的な結晶粒径にほぼ等しくなる。そのため、この中間熱処理工程S04では、平均結晶粒径が5μm以上となるように、適宜、熱処理条件を選定することが好ましい。例えば700℃では1秒から120秒程度保持することが好ましい。
(仕上加工工程S05)
 中間熱処理工程S04後の銅素材を所定の形状に加工するため、仕上加工を行う。なお、この仕上加工工程S05における温度条件は特に限定はないが、加工時の再結晶を抑制するため、または軟化を抑制するために、加工温度を、冷間、または温間加工となる-200℃から200℃の範囲内とすることが好ましく、特に常温が好ましい。また、加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、加工硬化によって強度を向上させるために5%以上とすることが好ましい。一方、KAM値の過剰な増加を抑制するためには、加工率を85%以下とすることが好ましく、加工率を80%以下とすることがより好ましい。
 また、加工方法については、特に限定はなく、例えば圧延、引抜、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。
(機械的表面処理工程S06)
 仕上加工工程S05後に、機械的表面処理を行う。機械的表面処理は、所望の形状がほぼ得られた後に表面近傍に圧縮応力を与える処理であり、耐応力緩和特性を向上させる効果がある。
 機械的表面処理は、ショットピーニング処理、ブラスト処理、ラッピング処理、ポリッシング処理、バフ研磨、グラインダー研磨、サンドペーパー研磨、テンションレベラー処理、1パス当りの圧下率が低い軽圧延(1パス当たりの圧下率1~10%とし3回以上繰り返す)など一般的に使用される種々の方法が使用できる。
 Mgを添加した銅合金に、この機械的表面処理を加えることで、耐応力緩和特性が大きく向上することになる。
(仕上熱処理工程S07)
 次に、機械的表面処理工程S06によって得られた塑性加工材に対して、含有元素の粒界への偏析および残留ひずみの除去のため、仕上熱処理を行う。
 熱処理温度は、100℃以上500℃以下の範囲内とすることが好ましい。なお、この仕上熱処理工程S07においては、再結晶による強度の大幅な低下を避けるように、かつ、残留ひずみの除去により転位配列を最適化させ、過剰に増加したKAM値を低減させるように、熱処理条件を設定する必要がある。例えば450℃では0.1秒から10秒程度保持することが好ましく、250℃では1分から100時間保持することが好ましい。この熱処理は、非酸化雰囲気または還元性雰囲気中で行うことが好ましい。熱処理の方法は特に限定はないが、製造コスト低減の効果から、連続焼鈍炉による短時間の熱処理が好ましい。
 さらに、上述の仕上加工工程S05、機械的表面処理工程S06、仕上熱処理工程S07を、繰り返し実施してもよい。
 このようにして、本実施形態である銅合金(銅合金塑性加工材)が製出されることになる。なお、圧延により製出された銅合金塑性加工材を銅合金圧延板という。
 ここで、銅合金塑性加工材(銅合金圧延板)の板厚を0.1mm以上とした場合には、大電流用途での導体としての使用に適している。また、銅合金塑性加工材の板厚を10.0mm以下とすることにより、プレス機の荷重の増大を抑制し、単位時間あたりの生産性を確保することができ、製造コストを抑えることができる。
 このため、銅合金塑性加工材(銅合金圧延板)の板厚は0.1mm以上10.0mm以下の範囲内とすることが好ましい。
 なお、銅合金塑性加工材(銅合金圧延板)の板厚の下限は0.5mm以上とすることが好ましく、1.0mm以上とすることがより好ましい。一方、銅合金塑性加工材(銅合金圧延板)の板厚の上限は9.0mm未満とすることが好ましく、8.0mm未満とすることがより好ましい。
 以上のような構成とされた本実施形態である銅合金においては、Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内とされ、Mgと化合物を生成する元素であるSの含有量を10massppm以下、Pの含有量を10massppm以下、Seの含有量を5massppm以下、Teの含有量を5massppm以下、Sbの含有量を5massppm以下、Biの含有量を5masppm以下、Asの含有量を5masppm以下、さらに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を30massppm以下に制限しているので、微量添加したMgを銅の母相中に固溶させることができ、導電率を大きく低下させることなく、耐応力緩和特性を向上させることが可能となる。
 そして、Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕を0.6以上50以下の範囲内に設定しているので、Mgが過剰に固溶して導電率を低下させることなく耐応力緩和特性を十分に向上させることが可能となる。よって、本実施形態の銅合金によれば、導電率を97%IACS以上、圧延方向に平行な方向における200℃、4時間保持後の残留応力率RS(%)を20%以上とすることができ、高い導電率と優れた耐応力緩和特性とを両立することが可能となる。
 そして、本実施形態では、KAM値の平均値が2.4以下とされているとされているので、強度を維持したまま耐応力緩和特性を向上させることが可能となる。
 本実施形態において、Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内とされている場合には、Agが粒界近傍に偏析することになり、このAgによって粒界拡散が抑制され、耐応力緩和特性をさらに向上させることが可能となる。
 本実施形態である銅合金塑性加工材は、上述の銅合金で構成されていることから、導電性、耐応力緩和特性に優れており、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
 また、本実施形態である銅合金塑性加工材を、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板とした場合には、銅合金塑性加工材(圧延板)に対して打ち抜き加工や曲げ加工を施すことで、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品を比較的容易に成形することができる。
 なお、本実施形態である銅合金塑性加工材の表面にSnめっき層又はAgめっき層を形成した場合には、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
 さらに、本実施形態である電子・電気機器用部品(端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等)は、上述の銅合金塑性加工材で構成されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
 なお、放熱部材(放熱基板)は、上述の銅合金を用いて作製されてもよい。
 以上、本発明の実施形態である銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品(端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板)について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的要件を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
 例えば、上述の実施形態では、銅合金(銅合金塑性加工材)の製造方法の一例について説明したが、銅合金の製造方法は、実施形態に記載したものに限定されることはなく、既存の製造方法を適宜選択して製造してもよい。
(実施例1)
 以下に、第1の実施形態の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
 H含有量が0.1massppm以下、O含有量が1.0massppm以下、S含有量が1.0massppm以下、C含有量が0.3massppm以下、Cuの純度が99.99mass%以上の銅原料を準備した。また6N(純度99.9999mass%)以上の高純度銅と2N(純度99mass%)以上の純度を有する純金属を用いて各種添加元素を1mass%含む母合金を作製し、準備した。
 上述の銅原料を高純度アルミナ坩堝内に装入して、高純度Arガス(露点-80℃以下)雰囲気において高周波溶解炉を用いて溶解した。
 得られた銅溶湯内に、上述の母合金を用いて表1,2に示す成分組成に調製し、H,Oを導入する場合には、溶解時の雰囲気を高純度Arガス(露点-80℃以下)、高純度Nガス(露点-80℃以下)、高純度Oガス(露点-80℃以下)、高純度Hガス(露点-80℃以下)を用いて、Ar-N―HおよびAr-O混合ガス雰囲気とした。Cを導入する場合には、溶解において溶湯表面にC粒子を被覆させ、溶湯と接触させた。
 これにより、表1,2に示す成分組成の合金溶湯を溶製し断熱材(イソウール)鋳型に注湯して、鋳塊を製出した。なお、鋳塊の厚さは約30mmとした。
 得られた鋳塊に対して、Mgの溶体化のため、Arガス雰囲気中において、900℃、1時間の加熱を行い、酸化被膜を除去するために表面研削を実施し、所定の大きさに切断を行った。
 その後、適宜最終厚みになる様に厚みを調整して切断を行った。切断されたそれぞれの試料は表3,4に記載の条件で粗圧延を行った。次いで、再結晶により結晶粒径が30μm程度となる条件で中間熱処理を実施した。
 次に、表3,4に記載された条件にて仕上圧延(仕上加工工程)を実施した。
 そして、これらの試料に表3,4に記載された手法で機械的表面処理工程を施した。
 なお、バフ研磨は♯800の研磨紙を用いて行った。
 テンションレベラーはφ10mmのロールを複数備えたテンションレベラーを用い、ラインテンション100N/mmにて実施した。
 軽圧延(1パス当りの圧下率が低い圧延)は、最終5パスを1パス当たりの圧下率を5%として実施した。
 その後、表3,4に記載の条件で仕上熱処理を行い、それぞれ表3,4に記載された厚さ×幅約60mmの条材を製出した。
 得られた条材について、以下の項目について評価を実施した。
(組成分析)
 得られた鋳塊から測定試料を採取し、Mg量は誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定し、その他の元素の量はグロー放電質量分析装置(GD-MS)を用いて測定した。また、Hの定量分析は、熱伝導度法で行い、O,S,Cの定量分析は、赤外線吸収法で行った。
 なお、測定は試料中央部と幅方向端部の2カ所で測定を行い、含有量の多い方をそのサンプルの含有量とした。その結果、表1,2に示す成分組成であることを確認した。
(導電率)
 特性評価用条材から幅10mm×長さ60mmの試験片を採取し、4端子法によって電気抵抗を求めた。また、マイクロメータを用いて試験片の寸法の測定を行い、試験片の体積を算出した。そして、測定した電気抵抗値と体積とから、導電率を算出した。なお、試験片は、その長手方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。評価結果を表3,4に示す。
(耐応力緩和特性)
 耐応力緩和特性試験は、日本伸銅協会技術標準JCBA-T309:2004の片持はりねじ式に準じた方法によって応力を負荷し、150℃の温度で1000時間保持後の残留応力率を測定した。評価結果を表3,4に示す。
 試験方法としては、各特性評価用条材から圧延方向に対して平行な方向に試験片(幅10mm)を採取し、試験片の表面最大応力が耐力の80%となるよう、初期たわみ変位を2mmと設定し、スパン長さを調整した。上記表面最大応力は次式で定められる。
 表面最大応力(MPa)=1.5Etδ/L
 ただし、各記号は以下の値を表している。
 E:ヤング率(MPa)
 t:試料の厚さ(mm)
 δ:初期たわみ変位(mm)
 L:スパン長さ(mm)
 150℃の温度で、1000時間保持後の曲げ癖から、圧延方向に平行な方向における残留応力率を測定し、耐応力緩和特性を評価した。なお残留応力率は次式を用いて算出した。
 残留応力率(%)=(1-δ)×100
 ただし、各記号は以下の値を表している。
 δ:(150℃で1000時間保持後の永久たわみ変位(mm))-(常温で24時間保持後の永久たわみ変位(mm))
 δ:初期たわみ変位(mm)
(半軟化温度)
 半軟化温度(初期の硬度値と完全熱処理した後の硬度値の中間の硬度値となる熱処理温度)は日本伸銅協会のJCBA T325:2013を参考に、1時間の熱処理でのビッカース硬度による等時軟化曲線を取得することで評価した。なお、ビッカース硬度の測定面は圧延面とした。評価結果を表3,4に示す。
(機械的特性)
 特性評価用条材からJIS Z 2241に規定される13B号試験片を採取し、JIS Z 2241のオフセット法により、0.2%耐力を測定した。なお、試験片は、圧延方向に平行な方向で採取した。評価結果を表3,4に示す。
(引張試験の破断回数)
 上記の13B号試験片を用いて引張試験を10回行い、0.2%耐力を迎える前に弾性域で引張試験片が破断した個数を引張試験の破断回数とし、測定を行った。評価結果を表3,4に示す。
 なお、弾性域とは応力ひずみ曲線において線形の関係を満たす領域のことを指す。この破断回数が多いほど、介在物によって加工性が低下していることになる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 比較例1-1は、Mgの含有量が第1の実施形態の範囲よりも少ないため、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。
 比較例1-2は、Mgの含有量が第1の実施形態の範囲を超えており、導電率が低くなった。
 比較例1-3は、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppmを超えており、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。
 比較例1-4は、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6未満であり、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。
 これに対して、本発明例1-1~1-23においては、導電率と耐応力緩和特性とがバランス良く向上されていることが確認された。また、加工性にも優れていた。
 以上のことから、本発明例によれば、高い導電率と優れた耐応力緩和特性とを有するとともに、加工性に優れた銅合金を提供可能であることが確認された。
(実施例2)
 以下に、第2の実施形態の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
 帯溶融精製法により得られた純度99.999mass%以上の純銅からなる原料を高純度グラファイト坩堝内に装入して、Arガス雰囲気とされた雰囲気炉内において高周波溶解した。
 6N(純度99.9999mass%)以上の高純度銅と2N(純度99mass%)以上の純度を有する純金属を用いて各種添加元素を0.1mass%含む母合金を作製した。得られた銅溶湯内に、母合金を添加して成分を調整し、断熱材(イソウール)鋳型に銅溶湯を注湯することにより、表5,6に示す成分組成の鋳塊を製出した。なお、鋳塊の大きさは、厚さ約30mm×幅約60mm×長さ約150~200mmとした。
 得られた鋳塊に対して、Mgの溶体化のため、Arガス雰囲気中において、900℃、1時間の加熱を行い、酸化被膜を除去するために表面研削を実施し、所定の大きさに切断を行った。
 その後、適宜最終厚みになる様に厚みを調整して切断を行った。切断されたそれぞれの試料は表7,8に記載の条件で粗圧延を行った。次いで、再結晶により結晶粒径が30μm程度となる条件で中間熱処理を実施した。
 次に、表7,8に記載された条件にて仕上圧延(仕上加工工程)を実施した。
 そして、これらの試料に表7,8に記載された手法で機械的表面処理工程を施した。
 なお、サンドペーパー研磨は♯240の研磨紙を用いて行った。
 ラッピング処理は、SiC系の砥粒を用い、鋳鉄のラップを使用して実施した。
 ショットピーニング処理は、直径0.2mmのステンレスのショットを用い、投射速度10m/秒、投射時間5秒で実施した。
 その後、表7,8に記載の条件で仕上熱処理を行い、それぞれ表7,8に記載された厚さ×幅約60mmの条材を製出した。
 得られた条材について、以下の項目について評価を実施した。
(組成分析)
 得られた鋳塊から測定試料を採取し、Mg量は誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定し、その他の元素の量はグロー放電質量分析装置(GD-MS)を用いて測定した。なお、測定は試料中央部と幅方向端部の2カ所で測定を行い、含有量の多い方をそのサンプルの含有量とした。その結果、表5,6に示す成分組成であることを確認した。
(導電率)
 特性評価用条材から幅10mm×長さ60mmの試験片を採取し、4端子法によって電気抵抗を求めた。また、マイクロメータを用いて試験片の寸法の測定を行い、試験片の体積を算出した。そして、測定した電気抵抗値と体積とから、導電率を算出した。なお、試験片は、その長手方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。評価結果を表7,8に示す。
(KAM値)
 圧延面、すなわちND面(Normal direction)を観察面として、EBSD測定装置およびOIM解析ソフトによって、次のようにKAM値の平均値を求めた。
 耐水研磨紙、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨を行った。次いで、コロイダルシリカ溶液を用いて仕上げ研磨を行った。そして、EBSD測定装置(FEI社製Quanta FEG 450,EDAX/TSL社製(現 AMETEK社) OIM Data Collection)と、解析ソフト(EDAX/TSL社製(現 AMETEK社)OIM Data Analysis ver.7.3.1)を用いて、電子線の加速電圧15kV、10000μm以上の測定面積にて、0.25μmの測定間隔のステップで観察面をEBSD法により測定した。測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得た。CI値が0.1以下である測定点を除いて、データ解析ソフトOIMにより各結晶粒の方位差の解析を行った。隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間の境界を結晶粒界とした。そしてデータ解析ソフトOIMを用いてArea Fractionにより平均粒径Aを求めた。その後、平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで観察面をEBSD法により測定した。総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で合計面積が10000μm以上となる測定面積で、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得た。CI値が0.1以下である測定点を除いて、データ解析ソフトOIMにより各結晶粒の方位差の解析を行った。隣接するピクセル(測定点)間の方位差が5°以上である測定点間の境界を結晶粒界とみなして測定結果を解析した。そして全ピクセルのKAM値を求め、その平均値を求めた。
(耐応力緩和特性)
 耐応力緩和特性試験は、日本伸銅協会技術標準JCBA-T309:2004に準拠し、片持はりねじ式に準じた方法によって応力を負荷し、200℃の温度で4時間保持後の残留応力率を測定した。評価結果を表7,8に示す。
 試験方法としては、各特性評価用条材から圧延方向に対して平行な方向に試験片(幅10mm)を採取し、試験片の表面最大応力が耐力の80%となるよう、初期たわみ変位を2mmと設定し、スパン長さを調整した。上記表面最大応力は次式で定められる。
 表面最大応力(MPa)=1.5Etδ/L
 ただし、各記号は以下の値を表している。
 E:ヤング率(MPa)
 t:試料の厚さ(mm)
 δ:初期たわみ変位(mm)
 L:スパン長さ(mm)
 なお、ここで用いた耐力は、特性評価用条材からJIS Z 2241に規定される13B号試験片を採取し、JIS Z 2241のオフセット法により、0.2%耐力を測定することで求めた。
 200℃の温度で、4時間保持後の曲げ癖から、残留応力率RS(%)を測定し、耐応力緩和特性を評価した。なお、残留応力率RS(%)は次式を用いて算出した。
 残留応力率RS(%)=(1-δ)×100
 ただし、各記号は以下の値を表している。
 δ:(200℃で4時間保持後の永久たわみ変位(mm))-(常温で24時間保持後の永久たわみ変位(mm))
 δ:初期たわみ変位(mm)
(機械的特性)
 特性評価用条材からJIS Z 2241に規定される13B号試験片を採取し、JIS Z 2241のオフセット法により、引張強度を測定した。なお、試験片は、圧延方向に平行な方向で採取した。評価結果を表7,8に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 比較例2-1は、Mgの含有量が第2の実施形態の範囲よりも少ないため、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。
 比較例2-2は、Mgの含有量が第2の実施形態の範囲を超えており、導電率が低くなった。
 比較例2-3は、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm超えており、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。
 比較例2-4は、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6未満であり、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。
 比較例2-5は、KAM値の平均値が2.4を超えており、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。
 これに対して、本発明例2-1~2-23においては、導電率と耐応力緩和特性がバランス良く向上されていることが確認された。
 本実施形態の銅合金(銅合金塑性加工材)は、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板などの電子・電気機器用部品に好適に適用される。

Claims (16)

  1.  Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内とされ、残部がCu及び不可避不純物とした組成を有し、前記不可避不純物のうち、Sの含有量が10massppm以下、Pの含有量が10massppm以下、Seの含有量が5massppm以下、Teの含有量が5massppm以下、Sbの含有量が5massppm以下、Biの含有量が5masppm以下、Asの含有量が5masppm以下とされるとともに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm以下とされており、
     Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6以上50以下の範囲内とされており、
     導電率が97%IACS以上とされ、
     圧延方向に平行な方向における残留応力率が150℃、1000時間で20%以上とされていることを特徴とする銅合金。
  2.  Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の銅合金。
  3.  前記不可避不純物のうち、Hの含有量が10massppm以下、Oの含有量が100massppm以下、Cの含有量が10massppm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅合金。
  4.  半軟化温度が200℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の銅合金。
  5.  EBSD法により10000μm以上の測定面積にて、0.25μmの測定間隔のステップで前記銅合金を測定し、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得て、CI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差の解析を行い、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間の境界を結晶粒界とし、Area Fractionにより平均粒径Aを求め、平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで前記銅合金をEBSD法により測定して、総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で合計面積が10000μm以上となる測定面積で、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得て、CI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差を解析し、隣接するピクセル間の方位差が5°以上である測定点間の境界を結晶粒界とみなした場合のKAM(Kernel Average Misorientation)値の平均値が2.4以下とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の銅合金。
  6.  Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内、残部がCu及び不可避不純物とした組成を有し、前記不可避不純物のうち、Sの含有量が10massppm以下、Pの含有量が10massppm以下、Seの含有量が5massppm以下、Teの含有量が5massppm以下、Sbの含有量が5massppm以下、Biの含有量が5masppm以下、Asの含有量が5masppm以下とされるとともに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm以下とされており、
     Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6以上50以下の範囲内とされており、
     導電率が97%IACS以上とされ、
     EBSD法により10000μm以上の測定面積にて、0.25μmの測定間隔のステップで銅合金を測定し、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得て、CI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差の解析を行い、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間の境界を結晶粒界とし、Area Fractionにより平均粒径Aを求め、平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで前記銅合金をEBSD法により測定して、総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で合計面積が10000μm以上となる測定面積で、測定結果をデータ解析ソフトOIMにより解析して各測定点のCI値を得て、CI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差を解析し、隣接するピクセル間の方位差が5°以上である測定点間の境界を結晶粒界とみなした場合のKAM(Kernel Average Misorientation)値の平均値が2.4以下とされていることを特徴とする銅合金。
  7.  Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の銅合金。
  8.  圧延方向に平行な方向における200℃、4時間保持後の残留応力率RS(%)が20%以上とされていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の銅合金。
  9.  請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の銅合金からなることを特徴とする銅合金塑性加工材。
  10.  厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であることを特徴とする請求項9に記載の銅合金塑性加工材。
  11.  表面にSnめっき層又はAgめっき層を有することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の銅合金塑性加工材。
  12.  請求項9から請求項11のいずれか一項に記載された銅合金塑性加工材からなることを特徴とする電子・電気機器用部品。
  13.  請求項9から請求項11のいずれか一項に記載された銅合金塑性加工材からなることを特徴とする端子。
  14.  請求項9から請求項11のいずれか一項に記載された銅合金塑性加工材からなることを特徴とするバスバー。
  15.  請求項9から請求項11のいずれか一項に記載された銅合金塑性加工材からなることを特徴とするリードフレーム。
  16.  請求項1から請求項8のいずれか一項に記載された銅合金を用いて作製されたことを特徴とする放熱基板。
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