JP2001181699A - 液晶パネル用洗浄剤組成物及びその組成物を用いた液晶パネルの洗浄方法 - Google Patents

液晶パネル用洗浄剤組成物及びその組成物を用いた液晶パネルの洗浄方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶パネルの洗浄、特に、液晶パネルのカレ
ットの洗浄に優れた液晶パネル用洗浄剤組成物及びその
組成物を用いた液晶パネルの洗浄方法を提供する。 【解決手段】 下記(A)成分〜(D)成分を含有する
ことを特徴とする液晶パネル用洗浄剤組成物。 (A) 炭素数10〜24の長鎖アルキル2級アルコー
ルの炭素数2〜4のアルキレンオキシド3〜20モル付
加体が10質量%〜60質量% (B) 炭素数1〜8のアルコールの炭素数2〜4のア
ルキレンオキシド1〜6モル付加体が2質量%〜30質
量% (C) 珪酸塩が0.5質量%〜20質量% (D) 水が35質量%〜85質量%

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶パネルの洗
浄、特に、液晶パネルのカレットの洗浄に優れた液晶パ
ネル用洗浄剤組成物及びその組成物を用いた液晶パネル
の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、液晶パネルは、コンピュータ端
末表示用、テレビ用など幅広い用途に用いられている。
この液晶パネルの製造に際しては、透明電極が形成され
た2枚のガラス基板間に液晶を封入するため、一部開口
部を残して、上下ガラス基板をその周縁部で接着剤によ
り貼り合わせて液晶室を形成し、空の液晶パネルを作成
している。この空パネルは、真空にした注入室内で開口
部が液晶物質中に浸され、次いで、注入室を大気に解放
することにより、液晶物質がガラス基板間(液晶室内)
に吸引され、開口部をシールすることにより、基板間に
液晶物質の封入された液晶セルが形成されることとな
る。
【0003】上記基板間に液晶物質の封入される際、液
晶パネルガラス基板の接着部の外側には、μmオーダー
の微少ギャップが生じ、この空隙部に液晶物質が入り込
んでいる状態となっている。この液晶物質をこのままに
しておくと、液晶物質が大気中の汚染物質を取り込み絶
縁不足を生じやすいため、この空隙部の液晶物質を洗浄
除去する必要がある。この液晶物質の洗浄除去に関して
は、例えば、特開平3−70800号公報、特開平5−
271699号公報、特開平7−133496号公報、
特開平11−189787号公報等に液晶パネル用洗浄
剤組成物が開示されている。
【0004】ところで、液晶物質注入前の液晶パネル
を、所定の大きさにするために、切断する工程におい
て、切断の際にガラスくず(カレット)が発生し、これ
が液晶表示パネル表面及び端子部分に付着する場合があ
る。この液晶パネルに付着したカレットをそのままにし
ておくと、画像表示に悪影響を与える。しかしながら、
このカレット付着除去に有効な洗浄剤については、未だ
有効なものがないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題等について、これを解消しようとするものであ
り、カレットの洗浄除去に優れると共に、液晶パネル表
面及び空隙部の液晶物質の汚垢の洗浄にも優れる液晶パ
ネル用洗浄剤組成物及びその組成物を用いた液晶パネル
の洗浄方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の課題等について、鋭意検討した結果、特定の炭素
数を有する長鎖アルキル2級アルコールのアルキレンオ
キシド付加体と、特定の炭素数を有するアルコールのア
ルキレンオキシド付加体と、珪酸塩と、水とを夫々特定
量とすることにより、上記目的の液晶パネル用洗浄剤組
成物及びその組成物を用いた液晶パネルの洗浄方法が得
られることを見い出し、本発明を完成するに至ったので
ある。すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)に存する。 (1) 下記(A)成分〜(D)成分を含有することを特徴
とする液晶パネル用洗浄剤組成物。 (A) 炭素数10〜24の長鎖アルキル2級アルコー
ルの炭素数2〜4のアルキレンオキシド3〜20モル付
加体が10質量%〜60質量% (B) 炭素数1〜8のアルコールの炭素数2〜4のア
ルキレンオキシド1〜6モル付加体が2質量%〜30質
量% (C) 珪酸塩が0.5質量%〜20質量% (D) 水が35質量%〜85質量% (2) 液晶パネル用洗浄剤組成物を用いて液晶パネルを洗
浄する洗浄方法において、上記(1)に記載の洗浄剤組成
物を水にて希釈した洗浄剤液中に、液晶パネルを浸漬し
て、超音波処理を行い、次いで、液晶パネルを水に浸漬
し、超音波処理を行う工程を含むことを特徴とする液晶
パネルの洗浄方法。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物は、
下記(A)成分〜(D)成分を含有することを特徴とす
るものである。以下において、「質量%」は、単に
「%」と略記する。 (A) 炭素数10〜24の長鎖アルキル2級アルコー
ルの炭素数2〜4のアルキレンオキシド3〜20モル付
加体が10%〜60% (B) 炭素数1〜8のアルコールの炭素数2〜4のア
ルキレンオキシド1〜6モル付加体が2%〜30% (C) 珪酸塩が0.5%〜20% (D) 水が35%〜85%
【0008】本発明に用いる(A)成分は、炭素数10
〜24の長鎖アルキル2級アルコールの炭素数2〜4の
アルキレンオキシド3〜20モル付加体である。炭素数
10〜24の長鎖アルキル2級アルコールとしては、例
えば、パラフィンの酸化により製造される長鎖アルキル
2級アルコール(日本触媒社製の「ソフタノール」)、
アルコールの2量化により製造されるゲルベ型長鎖アル
キル2級アルコール、長鎖オレフィンの水付加反応によ
り製造される長鎖アルキル2級アルコールなどが挙げら
れるが、好ましくは、パラフィンの酸化により製造され
る長鎖アルキル2級アルコールである。これらの長鎖ア
ルキル2級アルコールの炭素数は10〜24であるが、
好ましくは10〜18であるものが望ましい。炭素数が
10未満では、界面吸着量の低下による洗浄力不足とな
り、また、炭素数が24を越えるものでは、浸透性、液
性の低下による洗浄力不足となり、好ましくない。
【0009】また、炭素数2〜4のアルキレンオキシド
としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブ
チレンオキシドが挙げられる。これらは各々単独又は混
合物であってもかまわないが、好ましくは、エチレンオ
キシド単独ないしはエチレンオキシドとプロピレンオキ
シドの混合物であるものが望ましい。また、その付加モ
ル数は3〜20モル、好ましくは、5〜15モルであ
る。この付加モル数が3モル未満では、液安定性の点で
不充分であり、また、20モルを越えると、洗浄力が低
下するので不充分である。この(A)成分の配合量は、
洗浄剤組成物全量に対して、10%〜60%であり、よ
り好ましくは10%〜50%である。(A)成分の配合
量が10%未満であると、希釈時の洗浄力不足となり、
また、60%を越えると、液安定性が悪くなるので、好
ましくない。
【0010】本発明に用いる(B)成分は、炭素数1〜
8のアルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド1
〜6モル付加体である。炭素数1〜8のアルコールとし
ては、例えば、メタノール、エタノール、ヘキサノー
ル、オクタノール、2―エチルヘキサノール、フェノー
ル等が挙げられ、好ましくは、2〜8の炭素数のもので
ある。炭素数が1未満では、水溶性が高くなり界面活性
能が低下して洗浄力不足となり、また、炭素数が8を越
えるものでは、親油性が高くなるため液安定性不良とな
り、好ましくない。
【0011】また、アルキレンオキシドとしては、例え
ば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレン
オキシドが挙げられるが、好ましくはエチレンオキシド
単独、ないし、エチレンオキシド、プロピレンオキシド
混合物である。この付加モル数は1〜6モル、好ましく
は、1〜4モルである。付加モル数が1モル未満では、
親油性が高く液安定性不良であり、6モルを越えると、
親水性が高くなり油汚垢への浸透性が低下するので、好
ましくない。この(B)成分の配合量は、洗浄剤組成物
全量に対して、2%〜30%であり、より好ましくは3
%〜20%である。(B)成分の配合量が2%未満であ
ると、油性汚垢に対する洗浄力不足となり、また、30
%を越えると、液安定性不良となり、好ましくない。
【0012】本発明に用いる(C)成分は、珪酸塩であ
り、この珪酸塩としては、例えば、、珪酸カリ、珪酸ソ
ーダなどが挙げられる。具体的には、オルト珪酸塩、セ
スキ珪酸塩、メタ珪酸塩、1〜4号珪酸塩等が挙げられ
る。本発明に用いる(C)成分の珪酸塩は、液晶パネル
を洗浄する際、液晶パネルを保持するために使用する保
持具、その他の部品が、アルミニウム製の場合があるの
で、好ましくは、アルミニウムに対する腐食性の少な
い、メタ珪酸塩が最も望ましい。この(C)成分の配合
量は、洗浄剤組成物全量に対して、0.5〜20%、好
ましくは、低温での液安定性の面から0.5〜10%で
ある。(C)成分の配合量が0.5%未満であると、カ
レット洗浄力不足となり、また、20%を越えると、珪
酸塩の析出する現象の起こることがあり、液安定性が悪
くなるので、好ましくない。
【0013】本発明に用いる(D)成分は、水(イオン
交換水、精製水、純水)である。(D)成分の水の配合
量は、洗浄剤組成物全量に対して、35%〜85%であ
り、好ましくは、洗浄力の面から50%〜70%であ
る。この(D)成分の水の配合量が35%未満である
と、希釈時の液安定性不良となり、また、80%を越え
ると、洗浄力不足となり、好ましくない。
【0014】本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物は、上
記(A)成分〜(D)成分の他に、更なる液晶洗浄性を
向上するために、炭素数10〜16のパラフィン、オレ
フィン、並びに、更なる液安定性の観点から短鎖1価〜
多価アルコールを配合することができる。炭素数10〜
16のパラフィン、オレフィンとしては、例えば、デカ
ン、ドデカン、ヘキサデカン、デセン、ドデセン、ヘキ
サデセンなどが挙げられる。これらの配合量は、洗浄剤
組成物全量に対して、0.5%〜15%である。また、
炭素数2〜4の短鎖1価〜多価アルコールとしては、例
えば、エタノール、プロパノール、グリセリン、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタノールなど
が挙げられる。これらの配合量は、洗浄剤組成物全量に
対して、1%〜20%である。更に、本発明の液晶パネ
ル用洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲
で、その他、キレート剤、防腐剤、腐食抑制剤等の公知
の添加剤を適宜配合することができる。
【0015】本発明の液晶パネル用洗浄剤組成物は、上
記(A)〜(D)成分などを配合し、混合することによ
り製造されるが、該洗浄組成物は5〜45℃の幅広い領
域で均一安定な液体系を保つものであり、液晶パネルの
カレットの洗浄力に優れると共に、液晶パネル表面及び
空隙部位の液晶物質の汚垢の洗浄にも優れた性能を発揮
することができるものとなる。
【0016】本発明の洗浄方法は、上記(A)〜(D)
成分を含有する洗浄剤組成物を水にて希釈した洗浄剤液
中に、液晶パネルを浸漬して、超音波処理を行い、次い
で、液晶パネルを水に浸漬し、超音波処理を行う工程を
含むことを特徴とするものである。本発明における液晶
パネル用洗浄剤組成物は、洗浄において原液(100
%)〜1%水希釈まで幅広く適用することができるが、
好ましくは、洗浄力の面より5〜50%水希釈とするこ
とが望ましい。このように調整した洗浄液中に、液晶パ
ネルを浸し、洗浄するが、洗浄方法としては、浸漬洗
浄、撹拌洗浄、超音波洗浄などが用いられるが、好まし
くは、超音波洗浄であり、通常30〜60℃の加温下で
洗浄させることが望ましい。
【0017】次いで、すすぎ工程に移るが、すすぎ方法
としては、純水(イオン交換水)による浸漬すすぎ、ス
プレーすすぎ、超音波すすぎなどが用いられる。好まし
くは、超音波すすぎである。このすすぎ工程も、通常3
0〜60℃の加温下で行われる。次いで、乾燥工程を経
て、一連の洗浄は完了することとなる。本発明の洗浄剤
方法によれば、上記構成の洗浄剤組成物を使用すること
により、今まで困難であった液晶パネルのカレットの洗
浄を効率的にすることができると共に、液晶パネル表面
及び空隙部位の液晶物質の汚垢の洗浄も効率的にできる
ものとなる。
【0018】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定され
るものではない。
【0019】〔実施例1〜4及び比較例1〜2〕下記表
1に示す配合組成となる液晶パネル用洗浄剤組成物を調
製した。得られた各液晶パネル用洗浄剤組成物につい
て、下記評価方法により、液安定性(経日安定性)、液
晶パネルのカレットの洗浄力及び空隙部位の洗浄力を評
価した。これらの結果を下記表1に示す。
【0020】〔洗浄剤組成物の液安定性(経日安定性)
の評価方法〕100cc透明ビンに入れた、組成物を4
5℃、及び5℃の雰囲気下に1週間静置し、その外観を
下記評価基準で、目視で官能評価した。 評価基準: ○:均一透明液体 ×:白濁
【0021】(カレット洗浄力の評価方法)空隙3μm
の液晶パネル(50mm×30mm)の端子部位にガラ
ス屑溶液(ガラスを粉砕したときに発生したガラス粉を
水に分散させた溶液)を塗布し、105℃の乾燥機で6
0分間乾燥を行い、顕微鏡で端子部分を観察し、洗浄前
のガラス屑を数えた。その後洗浄液に該パネルを浸し、
40℃、5分間、50kHzの超音波洗浄を行い、次い
で、該パネルを取り出し、40℃、5分間、50kHz
の超音波すすぎをイオン交換水中で行い、さらに、取り
出して、105℃の乾燥機で60分間乾燥を行った。乾
燥終了後、顕微鏡で観察し、洗浄後のガラス屑を数え
た。洗浄前後のガラス屑を数え、下記の式を用いてカレ
ットの洗浄力を算出した。 洗浄力={[(洗浄前のカ゛ラス屑数)―(洗浄後のガラス屑
数)]/洗浄前のカ゛ラス屑数}×100
【0022】(空隙部位の洗浄力の評価方法)空隙3μ
mの液晶パネルの空隙部位に液晶物質を塗布し、洗浄液
に該パネルを浸し、40℃、5分間、50kHzの超音波
洗浄を行い、次いで、該パネルを取り出し、40℃、5
分間、50kHzの超音波すすぎをイオン交換水中で行
い、さらに、取り出して、105℃の乾燥機で60分間
乾燥を行った。乾燥終了後、偏光顕微鏡で観察し、下記
評価基準により評価した。 評価基準: ◎:残存する液晶を確認せず(完全洗浄) ○:ほとんどの液晶を除去(品質上問題がない) △:残存する液晶を存在 ×:全く液晶を洗浄できなかった
【0023】
【表1】
【0024】上記表1の結果から明らかなように、本発
明範囲となる実施例1〜4は、本発明の範囲外となる比
較例1〜2に較べ、液安定性(経日安定性)及び液晶パ
ネルのカレットの洗浄力に優れており、更に空隙部位の
液晶物質の汚垢に対する洗浄力にも優れていることが判
明した。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、洗浄剤組成物は液晶パ
ネル表面及び端子部分に付着したカレットのいずれの汚
垢に対しても、十分な洗浄力を発揮し、また、液安定性
にも優れた液晶パネル用洗浄剤組成物及びその組成物を
用いた液晶パネルの洗浄方法が提供される。また、本発
明は、液晶パネル表面及び空隙部位の液晶物質の汚垢に
対しても、良好な洗浄力を発揮することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1333 500 G02F 1/1333 500 (72)発明者 牛山 広俊 東京都墨田区本所一丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 Fターム(参考) 2H088 FA21 MA20 2H090 JB02 JC18 JC19 LA01 4H003 AC09 BA12 DA05 DA15 DB03 DC04 EA15 EB02 EB04 EB29 ED02 ED03 ED29 FA16 FA35

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分〜(D)成分を含有する
    ことを特徴とする液晶パネル用洗浄剤組成物。 (A) 炭素数10〜24の長鎖アルキル2級アルコー
    ルの炭素数2〜4のアルキレンオキシド3〜20モル付
    加体が10質量%〜60質量% (B) 炭素数1〜8のアルコールの炭素数2〜4のア
    ルキレンオキシド1〜6モル付加体が2質量%〜30質
    量% (C) 珪酸塩が0.5質量%〜20質量% (D) 水が35質量%〜85質量%
  2. 【請求項2】 液晶パネル用洗浄剤組成物を用いて液晶
    パネルを洗浄する洗浄方法において、請求項1に記載の
    洗浄剤組成物を水にて希釈した洗浄剤液中に、液晶パネ
    ルを浸漬して、超音波処理を行い、次いで、液晶パネル
    を水に浸漬し、超音波処理を行う工程を含むことを特徴
    とする液晶パネルの洗浄方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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