JP2001181593A - 熱硬化性接着剤及びそれを用いたフレキシブルプリント配線板材料 - Google Patents

熱硬化性接着剤及びそれを用いたフレキシブルプリント配線板材料

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JP2001181593A
JP2001181593A JP37217399A JP37217399A JP2001181593A JP 2001181593 A JP2001181593 A JP 2001181593A JP 37217399 A JP37217399 A JP 37217399A JP 37217399 A JP37217399 A JP 37217399A JP 2001181593 A JP2001181593 A JP 2001181593A
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resin
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Mitsunori Takeda
田 充 範 竹
Tsutomu Nakamura
村 励 中
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Kashima Oil Co Ltd
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Kashima Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 重質油またはピッチ類と、平均分子量か
ら算出した前記重質油またはピッチ類1モルに対して、
50モル以下のフェノール類、ホルムアルデヒド換算で
0.2〜40モルのホルムアルデヒド化合物、及び0.
01〜3.0モルの酸触媒の混合物を加熱攪拌して、前
記重出油またはピッチ類、フェノール類及びホルムアル
デヒド化合物を重縮合させて得られた変性フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び/又は硬化促進剤とを含
むことを特徴とする熱硬化性接着剤、及び該接着剤を用
いたフレキシブルプリント配線用基板、カバーレイフィ
ルム及びボンディングシート。 【効果】 本発明の接着剤は、耐熱劣化性、耐湿劣化
性、難燃性等に優れ、この接着剤を用いたフレキシブル
プリント配線基板材料の信頼性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】 本発明はフレキシブルプリント配
線板材料であるフレキシブルプリント配線用基板、カバ
ーレイフィルム及びボンディングシートに使用される、
優れた接着性に加え、耐湿劣化性、耐吸湿性、耐熱劣化
性、難燃性等に優れた熱硬化性接着剤及びそれを用いた
フレキシブルプリント配線用基板、カバーレイフィルム
及びボンディングシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】 近年のエレクトロニクスの急速な発
展、並びに消費者の生活習慣・生活様式の変化に伴い、
例えば携帯電話に対する小型・軽量化・薄型化の要求な
ど、通信用並びに民生用の電子機器の小型・軽量化、高
密度化に対する要求が従来に増して高まってきている。
また一方では、それら電子機器の一般化・大衆化に伴
い、それら機器を消費者に強くアピールできる一層魅力
的なデザインにしたいという要求も高くなっている。こ
のような要求に対しフレキシブルプリント配線板は可と
う性を有し、繰り返し屈曲に耐える特性を有しているた
め、電子部品を狭い空間に立体的に高密度で実装するこ
とが可能であり、折り畳み部分を有したり曲線的な形状
を持つ電子機器などへの配線、ケーブル、或いはコネク
ター機能を付与した複合部品としてその用途が拡大しつ
つある。フレキシブルプリント配線板は、フレキシブル
プリント配線用基板上に常法により回路を配線したもの
であり、使用目的によってはこの回路を保護するような
形でカバーレイフィルムを張り合わせる。
【0003】フレキシブルプリント配線用基板は高い耐
熱性と優れた電気的・機械的特性を備えている電気絶縁
性の基材フィルムと金属箔とを接着剤を介して積層一体
化したもので、このフレキシブルプリント配線用基板に
要求される特性としては、密着性、耐熱性、電気特性、
耐屈曲性、加工性等があげられる。
【0004】近年ではこのような用途に用いられるフレ
キシブルプリント配線板にカバーレイフィルムを圧着す
るものが多くなってきている。このカバーレイフィルム
は、電気絶縁性の基材フィルムの片面に接着剤を塗布し
半硬化状態としたものと離型材とを貼り合わせたもの
で、フレキシブルプリント配線板の回路保護、屈曲性の
向上などを目的として使用されている。このカバーレイ
フィルムに要求される特性は、保存性、接着性、密着
性、耐熱性、電気的特性、耐屈曲性、加工性等があげら
れる。
【0005】ボンディングシートは、離型材の片面に接
着剤を塗布し半硬化状態としたものと別の離型材とを貼
り合わせたもので、フレキシブルプリント配線板とフレ
キシブルプリント配線板とを貼り合わせて多層フレキシ
ブルプリント配線板を製造する場合や、フレキシブルプ
リント配線板と補強板とを貼り合わせる場合などの接着
材料として使用される。このボンディングシートに要求
される特性は、保存性、接着性、密着性、耐熱性、電気
特性、耐屈曲性、加工性等があげられる。
【0006】更に、フレキシブルプリント配線用基板、
カバーレイフィルム及びボンディングシートに対して
は、電子部品の高密度実装化、配線線幅などの微細化等
に伴う発熱問題、吸湿問題から、上記の特性に加え難燃
性、耐吸湿性等も求められている。
【0007】従来、これらの要求を満たすことのできる
フレキシブルプリント配線用基板、カバーレイフィル
ム、ボンディングシート等のフレキシブルプリント配線
板材料に使用される接着剤として、ナイロン/エポキシ
樹脂系、アクリル/フェノール樹脂系、ポリエステル/
エポキシ樹脂系、ニトリルゴム/エポキシ樹脂系などが
提案されている。これらの中でニトリルゴム/エポキシ
樹脂系の接着剤は、要求される物性のバランスが比較的
とれた高接着性の接着剤が得られるが、ニトリルゴム自
体が不安定な不飽和結合を有するため、同接着剤は高温
に長時間さらされると劣化が進み剥離強度が著しく低下
するという欠点を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決することを目的として、特に接着剤組成に着目
し、エポキシ樹脂の硬化剤として特定の原料を用いた変
性フェノール樹脂を用いることにより、難燃性に優れ、
耐熱性を長時間維持することができ、高温、高湿に長時
間さらされても剥離強度の低下が抑制される等、接着剤
の劣化が改善された熱硬化性接着剤及びそれを用いたフ
レキシブルプリント配線用基板、カバーレイフィルム及
びボンディングシートを提供する。
【0009】
【課題を解決するための具体的手段】本発明者等は、こ
のような課題を解決するために鋭意検討した結果、エポ
キシ樹脂の硬化剤として耐熱性、難燃性、低吸湿性等の
特性を有する特定の原料を用いた変性フェノール樹脂を
用いることにより、難燃性、耐湿劣化性、耐熱性等に優
れた接着剤を得られることを見出し本発明を完成するに
至った。即ち、本発明は、 1)(A)重質油またはピッチ類と、平均分子量から算
出した前記重質油またはピッチ類1モルに対して、50
モル以下のフェノール類、ホルムアルデヒド換算で0.
2〜40モルのホルムアルデヒド化合物、及び0.01
〜3.0モルの酸触媒の混合物を加熱して、前記重質油
またはピッチ類、フェノール類及びホルムアルデヒド化
合物を重縮合させて得られた変性フェノール樹脂、
(B)エポキシ樹脂を含むことを特徴とする熱硬化性接
着剤に関し、また、(2)前記重質油又はピッチ類が、
石油系重質油又はピッチ類であることを特徴とする熱硬
化性接着剤に関し、また(3)前記重質油又はピッチ類
が、石油精製過程の接触分解工程、熱分解工程又は接触
改質工程で得られ、沸点の下限値(留出開始温度)が1
70℃以上であり、芳香族炭化水素分率fa値が0.4
0〜0.95であり、且つ芳香環水素量Ha値が20〜
80%である留出油又は残渣油であることを特徴とする
熱硬化性接着剤に関し、また(4)前記変性フェノール
樹脂及びエポキシ樹脂を、該変性フェノール樹脂中の水
酸基の数(N(OH))と該エポキシ樹脂中のエポキシ
基の数(N(EPX))の比N(OH)/N(EPX)
が0.1〜1.5となるように混合することを特徴とす
る熱硬化性接着剤に関し、また、(5)上記各々に示す
接着剤を用いたフレキシブルプリント配線用基板に関
し、また、(6)上記各々に示す接着剤を用いたカバー
レイフィルムに関し、また、(7)上記各々に示す接着
剤を用いたボンディングシートに関するものである。
【0010】
【本発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明
する。本発明は特定の原料を用いた変性フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、及び、必要により、硬化剤及び/又
は硬化促進剤を含む熱硬化性接着剤、及び該接着剤を用
いたフレキシブルプリント配線用基板、カバーレイフィ
ルム及びボンディングシートに関するものである。フレ
キシブルプリント配線用基板の構成は、電気絶縁性フィ
ルム/熱硬化性接着剤/金属箔からなる3層構造であ
り、接着剤の厚さは一般に10〜20μmであるが、使
用状況により適宜決められる。カバーレイフィルムの構
成は、電気絶縁フィルム/熱硬化性接着剤/離型材から
なる3層構造であり、接着剤の厚さは一般に15〜50
μmであるが、使用状況等により適宜決められる。ボン
ディングシートの構成は、離型材/熱硬化性接着剤/離
型材からなる3層構造であり、接着剤の厚さは一般に1
5〜50μmであるが、使用状況により適宜決められ
る。
【0011】本発明においてエポキシ樹脂の硬化剤とし
て使用する変性フェノール樹脂は、特定量の重質油類ま
たはピッチ類、フェノール類およびホルムアルデヒド化
合物を酸触媒の存在下で重縮合反応させて得られた変性
フェノール樹脂であり、これらの原料で製造される限
り、その原料添加順序、原料添加量及び反応条件を特に
制限されない。これらの条件等は、本発明で変性フェノ
ール樹脂に要求される性状及び特性に合わせ、適宜選択
できる。本発明で用いる変性フェノール樹脂の製造方法
としては、例えば、特開平2−274714号公報、特
開平6−228257号公報、特開平7−2966号公
報、特願平10−35032号、特願平10−2257
24号、特願平10−351577号、特開平4−14
5116号公報、特開平7−252339号公報および
特開平9−216927号公報等に開示される方法を適
用することができる。
【0012】これら変性フェノール樹脂の製造方法のう
ち、得られる変性フェノール樹脂の粘度、水酸基当量等
の観点から、特定量の重質油類またはピッチ類と、フェ
ノール類と、ホルムアルデヒド化合物と、酸触媒とを混
合した後、得られた混合物を加熱撹拌して、これら重質
油類またはピッチ類、フェノール類およびホルムアルデ
ヒド化合物を重縮合させる方法(特願平10−3503
2号および特願平10−225724号)が望ましい。
【0013】この変性フェノール樹脂の製造方法では、
全重縮合原料(触媒を含む)を混合して得た混合物を加
熱撹拌して重縮合反応を行なってもよく(第一の方
法)、重縮合原料(触媒を含む)のうちの特定のものを
混合して得た混合物を加熱撹拌し、この際残りの重縮合
原料(または触媒)を逐次添加しながら重縮合を行なっ
てもよい(第二〜七の方法)。
【0014】即ち、変性フェノール樹脂の第二の製造方
法では、先ず、重質油類またはピッチ類と、フェノール
類とを混合して加熱撹拌し、次いでこの加熱撹拌中の混
合物にホルムアルデヒド化合物と酸触媒とを逐次添加す
る。なお、この製造方法では、酸触媒と、ホルムアルデ
ヒド化合物の全量とを逐次添加してもよい。また、加熱
撹拌中の混合物にあらかじめホルムアルデヒド化合物の
一部を混合する場合には、酸触媒とともに残余のホルム
アルデヒド化合物を逐次添加する。
【0015】変性フェノール樹脂の第三の製造方法で
は、先ず、重質油類またはピッチ類と、フェノール類
と、ホルムアルデヒド化合物とを混合して加熱撹拌し、
次いでこの加熱撹拌中の混合物に酸触媒のみを逐次添加
する。
【0016】変性フェノール樹脂の第四の製造方法で
は、先ず、石油系重質油類またはピッチ類と、フェノー
ル類と、酸触媒とを混合して加熱撹拌し、次いでこの加
熱撹拌中の混合物にホルムアルデヒド化合物のみを逐次
添加する。
【0017】変性フェノール樹脂の第五の製造方法は、
先ず、重質油類またはピッチ類と、酸触媒とを混合して
加熱攪拌し、次いでこの加熱攪拌中の混合物に、フェノ
ール類とホルムアルデヒド化合物とを逐次添加する。
【0018】変性フェノール樹脂の第六の製造方法は、
先ず、ホルムアルデヒド化合物と酸触媒とを混合して加
熱攪拌し、次いでこの加熱攪拌中の混合物に、重質油類
またはピッチ類とフェノール類とを逐次添加する。
【0019】そして,変性フェノール樹脂の第七の製造
方法では、先ず、重質油類またはピッチ類と、ホルムア
ルデヒド化合物と酸触媒とを混合して加熱撹拌し、次い
でこの加熱撹拌中の混合物にフェノール類を逐次添加す
る。
【0020】以下、この本発明で使用する変性フェノー
ル樹脂の製造方法を、この第一から第七の方法を参照し
ながら、具体的に説明する。本発明で使用される変性フ
ェノール樹脂は、その重縮合反応原料として重質油類ま
たはピッチ類を用いており、このような重質油類または
ピッチ類としては、石油系および石炭系の何れの原料油
を用いてもよい。石油系重質油類またはピッチ類として
は、原油の蒸留残油、水添分解残油、接触分解残油、接
触改質残油、ナフサまたはLPGの熱分解残油およびこ
れら残油の減圧蒸留物、溶剤抽出によるエキストラクト
或いは熱処理物、石油精製過程における熱分解及び接触
分解などの分解工程で得られる特定の留出油または残渣
油およびナフサ等の接触改質における残渣油およびこれ
ら残油の減圧蒸留物などを例示できる。石炭系重質油類
またはピッチ類としては、石炭乾留におけるコールター
ルを蒸留して得られる特定の分留成分および石炭液化に
おける重質油等を例示できる。
【0021】石油系重質油類またはピッチ類では、芳香
族炭化水素分率fa値および芳香環水素量Ha値の適当
なものを選んで使用することが好ましい。例えば、石油
系重質油類またはピッチ類は、0.4〜0.95、好ま
しくは0.5〜0.8、さらに好ましくは0.55〜
0.75のfa値と、20〜80%、好ましくは25〜
60%、さらに好ましくは25〜50%のHa値とを有
することが望ましい。なお、fa値およびHa値は、各
々石油系重質油類またはピッチ類の13C−NMR測定
によるデータ、および 1H−NMRによるデータか
ら、下記式に基づいて算出される。
【0022】
【数1】
【0023】原料の石油系重質油類またはピッチ類のf
a値が0.4より小さくなると、芳香族分が少なくなる
ため、得られる変性フェノール樹脂の性能の改質効果、
特に耐熱性、耐酸化性、耐吸湿性の改質効果が小さくな
る傾向がある。また、fa値が0.95より大きい石油
系重質油類またはピッチ類の場合には、芳香族炭素とホ
ルムアルデヒドとの反応性が低くなる傾向がある。
【0024】原料の石油系重質油類またはピッチ類のH
a値が20%より小さくなると、ホルムアルデヒドと反
応する芳香環水素分が少なくなり、反応性が低下するた
め、フェノール樹脂の性能の改質効果が低下する傾向が
ある。Ha値が80%より大きい石油系重質油類または
ピッチ類を原料とした場合には、変性フェノール樹脂の
強度が低くなる傾向を示す。
【0025】このような石油系重質油類またはピッチ類
としては、石油精製過程における熱分解、接触分解およ
び接触改質などの分解または改質工程で得られる留出油
および残渣油を用いることが、原料の安定供給等の観点
から、特に好ましい。石油精製過程において、このよう
な分解または改質工程に用いられる原料としては、例え
ばタールサンド、或いは蒸留工程で得られる直留重質軽
油、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残油等、および脱硫工
程で得られる脱硫減圧重質軽油及び脱硫重油等の残渣
油、精製油または中間精製油などを例示することができ
る。このような残渣油、精製油および中間精製油のう
ち、通常、熱分解ではタールサンド、常圧蒸留残渣油お
よび減圧蒸留残油などが用いられており、接触分解では
直留重質軽油、常圧蒸留残渣油、脱硫減圧重質軽油およ
び脱硫重油などが用いられており、接触改質では直留ナ
フサなどが用いられている。
【0026】このような留出油および残渣油の製造に適
用される接触分解法、熱分解法および接触改質法は、所
望の上記物性を有する留出油および残渣油を得られれば
特に限定されるものではなく、従来から石油精製の分野
で適用されている如何なる方法であってもよい。したが
って例えば、接触分解法としては、移動床式接触分解
法、エアリフト・サーモフォア接触分解法、フードリフ
ロー接触分解法、流動床式接触分解(FCC) 法、UOP 接触
分解法、シェル接触分解法、エッソIV型接触分解法、オ
ルソフロー接触分解法などを挙げることができる。ま
た、熱分解法としては、ディレードコーキング法、フル
ードコーキング法、フレキシコーキング法、ビスブレー
ク法、ユリカ法、CHERY-P 法、ACTIV 法、KKI 法、コー
ク流動床式コーキング法およびACR 法などを挙げること
ができる。さらに、接触改質法としては、プラットフォ
ーミング法、パワーフォーミング法、キャットフォーミ
ング法、フードリフォーミング法、レニフォーミング
法、ハイドロフォーミング法およびハイパーフォーミン
グ法などを挙げることができる。
【0027】分解または改質工程において、このような
方法で得られた接触分解物、熱分解物および接触改質物
は、様々な沸点を有するとともに、種々の化合物組成を
有する留分に別れるが、このうち本発明で好適に用いら
れる留出油および残渣油は、上述の芳香族炭化水素分率
fa値および芳香環水素量Ha値を有するとともに、沸
点の下限値(留出開始温度)が170℃以上、好ましく
は180℃以上、更に好ましくは190℃以上である。
沸点の下限値(留出開始温度)が、170℃未満の留出
油を用いた場合、原料油中に含まれる縮合多環芳香族成
分の量が少なく、反応性が低下する。
【0028】石炭系原料として上述したコールタールの
蒸留による分留成分は、200℃を越える沸点、好まし
くは200〜360℃の沸点を有する分留成分である。
石炭乾留は、石炭化学工業において必須の工程であり、
石炭からガス、コールタールおよびコークスなどを生産
するために行なわれる。このような石炭乾留で生産され
たコールタールは、その乾留方式によって、コークス炉
タール、水平式レトルトタール、直立式レトルトター
ル、発生炉タールおよび水性ガスタールなどに分類でき
る。また、コールタールは、その乾留温度の高低によっ
て、高温タール(900〜1200℃)および低温ター
ル(450〜700℃)に区分され、各々その組成およ
び性状を異にする。石炭系重質油類またはピッチ類とし
て用いられる分留成分は、上記沸点を有する限り何れの
コールタールを蒸留したものであってもよいが、所望の
蒸留成分の含有量が多いという観点から、特にコークス
炉タール等の高温タールが好適である。
【0029】このようなコールタールを蒸留すると、様
々な分留成分を得ることができ、例えばコークス製造時
に得られるコークス炉タールを蒸留した場合、タール軽
油(沸点約94〜178℃)、カルボル軽油(石炭酸
油:沸点約168〜200℃)、ナフタリン油(中油)
および吸収油(沸点約202〜223℃)、重油(沸点
約218〜314℃)、アントラセン油(沸点約296
〜360℃)およびピッチ(残渣:沸点約450℃以
上)などが分留成分として得られる。このうち、沸点が
200℃を越える分留成分は、ナフタリン油、吸収油、
重油、アントラセン油およびピッチである。
【0030】本発明で用いる石炭系重質油類またはピッ
チ類としては、上述の沸点を有するこのような分留成分
を、単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよ
い。また、これら分留成分の混合物から特定成分を分離
・回収し、混合したものであってもよく、例えばナフタ
リン油以上の沸点を有する留分の混合物で、ナフタリ
ン、アントラセン、タール酸類およびタール塩基などを
分離・回収して得られるクレオソート油を用いることも
できる。ただし、石炭系(コールタール系)の重質油類
またはピッチ類は、石油系のものと比較すると、一般的
にfaおよびHa値が大きいにもかかわらず、ホルムア
ルデヒド化合物との反応が進行することから、石炭系原
料油は、分子構造に基づくホルムアルデヒド化合物との
反応性の根本的違いがあると推測される。なお、沸点が
200℃以下の分留成分を用いた場合、原料油中に含ま
れる縮合多環芳香族成分の量が少なく、反応性が低下す
る。
【0031】また、石炭液化は、石炭からガソリンなど
を製造するために行なわれ、石炭を500℃前後の高温
で高圧水素(200〜700気圧)と作用させ、石炭構
造開裂、脱酸素、脱イオウ、脱窒素および水素添加など
の諸反応によって低級炭化水素とする工程である。石炭
系重質油類またはピッチ類として、このような石炭液化
にともなって生産される重質油も用いることができ、こ
の重質油は、単独で用いても、上述のコールタール分留
成分の一種以上と混合して用いてもよい。
【0032】以上説明した石炭系重質油類またはピッチ
類は、石炭化学工業において一般的な工程で安定して生
産される製品であり、したがってこれを使用することで
原料の安定な低コストでの供給を図ることが可能とな
る。
【0033】なお、本発明で使用する変性フェノール樹
脂の製造方法において、石炭系重質油類またはピッチ類
は、これをそのまま用いてもよいが、フェノール類、カ
ルボン酸類などの酸性化合物、およびカルバゾール類、
ピリジン類、アニリン類、キノリン類などの塩基性化合
物が含まれている可能性があり、これらを除去すること
が望ましい。このような酸性化合物および塩基性化合物
の除去は、例えば硫酸、苛性ソーダによる抽出により行
なうことができる。
【0034】以上説明した石油系および石炭系の重質油
類またはピッチ類は、これを構成する芳香族炭化水素の
縮合環数は特に限定されないが、2環以上の縮合多環芳
香族炭化水素で主に構成されることが好ましい。重質油
類またはピッチ類が、主に単環芳香族炭化水素である場
合には、ホルムアルデヒドとの反応性が低いため、得ら
れたフェノール樹脂の改質効果が小さくなる傾向があ
る。
【0035】また、これら重質油類またはピッチ類は、
これをそのまま重縮合反応に用いてもよいが、低反応性
のパラフィン留分、即ちノルマルパラフィン、イソパラ
フィンおよびシクロパラフィン等を含む炭素数15〜4
0の飽和炭化水素留分の除去処理を行なった後に使用し
てもよい。
【0036】本発明で用いられる変性フェノール樹脂の
製造に必須成分として用いられるホルムアルデヒド化合
物としては、ホルムアルデヒドに加えて、パラホルムア
ルデヒド、ポリオキシメチレン(特に、オリゴマー)な
どの線状重合物、トリオキサンなどの環状重合物を例示
できる。このようなホルムアルデヒド化合物は、架橋剤
として作用し、特にパラホルムアルデヒドおよびホルム
アルデヒドが好ましい。ホルムアルデヒド化合物は、水
等の適当な溶媒に溶解して用いてもよい。従って、ホル
ムアルデヒドは、適当な濃度の水溶液として用いてもよ
く、特にホルマリン(濃度35%以上)として用いるこ
とが好ましい。
【0037】本発明で用いられる変性フェノール樹脂の
上記第一〜第七の製造方法では、このようなホルムアル
デヒド化合物は、平均分子量から算出した重質油類また
はピッチ類1モルに対して、ホルムアルデヒド換算値
で、0.2モル以上、好ましくは0.5モル以上であ
り、かつ40モル以下、好ましくは35モル以下、さら
に好ましくは30モル以下となる量で用いられることが
望ましい。重質油類またはピッチ類1モルに対するホル
ムアルデヒド化合物の量が0.2モル未満の場合には、
樹脂の収率が低下し、得られる樹脂の性能が低下する傾
向がある。一方、40モルより大きい場合には、得られ
る変性フェノール樹脂が高分子化し、所望の粘度を得ら
れないばかりでなく、甚だしくは反応混合物が固化して
しまうことがある。
【0038】本発明で用いられる変性フェノール樹脂の
製造に必須の成分であるフェノール類としては、ヒドロ
キシベンゼン化合物およびヒドロキシナフタレン化合物
等を例示できる。ヒドロキシベンゼン化合物としては、
例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、アリ
ルフェノール、レゾルシン、ヒドロキノン、カテコー
ル、フェニルフェノール、ビニルフェノール、ノニルフ
ェノール、p-tert-ブチルフェノール、ビスフェノール
A、ビスフェノールFなどを挙げることができる。ヒド
ロキシナフタレン化合物としては、例えばα−ナフトー
ルおよびβ−ナフトール等のモノヒドロキシナフタレン
化合物、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキ
シナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレンおよび2,3-
ジヒドロキシナフタレン、3,6-ジヒドロキシナフタレ
ン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナ
フタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロ
キシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒ
ドロキシナフタレン化合物、及びアルキル基、芳香族基
等の置換基を有する上記モノ又はジヒドロキシナフタレ
ン化合物、例えば2-メチル-1-ナフトール、4-フェニル-
1-ナフトール等を例示することができる。これらフェノ
ール類は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用い
てもよい。
【0039】前記第一〜第七の方法では、このようなフ
ェノール類は、平均分子量から算出した重質油類または
ピッチ類1モルに対して下限は特に限定しないが、50
モル以下、好ましくは40モル以下、さらに好ましくは
35モル以下となる量で用いられることが望ましい。フ
ェノール類の量が50モルを越える場合には、フェノー
ル樹脂の変性による改質効果が小さくなる傾向がある。
【0040】以上説明した原料の重縮合反応では、反応
触媒として酸触媒が用いられている。このような酸触媒
としては、ブレンステッド酸もしくはルイス酸が使用で
きるが、好ましくはブレンステッド酸が用いられる。ブ
レンステッド酸としては、シュウ酸、トルエンスルホン
酸、キシレンスルホン酸およびギ酸等の有機酸、塩酸お
よび硫酸等の無機酸、および酸性陽イオン交換樹脂等の
固体酸を挙げることができる。このようなブレンステッ
ド酸のうち、有機酸および無機酸としては、シュウ酸お
よび硫酸が好ましい。また、固体酸として使用される酸
性陽イオン交換樹脂は、三次元網目構造を有する基体樹
脂に、陽イオン交換基を共有結合させた樹脂である。こ
のような固体酸を酸触媒として用いると、酸が反応混合
物中に遊離状態で含有されることがないため、ろ過等の
簡便な方法で重縮合反応生成物から固体酸を除去するこ
とで、実質的に酸を含まない変性フェノール樹脂を得ら
れるという利点がある。
【0041】より具体的には、第一〜第七の製造方法で
は、酸触媒は、平均分子量から算出した重質油類または
ピッチ類1モルに対して、0.01モル以上、好ましく
は0.05モル以上、かつ3モル以下、好ましくは2モ
ル以下となる量で用いられる。なお、酸触媒として酸性
陽イオン交換樹脂を用いる場合には、上記酸触媒の量
は、陽イオン交換基換算の量である。酸触媒の使用量が
少ない場合には反応時間が長くなる傾向があり、また、
反応温度を高くしないと反応が不充分になる傾向があ
る。一方、酸触媒の使用量が多くなってもその割には反
応速度が速くならず、コスト的に不利になることがあ
る。
【0042】前記第一〜第七の変性フェノール樹脂の製
造方法では、特定量の重質油類またはピッチ類、ホルム
アルデヒド化合物、フェノール類および酸触媒を予め混
合し、次いで得られた混合物を加熱撹拌して重縮合反応
を行なう(第一の製造方法)か、或いは上記原料および
酸触媒を加熱撹拌する重縮合反応において、重質油類ま
たはピッチ類、フェノール類、酸触媒およびホルムアル
デヒド化合物の少なくとも何れかを逐次添加して重縮合
反応を行なう(第二〜七の製造方法)方法で製造する。
【0043】このような特定量の重縮合原料および酸触
媒を用いる第一の製造方法では、以上説明した特定量の
原料および酸触媒を予め混合し、次いで得られた混合物
を加熱撹拌して重縮合反応を行なっている。第一の製造
方法において、重質油類またはピッチ類、フェノール類
およびホルムアルデヒド化合物の酸触媒存在下での重縮
合反応は、原料組成および得られる樹脂の性状等に合わ
せてその原料混合温度および混合時間や、重縮合反応温
度および反応時間等を制御される。このような重縮合反
応は、例えば、以下の方法で行なうことが可能である。
即ち先ず、上記特定量の重質油類またはピッチ類、フェ
ノール類、ホルムアルデヒド化合物および酸触媒を、重
縮合反応が進行しない温度、例えば50℃以下、好まし
くは40〜50℃の温度で撹拌して均一に混合する。次
いで、得られた混合物を、50〜200℃、好ましくは
80〜200℃、更に好ましくは80〜180℃の温度
まで徐々に昇温し、15分間〜8時間、好ましくは30
分間〜6時間重縮合反応を行なう。なお、重縮合原料の
混合は、重縮合反応が進行しないうちに均一な混合物を
得られればよく、たとえば重縮合反応温度まで徐々に昇
温する間に行なってもよい。
【0044】また、第二〜第七の製造方法では、以上説
明した原料および酸触媒を用いた重縮合反応において、
重質油類またはピッチ類、フェノール類、酸触媒および
ホルムアルデヒド化合物の少なくとも何れかを逐次添加
している。変性フェノール樹脂の第二〜第七の製造方法
において、重質油類またはピッチ類、フェノール類、酸
触媒および/またはホルムアルデヒド化合物の逐次添加
は、滴下等の方法によって、10〜120分間、好まし
くは20〜80分間で行なうことが望ましい。添加時間
が10分間未満の場合には、反応が急激に進行して発熱
が激しくなり、温度制御が困難となるため好ましくな
い。一方、添加時間が120分間を越える場合には、添
加に長時間を要し、反応時間が長くなる傾向がある。な
お、これら重縮合反応では、加熱撹拌中の混合物への各
成分の逐次添加は、その開始時期を特に限定されず、加
熱撹拌中の混合物が均一に混合されかつ温度が安定した
状態で開始すればよい。
【0045】また、変性フェノール樹脂の第二の製造方
法では、ホルムアルデヒド化合物を酸触媒とともに逐次
添加しているが、このホルムアルデヒド化合物の逐次添
加は、酸触媒の逐次添加と同期して開始および終了して
もよく、この際、両者を混合することが望ましい。ま
た、ホルムアルデヒド化合物の逐次添加は、酸触媒と別
途行なってもよく、この場合には、酸触媒の逐次添加と
同期させても、例えば酸触媒より先にずらせて開始して
もよい。このような順序で原料および酸触媒を添加して
行なう重質油類またはピッチ類、フェノール類およびホ
ルムアルデヒド化合物の酸触媒の存在下での重縮合反応
は、原料組成、酸触媒の添加速度、得られる樹脂の性状
等に合わせてその反応温度および反応時間を制御され
る。
【0046】なお、以上説明した変性フェノール樹脂の
製造において、上述の具体的条件は好ましい例示であ
り、原料組成および得られる樹脂の性状等に合わせてそ
の原料混合温度および混合時間や、重縮合反応温度およ
び反応時間等を制御できる。また、反応温度および反応
時間も、互いに影響しあう条件であることは言うまでも
ない。
【0047】このようにして製造された変性フェノール
樹脂は、該樹脂中に未反応成分や酸触媒などが残存する
可能性があるので、適宜精製処理して、未反応成分、低
分子成分、酸触媒および反応溶媒等を除去することが望
ましい。反応混合物、即ち酸触媒、未反応物、低分子成
分および反応溶媒を含む粗製の変性フェノール樹脂の精
製方法としては、例えば、(i)反応混合物から未反応
成分を除去する精製処理および(ii)前記反応混合物か
ら触媒残渣を除去する精製処理を挙げることができる。
また、所望により(iii)水蒸気蒸留、窒素ガスの吹込
みおよび減圧蒸留のいずれかで残留するフェノール類を
除去する精製処理を行っても良い。
【0048】精製処理(i)では、原料として用いられ
る重質油類またはピッチ類に含まれる成分のうち、反応
性が低く、反応生成物中に未反応の状態、あるいは反応
が不充分な状態で残存する成分および反応時に適宜用い
られた反応溶媒が除去される。前述の精製処理(ii)で
は、反応混合物中に残存する酸触媒が除去され、実質的
に酸を含まない変性フェノール樹脂が得られる。さらに
精製処理(iii)では、反応混合物をそのまま、または
精製処理(i)および/または精製処理(ii)で未反応
成分や酸触媒等を除去した後、水蒸気蒸留、窒素の吹き
込み、または減圧蒸留等を行なうことによって、変性フ
ェノール樹脂中に残留する未反応のフェノール類を除去
する。
【0049】なお精製処理(i)、(ii)および(iii)
としては、変性フェノール樹脂の精製方法として従来公
知のいずれの方法を用いてもよく、例えば特開平2−2
29823号公報、特公平6−89092号公報、特開
平7−2966号公報、特願平7−252339号、特
開平9−216927号公報および特願平10−350
32号等に開示される変性フェノール樹脂の精製方法を
そのまま、または必要に応じて適宜変更して適用するこ
とが可能である。
【0050】以上、本発明で使用される変性フェノール
樹脂の製造方法につき、特定の第一〜第七の方法を例示
して具体的に説明したが、本発明において、変性フェノ
ール樹脂は、所望により上記原料および触媒を用いた他
の方法、例えば上述した特許公報に開示される他の方法
で製造することも可能である。
【0051】本発明の接着剤において、上記変性フェノ
ール樹脂は単独で使用してもかまわないが、本発明の効
果を損なわない範囲で他の公知のフェノール樹脂類を併
用してもよい。併用できるフェノール樹脂類としては、
フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビ
スフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS
等のフェノール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類
とを酸性触媒存在下で架橋剤により縮合又は共縮合させ
て得られる樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフト
ール・アラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノ
ール樹脂等が例示でき、単独又は2種以上併用してもよ
いが、本発明を有効に発現するためには、上記本発明に
係る変性フェノール樹脂を50重量%以上、好ましくは
70重量%以上含むことが望ましい。
【0052】本発明の熱硬化性接着剤に用いるエポキシ
樹脂は、多官能エポキシ樹脂であり1分子中に2個以上
のエポキシ基を有するものであればどのようなものでも
よく、例えばグリシジルエーテル型、グリシジルエステ
ル型、グリシジルアミン型、混合型、及び脂環式型等の
エポキシ樹脂をあげることができる。
【0053】具体的には、グリシジルエーテル型(フェ
ノール系)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ
樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、フェ
ノールノボラック型エポキシ樹脂、o-クレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂等が;グリシジルエーテル型(アル
コール系)としては、ポリプロピレングリコール型エポ
キシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が;
グリシジルエステル型としては、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂等が;
グリシジルアミン型としては、ジアミノジフェニルメタ
ン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、ヒ
ダントイン型エポキシ樹脂等が;混合型としては、p-ア
ミノフェノール型エポキシ樹脂、p-オキシ安息香酸型エ
ポキシ樹脂等があげられる。上記エポキシ樹脂のうち、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキ
シ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノール
ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。上記エポキシ樹
脂を2種類以上組み合わせたものも用いることができ
る。
【0054】本発明の熱硬化性接着剤において、変性フ
ェノール樹脂とエポキシ樹脂との混合割合は、該変性フ
ェノール樹脂中の水酸基の数(N(OH))と該エポキ
シ樹脂中のエポキシ基の数(N(EPX))の比N(O
H)/N(EPX)が0.1〜1.5となるように混合
する。好ましくは、この比が0.2〜1.3であり、更
に好ましくは、0.5〜1.2である。この比が0.1
未満の場合は、変性フェノール樹脂の改質効果を発揮す
ることができず好ましくない。また、この比が1.5を
越える場合は、接着剤の硬化が不十分となり接着剤とし
て十分な性能を発現することができず好ましくない。
【0055】本発明における変性フェノール樹脂はエポ
キシ樹脂との反応性が良好であり、エポキシ樹脂の硬化
剤として十分に作用するが、硬化剤及び/又は必要に応
じて硬化促進剤を適宜使用してもよい。硬化剤は、公知
のエポキシ樹脂用の硬化剤として用いられるものであれ
ばよいが、例えば環状アミン系硬化剤、脂肪族アミン系
硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、ポリアミド系硬化剤、
酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素
アミン錯塩を用いるのが好ましい。
【0056】具体的には、例えば環状アミン系硬化剤と
しては、ヘキサメチレンテトラミンなど;脂肪族アミン
系硬化剤としては、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルア
ミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、イ
ソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシク
ロヘキシル)メタン、メタンジアミン等をあげることが
できる。
【0057】芳香族アミン系硬化剤としては、m−フェ
ニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−キシ
リレンジアミン等;ポリアミド系硬化剤としては、植物
油脂肪酸(ダイマー又はトリマー酸)、脂肪族ポリアミ
ン縮合物等をあげることができる。
【0058】また、酸無水物系硬化剤としては、無水フ
タル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、
ベンゾフェノン無水テトラカルボン酸、メチルエンドメ
チレンテトラヒドロ無水フタル酸等をあげることができ
る。
【0059】これら硬化剤の配合量は、上記エポキシ樹
脂100重量部に対して、0.1〜50重量部である。
好ましくは、0.2〜45重量部であり、更に好ましく
は、0.5〜40重量部を用いることが望ましい。硬化
剤の配合量が0.1未満の場合は、接着剤の硬化が十分
に得られない場合があり、その場合接着剤としての十分
な性能を発現できず好ましくない。配合量が50重量部
を越えると、接着剤の硬化が進みすぎるとともに、余剰
硬化剤により接着性及びハンダ耐熱性が悪化し好ましく
ない。これら硬化剤は、単独で用いても、2種以上を組
み合わせてもよい。
【0060】本発明に用いる硬化促進剤としては、硬化
反応を促進するものならば特に限定されず、1,8−ジ
アザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザ
ビシクロアルケン及びその誘導体、トリエチレンジアミ
ン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、
ジメチルアミノメタノール、トリス(ジメチルアミノメ
チル)フェノール等の第三級アミン類、2−メチルイミ
ダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−
フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミ
ダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾ
ール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホス
フィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン
類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレ
ート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレー
ト、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェ
ニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニル
ボレート等のテトラフェニルボロン塩、三フッ化ホウ素
−アミン錯体等のルイス酸、ジシアンジアミド、アジピ
ン酸ジヒドラジド等のルイス塩基、その他ポリメルカプ
タン、ポリサルファイド等をあげることができる。
【0061】これら硬化促進剤の配合量は、上記エポキ
シ樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部であ
る。好ましくは、0.2〜45重量部であり、更に好ま
しくは、0.5〜40重量部で配合することが望まし
い。硬化促進剤の配合量が0.1重量部未満の場合は、
接着剤の硬化が十分に得られない場合があり、その場合
接着性など接着剤としての十分な性能を発現できず好ま
しくない。配合量が50重量部を越えると、接着剤の硬
化速度が速すぎポットライフが低下するとともに、余剰
の硬化促進剤により接着性及びハンダ耐熱性が悪化し好
ましくない。これら硬化促進剤は、単独で用いても、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】また、硬化剤と硬化促進剤とを併用する場
合の配合量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対し
て、硬化剤及び硬化促進剤を合わせて0.1〜50重量
部で混合する。
【0063】本発明の熱硬化性接着剤には、必要に応じ
て、接着剤の分野で公知の種々の添加剤を添加すること
ができる。このような添加剤としては、例えば各種キレ
ート剤;ニトリルゴム等のゴム成分;水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、酸化アルミ
ニウム等の金属酸化物等の無機フィラー;酸化防止剤;
紫外線吸収剤;シランカップリング剤などをあげること
ができる。
【0064】このような成分を含む本発明の接着剤は、
被接着物の接着に際して、前記の変性フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、硬化剤及び/又は硬化促進剤と、有機溶
剤とから成る接着剤溶液の形態で使用される。また、こ
の接着剤溶液には、上記添加剤が任意に添加・混合され
る。
【0065】接着剤溶液を調製するに際して、有機溶剤
と、変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤又は/
硬化促進剤及び添加剤等の混合順序は特に限定されず、
接着操作の手順等に合わせて適宜選択すればよい。好ま
しくは、接着剤溶液は、予め、前記変性フェノール樹脂
の溶液と、エポキシ樹脂の溶液とを調製しておき、使用
に際して両者を混合して調製される。また、予め前記変
性フェノール樹脂の溶液を調製しておき、使用に際して
粉状のエポキシ樹脂を加えて接着剤溶液としても良い。
或いは逆に、予めエポキシ樹脂の溶液を調製しておき、
使用に際して粉状の前記変性フェノール樹脂を加えて接
着剤溶液としても良い。これら成分の添加・混合に際し
ては、例えばポットミル、ボールミル、ホモジナイザー
等、接着剤分野で公知の添加・混合手段を用いて調製す
ることができる。
【0066】接着剤溶液の調製に使用される樹脂溶液
は、例えば、常温ないし加温下で10〜70重量%溶液
となるような割合で、有機溶剤に前記フェノール樹脂及
び/又はエポキシ樹脂を加え、10分〜1時間程度攪拌
した後、必要により濾過等による不溶成分の除去、濃縮
又は希釈等を行って製造することができる。
【0067】本発明に係る接着剤では、硬化剤及び/又
は硬化促進剤、及び添加剤の添加は任意の時期に行うこ
とができる。例えば、添加剤は、上述の変性フェノール
樹脂の溶液又はエポキシ樹脂の溶液に予め添加されてい
てもよい。また、添加剤或いは別途調製した添加剤等の
溶液を、使用に際して混合してもよい。また、硬化剤及
び/又は硬化促進剤は、使用に際して、粉状又は溶液と
して混合されることが通常である。
【0068】本発明の接着剤に用いられる溶剤として
は、使用する樹脂成分、前記変性フェノール樹脂及びエ
ポキシ樹脂の両方を所望の濃度及び配合比で溶解可能で
あれば特に制限されず、単一溶媒であっても、混合溶媒
であってもよい。このような溶媒としては、例えば、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジ
メチルホルムアミド等のアミド類;クロルベンゼン等の
ハロゲン化芳香族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジ
オキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール等の
アルコール類;エチルセロソルブなどのグリコール類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;クロロホ
ルム、塩化メチレン及びパークレン、或いはこれらの混
合物等をあげることができる。これらの溶媒のうち、芳
香族炭化水素類、アミド類、ケトン類、及びアルコール
類が好ましく、これらは単独で用いても、2種以上を混
合して用いてもよい。
【0069】本発明で使用可能な電気絶縁性フィルムと
しては、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレ
ート(以後PETと略)フィルム、ポリエステルフィル
ム、ポリパラバン酸フィルム、ポリエーテルエーテルケ
トンフィルム、ポリフェニレンスルファイドフィルム、
アラミドフィルム等が例示され、中でも耐熱性、寸法安
定性、機械特性等からポリイミドフィルムが好ましい。
フィルムの厚さは通常12.5〜75μmの範囲である
が、必要に応じて適宜の厚さのものを使用すればよい。
また、これらのフィルムの片面もしくは両面に、低温プ
ラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等の
表面処理を施しても良い。
【0070】本発明で使用可能な金属箔としては、電解
銅箔、圧延銅箔、アルミニウム箔、タングステン箔、鉄
箔等が例示され、一般には、加工性、屈曲性、電気伝導
率等から電解銅箔及び圧延銅箔が用いられる。金属箔の
厚さは一般的に18〜70μmであるが、使用状況等に
より適宜決められる。
【0071】本発明で使用可能な離型材としては、ポリ
エチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、TPXフ
ィルム、PEフィルム、シリコーン離型材付きポリエチ
レンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びPEフィル
ム、ポリエチレン樹脂コート紙、ポリプロピレン樹脂コ
ート紙及びTPX樹脂コート紙等があげられ、離型材の
厚さは、フィルムベースのもので13〜75μm、紙ベ
ースのもので50〜200μmが好ましいが、必要に応
じて適宜の厚さのものが使用される。
【0072】本発明のフレキシブルプリント配線板材料
の製造方法について述べる。本発明のフレキシブルプリ
ント配線用基板の製造方法は、予め調製された前記の接
着剤溶液をリバースロールコーター、コンマコーター等
を用いて前記電気絶縁性フィルムに塗布する。これをイ
ンラインドライヤー等を用いて40〜160℃で2〜2
0分間加熱処理し接着剤中の溶剤を除去して接着剤を半
硬化状態とする。この接着剤付きフィルムの接着剤塗布
面と金属箔を加熱ロールにより、線圧0.2〜20kg
/cm、温度40〜200℃で圧着させる。接着剤の塗
布厚は、一般的に乾燥状態で10〜20μmあればよ
い。なお得られた積層フィルムの接着剤を更に硬化させ
るために加熱処理してもよい。その加熱温度は、30〜
200℃、加熱時間は1〜600分程度が好ましい。
【0073】本発明のカバーレイフィルムの製造方法
は、予め調製された前記接着剤溶液をリバースロールコ
ーター、コンマコーター等を用いて前記電気絶縁性フィ
ルムに塗布する。これをインラインドライヤー等を用い
て40〜160℃で2〜20分間加熱処理し接着剤中の
溶剤を除去して接着剤を半硬化状態とする。この接着剤
付きフィルムの接着剤塗布面と離型材とを加熱ロールに
より、線圧0.2〜20kg/cm、温度20〜160
℃で圧着させる。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で
15〜50μmあればよい。得られた積層フィルムの接
着剤をさらに硬化させるために加熱処理してもよい。そ
の加熱温度としては20〜160℃、加熱時間は1〜6
00分程度が好ましい。
【0074】本発明のボンディングシートの製造方法
は、予め調製された前期接着剤溶液を、リバースロール
コーター、コンマコーター等を用いて離型材に塗布す
る。これをインラインドライヤー等を用いて40〜16
0℃で2〜20分間加熱処理し接着剤中の溶剤を除去し
て接着剤を半硬化状態とする。この接着剤付き離型材の
接着剤塗布面と離型材とを加熱ロールにより、線圧0.
2〜20kg/cm、温度20〜160℃で圧着させ
る。接着剤の塗布厚は、一般に乾燥状態で15〜50μ
mであればよい。なお得られた積層フィルムの接着剤を
さらに硬化させるために加熱処理してもよい。その加熱
温度は20〜160℃、加熱時間は1〜600分程度が
好ましい。
【0075】
【実施例】次に本発明の実施例について説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。また、以下に
述べる実施例において測定された水酸基当量、150℃
での溶融粘度(以下150℃粘度と略)、数平均分子
量、軟化点、剥離強度、長期加熱後の剥離強度、長期吸
湿後の剥離強度、ハンダ耐熱性、難燃性はそれぞれ次の
ようにして測定した。 <水酸基当量>塩化アセチル法により測定した。 <150℃粘度>ICI社製、ICIコーンプレート粘
度計を用いて測定した。 <数平均分子量>測定装置;東ソー(株)製GPC装置
HLC−8020(カラム;TSKゲル3000HX
L+TSKゲル2500HXL×3)を用いて測定した
樹脂のGPCデータから、ポリスチレンを標準物質とし
て樹脂の分子量を換算し、数平均分子量を求めた。 <軟化点>メイテック社製、ASP−MGK−2型環球
式自動試験器により測定した。 <剥離強度>JIS・C・6471に準拠して測定し
た。サンプルに1mm幅の銅回路を常法により作成し、
この回路を90°方向に50mm/minの速度で銅箔
側から引き剥がしその強度を測定した。 <長期加熱後の剥離強度>剥離強度測定用サンプルを1
50℃で240時間加熱処理した後、常法により剥離強
度を測定した。 <長期吸湿後の剥離強度>剥離強度測定用のサンプルを
温度85℃、湿度85%(R/H)の状態で1000時
間処理した後、常法により剥離強度を測定した。 <ハンダ耐熱性>JIS・C・6471に準拠して測定
した。温度20℃、湿度60%(R/H)で24時間処
理したサンプルを25mm角にカットし、これをハンダ
浴上に30秒浮かべた後、サンプルの膨れ、剥がれの有
無等外観を目視により評価した。 <難燃性>UL94規格に準拠して測定した。
【0076】(製造例1) 変性フェノール樹脂の製造
例 減圧軽油の流動接触分解(FCC)工程で得られた留出
油で表1に示す性状を持つ原料油A100gとフェノー
ル108g、パラホルムアルデヒド19.7g及びシュ
ウ酸1.3gを2リットルのガラス製反応容器に仕込
み、250〜350rpmの速度で攪拌しながら20分
間かけて100℃まで昇温し、さらに同温度で100分
間保持して反応を続け、反応生成物を得た。この反応生
成物を静置して95℃まで温度を低下させ、上層に分離
した未反応原料油をデカンテーションにより除去し粗変
性フェノール樹脂を得た。次に、この粗変性フェノール
樹脂をフェノールの留出がなくなるまで減圧蒸留した
後、さらに温度を190℃に上昇させてシュウ酸を熱分
解除去するとともに、窒素を吹き込むことにより完全に
未反応フェノールを除去した。
【0077】得られた樹脂にヘビーナフサ100mlを
加え、100℃で30分間還流攪拌し、樹脂中に残存す
る未反応油を抽出した後、デカンテーションにより未反
応油を含むヘビーナフサを除去した。上記のヘビーナフ
サを用いた一連の未反応油除去操作を同条件でさらに3
回行った。その後、窒素雰囲気下で160℃まで昇温
し、同温度で1時間保持して残存ヘビーナフサを除去
し、80gの変性フェノール樹脂を得た。得られた変性
フェノール樹脂の水酸基当量、150℃粘度、数平均分
子量、軟化点を測定し、これらの結果を反応条件ととも
に表2に示した。
【0078】
【表1】
【0079】(製造例2) 変性フェノール樹脂の製造
例 減圧軽油の流動接触分解(FCC)工程で得られ表1に
示す性状を持つ原料油B100gとフェノール101
g、パラホルムアルデヒド17.4g及びシュウ酸1.
2gを用いた以外は製造例1と同様な操作を行い、82
gの変性フェノール樹脂を得た。得られた変性フェノー
ル樹脂の水酸基当量、150℃粘度、数平均分子量、軟
化点を測定し、その結果を反応条件とともに表2に示し
た。
【0080】(製造例3) 変性フェノール樹脂の製造
例 原料油B100gとフェノール83g、パラホルムアル
デヒド10.2g及びシュウ酸0.6gを用いた以外は
製造例1と同様な操作を行い、48gの変性フェノール
樹脂を得た。得られた変性フェノール樹脂の水酸基当
量、150℃粘度、数平均分子量、軟化点を測定し、そ
の結果を反応条件とともに表2に示した。
【0081】
【表2】
【0082】
【実施例1】 フレキシブルプリント配線用基板の製作 接着剤組成として、表3の実施例1に示す組成を用い、
これをメチルエチルケトン(以後、MEKと略す)とと
もに撹拌・混合し、完全に溶解させて接着剤溶液(固形
分濃度として30重量%)を得た。次に、この接着剤溶
液を厚さ25μmのカプトンフィルム(東レ・デュポン
社製、ポリイミドフィルムの商品名)上に、乾燥後の厚
さが18μmとなるようにロールコーターにて塗布し、
120℃、10分間の加熱乾燥条件で溶剤を除去し、接
着剤を半硬化状態とした。この半硬化状態の接着剤付き
のカプトンフィルムの接着剤塗布面に厚さ35μmの電
解銅箔(ジャパンエナジー社製)の処理面を温度100
℃、線圧2kg/cmの条件で圧着した。このものを温
度80℃で1時間加熱処理した後、さらに温度150℃
で2時間加熱処理を行い、接着剤を硬化させてフレキシ
ブルプリント配線用基板を製作した。
【0083】このようにして得られたフレキシブルプリ
ント配線用基板を評価用のサンプルとして剥離強度、長
期加熱後の剥離強度、長期吸湿後の剥離強度、ハンダ耐
熱性、難燃性を評価した。結果を表3に組成とともに示
す。
【0084】(比較例1)接着剤として表3の比較例1
に示す組成を用いた以外は実施例1と同様にフレキシブ
ルプリント配線用基板を制作した。その評価結果を表3
に示す。
【0085】
【表3】
【0086】
【実施例2】 カバーレイフィルムの作成 接着剤として表3の実施例2欄に示す組成を用い、これ
をMEKとともに攪拌・混合し、完全に溶解させて接着
剤溶液(固形分濃度として30重量%)を得た。次に、
この接着剤溶液を厚さ25μmのカプトンフィルム(東
レ・デュポン社製、ポリイミドフィルムの商品名)上
に、乾燥後の厚さが30μmとなるようにロールコータ
ーで塗布し、温度100℃で10分間の加熱乾燥条件で
溶剤を除去し、接着剤を半硬化状態とした。この半硬化
状態の接着剤付きカプトンフィルムの接着剤塗布面にシ
リコーン樹脂処理を行ったポリエチレンコート紙(厚さ
130μm)を温度60℃、線圧2kg/cmの条件で
圧着してカバーレイフィルムを作成した。
【0087】このようにして作成したカバーレイフィル
ムについて、離型材を剥がし、接着剤塗布面と厚さ35
μmの銅箔の光沢面とを温度160℃、50kg/cm
2の条件で30分間加熱圧着したものを評価用サンプル
として用い、長期加熱後の剥離強度、長期吸湿後の剥離
強度、ハンダ耐熱性、難燃性を評価した。結果を、表3
に組成とともに示した。
【0088】(比較例2)接着剤として表3の比較例2
に示す組成を用いた以外は実施例2と同様にカバーレイ
フィルムを作成した。評価の結果を、組成とともに表3
に示す。
【0089】
【実施例3】 ボンディングシートの作成 接着剤として表3の実施例3に示す組成を用い、これを
MEKとともに攪拌・混合し、完全に溶解させて接着剤
溶液(固形分濃度として30重量%)を得た。次に、こ
の接着剤をシリコーン処理を行ったPETフィルム(厚
さ25μm)上に、乾燥後の厚さが50μmとなるよう
にロールコーターで塗布し、温度100℃、100分の
加熱乾燥条件で溶剤を除去し、接着剤を半硬化状態とし
た。この半硬化状態の接着剤付きPETフィルムの接着
剤塗布面にシリコーン樹脂処理を行ったポリエチレンコ
ート紙(厚さ130μm)を温度60℃、線圧2kg/
cmの条件で圧着してボンディングシートを作成した。
このようにして作成したボンディングシートについて、
片面の離型材を剥がし、厚さ35μmの銅箔の光沢面に
該ボンディングシートの接着剤塗布面を仮止めした。次
に、もう片面の離型材を剥がし、この接着剤塗布面に厚
さ25μmのカプトンフィルムをのせカプトンフィルム
/ボンディングシート(離型材除去品)/銅箔の光沢面
という構成で、温度160℃、50kg/cm2の条件
で30分間加熱圧着したものを評価用サンプルとして用
い、長期加熱後の剥離強度、長期吸湿後の剥離強度、ハ
ンダ耐熱性、難燃性を評価した。結果を組成とともに表
3に示した。
【0090】(比較例3)接着剤として表3の比較例3
に示す組成を用いた以外は実施例3と同様にボンディン
グシートを作成した。評価結果を組成とともに表3に示
す。
【0091】
【発明の効果】本発明により、難燃性に優れ、耐熱性を
長時間維持することができ、高温、高湿で長時間保持し
ても剥離強度の劣化が抑制され、接着剤の劣化が改善さ
れた熱硬化性接着剤を提供することが可能となり、フレ
キシブルプリント配線板材料の信頼性がより高くなっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/03 670 H05K 1/03 670Z Fターム(参考) 4J033 CA02 CA11 CA12 CA13 CA18 CA19 CA22 CA42 CB01 CC03 CC08 HA02 HB03 4J036 AA01 AB15 AB16 AD07 AD08 AF06 AH07 DB15 DB21 DB22 DC05 DC06 DC09 DC10 DC12 DC39 DC41 DC46 DD02 DD04 DD07 FA02 FB05 FB08 GA06 GA20 JA06 4J040 EB071 EB072 EC031 EC032 EC041 EC042 EC061 EC062 EC071 EC072 EC081 EC082 EC111 EC112 EC121 EC122 EC131 EC132 EC161 EC162 HB03 HB04 HB08 HB10 HB14 HB19 HB30 HC10 JA13 JB02 KA23 LA07 LA08 MA02 MA10 MB03 NA20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)重質油またはピッチ類と、平均
    分子量から算出した前記重質油またはピッチ類1モルに
    対して、50モル以下のフェノール類、ホルムアルデヒ
    ド換算で0.2〜40モルのホルムアルデヒド化合物、
    および0.01〜3.0モルの酸触媒の混合物を加熱攪
    拌して、前記重質油またはピッチ類、フェノール類およ
    びホルムアルデヒド化合物を重縮合させて得られた変性
    フェノール樹脂、(B)エポキシ樹脂を含むことを特徴
    とする熱硬化性接着剤。
  2. 【請求項2】 前記重質油またはピッチ類が、石油系
    重質油またはピッチ類であることを特徴とする請求項1
    に記載の熱硬化性接着剤。
  3. 【請求項3】 前記重質油またはピッチ類が、石油精
    製過程の接触分解工程、熱分解工程または接触改質工程
    で得られ、沸点の下限値(留出開始温度)が170℃以
    上であり、芳香族炭化水素分率fa値が0.40〜0.
    95であり、且つ芳香環水素量Ha値が20〜80%で
    ある留出油または残渣油であることを特徴とする請求項
    1〜2のいずれかに記載の熱硬化性接着剤。
  4. 【請求項4】 前記変性フェノール樹脂及びエポキシ
    樹脂を、該変性フェノール樹脂中の水酸基の数(N(O
    H))及び該エポキシ樹脂中のエポキシ基の数(N(E
    PX))の比N(OH)/N(EPX)が0.1〜1.
    5となるように混合することを特徴とする請求項1に記
    載の熱硬化性接着剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の接着
    剤を用いたフレキシブルプリント配線用基板。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の接着
    剤を用いたカバーレイフィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の接着
    剤を用いたボンディングシート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009001850A1 (ja) * 2007-06-25 2008-12-31 Mitsui Mining & Smelting Co., Ltd. 樹脂組成物及びその樹脂組成物を用いて得られる樹脂付銅箔

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