JP2001179968A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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JP2001179968A
JP2001179968A JP36551799A JP36551799A JP2001179968A JP 2001179968 A JP2001179968 A JP 2001179968A JP 36551799 A JP36551799 A JP 36551799A JP 36551799 A JP36551799 A JP 36551799A JP 2001179968 A JP2001179968 A JP 2001179968A
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JP
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ink
alumina
sintered body
jet recording
recording head
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JP36551799A
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English (en)
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Toshikazu Kishino
敏和 岸野
Kenji Tanda
健二 反田
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】インク加圧室の一部がアルミナ質焼結体からな
るインクジェット記録ヘッドにおいて、強アルカリ性の
インクに曝されてもガラス成分の溶出がなく、インク粘
度を上昇させたり、インク中の顔料を凝集させることの
ないインクジェット記録ヘッドを提供する。 【解決手段】インク加圧室32の一部を形成するアルミ
ナ質焼結体を、Al23の含有量が96〜99.8重量
%で、焼結助剤として含有するSiO2、CaO、及び
MgOの合計含有量を100とした時の重量比率が、S
iO2:55.0〜70.0、CaO:0.05〜5.
5、MgO:25.5〜40.0であって、実質的にア
ルミナ結晶とスピネル結晶のみからなる焼結体により形
成してインクジェット記録ヘッド20を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細なインク吐出
孔からインク滴を噴射して文字や画像等を形成する各種
プリンタや記録計、あるいは捺染分野や窯業分野で文様
等を形成する印刷機等の記録装置に搭載されるインクジ
ェット記録ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピューターの普及
やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出
力する記録装置として、インクジェット方式の記録装置
の利用が急速に拡大している。
【0003】インクジェット方式の記録装置に搭載され
るインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドと称す)と
しては、インクが充填される加圧室内にヒータを設け、
このヒータによりインクを加熱、沸騰させ、加圧室内に
生ずる気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔より
インク滴を吐出するサーマルジェット方式と、インクが
充填される加圧室を形成する壁を圧電素子によって屈曲
変位させ、機械的に加圧室内のインクを加圧し、インク
吐出孔よりインク滴を吐出する圧電方式が一般的に知ら
れている。
【0004】例えば、圧電方式のインクジェット記録ヘ
ッドの一例を図5に示すように、このインクジェット記
録ヘッド40(以下、単にヘッドと言う)は、絶縁性セ
ラミック基板21上に、圧電セラミックスからなる二つ
の壁部材23,24を接合して形成した複数の隔壁22
を並設し、これら隔壁22間をインクの流路25とする
とともに、各流路25の底部中央にインク吐出孔26を
備えた流路部材27と、流路部材27の上部を防ぐべ
く、各隔壁22の頂部に接合されたインク供給孔30を
有する天板29と、上記流路部材27の開放端側に接合
された封止板31とからなり、絶縁性セラミック基板2
1、隔壁22、天板29,及び封止板31とで構成され
る空間をインク加圧室32とするとともに、各隔壁22
の側面全体には、その長手方向に沿って駆動用電極28
がそれぞれ形成されている。
【0005】壁部材23,24を形成する圧電セラミッ
クスには、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電セ
ラミックスが用いられ、また、絶縁性セラミック基板2
1には、Al23を主成分とし、焼結助剤としてSiO
2、CaO、及びMgOの三成分を含有したアルミナ質
焼結体が用いられていた。
【0006】なお、流路部材27の他方端は閉じられた
構造となっており、閉塞部表面に形成された各駆動用電
極28の引出線33と、絶縁性セラミック基板21に形
成された配線28とは、リード線等を介して電気的に接
続されるようになっていた。なお、図中矢印は隔壁22
を形成する圧電セラミックスからなる壁部材23,24
の分極方向を示す。
【0007】そして、このヘッド40を用いて記録媒体
に印刷するには、隔壁22の両側面に形成された駆動用
電極28間に通電すると、圧電セラミックスの剪断モー
ド変形により上下が拘束された隔壁22が「く」字状に
屈曲変位するため、インク加圧室32内のインクを加圧
し、インク吐出孔26よりインク滴として吐出するよう
になっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、問題
視されている環境問題等に配慮するため、インクジェッ
ト記録ヘッド40用のインクとして非溶媒系の需要が高
まっているが、非溶媒系のインクは顔料の分散性が悪い
ため、インクのPHを強アルカリ性にして顔料の分散性
を改善したものが用いられている。
【0009】ところが、図5に示すヘッド40のよう
に、インク加圧室32の一部にアルミナ質焼結体を用い
たものでは、前述した強アルカリ性のインクに長時間曝
されると、アルミナ質焼結体中のガラス成分が溶出し、
インクの成分と反応して水酸化物を形成し、インク中に
析出するためにインクの粘度が高くなるとともに、イン
ク中の顔料が凝集して粗な部分と密な部分ができるた
め、インク滴の大きさが安定せず、ドットのばらつきが
発生することから、印刷画像に悪影響を及ぼすといった
課題があった。
【0010】また、図5に示すヘッド40のように、ア
ルミナ質焼結体からなる絶縁性セラミック基板21にイ
ンク吐出孔26を穿孔する場合、通常、レーザー加工が
用いられるのであるが、レーザー加工にてアルミナ質焼
結体にインク吐出孔26を形成すると、その周辺にバリ
のように盛り上がったガラス成分からなるヒュームが形
成され、このヒュームが強アルカリ性のインクに曝され
て腐食するとインク中に脱落し、微細なインク吐出孔2
6を目詰まりさせ、インク滴の吐出を妨げるといった課
題もあった。
【0011】また、このような課題はインク加圧室32
内に保護膜が形成されている場合においても同様に発生
していた。即ち、ミクロンオーダーの寸法を有するイン
ク加圧室32内に完全な保護膜を被着することは難し
く、小さなピンホールが存在するため、このピンホール
から侵入したインクがアルミナ質焼結体と接すると、前
述したようにガラス成分が溶出し、インク粘度の上昇及
び顔料の凝集を防ぐことができなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、上記
課題に鑑み、少なくともインク加圧室の一部を、Al 2
3含有率が96〜99.8%であるアルミナ質焼結体
により形成したことを特徴とする。
【0013】また、本発明は、上記アルミナ質焼結体と
して、Al23以外に、SiO2、CaO、及びMgO
の三成分を含有するとともに、該三成分の合計含有量を
100とした時の重量比率が、SiO2:55.0〜7
0.0、CaO:0.05〜5.5、MgO:25.5
〜40.0であって、実質的にアルミナ結晶とスピネル
結晶のみからなる焼結体を用いたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0015】図1は本発明に係るインクジェット記録ヘ
ッドの一例を示す一部を破断した斜視図である。
【0016】このインクジェット記録ヘッド20は、A
23含有率が96〜99.8%であるアルミナ質焼結
体からなる絶縁性セラミック基板1上に、圧電セラミッ
クスからなる二つの壁部材3,4を接合して形成した複
数の隔壁2を並設し、これら隔壁2間をインクの流路5
とするとともに、各流路5の底部中央にインク吐出孔6
を備えた流路部材7と、流路部材7の上部を防ぐべく、
各隔壁2の頂部に接合されたインク供給孔10を有する
天板9と、上記流路部材7の開放端側に接合された封止
板11とからなり、絶縁性セラミック基板1、隔壁2、
天板9,及び封止板11とで構成される空間をインク加
圧室12とするとともに、各隔壁2の側面全体には、そ
の長手方向に沿って駆動用電極8をそれぞれ形成してあ
る。
【0017】また、流路部材7の開放端側と反対側は閉
じられた構造となっており、その閉塞部表面に形成した
駆動用電極8の引出線13は、絶縁性セラミック基板1
に形成した配線14とリード線等を介して電気的に接続
してある。なお、図中矢印は隔壁2をなす圧電セラミッ
クスからなる壁部材3,4の分極方向を示す。
【0018】そして、このインクジェット記録ヘッド2
0を用いて記録媒体に印刷するには、不図示のインクタ
ンクから強アルカリ性のインクをインク供給穴10を介
して各インク加圧室12内に供給した状態で、外部の駆
動用回路から配線14及び引出線13を経て隔壁2の両
側面に形成した駆動用電極8間に通電すると、圧電セラ
ミックスの剪断モードによって上下が拘束された隔壁2
が「く」字状に屈曲変位するため、この時生じるインク
加圧室12の体積変化によってインク加圧室12内のイ
ンクを加圧し、インク吐出孔6よりインク滴として記録
媒体に吐出して所定の画像を形成するようになってい
る。
【0019】そして、本発明によれば、インク加圧室1
2の底部をなす絶縁性セラミック基板1を、Al23
有率が96〜99.8%であるアルミナ質焼結体により
形成し、焼結助剤として含有されているSiO2、Ca
O、MgO等のガラス成分量を少なくしてあることか
ら、強アルカリ性のインクに曝され、上記ガラス成分が
溶出してインクと反応し、水酸化物を生成したとして
も、その析出量は少量であるため、インクの粘度上昇を
抑えることができるとともに、インク中の顔料が凝集す
る割合も低減することができる。
【0020】その為、インク吐出孔6から吐出されるイ
ンク滴の大きさが安定し、ドットばらつきを防ぐことが
できるため、高精度で高画質の画像を印刷することがで
きる。
【0021】また、図1に示すインクジェット記録ヘッ
ド20のように、前述したアルミナ質焼結体からなる絶
縁性セラミック基板1に、レーザー加工にてインク吐出
孔6を穿設しても、アルミナ質焼結体中のガラス成分の
割合が少ないため、インク吐出孔6の周辺に形成される
ガラス成分からなるヒュームの高さを小さくすることが
でき、強アルカリ性のインクによって腐食を受けて脱落
しても、ヒュームの大きさが微小であるため、インク吐
出孔6の目詰まりを防ぐことができる。
【0022】特に、アルミナ質焼結体の結晶構造が実質
的にアルミナ結晶とスピネル結晶のみからなるものを用
いれば、両結晶はいずれも耐アルカリ性に優れるため、
インクによるアルミナ質焼結体の腐食をより一層抑える
ことができ、ガラス成分の溶出を防ぎ、インク粘度の上
昇や顔料の凝集、さらにはレーザー加工時のヒュームの
形成を効果的に防ぐことができる。
【0023】しかも、図1に示すヘッド10のように、
絶縁性セラミック基板1上に配線14等を形成する場
合、絶縁性セラミック基板1を、実質的にアルミナ結晶
とスピネル結晶のみからなるアルミナ質焼結体で形成す
ることにより、回路基板用として良好な電気特性が得ら
れることから、外部の駆動回路から駆動用電極8への指
令信号に悪影響を与えることがない。
【0024】即ち、焼結助剤として、SiO2、Ca
O、MgO等のガラス成分を含んだアルミナ質焼結体
は、その結晶構造としてアルミナ結晶以外に、スピネル
(MgO・Al23)結晶、コージライト(2MgO・2
Al23・5SiO2)結晶、ムライト(3Al23
2SiO2)結晶、サフィリン(4MgO・5Al23
2SiO2)結晶、アノーサイト(CaO・Al23
2SiO2)結晶を含むのであるが、コージライト(2
MgO・2Al23・5SiO2)結晶、ムライト(3A
23・2SiO2)結晶、サフィリン(4MgO・5A
23・2SiO2)結晶、アノーサイト(CaO・A
23・2SiO2)結晶等は、アルミナ結晶やスピネ
ル結晶と比べ、強アルカリ性のインクに対する耐食性が
低く、また電気的特性(誘電率や誘電損失)も異なるた
め、回路用基板としての電気的特性が損なわれるため、
実質的にアルミナ結晶とスピネル結晶のみからなるアル
ミナ質焼結体にて形成することが好ましい。
【0025】ところで、このような効果を奏するために
は、アルミナ質焼結体のAl23の含有量を96〜9
9.8重量%とすることが重要である。
【0026】即ち、Al23含有量が96重量%未満で
あると、粒界のガラス成分であるSiO2、CaO、M
gO等の含有量が多くなりすぎ、インクに対する耐食性
が大幅に低下するからであり、逆に、Al23含有量が
99.8重量%を超えると、焼結助剤の含有量が少なく
なり過ぎるため、焼成温度が非常に高くなり、緻密化す
ることが難しく、インクジェット記録ヘッド用の基材と
して適さないからである。
【0027】また、アルミナ質焼結体の結晶構造が実質
的にアルミナ結晶とスピネル結晶のみから構成されるよ
うにするには、焼結助剤として含有するSiO2、Ca
O、及びMgOの合計含有量を100とした時の重量比
率を、SiO2:55.0〜70.0、CaO:0.0
5〜5.5、MgO:25.5〜40.0とすることが
重要である。
【0028】即ち、SiO2はアルミナ粒子同士を結合
させて粒界相を形成するのに重要な成分であり、その重
量比率が55.0より少なくなると、緻密化することが
難しくなり、逆に70.0を超えると、ムライト結晶が
晶出し、電気的特性及びインクに対する耐食性が低下す
るからである。また、CaOは焼成温度を下げるために
必要な成分であるが、その重量比率が0.05より少な
くなると、焼成温度を下げる効果が薄れ、焼結が難しく
なり、逆に重量比率が5.5を超えると、焼成時にコー
ジライト結晶やサフィリン結晶あるいはアノーサイト結
晶等の異常結晶が晶出し、電気的特性及びインクに対す
る耐食性が低下するからである。さらに、MgOはアル
ミナ粒子の粒成長を抑制するために必要な成分である
が、その重量比率が25.5より少なくなると、アルミ
ナ粒子の成長抑制作用が低下し、焼成中の粒成長を起こ
すため、アルミナ質焼結体表面の面粗度が大きくなりす
ぎ、配線14等の形成に不具合をきたすとともに、緻密
化が困難となり、逆に重量比率が40.0%を超える
と、インクに対する耐食性が低下するためである。
【0029】なお、本発明において、実質的にアルミナ
結晶とスピネル結晶のみからなるとは、X線回折におけ
るアルミナ結晶の第一ピーク強度をI0、コージライト
結晶、アノーサイト結晶、ムライト結晶、サフィリン結
晶などの異常結晶の第一ピーク強度をIとした時の強度
比(I/I0 )がI/I0<0.01であることを言
い、例えば図2に示すX線回折結果のように、アルミナ
結晶とスピネル結晶のピークしか見られないような場合
であって、図3や図4に示すX線回折結果のように、ム
ライト結晶、サフィリン結晶などの異常結晶がないもの
を言う。
【0030】次に、本発明のヘッド20の製造方法につ
いて説明する。
【0031】まず、本発明に係るアルミナ質焼結体から
なる絶縁性セラミック基板1を製造するため、純度9
9.7%以上のAl23粉末を96〜99.8重量%に
対し、焼結助剤としてSiO2、CaO、MgOを0.
2〜4重量%の範囲で添加する。
【0032】なお、アルミナ質焼結体の結晶構造が実質
的にアルミナ結晶とスピネル結晶のみからなる構造とす
るには、前記焼結助剤の合計含有量を100とした時の
重量比率が、SiO2:55.0〜70.0、CaO:
0.05〜5.5、MgO:25.5〜40.0となる
ように添加すれば良い。
【0033】そして、添加、混合した原料に対し、溶媒
とバインダーを添加混合してスラリーを作製し、ドクタ
ーブレード法などのテープ成形法によりグリーンシート
を形成する。そして、上記グリーンシートを乾燥させた
後、金型でもって所定の寸法に切り出し、しかる後、脱
脂を行い、次いで酸化雰囲気中、1500〜1650℃
の焼成温度にて焼成することにより、Al23含有率が
96〜99.8重量%であるアルミナ質焼結体、さらに
は、その結晶構造が実質的にアルミナ結晶とスピネル結
晶のみからなり、嵩比重3.7以上で且つ誘電率9〜
9.8、誘電損失係数1×10-4〜1×10-3の電気的
特性を有するアルミナ質焼結体からなる絶縁性セラミッ
ク基板1を製作する。
【0034】なお、グリーンシートを得る手段として
は、テープ成形法だけに限らず、押し出し成形法やプレ
ス成形法など、周知のセラミック成形法を用いても構わ
ない。
【0035】次に、得られた絶縁性セラミック基板1上
に、蒸着法やスパッタリング法などの膜形成手段によ
り、白金、金、パラジウム、ロジウム、ニッケル、アル
ミニウム等の金属膜、または白金−金、パラジウム−
銀、白金−パラジウム等を主体とする合金膜を被着し、
配線14を形成した後、絶縁性セラミック基板1上の所
定位置に、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT系)、マグネ
シウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛、
あるいはこれらの複合物を主成分とした2枚の圧電セラ
ミック基板をエポキシ系等の接着剤にて貼り付けた後、
例えば、ダイシングソー等の研削装置のダイヤモンドブ
レードによって、2枚の圧電セラミック基板に複数の溝
を並設し、各溝をインクの流路5とするとともに、各溝
を仕切る壁を隔壁2とした流路部材7を製作する。ただ
し、2枚の圧電セラミック基板は、予め厚み方向に分極
処理しておき、双方の分極方向が異なるように貼り付け
ておく。
【0036】この後、流路部材7の隔壁2の側面及び閉
塞部表面に、蒸着法やスパッタリング法などの膜形成手
段により、白金、金、パラジウム、ロジウム、ニッケ
ル、アルミニウム等の金属膜、または白金−金、パラジ
ウム−銀、白金−パラジウム等を主体とする合金膜を被
着し、駆動用電極6及び引出線13を形成し、各引出線
13と配線14とをリード線で接続する。
【0037】そして、エキシマレーザー等によって流路
5の底部中央にインク吐出孔7を穿孔するのであるが、
流路5の底部をなす絶縁性セラミック基板1は、Al2
3含有率が96〜99.8重量%であるアルミナ質焼
結体により形成してあるため、レーザー加工時の熱によ
りインク吐出孔7の周辺にヒュームが形成されることを
防止又は形成されるヒュームの高さを小さくすることが
できる。
【0038】しかる後、流路5を塞ぐべく、各隔壁2の
頂部にエポキシ系等の接着剤でもってインク供給穴10
を有する天板9を接着するとともに、流路部材7の開放
端部に、エポキシ系等の接着剤にて封止板11を接着す
ることによって製作できる。
【0039】なお、本実施形態では、インクジェット記
録ヘッド10を構成する絶縁性セラミック基板1に、A
23含有率が96〜99.8重量%であるアルミナ質
焼結体を用いた例を示したが、この他に天板9や封止板
11に用いても良く、少なくともインク加圧室12の一
部にAl23含有率が96〜99.8重量%であるアル
ミナ質焼結体を用いれば、前述した効果を得ることがで
きる。
【0040】さらに、図1では剪断モード型のインクジ
ェット記録ヘッド10を基に説明したが、本発明は図1
に示すインクジェット記録ヘッド10だけに限らず、サ
ーマルジェット型のインクジェット記録ヘッドや圧電素
子にてインク加圧室12の壁を変位させるタイプのイン
クジェット記録ヘッドにも適用できることは言うまでも
ない。
【0041】
【実施例】(実施例1)ここで、インクジェット記録ヘ
ッドのインク加圧室を形成するのに好適なアルミナ質焼
結体について調べる実験を行った。
【0042】本実験では、焼結助剤としてSiO2、C
aO、及びMgOを用い、これら3成分の合計含有量を
100とした時の重量比率がSiO2:CaO:MgO
=64.5:5.0:30.5となるようにし、Al2
3の含有量を90.0〜99.0重量%の範囲で異な
らせたアルミナ質焼結体を製作した。
【0043】そして、得られたアルミナ質焼結体の焼結
状態を確認するため、浸透液に浸漬し、その際、浸透液
に染まらなかったものを好適として○で表し、やや染ま
ったものを良好として△で表し、あざやかに染まったも
のを不適として×で表した。
【0044】また、得られたアルミナ質焼結体の耐食性
を確認するため、PHが12である強アルカリ性のイン
クに25℃で72時間浸漬し、浸漬前後の重量変化を測
定し、その重量減が0.01%未満であったものを好適
として◎で表し、0.01%以上、0.05%未満であ
ったものを良好として○で表し、0.05%以上を不適
として×で表した。
【0045】さらに、得られたアルミナ質焼結体にエキ
シマレーザーにて穴を穿孔し、穴の周辺にできるヒュー
ムの高さを測定し、ヒュームの高さが5μm未満であっ
たものを良好として○で表し、5μm以上であったもの
を不適として×で表した。
【0046】結果は表1にそれぞれ示す通りである。
【0047】
【表1】
【0048】この結果、試料No1,2,3では、Al
23の含有量が少なすぎ、焼結助剤であるガラス成分の
含有量が多くなりすぎるため、インクに対する耐食性が
悪く、また、レーザー加工における穴開け時には、5μ
mを超えるヒュームが発生した。
【0049】また、試料No.10では、Al23の含
有量が99.8重量%より多いため、緻密な焼結体が得
られず、インクジェット記録ヘッドのインク加圧室を形
成する材質としては不向きであった。
【0050】これに対し、試料No.4〜9のアルミナ
質焼結体は、Al23含有量が96〜99.8重量%の
範囲にあるため、緻密な焼結体が得られ、また、インク
に対する耐食性が良好であり、さらにはレーザー加工に
よって穴周辺に形成されるヒュームの高さを5μm未満
に抑えることができ、インクジェット記録ヘッドのイン
ク加圧室を形成する材質として適していることが確認で
きた。
【0051】(実施例2)次に、アルミナ質焼結体中の
Al23含有量を96.73重量%に固定し、焼結助剤
であるSiO2、CaO、及びMgOの重量比率をそれ
ぞれ変えた時、アルミナ質焼結体中における異常結晶の
有無、焼結状態、インクに対する耐食性、電気的特性に
ついて調べる実験を行った。
【0052】本実験において、焼結状態及びインクに対
する耐食性については、実施例1と同様の条件で判断
し、異常結晶の有無については、X線回折により測定
し、アルミナ結晶の第一ピーク強度をI0、コージライ
ト結晶、アノーサイト結晶、ムライト結晶、サフィリン
結晶などの異常結晶の第一ピーク強度をIとした時の強
度比(I/I0 )がI/I0<0.01である場合を異
常結晶無し、I/I0≧0.01である場合を異常結晶
有りとして評価し、さらに電気特性については、誘電率
が9.0〜9.8で且つ誘電損失係数が1×10-4〜1
×10-3の範囲にあるものを好適として○で表し、誘電
率や誘電損失が前記範囲外であるものを△で表して評価
した。
【0053】結果は表2にそれぞれ示す通りである。
【0054】
【表2】
【0055】この結果、焼結助剤の重量比率が、SiO
2:55.0〜70.0、CaO:0.05〜5.5、
MgO:25.5〜40.0の範囲にある試料No.1
3〜17,22〜28のアルミナ質焼結体は、実質的に
アルミナ結晶とスピネル結晶のみからなるため、インク
に対する耐食性が高く、また回路用基板としての電気的
特性も備えており、インクジェット記録ヘッドのインク
加圧室を形成する材質として好適であることが判る。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、少なく
ともインク加圧室の一部がアルミナ質焼結体からなるイ
ンクジェット記録ヘッドにおいて、上記アルミナ質焼結
体のAl23含有率を96〜99.8%としたことによ
って、強アルカリ性のインクに曝されたとしても、アル
ミナ質焼結体中におけるガラス成分の溶出を抑え、イン
クの粘度上昇やインク中の顔料が凝集することを効果的
に防ぐことができる。その為、吐出するインク滴の大き
さを安定させ、ドットばらつきを抑えることができるた
め、高精度、高画質の画像を安定して印刷することがで
きる。
【0057】また、インク加圧室を形成するアルミナ質
焼結体に、レーザー加工にてインク吐出孔やインク供給
穴を穿設する場合、その周辺にガラス成分からなるヒュ
ームが形成されることを抑えることができるため、脱落
したヒィームがインク吐出孔を目詰まりさせることを防
止することができる。
【0058】また、本発明は、上記アルミナ質焼結体と
して、Al23以外に、SiO2、CaO、及びMgO
の三成分を含有するとともに、該三成分の合計含有量を
100とした時の重量比率が、SiO2:55.0〜7
0.0、CaO:0.05〜5.5、MgO:25.5
〜40.0であって、実質的にアルミナ結晶とスピネル
結晶のみからなる焼結体を用いることによって、より一
層インクに対する耐食性を高めることができるととも
に、回路基板用として良好な電気特性が得られるため、
駆動用電極の引出線や配線等を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録ヘッドの一例
を示す一部を破断した斜視図である。
【図2】本発明に係るインクジェット記録ヘッドを形成
するアルミナ質焼結体のX線回折の結果を示すグラフで
ある。
【図3】本発明範囲外であるアルミナ質焼結体のX線回
折結果を示すグラフである。
【図4】本発明範囲外である他のアルミナ焼結体のX線
回折結果を示すグラフである。
【図5】従来のインクジェット記録ヘッドの一例を示す
一部を破断した斜視図である。
【符号の説明】
1,21:絶縁性セラミック基板 2,22:隔壁 3,23:壁部材 4,24:壁部材 5,25:流路 6,26:インク吐出孔 7,27:流路部材 8,28:駆動用電極 9,29:天板 10,30:インク供給孔 11,31:封止板 12,32:インク加圧室 13,33:駆動用電極の引出線 14,34:配線 20,40:インクジェット記録ヘッド

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともインク加圧室の一部を、Al2
    3含有率が96〜99.8%であるアルミナ質焼結体
    により形成したことを特徴とするインクジェット記録ヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】上記アルミナ質焼結体は、Al23以外
    に、SiO2、CaO、及びMgOの三成分を含有する
    とともに、該三成分の合計含有量を100とした時の重
    量比率が、SiO2:55.0〜70.0、CaO:
    0.05〜5.5、MgO:25.5〜40.0であっ
    て、実質的にアルミナ結晶とスピネル結晶のみからなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録
    ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006007718A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Kyocera Corp インクジェット記録ヘッド及びインクジェットプリンタ

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JP2006007718A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Kyocera Corp インクジェット記録ヘッド及びインクジェットプリンタ
JP4583089B2 (ja) * 2004-06-29 2010-11-17 京セラ株式会社 インクジェット記録ヘッド及びインクジェットプリンタ

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