JP2005060213A - 圧電セラミックス及びその製造方法、並びにこれを用いた圧電体素子、インクジェット記録ヘッド及びインクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電歪定数が高く、機械的強度の高い圧電セラミックスを提供する。
【解決手段】焼結体の閉気孔内に炭素を含む気体を含有する圧電セラミックスとする。
【選択図】図1
【解決手段】焼結体の閉気孔内に炭素を含む気体を含有する圧電セラミックスとする。
【選択図】図1
Description
本発明は安定した圧電特性と十分な機械的強度が両立したインクジェット記録ヘッド、ファン、超音波モーター等に利用可能な圧電セラミックスに関し、特にこの圧電セラミックスの利用に効果があるインクジェット記録ヘッドおよびこれを用いたインクジェットプリンタに関するものである。
従来より、多成分系セラミックスの機械的特性、電気的特性、熱的特性等を向上させるために、多成分セラミックスに特定の化合物を添加したり、多成分系セラミックスの主成分を他の成分で置換したりすることが行われている。
例えば、圧電歪定数の高い圧電セラミックスを得るため、特許文献1〜4にはPbZrO3−PbTiO3の2成分系組成物に対し、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Sb2/3)O3等を第3成分として添加した複合ペロブスカイト型酸化物からなる多成分系セラミックスが開示され、セラミックス原料粉体の粉砕粒径や比表面積等を制御したり、成形、焼成条件を制御したりすることにより、多成分系セラミックスの機械的特性、電気的特性、熱的特性等を向上させることが行われている。
また、特許文献5には、圧電セラミックスの内部に炭素を特定量含有させることによって、電気機械結合係数と機械的強度を制御した圧電セラミックスも開示されている。
しかし、特許文献1〜5のように機械的特性等を向上させたとしても、インクジェット記録ヘッドの分野では駆動時に応力がかかり、圧電体素子にクラックが発生しやすいため、駆動時の圧電セラミックスの応力を緩和した特許文献6が開示されている。具体的には、図7に示すように、圧電セラミックス62に上部電極64を形成し、さらに上部電極64と対向する下部電極66を第1のバリヤ層68を介して形成してなる圧電体素子78を有し、この圧電体素子78が第2のバリヤ層68を介して圧力室74の上部に接合した振動板70に接続して構成され、圧力室74のノズル穴76からインクを吐出させる機能を有したインクジェット記録ヘッドである。
特開昭53−62199号公報
特開昭49−21696号公報
特開昭48−97094号公報
特開昭49−27897号公報
特開2001−19542号公報
特開2003−110158号公報
従来の圧電セラミックスは材料組成が制御された出発原料を用いて成形、焼成し、所望により加工等を行って、セラミックス焼結体として完成される。しかしながら、焼成時にセラミックス焼結体からその主成分であるPbやZnなどが蒸発することによって、焼成後の材料組成が出発原料時の材料組成から変化するため、圧電セラミックスの圧電歪定数などの特性が劣化したり変動したりする等の問題があった。
また、セラミックス原料粉体の粉砕粒径や比表面積等を制御したり、成形、焼成条件を制御したりする製造方法によって、得られるセラミックス焼結体の機械的特性、電気的特性、熱的特性等を向上させる場合、一般的にセラミックス原料粉体の粉砕粒径を細かく粉砕する必要がある。しかしながら、細かく粉砕された粉体はハンドリングしにくいという問題や、成形時にクラックが発生するといった問題があった。
また、特許文献5の圧電セラミックスは、圧電歪定数の値に大きな影響を及ぼす炭素が固体状態でのみ多く存在しているため、圧電歪定数が低く、機械的強度が低いという問題があった。これは、次のような理由によるものと考えられる。固体状態の炭素は、結晶内や結晶粒界に格子欠陥を発生させる。結晶内の格子欠陥は、圧電セラミックスの格子歪みを発生させたり、結晶格子の規則性を歪めたりするため、圧電特性、例えば圧電歪定数が低下する。また、結晶粒界の格子欠陥は線欠陥となり、粒界相の機械的強度を低下させるため、圧電セラミックスの機械的強度が低下する。
また、特許文献5の圧電セラミックスを用いた圧電体素子は、インクジェット記録ヘッドとして用いた場合に駆動可能な所望の変位量を得るため高い電圧を印加しなければならいので、圧電体素子からの発熱量が大きくなるという問題があった。このような発熱量が大きい圧電体素子を用いたインクジェット記録ヘッドを搭載したインクジェットプリンタは、インク温度が変動するため高精度な画像の印刷が困難であるという問題があった。
また、特許文献5の圧電セラミックスを用いて作製した圧電体素子を搭載したインクジェット記録ヘッドは、高い電圧で長時間駆動させると圧電セラミックスの機械的強度などの機械的特性が劣化するため、機械的信頼性が低下するという問題があった。
また、特許文献6に開示されたインクジェット記録ヘッドは、第1および第2のバリヤ層68を用いているため圧電体素子78を小型化できないという問題、第1および第2のバリヤ層68が弾性変形するために圧電セラミックス62の変位が振動板70に伝わるまでに時間的なロスが生じるという問題点、圧電セラミックス62の変位量が大きく低減して振動板に伝わるとい問題、圧電セラミックス62と下部電極66の間にバリヤ層68があるので印加した電圧が降下してしまい圧電セラミックス10の変位量が小さくなるという問題等があった。このため、特許文献6のインクジェット記録ヘッドを用いて作製したインクジェットプリンタは、小型化できず、印字速度が遅く、消費電力が多く、高精細な印字ができないという問題があった。
そこで本発明は、上述の問題に鑑みて案出されたものであり、圧電歪定数が高く、機械的強度の高い圧電セラミックスを提供することを目的とする。また、この圧電セラミックスの両主面に電極を形成した圧電体素子を提供することを目的とする。また、この圧電体素子を搭載した機械的強度の劣化の少ない機械的信頼性の高いインクジェット記録ヘッド、並びにこのインクジェット記録ヘッドを搭載した印字画質の良好なインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
本発明の圧電セラミックスは、焼結体の閉気孔内に炭素を含む気体を含有することを特徴とする。
また、気体の量が、炭素元素換算で焼結体質量に対して40質量ppm未満であることを特徴とする。
また、炭素を含む気体がCO2を含むことを特徴とする。
また、閉気孔の平均気孔径が1〜5μm、閉気孔率が2体積%以下であることを特徴とする。
また、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とすることを特徴とする。
また、AサイトとBサイトとを有する複合ペロブスカイト型酸化物からなり、AサイトがPbを主成分としさらにSr及び/又はBaを含有し、BサイトがZrとTiを主成分とすることを特徴とする。
また、BサイトにさらにZn、Sb、Ni、Te、希土類元素、NbおよびTaのうち少なくとも一種を含有することを特徴とする。
また、炭素を含む気体の量が炭素元素換算で5質量ppm以上であることを特徴とする。
また、本発明の圧電セラミックスの製造方法は、圧電セラミックスの成形前の原料粉体と有機バインダーとを湿式混合してスラリーを作製する工程と、スラリーをろ過する工程と、ろ過後のスラリーを用いて成形体を成形する工程と、成形体を酸素を含む雰囲気中で焼成する工程とを有することを特徴とする。
また、成形体を焼成する工程における雰囲気の酸素濃度が90体積%以上であることを特徴とする。
また、本発明の圧電体素子は、圧電セラミックスの両主面に、互いに対向する電極を形成したことを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、吐出口を有し、インクが入った圧力室の上部に圧電体素子を形成するとともに、圧電体素子を駆動することで圧力室の体積を変化させ、吐出口よりインクを吐出可能に構成したことを特徴とする。
また、本発明のインクジェットプリンタは、インクジェット記録ヘッドを用紙に印字する印字手段として備えたことを特徴とする。
本発明の圧電セラミックスは、圧電セラミックスの原料と有機バインダーの湿式混合によるスラリーの作製、該スラリーのろ過、および圧電セラミックスの焼成中の酸素濃度の制御によって焼結体の閉気孔内に炭素を含む気体を含有させることができる。焼結体の閉気孔内に炭素を含む気体を含有させることによって圧電セラミックス中の格子歪みや格子欠陥を低減させることができるため、機械的強度を向上させ、かつ圧電歪定数を向上させることができる。
また、本発明の機械的強度の高い圧電セラミックスをインクジェット記録ヘッド用の圧電体素子に用いることにより、圧電セラミックスの変位によって発生する圧電アクチュエータ部の機械的応力による破損を防ぐことができる。
また、圧電歪定数が高い本発明の圧電セラミックスをインクジェット記録ヘッドのアクチュエータ用圧電体素子に適用すると、インクを吐出させるための圧電体素子の変位量を低電圧で得ることが可能となるため、圧電体素子の発熱が低減され、その結果インクの温度が安定化してインクの粘度が変動しにくくなる。この結果、インク滴のサテライト(インクの小さなしぶき)の発生が防止されてインク滴の着弾位置が安定化するため、高精細な画像を印刷することが可能となる。また、長時間の使用においても圧電体素子の破損が無く、機械的信頼性の高いインクジェッ記録ヘッドを製造することが可能となる。また、本発明のインクジェットプリンタにより長時間の使用においても、印画性能の低下しないプリンタを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の圧電セラミックスは、焼結体の閉気孔内に炭素を含む気体を含有してなるものである。これによって、機械的強度が高く、圧電歪定数が高い圧電セラミックスを得ることができる。この理由は次のように考えられる。
本発明の圧電アクチュエータ用圧電セラミックスは多結晶焼結体からなる。多結晶焼結体からなる圧電セラミックス中に残留する炭素が固体状態で存在する場合、固体状態の炭素は結晶粒内に固溶したり、結晶粒界に析出したりして存在する。このような固体状態の炭素は、結晶内や結晶粒界に格子欠陥を発生させる。結晶内の格子欠陥は、圧電セラミックスの格子歪みを発生させたり、結晶格子の規則性を歪めたりするため、圧電特性、例えば圧電歪定数が低下する。また、結晶粒界の格子欠陥は線欠陥となり、粒界相の機械的強度を低下させるため、圧電セラミックスの機械的強度が低下する。このような圧電歪定数の低下や、機械的強度の低下を抑制するためには、圧電セラミックス中に存在する炭素を固体状態のみならず気体状態でも存在させることが重要である。
多結晶焼結体からなる圧電セラミックス中に炭素を気体状態で含有させることができれば、格子歪みや前記格子欠陥を著しく低減させることができるため、機械的強度が向上し、かつ圧電歪定数を向上させた圧電セラミックスを得ることができる。この理由は明確ではないが次のように考えられる。
圧電セラミックス中に固体状態でのみ炭素が存在する場合に比べて、固体状態と気体状態の両方で炭素を存在させると、圧電セラミックスに電圧を印加して圧電セラミックスを分極する場合、圧電セラミックス中の分極が均一になされるよう、固体状態の炭素と炭素を含む気体とが分極中に電気的に結合する。この電気的な結合は、分極中に圧電セラミックス中の結晶の自発分極の方向を極めて均一に揃わせる作用をなす。これによって、分極後の圧電歪定数等の圧電特性を向上させることができる。
また、前記格子欠陥や前記格子歪が少ないほど圧電セラミックスの機械的強度は向上する。この理由は、圧電セラミックス中に炭素が固体状態のみならず気体状態でも存在すると、圧電セラミックス中に分極前に存在した格子欠陥や格子歪が分極によって低減し、その結果圧電セラミックスの機械的強度が向上する。
本発明の圧電セラミックスにおいては、前記炭素を含む気体の量が炭素元素換算で、焼結体質量に対して40質量ppm未満であることが好ましい。40質量ppm以上では、上述の格子歪みや格子欠陥を著しく低減させることができいため、機械的強度を著しく向上させたり、圧電歪定数を著しく向上させたりすることができないからである。
また、前記炭素を含む気体としては、主にCOとCO2が選ばれる。このうちCOは高温では安定であるが、低温例えば室温では電気化学的に不安定なため、閉気孔内にCOを多く含む圧電セラミックスは、圧電歪定数を著しく向上させることができない。このため、本発明の圧電セラミックスにおいては前記炭素を含む気体がCO2を含むことが特に好ましい。
また、本発明の圧電セラミックスは、前記閉気孔の平均気孔径が1〜5μm、閉気孔率が2体積%以下であることが、機械的強度をさらに向上させ、圧電歪定数を向上させるために好ましい。閉気孔率が2体積%を越えた場合や、前記平均気孔径が1μm未満または5μmを越えた場合は、機械的強度を著しく向上させたり、圧電歪定数を著しく向上させたりすることができないからである。
また、圧電体セラミックスは、チタン酸鉛(PbTiO3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La)TiO3),マグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)等からなることが好ましい。
特に、本発明の圧電セラミックスは、チタン酸ジルコン酸鉛(チタン酸鉛(PbTiO3)とジルコン酸鉛(PbZrO3)との固溶体)を主成分とすることが好ましい。この理由は、この材料を主成分とすることによって圧電歪定数を高くすることができるため、例えば圧電アクチュエータとして本発明の圧電セラミックスをインクジェット記録ヘッドの形態で搭載すると大きな変位が得られ、インクの吐出速度を向上させることができるからである。
さらに好ましくは、本発明の圧電セラミックスは、AサイトとBサイトとを有する複合ペロブスカイト型酸化物からなり、前記AサイトがPbを主成分としさらにSr及び/又はBaを含有し、前記BサイトがZrとTiを主成分とする。これによって、圧電セラミックス合成時のPbの蒸発が防止され、圧電特性をさらに向上させることができる。特に好ましくは、前記BサイトがZn、Sb、Ni、Te、希土類元素、NbおよびTaのうち少なくとも一種を含有する。これによって、チタン酸ジルコン酸鉛のPbサイトで空孔が形成し、この空孔を介してドメイン壁の移動がし易くなって分極が容易になるため、高い圧電歪定数を得ることができる。最も好ましくは、圧電歪定数を特に向上させるために、前記BサイトがZr、Ti、ZnおよびNbを必須元素として含有する。
また、本発明の圧電セラミックスは、前記炭素を含む気体の量が炭素元素換算で5質量ppm以上であることが好ましい。この理由は、5質量ppm未満では、閉気孔内に存在する炭素を含む気体の量が減少するため、機械的強度と圧電歪定数を著しく向上させることができないからである。
本発明の圧電セラミックスの閉気孔に含まれる気体の種類およびその含有量は例えば次のように測定する。焼結体を密閉容器に入れてこの容器内を真空とした後、O2、COおよびCO2等の不純物ガスを実質的に除去した、高純度の不活性ガスまたは窒素ガスをこの容器内にパージする。引き続いて容器内に焼結体を入れたまま焼結体を粉砕し、焼結体の閉気孔内に含まれる気体を容器内に拡散させる。その後、容器内の気体に含まれるArを除く炭素を含む気体の濃度Pをガスセンサーやガスクロマトグラフにより測定する。ガスセンサーにより炭素を含む気体の濃度が室温での測定困難な場合高温で測定しても良い。濃度Pの測定値、焼結体の質量、容器内の体積および容器内にパージした気体の量を用いて、焼結体の閉気孔に含まれる炭素を含む気体の量を焼結体質量に対する炭素元素換算で求める。さらには、炭素分析装置または荷電粒子放射化分析の少なくとも一方を併用し焼結体の閉気孔中に含まれる炭素を含む気体(CO2、CO等)の量をさらに正確に測定することもできる。
次に本発明の圧電セラミックスの製造方法について説明する。
本発明の圧電セラミックスの製造方法は、圧電セラミックスの成形前の原料粉体と有機バインダーとを湿式混合してスラリーを作製し、このスラリーをろ過した後、ろ過後のスラリーを用いて成形体を成形し、さらにこの成形体を酸素を含む雰囲気中で焼成するものである。これによって、機械的強度が高く、圧電歪定数が高い圧電セラミックスを得ることができる。本発明の圧電セラミックスの製造方法において、圧電セラミックスの成形前の原料粉体と有機バインダーとを湿式混合してスラリーを作製するのは、成形前の原料粉体と有機バインダーとを均一に混合できるため、得られる成形体中における有機バインダーの偏析を低減することができるからである。有機バインダーの偏析の少ない成形体を焼成すると、得られるセラミックス焼結体の気孔の大きさが小さくかつ均一に分散させることができるため、セラミックス焼結体に機械的応力が加わっても気孔を起点として亀裂が生じたり、割れたりすることを抑制でき、結果として機械的強度の高い圧電セラミックスを製造することができる。一方、圧電セラミックスの成形前の原料粉体と有機バインダーを乾式混合後に成形すると、得られる成形体中に有機バインダーの偏析が発生するため、この成形体の焼成中に、偏析した有機バインダーが蒸散して大きな気孔が発生する。この大きな気孔を有する圧電セラミックスに機械的応力が加わると、この大きな気孔を起点として亀裂が生じたり、割れたりする。
また、本発明の製造方法において、スラリーをろ過し、そのろ過後のスラリーを用いて成形体を成形したのは、第1に有機バインダーの偏析を特に低減させて機械的強度の高い圧電セラミックスを製造でき、第2に成形前の原料粉体に含まれる大きな圧電セラミックスの粒子を除去した後成形することによって、得られる圧電セラミックスの圧電歪定数を向上できるからである。また、本発明の製造方法において、圧電セラミックスの成形体を、酸素を含む雰囲気中で焼成するのは、得られる焼結体中の閉気孔内に炭素を含む気体を含有させるためである。
次に、本発明の圧電セラミックスの製造方法を、さらに好ましい製造方法を含めて具体的に説明する。
本発明の圧電セラミックスは例えば次のように製造される。
出発原料として、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムの各粉末を用いて、所望の割合となるように秤量後、純水を加え、混合原料の平均粒径が2.0μm以下となるまで10〜30時間、ジルコニアボール等を使用したミルにより湿式混合・粉砕を行う。この混合物を乾燥後、800〜1000℃で1〜10時間仮焼する。得られた仮焼粉100重量部(成形前の原料粉体)に対して、3〜8重量部の有機バインダーと70〜200重量部の純水を加えてボールミル等で湿式混合する。得られた湿式混合後のスラリーを100〜400メッシュのステンレスメッシュでろ過して、透過したスラリーを噴霧乾燥法等の公知の方法で造粒する。得られた造粒体を所望の成形手段、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、押し出し成形等により成形し成形体を得る。得られた成形体を、大気中もしくは酸素を含む雰囲気中にて有機バインダーが燃焼分解する温度、すなわち500〜800℃で加熱することによって、有機バインダーの大部分を除去する。この加熱による有機バインダー除去処理においては、圧電セラミックス成形体をこう鉢内に載置し、500〜800℃でこう鉢の蓋を開放して処理することが、得られる圧電セラミックスの閉気孔内の炭素を含む気体の量を40ppm質量未満に高精度に制御できるために好ましい。次いで、有機バインダー除去処理して得られた仮焼体をこう鉢内に収納し、こう鉢を密閉した状態で、大気中もしくは酸素気流中にて、1000〜1200℃程度で焼成することによって本発明の圧電セラミックスが得られる。焼成中にこう鉢を密閉するのは、圧電セラミックスに含有される金属元素の分解、蒸発を抑制し、圧電歪定数を向上させるために好ましいからである。
また、成形体から有機バインダーを除去処理した仮焼体に残留する炭素成分を、焼成中に閉気孔内へ炭素を含む気体として残留させるためには、特に好ましくは、90体積%以上の酸素を含む雰囲気下で焼成する。この理由は、有機バインダー除去処理した仮焼体内の気孔を高酸素濃度の酸素で置換しつつ焼成することによって、焼結途中で、閉気孔内の気体が一旦高酸素濃度となり、次に焼結が進行すると、結晶内や結晶粒界に含まれる炭素が閉気孔内へ拡散して、この炭素が閉気孔内に存在した酸素と結合し、閉気孔内に炭素を含む気体が生成するからである。閉気孔内に存在する炭素を含む気体にCO2を含有させるためには、焼成工程において、十分な酸素、具体的には、得られる焼結体の体積の1000倍以上の体積の酸素ガスを供給する。また、特に好ましくは、焼成炉からの排出されるガスの排気をスムースに行う必要がある。一方、酸素を実質的に含まない雰囲気中で仮焼体を焼成すると、得られる圧電セラミックス中の閉気孔内には炭素を含む気体は実質的に生成せず、炭素は結晶内と結晶粒界に存在するため本発明の圧電セラミックスを製造することができない。また、出発原料としては、酸化物や炭酸塩以外に、酢酸塩、硝酸塩、水酸化物等のように、酸化性雰囲気での熱処理によって酸化物を生成し得る化合物を用いても良い。
次に本発明の圧電体素子、インクジェット記録ヘッドおよびインクジェットプリンタについて例示した図を用いて説明する。
図1に圧電体素子の断面図を示す。本発明の圧電体素子40は、圧電セラミックス12の両主面に互いに対向する電極14、16を形成してなるものである。圧電体セラミックス12の厚さは0.2μm以上50μm以下であることが好ましい。特に好ましくは、0.5μm以上3μm以下である。
図2はインクジェットプリンタの斜視図、図3、4はインクジェット記録ヘッドの分解斜視図、図5、6はインクジェット記録ヘッドの一部を示す断面図である。
インクジェットプリンタの全体構成について図2を用いて説明する。図2に示したインクジェットプリンタには、本体42に、トレイ44、排出口46および操作ボタン48が設けられている。
本体42はプリンタの筐体であって、用紙56をトレイ44から供給可能な位置に給紙機構50を備え、用紙56に印字できるようにインクジェット記録ヘッド58が配置されている。また、本体42の内部には制御回路52が設けられている。
トレイ44は、印字前の用紙56を供給機構50に供給可能に構成され、排出口46は、印刷が終了した用紙56を排出する出口である。
インクジェット記録ヘッド58は、本発明に係る圧電体素子40を備えており、制御回路52から出力される信号Shに対応して、ノズルからインクを吐出可能に構成されている。
給紙機構50は、モータ500、ローラ501、502を備えている。モータ500は制御回路52から出力される信号Shに対応して回転し、この回転力がローラ501、502に伝達され、ローラ501、502の回転によってトレイ44にセットされた用紙56を引き込み、ヘッド58によって印字可能に供給するようになっている。
制御回路52は、図示しないCPU、ROM、RAM、インターフェース回路などを備えている。制御回路52は、図示しないコネクタを介してコンピュータから供給される印字情報に対応させて、信号を給紙機構50やヘッド58の駆動機構に出力する。
次にインクジェット記録ヘッドの構成を図3〜6を用いて説明する。
ヘッドは、ノズル板28、外壁20、振動板18、圧電体素子40(圧電体セラミックス12、電極14および電極16)から構成される。好ましくは隔壁26を設ける。
圧電体素子40を構成する電極16は振動板18に接合されている。振動板18は圧電体素子40の変位に追随して弾性変形することができる。
圧力室22は、シリコン等の基板をエッチングすることによりインクなどを吐出するために貯蔵する空間として形成されたものである。隔壁26は、圧力室22を仕切るよう形成されている。リザーバ30は、インクを共通して各圧力室22に充たすための流路となっている。供給口32は、リザーバ23から各圧力室21へインクを導入できるように形成されている。圧力室22の大きさの好ましい範囲は次の通りである。隔壁26間は50〜300μm、ノズル板28と振動板18の間は60〜160μm、外壁20aと20bの間は1〜5mm程度である。
ノズル板28およびインクの供給方法について説明する。図3、5、6においてノズル板28は、ノズル板28a、28bおよび28cの積層体により構成されている。ノズル穴24は、ノズル板28a、28bおよび28cのそれぞれに孔径の異なる穴を開けてインクの出口に向けて絞りを持つ形状で作成されている。また、ノズル板28にはノズル板28bをくり抜いた形状のリザーバ23が形成されている。図示しないインクタンクに貯蔵されているインクはリザーバ32を通り、さらにノズル板28aに設けられたインク供給口32から各圧力室22へ供給される。また、図4のようにノズル板28を単層板とし、振動板18に設けたインクの供給口32から圧力室22へインクを供給することもできる。
圧力室22、供給口32およびノズル穴24は、一定のピッチで連設されて構成されている。このノズル間のピッチは、印刷精度に応じて適時設計変更が可能であり、例えば400dpi(dot per inch)となるように配置される。
振動板18の上には、各圧力室22に対応する位置に、圧電体素子(圧電セラミックス12、電極14および電極16)が設けられており、これらは圧電アクチュエータとして機能する。
次にインクジェット記録ヘッド40を構成する各部材の好ましい形態について説明する。圧電セラミックス12については上述の通りである。
電極14および電極16は、通常電極として用いることができる導電性材料であれば特に限定されるものではないが、好ましくは導電率が105Ω−1・cm−1以上の金属により構成される。さらに好ましくは、Ag、Au、Cu、Pt、Ni、Pd、Rh、AlおよびIrのうち少なくとも1種の金属、もしくは、これらのうち少なくとも2種の合金により構成される。また、特に好ましくは、例えばPd/Ag−Pd/Agといった積層構造を有している。
振動板18、外壁20、隔壁26およびノズル板28の主成分は、セラミック、金属、亜金属のうち少なくとも1種からなることが好ましい。さらに好ましくは金属がSUS、Ni、亜金属がSi(シリコン)、セラミックがジルコニアから選ばれる。また、振動板18、外壁20、隔壁26およびノズル板28の主成分は、同じであることが好ましい。また、外壁20はシリコン単結晶からなることが特に好ましい。
次に、上記インクジェット記録ヘッド58の印刷動作を説明する。制御回路52から駆動信号が出力されると、給紙機構50が動作し用紙56がヘッド58によって印刷可能な位置まで搬送される。制御回路52から吐出信号が供給されず圧電体素子40の第1の電極14と第2の電極16との間に電圧が印加されていない場合、圧電体セラミックス12には変化を生じない。吐出信号が供給されていない圧電体素子40が設けられている圧力室には圧力変化が生じず、そのノズル穴24からインク滴は吐出されない。
一方、制御回路52から吐出信号が供給され圧電体素子40の電極14と電極16との間に一定電圧が印加された場合、圧電体素子40に変形を生じる。吐出信号が供給された圧電体素子40の変形によって振動板18が大きくたわみ、このたわみによって圧力室22内のインクが吐出されるための圧力が圧力室22へ伝搬される。このため圧力室22内の圧力が瞬間的に高まり、圧力室の体積が変化することによってノズル穴24からインク滴が吐出される。ヘッド58中で印刷させたい位置の圧電体素子40に吐出信号を個別に供給することで、任意の文字や図形を印刷させることができる。
例えば本発明のインクジェット記録ヘッド58を搭載したインクジェットプリンタ100を用いると、インクジェット記録ヘッドを固定した場合、120〜180dpiでパターン印刷を行って印刷後の印字ドットの位置を画像測定機にて計測すると、インク滴の着弾位置が±10μmの範囲内となり、高精度な印画が可能である。
出発原料として、Pb3O4、ZrO2、TiO2、ZnO、Nb2O5、Yb2O3、SrCO3、BaCO3、Sb2O5、NiO、Yb2O3、TeO2、Lu2O3の各粉末を表1に示す組成となるよう秤量し、ジルコニア製のボールを用いてボールミルにて水を溶媒として、平均粒径が0.3〜1μmとなるまで、混合粉砕を行った。次いでこの混合粉砕物を脱水し、乾燥後、850〜950℃で1〜3時間仮焼後、ジルコニア製ボールを用いてボールミルにて水を溶媒として、湿式で解砕、粉砕を粉体の平均粒径が0.4〜1μmとなるまで行った。その後、この粉砕物のスラリーに水性のアクリルエマルジョン樹脂バインダーを添加、混合後、ステンレス製の325メッシュでろ過し、メッシュを透過したスラリーを乾燥してから噴霧乾燥法により造粒し、得られた造粒粉を金型内に充填し、成形圧1.5×108N/m2にて直径50mm、厚み10mmの円盤状の成形体をプレス成形した。この際、添加するバインダーの量を表1に示す様に変化させた。
得られた成形体をマグネシア製こう鉢内に成形体を載置したまま、大気中、こう鉢の蓋を開けた状態で、600〜800℃で3時間有機バインダーの大部分を除去するための仮焼処理を行った。得られた仮焼体をマグネシアこう鉢内に載置し、こう鉢内に密閉した状態で、焼成雰囲気中の酸素濃度を表1に示した濃度(体積%)に制御しつつ、1150℃で3時間保持して焼成した。なお、表1の組成は、例えば組成No.Aの場合は、組成式がモル比で(Pb0.94Sr0.06)(Zr0.52Ti0.48)O3のペロブスカイト型酸化物で表される組成100重量部に対して16重量部のNb2O5を添加した組成であることを表し、組成No.Eの場合は、[(Pb0.94Sr0.04Ba0.02)(Zr1/2Ti1/2)O3]の組成のペロブスカイト型構造の酸化物と[Pb(Zn1/3Sb2/3)O3]のペロブスカイト型構造の酸化物とのモル比が0.9対0.1である組成を表す。
得られた焼結体の両表面を平面研削盤にて、約0.2mm程研磨した後、電極として銀を主成分とするペーストを塗布し、500〜600℃で30分間保持して焼き付けを行い、シリコンオイル中50〜200℃で0.5〜1.5kV/mmの電界強度の電圧を印可することにより分極処理し、圧電セラミックスを得た。
次いで日本電子材料工業界規格EMAS−6100に準拠し、および電気機械結合係数k15の測定用の素子を作製するため、10mm×2.5mm×0.25mmの形状の圧電セラミックスを研削及びダイシングにより切り出した。この素子の両主面に、約0.1μm厚みの金電極を蒸着し、電気機械結合係数k15、を測定した。また、誘電率、ヤング率を測定し、圧電歪定数d15を計算した。
機械的強度は、圧電セラミックスの分極による破壊の異方性発現の影響を抑制するため、日本工業規格JIS B R1601に準拠し、40mm×4mm×3mmの試験片を分極を行なう前の焼結体から研削により切り出した試料を用いて測定した。
また、直径50mm×10mmの焼結体をワイヤーソーにて0.8mm厚みに切断後、ラップ加工を行い、両主面を鏡面状態とした後、実体顕微鏡を用いて、圧電セラミックスの閉気孔径、閉気孔数を測定した。
また、焼結体の閉気孔に含まれる気体中のCOおよびCO2の濃度を次のように測定した。焼結体を密閉容器に入れてこの容器内を真空とした後、この容器内にCOおよびCO2を除去した高純度のArガスをパージした。引き続いて容器内に焼結体を入れたまま焼結体を粉砕し、焼結体の閉気孔内に含まれる気体を容器内のArガス中に拡散させた。その後、容器内の気体に含まれるArを除く炭素を含む気体の濃度P2を次のガスセンサーにより250〜550℃で測定した。
まず、濃度P2のうちCO2の濃度P2CO2は、MRS Bulletin、1999年6月号、37〜43ページ、Gas Sensors Using Solid Electrolytesに記載された方法と同様の方法で、固体電解質としてNaイオン導電体であるNASICON(例:Na3Zr2Si2PO12)に補助層(NaCO3−BaCO3、Li2CO3−BaCO3、Li2CO3−BaCO3のいずれか)を設けてネルンストの法則により発生する起電力を測定し、CO2濃度に換算した。濃度P2CO2が測定限界に近い場合は、起電力とCO2濃度の関係から外挿して濃度を求めた。
また、濃度P2のうちCOの濃度P2COは、P2CO2濃度測定とは別に、株式会社ラウンドサイエンス製微量還元性ガス分析計TRA−1またはTRA−1000により測定した。
そして、濃度P2(P2CO2、P2CO)の測定値、焼結体の質量、容器内の体積および容器内にパージしたArの量を用いて、焼結体の閉気孔に含まれる炭素を含む気体の量を焼結体質量に対する炭素元素換算で求めた。
また、各試料の結晶相をX線回折法により同定した。
その結果、表2に示すように、本発明の試料であるNo.1〜11はすべて閉気孔内に炭素を含む気体(CO2、CO)を含有し、強度が80MPa以上、k15が70%以上、d15が850pm/V以上、変位量が100〜114nmと高く安定していた。特に閉気孔内の炭素を含む気体の量を炭素元素に換算した量が5〜39ppmである試料No.2〜9はd15が900pm/Vと高くなった。また平均気孔径1〜5μmの試料No.3〜9は強度が100MPa以上と高くなった。また、試料No.1〜11の主結晶相はペロブスカイト型構造の酸化物であった。
得られた圧電セラミックス12の各試料を用いて図4に示す圧電体素子40を作製した。まず圧電セラミックス12を0.13mm×1.5mm×0.05mmの基板形状に研磨加工した。この基板の両面に第1の電極14および第2の電極16AとしてAuを蒸着し、圧電体素子40とした。
振動板18として、電鋳法により40mm×10mm×厚み0.02mmの形状のNi薄板を作製した。
また厚み0.1mmのNi圧延板をエッチング加工して、圧力室22の大きさを0.2×2mm×0.1mmとした外壁20、隔壁26を形成したNi製圧力室を作製した。
得られたNi製圧力室と振動板18をエポキシ接着剤を用いて接合した。次いで、得られた圧電素子40と振動板18(Ni製圧力室につながったもの)とを導電性接着剤により接合してヘッド58を作製した。
得られたヘッド58の第1の電極12に金属リード60を接続して、電極14と電極16間に3kHz、20Vの直流電圧を印加して、電極14の表面の変位をレーザードップラー変位計で計測した。
その結果、本発明の圧電セラミックス12の試料を用いて作製したインクジェット記録ヘッド58は 振動板18の変位が100〜115nmの範囲で高く安定していた。また、このインクジェット記録ヘッド58を用いて作製したインクジェットプリンタ100は、インクの吐出速度が向上し、またそのバラツキも低減した。このため、インク滴の着弾位置の変動が±10μm以内と小さくなり、インクジェットプリンタ100により印刷される画像の画質が向上した。また、圧電セラミックス12の機械的強度が増加したことから、プリンタとしての信頼性が大きく向上した。
また、本発明の圧電体素子40に周波数20kHzの矩形波を電圧20Vで印可し、1010乗回圧電素子を変位させた駆動試験を実施した。その結果、駆動試験初期と駆動試験実施終了直前とで、圧電体素子40の変位量がなかった。また、圧電歪定数も変化しなかった。また、駆動試験後に圧電セラミックスは破損していなかった。
これに対して、成形前の原料粉体と有機バインダーとを乾式、即ち溶媒を添加せずに解砕、粉砕したり、成形前の原料粉体に溶媒を加えてスラリーとした後にこのスラリーをろ過しなかったり、酸素を含まない雰囲気中で焼成したりした試料No.12〜15の圧電セラミックスは、閉気孔内に炭素を含む気体を含有していなかった。また、試料No.12〜15は強度が65MPa以下、k15が65%以下と低く、d15が750pm/V未満と低くかった。また、試料No.12〜15の圧電セラミックスを用いて作製したインクジェット記録ヘッドは変位量が90nm以下と小さくなった。また、試料No.12〜15のインクジェット記録ヘッドを用いて作製したインクジェットプリンタは、インク滴の着弾位置の変動の絶対値が30μmを越えていたため、インクジェットプリンタにより印刷される画像の画質が悪かった。また、実施例と同様の駆動試験を行ったところ、圧電セラミックスが破損した。
12、62:圧電セラミックス
14、16、64、66:電極
18、70:振動板
20、20a、20b:外壁
22、74、90:圧力室
24、76:ノズル穴
26:隔壁
28、28a:、28b、28c、74:ノズル板
30:リザーバ
32:供給口
42:本体
44:トレイ
46:排出口
48:操作ボタン
50:給紙機構
52:制御回路
54:信号
56:用紙
58:インクジェット記録ヘッド
40、78:圧電体素子
60:リード線
68:バリヤ層
82、84:壁部材
86:天板
88:底板
92:正電極
94:負電極
100:インクジェットプリンタ
モータ:500
ローラ:501、502
14、16、64、66:電極
18、70:振動板
20、20a、20b:外壁
22、74、90:圧力室
24、76:ノズル穴
26:隔壁
28、28a:、28b、28c、74:ノズル板
30:リザーバ
32:供給口
42:本体
44:トレイ
46:排出口
48:操作ボタン
50:給紙機構
52:制御回路
54:信号
56:用紙
58:インクジェット記録ヘッド
40、78:圧電体素子
60:リード線
68:バリヤ層
82、84:壁部材
86:天板
88:底板
92:正電極
94:負電極
100:インクジェットプリンタ
モータ:500
ローラ:501、502
Claims (13)
- 焼結体の閉気孔内に炭素を含む気体を含有することを特徴とする圧電セラミックス。
- 前記気体の量が、炭素元素換算で焼結体質量に対して40質量ppm未満であることを特徴とする請求項1に記載の圧電セラミックス。
- 前記気体がCO2を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電セラミックス。
- 前記閉気孔の平均気孔径が1〜5μm、閉気孔率が2体積%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧電セラミックス。
- チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧電セラミックス。
- AサイトとBサイトとを有する複合ペロブスカイト型酸化物からなり、前記AサイトがPbを主成分としさらにSr及び/又はBaを含有し、前記BサイトがZrとTiを主成分とすることを特徴とする請求項5に記載の圧電セラミックス。
- 前記BサイトにZn、Sb、Ni、Te、希土類元素、NbおよびTaのうち少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項5または6に記載の圧電セラミックス。
- 前記気体の量が炭素元素換算で5質量ppm以上であることを特徴とする請求項1〜7記載の圧電セラミックス。
- 前記圧電セラミックスの成形前の原料粉体と有機バインダーとを湿式混合してスラリーを作製する工程と、該スラリーをろ過する工程と、該ろ過後のスラリーを用いて成形体を成形する工程と、該成形体を酸素を含む雰囲気中で焼成する工程とを有する請求項1〜8のいずれかに記載の圧電セラミックスの製造方法。
- 前記成形体を焼成する工程において、前記雰囲気の酸素濃度が90体積%以上であることを特徴とする請求項9に記載の圧電セラミックスの製造方法。
- 請求項1〜8の何れかに記載の圧電セラミックスの両主面に、互いに対向する電極を形成したことを特徴とする圧電体素子。
- 吐出口を有し、インクが入った圧力室の上部に請求項11に記載の圧電体素子を形成するとともに、該圧電体素子を駆動することで圧力室の体積を変化させ、吐出口よりインクを吐出可能に構成したことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
- 請求項12に記載のインクジェット記録ヘッドを用紙に印字する印字手段として備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
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JP2003333114A JP2005060213A (ja) | 2003-07-29 | 2003-09-25 | 圧電セラミックス及びその製造方法、並びにこれを用いた圧電体素子、インクジェット記録ヘッド及びインクジェットプリンタ |
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JP2007188954A (ja) * | 2006-01-11 | 2007-07-26 | Hitachi Cable Ltd | 圧電薄膜素子 |
JP2007243154A (ja) * | 2006-12-27 | 2007-09-20 | Tdk Corp | 積層型圧電素子 |
JP2010155772A (ja) * | 2008-12-01 | 2010-07-15 | Ngk Insulators Ltd | 新規な誘電体ナノポア材料及びその製法 |
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-
2003
- 2003-09-25 JP JP2003333114A patent/JP2005060213A/ja active Pending
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