JP2001179484A - 鋼構造物用溶接継手およびその製造方法 - Google Patents
鋼構造物用溶接継手およびその製造方法Info
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Abstract
鋼の低温割れを防止した溶接継手を提案する。 【解決手段】 溶接金属が、C:0.20質量%以下、Cr:
3.0 〜13.0質量%、Ni:3.0 〜13.0質量%を含有する鉄
合金組成で、かつ360 ℃以下50℃以上のマルテンサイト
変態開始温度(Ms 点)を有し、さらに該溶接金属が室
温においてマルテンサイト変態の開始時よりも膨張した
状態の温度−伸び曲線を示す組成とする。溶接金属が、
50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo
-11.85Nb≦360 (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、N
b:各元素の含有量(質量%))を満足するように調整
するのが好ましい。
Description
槽、建設機械等の大型鋼構造物に用いて好適な溶接継手
に係り、とくに溶接継手の耐溶接割れ性改善に関する。
や貯槽、建設機械等の大型鋼構造物においては、軽量化
の目的から使用鋼材の高強度化が要望されている。これ
ら鋼構造物に使用される鋼材には、主としてCr、Ni、Mo
等の合金元素が10質量%未満、好ましくは5.0 質量%未
満含有された、いわゆる低合金鋼が使用され、その強度
は、引張強さ:294MPa〜1180MPa の範囲を有している。
じ、低合金鋼のなかでも高強度の鋼材を使用すると、溶
接の際に低温割れが多発する場合がある。この高強度鋼
材の溶接継手に発生する低温割れの主因は、溶接中に溶
接金属に溶解した水素であり、この水素は冷却中に拡散
して、とくに溶接熱により硬化した止端部、ルート部な
どの応力集中部に集まり、割れを発生させる。溶接金属
に溶解した拡散性水素が多いほど、また応力が高いほど
低温割れが発生しやすく、拡散性水素量が多いほど低い
応力で低温割れが発生することはよく知られている。低
温割れ発生の限界曲線を模式的に図2に示す。
回避するために、従来から、 溶接時に予熱を行うこと、 溶接直後に適正な温度で後熱を行うこと、 低水素系の溶接材料を使用すること、などが行われて
おり、さらには、被溶接材である鋼材についても、 C等を低減して低炭素当量として溶接硬化性を低減し
た鋼材、 PCM値を低減して低温割れ感受性を低減した鋼材 等が、採用されている。
うことは大変な作業でありかつ多大な時間を要し、溶接
作業コストの高騰や、溶接作業能率の低下を招く。ま
た、780MPa級以上の高張力鋼では、強度確保のため合金
元素を多量添加しており、低水素系溶接材料を用いても
なお、溶接低温割れ防止の観点から、溶接時の予熱を必
須としている。
253860号公報には、全溶着金属のMs 点が400 ℃以下
で、Ni:7.5 〜12.0重量%およびH:2 重量ppm 以下と
したソリッドワイヤを使用し、ワイヤ供給速度を5 〜40
g/min として、760 〜980N/mm2級の高張力鋼をTIG溶
接する溶接方法が提案されている。、この溶接方法によ
れば、50mmを超える極厚の760 〜980N/mm2級の高張力鋼
においても、室温における溶接割れの発生を防止できる
としている。
9--253860 号公報に記載された技術では、TIG溶接に
限定され、それ以外の拡散性水素が2重量ppm 以上と多
くなる溶接方法では、依然として、溶接割れを防止する
ために予熱を必要とするという問題があった。本発明
は、上記した従来技術の問題を解決し、75mm厚以上の極
厚490MPa級高張力鋼および590 〜1180MPa 級高張力鋼の
溶接継手を、予熱を施すことなく低温割れを防止して製
作できる、溶接継手の製造方法、および溶接低温割れを
防止した溶接継手を提案することを目的とする。
を用いて接合した、75mm厚以上の極厚490MPa級高張力鋼
および590 〜1180MPa 級高張力鋼の溶接継手に発生する
低温割れの防止方法について、鋭意考究した。その結
果、低温割れの発生を防止するためには、溶接金属を、
溶接後の冷却過程でマルテンサイト変態を生じ、室温ま
で冷却したのちにマルテンサイト変態開始時にくらべ膨
張状態となる、温度−伸び曲線(熱膨張曲線)を有する
ような組成とすることが肝要であることに想到した。
の冷却過程でマルテンサイト変態を生じ、しかも常温
で、マルテンサイト変態開始時よりも膨張状態となるこ
とにより、冷却過程で溶接金属に発生した引張残留応力
を緩和すること、あるいは引張残留応力に代えて圧縮残
留応力とすることができること見い出した。そして、こ
れにより、溶接熱で硬化する止端部やルート部へ引張応
力が集中することや、拡散性水素が止端部やルート部へ
拡散、集中することを防止して、予熱を行うことなく、
低温割れを阻止できるという知見を得た。
には、溶接材料の組成以外に、被溶接材からの希釈を考
慮する必要があり、被溶接材として低合金鋼の組成に応
じ、溶接材料の組成、および溶接入熱等の溶接条件を調
整して、溶接することが肝要となる。本発明は、上記し
た知見に基づいて、さらに検討を加え完成されたもので
ある。
低合金鋼材からなる被溶接材同士を溶接した溶接継手で
あって、前記被溶接材を低合金鋼材と、前記溶接により
形成された溶接金属が、C:0.20質量%以下、Cr:3.0
〜13.0質量%、Ni:3.0 〜13.0質量%を含有する鉄合金
組成で、かつ360 ℃以下50℃以上のマルテンサイト変態
開始温度(Ms 点)を有し、さらに該溶接金属が室温に
おいてマルテンサイト変態の開始時よりも膨張した状態
の温度−伸び曲線を示す組成とすることを特徴とする鋼
構造物用溶接継手であり、また、本発明では、前記溶接
金属が、C:0.20質量%以下、Cr:3.0 〜13.0質量%、
Ni:3.0 〜13.0質量%を含有し、さらにSi:1.0 質量%
以下、Mn:2.5 質量%以下を含み、あるいはさらにMo:
4.0 質量%以下、Nb:1.0 質量%以下のうちの1種また
は2種を含み残部Feおよび不可避的不純物からなる鉄合
金組成を有することが好ましい。また、本発明では、前
記溶接金属が、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nbの含有量を
次(1)式 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb≦360 … …(1)(ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量(質量%)) を満足するように調整することが好ましい。また、本発
明では、前記溶接金属のマルテンサイト変態開始温度
(Ms 点)を、170 ℃未満50℃以上とするのが好まし
い。
Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nbの含有量を次(2)式 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb≦170 … …(2)(ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量(質量%)) を満足するように調整することが好ましい。
材同士を溶接し溶接継手とする溶接継手の製造方法にお
いて、前記被溶接材を低合金鋼材とし、前記溶接により
形成される溶接金属が、C:0.20質量%以下、Cr:3.0
〜13.0質量%、Ni:3.0 〜13.0質量%を含有する鉄合金
組成で、かつ360 ℃以下50℃以上のマルテンサイト変態
開始温度(Ms 点)を有するように、前記低合金鋼材の
組成に応じ、前記溶接材料の組成、溶接条件を調整する
ことを特徴とする鋼構造物用溶接継手の製造方法であ
る。また、本発明では、前記溶接金属の組成が、前記
(1)式を満足することが好ましい。また、本発明で
は、前記溶接金属のマルテンサイト変態開始温度(Ms
点)を、170 ℃未満50℃以上とするのが好ましく、ま
た、本発明では、前記溶接金属の組成が、前記(2)式
を満足するのが好ましい。また、本発明では、前記溶接
が予熱なしで行うのが好ましく、また、前記溶接を多層
盛溶接とするのが好ましく、また、前記多層盛溶接の初
層溶接あるいは最終層溶接により形成される溶接金属の
組成が、前記(1)式または(2)式を満足するのが好
ましい。また、前記初層溶接を予熱なしで行うのが好ま
しい。
用い、被溶接材同士を溶接することにより作製される。
本発明の溶接継手においては、被溶接材として、低合金
鋼材を用いる。なかでも、75mm厚以上の極厚490MPa級高
張力鋼材および590 〜1180MPa 級高張力鋼材が好適であ
るが、本発明に用いられるこれら低合金鋼材の組成につ
いては、とくに限定する必要はなく、通常公知の鋼材い
ずれもが適用可能である。
材に適合した溶接条件で、後述する組成の溶接金属を形
成できる組成を有するものであれば、通常公知の材料い
ずれもが適用可能であり、とくに限定されない。後述す
る組成の溶接金属が形成できるように、溶接条件により
被溶接材からの希釈等を考慮して適宜選択すればよいの
である。
の組成、および溶接方法、溶接条件を調整して、適正組
成の溶接金属を形成する。本発明溶接継手の溶接方法
は、被覆アーク溶接、ガスメタルアーク溶接、サブマー
ジアーク溶接、FCWなど各種溶接法がいずれも好適に
適用できる。また、継手形状は、荷重非伝達型十字溶接
継手、角回し溶接などの隅肉溶接継手、突き合わせ溶接
継手など、船舶、海洋構造物、ペンストック、橋梁、貯
槽、建設機械等の大型鋼構造物に用いられる継手形状が
いずれも好適である。
属について説明する。本発明の溶接継手における溶接金
属は、温度−伸び曲線、すなわち熱膨張曲線が室温にお
いてマルテンサイト変態の開始時よりも膨張した状態の
温度−伸び曲線を示す。本発明の溶接継手における溶接
金属の温度−伸び曲線の一例を図1に示す。本発明の溶
接金属(実線)は、冷却過程においてマルテンサイト変
態を生じ、そのマルテンサイト変態による膨張で、室温
において、マルテンサイト変態開始時より膨張した状態
となるものである。このような組成の溶接金属とするこ
とにより、溶接継手には、冷却時の収縮による引張応力
を緩和するか、あるいは圧縮応力が残留することにな
る。一方、本発明の範囲を外れる溶接金属(点線)で
は、マルテンサイト変態開始温度Ms 点が高く、マルテ
ンサイト変態による膨張が少ないため、室温において
は、変態後の冷却で収縮した状態となる。なお、本発明
における溶接金属の変態挙動は、通常の熱膨張による伸
びの温度変化を連続的に測定して得られる、温度−伸び
曲線(熱膨張曲線)を作成して求めるものとする。
には、溶接材料ではなく、被溶接材、溶接材料および溶
接条件により得られる溶接金属の組成を、マルテンサイ
ト変態開始温度(Ms 点)が360 ℃以下50℃以上となる
組成とする必要がある。Ms点が360 ℃を超えると、マ
ルテンサイト変態による膨張量が少なくなるとともに、
変態膨張の最大点が室温より高くなりすぎるため、変態
後の冷却により再度熱収縮が生じ、これにより引張残留
応力が発生するようになり、耐低温割れ性が低下する。
また、Ms 点が50℃未満では、冷却過程におけるマルテ
ンサイト変態による膨張効果が十分でなく、耐低温割れ
性の改善が少ない。このようなことから、溶接金属の組
成を、溶接金属のマルテンサイト変態開始温度(Ms
点)が360℃以下50℃以上となる組成に限定した。これ
により、耐低温割れ性が改善できる。なお、耐低温割れ
性をさらに改善するためには、溶接金属のMs点は170
℃未満50℃以上とするのがより好ましい。
変態開始温度(Ms 点)を有する溶接金属となるには、
溶接金属の組成を、C:0.20質量%以下、Cr:3.0 〜1
3.0質量%、Ni:3.0 〜13.0質量%を含有する鉄合金組
成で、好ましくは、さらにSi:1.0 質量%以下、Mn:2.
5 質量%以下を含み、あるいはさらにMo:4.0 質量%以
下、Nb:1.0 質量%以下のうちの1種または2種を含み
残部Feおよび不可避的不純物からなる鉄合金組成とす
る。(以下、質量%は%と記す。) Cは、マルテンサイトの硬さを増加し、溶接硬化性を増
大し低温割れを助長する元素であり、できるだけ低減す
るのが望ましく、溶接割れの観点から0.20%以下、好ま
しくは0.12%以下とするのが好ましい。
とする元素であり、本発明の溶接金属としては重要な元
素の一つであり、 3.0%以上の含有を必要とする。Crの
含有量が 3.0%未満では、マルテンサイト変態開始温度
を360 ℃以下とするには、溶接材料に高価なNiの多量添
加、および溶接材料の加工性を劣化させる元素の多量添
加を必要とし、経済性、製造性の観点から問題がある。
一方、Crの含有量が13.0%を超えると、溶接金属にフェ
ライトが現出し、靭性の点で好ましくない。このような
ことから溶接金属のCr含有量を3.0 〜13.0%とするのが
好ましい。
あり、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)を360 ℃以
下と低温とするために重要な元素である。このようなこ
とから、本発明では、Niは3.0 %以上含有させる必要が
ある。一方、13.0%を超える多量の含有は、溶接材料を
高価なものとし経済的に不利となる。さらに、Siは、マ
ルテンサイト変態開始温度(Ms 点)を低下させる作用
を有し、Ms 点低下のためには多く含有させるほうが好
ましい。しかし、Siは脱酸剤として溶接材料から主とし
て供給され、溶接金属にSiを1.0 %を超えて含有させる
ためには、溶接材料の製造における加工性が低下する。
このため、Siは1.0 %以下に調整するのが好ましい。
されるが、2.5 %を超えて含有させるためには、溶接材
料の製造における加工性が低下する。このため、Mnは2.
5 %以下に調整するのが好ましい。本発明では、さらに
Mo、Nbのうちの1種または2種を含有できる。Moは、溶
接金属の耐食性を向上させる目的として、添加すること
ができるが、4.0 %を超えて含有させるためには、溶接
材料の加工性が低下させる。このため、Moは4.0 %以下
とするのが好ましい。
点)を低下させる作用を有し、Ms点低下のためには多
く含有させるほうが好ましい。しかし、1.0 %を超えて
含有させるためには、溶接材料の製造における加工性が
低下する。このため、Nbは1.0 %以下に限定するのが好
ましい。上記した以外の元素については、とくに限定さ
れないが、V、Cu、REM をそれぞれ0.5 %以下含有する
ことは許容される。なお、上記した元素以外に被溶接
材、溶接材料に含有される元素が不可避的に含有されて
もなんら問題はない。
C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nbの含有量を次(1)式 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb≦360 … …(1) (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有
量(質量%))を満足するように調整するのがより好ま
しい。なお、本発明においては、(1)式における各元
素のうち、含有しない元素がある場合には、その元素量
を0として(1)式を計算するものとする。
からは、次(2)式 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 … …(2) (ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有
量(質量%))を満足するのがより好ましい。
させるように、溶接金属の組成を調整することにより、
耐低温割れ性が向上する。(1)式あるいは(2)式を
満足しない場合には、溶接金属のマルテンサイト変態に
よる膨張が少なく、溶接継手に生じる引張残留応力の緩
和が少なく、あるいは圧縮残留応力の発生が見られず、
耐低温割れ性が劣る。
て、溶接材料を用いて被溶接材同士を溶接し溶接継手と
するが、上記した組成、特性の溶接金属が形成されるよ
うに低合金鋼材の組成に応じ、溶接材料の組成、溶接入
熱等の溶接条件を調整する。つぎに、各種継手形状の溶
接継手の製造方法について、図面を参照して説明する。
図3には、端部を所定の開先形状(ここではX開先)に
加工した極厚鋼板11の端部同士を対向させ、この開先内
に多くの層を重ねるように積層する多層盛溶接により溶
接継手を作製した例を示す。被溶接材の板厚に応じて、
積層数は決定されることはいうまでもない。図3の場合
には、極厚材であるため、板厚中央を境にして両側から
積層するのが好ましく、両面に最終層10が形成される。
なお、一方向から積層してもよいことはいうまでもな
い。
属をそれぞれ、上記した、360 ℃以下50℃以上、好まし
くは170 ℃未満50℃以上のマルテンサイト変態開始温度
(Ms 点)を有する組成の溶接金属になるように調整す
るのが好ましい。これにより、溶接金属に生じる引張残
留応力が変態膨張により緩和されるか、あるいは圧縮応
力が残留するようになり、耐低温割れ性が改善される。
この際、先に置かれた溶接金属がマルテンサイト変態開
始温度(Ms点)以上のうちに次の層を重ねることが好ま
しい。
(b)に示すように、少なくとも、初層溶接あるいはさ
らに最終層溶接10により形成される溶接金属のみ上記し
た組成の溶接金属になるように調整してもよい。これに
より、予熱、後熱を必要としなくても、低温割れの発生
は防止される。初層あるいはさらに最終層以外の溶接金
属を、上記した組成、特性の溶接金属とすることは必ず
しも必要でない。
溶接継手を作製する場合も有効である。この場合も、溶
接金属が上記した本発明範囲の組成となるように、溶接
材料、溶接条件を調整するのが好ましい。これにより、
低温割れの発生は防止できる。また、本発明は、隅肉溶
接、円周溶接、補修溶接である肉盛り溶接等の場合にも
適用できることは言うまでもない。
せを例示する。まず、被溶接材として、C:0.05〜0.20
%、Si:0.05〜0.30%、Mn:0.50〜1.50%、Cr:3%以
下、Ni:3%以下、Mo: 1.0%以下を含み、さらにCu:
0.5%以下、Nb: 0.020%以下、V:0.02%以下、Ti:
0.02%以下、P: 0.020%以下のうちの1種または2種
以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる78
0MPa級高張力鋼材を用いる場合は、溶接材料として、被
覆アーク溶接の場合には、JIS Z 3111の規定による溶着
金属の組成が、C:0.20%以下、Si:1.00%以下、Mn:
2.0%以下、Cr:3〜13%、Ni:3〜13%を含み、さら
にMo: 1.0%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.05%以下、
V:0.10%以下、Cu: 0.5%以下のうちの1種または2
種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる
溶接材料を使用し、5〜50kJ/cm の入熱で溶接するのが
好ましく、ガスアーク溶接の場合には、5〜 100kJ/cm
の入熱で溶接するのが好ましい。
(鋼板)を被溶接材と、表2に示す組成(JIS Z3111に
準拠して測定した溶着金属の組成)の溶接材料を用い
て、表3に示す溶接条件で、JIS Z 3158の規定に準拠し
た試験片を用いて溶接割れ性を調査した。
%、温度:20℃、相対湿度:60%の2条件の雰囲気中
で行い、予熱は実施しなかった。ついで、形成された溶
接金属の組成分析をビード中央部付近で実施した。試験
繰り返し数を3とし、溶接部に発生した割れをJIS Z 31
58の規定に準拠して割れの有無、割れ率を測定した。そ
れらの結果を表4に示す。
なしでも低温割れの発生は認められなかった。一方、本
発明範囲を外れる比較例では、試験条件の場合にも割
れの発生が認められた。 (2)式を満足する本発明例は、条件の厳しい試験条件
でも低温割れの発生は認められなかった。 (実施例2)表1に組成を示す低合金鋼材(鋼板)の一
部を被溶接材として、表2に組成(JIS Z 3111に準拠し
て測定した溶着金属の組成)示す溶接材料の一部を用い
て、表5に示す溶接条件(予熱、後熱なし)で、図3、
図4に示す、突き合わせ溶接継手、十字溶接継手(継手
長さ 0.5m )を製作した。これら溶接継手について、溶
接部の割れ発生状況を表面観察により調査した。なお、
一部の継手については、初層と最終層を本発明の範囲の
溶接金属とした。
ったが、本発明の範囲を外れる比較例では、割れが発生
した。
Pa級高張力鋼材、780MPa級以上の高張力鋼材の溶接にお
いても、予熱を行うことなく、低温割れを防止でき、溶
接作業の能率向上に寄与でき、産業上格段の効果を奏す
る。
線を模式的に示す説明図である。
図である。
手の1例を示す。
例を示す。
Claims (11)
- 【請求項1】 溶接材料を用いて被溶接材同士を溶接し
た溶接継手であって、前記被溶接材を低合金鋼材とし、
前記溶接により形成された溶接金属が、C:0.20質量%
以下、Cr:3.0 〜13.0質量%、Ni:3.0 〜13.0質量%を
含有する鉄合金組成で、かつ360 ℃以下50℃以上のマル
テンサイト変態開始温度(Ms 点)を有し、さらに該溶
接金属が室温においてマルテンサイト変態の開始時より
も膨張した状態の温度−伸び曲線を示す組成とすること
を特徴とする鋼構造物用溶接継手。 - 【請求項2】 前記溶接金属が、C 、Si、Mn、Cr、Ni、
Mo、Nbの含有量を下記(1)式を満足するように調整さ
れたことを特徴とする請求項1に記載の溶接継手。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb≦360 … …(1) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
(質量%) - 【請求項3】 前記溶接金属のマルテンサイト変態開始
温度(Ms 点)が、170 ℃未満50℃以上であることを特
徴とする請求項1に記載の溶接継手。 - 【請求項4】 前記溶接金属が、C 、Si、Mn、Cr、Ni、
Mo、Nbの含有量を下記(2)式を満足するように調整さ
れたことを特徴とする請求項3に記載の溶接継手。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 … …(2) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
(質量%) - 【請求項5】 前記溶接金属が、C:0.20質量%以下、
Cr:3.0 〜13.0質量%、Ni:3.0 〜13.0質量%を含有
し、さらにSi:1.0 質量%以下、Mn:2.5 質量%以下を
含み、あるいはさらにMo:4.0 質量%以下、Nb:1.0 質
量%以下の1種または2種を含み残部Feおよび不可避的
不純物からなる鉄合金組成を有することを特徴とする請
求項1ないし4のいずれかに記載の鋼構造物用溶接継
手。 - 【請求項6】 溶接材料を用いて被溶接材同士を溶接し
溶接継手とする溶接継手の製造方法において、前記被溶
接材を低合金鋼材とし、前記溶接により形成される溶接
金属が、C:0.20質量%以下、Cr:3.0 〜13.0質量%、
Ni:3.0 〜13.0質量%を含有する鉄合金組成で、かつ36
0 ℃以下50℃以上のマルテンサイト変態開始温度(Ms
点)を有するように、前記低合金鋼材の組成に応じ、前
記溶接材料の組成、溶接条件を調整することを特徴とす
る鋼構造物用溶接継手の製造方法。 - 【請求項7】 前記溶接金属の組成が、下記(1)式を
満足することを特徴とする請求項6に記載の鋼構造物用
溶接継手の製造方法。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb≦360 … …(1) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
(質量%) - 【請求項8】 前記溶接金属のマルテンサイト変態開始
温度(Ms 点)が、170 ℃未満50℃以上であることを特
徴とする請求項6に記載の鋼構造物用溶接継手の製造方
法。 - 【請求項9】 前記溶接金属が、C 、Si、Mn、Cr、Ni、
Mo、Nbの含有量を下記(2)式を満足するように調整さ
れたことを特徴とする請求項8に記載の溶接継手の製造
方法。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 … …(2) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
(質量%) - 【請求項10】 前記溶接が多層盛溶接であることを特
徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の鋼構造物
用溶接継手の製造方法。 - 【請求項11】 前記多層盛溶接の初層溶接および/ま
たは最終層溶接により形成される溶接金属の組成が、下
記(1)式、または(2)式を満足することを特徴とす
る請求項10に記載の鋼構造物用溶接継手の製造方法。 記 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb≦360 … …(1) 50≦ 719-795C-35.55Si-13.25Mn-23.7Cr-26.5Ni-23.7Mo-11.85Nb<170 … …(2) ここに、C 、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb:各元素の含有量
(質量%)
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---|---|---|---|---|
JP2008229692A (ja) * | 2007-03-22 | 2008-10-02 | Nippon Steel Corp | 耐脆性き裂伝播特性に優れた多層盛突合せ溶接継手及び溶接構造体 |
JP7471461B2 (ja) | 2020-05-28 | 2024-04-19 | 南京鋼鉄股▲ふん▼有限公司 | 深冷環境用の省ニッケル低温鋼サブマージアーク溶接ワイヤおよび溶接プロセス |
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1999
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