JP2001176372A - 回路遮断器 - Google Patents

回路遮断器

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JP2001176372A
JP2001176372A JP36201299A JP36201299A JP2001176372A JP 2001176372 A JP2001176372 A JP 2001176372A JP 36201299 A JP36201299 A JP 36201299A JP 36201299 A JP36201299 A JP 36201299A JP 2001176372 A JP2001176372 A JP 2001176372A
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arc
resin
circuit breaker
aliphatic ketone
ketone resin
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JP36201299A
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Hideo Horibe
英夫 堀邊
Toshiyuki Sugano
俊行 菅野
Sho Yamada
祥 山田
Takao Mihashi
孝夫 三橋
Mitsuru Tsukima
満 月間
Kazunori Fukutani
和則 福谷
Masahiro Fushimi
征浩 伏見
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、難燃性、耐熱性に優れ、かつ遮
断後における筐体内部の絶縁性能の劣化を抑制する回路
遮断器を得ることを目的とする。 【解決手段】 この発明にかかわる回路遮断器は、可動
接点2と固定接点3間で発生するアークに曝される部分
に脂肪族ケトン樹脂を主成分とする樹脂または脂肪族ケ
トン樹脂の複合体を主成分とする樹脂を配置することに
よって、難燃性、耐熱性を向上し、回路遮断後における
絶縁性の劣化を抑制するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回路遮断器に関
するもので、特に難燃性、耐熱性に優れ、回路遮断後の
筐体内部の絶縁性能劣化を抑制できる材料を用いた回路
遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1および図2は、例えば、実開昭63
−44354号公報に示された従来の回路遮断器の断面
図であり、図1は回路遮断器のオン状態、図2は回路遮
断器のオフ状態を示す。また、図3は、図1および図2
には示していない消弧部(細隙材)を示す側面図(a)
および平面図(b)である。図において、1は銅などの
導体からなる可動接触子、2は可動接触子1の一端に固
着された可動接点、3は可動接点2と接離する固定接
点、4は固定接点3が固着された銅などの導体からなる
固定接触子、5は固定接触子4の他端部に構成された電
源側の端子部であり、外部電源から配線が接続される。
6は消弧装置であり互いに空隙を介して積層配列され、
可動接点2と固定接点3の間に発生したアークを冷却、
消弧する磁性体の金属からなる複数の消弧板(グリッ
ド)6aと、グリッド6aを両側で保持する消弧側板6
bと、図3に示した消弧部(細隙材)6cで構成され、
消弧部6cおよび消弧側板6bは絶縁材料からなる。消
弧部6cは可動接点2および固定接点3の間に設けてお
り、固定接点3を露出させ、アークに曝される固定接触
子3の全面を覆うように設けられている。7は可動接触
子1を回動し、開閉駆動する開閉機構部、8はこの開閉
機構部7を手動で操作するためのハンドル、9は引き外
し装置、10は負荷側の端子部である。11はカバー、
12はベースで、上記の部品を収納・固定し、筐体16
の一部を構成している。13は端子部5を筐体16内と
隔離するエンドプレートであり、アークによるホットガ
スを排出する排気孔13aを有し、ベース12に設けら
れたガイド溝12aに挿入装着されている。14はアー
クを端子部5の方向へ走行させるアークランナである。
【0003】次に動作について説明する。図1におい
て、ハンドル8を操作すると、開閉機構部7が動作して
可動接触子1が回動し、可動接点2と固定接点3とが接
触開離する。端子部5を電源に、端子部10を負荷に接
続し、接点を接触させることにより電力が電源から負荷
に供給される。この状態で、通電の信頼性を確保するた
めに可動接点2は固定接点3に規定の接触圧力で押さえ
つけられている。ここで、負荷側に過電流が流れると、
過電流を引き外し装置9で検出し、図2に示すように両
接点2,3の間にアーク15が発生する。
【0004】しかし、短絡事故などが起こり回路に大き
な過電流が流れると、両接点2,3間の接触面における
電磁反発力が非常に強くなり、上記の可動接点2に加わ
っている接触圧力に打ち勝つために、可動接触子1は引
き外し装置9および開閉機構部7の動作を待たずに回動
し、接点2,3の開離がおこる。アーク電圧は、固定接
点3から可動接点2までの開離距離が増大するに従って
上昇し、また、同時にアーク15が消弧装置6の方向へ
磁気力によって引き付けられ伸長するために、更に上昇
する。このようにして、アーク電流は電流零点を迎えて
アーク15を消弧し、遮断が完了する。このような遮断
動作中において、可動接点2と固定接点3との間には、
アーク15によって短時間、すなわち数ミリ秒のうちに
大量のエネルギが発生する。そのため、カバー11、ベ
ース12およびエンドプレート13で構成される筐体1
6内の気体の温度及び圧力は急激に上昇する。この高温
高圧の気体は排気孔13aから大気中へ放出される。ま
た、筐体16内の圧力の低い開閉機構部7等へも高温高
圧の気体は吹き付けられる。
【0005】回路遮断器において過電流が発生したとき
に、可動接点2と固定接点3との間に発生するアークを
消弧するために、このアークに曝される部分、すなわ
ち、消弧装置の消弧側板、消弧部(細隙材)に絶縁材料
が設けられる。
【0006】消弧装置の消弧側板、消弧部(細隙材)の
絶縁物は、アークに曝されることによって熱分解ガスを
発生し、発生した熱分解ガスによりアークが冷却され消
弧される。
【0007】前記消弧装置、消弧部に使用される消弧用
絶縁材料については、特開昭63−310534号公報
などに記載されているように、アクリル酸エステル共重
合体、脂肪族炭化水素樹脂、ポリビニルアルコール、ポ
リブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセター
ル、イソプレン樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチ
レン−ビニルアセテート共重合体またはポリアミドに、
ガラス繊維を5〜35wt%含有させた絶縁材料等が用
いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、回路遮断器に使
用されるプラスチック材料に対して要求される難燃性の
レベルが向上している。具体的には、IEC60947
規格やUL746規格に適合する製品が要望されてい
る。両規格の中では、消弧部(細隙材)等の通電部を保
持する材料の難燃性に関して、グローワイヤイグニッシ
ョン(GWI)960℃、ホットワイヤイグニッション
(HWI)等が規定されており、両規格を満足するには
UL94の最上級レベルのV−0級材料が必要であり、
ヨーロッパに出荷する製品に関しては特に上記規格を満
足する必要がある。ただし、日本国内に出荷するものに
ついてはまだ上記規格を満足する必要なく、UL94の
HB級材料でもよい。
【0009】また、配電盤サイズの縮小化にともない、
回路遮断器自体がコンパクト化される傾向にあり、消弧
室のサイズも小さくなっている。このため、消弧部(細
隙材)、消弧装置は、遮断時に発生するアーク(温度:
7000〜20000℃)に対し、非常に近接すること
になり、消弧部(細隙材)、消弧装置の樹脂成形物とし
て用いる消弧材料に対して高い耐熱性が必要となる。耐
熱性の高い材料としては、芳香族樹脂があるが、炭素含
有率が高いため、遮断後の遮断器内部の絶縁抵抗値を大
幅に低下する。従って、樹脂組成物として芳香族樹脂は
使用できない。
【0010】また、短絡電流などの大電流を遮断する場
合、アークによる大量のエネルギーが導電部材である可
動接触子、固定接触子や接点、構造部材である消弧板
(グリッド)などの金属を溶融し、かつカバーやベー
ス、消弧部、消弧側板などの樹脂を分解する。しかも、
アークの発生と同時に遮断器内部の圧力は急激に上昇す
るため、これらの金属蒸気や、樹脂が分解して発生する
遊離炭素は筐体内の各部、細部に至るまで拡散し蒸着、
付着、堆積されるので、筐体内部の絶縁抵抗値は大幅に
低下する。
【0011】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、難燃性、耐熱性に優れ、電流
遮断後の絶縁性能の劣化を抑制できる回路遮断器を得る
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の回路
遮断器は、導体に固定接点が固着された固定接触子と、
上記固定接点と接離する可動接点が固着された可動接触
子と、この可動接触子を回動させる開閉機構部と、上記
固定接点と可動接点とが接離するときに発生するアーク
を消弧する消弧装置とを収納する筐体を備えた回路遮断
器において、上記アークに曝される部分に、脂肪族ケト
ン樹脂を主成分とする樹脂、または、脂肪族ケトン樹脂
の複合体を主成分とする樹脂を設けたものである。
【0013】本発明に係る第2の回路遮断器は、上記第
1の回路遮断器において、脂肪族ケトン樹脂の複合体を
主成分とする樹脂が、脂肪族ケトン樹脂にアークに曝さ
れて酸素原子を発生する充填材を含有するものである。
【0014】本発明に係る第3の回路遮断器は、上記第
2の回路遮断器において、充填材が、金属水酸化物であ
るものである。
【0015】本発明に係る第4の回路遮断器は、上記第
3の回路遮断器において、金属水酸化物の含有量が20
wt%以上、50wt%以下であるものである。
【0016】本発明に係る第5の回路遮断器は、上記第
2ないし第4の回路遮断器のいずれかにおいて、充填材
が表面処理されているものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る回路遮断器
の実施の形態を、図1ないし図4に基づいて説明する。
本発明に係わる回路遮断器は、既に説明した図1ないし
図3の主要部品の構成において、両接点2,3間に発生
するアークに曝される部分、特に消弧部(細隙材)、消
弧装置6、ベース12、エンドプレート13、カバー1
1の少なくともアークに曝される部分に脂肪族ケトン樹
脂の成形物または脂肪族ケトン樹脂の複合体成形物を設
ける。
【0018】樹脂成形物は、脂肪族ケトン樹脂と必要量
の充填剤を混合し、押し出し機によってペレットを形成
した後、射出成形によって製造する。混練機は、樹脂成
形物の必要量や金属水酸化物等の充填材の含有量によ
り、バンバリミキサー、加圧ニーダ、ロールミキサーを
適宜選択する。
【0019】従来、消弧部(細隙材)、消弧装置6に使
用していたポリアミドは、温度が上昇すると完全になく
なってしまうのに対して、本実施の形態の、アークに曝
される部分に設ける脂肪族ケトン樹脂の成形物または脂
肪族ケトン樹脂の複合体成形物は、アークに曝されたと
きに脂肪族ケトン樹脂が炭化され、表面に炭化物層が残
存するので難燃性を高くすることができる。すなわち、
脂肪族ケトン樹脂は、アークに曝される前の重量の25
%が炭化物層として残存する。この炭化物層は、この炭
化物層の下にあるポリマへの熱と酸素の供給を遮断する
効果があるため、脂肪族ケトン樹脂はポリアミドに比較
して難燃性が高くなる。
【0020】また、脂肪族ケトン樹脂はポリアミドに比
較して、耐熱性が高い。具体的には、脂肪族ケトン樹脂
の温度インデックスが90℃であるのに対し、ポリアミ
ド6およびポリアミド66の温度インデックスは65℃
である。温度インデックスとは、10万時間後に材料の
機械物性あるいは電気物性が初期値から半減する温度で
あり、温度インデックスが高い脂肪族ケトン樹脂は、ポ
リアミドよりも耐熱性が高く、本実施の形態のように、
アークに曝される部分に脂肪族ケトン樹脂の成形物また
は脂肪族ケトン樹脂の複合体成形物を設けることによっ
て、回路遮断器の耐熱性を向上させることができる。
【0021】また、脂肪族ケトン樹脂に、金属水酸化物
等の充填材を充填した脂肪族ケトン樹脂の複合体成形物
は、アークに曝されたとき、成形物内に含有された充填
材がアークの高熱によりプラズマ状になり、構成元素中
の酸素原子(O)がプラズマ状の金属(接点等の金属が
一部溶融して発生する)を酸化して絶縁性の金属酸化物
を生成し、この生成物が筐体16内部の堆積物中に多量
に混入するので、筐体16内部の表面に、導電回路が形
成されず、絶縁抵抗の低下を防止する。
【0022】脂肪族ケトン樹脂に充填する充填材として
は、アークに曝されたときに、酸素原子を発生するもの
であればよく、金属水酸化物の他、四酸化アンチモン、
五酸化アンチモン、ガラスファイバ、あるいは炭酸カル
シウム、珪灰石、含水珪酸マグネシウム等の無機鉱物、
ケイ酸アルミニウム繊維、ホウ酸アルミニウムウイス
カ、アルミナウイスカ等のセラミック繊維等を用いて効
果を発揮する。また、金属水酸化物としては、例えば、
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等があげられ
る。
【0023】脂肪族ケトン樹脂に充填する充填材の量
は、20wt%以上とすることによって、難燃性、耐熱
性および絶縁性を著しく向上させることができる。従来
の材料として用いられていたポリアミドの場合には、同
等の難燃性を得るために50〜60wt%の充填材を必
要とし、その結果、樹脂成形物の耐衝撃性、破断時の伸
びが著しく低下し、また、製造時における流動性が低下
したが、脂肪族ケトン樹脂を母材とする場合には、充填
する充填材量は、少なくてすむので、上記耐衝撃性、破
断時の伸びおよび流動性の低下を抑制することができ
る。
【0024】これらの充填材の脂肪族ケトン中の含有量
は、20〜50wt%が望ましい。すなわち、50wt
%を超えると、樹脂との混練時にトルクが大きくなり充
填できなくなる。また、上記のように、20wt%以上
充填することによって、難燃性、耐熱性および遮断後の
絶縁性能を著しく向上させることができる。
【0025】また、特に、充填材として金属水酸化物を
充填することによって、成形物の難燃性を向上すること
ができる。脂肪族ケトン樹脂中における金属水酸化物も
含有量を20wt%以上とすることによって、難燃性
(UL94 V−0、1.6mmt)を得ることができ
る。
【0026】金属水酸化物等の充填材は一般に樹脂中で
の分散性が悪いが、あらかじめ金属水酸化物等の充填材
を表面処理することによって、脂肪族ケトン樹脂中での
分散状態を改善し、耐衝撃性、破断時の伸びを低下させ
ることなく、充填量を50wt%まで増やすことができ
る。また、あらかじめ金属水酸化物等の充填材を表面処
理する代わりに、脂肪族ケトン樹脂と金属水酸化物等の
充填材を混練する時に表面処理剤を混合しても同様の効
果が得られる。
【0027】表面処理剤としては、シランカップリング
剤、高級脂肪酸等の界面活性剤を用いることができる。
【0028】樹脂成形物の調製に際して、脂肪族ケトン
樹脂、金属水酸化物等の充填材、表面処理剤以外に、必
要に応じて種々の添加剤を混合してもよい。添加剤とし
ては、例えば、酸化防止剤、安定剤などがある。混練方
法は、上記のようにあらかじめ表面処理した金属水酸化
物等の充填材を混練してもよいし、同時に全てを配合・
混練して調製してもよい。
【0029】樹脂成形物の設置箇所として、両接点2,
3の接離位置と開閉機構部7との間にバリヤとして設け
ることにより、開閉機構部7側へと向かう高温高圧ガス
中の金属蒸気や遊離炭素を酸化させて、導電性の金属蒸
気や遊離炭素の流入を少なくすることができる。
【0030】また、消弧部6cを、樹脂成形物からなる
プレートで形成することによって、導電性の金属蒸気の
発生を少なくするとともに、固定接点3から発生する金
属蒸気を酸化させることができる。
【0031】また、消弧板6aの後方に設けられたエン
ドプレート13を上記脂肪族ケトン樹脂の成形物または
脂肪族ケトン樹脂の複合体成形物で構成することによっ
て、外部配線が接続された端子部5の絶縁低下を抑制す
ることができる。
【0032】また、互いに空隙を介して積層配列された
複数の消弧板6aを両側で保持する消弧側板6bの内面
に上記脂肪族ケトン樹脂の成形物または脂肪族ケトン樹
脂の複合体成形物を設けることによって、導電性の金属
蒸気の発生を少なくするとともに、接点2,3から発生
する金属蒸気を酸化させることができる。
【0033】また、可動接触子1の最大開閉時に可動接
点2と近接して対向する位置、具体的には消弧板6aの
最上部に上記脂肪族ケトン樹脂の成形物または脂肪族ケ
トン樹脂の複合体成形物を設けてもよい。
【0034】また、本実施の形態において、射出成形に
よる樹脂成形物に換えて、必要な個所に脂肪族ケトン樹
脂または脂肪族ケトン樹脂の複合体を塗布することによ
って設けても同様の効果が得られる。塗布する場合に
は、脂肪族ケトン樹脂を、六フッ化イソプロピルアルコ
ールあるいはメタクレゾール等の溶媒に溶解し、この溶
液に必要に応じて充填剤を混合した混合液を用いる。
【0035】
【実施例】以下に、本発明の実施例と比較例によって、
本発明の効果を示す。 実施例1〜12.母材樹脂として脂肪族ケトン樹脂を用
い、充填材として水酸化マグネシウム(水マグ)、水酸
化アルミニウム(水アル)、ガラスファイバを表1に示
す含有量になるように、ブラベンダーを用いて脂肪族ケ
トン樹脂中に分散させ、押し出し機でペレット状にし、
さらに、このペレットを射出成形して樹脂成形物を得
た。
【0036】
【表1】
【0037】得られた樹脂成形物の難燃性(UL94試
験(1.6mmt))、温度インデックスを求めた。
【0038】また、得られた樹脂成形物(試料)の絶縁
性に関する試験を行った。図4は、この絶縁性試験に用
いた装置を示す断面図(a)と側面図(b)で、図にお
いて、18は試験容器、19は対向電極、20は樹脂成
形物、21は垂直板、22は水平板、23は試料台であ
る。試験は、300V、20KAの過電流が流れる電気
回路で行なった。電極接点にはAg60wt%−WC3
6wt%−グラファイト4wt%の組成の材料を使用し
た。試験容器内に設置した垂直板、水平板は不飽和ポリ
エステルにガラスファイバーを30wt%充填したもの
で、初期(試験前)の抵抗値は無限大(∞)であった。
【0039】また、上記絶縁性試験後の樹脂成形物表面
の抵抗値を測定した。また、試験容器内に試料に対し水
平方向と垂直方向に設置した水平板と垂直板の抵抗値を
測定した。この測定は、電気回路に過電流が流れたとき
アークが発生し、このアークにより図1、図2に示した
接点2,3が溶融、飛散し、その成分が接点2,3の近
辺の部品に付着するのを模擬したものである。
【0040】さらに、実際の回路遮断器に得られた樹脂
成形物を用いて、実機の筐体抵抗の評価試験を行った。
【0041】比較例1〜5.母材樹脂としてポリアミド
6(PA6)を用い、充填材として水マグ、ガラスファ
イバを表1に示す含有量になるようにブラベンダーを用
いて脂肪族ケトン樹脂中に分散させ、成形して樹脂成形
物を得た。
【0042】得られた樹脂成形物について、上記実施例
1〜12と同様に、難燃性(UL94試験(1.6mm
t))と、温度インデックスを求めた。
【0043】表2に、上記実施例1〜12および比較例
1〜5で得られた樹脂成形物の難燃性と温度インデック
スのデータを示す。
【0044】
【表2】
【0045】母材に脂肪族ケトン樹脂を用いた樹脂成形
物はいずれも、母材にポリアミド6(PA6)樹脂を用
いた樹脂成形物と比較して耐熱性を示す温度インデック
スが優れていることがわかる。また、母材に脂肪族ケト
ン樹脂を用い、金属水酸化物、ガラスファイバなどの充
填材を20wt%以上含有させた樹脂成形物はいずれ
も、母材にPA6樹脂を用いた樹脂成形物と比較して難
燃性が優れ、特に、母材に脂肪族ケトン樹脂を用い、水
酸化物を20wt%以上含有させた樹脂成形物は溶融も
せず、今後のヨーロッパ出荷規格の難燃性(V−0)を
満足していることがわかる。
【0046】なお、母材樹脂が脂肪族ケトン樹脂で、水
マグが0wt%と10wt%の場合、難燃性はHBであ
り、ガラスファイバを充填材としたものは、難燃性がH
BないしV−1であり、前述したIEC規格を満足しな
いが、国内における回路遮断器としては使用可能であ
り、しかも耐熱性に優れたものである。
【0047】次に、表3に、上記実施例1〜12で得ら
れた樹脂成形物の絶縁性に関する試験結果を示す。
【0048】
【表3】
【0049】表3に示されているように、水マグの含有
量が20〜50wt%の場合、試験後の試料面の抵抗は
無限大で、水平板の抵抗も無限大であった。垂直板の抵
抗は水マグの充填量とともに、絶縁抵抗は上昇してい
る。これらの傾向は水アルの場合も、同様である。
【0050】次に、表4に、上記実施例1〜12で得ら
れた樹脂成形物を、実際の回路遮断器に用い評価した結
果を示す。回路条件は、260V、50KAで、3回遮
断後における回路遮断器の筐体部分の抵抗値を測定し
た。
【0051】
【表4】
【0052】表4から明らかなように、実機筐体部分の
抵抗値の1つの基準として5MΩ以上とすると、その基
準以上の抵抗値を示したのは、脂肪族ケトン樹脂に水マ
グを20〜50wt%充填した材料である。また、脂肪
族ケトン樹脂に水アルを充填したものも、同様の傾向を
示す。
【0053】なお、上記実施例6、8および12におい
ては、金属水酸化物等の充填剤として、高級脂肪酸で表
面処理されているものを用いることにより、脂肪族ケト
ン樹脂中での分散性が向上し通常45wt%しか充填で
きなかったものが、より多量(50wt%)に金属水酸
化物等の充填剤を充填することでき、難燃性が向上し、
かつ、電流遮断後の絶縁性能の劣化をさらに抑制でき
た。
【0054】
【発明の効果】本発明に係る第1の回路遮断器によれ
ば、導体に固定接点が固着された固定接触子と、上記固
定接点と接離する可動接点が固着された可動接触子と、
この可動接触子を回動させる開閉機構部と、上記固定接
点と可動接点とが接離するときに発生するアークを消弧
する消弧装置とを収納する筐体を備えた回路遮断器にお
いて、上記アークに曝される部分に、脂肪族ケトン樹脂
を主成分とする樹脂、または、脂肪族ケトン樹脂の複合
体を主成分とする樹脂を設けたことによって、難燃性と
耐熱性を向上し、筐体内部の絶縁性の低下を抑制するこ
とができる。
【0055】本発明に係る第2の回路遮断器によれば、
脂肪族ケトン樹脂の複合体からなる樹脂が、脂肪族ケト
ン樹脂に、アークに曝されて酸素原子を発生する充填材
を含有するものであることによって、難燃性と耐熱性を
さらに向上し、筐体内部の絶縁性の低下抑制力をさらに
向上することができる。
【0056】本発明に係る第3の回路遮断器によれば、
充填材が、金属水酸化物であることによって、難燃性と
耐熱性をさらに向上し、筐体内部の絶縁性の低下抑制力
をさらに向上することができる。
【0057】本発明に係る第4の回路遮断器によれば、
金属水酸化物の含有量が20wt%以上、50wt%以
下であることによって、特に、難燃性を向上することが
できる。
【0058】本発明に係る第5の回路遮断器によれば、
充填材が表面処理されていることによって、樹脂中にお
ける充填材の分散性をよくし、充填材の充填量を機械的
な特性を劣化させることなく増やすことができるので、
難燃性と耐熱性をさらに向上し、筐体内部の絶縁性の低
下抑制力をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 回路遮断器のオン状態を示す断面図である。
【図2】 回路遮断器のオフ状態を示す断面図である。
【図3】 消弧部(細隙材)を示す、側面図(a)およ
び平面図(b)である。
【図4】 樹脂成形物の絶縁性評価に用いた装置を示
す、正面図(a)および側面図(b)である。
【符号の説明】
1 可動接触子、2 可動接点、3 固定接点、4 固
定接触子、5,10 端子部、6 消孤装置、6a 消
孤板(グリッド)、6b 消孤側板、6c 消弧部(細
隙材)、7 開閉機構部、8 ハンドル、9 引き外し
装置、11 カバー、12 ベース、12a ガイド
溝、13 エンドプレート、13a 排気孔、14 ア
ークランナ、15 アーク、16 筐体、18 試験容
器、19 対向電極、20 樹脂成形物、21 垂直
板、22 水平板、23 試料台。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 祥 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 三橋 孝夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 月間 満 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 福谷 和則 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 伏見 征浩 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5G030 AA09 DC09 DE02 XX08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体に固定接点が固着された固定接触子
    と、上記固定接点と接離する可動接点が固着された可動
    接触子と、この可動接触子を回動させる開閉機構部と、
    上記固定接点と可動接点とが接離するときに発生するア
    ークを消弧する消弧装置とを収納する筐体を備えた回路
    遮断器において、上記アークに曝される部分に、脂肪族
    ケトン樹脂を主成分とする樹脂、または、脂肪族ケトン
    樹脂の複合体を主成分とする樹脂を設けたことを特徴と
    する回路遮断器。
  2. 【請求項2】 脂肪族ケトン樹脂の複合体を主成分とす
    る樹脂が、脂肪族ケトン樹脂に、アークに曝されて酸素
    原子を発生する充填材を含有するものであることを特徴
    とする請求項1記載の回路遮断器。
  3. 【請求項3】 充填材が、金属水酸化物であることを特
    徴とする請求項2記載の回路遮断器。
  4. 【請求項4】 金属水酸化物の含有量が20wt%以
    上、50wt%以下であることを特徴とする請求項3記
    載の回路遮断器。
  5. 【請求項5】 充填材が表面処理されていることを特徴
    とする請求項2ないし4のいずれかに記載の回路遮断
    器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003044818A1 (fr) * 2001-11-20 2003-05-30 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Disjoncteur
JP2011071048A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Mitsubishi Electric Corp 消弧用絶縁成型物、および、それを用いた回路遮断器
JP2012181924A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Fuji Electric Co Ltd 回路遮断器

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