JP2001173947A - ボイラ火炉壁の支持構造及びこれを有するl形ボイラ - Google Patents
ボイラ火炉壁の支持構造及びこれを有するl形ボイラInfo
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Abstract
ができ、特にL形ボイラの火炉壁の支持構造として有用
なボイラ火炉壁の支持構造を提供する。 【解決手段】 地面28に設けた柱である支持鉄骨29
と、この支持鉄骨29の頂部に水平に設けた支持梁3
0、31とで、ボイラ本体21の火炉壁22の周囲に鉄
骨構造物を構築し、上端部が支持梁31にブラケット3
3を介して取り付けられ、下端部が火炉壁22に吊金具
34を介して取り付けられた吊り下げロッド35で火炉
壁22の中央部を吊って鉄骨構造物で支持するようにし
たものである。
Description
構造及びこれを有するL形ボイラに関し、特に燃焼ガス
を火炉上部から下部に向かって流し、さらに水平な後部
煙道へと流す、いわゆるL形ボイラに適用して有用なも
のである。 【0002】 【従来の技術】図7は従来技術に係る吊下形単胴放射形
微粉炭焚き大形ボイラの一例を示す説明図である。同図
に示すように、この種の大形ボイラにおいては、そのボ
イラ本体1の火炉壁2にメンブレンウォール(溶接水管
パネル)を採用し、全体を箱形として構成している。ボ
イラ本体1の主要部としては、火炉3、蒸気ドラム4、
過熱器5、再熱器13、節炭器6、燃焼装置7及びホッ
パ8等を有している。かかる、ボイラ本体1において燃
焼装置7により火炉3で燃料を燃焼して得る高温の燃焼
ガスは、メンブレンウォールの水管内の水と熱交換しな
がら、図7に矢印で示すように、火炉3の下部から上部
へ上昇してボイラ本体1の最上部に至り、ここで向きを
変えて過熱器5及び節炭器6等と順に熱交換し、煙突
(図示せず。)へと排出される。 【0003】また、この種のボイラは、そのボイラ本体
1を形成する火炉壁2を含めて、火炉3、蒸気ドラム
4、過熱器5、節炭器6、燃焼装置7及びホッパ8等の
エレメントのほとんど全てを吊り下げ支持する構造とな
っている。すなわち、ボイラ本体1の周囲には、地面1
2に設置された柱である支持鉄骨9及びこの支持鉄骨9
の頂部に水平に配設された頂部支持梁10で構成する鉄
骨構造物が構築してあり、その頂部支持梁10に取り付
けられて垂下する多数の吊り下げボルト11を介してボ
イラ本体1を吊り下げ支持している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述の如き吊下形の大
形ボイラにおいては、ボイラ本体1をその最上部で吊下
する構造となっているので、これを吊下するための鉄骨
構造物はボイラ本体1の高さ以上の高さを必要とする大
形構造物となり、しかも十分な剛構造とする必要があ
る。このため、コストが高騰するという問題がある。特
に、過熱器5及び節炭器6等の重量物であるエレメント
の多くがボイラ本体の上部に配設されるため、ボイラ本
体の上部迄強靱な鉄骨構造物とする必要があり、同時に
前述の如きエレメントを高所まで吊り上げて設置作業を
行う必要もある。このため、これらの要因でもコストが
高騰する。 【0005】上述の如き問題点を解決すべく種々の技術
的検討を加えた結果、かかる問題点は、燃焼ガスを火炉
の上部から下部に向かって流し、さらに火炉の下部で水
平方向に延びる後部煙道へと流す、いわゆるL形ボイラ
構造とすることにより解決し得る点に思い至った。かか
るL形ボイラにおいて、過熱器、再熱器及び節炭器等の
エレメントはボイラ本体の下部を構成する後部煙道に配
設するため、これらのエレメントを据え付けるための高
所作業を除去することができるばかりでなく、ボイラ本
体を吊下する鉄骨構造物の鉄骨量を大幅に低減すること
ができるからである。すなわち、L形ボイラとした場
合、図7に示す従来技術に係るボイラに較べ、ボイラ本
体の高さを2/3程度に抑えることができ、また火炉壁
の中央部を吊れば良く、しかも重量物である主要機器は
ボイラ本体の下部に配設すれば良いため、強靱な鉄骨は
その分低い位置のみに構築すれば良いからである。な
お、L形ボイラはボイラ本体の高さが低いため、耐震性
に優れるという効果も有する。さらに、過熱器及び節炭
器等のエレメントを収納する後部煙道をモジュール化し
て輸送することができるので、高所作業が大幅に減少
し、工期の短縮化も図ることができる。したがって、こ
の点に起因するコストの低減も図り得る。 【0006】上述の如くL形ボイラを採用すれば、図7
に示す従来技術に係るボイラ1に較べて多くの特長を有
することが期待される。そして、上述の如きL形ボイラ
の特長は大形になればなる程顕著になるが、その開発に
当たり、当該ボイラの火炉壁の支持構造を新たに考案す
る必要が生じた。 【0007】本発明は、上記従来技術に鑑み、火炉壁を
低廉なコストで良好に支持することができ、特にL形ボ
イラの火炉壁の支持構造として有用なボイラ火炉壁の支
持構造及びこれを有するL形ボイラを提供することを目
的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の構成は、次の点を特徴とする。 【0009】1) ボイラ本体の火炉壁の周囲に構築さ
れた鉄骨構造体で火炉壁を支持するボイラ火炉壁の支持
構造において、上端部が上記鉄骨構造物に取り付けられ
た複数本の吊り下げロッドの下端部で、上記火炉壁の中
央部を、この火炉壁の壁面方向の複数箇所で吊下すると
ともに、少なくとも火炉壁の外側方向への熱伸びを吸収
し得るよう当該外側方向への移動を許容するように吊下
したこと。本発明によれば、火炉壁の外側方向への熱伸
びを吸収しつつ、その中央部を吊り下げ支持することが
できる。 【0010】2) 上記1)に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、吊り下げロッドの上下両端部は、火
炉壁の壁面方向に平行に設けたピンを介して鉄骨構造物
及び火炉壁にそれぞれ回動可能に取り付けたこと。本発
明によれば、火炉壁の外側への熱伸びは、吊り下げロッ
ドがピンを介して回動することにより吸収することがで
きる。 【0011】3) 上記1)に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、吊り下げロッドの上下両端部の少な
くとも一方は、球面座金を介して鉄骨構造物及び火炉
壁、又は鉄骨構造物若しくは火炉壁の何れか一方に、全
方向に回動可能に取り付けたこと。本発明によれば、火
炉壁の外側への熱伸びのみならず、これと直角な火炉壁
に沿う方向への熱伸びも吸収することができる。 【0012】4) 上記1)乃至3)に記載するボイラ
火炉壁の支持構造において、吊り下げロッドによる火炉
壁側の吊り下げ位置は、火炉壁の高さ方向の複数箇所に
当該火炉壁の壁面に沿って水平に設けた補強部材である
バックスティのうち、上下で隣接するもの同士の中間部
から下方にオフセットした位置としたこと。本発明によ
れば、火炉壁の自重による変形及び応力を小さくするこ
とができる。 【0013】5) 上記1)乃至4)に記載する何れか
1つのボイラ火炉壁の支持構造において、吊り下げロッ
ドの上端部は、鉄骨構造物から火炉壁側に突出させたブ
ラケットを介して取り付けたこと。本発明によれば、吊
り下げロッドと、火炉壁の壁面のなす角度を小さくする
ことができる。 【0014】6) 上記1)乃至5)に記載する何れか
1つのボイラ火炉壁の支持構造において、高さ方向に水
管と平板状のフィンとを交互に並べて溶接したメンブレ
ンウォールで形成した火炉壁の壁面を面一にするよう、
水管からフィンに向かって形成されている凹部を充填
し、隣接する水管間に平面部を形成するパッドを溶接
し、さらにこのパッドに溶接した平板部に吊り下げロッ
ドの下端部を支持するための吊金具を固着したこと。本
発明によれば、十分な強度を確保した上で、メンブレン
ウォールで形成した火炉壁に吊金具を固着することがで
きる。 【0015】7) 上記6)に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、パッドに溶接する平板部は、短冊状
に形成した平板であるベース板を吊り下げ点の数だけ火
炉壁の壁面に沿って複数個配設して形成したこと。本発
明によれば、吊金具の固着のため小片であるベース板を
個別に火炉壁に固着すれば良い。 【0016】8) 上記6)に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、パッドに溶接する平板部は、火炉壁
の壁面に沿って水平に配設した通し板としたこと。本発
明によれば、通し板が吊金具の固着のための部材として
のみならず火炉壁の補強部材としても機能する。 【0017】9) 火炉の上部に燃焼装置を有し、燃焼
ガスを上部から下部に向かって流すとともに、この燃焼
ガスを火炉に連続する水平な後部煙道へと流して排出す
るL形ボイラにおいて、その火炉壁を、上記1)乃至
8)に記載する何れか一つの支持構造で吊下したこと。
本発明によれば、火炉内で燃焼して下降させられる燃焼
ガスの一部が浮力により上昇することにより、下降する
ガス流とともに上昇するガス流も発生するので、両方の
ガス流が混ざり合い、燃焼効率も向上することが期待さ
れる。このこととも相まって火炉壁の高さを従来形の火
炉壁の高さの2/3程度に抑えることができる。また、
この場合火炉壁の中央部を吊れば良く、しかも重量物で
ある主要機器はボイラ本体の下部に配設すれば良いた
め、強靱な鉄骨はその分低い位置のみに構築すれば良
い。 【0018】10) 上記9)に記載するL形ボイラに
おいて、後部煙道内に配設する過熱器及び節炭器等のエ
レメントを後部煙道とともにモジュール化して構成した
こと。本発明によれば、過熱器等のエレメントを収納す
る後部煙道を数体のブロックとして輸送し、且つ組み立
てることができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づき詳細に説明する。 【0020】図1はL形ボイラを概念的に示す説明図で
ある。同図に示すように、ボイラ本体21は、メンブレ
ンウォールの火炉壁22で横断面が矩形になるように形
成した垂直な筺体である火炉23と、この火炉23の下
部から水平方向に伸びてこの火炉23に連続する水平な
筺体である後部煙道24とを有している。かかるL形ボ
イラでは、火炉23の上部で燃焼装置20により燃料を
燃焼させて生成する燃焼ガスを、図中に矢印で示すよう
に、火炉23の上部から下部に向かって流し、さらに火
炉23の下部で水平方向に向きを変えて後部煙道24へ
と流して煙突(図示せず。)へ排出するようになってい
る。すなわち、このときの、燃焼ガスの流れる方向がL
字形であるのでL形ボイラと呼称する。また、かかるL
形ボイラにおいては、火炉23内で燃焼して下降させら
れる燃焼ガスの一部が浮力により上昇することにより、
下降するガス流とともに上昇するガス流も発生するの
で、両方のガス流が混ざり合い、燃焼効率も向上するこ
とが期待される。この結果、同一出力であれば図7に示
す従来技術に係るボイラの火炉3よりもその高さを低く
して小形化することができる。 【0021】後部煙道24は火炉23の下部で水平方向
に連続しているので、地面28に近接しており、その内
部には過熱器25、再熱器26及び節炭器27等の重量
物であるエレメントが配設してある。かかる後部煙道2
4及び過熱器25等の各エレメントは、従来技術に係る
ボイラ(図7参照)と異なり地面28の近傍に設置され
るため、モジュール化し、数体のブロックとして据え付
け現場へ運搬して火炉23に組み付けることもできる。 【0022】かかるボイラ本体21は、鉄骨構造物に吊
下して支持されている。この鉄骨構造物は、地面28に
設置した柱である支持鉄骨29及びこの支持鉄骨29の
頂部に水平に配設した支持梁30、31で構成してあ
る。ここで、支持梁30は後部煙道24に沿って複数列
が水平に配設されており、支持梁31は炉幅方向(図面
に直角な方向)に水平に配設してある。 【0023】かかる鉄骨構造物に対する火炉壁22の支
持構造の詳細に関しては後述するが、後部煙道24及び
過熱器25等のエレメントは、基端部が支持梁30に固
定されてこの支持梁30から垂下する吊り下げロッド3
2の先端部に吊下してある。 【0024】図2は図1に示すL形ボイラの火炉壁の支
持構造を説明するため、その一部を拡大して示す縦断面
図である。そこで、図1と同一部分には同一番号を付
し、重複する説明は省略する。同図に示すように、支持
梁31には火炉壁22に向かって突出するブラケット3
3が固着してある。一方、火炉壁22にはその外側に向
かって突出する吊金具34が固着してある。かくして、
基本的には、上端部がブラケット33に取り付けられて
いる吊り下げロッド35の下端部に吊金具34を取り付
けることにより、この吊り下げロッド35により火炉壁
22を吊下して支持するようになっている。 【0025】なお、図面の錯綜を避けるため、支持梁3
1は火炉壁22の炉幅方向のもののみを示すが、その奥
行き方向(炉幅方向と直角な方向)にも同様の支持梁が
設けてあり、同様の態様で火炉壁22を吊り下げ支持し
ている。すなわち、支持梁31は火炉壁22の各面にそ
れぞれ対向して4本設けてあり、ブラケット33は各支
持梁31の炉幅方向及び奥行き方向に沿って等間隔に複
数個が設けてある。吊金具34もブラケット33に対応
して火炉壁22に固着してある。かくして、火炉壁22
はその4面が当該火炉壁22の水平方向に分散した複数
箇所で吊り下げロッド35により鉄骨構造物に支持され
ている。なお、以下の説明は炉幅方向に関するものとす
るが、当該支持構造は奥行き方向に関しても全く同様に
構築してある。 【0026】当該ボイラ本体21の熱伸び中心点O(熱
伸びがゼロの基準点)は後部煙道24の天井面24aの
延長線上にあるので、当該延長線と火炉壁22の交点の
位置を吊るのが最も好ましい。火炉壁22と後部煙道2
4との熱伸び差を極力小さくてきるからである。そこ
で、本形態では他の部材(例えば後部煙道24の上に形
成するケーシング36等)との干渉を回避する等、他の
部材との関係で考慮しなければならない条件を充足した
上で可及的に上記交点位置の近傍に上記吊金具34を設
け、火炉壁22の中央部でこの火炉壁22を吊下してい
る。 【0027】また、火炉壁22の外周面には、通常その
水平方向に伸びるバックスティ37と呼称される補強材
が固着してある。このバックスティ37は火炉壁22の
各面で、高さ方向に等間隔に配設し、水平方向に亘って
固着されたI形鋼であり、火炉23の内圧で火炉壁22
が膨張変形するのを抑制するためのものである。吊金具
34は火炉壁22の上下のバックスティ37の間に、両
者の中間部よりも下方位置で火炉壁22に固着してあ
る。このことにより、火炉壁22の自重による変形及び
応力を可及的に低減することができる。この理由は後に
詳述する。 【0028】さらに、ブラケット33の火炉壁22と相
対向する先端部と、火炉壁22との間には火炉壁22の
ブラケット33側への熱伸びを考慮し、この熱伸びを生
起しても火炉壁22がブラケット33に接触することが
ないように適当な間隔を設けてある。また、吊り下げロ
ッド35はブラケット33及び吊金具34に回動可能に
取り付けてあり、火炉壁22の外側方向(炉幅方向と直
角な方向)への熱伸びを吸収するようなっている。かか
る熱伸び吸収機能は吊り下げロッド35の上端部及び下
端部をピンを介して支持することにより容易に実現し得
る。 【0029】ここで、火炉壁22の熱伸びはその炉幅方
向へのものも考慮する必要がある場合がある。特に、大
形のボイラにおいてはそうである。かかる炉幅方向への
熱伸びを火炉壁22の外側方向への熱伸びとともに吸収
するためには、吊金具34の少なくとも一方、好ましく
は両方を球面座金を介してブラケット33及び/又は吊
金具34に取り付けるようにすれば良い。このとき、炉
幅方向への熱伸びはその火炉壁22の中央部から両端部
に行くほど大きくなる。そこで、例えば両端部近傍の吊
り下げロッド35のみを球面座金を介して支持するよう
にする等、熱伸びの実態に対応させて適宜吊り下げロッ
ド35の支持部分の構造を工夫すれば良い。 【0030】図3は図2に示すブラケット33、吊金具
34及び吊り下げロッド35部分に関するさらに具体的
な実施例を示す図で、(a)は当該部分を抽出して示す
縦断面図、(b)はそのA線矢視図である。同図に示す
ように、吊金具34はその2枚が所定の間隔を介して平
板であるベース板38に固着してあり、このベース板3
8がパッド39を介して火炉壁22に溶着してある。こ
こで、ベース板38は吊金具34の数に応じた複数枚が
火炉壁22の水平方向に亘り溶着されている。2枚の吊
金具34の間にはピン40を介して吊り下げロッド35
の下端部が回動可能に支持してある。このことにより、
火炉壁22の外側方向への熱伸びを吸収する。また、吊
り下げロッド35の上端部は球面座金41を介してブラ
ケット33で支持するようになっている。このことによ
り、火炉壁22の外側方向への熱伸びとともに、その炉
幅方向への熱伸びも吸収する。 【0031】前述の如く、火炉壁22はメンブレンウォ
ールで形成してある。このメンブレンウォールは水管2
2aと平板状のフィン22bとを溶接により交互に組み
合わせたものであり、したがってその表面は水管22a
の外周面形状の一部とフィン22bの面の形状とが交互
に繰り返す凹凸形状となっている。したがって、ベース
板38を直接火炉壁22に溶接した場合には、その水管
22aに対するスポット溶接とならざるを得ず、この場
合には取付け強度の面で十分でない場合がでてくる。か
かる問題を解決するために設けたのがパッド39であ
る。このパッド39は、隣接する水管22a間の凹部を
充填するように水管22a及びフィン22bに溶接する
ものであり、この溶接により、火炉壁22の表面を面一
としてベース板38の溶接代を提供する。ベース板38
は、溶接パッド39に溶接することにより十分な強度を
有するものとなる。 【0032】図4は図3に示すパッド39及びその近傍
部分を抽出・拡大して示す図で、(a)はその正面図、
(b)はそのB−B線断面図、(c)はそのC−C線断
面図である。図4中、図3と同一部分には同一番号を付
し、重複する説明は省略する。同図に示すように、パッ
ド39は隣接する水管22aに跨がる平板部39aと、
フィン22bに向かって形成される凹部の形状に沿うよ
う平板部39aの上下両端部から突出させた脚部39b
とを有している。かかるパッド39と水管22a及びフ
ィン22bの境界部分を溶接することにより十分な強度
を有するベース板38の溶接代を形成することができ
る。 【0033】図3に示す実施例では、火炉壁22側に突
出するブラケット33を介して吊り下げロッド35を吊
下するようにしたが、勿論かかる構造に限定するもので
はない。例えば、図5(a)に示すように、支持梁31
の下端面にブラケット41を固着し、このブラケット4
1を利用して吊り下げロッド43で吊り下げる構造であ
っても良い。図5(a)に示す実施例の場合、吊り下げ
ロッド43はその上下両端部に連結金具43a、43b
を有しており、この連結金具43a、43bをピン4
4、45を介してブラケット41及び吊金具42に回動
可能に連結してある。また、図3に示す実施例では短冊
状のベース板38を火炉壁22の水平方向に多数配設し
て溶着したが、かかる構造に限定する必要はない。図5
(b)に示すように、火炉壁22の炉幅方向の全体に亘
り水平な通し板46をパッド39を介して火炉壁22に
溶接し、この通し板46に所定の間隔を保持して吊金具
43を溶着しても良い。 【0034】ここで、図3に示す支持構造を火炉壁22
等に作用する応力の面から考察する。図6は当該支持構
造により火炉壁22に作用する応力の態様を示す図で、
(a)は火炉壁22の上下のバックスティ37の中間部
に吊金具34を設けた場合の説明図、(b)は上記中間
部から下方にオフセットした位置に吊金具34を設けた
場合(図3に示す実施の形態の場合)の説明図である。
両図中、図3と同一部分には同一番号を付している。ま
た、図中の点線は当該支持構造で火炉壁22の自重を吊
った場合の当該火炉壁22の形状を示している。この点
線形状を参照すれば明らかな通り、図6(a)に示すよ
うに、中間部を吊った場合よりも、図6(b)に示すよ
うに、中間部よりオフセットした位置を吊った場合の方
が火炉壁22の変形量を小さくすることができる。そこ
で、この点を考慮して、図3に示す実施の形態では上下
のバックスティの中間よりも下方にオフセットした位置
を吊っている。なお、上方にオフセットさせた場合でも
同様に火炉壁22を吊った場合の変形量を小さくするこ
とはできるが、この場合には吊り下げロッド35と他の
部分の干渉による制限がでてくるため、下方にオフセッ
トさせた場合の方がより適切である。 【0035】また、火炉壁22に作用するモーメントM
は、M=F・cosθ・lで与えられる。すなわち、火
炉壁22とピン40との中心間の距離lが小さい程、モ
ーメントMを小さくすることができる。そこで、この距
離lを可及的に小さくできるようにベース板38の厚さ
及び吊金具34に対するピン40の取付位置を決定す
る。 【0036】さらに、吊り下げロッド35により火炉壁
22の自重を吊るのに有効な成分は、Fcosθで与え
られる。すなわち、吊り下げロッド35と火炉壁22と
がなす角度θを小さくする程、吊り下げロッド35に作
用する力Fを小さくすることができる。そこで、この点
を考慮して、図3に示す実施の形態では、吊り下げロッ
ド35の上端部を、火炉壁22側に突出するブラケット
33を介して支持することにより吊り下げロッド35と
火炉壁22の面とがなす角度θを可及的に小さくしてい
る。 【0037】なお、上記実施の形態は、L形ボイラの支
持構造であり、本発明は、このようにL形ボイラに適用
した場合に最もその特長を発揮し得るが、必ずしもこれ
に限るものではない。従来方式のボイラに適用した場合
でも、これの火炉壁を支持する鉄骨構造物の高さを低く
することができ、その分、鉄骨量を低減することはでき
る。 【0038】 【発明の効果】以上実施の形態とともに具体的に説明し
た通り、〔請求項1〕に記載する発明は、ボイラ本体の
火炉壁の周囲に構築された鉄骨構造体で火炉壁を支持す
るボイラ火炉壁の支持構造において、上端部が上記鉄骨
構造物に取り付けられた複数本の吊り下げロッドの下端
部で、上記火炉壁の中央部を、この火炉壁の壁面方向の
複数箇所で吊下するとともに、少なくとも火炉壁の外側
方向への熱伸びを吸収し得るよう当該外側方向への移動
を許容するように吊下したので、火炉壁の外側方向への
熱伸びを吸収しつつ、その中央部を吊り下げ支持するこ
とができる。この結果、火炉壁を支持する鉄骨構造物の
鉄骨量を低減でき、このこと自体及び当該ボイラの据え
つけ時の高所作業を低減することができる点に起因した
工期の短縮化等により、大幅にコストの低減を図ること
ができる。 【0039】〔請求項2〕に記載する発明は、〔請求項
1〕に記載するボイラ火炉壁の支持構造において、吊り
下げロッドの上下両端部は、火炉壁の壁面方向に平行に
設けたピンを介して鉄骨構造物及び火炉壁にそれぞれ回
動可能に取り付けたので、火炉壁の外側への熱伸びは、
吊り下げロッドがピンを介して回動することにより吸収
することができる。この結果、特に火炉壁の熱伸びを良
好に吸収することができる。 【0040】〔請求項3〕に記載する発明は、〔請求項
1〕に記載するボイラ火炉壁の支持構造において、吊り
下げロッドの上下両端部の少なくとも一方は、球面座金
を介して鉄骨構造物及び火炉壁、又は鉄骨構造物若しく
は火炉壁の何れか一方に、全方向に回動可能に取り付け
たので、火炉壁の外側への熱伸びのみならず、これと直
角な火炉壁に沿う方向への熱伸びも吸収することができ
る。この結果、特に〔請求項2〕に記載する発明よりも
さらに火炉壁の熱伸びを良好に吸収することができる。 【0041】〔請求項4〕に記載する発明は、〔請求項
1〕乃至〔請求項3〕に記載するボイラ火炉壁の支持構
造において、吊り下げロッドによる火炉壁側の吊り下げ
位置は、火炉壁の高さ方向の複数箇所に当該火炉壁の壁
面に沿って水平に設けた補強部材であるバックスティの
うち、上下で隣接するもの同士の中間部から下方にオフ
セットした位置としたので、火炉壁の自重による変形を
小さくすることができる。この結果、特に火炉壁に無理
な応力を作用させることなく、これを支持することがで
きる。 【0042】〔請求項5〕に記載する発明は、〔請求項
1〕乃至〔請求項4〕に記載する何れか1つのボイラ火
炉壁の支持構造において、吊り下げロッドの上端部は、
鉄骨構造物から火炉壁側に突出させたブラケットを介し
て取り付けたので、吊り下げロッドと、火炉壁の壁面の
なす角度を小さくすることができる。この結果、特に吊
り下げロッドに作用する力をより小さくすることができ
るとともに、火炉壁に作用するモーメントも小さくする
ことができる。 【0043】〔請求項6〕に記載する発明は、〔請求項
1〕乃至〔請求項5〕に記載する何れか1つのボイラ火
炉壁の支持構造において、高さ方向に水管と平板状のフ
ィンとを交互に並べて溶接したメンブレンウォールで形
成した火炉壁の壁面を面一にするよう、水管からフィン
に向かって形成されている凹部を充填し、隣接する水管
間に平面部を形成するパッドを溶接し、さらにこのパッ
ドに溶接した平板部に吊り下げロッドの下端部を支持す
るための吊金具を固着したので、十分な強度を確保した
上で、メンブレンウォールで形成した火炉壁に吊金具を
固着することができる。この結果、特に火炉壁を損傷す
ることなく、十分な強度を確保した上で、これを良好に
吊り下げ支持することができる。 【0044】〔請求項7〕に記載する発明は、〔請求項
6〕に記載するボイラ火炉壁の支持構造において、パッ
ドに溶接する平板部は、短冊状に形成した平板であるベ
ース板を吊り下げ点の数だけ火炉壁の壁面に沿って複数
個配設して形成したので、特に吊金具の固着のための小
片であるベース板を個別に火炉壁に固着すれば良い。こ
の結果、特にベース板の取り付け工事、すなわち火炉壁
側の支持部を形成するための工事が簡単になる。 【0045】〔請求項8〕に記載する発明は、〔請求項
6〕に記載するボイラ火炉壁の支持構造において、パッ
ドに溶接する平板部は、火炉壁の壁面に沿って水平に配
設した通し板としたので、通し板が吊金具の固着のため
の部材としてのみならず火炉壁の補強部材としても機能
する。この結果、特に火炉壁の強度的な補強もなすこと
ができる。 【0046】〔請求項9〕に記載する発明は、火炉の上
部に燃焼装置を有し、燃焼ガスを上部から下部に向かっ
て流すとともに、この燃焼ガスを火炉に連続する水平な
後部煙道へと流して排出するL形ボイラにおいて、その
火炉壁を、上記〔請求項1〕乃至〔請求項8〕に記載す
る何れか一つの支持構造で吊下した。この結果、火炉内
で燃焼して下降させられる燃焼ガスの一部が浮力により
上昇することにより、下降するガス流とともに上昇する
ガス流も発生するので、両方のガス流が混ざり合い、燃
焼効率も向上することが期待される。このこととも相ま
って火炉壁の高さを従来形の火炉壁の高さの2/3程度
に抑えることができる。また、この場合火炉壁の中央部
を吊れば良く、しかも重量物である主要機器はボイラ本
体の下部に配設すれば良いため、強靱な鉄骨はその分低
い位置のみに構築すれば良い。この結果、全体のコスト
を飛躍的に低減することができる。また、火炉の高さが
低いので、耐震構造としても優れた性能を有するものと
なる。 【0047】〔請求項10〕に記載する発明は、〔請求
項9〕に記載するL形ボイラにおいて、後部煙道内に配
設する過熱器及び節炭器等のエレメントを後部煙道とと
もにモジュール化して構成したので、過熱器等のエレメ
ントを収納する後部煙道を数体のブロックとして輸送
し、且つ組み立てることができる。この結果、コストの
さらなる低減に寄与し得るものとなる。
に示す説明図である。 【図2】図1に示すL形ボイラの火炉壁の支持構造を説
明するため、その一部を拡大して示す縦断面図である。 【図3】図2に示すブラケット33、吊金具34及び吊
り下げロッド35部分を抽出して詳細に示す図で、
(a)は縦断面図、(b)はそのA線矢視図である。 【図4】図3に示すパッド39及びその近傍部分を抽出
・拡大して示す図で、(a)はその正面図、(b)はそ
のB−B線断面図、(c)はそのC−C線断面図であ
る。 【図5】図3に対応する他の具体例を示す図で、(a)
は縦断面図、(b)はその側面図である。 【図6】図3に示す支持構造により火炉壁22に作用す
る応力の態様を示す図で、(a)は火炉壁22の上下の
バックスティ37の中間部に吊金具34を設けた場合の
説明図、(b)は上記中間部から下方にオフセットした
位置に吊金具34を設けた場合の説明図である。 【図7】従来技術に係る吊下形単胴放射形微粉炭焚き大
形ボイラの一例を示す説明図である。 【符号の説明】 21 ボイラ本体 22 火炉壁 23 火炉 24 後部煙道 25 過熱器 27 節炭器 28 地面 29 支持鉄骨 31 支持梁 33 ブラケット 34 吊金具 35 吊り下げロッド 37 バックスティ 38 ベース板 39 パッド 40 ピン 41 球面座金
25) 【手続補正1】 【補正対象書類名】明細書 【補正対象項目名】全文 【補正方法】変更 【補正内容】 【書類名】 明細書 【発明の名称】 ボイラ火炉壁の支持構造及びこれを有
するL形ボイラ 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ボイラ本体の火炉壁の周囲に構築された
鉄骨構造体に、上端部が取り付けられた複数本の吊り下
げロッドでその下端部を介して、上記火炉壁の中央部
を、この火炉壁の水平方向の複数箇所で吊下するととも
に、少なくとも火炉壁の外側方向への熱伸びを吸収し得
るように吊下したボイラ火炉壁の支持構造において、 上記吊り下げロッドによる火炉壁側の吊り下げ位置は、
火炉壁の高さ方向の複数箇所に当該火炉壁の壁面に沿っ
て水平に設けた補強部材であるバックスティのうち、上
下で隣接するもの同士の中間部から下方にオフセットし
た位置としたことを特徴とするボイラ火炉壁の支持構
造。 【請求項2】 〔請求項1〕に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、吊り下げロッドの上下両端部は、火
炉壁の壁面方向に平行に設けたピンを介して鉄骨構造物
及び火炉壁にそれぞれ回動可能に取り付けたことを特徴
とするボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項3】 〔請求項1〕に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、吊り下げロッドの上下両端部の少な
くとも一方は、球面座金を介して鉄骨構造物及び火炉
壁、又は鉄骨構造物若しくは火炉壁の何れか一方に、全
方向に回動可能に取り付けたことを特徴とするボイラ火
炉壁の支持構造。 【請求項4】 〔請求項1〕乃至〔請求項3〕に記載す
る何れか1つのボイラ火炉壁の支持構造において、 吊り下げロッドの上端部は、鉄骨構造物から火炉壁側に
突出させたブラケットを介して取り付けたことを特徴と
するボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項5】 ボイラ本体の火炉壁の周囲に構築された
鉄骨構造体に、上端部が取り付けられた複数本の吊り下
げロッドでその下端部を介して、上記火炉壁の中央部
を、この火炉壁の水平方向の複数箇所で吊下するととも
に、少なくとも火炉壁の外側方向への熱伸びを吸収し得
るように構成したボイラ火炉壁の支持構造において、 水管と平板状のフィンとを交互に並べて溶接したメンブ
レンウォールで形成した火炉壁の壁面を面一にするよ
う、水管からフィンに向かって形成されている凹部を充
填し、隣接する水管間に平面部を形成するパッドを溶接
し、さらにこのパッドに溶接した平板部に吊り下げロッ
ドの下端部を支持するための吊金具を固着したことを特
徴とするボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項6】 〔請求項5〕に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、 吊り下げロッドの上下両端部は、火炉壁の壁面方向に平
行に設けたピンを介して鉄骨構造物及び火炉壁にそれぞ
れ回動可能に取り付けたことを特徴とするボイラ火炉壁
の支持構造。 【請求項7】 〔請求項5〕に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、吊り下げロッドの上下両端部の少な
くとも一方は、球面座金を介して鉄骨構造物及び火炉
壁、又は鉄骨構造物若しくは火炉壁の何れか一方に、全
方向に回動可能に取り付けたことを特徴とするボイラ火
炉壁の支持構造。 【請求項8】 〔請求項1〕乃至〔請求項4〕に記載す
る何れか1つのボイラ火炉壁の支持構造において、 水管と平板状のフィンとを交互に並べて溶接したメンブ
レンウォールで形成した火炉壁の壁面を面一にするよ
う、水管からフィンに向かって形成されている凹部を充
填し、隣接する水管間に平面部を形成するパッドを溶接
し、さらにこのパッドに溶接した平板部に吊り下げロッ
ドの下端部を支持するための吊金具を固着したことを特
徴とするボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項9】 〔請求項5〕乃至〔請求項8〕に記載す
る何れか1つのボイラ火炉壁の支持構造において、 パッドに溶接する平板部は、短冊状に形成した平板であ
るベース板を吊り下げ点の数だけ火炉壁の壁面に沿って
複数個配設して形成したことを特徴とするボイラ火炉壁
の支持構造。 【請求項10】 〔請求項5〕乃至〔請求項8〕に記載
する何れか1つのボイラ火炉壁の支持構造において、 パッドに溶接する平板部は、火炉壁の壁面に沿って水平
に配設した通し板としたことを特徴とするボイラ火炉壁
の支持構造。 【請求項11】 火炉の上部に燃焼装置を有し、燃焼ガ
スを上部から下部に向かって流すとともに、この燃焼ガ
スを火炉に連続する水平な後部煙道へと流して排出する
L形ボイラにおいて、 ボイラ本体の火炉壁の周囲に構築された鉄骨構造体に、
上端部が取り付けられた複数本の吊り下げロッドでその
下端部を介して、上記火炉壁の中央部を、この火炉壁の
水平方向の複数箇所で吊下するとともに、少なくとも火
炉壁の外側方向への熱伸びを吸収し得るように吊下した
ことを特徴とするL形ボイラ。 【請求項12】 〔請求項11〕に記載するL形ボイラ
において、 吊り下げロッドの上下両端部は、火炉壁の壁面方向に平
行に設けたピンを介して鉄骨構造物及び火炉壁にそれぞ
れ回動可能に取り付けたことを特徴とするL形ボイラ。 【請求項13】 〔請求項11〕に記載するL形ボイラ
において、 吊り下げロッドの上下両端部の少なくとも一方は、球面
座金を介して鉄骨構造物及び火炉壁、又は鉄骨構造物若
しくは火炉壁の何れか一方に、全方向に回動可能に取り
付けたことを特徴とするL形ボイラ。 【請求項14】 火炉の上部に燃焼装置を有し、燃焼ガ
スを上部から下部に向かって流すとともに、この燃焼ガ
スを火炉に連続する水平な後部煙道へと流して排出する
L形ボイラにおいて、 その火炉壁を〔請求項1〕乃至〔請求項10〕に記載す
る何れか一つの支持構造で吊下したことを特徴とするL
形ボイラ。 【請求項15】 〔請求項11〕乃至〔請求項14〕に
記載するL形ボイラにおいて、 後部煙道内に配設する過熱器及び節炭器等のエレメント
を後部煙道とともにモジュール化して構成したことを特
徴とするL形ボイラ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はボイラ火炉壁の支持
構造及びこれを有するL形ボイラに関し、特に燃焼ガス
を火炉上部から下部に向かって流し、さらに水平な後部
煙道へと流す、いわゆるL形ボイラに適用して有用なも
のである。 【0002】 【従来の技術】図7は従来技術に係る吊下形単胴放射形
微粉炭焚き大形ボイラの一例を示す説明図である。同図
に示すように、この種の大形ボイラにおいては、そのボ
イラ本体1の火炉壁2にメンブレンウォール(溶接水管
パネル)を採用し、全体を箱形として構成している。ボ
イラ本体1の主要部としては、火炉3、蒸気ドラム4、
過熱器5、再熱器13、節炭器6、燃焼装置7及びホッ
パ8等を有している。かかる、ボイラ本体1において燃
焼装置7により火炉3で燃料を燃焼して得る高温の燃焼
ガスは、メンブレンウォールの水管内の水と熱交換しな
がら、図7に矢印で示すように、火炉3の下部から上部
へ上昇してボイラ本体1の最上部に至り、ここで向きを
変えて過熱器5及び節炭器6等と順に熱交換し、煙突
(図示せず。)へと排出される。 【0003】また、この種のボイラは、そのボイラ本体
1を形成する火炉壁2を含めて、火炉3、蒸気ドラム
4、過熱器5、節炭器6、燃焼装置7及びホッパ8等の
エレメントのほとんど全てを吊り下げ支持する構造とな
っている。すなわち、ボイラ本体1の周囲には、地面1
2に設置された柱である支持鉄骨9及びこの支持鉄骨9
の頂部に水平に配設された頂部支持梁10で構成する鉄
骨構造物が構築してあり、その頂部支持梁10に取り付
けられて垂下する多数の吊り下げボルト11を介してボ
イラ本体1を吊り下げ支持している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述の如き吊下形の大
形ボイラにおいては、ボイラ本体1をその最上部で吊下
する構造となっているので、これを吊下するための鉄骨
構造物はボイラ本体1の高さ以上の高さを必要とする大
形構造物となり、しかも十分な剛構造とする必要があ
る。このため、コストが高騰するという問題がある。特
に、過熱器5及び節炭器6等の重量物であるエレメント
の多くがボイラ本体の上部に配設されるため、ボイラ本
体の上部迄強靱な鉄骨構造物とする必要があり、同時に
前述の如きエレメントを高所まで吊り上げて設置作業を
行う必要もある。このため、これらの要因でもコストが
高騰する。 【0005】上述の如き問題点を解決すべく種々の技術
的検討を加えた結果、かかる問題点は、燃焼ガスを火炉
の上部から下部に向かって流し、さらに火炉の下部で水
平方向に延びる後部煙道へと流す、いわゆるL形ボイラ
構造とすることにより解決し得る点に思い至った。かか
るL形ボイラにおいて、過熱器、再熱器及び節炭器等の
エレメントはボイラ本体の下部を構成する後部煙道に配
設するため、これらのエレメントを据え付けるための高
所作業を除去することができるばかりでなく、ボイラ本
体を吊下する鉄骨構造物の鉄骨量を大幅に低減すること
ができるからである。すなわち、L形ボイラとした場
合、図7に示す従来技術に係るボイラに較べ、ボイラ本
体の高さを2/3程度に抑えることができ、また火炉壁
の中央部を吊れば良く、しかも重量物である主要機器は
ボイラ本体の下部に配設すれば良いため、強靱な鉄骨は
その分低い位置のみに構築すれば良いからである。な
お、L形ボイラはボイラ本体の高さが低いため、耐震性
に優れるという効果も有する。さらに、過熱器及び節炭
器等のエレメントを収納する後部煙道をモジュール化し
て輸送することができるので、高所作業が大幅に減少
し、工期の短縮化も図ることができる。したがって、こ
の点に起因するコストの低減も図り得る。 【0006】上述の如くL形ボイラを採用すれば、図7
に示す従来技術に係るボイラ1に較べて多くの特長を有
することが期待される。そして、上述の如きL形ボイラ
の特長は大形になればなる程顕著になるが、その開発に
当たり、当該ボイラの火炉壁の支持構造を新たに考案す
る必要が生じた。 【0007】本発明は、上記従来技術に鑑み、火炉壁を
低廉なコストで良好に支持することができ、特にL形ボ
イラの火炉壁の支持構造として有用なボイラ火炉壁の支
持構造及びこれを有するL形ボイラを提供することを目
的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の構成は、次の点を特徴とする。 【0009】1) ボイラ本体の火炉壁の周囲に構築さ
れた鉄骨構造体に、上端部が取り付けられた複数本の吊
り下げロッドでその下端部を介して、上記火炉壁の中央
部を、この火炉壁の水平方向の複数箇所で吊下するとと
もに、少なくとも火炉壁の外側方向への熱伸びを吸収し
得るように吊下したボイラ火炉壁の支持構造において、
上記吊り下げロッドによる火炉壁側の吊り下げ位置は、
火炉壁の高さ方向の複数箇所に当該火炉壁の壁面に沿っ
て水平に設けた補強部材であるバックスティのうち、上
下で隣接するもの同士の中間部から下方にオフセットし
た位置としたこと。 【0010】2) 上記1)に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、吊り下げロッドの上下両端部は、火
炉壁の壁面方向に平行に設けたピンを介して鉄骨構造物
及び火炉壁にそれぞれ回動可能に取り付けたこと。 【0011】3) 上記1)に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、吊り下げロッドの上下両端部の少な
くとも一方は、球面座金を介して鉄骨構造物及び火炉
壁、又は鉄骨構造物若しくは火炉壁の何れか一方に、全
方向に回動可能に取り付けたこと。 【0012】4) 上記1)乃至3)に記載する何れか
1つのボイラ火炉壁の支持構造において、吊り下げロッ
ドの上端部は、鉄骨構造物から火炉壁側に突出させたブ
ラケットを介して取り付けたこと。 【0013】5) ボイラ本体の火炉壁の周囲に構築さ
れた鉄骨構造体に、上端部が取り付けられた複数本の吊
り下げロッドでその下端部を介して、上記火炉壁の中央
部を、この火炉壁の水平方向の複数箇所で吊下するとと
もに、少なくとも火炉壁の外側方向への熱伸びを吸収し
得るように構成したボイラ火炉壁の支持構造において、
水管と平板状のフィンとを交互に並べて溶接したメンブ
レンウォールで形成した火炉壁の壁面を面一にするよ
う、水管からフィンに向かって形成されている凹部を充
填し、隣接する水管間に平面部を形成するパッドを溶接
し、さらにこのパッドに溶接した平板部に吊り下げロッ
ドの下端部を支持するための吊金具を固着したこと。 【0014】6) 上記5)に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、吊り下げロッドの上下両端部は、火
炉壁の壁面方向に平行に設けたピンを介して鉄骨構造物
及び火炉壁にそれぞれ回動可能に取り付けたこと。 【0015】7) 上記5)に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、 吊り下げロッドの上下両端部の少
なくとも一方は、球面座金を介して鉄骨構造物及び火炉
壁、又は鉄骨構造物若しくは火炉壁の何れか一方に、全
方向に回動可能に取り付けたこと。 【0016】8) 上記1)乃至4)に記載する何れか
1つのボイラ火炉壁の支持構造において、水管と平板状
のフィンとを交互に並べて溶接したメンブレンウォール
で形成した火炉壁の壁面を面一にするよう、水管からフ
ィンに向かって形成されている凹部を充填し、隣接する
水管間に平面部を形成するパッドを溶接し、さらにこの
パッドに溶接した平板部に吊り下げロッドの下端部を支
持するための吊金具を固着したこと。 【0017】9) 上記5)乃至8)に記載する何れか
1つのボイラ火炉壁の支持構造において、パッドに溶接
する平板部は、短冊状に形成した平板であるベース板を
吊り下げ点の数だけ火炉壁の壁面に沿って複数個配設し
て形成したこと。 【0018】10) 上記5)乃至8)に記載する何れ
か1つのボイラ火炉壁の支持構造において、パッドに溶
接する平板部は、火炉壁の壁面に沿って水平に配設した
通し板としたこと。 【0019】11) 火炉の上部に燃焼装置を有し、燃
焼ガスを上部から下部に向かって流すとともに、この燃
焼ガスを火炉に連続する水平な後部煙道へと流して排出
するL形ボイラにおいて、ボイラ本体の火炉壁の周囲に
構築された鉄骨構造体に、上端部が取り付けられた複数
本の吊り下げロッドでその下端部を介して、上記火炉壁
の中央部を、この火炉壁の水平方向の複数箇所で吊下す
るとともに、少なくとも火炉壁の外側方向への熱伸びを
吸収し得るように吊下したこと。 【0020】12) 上記11)に記載するL形ボイラ
において、吊り下げロッドの上下両端部は、火炉壁の壁
面方向に平行に設けたピンを介して鉄骨構造物及び火炉
壁にそれぞれ回動可能に取り付けたこと。 【0021】13) 上記11)に記載するL形ボイラ
において、吊り下げロッドの上下両端部の少なくとも一
方は、球面座金を介して鉄骨構造物及び火炉壁、又は鉄
骨構造物若しくは火炉壁の何れか一方に、全方向に回動
可能に取り付けたこと。 【0022】14) 火炉の上部に燃焼装置を有し、燃
焼ガスを上部から下部に向かって流すとともに、この燃
焼ガスを火炉に連続する水平な後部煙道へと流して排出
するL形ボイラにおいて、その火炉壁を上記1)乃至1
0)に記載する何れか一つの支持構造で吊下したこと。 【0023】15) 上記11)乃至14)に記載する
L形ボイラにおいて、後部煙道内に配設する過熱器及び
節炭器等のエレメントを後部煙道とともにモジュール化
して構成したこと。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づき詳細に説明する。 【0025】図1はL形ボイラを概念的に示す説明図で
ある。同図に示すように、ボイラ本体21は、メンブレ
ンウォールの火炉壁22で横断面が矩形になるように形
成した垂直な筺体である火炉23と、この火炉23の下
部から水平方向に伸びてこの火炉23に連続する水平な
筺体である後部煙道24とを有している。かかるL形ボ
イラでは、火炉23の上部で燃焼装置20により燃料を
燃焼させて生成する燃焼ガスを、図中に矢印で示すよう
に、火炉23の上部から下部に向かって流し、さらに火
炉23の下部で水平方向に向きを変えて後部煙道24へ
と流して煙突(図示せず。)へ排出するようになってい
る。すなわち、このときの、燃焼ガスの流れる方向がL
字形であるのでL形ボイラと呼称する。また、かかるL
形ボイラにおいては、火炉23内で燃焼して下降させら
れる燃焼ガスの一部が浮力により上昇することにより、
下降するガス流とともに上昇するガス流も発生するの
で、両方のガス流が混ざり合い、燃焼効率も向上するこ
とが期待される。この結果、同一出力であれば図7に示
す従来技術に係るボイラの火炉3よりもその高さを低く
して小形化することができる。 【0026】後部煙道24は火炉23の下部で水平方向
に連続しているので、地面28に近接しており、その内
部には過熱器25、再熱器26及び節炭器27等の重量
物であるエレメントが配設してある。かかる後部煙道2
4及び過熱器25等の各エレメントは、従来技術に係る
ボイラ(図7参照)と異なり地面28の近傍に設置され
るため、モジュール化し、数体のブロックとして据え付
け現場へ運搬して火炉23に組み付けることもできる。 【0027】かかるボイラ本体21は、鉄骨構造物に吊
下して支持されている。この鉄骨構造物は、地面28に
設置した柱である支持鉄骨29及びこの支持鉄骨29の
頂部に水平に配設した支持梁30、31で構成してあ
る。ここで、支持梁30は後部煙道24に沿って複数列
が水平に配設されており、支持梁31は炉幅方向(図面
に直角な方向)に水平に配設してある。 【0028】かかる鉄骨構造物に対する火炉壁22の支
持構造の詳細に関しては後述するが、後部煙道24及び
過熱器25等のエレメントは、基端部が支持梁30に固
定されてこの支持梁30から垂下する吊り下げロッド3
2の先端部に吊下してある。 【0029】図2は図1に示すL形ボイラの火炉壁の支
持構造を説明するため、その一部を拡大して示す縦断面
図である。そこで、図1と同一部分には同一番号を付
し、重複する説明は省略する。同図に示すように、支持
梁31には火炉壁22に向かって突出するブラケット3
3が固着してある。一方、火炉壁22にはその外側に向
かって突出する吊金具34が固着してある。かくして、
基本的には、上端部がブラケット33に取り付けられて
いる吊り下げロッド35の下端部に吊金具34を取り付
けることにより、この吊り下げロッド35により火炉壁
22を吊下して支持するようになっている。 【0030】なお、図面の錯綜を避けるため、支持梁3
1は火炉壁22の炉幅方向のもののみを示すが、その奥
行き方向(炉幅方向と直角な方向)にも同様の支持梁が
設けてあり、同様の態様で火炉壁22を吊り下げ支持し
ている。すなわち、支持梁31は火炉壁22の各面にそ
れぞれ対向して4本設けてあり、ブラケット33は各支
持梁31の炉幅方向及び奥行き方向に沿って等間隔に複
数個が設けてある。吊金具34もブラケット33に対応
して火炉壁22に固着してある。かくして、火炉壁22
はその4面が当該火炉壁22の水平方向に分散した複数
箇所で吊り下げロッド35により鉄骨構造物に支持され
ている。なお、以下の説明は炉幅方向に関するものとす
るが、当該支持構造は奥行き方向に関しても全く同様に
構築してある。 【0031】当該ボイラ本体21の熱伸び中心点O(熱
伸びがゼロの基準点)は後部煙道24の天井面24aの
延長線上にあるので、当該延長線と火炉壁22の交点の
位置を吊るのが最も好ましい。火炉壁22と後部煙道2
4との熱伸び差を極力小さくてきるからである。そこ
で、本形態では他の部材(例えば後部煙道24の上に形
成するケーシング36等)との干渉を回避する等、他の
部材との関係で考慮しなければならない条件を充足した
上で可及的に上記交点位置の近傍に上記吊金具34を設
け、火炉壁22の中央部でこの火炉壁22を吊下してい
る。 【0032】また、火炉壁22の外周面には、通常その
水平方向に伸びるバックスティ37と呼称される補強材
が固着してある。このバックスティ37は火炉壁22の
各面で、高さ方向に等間隔に配設し、水平方向に亘って
固着されたI形鋼であり、火炉23の内圧で火炉壁22
が膨張変形するのを抑制するためのものである。吊金具
34は火炉壁22の上下のバックスティ37の間に、両
者の中間部よりも下方位置で火炉壁22に固着してあ
る。このことにより、火炉壁22の自重による変形及び
応力を可及的に低減することができる。この理由は後に
詳述する。 【0033】さらに、ブラケット33の火炉壁22と相
対向する先端部と、火炉壁22との間には火炉壁22の
ブラケット33側への熱伸びを考慮し、この熱伸びを生
起しても火炉壁22がブラケット33に接触することが
ないように適当な間隔を設けてある。また、吊り下げロ
ッド35はブラケット33及び吊金具34に回動可能に
取り付けてあり、火炉壁22の外側方向(炉幅方向と直
角な方向)への熱伸びを吸収するようなっている。かか
る熱伸び吸収機能は吊り下げロッド35の上端部及び下
端部をピンを介して支持することにより容易に実現し得
る。 【0034】ここで、火炉壁22の熱伸びはその炉幅方
向へのものも考慮する必要がある場合がある。特に、大
形のボイラにおいてはそうである。かかる炉幅方向への
熱伸びを火炉壁22の外側方向への熱伸びとともに吸収
するためには、吊金具34の少なくとも一方、好ましく
は両方を球面座金を介してブラケット33及び/又は吊
金具34に取り付けるようにすれば良い。このとき、炉
幅方向への熱伸びはその火炉壁22の中央部から両端部
に行くほど大きくなる。そこで、例えば両端部近傍の吊
り下げロッド35のみを球面座金を介して支持するよう
にする等、熱伸びの実態に対応させて適宜吊り下げロッ
ド35の支持部分の構造を工夫すれば良い。 【0035】図3は図2に示すブラケット33、吊金具
34及び吊り下げロッド35部分に関するさらに具体的
な実施例を示す図で、(a)は当該部分を抽出して示す
縦断面図、(b)はそのA線矢視図である。同図に示す
ように、吊金具34はその2枚が所定の間隔を介して平
板であるベース板38に固着してあり、このベース板3
8がパッド39を介して火炉壁22に溶着してある。こ
こで、ベース板38は吊金具34の数に応じた複数枚が
火炉壁22の水平方向に亘り溶着されている。2枚の吊
金具34の間にはピン40を介して吊り下げロッド35
の下端部が回動可能に支持してある。このことにより、
火炉壁22の外側方向への熱伸びを吸収する。また、吊
り下げロッド35の上端部は球面座金41を介してブラ
ケット33で支持するようになっている。このことによ
り、火炉壁22の外側方向への熱伸びとともに、その炉
幅方向への熱伸びも吸収する。 【0036】前述の如く、火炉壁22はメンブレンウォ
ールで形成してある。このメンブレンウォールは水管2
2aと平板状のフィン22bとを溶接により交互に組み
合わせたものであり、したがってその表面は水管22a
の外周面形状の一部とフィン22bの面の形状とが交互
に繰り返す凹凸形状となっている。したがって、ベース
板38を直接火炉壁22に溶接した場合には、その水管
22aに対するスポット溶接とならざるを得ず、この場
合には取付け強度の面で十分でない場合がでてくる。か
かる問題を解決するために設けたのがパッド39であ
る。このパッド39は、隣接する水管22a間の凹部を
充填するように水管22a及びフィン22bに溶接する
ものであり、この溶接により、火炉壁22の表面を面一
としてベース板38の溶接代を提供する。ベース板38
は、溶接パッド39に溶接することにより十分な強度を
有するものとなる。 【0037】図4は図3に示すパッド39及びその近傍
部分を抽出・拡大して示す図で、(a)はその正面図、
(b)はそのB−B線断面図、(c)はそのC−C線断
面図である。図4中、図3と同一部分には同一番号を付
し、重複する説明は省略する。同図に示すように、パッ
ド39は隣接する水管22aに跨がる平板部39aと、
フィン22bに向かって形成される凹部の形状に沿うよ
う平板部39aの上下両端部から突出させた脚部39b
とを有している。かかるパッド39と水管22a及びフ
ィン22bの境界部分を溶接することにより十分な強度
を有するベース板38の溶接代を形成することができ
る。 【0038】図3に示す実施例では、火炉壁22側に突
出するブラケット33を介して吊り下げロッド35を吊
下するようにしたが、勿論かかる構造に限定するもので
はない。例えば、図5(a)に示すように、支持梁31
の下端面にブラケット41を固着し、このブラケット4
1を利用して吊り下げロッド43で吊り下げる構造であ
っても良い。図5(a)に示す実施例の場合、吊り下げ
ロッド43はその上下両端部に連結金具43a、43b
を有しており、この連結金具43a、43bをピン4
4、45を介してブラケット41及び吊金具42に回動
可能に連結してある。また、図3に示す実施例では短冊
状のベース板38を火炉壁22の水平方向に多数配設し
て溶着したが、かかる構造に限定する必要はない。図5
(b)に示すように、火炉壁22の炉幅方向の全体に亘
り水平な通し板46をパッド39を介して火炉壁22に
溶接し、この通し板46に所定の間隔を保持して吊金具
43を溶着しても良い。 【0039】ここで、図3に示す支持構造を火炉壁22
等に作用する応力の面から考察する。図6は当該支持構
造により火炉壁22に作用する応力の態様を示す図で、
(a)は火炉壁22の上下のバックスティ37の中間部
に吊金具34を設けた場合の説明図、(b)は上記中間
部から下方にオフセットした位置に吊金具34を設けた
場合(図3に示す実施の形態の場合)の説明図である。
両図中、図3と同一部分には同一番号を付している。ま
た、図中の点線は当該支持構造で火炉壁22の自重を吊
った場合の当該火炉壁22の形状を示している。この点
線形状を参照すれば明らかな通り、図6(a)に示すよ
うに、中間部を吊った場合よりも、図6(b)に示すよ
うに、中間部よりオフセットした位置を吊った場合の方
が火炉壁22の変形量を小さくすることができる。そこ
で、この点を考慮して、図3に示す実施の形態では上下
のバックスティの中間よりも下方にオフセットした位置
を吊っている。なお、上方にオフセットさせた場合でも
同様に火炉壁22を吊った場合の変形量を小さくするこ
とはできるが、この場合には吊り下げロッド35と他の
部分の干渉による制限がでてくるため、下方にオフセッ
トさせた場合の方がより適切である。 【0040】また、火炉壁22に作用するモーメントM
は、M=F・cosθ・lで与えられる。すなわち、火
炉壁22とピン40との中心間の距離lが小さい程、モ
ーメントMを小さくすることができる。そこで、この距
離lを可及的に小さくできるようにベース板38の厚さ
及び吊金具34に対するピン40の取付位置を決定す
る。 【0041】さらに、吊り下げロッド35により火炉壁
22の自重を吊るのに有効な成分は、Fcosθで与え
られる。すなわち、吊り下げロッド35と火炉壁22と
がなす角度θを小さくする程、吊り下げロッド35に作
用する力Fを小さくすることができる。そこで、この点
を考慮して、図3に示す実施の形態では、吊り下げロッ
ド35の上端部を、火炉壁22側に突出するブラケット
33を介して支持することにより吊り下げロッド35と
火炉壁22の面とがなす角度θを可及的に小さくしてい
る。 【0042】なお、上記実施の形態は、L形ボイラの支
持構造であり、本発明は、このようにL形ボイラに適用
した場合に最もその特長を発揮し得るが、必ずしもこれ
に限るものではない。従来方式のボイラに適用した場合
でも、これの火炉壁を支持する鉄骨構造物の高さを低く
することができ、その分、鉄骨量を低減することはでき
る。 【0043】 【発明の効果】以上実施の形態とともに具体的に説明し
た通り、〔請求項1〕に記載する発明は、ボイラ本体の
火炉壁の周囲に構築された鉄骨構造体に、上端部が取り
付けられた複数本の吊り下げロッドでその下端部を介し
て、上記火炉壁の中央部を、この火炉壁の水平方向の複
数箇所で吊下するとともに、少なくとも火炉壁の外側方
向への熱伸びを吸収し得るように吊下したボイラ火炉壁
の支持構造において、上記吊り下げロッドによる火炉壁
側の吊り下げ位置は、火炉壁の高さ方向の複数箇所に当
該火炉壁の壁面に沿って水平に設けた補強部材であるバ
ックスティのうち、上下で隣接するもの同士の中間部か
ら下方にオフセットした位置としたので、火炉壁の外側
方向への熱伸びを吸収しつつ、その中央部を吊り下げ支
持することができるばかりでなく、火炉壁の自重による
変形を小さくすることができる。この結果、火炉壁を支
持する鉄骨構造物の鉄骨量を低減でき、このこと自体及
び当該ボイラの据えつけ時の高所作業を低減することが
できる点に起因した工期の短縮化等により、大幅にコス
トの低減を図ることができるとともに、特に火炉壁に無
理な応力を作用させることなく、これを支持することが
できる。 【0044】〔請求項2〕に記載する発明は、〔請求項
1〕に記載するボイラ火炉壁の支持構造において、吊り
下げロッドの上下両端部は、火炉壁の壁面方向に平行に
設けたピンを介して鉄骨構造物及び火炉壁にそれぞれ回
動可能に取り付けたので、〔請求項1〕に記載する発明
の作用に加え、火炉壁の外側への熱伸びは、吊り下げロ
ッドがピンを介して回動することにより吸収することが
できる。この結果、〔請求項1〕に記載する発明の効果
に加え、特に火炉壁の熱伸びを良好に吸収することがで
きるという効果を奏する。 【0045】〔請求項3〕に記載する発明は、〔請求項
1〕に記載するボイラ火炉壁の支持構造において、吊り
下げロッドの上下両端部の少なくとも一方は、球面座金
を介して鉄骨構造物及び火炉壁、又は鉄骨構造物若しく
は火炉壁の何れか一方に、全方向に回動可能に取り付け
たので、〔請求項1〕に記載する発明の作用に加え、火
炉壁の外側への熱伸びのみならず、これと直角な火炉壁
に沿う方向への熱伸びも吸収することができる。この結
果、〔請求項1〕に記載する発明の効果に加え、特に火
炉壁の熱伸びを良好に吸収することができるという効果
を〔請求項2〕に記載する発明より顕著に奏する。 【0046】〔請求項4〕に記載する発明は、〔請求項
1〕乃至〔請求項3〕に記載する何れか1つのボイラ火
炉壁の支持構造において、吊り下げロッドの上端部は、
鉄骨構造物から火炉壁側に突出させたブラケットを介し
て取り付けたので、〔請求項1〕乃至〔請求項3〕に記
載する発明の作用に加え、吊り下げロッドと、火炉壁の
壁面のなす角度を小さくすることができる。この結果、
〔請求項1〕乃至〔請求項3〕に記載する発明の効果に
加え、特に吊り下げロッドに作用する力をより小さくす
ることができるとともに、火炉壁に作用するモーメント
も小さくすることができる。 【0047】〔請求項5〕に記載する発明は、ボイラ本
体の火炉壁の周囲に構築された鉄骨構造体に、上端部が
取り付けられた複数本の吊り下げロッドでその下端部を
介して、上記火炉壁の中央部を、この火炉壁の水平方向
の複数箇所で吊下するとともに、少なくとも火炉壁の外
側方向への熱伸びを吸収し得るように構成したボイラ火
炉壁の支持構造において、水管と平板状のフィンとを交
互に並べて溶接したメンブレンウォールで形成した火炉
壁の壁面を面一にするよう、水管からフィンに向かって
形成されている凹部を充填し、隣接する水管間に平面部
を形成するパッドを溶接し、さらにこのパッドに溶接し
た平板部に吊り下げロッドの下端部を支持するための吊
金具を固着したので、火炉壁の外側方向への熱伸びを吸
収しつつ、その中央部を吊り下げ支持することができる
ばかりでなく、十分な強度を確保した上で、メンブレン
ウォールで形成した火炉壁に吊金具を固着することがで
きる。この結果、火炉壁を支持する鉄骨構造物の鉄骨量
を低減でき、このこと自体及び当該ボイラの据えつけ時
の高所作業を低減することができる点に起因した工期の
短縮化等により、大幅にコストの低減を図ることができ
るとともに、特に火炉壁を損傷することなく、十分な強
度を確保した上で、これを良好に吊り下げ支持すること
ができる。 【0048】〔請求項6〕に記載する発明は、〔請求項
5〕に記載するボイラ火炉壁の支持構造において、吊り
下げロッドの上下両端部は、火炉壁の壁面方向に平行に
設けたピンを介して鉄骨構造物及び火炉壁にそれぞれ回
動可能に取り付けたので、〔請求項5〕に記載する発明
の作用に加え、火炉壁の外側への熱伸びは、吊り下げロ
ッドがピンを介して回動することにより吸収することが
できる。この結果、〔請求項5〕に記載する発明の効果
に加え、特に火炉壁の熱伸びを良好に吸収することがで
きるという効果を奏する。 【0049】〔請求項7〕に記載する発明は、〔請求項
5〕に記載するボイラ火炉壁の支持構造において、吊り
下げロッドの上下両端部の少なくとも一方は、球面座金
を介して鉄骨構造物及び火炉壁、又は鉄骨構造物若しく
は火炉壁の何れか一方に、全方向に回動可能に取り付け
たので、〔請求項5〕に記載する発明の作用に加え、火
炉壁の外側への熱伸びのみならず、これと直角な火炉壁
に沿う方向への熱伸びも吸収することができる。この結
果、〔請求項5〕に記載する発明の効果に加え、特に火
炉壁の熱伸びを良好に吸収することができるという効果
を〔請求項6〕に記載する発明より顕著に奏する。 【0050】〔請求項8〕に記載する発明は、〔請求項
1〕乃至〔請求項4〕に記載する何れか1つのボイラ火
炉壁の支持構造において、水管と平板状のフィンとを交
互に並べて溶接したメンブレンウォールで形成した火炉
壁の壁面を面一にするよう、水管からフィンに向かって
形成されている凹部を充填し、隣接する水管間に平面部
を形成するパッドを溶接し、さらにこのパッドに溶接し
た平板部に吊り下げロッドの下端部を支持するための吊
金具を固着したので、〔請求項1〕乃至〔請求項4〕に
記載する発明の作用に加え、十分な強度を確保した上
で、メンブレンウォールで形成した火炉壁に吊金具を固
着することができる。この結果、〔請求項1〕乃至〔請
求項4〕に記載する発明の作用に加え、特に火炉壁を損
傷することなく、十分な強度を確保した上で、これを良
好に吊り下げ支持することができるという効果を奏す
る。 【0051】〔請求項9〕に記載する発明は、〔請求項
5〕乃至〔請求項8〕に記載する何れか1つのボイラ火
炉壁の支持構造において、パッドに溶接する平板部は、
短冊状に形成した平板であるベース板を吊り下げ点の数
だけ火炉壁の壁面に沿って複数個配設して形成したの
で、〔請求項5〕乃至〔請求項8〕に記載する発明の作
用に加え、特に吊金具の固着のための小片であるベース
板を個別に火炉壁に固着すれば良い。この結果、〔請求
項5〕乃至〔請求項8〕に記載する発明の効果に加え、
特にベース板の取り付け工事、すなわち火炉壁側の支持
部を形成するための工事が簡単になるという効果を奏す
る。 【0052】〔請求項10〕に記載する発明は、〔請求
項5〕乃至〔請求項8〕に記載する何れか1つのボイラ
火炉壁の支持構造において、パッドに溶接する平板部
は、火炉壁の壁面に沿って水平に配設した通し板とした
ので、〔請求項5〕乃至〔請求項8〕に記載する発明の
作用に加え、通し板が吊金具の固着のための部材として
のみならず火炉壁の補強部材としても機能する。この結
果、〔請求項5〕乃至〔請求項8〕に記載する発明の効
果に加え、特に火炉壁の強度的な補強もなすことができ
るという効果を奏する。 【0053】〔請求項11〕に記載する発明は、火炉の
上部に燃焼装置を有し、燃焼ガスを上部から下部に向か
って流すとともに、この燃焼ガスを火炉に連続する水平
な後部煙道へと流して排出するL形ボイラにおいて、ボ
イラ本体の火炉壁の周囲に構築された鉄骨構造体に、上
端部が取り付けられた複数本の吊り下げロッドでその下
端部を介して、上記火炉壁の中央部を、この火炉壁の水
平方向の複数箇所で吊下するとともに、少なくとも火炉
壁の外側方向への熱伸びを吸収し得るように吊下したの
で、火炉壁の外側方向への熱伸びを吸収しつつ、その中
央部を吊り下げ支持することができるばかりでなく、火
炉内で燃焼して下降させられる燃焼ガスの一部が浮力に
より上昇することにより、下降するガス流とともに上昇
するガス流も発生する。この結果、火炉壁を支持する鉄
骨構造物の鉄骨量を低減でき、このこと自体及び当該ボ
イラの据えつけ時の高所作業を低減することができる点
に起因した工期の短縮化等により、大幅にコストの低減
を図ることができるとともに、下降するガス流と上昇す
るガス流とが混ざり合い、燃焼効率も向上することが期
待される。したがって、このこととも相まって火炉壁の
高さを従来形の火炉壁の高さの2/3程度に抑えること
ができる。さらに、重量物である主要機器はボイラ本体
の下部に配設すれば良いため、強靱な鉄骨はその分低い
位置のみに構築すれば良い。この結果、全体のコストを
飛躍的に低減することができる。また、火炉の高さが低
いので、耐震構造としても優れた性能を有するものとな
るという効果も奏する。 【0054】〔請求項12〕に記載する発明は、〔請求
項11〕に記載するL形ボイラにおいて、吊り下げロッ
ドの上下両端部は、火炉壁の壁面方向に平行に設けたピ
ンを介して鉄骨構造物及び火炉壁にそれぞれ回動可能に
取り付けたので、〔請求項11〕に記載する発明の作用
に加え、火炉壁の外側への熱伸びは、吊り下げロッドが
ピンを介して回動することにより吸収することができ
る。この結果、〔請求項11〕に記載する発明の効果に
加え、特に火炉壁の熱伸びを良好に吸収することができ
るという効果を奏する。 【0055】〔請求項13〕に記載する発明は、〔請求
項11〕に記載するL形ボイラにおいて、吊り下げロッ
ドの上下両端部の少なくとも一方は、球面座金を介して
鉄骨構造物及び火炉壁、又は鉄骨構造物若しくは火炉壁
の何れか一方に、全方向に回動可能に取り付けたので、
〔請求項11〕に記載する発明の作用に加え、火炉壁の
外側への熱伸びのみならず、これと直角な火炉壁に沿う
方向への熱伸びも吸収することができる。この結果、
〔請求項11〕に記載する発明の効果に加え、特に火炉
壁の熱伸びを良好に吸収することができるという効果を
〔請求項12〕に記載する発明より顕著に奏する。 【0056】〔請求項14〕に記載する発明は、火炉の
上部に燃焼装置を有し、燃焼ガスを上部から下部に向か
って流すとともに、この燃焼ガスを火炉に連続する水平
な後部煙道へと流して排出するL形ボイラにおいて、そ
の火炉壁を〔請求項1〕乃至〔請求項10〕に記載する
何れか一つの支持構造で吊下したので、〔請求項1〕乃
至〔請求項10〕に記載する発明の作用に加え、火炉内
で燃焼して下降させられる燃焼ガスの一部が浮力により
上昇することにより、下降するガス流とともに上昇する
ガス流も発生する。この結果、火炉壁を支持する鉄骨構
造物の鉄骨量を低減でき、このこと自体及び当該ボイラ
の据えつけ時の高所作業を低減することができる点に起
因した工期の短縮化等により、大幅にコストの低減を図
ることができるとともに、下降するガス流と上昇するガ
ス流とが混ざり合い、燃焼効率も向上することが期待さ
れる。したがって、このこととも相まって火炉壁の高さ
を従来形の火炉壁の高さの2/3程度に抑えることがで
きる。さらに、重量物である主要機器はボイラ本体の下
部に配設すれば良いため、強靱な鉄骨はその分低い位置
のみに構築すれば良い。この結果、全体のコストを飛躍
的に低減することができる。また、火炉の高さが低いの
で、耐震構造としても優れた性能を有するものとなると
いう効果も奏する。 【0057】〔請求項15〕に記載する発明は、〔請求
項11〕乃至〔請求項14〕に記載するL形ボイラにお
いて、後部煙道内に配設する過熱器及び節炭器等のエレ
メントを後部煙道とともにモジュール化して構成したの
で、〔請求項11〕乃至〔請求項14〕に記載する発明
の作用に加え、過熱器等のエレメントを後部煙道を数体
のブロックとして輸送し、且つ組み立てることができ
る。この結果、〔請求項11〕乃至〔請求項14〕に記
載する発明の効果に加え、コストのさらなる低減に寄与
し得るという効果を奏する。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態に係るL形ボイラを概念的
に示す説明図である。 【図2】図1に示すL形ボイラの火炉壁の支持構造を説
明するため、その一部を拡大して示す縦断面図である。 【図3】図2に示すブラケット33、吊金具34及び吊
り下げロッド35部分を抽出して詳細に示す図で、
(a)は縦断面図、(b)はそのA線矢視図である。 【図4】図3に示すパッド39及びその近傍部分を抽出
・拡大して示す図で、(a)はその正面図、(b)はそ
のB−B線断面図、(c)はそのC−C線断面図であ
る。 【図5】図3に対応する他の具体例を示す図で、(a)
は縦断面図、(b)はその側面図である。 【図6】図3に示す支持構造により火炉壁22に作用す
る応力の態様を示す図で、(a)は火炉壁22の上下の
バックスティ37の中間部に吊金具34を設けた場合の
説明図、(b)は上記中間部から下方にオフセットした
位置に吊金具34を設けた場合の説明図である。 【図7】従来技術に係る吊下形単胴放射形微粉炭焚き大
形ボイラの一例を示す説明図である。 【符号の説明】 21 ボイラ本体 22 火炉壁 23 火炉 24 後部煙道 25 過熱器 27 節炭器 28 地面 29 支持鉄骨 31 支持梁 33 ブラケット 34 吊金具 35 吊り下げロッド 37 バックスティ 38 ベース板 39 パッド 40 ピン 41 球面座金
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ボイラ本体の火炉壁の周囲に構築された
鉄骨構造体で火炉壁を支持するボイラ火炉壁の支持構造
において、 上端部が上記鉄骨構造物に取り付けられた複数本の吊り
下げロッドの下端部で、上記火炉壁の中央部を、この火
炉壁の壁面方向の複数箇所で吊下するとともに、少なく
とも火炉壁の外側方向への熱伸びを吸収し得るよう当該
外側方向への移動を許容するように吊下したことを特徴
とするボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項2】 〔請求項1〕に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、 吊り下げロッドの上下両端部は、火炉壁の壁面方向に平
行に設けたピンを介して鉄骨構造物及び火炉壁にそれぞ
れ回動可能に取り付けたことを特徴とするボイラ火炉壁
の支持構造。 【請求項3】 〔請求項1〕に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、 吊り下げロッドの上下両端部の少なくとも一方は、球面
座金を介して鉄骨構造物及び火炉壁、又は鉄骨構造物若
しくは火炉壁の何れか一方に、全方向に回動可能に取り
付けたことを特徴とするボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項4】 〔請求項1〕乃至〔請求項3〕に記載す
るボイラ火炉壁の支持構造において、 吊り下げロッドによる火炉壁側の吊り下げ位置は、火炉
壁の高さ方向の複数箇所に当該火炉壁の壁面に沿って水
平に設けた補強部材であるバックスティのうち、上下で
隣接するもの同士の中間部から下方にオフセットした位
置としたことを特徴とするボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項5】 〔請求項1〕乃至〔請求項4〕に記載す
る何れか1つのボイラ火炉壁の支持構造において、 吊り下げロッドの上端部は、鉄骨構造物から火炉壁側に
突出させたブラケットを介して取り付けたことを特徴と
するボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項6】 〔請求項1〕乃至〔請求項5〕に記載す
る何れか1つのボイラ火炉壁の支持構造において、 高さ方向に水管と平板状のフィンとを交互に並べて溶接
したメンブレンウォールで形成した火炉壁の壁面を面一
にするよう、水管からフィンに向かって形成されている
凹部を充填し、隣接する水管間に平面部を形成するパッ
ドを溶接し、さらにこのパッドに溶接した平板部に吊り
下げロッドの下端部を支持するための吊金具を固着した
ことを特徴とするボイラ火炉壁の支持構造。 【請求項7】 〔請求項6〕に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、 パッドに溶接する平板部は、短冊状に形成した平板であ
るベース板を吊り下げ点の数だけ火炉壁の壁面に沿って
複数個配設して形成したことを特徴とするボイラ火炉壁
の支持構造。 【請求項8】 〔請求項6〕に記載するボイラ火炉壁の
支持構造において、 パッドに溶接する平板部は、火炉壁の壁面に沿って水平
に配設した通し板としたことを特徴とするボイラ火炉壁
の支持構造。 【請求項9】 火炉の上部に燃焼装置を有し、燃焼ガス
を上部から下部に向かって流すとともに、この燃焼ガス
を火炉に連続する水平な後部煙道へと流して排出するL
形ボイラにおいて、 その火炉壁を、〔請求項1〕乃至〔請求項8〕に記載す
る何れか一つの支持構造で吊下したことを特徴とするL
形ボイラ。 【請求項10】 〔請求項9〕に記載するL形ボイラに
おいて、 後部煙道内に配設する過熱器及び節炭器等のエレメント
を後部煙道とともにモジュール化して構成したことを特
徴とするL形ボイラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35691199A JP3165684B1 (ja) | 1999-12-16 | 1999-12-16 | ボイラ火炉壁の支持構造及びこれを有するl形ボイラ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35691199A JP3165684B1 (ja) | 1999-12-16 | 1999-12-16 | ボイラ火炉壁の支持構造及びこれを有するl形ボイラ |
Publications (2)
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