JP2001172701A - ニオブ粉末およびその製造方法と、このニオブ粉末を用いた多孔質焼結体および固体電解コンデンサー - Google Patents

ニオブ粉末およびその製造方法と、このニオブ粉末を用いた多孔質焼結体および固体電解コンデンサー

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JP2001172701A JP35505599A JP35505599A JP2001172701A JP 2001172701 A JP2001172701 A JP 2001172701A JP 35505599 A JP35505599 A JP 35505599A JP 35505599 A JP35505599 A JP 35505599A JP 2001172701 A JP2001172701 A JP 2001172701A
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niobium
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porous sintered
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亮輔 鈴木
Riiko Ishii
里依子 石井
Tadao Nishiyama
忠夫 西山
Hitoshi Iijima
均 飯島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きい表面積を備え、固体電解質被膜の形成
不良が生じにくい多孔質焼結体を提供できるニオブ粉末
を得る。 【解決手段】 ニオブイオン源となる原料を溶融塩3に
溶解し、この溶融塩3に対してるつぼ9内の還元剤8を
作用させて溶融塩3に溶解したニオブイオンを金属状態
に還元することにより、柱状の粒子を含むニオブ粉末を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体電解コンデンサ
ーを構成する陽極の材料として有用なニオブ粉末とその
製造方法に関し、特に低い等価直列抵抗(以下、ESR
と記す)と大容量特性を備えた陽極を提供できるもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のニオブを用いた固体電解コンデン
サーの陽極は、例えば空孔率が70容量%程度の多孔質
焼結体から構成されている。その材料であるニオブ粉末
は、相互に連結した多数の略球状の空孔を備えたスポン
ジ状の凝集粒であって、粒径が数十から数百μmの球状
のものである。従来のニオブ粉末は例えば以下のように
して製造したものである。まず、フッ化ニオブ酸カリウ
ムのナトリウム還元、五塩化ニオブの水素還元などの公
知の方法によってプライマリーパウダーを製造する。そ
して、このプライマリーパウダーを必要に応じて酸・水
洗浄処理し、脱ガス処理と1000℃以上での高温熱処
理を行い、さらに過剰酸素を除去する脱酸素処理を行っ
てニオブ粉末を得る。
【0003】そして、このニオブ粉末を所定形状にプレ
ス加工し、焼結することにより、前記凝集粒(ニオブ粉
末)の空孔に起因する多数の空孔を備えた陽極を得るこ
とができる。固体電解コンデンサーは、例えばこの多孔
質焼結体(陽極)の表面に固体電解質の被膜(以下、固
体電解質被膜という)を形成し、その上にNi線などか
らなる陰極をハンダ付けし、さらにこれらを難燃性エポ
キシ樹脂などの外装樹脂によって一体に覆うことによっ
て構成される。
【0004】固体電解質としては、従来、酸化マンガン
が主に用いられている。酸化マンガンからなる固体電解
質被膜は、例えば、多孔質焼結体を常法によって化成処
理した後、この多孔質焼結体を硝酸マンガン溶液に含浸
し、熱分解して形成する。このとき、多孔質焼結体に
は、上述のように相互に連結する多数の略球状の空孔が
形成されているため、多孔質焼結体を硝酸マンガン溶液
に浸漬すると、多孔質焼結体の表面に開口する空孔から
硝酸マンガン溶液が浸透し、これに連結する多孔質焼結
体内部の空孔に至り、さらに多孔質焼結体の表面に開口
する他の開口状態の空孔に至り、硝酸マンガン溶液が多
孔質焼結体全体に行き渡る。その結果、大きい面積の固
体電解質被膜が形成され、陽極の表面全体が有効に利用
される。最近では電子機器と回路の小型化・高周波化に
伴い、大容量で低いESRを有する固体電解コンデンサ
ーが求められている。そして、固体電解コンデンサーの
容量は、その陽極の表面積に比例するため、大容量の固
体電解コンデンサーを構成するためには、できるだけ多
孔質焼結体の空孔率が高いと好ましい。
【0005】一方、固体電解コンデンサーを組み込んだ
パソコンのCPU、電源回路において、陽極のESRの
増加は電子回路の高速化に伴う信号処理の不良の原因と
なり、重要な特性である。この陽極におけるESRの増
加の主な原因は、固体電解質被膜の形成不良である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多孔質
焼結体の空孔率を高めるためにニオブ粉末の空孔率を高
めると、ニオブ粉末の強度が低下し、プレス加工の際に
空孔が潰れやすくなり、逆に多孔質焼結体の空孔率が低
下する場合がある。よって、ニオブ粉末の空孔率は適度
な強度が得られる程度に調整する必要がある。
【0007】また、固体電解質被膜の形成不良は、主に
多孔質焼結体の空孔の不均一性に起因する。すなわち、
多孔質焼結体の内部の空孔が、多孔質焼結体の表面に開
口する開口状態の空孔と連結せず、閉孔し、独立して存
在していると、この空孔内には硝酸マンガン溶液が浸透
せず、固体電解質被膜の形成不良が発生する。あるい
は、内部の空孔が開口状態の空孔のひとつに連結してい
たとしても、他の開口状態の空孔に連結していない場合
は、いわゆる有底の壺状空孔が形成され、硝酸マンガン
溶液は十分に浸透せず、固体電解質被膜の形成不良が発
生する。図3は、空孔が閉孔し、壺状空孔が形成されて
いる様子の例を示した従来のニオブ粉末からなる多孔質
焼結体の走査型電子顕微鏡(SEM)による顕微鏡子写
真である。閉孔や壺状空孔の発生は、ニオブ粉末の粒度
分布、プレス加工する際のニオブ粉末の空孔のつぶれ安
さ(凝集強度)、ニオブ粉末の内部に存在する空孔の状
態や割合などによって変化する。また、最近では酸化マ
ンガンにかわって導電性高分子を用いた技術が実用化さ
れている。導電性高分子は分子が大きいため、多孔質焼
結体の空孔に浸透しにくく、さらに多孔質焼結体の精密
な空孔制御が必要である。
【0008】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、大きい表面積を備え、固体電解質被膜の形成不良が
生じにくい多孔質焼結体を提供できるニオブ粉末を得る
ことを目的とする。具体的には、均一な空孔と適当な強
度を備えたニオブ粉末を提供することを課題とする。さ
らに具体的には、前記空孔において、閉孔や壺状空孔が
生じにくい技術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の製
造方法によってニオブ粉末が柱状の粒子として得られ、
さらにはこの柱状の粒子が放射状に集合した放射状集合
粒子として得られることを見出し、本発明を完成させる
に至った。すなわち、前記課題を解決するために、本発
明においては以下の解決手段を提供する。第1の発明
は、柱状の粒子が集合してなることを特徴とするニオブ
粉末である。第2の発明は、第1の発明のニオブ粉末に
おいて、柱状の粒子が複数放射状に集合した放射状集合
粒子を含むことを特徴とするニオブ粉末である。第3の
発明は、第1または第2の発明のニオブ粉末において、
ニオブ塩と還元剤とを直接接触させずに、該ニオブ塩を
還元して得たことを特徴とするニオブ粉末である。第4
の発明は、前記還元剤がマグネシウム還元剤またはナト
リウム還元剤であることを特徴とする第3の発明のニオ
ブ粉末である。第5の発明は、ニオブ塩と還元剤とを直
接接触させずに、該ニオブ塩を還元してニオブ粉末を得
ることを特徴とするニオブ粉末の製造方法である。第6
の発明は、前記還元剤がマグネシウム還元剤またはナト
リウム還元剤であることを特徴とする第5の発明のニオ
ブ粉末の製造方法である。第7の発明は、第1〜4のい
ずれかの発明のニオブ粉末からなることを特徴とする多
孔質焼結体である。第8の発明は、第7の発明の多孔質
焼結体からなる陽極を備えていることを特徴とする固体
電解コンデンサーである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のニオブ粉末は、例えば以
下のプロセスを備えた製造方法によって得ることができ
る。 1.ニオブイオン源となる原料を溶融塩(媒体)に溶解
する。 2.この溶融塩に対して還元剤を作用させる。すると、
この還元剤が溶融塩に溶解したニオブイオンを金属状態
に還元し、その結果溶融塩内にニオブ粉末が晶出して沈
降する。このとき還元反応の副生物は溶融塩に溶け込
み、副生物の活量が減少するため、反応性が良好であ
る。また、ニオブ粉末の周囲には溶融塩が存在している
ため、ニオブ粉末間の衝突、結合による粗大化が生じ難
い。そのため、比較的小さな粉末が得られ、表面積拡大
の観点から好ましい。 3.溶融塩からニオブ粉末を回収する。 4.溶融塩に含まれる還元剤イオンを回収し、電気分解
などの方法で還元剤としてリサイクルする。
【0011】このように、ニオブ塩と還元剤とを直接接
触させずにニオブ塩を還元するとは、ニオブ塩と還元剤
とを混合するなどして直接接触させる従来の操作とは異
なり、ニオブ塩を媒体(溶融塩)に溶解し、この媒体に
液化、あるいは気化した還元剤を作用させ、この媒体を
介して媒体中のニオブ塩を還元する操作をいう。
【0012】本発明において、原料としては、従来、ニ
オブ金属精錬産業分野で原材料として用いられてきたフ
ッ化ニオブ酸カリウム、フッ化ニオブ酸ナトリウムなど
を用いることができる。その他、溶融塩への溶解性を考
慮して使用量などを調節することにより、五塩化ニオ
ブ、五フッ化ニオブ、五ヨウ化ニオブなどニオブのハロ
ゲン化物なども使用可能である。
【0013】還元剤とし13、熱力学的にニオブイオン
を金属状態まで還元する能力を持つナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属、あるいはカルシウム、マグネシ
ウムなどのアルカリ土類金属などを例示できるが、以下
の条件を満足するものが好ましい。 (1)溶融塩に溶解する。 (2)ニオブと相互に溶解しない。 (3)反応の副生物である還元剤の塩化物、フッ化物、
ヨウ化物などの塩が溶融塩に溶解する。 (4)溶融塩との比重差が大きい。 (5)反応終了後に副生物のみを電気分解によってリサ
イクルできる。 (6)安価で資源的に豊富である。これらの条件を満足
するものとしては、ナトリウム、マグネシウムなどを例
示することができる。マグネシウムは工業的に再生が容
易であるため好ましい。
【0014】溶融塩としては、以下の条件を満足すると
好ましい。 (1)還元剤およびニオブ粉末に対して熱化学的に安定
で、化学反応の媒質となる。 (2)高温で使用されるため、蒸気圧が低く、飛散しに
くい特性を備えている。 (3)安価で資源的に豊富である。 (4)省エネルギーの観点から低温で溶融する。したが
って、(5)不純物の混入をさけるため、例えば原料が
ニオブの塩化物であれば、溶融塩も塩化物であることが
望ましい。
【0015】これらの条件を満足し、かつ還元剤に対す
る安定性の観点から、アルカリ金属もしくはアルカリ土
類金属の塩などが好ましく、塩を形成する陰イオンは、
前記(5)に示したように原料にあわせて選択すると好
ましい。還元反応終了後の還元イオンとニオブの分離・
回収、および還元剤のリサイクルを考慮すると、アルカ
リ金属もしくはアルカリ土類金属の塩化物などが好まし
い。
【0016】以下、本発明のニオブ粉末の製造方法につ
いて、例を示して説明する。図1は本発明のニオブ粉末
の製造方法の一例に使用する装置構成の説明図であっっ
て、図中符号1は緻密質のムライト、あるいはステンレ
ス製などの容器1である。この容器1は上部に開口する
有底中空円筒体の本体1aと、その蓋1bとからなり、
本体1aの周囲にはヒータ1cが設けられている。蓋1
bには温度計4、パイプ(ランス)7が設けられ、これ
らが容器1内に挿入されている。なお、パイプ7の詳細
については後述するが、溶融塩を製造するまでは閉じた
状態にしておく。さらに蓋1bにはガス流通管6が設け
られており、ここから容器1内の雰囲気の置換、容器1
内の真空引きを行うようになっている。
【0017】まず、上部に開口する有底中空円筒体の緻
密質アルミナ(Al23)製、あるいは酸化マグネシウ
ム製などのるつぼ2に、溶融前の塩を装填して本体1a
内に設置する。この例において、塩はKCl−NaCl
共晶組成のものであり、その使用量は200g、るつぼ
2のサイズは内径42mmφ、高さ155mmである。
ついで、ヒータ1cを作動させるとともに、ガス流通管
6を通じて容器1内を真空にすることによって、30〜
600℃、1〜24時間の条件で真空乾燥する。この例
の具体的な条件は200℃、2時間である。この真空乾
燥により、溶融塩の安定性を高め、また、生成するニオ
ブ粉末が、溶融塩中の水から生じる酸素によって酸化す
るのを防ぐことができる。
【0018】ついで、容器1内をガス流通管6を通じて
アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスで置換した
後、700〜1000℃まで昇温した後、0〜2時間保
持し、容器1内の塩を溶融状態(溶融塩3)とする。こ
の例において、昇温温度は約900℃、保持時間は0.
5時間である。そして、還元剤8を入れたるつぼ9をこ
の溶融塩3中に降下し、700〜1000℃で、0.5
〜12時間程度保持する。この例において、保持温度は
約900℃、保持時間は0.5時間である。るつぼ9の
壁面には複数の孔が形成されており、気体や液体が、こ
の孔を介してるつぼ9の内部と外部を流通するようにな
っている。
【0019】なお、るつぼ9の材料は還元剤に対する熱
力学的な安定性、化学反応性などの観点から選択され
る。この例においては還元剤としてマグネシウムを用い
ているので、るつぼ9の材料は、マグネシウムに対して
熱力学的に安定性な酸化マグネシウムが選択されてい
る。しかし、この場合、マグネシウムと酸化マグネシウ
ムの熱力学的酸素ポテンシャルより、酸素が溶融塩3中
に溶け出し、その結果、微量の酸素を含んだニオブ粉末
が得られる。したがって、酸素の混入が問題となる場合
には、るつぼ9の材料は還元剤と化学反応を起こさない
材料を選択すると好ましい。還元剤がマグネシウムの場
合は、例えば鉄や酸化カルシウムなどが好適である。
【0020】ついで、蓋1bの上方からパイプ7を溶融
塩3に挿入した状態で、溶融塩3の温度を700〜10
00℃に維持し、このパイプ7から加熱してガス状とし
た原料を供給し、溶融塩3中に吹き込む。あるいは溶融
塩3の温度は、通常原料の沸点をこえているため、常温
で固体状態の還元剤粒子を、アルゴンガス、窒素ガスな
どの不活性ガスとともにパイプ7に投入するとともにガ
ス状とし、溶融塩3に吹き込む方法なども例示できる。
この例において、原料は五酸化ニオブを用いており、そ
の沸点は約240℃なので、約900℃に維持された溶
融塩3に投入すると、速やかに気化される。
【0021】その結果、溶融塩3中の還元剤と原料との
化学反応が進行する。この例においてパイプ7の材料と
してはるつぼ9の材料と同様の理由によって酸化マグネ
シウムが選択されている。その後、るつぼ9とパイプ7
を引き上げて自然冷却する。
【0022】ついで、溶融塩3を流水と酢酸などの酸で
洗い流して回収し、水とニオブ粉末の混合物を得る。こ
の混合物中のニオブ粉末を遠心分離もしくは濾過などの
操作によって水と分離し、乾燥してニオブ粉末を回収す
る。このニオブ粉末を構成する粒子の形状、サイズなど
は、エネルギー分散X線分光(EDX)による元素分
析、粉末X線回折装置による相同定、走査型電子顕微鏡
(SEM)による形状分析などによって特定することが
できる。
【0023】図2は、本発明のニオブ粉末の一例につい
て、SEMによって撮影した写真である。四角柱状の粒
子が複数形成され、これら柱状の粒子が10〜100本
程度放射状に集合した放射状集合粒子が形成されてい
る。本発明のニオブ粉末において、柱状の粒子の長さは
0.3〜20μm、この長さ方向に直交する断面である
四角形の1辺の長さは0.3〜20μmである。また、
前記粒子の長さに対する、前記四角形の1辺の長さの比
率は1/2〜1/100好ましくは1/5〜1/30で
ある。1/2をこえると従来の球状粒子の場合との差が
小さく、1/100未満であると柱状の粒子自体の強度
が低下しやすくなる場合がある。また、放射状集合粒子
の平均粒径は0.2〜20μm、好ましくは0.3〜5
μmである。0.2μm未満の場合はハンドリングが困
難であり、10μmをこえるとニオブ粉末の表面積が小
さくなるため不都合である。
【0024】このように柱状の粒子からなるニオブ粉末
を用いて、常法によって多孔質焼結体を形成すると、複
数の柱状の粒子が交差して多孔質焼結体内の空孔が形成
されるため、プレス加工の際に空孔が潰れにくく、表面
積が大きく、かつ適度な強度を備えた多孔質焼結体が得
られる。また、閉孔や壺状空孔が生じにくいため、固体
電解質被膜の形成不良が生じにくいものが得られる。そ
して、放射状集合粒子からなるニオブ粉末を用いると、
隣接する粒子間に確実に空孔が形成されるため、これら
の効果はさらに向上する。
【0025】なお、本発明のニオブ粉末を用いた固体電
解コンデンサーは、上述のような常法によって多孔質焼
結体とし、この多孔質焼結体(陽極)の表面に酸化マン
ガンなどからなる固体電解質被膜を形成し、その上にN
i線などからなる陰極をハンダ付けし、さらにこれらを
難燃性エポキシ樹脂などの外装樹脂によって一体に覆う
ことによって構成することができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明のニオブ粉末
を用いることにより、適度な強度を有し、かつ空孔率が
高い多孔質焼結体が得られる。よって、大容量の固体電
解コンデンサーを得ることができる。また、多孔質焼結
体において、閉孔や壺状空孔が生じにくいため、固体電
解質被膜の形成不良が生じにく、固体電解コンデンサー
のESRの増加を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のニオブ粉末の製造方法の一例に使用
する装置構成の説明図である。
【図2】 本発明のニオブ粉末の一例について、SEM
によって撮影した顕微鏡写真である。
【図3】 従来のニオブ粉末からなる多孔質焼結体の一
例について、SEMによって撮影した顕微鏡写真であ
る。
【符号の説明】
3…溶融塩、 8…還元剤。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月3日(2000.2.3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 請求項1に記載のニオブ粉末において、
ニオブ塩と還元剤とを直接接触させずに、該ニオブ塩を
還元して得たことを特徴とするニオブ粉末。
【請求項】 前記還元剤がマグネシウム還元剤または
ナトリウム還元剤であることを特徴とする請求項に記
載のニオブ粉末。
【請求項】 ニオブ塩と還元剤とを直接接触させず
に、該ニオブ塩を還元してニオブ粉末を得ることを特徴
とするニオブ粉末の製造方法。
【請求項】 前記還元剤がマグネシウム還元剤または
ナトリウム還元剤であることを特徴とする請求項に記
載のニオブ粉末の製造方法。
【請求項】 請求項1〜3のいずれか一項に記載のニ
オブ粉末からなることを特徴とする多孔質焼結体。
【請求項】 請求項に記載の多孔質焼結体からなる
陽極を備えていることを特徴とする固体電解コンデンサ
ー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】また、固体電解質被膜の形成不良は、主に
多孔質焼結体の空孔の不均一性に起因する。すなわち、
多孔質焼結体の内部の空孔が、多孔質焼結体の表面に開
口する開口状態の空孔と連結せず、閉孔し、独立して存
在していると、この空孔内には硝酸マンガン溶液が浸透
せず、固体電解質被膜の形成不良が発生する。あるい
は、内部の空孔が開口状態の空孔のひとつに連結してい
たとしても、他の開口状態の空孔に連結していない場合
は、いわゆる有底の壺状空孔が形成され、硝酸マンガン
溶液は十分に浸透せず、固体電解質被膜の形成不良が発
生する。閉孔や壺状空孔の発生は、ニオブ粉末の粒度分
布、プレス加工する際のニオブ粉末の空孔のつぶれ安さ
(凝集強度)、ニオブ粉末の内部に存在する空孔の状態
や割合などによって変化する。また、最近では酸化マン
ガンにかわって導電性高分子を用いた技術が実用化され
ている。導電性高分子は分子が大きいため、多孔質焼結
体の空孔に浸透しにくく、さらに多孔質焼結体の精密な
空孔制御が必要である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の製
造方法によってニオブ粉末が柱状の粒子として得られる
ことを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわ
ち、前記課題を解決するために、本発明においては以下
の解決手段を提供する。第1の発明は、柱状の粒子を含
むことを特徴とするニオブ粉末である。第2の発明は、
第1の発明のニオブ粉末において、ニオブ塩と還元剤と
を直接接触させずに、該ニオブ塩を還元して得たことを
特徴とするニオブ粉末である。第3の発明は、前記還元
剤がマグネシウム還元剤またはナトリウム還元剤である
ことを特徴とする第2の発明のニオブ粉末である。第4
の発明は、ニオブ塩と還元剤とを直接接触させずに、該
ニオブ塩を還元してニオブ粉末を得ることを特徴とする
ニオブ粉末の製造方法である。第5の発明は、前記還元
剤がマグネシウム還元剤またはナトリウム還元剤である
ことを特徴とする第4の発明のニオブ粉末の製造方法で
ある。第6の発明は、第1〜3のいずれかの発明のニオ
ブ粉末からなることを特徴とする多孔質焼結体である。
第7の発明は、第6の発明の多孔質焼結体からなる陽極
を備えていることを特徴とする固体電解コンデンサーで
ある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】図2は、本発明のニオブ粉末の一例につい
て、SEMによって撮影した写真である。柱状の粒子が
複数形成されている。本発明のニオブ粉末において、柱
状の粒子の長さは0.3〜20μm、この長さ方向に直
交する断面である四角形の1辺の長さは0.3〜20μ
mである。また、前記粒子の長さに対する、前記四角形
の1辺の長さの比率は1/2〜1/100好ましくは1
/5〜1/30である。1/2をこえると従来の球状粒
子の場合との差が小さく、1/100未満であると柱状
の粒子自体の強度が低下しやすくなる場合がある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】このように柱状の粒子からなるニオブ粉末
を用いて、常法によって多孔質焼結体を形成すると、複
数の柱状の粒子が交差して多孔質焼結体内の空孔が形成
されるため、プレス加工の際に空孔が潰れにくく、表面
積が大きく、かつ適度な強度を備えた多孔質焼結体が得
られる。また、閉孔や壺状空孔が生じにくいため、固体
電解質被膜の形成不良が生じにくいものが得られる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のニオブ粉末の製造方法の一例に使用
する装置構成の説明図である。
【図2】 本発明のニオブ粉末の一例について、SEM
によって撮影した顕微鏡写真である。
【符号の説明】 3…溶融塩、 8…還元剤。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月25日(2000.2.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】削除
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 均 福島県河沼郡河東町大字東長原字長谷地 111 昭和キャボットスーパーメタル株式 会社内 Fターム(参考) 4K001 AA18 BA05 BA08 DA01 EA03 HA06 HA07 4K018 BA20 BB01 KA22 KA39

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柱状の粒子を含むことを特徴とするニオ
    ブ粉末。
  2. 【請求項2】 請求項1のニオブ粉末において、柱状の
    粒子が複数放射状に集合した放射状集合粒子を含むこと
    を特徴とするニオブ粉末。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のニオブ粉末に
    おいて、ニオブ塩と還元剤とを直接接触させずに、該ニ
    オブ塩を還元して得たことを特徴とするニオブ粉末。
  4. 【請求項4】 前記還元剤がマグネシウム還元剤または
    ナトリウム還元剤であることを特徴とする請求項3に記
    載のニオブ粉末。
  5. 【請求項5】 ニオブ塩と還元剤とを直接接触させず
    に、該ニオブ塩を還元してニオブ粉末を得ることを特徴
    とするニオブ粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記還元剤がマグネシウム還元剤または
    ナトリウム還元剤であることを特徴とする請求項5に記
    載のニオブ粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のニ
    オブ粉末からなることを特徴とする多孔質焼結体。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の多孔質焼結体からなる
    陽極を備えていることを特徴とする固体電解コンデンサ
    ー。
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