JP3633543B2 - ニオブおよび/またはタンタルの粉末の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解キャパシタ材料として好適なニオブおよび/またはタンタルの粉末及びその製造法に関し、特にアルカリ金属やアルカリ土類金属でニオブおよび/またはタンタル酸化物を還元する製造法に関する。なお、本明細書では、ニオブ、タンタルあるいはその合金をニオブおよび/またはタンタルと称する。
【0002】
【従来の技術】
ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属やマグネシウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属でニオブやタンタルのフッ化物や酸化物を還元して、 1.0μmの粒子径で均一に分布し、BET比表面積が5m2/gを超える微細なニオブやタンタル粉末が得られている。
【0003】
ニオブやタンタル粉末を電解キャパシタ材料として使用する場合、微細なほど、即ち比表面積が大きいほど、容量が大きくなる。
【0004】
しかし、ニオブ、タンタルは酸化しやすく、またその酸化物が安定なため、粉末が微細なほど、表面酸化により、酸素量が増大する。
【0005】
また、アルカリ金属やアルカリ土類金属を還元剤とする反応は発熱反応で、1次粒子が0.1〜1.0μmの粒子径にある微粉末を得ようとすると、還元プロセス中の熱的不均一のために、0.01μmのオーダーの極微粒子や数μmの粗大粒子が生成される。このような極微粒子や粗大粒子が存在すると、電解キャパシタの焼結の均一性が失われるという問題があった。
【0006】
さらに、還元剤であるアルカリ金属やアルカリ土類金属がニオブやタンタルの中に固溶・残留し、電解キャパシタの容量や電気的特性に悪影響を及ぼすという問題があった。即ち、通常の操業で、還元反応には理論等量より過剰の還元剤を用いるので、還元剤の一部がニオブやタンタルに固溶する。アルカリ金属やアルカリ土類金属に対するニオブやタンタルの固溶限は小さいが、それでも200〜400ppm程度は固溶して残留する。従って、従来は、還元剤であるアルカリ金属やアルカリ土類金属を200ppm以下に低減することは困難であった。
【0007】
一方、アルカリ金属やアルカリ土類金属によるニオブやタンタル酸化物の還元は、発熱的に進行し、アルカリ金属やアルカリ土類金属をニオブやタンタル酸化物に直接接触させるので、その制御が困難になるほどであった。
【0008】
特開2000−119710号公報では、発熱量を抑制するために、アルカリ土類金属や希土類金属による還元を2段階で行い、第1段階の反応で、(Nb、Ta)Ox、但し式中x=0.5〜1.5、で表される低級酸化物粉末を得ている。そして、第1段階の還元生成物から還元剤の酸化物を除去してから、第2段階の還元を行っている。しかしこの場合、第2段階の還元反応が制御困難で、得られる粉末の比表面積が小さくなったり、アルカリ金属やアルカリ土類金属の残留量が多くなるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電解キャパシタ用として好適なニオブおよび/またはタンタルの粉末およびその製造法を提供することである。
【0010】
特に、本発明の目的は、アルカリ金属やアルカリ土類金属によるニオブおよび/またはタンタル酸化物の還元を2段階で行うに際し、得られる粉末の粒子を均一にし、比表面積あたりの酸素含有量、及びアルカリ金属やアルカリ土類金属の残留量を少なくする製造法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のニオブおよび/またはタンタルの粉末の製造法は次の各工程からなる。
【0012】
(1)ニオブおよび/またはタンタル酸化物をアルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選ばれた1種以上で還元して、(Nb、Ta)Ox、但し式中x=0.06〜1.5、で表される低級酸化物粉末を得る第1段階還元工程、
(2)第1段階還元工程で生成したアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酸化物を除去する工程、
(3)第1段階還元工程で得られた低級酸化物粉末を希土類金属の1種以上の融液に接触させて還元して、ニオブおよび/またはタンタルの粉末を得る第2段階還元工程。
【0013】
第1段階還元工程で得られた低級酸化物粉末を、第2段階還元工程において希土類金属の1種以上で還元すると、アルカリ金属やアルカリ土類金属の残留量を100ppm以下にできる。
【0014】
本発明のニオブおよび/またはタンタルの粉末は、前記製造法で得られ、一次粒子が0.1〜1.0μmの粒子径で均一に分布し、酸素量(ppm)とm2/gで表したBET比表面積との比が3100以下とすることができる。
【0015】
なお、前記(Nb、Ta)Oxは、(NbTa)Ox、(Nb)Ox、および(Ta)Oxのいずれかであることを表記したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ニオブおよび/またはタンタル酸化物をアルカリ金属やアルカリ土類金属で還元してニオブおよび/またはタンタルの粉末を得るに際し、還元を2段階に分けて行い、第1段階で、(Nb、Ta)Ox、ただし式中x=0.06〜1.5、で表される低級酸化物粉末を得るまで行い、第1段階の還元反応で生成したアルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物を除去し、第1段階還元工程で得られた低級酸化物粉末を希土類金属で第2段階の還元を行い、ニオブおよび/またはタンタル粉末を得る。0.06未満では、一部では還元が進行し、還元剤金属がニオブやタンタルの中に拡散し、不純物として残留してしまう。1.5を超えると、残留酸素が多く、第2段階還元時に発熱量が大きく、粒子の粗大化が生じる。
【0017】
第2段階還元工程で、希土類金属は融液や蒸気にして反応させるのが好ましい。還元剤である希土類金属の融液の存在により、ニオブおよび/またはタンタルの表面拡散が阻害されるために、粒子の結合に際して比表面積の減少が抑制される。また、還元剤である希土類金属の融液が、濡れ性良く、毛細管現象により、微細なニオブおよび/またはタンタルの粉末中に均一に浸透できる。この結果、0.01μmのオーダの極めて微細な粒子の発生が抑制され、一次粒子が0.1〜1.0μmの粒子径で均一に分布した微細粉末が得られる。
【0018】
第1段階還元工程で得られた低級酸化物粉末を希土類金属で還元すると、アルカリ金属やアルカリ土類金属の残留量を100ppm以下にすることができる。これは、希土類金属でなくアルカリ金属やアルカリ土類金属を還元剤に使用すると、ニオブおよび/またはタンタルと接触したアルカリ金属やアルカリ土類金属の融液がニオブおよび/またはタンタルの中へ固溶するので、その制御が必要になるのと対照される。
【0019】
また、第1段階還元工程で得られた低級酸化物粉末を希土類金属で還元すると、酸素量が7000ppm以下で、m2/gで表したBET比表面積が0.6以上で、且つ酸素量(ppm)とBET比表面積の比が3100以下になる。これは、還元剤である希土類の融液が、濡れ性良く、毛細管現象により、微細なニオブおよび/またはタンタルの粉末中に均一に浸透するからであると考えられる。
【0020】
原料となるニオブおよび/またはタンタル酸化物は、特に限定されるものではないが、五酸化ニオブ、五酸化タンタル、あるいはその混合物が好ましい。また、還元剤であるアルカリ金属やアルカリ土類金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが好ましい。希土類元素金属は、単独金属である必要は無く、ミッシュメタルでもよい。
【0021】
アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属をニオブおよび/またはタンタル酸化物から分離して配置し、アルカリ金属やアルカリ土類金属を蒸気の形でニオブおよび/またはタンタル酸化物に接触させる。これにより、還元段階における反応速度を穏やかにし、時間あたりの発熱量を抑制できる。還元速度は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の蒸気圧、従って加熱温度によって制御できる。加熱温度は600〜1400℃で、加熱時間は1h〜8hであることが望ましい。
【0022】
たとえば、マグネシウムの場合、加熱温度を800℃以上にするのが好ましい。加熱温度が800℃未満であると、揮発に伴う吸熱のために、マグネシウムの蒸発が十分に進まない。他のアルカリ金属やアルカリ土類金属についても単位時間あたりの発熱量や還元終了までの時間で、加熱温度を選定すればよい。
【0023】
還元により得られるニオブおよび/またはタンタルの粉末は、1400℃を超える温度では、燒結して粗大化するので、還元温度を1400℃以下にするのが好ましい。逆に、600℃未満であると、十分な反応が得られない。反応時間については、8h以内で還元反応は終了するので、これ以上に保持する必要はない。1hより短いと、還元反応が不充分である場合がある。
【0024】
また、還元をアルゴン、窒素のような不活性ガス雰囲気の中で行うことにより、均一で安定した還元反応を進めることができる。
【0025】
第2段階還元工程は、低級酸化物粉末と所定の還元金属の融液と混合して行う点が第1段の還元と異なる。還元剤金属の融液の存在により、ニオブおよび/またはタンタルの表面拡散が阻害されて、比表面積の減少を抑制できる。また、第2段の還元は第1段と同じか低い温度で、400〜1200℃の範囲で、加熱時間は1〜4時間が望ましい。一般に、温度とともにニオブやタンタル中の不純物元素が固溶限が拡大し、また、拡散も速くなる。蒸気還元のように温度が高い場合、還元が十分に行われ、過剰の還元金属蒸気が存在すると還元金属の溶解度が大きくなり、還元金属の残留量が増加してしまう。そこで、第2段の還元は第1段と同じか低い温度で、具体的には400〜1200℃の温度範囲内で、所定量の還元剤で完全な還元を行うために混合法を用いる必要がある。
【0026】
第1段階で、ニオブおよび/またはタンタル酸化物をアルカリ金属やアルカリ土類金属で、(Nb、Ta)Ox、但し式中x=0.06〜1.5、で表される低級酸化物粉末にまで還元するが、その還元終了の判定は還元物の質量変化測定で行う。
【0027】
第1段階還元工程で生成したアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酸化物を除去するには、酸による滲出で行う。
【0028】
第1段階還元工程で得られた低級酸化物粉末を希土類金属で還元して、ニオブおよび/またはタンタルの粉末を得る第2段階還元工程では、還元剤に希土類金属の融液を使用すること、および低温で所定量の還元剤で完全な還元を行うことに留意する。
【0029】
平均粒子径の測定は、マイクロトラックなどのレーザ回折法で行い、含有酸素量の測定は、赤外線吸収方式などの酸素分析計で行い、BET比表面積の測定はISO9277に基づく方法で行うのが好ましい。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す縦型電気炉1内に、円筒形のニオブ製反応容器2を配置し、該反応容器2の底部に還元金属用にニオブ製バケット4を置き、その上方に該バケット4から十分に隔てて、ニオブおよび/またはタンタル酸化物用ニオブ製トレイ6を置いた。なお、本実施例は還元剤の蒸気をニオブおよび/またはタンタル酸化物に接触させる例であるが、還元剤の融液にニオブおよび/またはタンタル酸化物を接触させてもよい。
【0031】
原料には五酸化ニオブ粉末(平均粒径3.5μm)を500g挿入し、還元金属には、マグネシウム(宇部興産(株)製、塊状、99.97%以上)を酸化物粉末に対して1.1モル当量使用した。
【0032】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を1000℃の温度に保持して、6時間反応させた。冷却後、トレイ6内の低級酸化物粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬してマグネシウム酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。得られた低級酸化物粉末は、NbO0.3の組成で、360gであった。
【0033】
低級酸化物粉末をそのまま前記ニオブ製トレイ6に挿入し、ミッシュメタル(三徳金属工業(株)製、塊状、La+Ce>98%)を該低級酸化物粉末に対して、1.1モル当量使用した。
【0034】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を880℃の温度に保持して、2時間反応させた。冷却後、トレイ6内の粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬して希土類金属の酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。該粉末は、純粋なニオブ粉末で、そのBET比表面積を測定するとともに、平均粒径および含有酸素の量を測定したところ、それぞれ、BET比表面積2.1m2/g、平均粒径0.4μm、酸素量5200ppm、Mg量76ppmであった。
【0035】
(実施例2)
実施例1において、第1還元段階の反応温度を1100℃にし、得られた低級酸化物粉末は、NbO0.2の組成で、365gであった。該低級酸化物粉末をそのまま前記ニオブ製トレイ6に挿入し、ミッシュメタル(三徳金属工業(株)製、塊状、La+Ce>98%)を該低級酸化物粉末に対して1.2モル当量使用した。
【0036】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を900℃の温度に保持して、2時間反応させた。冷却後、トレイ6内の粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬して希土類金属の酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。該粉末は、純粋なニオブ粉末で、そのBET比表面積を測定するとともに、平均粒径および含有酸素の量を測定したところ、それぞれ、BET比表面積1.9m2/g、平均粒径0.5μm、酸素量4800ppm、Mg量58ppmであった。
【0037】
(実施例3)
図1に示す縦型電気炉1内に、円筒形のニオブ製反応容器2を配置し、該反応容器2の底部に還元金属用にニオブ製バケット4を置き、その上方に該バケット4から十分に隔てて、ニオブおよび/またはタンタル酸化物用ニオブ製トレイ6を置いた。
【0038】
原料には五酸化タンタル粉末(平均粒径2.4μm)を500g挿入し、還元金属には、ナトリウム(関東化学(株)製、粒状、98%)を酸化物粉末に対して1.0モル当量使用した。
【0039】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を800℃の温度に保持して、6時間反応させた。冷却後、トレイ6内の低級酸化物粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬してナトリウムの酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。得られた低級酸化物粉末は、NbO0.25の組成で、370gであった。
【0040】
低級酸化物粉末をそのまま前記ニオブ製トレイ6に挿入し、ミッシュメタル(三徳金属工業(株)製、塊状、La+Ce>98%)を該低級酸化物粉末に対して1.2モル当量使用した。
【0041】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を880℃の温度に保持して、2時間反応させた。冷却後、トレイ6内の粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬して希土類金属の酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。該粉末は、純粋なタンタル粉末で、そのBET比表面積を測定するとともに、平均粒径および含有酸素の量を測定したところ、それぞれ、BET比表面積1.4m2/g、平均粒径0.8μm、酸素量6300ppm、Na量27ppmであった。
【0042】
(実施例4)
実施例3において、第1還元段階の還元金属をマグネシウム(宇部興産(株)製、塊状、99.97%)の1.2モル当量にし、反応温度を1000℃にして、6時間反応させた。得られた低級酸化物粉末は、NbO0.2の組成で、390gであった。低級酸化物粉末をそのまま前記ニオブ製トレイ6に挿入し、ミッシュメタル(三徳金属工業(株)製、塊状、La+Ce>98%)を該低級酸化物粉末に対して1.1モル当量使用した。
【0043】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を880℃の温度に保持して、2時間反応させた。冷却後、トレイ6内の粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬して希土類金属の酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。該粉末は、純粋なタンタル粉末で、そのBET比表面積を測定するとともに、平均粒径および含有酸素の量を測定したところ、それぞれ、BET比表面積2.8m2/g、平均粒径0.4μm、酸素量2900ppm、Mg量46ppmであった。
【0044】
(実施例5)
実施例1において、Mgモル当量を1.3とし、得られた低級酸化物粉末は、NbO0.15の組成で、358gであった。該低級酸化物粉末をそのまま前記ニオブ製トレイ6に挿入し、ミッシュメタル(三徳金属工業(株)製、塊状、La+Ce>98%)を該低級酸化物粉末に対して1.2モル当量使用した。
【0045】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を880℃の温度に保持して、2時間反応させた。冷却後、トレイ6内の粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬して希土類金属の酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。該粉末は、純粋なニオブ粉末で、そのBET比表面積を測定するとともに、平均粒径および含有酸素の量を測定したところ、それぞれ、BET比表面積1.6m2/g、平均粒径0.6μm、酸素量4200ppm、Mg量81ppmであった。
【0046】
(比較例1)
実施例1において、Mgモル当量を1.4とし、得られた低級酸化物粉末は、NbO0.04の組成で、368gであった。該低級酸化物粉末をそのまま前記ニオブ製トレイ6に挿入し、ミッシュメタル(三徳金属工業(株)製、塊状、La+Ce>98%)を該低級酸化物粉末に対して1.2モル当量使用した。
【0047】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を880℃の温度に保持して、2時間反応させた。冷却後、トレイ6内の粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬して希土類金属の酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。該粉末は、純粋なニオブ粉末であったが、そのBET比表面積、平均粒径および含有酸素の量を測定したところ、それぞれ、BET比表面積1.8m2/g、平均粒径0.9μm、酸素量7100ppm、Mg量320ppmであり、残存Mg量が多くなり、酸素量/比表面積も3944と大きくなった。
【0048】
(比較例2)
実施例1において、Mgモル当量を0.8とし、得られた低級酸化物粉末は、NbO1.7の組成で、383gであった。該低級酸化物粉末をそのまま前記ニオブ製トレイ6に挿入し、ミッシュメタル(三徳金属工業(株)製、塊状、La+Ce>98%)を該低級酸化物粉末に対して1.2モル当量使用した。
【0049】
ニオブ製反応容器2に蓋2aをして、該蓋2aに設けたガス供給孔からアルゴンガスを100ml/minの割合で供給しつつ、電気炉1の発熱体1aにより反応容器2内を880℃の温度に保持して、2時間反応させた。冷却後、トレイ6内の粉末を取り出して、1規定の塩酸に浸漬して希土類金属の酸化物を溶解除去し、さらに水洗及び乾燥を行った。該粉末は、純粋なニオブ粉末であったが、そのBET比表面積、平均粒径および含有酸素の量を測定したところ、それぞれ、BET比表面積0.4m2/g、平均粒径2.5μm、酸素量6500ppm、Mg量98ppmであり、BET比表面積が小さくなり、粒が粗大化してしまった。
【0050】
(比較例3)
実施例1において、Mgモル当量を1.5とし、反応温度を1100℃にして、得られた低級酸化物粉末をそのまま前記ニオブ製トレイ6に挿入した。
【0051】
融液を用いずに、1100℃で6時間反応させ、1回の還元で金属Nbまで還元した。
【0052】
該粉末は、純粋なニオブ粉末で、そのBET比表面積、平均粒径および含有酸素の量を測定したところ、それぞれ、BET比表面積2.1m2/g、平均粒径0.6μm、酸素量7500ppm、Mg量380ppmであり、残存Mg量も多く、酸素量/比表面積も3571と大きくなった。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているので、ニオブおよび/またはタンタル酸化物を、第1段階工程でアルカリ金属やアルカリ土類金属の蒸気で還元し、第2段階工程で希土類元素金属の融液を混合して還元を行い、電解キャパシタ用として好適なニオブおよび/またはタンタル微細粉末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造法を実施するための装置の具体例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 電気炉
1a 発熱体
2 ニオブ製反応容器
3 還元金属
4 ニオブ製バケット
5 酸化物粉末
6 ニオブ製トレイ
Claims (6)
- 次の各工程からなるニオブおよび/またはタンタルの粉末の製造法;
(1)ニオブおよび/またはタンタル酸化物をアルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選ばれた1種以上で還元して、(Nb、Ta)Ox、但し式中x=0.06〜1.5、で表される低級酸化物粉末を得る第1段階還元工程、
(2)第1段階還元工程で生成したアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酸化物を除去する工程、
(3)第1段階還元工程で得られた低級酸化物粉末を希土類金属の1種以上の融液に接触させて還元して、ニオブおよび/またはタンタルの粉末を得る第2段階還元工程。 - 請求項1に記載の製造法で得られ、一次粒子が0.1〜1.0μmの粒子径で均一に分布したニオブおよび/またはタンタルの粉末。
- 請求項1に記載の製造法で得られ、酸素量(ppm)とm2/gで表したBET比表面積との比が3100以下であるニオブおよび/またはタンタルの粉末。
- 請求項1に記載の製造法で得られ、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選ばれた1種以上の残留量が100ppm以下であるニオブおよび/またはタンタルの粉末。
- 酸素量(ppm)とm2/gで表したBET比表面積との比が3100以下である請求項2記載のニオブおよび/またはタンタルの粉末。
- アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選ばれた1種以上の残留量が100ppm以下である請求項3記載のニオブおよび/またはタンタルの粉末。
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