JP2001171588A - 自転車のハンドルポスト固定装置および自転車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自転車の軽量化を図ることができ、ハンドル
ポストの固定を解除する作業を行う場合でもこの作業を
容易に行うことができ、さらに、広い面積でハンドルポ
ストをホークステムに接触させて固定することができる
自転車のハンドルポスト固定装置および自転車を提供す
る。 【解決手段】 中空筒状のホークステム４の上端部に縦
方向のスリットを有する割り部２１を形成し、ホークス
テム４の上端部をヘッドパイプ６より貫通して上方に突
出させ、ホークステム４の割り部内にハンドルポスト３
の下端部を挿入させ、ホークステム４の割り部の外周に
径が拡縮可能な締付用部材２６を外嵌させて、締付用部
材２６を縮径させることによりホークステム４の割り部
をハンドルポスト３の下端部に押し当てて係止させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は自転車に関し、特に
自転車のハンドルポストをホークステムに固定するハン
ドルポスト固定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５に示すように、自転車の前輪１を回
転自在に支持する二股の前フォーク２の上部には、ハン
ドルポスト３を固定するための中空筒状のホークステム
４が設けられている。このホークステム４は、自転車用
フレーム５の前端部に設けられたヘッドパイプ６を回転
自在に支持している。このように、ヘッドパイプ６を回
転自在に支持するホークステム４によりハンドルポスト
３を固定する従来の構成としては図６、図７に示すよう
なものであった。

【０００３】すなわち、ホークステム４の上端部を、ヘ
ッドパイプ６よりも上方に突出するように形成している
とともに、このホークステム４の上端部外周面に雄ねじ
部４ａなどを形成し、ヘッドパイプ６の下端部とホーク
ステム４の下部との間に下玉軸受７を介装し、ヘッドパ
イプ６の上端部とホークステム４の上端部との間に上玉
軸受８を介装し、この上玉軸受８の上方から、挿通孔な
どを有する座金（またはバスケット取り付け用ブラケッ
ト）９や、ホークステム４の雄ねじ部４ａに螺合雌ねじ
を有する止めナット１０をねじ込んでいる。

【０００４】ハンドルポスト３の下端部には、スリット
１１ａにより径方向に分割された割り部１１が形成され
ている。また、ハンドルポスト３には、その軸心に沿っ
て長尺のねじ軸１２が貫通して設けられ、ねじ軸１２の
頭部１２ａはハンドルポスト３の上部より露出して回転
可能に設けられており、ねじ軸１２の下端には下方ほど
太径となった断面台形状のうす部１３が螺合されて昇降
可能に取り付けられている。そして、このようにうす部
１３が取り付けられたハンドルポスト３の下部をホーク
ステム４内に挿入し、ねじ軸１２の頭部１２ａに六角ス
パナなどの回転用治具を当ててねじ軸１２を回転させて
うす部１３を引き上げ、ハンドルポスト３の割り部１１
を径方向に広げることにより、ハンドルポスト３の割り
部１１をホークステム４内に押し当てて、ハンドルポス
ト３をホークステム４に固定させていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のハンドルポスト３の固定構造によれば、長尺のねじ
軸１２などを用いているため、その分だけ重くなり、自
転車の軽量化の妨げになっていた。また、上述のように
ハンドルポスト３の固定動作を行った後に、この固定状
態を解除しようとねじ軸１２を逆回転させた場合に、う
す部１３がハンドルポスト３の割り部１１に食い込んで
しまって、ハンマーなどでハンドルポスト３を叩いて食
い込みを外すなどの処置を行わなければならない場合が
あり、多くの手間や時間がかかることがあった。

【０００６】さらに、うす部１３によりハンドルポスト
３における割り部１１の下端側ほど広げる構成であるの
で、ハンドルポスト３を固定した際でも、ホークステム
４に接触する部分が実際にはハンドルポスト３における
割り部１１の下端だけであり、接触している部分が線状
となって接触する面積が小さいという課題も生じてい
た。

【０００７】本発明は上記問題や課題を解決するもの
で、自転車の軽量化を図ることができ、ハンドルポスト
の固定を解除する作業を行う場合でもこの作業を容易に
行うことができ、さらに、広い面積でハンドルポストを
ホークステムに接触させて固定することができる自転車
のハンドルポスト固定装置および自転車を提供すること
を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、ハンドルポストをホークステムに固定させ
る自転車のハンドルポスト固定装置であって、中空筒状
のホークステムの上端部に縦方向のスリットを有する割
り部を形成し、ホークステムの上端部をヘッドパイプよ
り貫通させて上方に突出させ、ホークステムの割り部内
にハンドルポストの下端部を挿入させ、ホークステムの
前記割り部の外周に径が拡縮可能な締付用部材を外嵌さ
せて、締付用部材を縮径させることによりホークステム
の前記割り部をハンドルポストの下端部に押し当てて係
止させたことを特徴とする。

【０００９】この構成により、軽量化を図ることがで
き、ハンドルポストの固定を解除する作業を行う場合で
もこの作業を容易に行うことができ、さらに、広い面積
でハンドルポストをホークステムに接触させて固定する
ことができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、ハンドルポストをホークステムに固定させる自転車
のハンドルポスト固定装置であって、中空筒状のホーク
ステムの上端部に縦方向のスリットを有する割り部を形
成し、ホークステムの上端部をヘッドパイプより貫通さ
せて上方に突出させ、ホークステムの前記割り部内にハ
ンドルポストの下端部を挿入させ、ホークステムの割り
部の外周に径が拡縮可能な締付用部材を外嵌させて、締
付用部材を縮径させることによりホークステムの前記割
り部をハンドルポストの下端部に押し当てて係止させた
ことを特徴とする。

【００１１】この構成により、長尺のねじ軸などを用い
ないため、軽量化を図ることができ、また、うす部を用
いておらず、ハンドルポストの固定を解除する作業を行
う場合でも、締付用部材を緩めて拡径すればよいだけで
あるため、この固定解除作業を容易に行うことができ、
さらに、締付用部材を縮径させてハンドルポストを固定
した際には、締付用部材を縮径させた箇所に対応するホ
ークステムの割り部が縮径するため、ホークステムの割
り部とハンドルポストとを広い面積で接触させることが
できる。

【００１２】本発明の請求項２に記載の発明は、請求項
１記載の自転車のハンドルポスト固定装置において、ホ
ークステムの割り部が形成されている上端部外周面に雄
ねじ部を形成し、ヘッドパイプ下端部とホークステム下
部との間に下玉軸受を介装し、ヘッドパイプ上端部とホ
ークステムの上端部との間に上玉軸受を介装し、締付用
部材と上玉軸受との間に、前記雄ねじ部に螺合する雌ね
じ部を有し、上玉軸受や下玉軸受が移動して緩んだり過
度に押し付けられたりすることを規制して位置決めする
位置決めナットを配設したことを特徴とする。

【００１３】この構成により、締付用部材と上玉軸受と
の間に位置決めナットが配設されて、上玉軸受や下玉軸
受が移動して緩んだり過度に押し付けられたりすること
が防止されて正確に位置決めされるため、両方の玉軸受
にて、ヘッドパイプが良好に回転できる状態で受けられ
る。また、ホークステムにおける位置決めナットが配設
されている場所よりも端の箇所が締付用部材で締め付け
られるため、締付用部材の締め付けにより位置決めナッ
トが緩む可能性が低くなる。

【００１４】本発明の請求項３に記載の発明は、請求項
２記載の自転車のハンドルポスト固定装置において、位
置決めナットを２つのナットで構成していることを特徴
とする。この構成により、上玉軸受や下玉軸受の位置決
めを一層確実に行うことができて、信頼性が向上する。

【００１５】本発明の請求項４に記載の自転車は、請求
項１〜３の何れかに記載のハンドルポスト固定装置を備
えたことを特徴とする。以下、本発明の実施の形態につ
いて説明する。図１は、本発明の実施の形態にかかる自
転車のハンドルポスト固定装置を示す断面図、図２は同
ハンドルポスト固定装置の斜視図、図３は同ハンドルポ
スト固定装置の分解斜視図である。なお、従来の自転車
とほぼ同機能のものには同符号を付す。

【００１６】図１〜図３に示すように、中空筒状のホー
クステム４の上端部には、縦方向に延びる１つのスリッ
ト２１ａを有する割り部２１が形成されているとともに
外周面に雄ねじ部２２が形成されている。また、ホーク
ステム４の上端部外周面には、平面視して割り部２１と
９０度ずれた位置に縦方向に延びる位置決め用溝部２３
も形成されている。このホークステム４の上端部は、ヘ
ッドパイプ６を貫通して上方に突出する高さまで延設さ
れている。そして、ヘッドパイプ６の下端部とホークス
テム４の下部との間に下玉軸受７を介装し、また、ヘッ
ドパイプ６の上端部とホークステム４の上端部との間に
上玉軸受８を介装し、さらにこの上に後述する第１、第
２の位置決めナット２４、２５などを介装した状態で、
ホークステム４の割り部２１内にハンドルポスト３の下
端部を挿入させている。

【００１７】さらに、ホークステム８の割り部２１の外
周には、径が拡縮可能な一つ割筒状の締付用部材２６を
外嵌させており、この締付用部材２６の割り部分を跨ぐ
ように横方向に取り付けた２つのボルト２７、２８を回
転させて締付用部材２６を縮径させることによりホーク
ステム４の割り部２１をハンドルポスト３の下端部に押
し当てて係止させている。また、第１、第２の位置決め
ナット２４、２５と締付用部材２６との間には、回転し
ない所定姿勢に維持されるリング部材（またはバスケッ
ト取り付け用ブラケット（図２参照））３０が介装され
ている。

【００１８】なお、下玉軸受７は、ヘッドパイプ６の下
端部に圧入されて固定された下玉受け７ａと、複数の玉
が等間隔に配置された下玉部７ｂと、ホークステム４の
下部に取り付けられた下玉押し７ｃとからなる。また、
上玉軸受８は、ヘッドパイプ６の上端部に圧入されて固
定された上玉受け８ａと、複数の玉が等間隔に配置され
た上玉部８ｂと、内面がテーパ面とされた上玉押し８ｃ
と、上玉押し８ｃの内面に摺接して上玉部８ｂの芯出し
を行う１つ割り形状の芯出し部８ｄと、これらの部分を
上方から抑える上抑え部８ｅとからなる。

【００１９】さらに、上玉軸受４の上に、ホークステム
４の位置決め用溝部２３に嵌入する凸部２９ａを有する
平ワッシャ２９が嵌め込まれ、この平ワッシャ２９の上
に、ホークステム４の雄ねじ部２２に螺合する雌ネジ部
２４ａ，２５ａが内面に形成された第１、第２の位置決
めナット２４、２５が嵌め込まれている。そして、この
ようにして、第１、第２の位置決めナット２４、２５を
所定の位置までねじ込んだ状態で、上述のように、ホー
クステム４の割り部２１の外周に締付用部材２６を外嵌
させて縮径させることにより、ホークステム４へのハン
ドルポスト３の固定を確実に行えるようになっている。

【００２０】上記構成によれば、従来のもののように、
長尺のねじ軸などを用いないため、軽量化を図ることが
でき、また、うす部を用いておらず、ハンドルポスト３
の固定を解除する作業を行う場合でも、締付用部材２６
のボルト２７、２８を緩めて拡径すればよいだけである
ため、この固定解除作業を容易に行うことができる。さ
らに、締付用部材２６を縮径させてハンドルポスト３を
固定した際に、ホークステム４の割り部２１における締
付用部材２６が当たっている箇所全体が縮径するため、
ホークステム４の割り部２１とハンドルポスト３とが広
い面積で接触することとなり、信頼性が向上する。

【００２１】また、締付用部材２６と上玉軸受８との間
に位置決めナット２４、２５が配設されているため、上
玉軸受８や下玉軸受７が移動して緩んだり過度に押し付
けられたりすることが防止されて正確に位置決めされ
る。つまり、図４に示す比較例のハンドルポスト固定装
置においては、上玉軸受８の真上に締付用部材２６を配
置し、この締付用部材２６の上に、１つの締付用ナット
３２をねじ込むように配置しているため、締付用ナット
３２が緩んだ場合には、上玉軸受８や下玉軸受７の隙間
が増えてがたつきを生じ、また、締付用ナット３２を閉
め過ぎた場合には、上玉軸受８や下玉軸受７の回転が良
好には行えなくなる。また、この構成では、締付用部材
２６によりホークステム４の割り部２１を縮径させる
と、その割り部２１の先端も縮径するため、この箇所に
ねじ込まれている締付用ナット３２が緩み易くなり、上
記不具合をさらに助長することとなっていた。

【００２２】これに対して、本実施の形態にかかるハン
ドルポスト固定装置によれば、締付用部材２６と上玉軸
受８との間に位置決めナット２４、２５が配設されてお
り、ホークステム４における位置決めナット２４、２５
が配設されている場所よりも端の箇所が締付用部材２６
で締め付けられるため、締付用部材２６を締め付けた際
でも、位置決めナット２４、２５が緩む可能性を低減さ
せることができる。しかも、位置決めナット２４、２５
が２つ設けられているため、これらの位置決めナット２
４、２５により、上玉軸受８や下玉軸受７が上方へ移動
して緩んだり過度に押し付けられたりすることが規制さ
れて、上玉軸受８や下玉軸受７の位置決めが確実に行わ
れ、この結果、上玉軸受８や下玉軸受７が、最も適した
姿勢で維持されて、上玉軸受８や下玉軸受７による回転
支持状態が良好に維持される。

【００２３】なお、上記実施の形態においては、ホーク
ステム４の割り部２１が１つのスリット２１ａを有する
１つ割り形状である場合を述べたが、これに限るもので
はなく、２つや３つのスリットを有する２つ割り形状や
３つ割り形状としてもよいことはもちろんである。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、中空筒状
のホークステムの上端部に縦方向のスリットを有する割
り部を形成し、ホークステムの上端部をヘッドパイプよ
り貫通させて上方に突出させ、ホークステムの割り部内
にハンドルポストの下端部を挿入させ、ホークステムの
割り部の外周に径が拡縮可能な締付用部材を外嵌させ、
締付用部材を縮径させてホークステムの割り部をハンド
ルポストの下端部に押し当てて係止させることにより、
自転車の軽量化を図ることができるとともに、ハンドル
ポストの固定解除作業を容易に行うことができ、さら
に、ホークステムの割り部とハンドルポストとを広い面
積で接触させることができて信頼性が向上する。

【００２５】また、締付用部材と上玉軸受との間に位置
決めナットを配設することで、玉軸受にてヘッドパイプ
が良好に回転できる状態で受けられるとともに、締付用
部材の締め付けにより位置決めナットが緩む可能性を低
くすることができる。また、位置決めナットを２つのナ
ットで構成することで、上玉軸受や下玉軸受の位置決め
を一層確実に行うことができて、信頼性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態にかかる自転車のハンドル
ポスト固定装置を示す断面図である。

【図２】同ハンドルポスト固定装置の斜視図である。

【図３】同ハンドルポスト固定装置の分解斜視図であ
る。

【図４】（ａ）および（ｂ）は、比較例としての自転車
のハンドルポスト固定装置を示す要部側面図および分解
状態の要部側面図である。

【図５】自転車の全体側面図である。

【図６】従来の自転車のハンドルポスト固定装置を示す
断面図である。

【図７】同従来のハンドルポスト固定装置の分解斜視図
である。

【符号の説明】

３ ハンドルポスト ４ ホークステム ６ ヘッドパイプ ７ 下玉軸受 ８ 上玉軸受 ２１ 割り部 ２２ 雄ねじ部 ２４、２５ 位置決めナット ２６ 締付用部材

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドルポストをホークステムに固定さ
   せる自転車のハンドルポスト固定装置であって、中空筒
   状のホークステムの上端部に縦方向のスリットを有する
   割り部を形成し、ホークステムの上端部をヘッドパイプ
   より貫通させて上方に突出させ、ホークステムの前記割
   り部内にハンドルポストの下端部を挿入させ、ホークス
   テムの前記割り部の外周に径が拡縮可能な締付用部材を
   外嵌させて、締付用部材を縮径させることによりホーク
   ステムの割り部をハンドルポストの下端部に押し当てて
   係止させた自転車のハンドルポスト固定装置。
2. 【請求項２】 ホークステムの割り部が形成されている
   上端部外周面に雄ねじ部を形成し、ヘッドパイプ下端部
   とホークステム下部との間に下玉軸受を介装し、ヘッド
   パイプ上端部とホークステムの上端部との間に上玉軸受
   を介装し、締付用部材と上玉軸受との間に、前記雄ねじ
   部に螺合する雌ねじ部を有し、上玉軸受や下玉軸受が移
   動して緩んだり過度に押し付けられたりすることを規制
   して位置決めする位置決めナットを配設した請求項１記
   載の自転車のハンドルポスト固定装置。
3. 【請求項３】 位置決めナットは２つのナットで構成さ
   れている請求項２記載の自転車のハンドルポスト固定装
   置。
4. 【請求項４】 請求項１〜３の何れかに記載のハンドル
   ポスト固定装置を備えた自転車。